焼き芋を食べる事さえ、命懸け!
ゆうきつかさ
コメント 7
シナリオID:1901
オープニング
「この時期定番と言えば、やっぱり焼き芋だろ!」
ゴブリンの青年ウェーイが、ノリノリな様子で焼き芋を高々と掲げた。
それはまるで勇者が聖剣を抜いた時のように雄々しく、無駄に恰好良かった。
「だが、ひとつ困った事がある」
ウェーイが落ち込んだ様子で、ガックリと肩を落とした。
「実は、焼き芋の魔獣……いや、サツマイモの魔獣が現れたんだ。コイツらは集団で行動しており、焼き芋のニオイに敏感だ!」
どうやら、何度か襲われた事があるらしく、名誉の負傷を自慢げに見せつけた。
それは、どう見ても、転んだ時についた傷であったものの、ウェーイ自身はサツマイモの魔獣と戦った時に負った傷(ある意味、嘘はついていない)である事を強調した。
「そこで、だ。お前達にサツマイモの魔獣を倒して欲しいという訳さ。とりあえず、森の中で焼き芋を焼いていれば、そのうちヒョコッと現れるから、後は倒すだけだ。難しい事は考えず、とりあえず、焼き芋を食べながら、待っていてくれ。そのために必要なサツマイモは、こっちで用意するからさ。ほら、サツマイモの魔獣が現れちまったせいで、だいぶ余っちまっているからさ」
ウェーイの話によると、サツマイモの魔獣は、焼き芋のニオイに誘われて、地中から触手を伸ばしてくるらしい。
その触手自体はナイフで斬る事が出来、燃やす事も出来るようだが、そのまま何もしなければ、サツマイモの魔獣が姿を現し、鋭い牙を光らせ、齧りついてくるようである。
ウェーイが知る限りでは、炎に弱いものの、身の危険を感じると、地中に逃げてしまうため、何か対策を練っておく必要があるようだ。
またサツマイモの魔獣は、群れで行動しているものの、この場所に集まった者達だけで何とかなるという事だった。
解説
マスターより
リプレイ
「ウェーイさん、お久しぶり。せっかくの焼き芋日和なのに、焼き芋を気軽に焼けないのは辛いよね。アツアツの美味しい焼き芋……ホクホク、ねっとり、どちらも捨てがたいけど、とにかく魔獣を倒してしまおうか」
エルシー・サリバンは仲間達と共に、森の中で待つウェーイに合流した。
「おー、久しぶりだな。みんな、寒くなかったか?」
ウェーイは焚き火で暖を取っており、色々な種類のサツマイモが山のように詰まれていた。
この時点でウェーイの背後に、死亡フラグが卒塔婆の如く並んでいたものの、巻き添えを食らうのもアレなので、あえて気づかないフリをした。
「サツマイモ掘りと聞いて色々準備してきたが……ひょっとして、違うのか?」
クルタルがキョトンとした表情を浮かべ、気まずい様子で汗を流した。
ここに来るまでサツマイモを掘って、美味しく戴くイベントだと思っていたため、少なからずショックを受けているようである。
「まあ、似たようなモンだから、問題ないだろ。とりあえず、芋を食おうぜ!」
ウェーイがノリノリな様子で、焼き芋の準備をし始めた。
厳密に言えば、ちょっと違う気もするのだが、脳ミソが御花畑化しているウェーイにとっては、些細な問題だったようである。
「それじゃ、サツマイモの魔獣が現れるまで、焼き芋を食べて待とうか」
エルシーが仲間達に焼き芋を配りつつ、孤高者の双波と超聴力を駆使して周囲を警戒した。
どうやら、サツマイモの魔獣は近くまで来ているらしく、少しずつ地中を移動しているようである。
そのため、モグラが通った跡のようなモノが出来ており、それがゆっくり近づいていた。
「やっと……。やっと食えるのか、焼き芋が……」
だわが焼き芋のニオイを堪能しながら、しみじみとした表情を浮かべた。
別の依頼でも、焼き芋を食べるチャンスがあったものの、不慮の事故(?)で材料すら残っていなかったため、この焼き芋はトクベツ感があった。
ある意味、運命の再会。
この時のために、ここまで来たと言っても、大袈裟ではないほどの充実感に満たされていた。
……後は焼き芋を口まで運ぶだけ。
ただ、それだけの事ではあるのだが、世紀の瞬間と言っても大袈裟ではないほど気持ちが昂っているためか、まるでスローモーションの如く、ゆっくりだった。
しかし、だわが焼き芋を口にしようとした途端、事件が起こった。
突如として地中から魔獣の触手がニョキっと伸び、だわが持っていた焼き芋を地面にパチンと叩き落した。
「……えっ!」
それは、だわにとって、予想外の出来事。
あまりにも予想外の出来事すぎて、劇画タッチになっており、心のポッカリと大きな穴が開いていた。
「と、とりあえず、お茶を飲んで落ち着こうか。それに、ほら……まだ焼き芋もあるし……」
その事に気づいたエルシーが、気まずい様子で百合茶を淹れた。
だが、だわはショックから立ち直る事が出来ず、ワナワナと身体を震わせていた。
「……シッ! まだ近くにいる!」
そんな中、アシュリー・ロックハートが人差し指をピンと立て、仲間達に対して警告をした。
サツマイモの魔獣は地中を移動しながら、不意打ちを仕掛けるつもりでいるらしく、殺気がビンビンと伝わってきた。
それ以上に、だわが殺気をビンビンと放っており、般若のような表情を浮かべているものの、今は何を言っても無駄のようである。
そんな、だわを嘲笑うようにして、サツマイモの魔獣が触手を伸ばし、別の場所にあった焼き芋を地中に引きずり込んだ。
「きゃぁ~魔獣だよ~」
即座に、エルシーが大袈裟に悲鳴を上げ、焼き芋を抱えて逃げ出した。
「……って、こっちに来るなァ!」
その巻き添えを食らったウェーイが、涙目になって脱兎の如く逃げ出した。
「ピキィィィィィィィィ!」
その後を追うようにして、サツマイモの魔獣がニュルニュルと触手を揺らしながら、ウェーイ達の後を追い始めた。
「やれやれ。面倒な事になったな」
すぐさま、クルタルがサークルプロテクションを発動させ、守護の力を秘めた光を周辺に放った。
「……!」
その途端、サツマイモの魔獣が警戒した様子で距離を取ったものの、先程までひとつだった気配が複数に増えた。
「モグラ叩きゲームみたいに、うまくいくといいんだけど……」
その事に気づいたアシュリーが焼き芋のニオイを餌にして、サツマイモの魔獣達の注意を引いた。
「!」
そのニオイに誘われるようにして、サツマイモの魔獣がニュルニュルと触手を伸ばしてきた。
それを迎え撃つようにして、アシュリーが木の大剣を握り締め、思いっきり振り下ろして、地面を強打した。
その拍子に、サツマイモの魔獣が姿を現し、アシュリー達を威嚇するようにして牙を剥いた。
「それじゃ、芋掘り開始だよ~」
エルシーがノリノリな様子で鋭射2を仕掛け、サツマイモの魔獣を撃ち抜いた。
「ピギャアアアアアアアアアアアア!」
その一撃を喰らったサツマイモの魔獣が、苦しそうに鳴き声を響かせ、狂ったように触手振り回した。
それが鞭の如く振り下ろされ、地面が抉れて、大量の土が舞った。
それでも、痛みからは逃れる事が出来なかったのか、地面をガリガリと削りながら、エルシー達に襲いかかってきた。
「随分と機嫌が悪いようだが、俺も同じくらい腹を立てているんでな。向かってくるのであれば容赦はしない。食事の邪魔をするなら尚更、な」
だわが食べる直前で散った焼き芋の姿を思い出し、血の涙を流しながら、 "剣"を振り下ろして、サツマイモの魔獣を斬りつけた。
その途端、サツマイモのジューシーなニオイが辺りに漂い、反射的にだわの腹がグゥッと鳴った。
それはまるで、腹を空かせた我が子に、服の袖を引っ張られるような感覚。
そもそも、我が子と言う表現が正しいのか分からないが、気持ち的には同じようなモノ。
その気持ちが(なんとなく)驚異的な力を与える原動力になっているようだった。
その事に気づいたクルタルが輝刃を発動させ、だわが持っている"剣"を淡い透明な光で包み込んだ。
「……!」
その事に危機感を覚えたサツマイモの魔獣達が、地中をモコモコと抉りながら、脱兎の如く逃げ出した。
「……逃がすか!」
すぐさま、だわが殺界改で"剣"にエーテル光を纏わせ、同時に不可視のエーテルを範囲内に張り巡らせた。
それに合わせて、エルシーが 貫通衝撃射3を仕掛け、地面を掘り起こすようにして、サツマイモの魔獣を吹き飛ばした。
「ピキィ!」
その事でサツマイモの魔獣達が完全に戦意を喪失させ、再び這うようにして逃げていった。
「……って、大人しくしろ!」
クルタルがエーテルブロー2で、ダマスカス鋼の祭刀に眩い光を宿し、サツマイモの魔獣を斬りつけた。
それでも、サツマイモの魔獣が地中に潜って逃げようとしたため、竜鱗飾りの手袋で触手を掴み、力任せに引っ張り上げた。
それに合わせて、アシュリーが範囲攻撃を仕掛け、サツマイモの魔獣を容赦なく仕留めていった。
「……これで終わりだ!」
次の瞬間、だわが度数の高い蒸留酒を投げ、たいまつで火をつけた。
「ピギャアアアアアアアア!」
それと同時に、サツマイモの魔獣が悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、狂ったように触手を振り回した。
だが、熱さからは逃れる事が出来ず、香ばしいニオイが辺りに漂った。
「み、みんな、すげぇな! どいつも、こいつも、ホックホクじゃねえか!」
ウェーイが恐る恐る岩陰から顔を出し、感心した様子で辺りを見回した。
サツマイモの魔獣達は、ホックホクに焼けており、辺りが香ばしいニオイに包まれていた。
「サツマイモの魔獣……と言う事は、食えるよな、これ? おそらく、食えると思うが、さて……どうするか」
だわがサツマイモの魔獣を見下ろし、サバイバル知識で捌き始めた。
サツマイモの魔獣は、サツマイモに酷似していたが、臓物などもあったため、まったく同じとは言えなかった。
そのため、慎重に臓物部分を取り除き、サツマイモの部分だけを回収していった。
「ひょっとして、臓物の方も食えるんじゃないのか? 見た目はアレだが、イイ匂いがしているし、マズくはないと思うんだか……」
クルタルがサツマイモの魔獣から取り除いた臓物を手に取り、クンクンとニオイを嗅いだ。
見た目はグロテスクだが、ニオイだけなら、サツマイモそのもの。
目を閉じて食べれば、違いが分からないレベルであった。
その分、見た目がアレなため、食べるのには勇気がいりそうである。
「それなら、料理してみようかなぁ。私のメシマズは、母親から『武器になる』って、お墨付きをもらっているし。間違いなく、最強の焼き芋が出来ると思うから」
そんな中、アシュリーが自信満々な様子で、サツマイモの魔獣を調理し始めた。
「メシマズ? 武器? ちょ、ちょっと待て! なんか、おかしな事を言っているよな? それ、食べたら、マズイ奴。いや、ふたつの意味で……マズイ奴!」
ウェーイが身の危険を感じ、アシュリーの料理を止めようとした。
「はい、これ!」
その気持ちに反して料理が出来上がり、アシュリーがイイ笑顔を浮かべて、ウェーイに迫っていった。
「おいおい、冗談だろ? これを食べろって言うのか? 無理だよ、無理、無理! こんなの、喰えねぇって! だって、ほら……冷静になって考えてみろ。このニオイ……どう考えても、生ゴミかドブのニオイだろ。ある意味、奇跡のコラボレーションって感じだが、絶対にマズイって! 食べなくても分かるぞ、これは……! だから、むりやり食べさせようとしないでくれ! と、とにかく冷静に! なっ! なっ! ぎゃあああああああああああああ!」
次の瞬間、ウェーイの口に、アシュリーの料理が流し込まれ、辺りに悲鳴が響き渡った。
それは料理と呼ぶには、見た目がグロく、口に含んだ瞬間、地獄が見えた。
「それじゃ、私達は帰るね」
それを目の当たりにしたエルシーが愛想笑いを浮かべながら、ホクホクに焼きあがったサツマイモ(?)を抱え、仲間達と一緒に逃げるようにして、その場を後にするのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人
2022年02月16日 01時36分20秒 公開
相談掲示板
シューターのエルシーだよ。皆さま、宜しくね! 成立してるのを見落としちゃうと、後で自分が寂しいので 焼いて焼いて食べまくるプレで提出しておくよ!(宣言)
成立したねー。改めて皆さまヨロシク! >身の危険を感じると、地中に逃げてしまうため、何か対策を と、言う事だけど、特に思いついてないので… 双波で地中の様子を確認して、魔獣達が全部地上に現れたら攻撃開始。 地中に逃がさないように、逃げ込み易い位置のから倒す内容で提出してあるよ。 逃がさない手が何か有るなら字数の許す範囲で合わせるので教えてね。
お、成立したのか、よかったよかった 挨拶が遅れて悪い、ヒーラーのクルタルだ。よろしくな 地中に逃げる相手には…水責めか?と思うが、大量の水を流し込む手立ても今んとこないし、んー… 触手、掴んで引っ張り出せねえかな ほら普通のサツマイモを引っこ抜くみたいに…
成立したか。ウォーリアだ、だわと呼んでもらえれば。よろしく頼む。 時間差で出てくる奴がいた場合、焼き芋を持って逃げ回り時間を稼ぐことになるかな。その……絵面はシュールだが。 俺は足止め用に殺界を準備していく。 触手を掴んで引っ張るのも有効そうだが、触手自体に毒などの危険が無いかは気になるところだな……。 油代わりに蒸留酒でも投げて、火攻めもありか。 ……サツマイモの魔獣も可食だといいな。(わくわく)
はじめまして、アシュリーだよ。先輩たちよろしくね。 私は焼き芋を焼いておびき寄せて、ひょっこり現れたことを範囲攻撃でぶっしゃぁっ!ってするね。 土の中に逃げられちゃったら困っちゃうけれど、そうなる前に倒し切っちゃうつもりで頑張るね。
改めて、皆さまヨロシク! 蔓を引っ張ると蒸留酒と範囲でぶっしゃぁ!了解だよ! 『皆の動きに合せる!状況に合わせ効果的なのからどんどん行くよー』と入れるね。 皆で何でも美味しく食べようねー。
なるほど 触手に毒…毒がなくても棘とかあってもあれだしな、手袋をしていこう 皆の動きも了解だ。さつまいも…ほくほく…調理ができたらスイートポテトも…おっと ともかく、明日朝出発だな。よろしく頼むぜ。