冬の日差しに暖かな風
馬車猪
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シナリオID:1872
オープニング
見慣れぬ野菜達から大樹海の気配を感じた。
「ゴールディから運んで来たのに新鮮……あーっ、お肉も入ってるよ!」
トゥーリが大きな木箱からどんどん取り出している。
すぐに調理するとしても、ある程度は食材保管に適した場所に運ぶ必要があるのだ。
半分ほど取り出してからふと気付く。
「ねえ、どうやって食べるの?」
トゥーリはこの箱を持ち込んだゴブリンにたずねる。
それは非常に真っ当な質問なのに、ゴブリンは何故か目を逸らしてしまった。
「とりあえず煮込めば何とかなるんじゃねえか?」
運送業者としては凄腕でも料理人としては論外である。
「それじゃ受け取れませんよっ」
冒険者ギルドのちょっと偉い人が大慌てだ。
ビッグオウムとその御者を借りたり便宜を図ったりと、冒険者ギルドとゴールディの関係は非常に密接だ。
だから贈り物は有り難く受け取りたいのだが、よく分からない品種の野菜や謎のお肉を食べて体を壊すリスクは冒せない。
「うちのかーちゃんが料理してるのを見たことはあるから!」
受け取り拒否されたらゴールディの偉い人に怒られるので運送業者も必死だ。
なお、ゴールディからの贈り物で食中毒等が発生するととんでもない不祥事になる。
「食べられるよね?」
「自炊で迷ったときはとにかく煮込めってかーちゃんが」
運送業者は頼りにならない。
「冒険者の体力があれば腹も壊さないでしょう。料理して冒険者に出すのは?」
ちょっと偉い人が建設的な提案をする。
ゴブリンの運送業者は救われたような表情になる。が、たまたまその場を通りがかった料理人が無茶を言うなと抗議する。
調理法も分からないものを美味しい料理にするのは大変なのだ。
輸送費だけでもかなりの額になるはずの食材を前に、大勢の人間が混乱していた。
「食べてもいいんだよね?」
トゥーリが頑丈な木の実をつまんで目の前に持ってくる。優れた五感が食べてよしと告げている。
「止めませんけどお勧めしませんよ」
「ありがとうお嬢さん!」
ちょっと偉い人もゴブリンも止める気はないようだ。
「じゃあさ、パーティみたいにしない? 料理の腕に自信がある人が珍しい食材に挑戦したり、出来た料理を囲んでみんなでわいわい騒いだりするの。きっと楽しいよ!」
笑顔で語るトゥーリは、自然とある人を想って照れていた。
●
「先程の会話を聞いておられた方も多いとは思いますが……」
パーティ依頼です、とギルドのちょっと偉い人が真顔で言った。
「少額ですが報酬も出ます。名目は毒味の危険手当で……毒ではないんですがこの場にいる人間全員調理法を知らないんですよ」
ゴールディ側がちょっと奮発して珍しい食材を送ってきた。
直接問い合わせれば調理法は教えて貰えるだろうが、かなり遠いので返事が返ってくる前に食材が傷む恐れがある。
「調理される方が参加しないときは冒険者ギルドが料理を担当します」
煮込むだけの鍋になってしまいますが勘弁して下さい、と薄くなった頭を下げる。
「ゴールディからの贈り物を雑に扱うのは本当に拙いので……食材を無駄にしなければ成功です。本当にお願いします」
要するに、食べて飲んで場合によっては料理して、後は何をしてもよい依頼であった。
「ゴールディから運んで来たのに新鮮……あーっ、お肉も入ってるよ!」
トゥーリが大きな木箱からどんどん取り出している。
すぐに調理するとしても、ある程度は食材保管に適した場所に運ぶ必要があるのだ。
半分ほど取り出してからふと気付く。
「ねえ、どうやって食べるの?」
トゥーリはこの箱を持ち込んだゴブリンにたずねる。
それは非常に真っ当な質問なのに、ゴブリンは何故か目を逸らしてしまった。
「とりあえず煮込めば何とかなるんじゃねえか?」
運送業者としては凄腕でも料理人としては論外である。
「それじゃ受け取れませんよっ」
冒険者ギルドのちょっと偉い人が大慌てだ。
ビッグオウムとその御者を借りたり便宜を図ったりと、冒険者ギルドとゴールディの関係は非常に密接だ。
だから贈り物は有り難く受け取りたいのだが、よく分からない品種の野菜や謎のお肉を食べて体を壊すリスクは冒せない。
「うちのかーちゃんが料理してるのを見たことはあるから!」
受け取り拒否されたらゴールディの偉い人に怒られるので運送業者も必死だ。
なお、ゴールディからの贈り物で食中毒等が発生するととんでもない不祥事になる。
「食べられるよね?」
「自炊で迷ったときはとにかく煮込めってかーちゃんが」
運送業者は頼りにならない。
「冒険者の体力があれば腹も壊さないでしょう。料理して冒険者に出すのは?」
ちょっと偉い人が建設的な提案をする。
ゴブリンの運送業者は救われたような表情になる。が、たまたまその場を通りがかった料理人が無茶を言うなと抗議する。
調理法も分からないものを美味しい料理にするのは大変なのだ。
輸送費だけでもかなりの額になるはずの食材を前に、大勢の人間が混乱していた。
「食べてもいいんだよね?」
トゥーリが頑丈な木の実をつまんで目の前に持ってくる。優れた五感が食べてよしと告げている。
「止めませんけどお勧めしませんよ」
「ありがとうお嬢さん!」
ちょっと偉い人もゴブリンも止める気はないようだ。
「じゃあさ、パーティみたいにしない? 料理の腕に自信がある人が珍しい食材に挑戦したり、出来た料理を囲んでみんなでわいわい騒いだりするの。きっと楽しいよ!」
笑顔で語るトゥーリは、自然とある人を想って照れていた。
●
「先程の会話を聞いておられた方も多いとは思いますが……」
パーティ依頼です、とギルドのちょっと偉い人が真顔で言った。
「少額ですが報酬も出ます。名目は毒味の危険手当で……毒ではないんですがこの場にいる人間全員調理法を知らないんですよ」
ゴールディ側がちょっと奮発して珍しい食材を送ってきた。
直接問い合わせれば調理法は教えて貰えるだろうが、かなり遠いので返事が返ってくる前に食材が傷む恐れがある。
「調理される方が参加しないときは冒険者ギルドが料理を担当します」
煮込むだけの鍋になってしまいますが勘弁して下さい、と薄くなった頭を下げる。
「ゴールディからの贈り物を雑に扱うのは本当に拙いので……食材を無駄にしなければ成功です。本当にお願いします」
要するに、食べて飲んで場合によっては料理して、後は何をしてもよい依頼であった。
解説
ゴールディから来た食材を料理したり食べたりする依頼です
●会場
冒険者ギルドから少し離れた場所にある、大規模な厨房と大勢を集めた宴会が可能な大部屋がある建物
ちょっとおしゃれです
冒険者が調理しない場合、七草粥っぽい料理と、強めに味付けされた串焼きがでてきます
●使用可能な食材
・野菜達
マジカルポケットで運ばれた訳でもないのに非常に元気な野菜と木の実がたくさんです
葉物も根菜もいろいろあります
臭いが強いものもあります。冒険者の胃腸なら食べすぎても大丈夫!
・肉
大樹海の動物か魔獣の肉で、ほどよく熟成されています
内臓はないです
・普通に手に入る食材
冒険者ギルド周辺で購入可能な食材であれば費用はギルド持ちで手に入ります
ただし常識的な量と価格のものをお願いします
●参加者以外の客
参加者が食べられる量より多く料理を作った場合にのみ、冒険者ギルドの職員や関係者が会場を訪れ飲食します
冒険者が調理しない場合は料理人が来て料理を担当します
一度食べれば問題ない依頼ですし、参加者も街歩きやデートの途中に寄ってもいいかもしれません
マスターより
リクエストありがとうございます!
リプレイ
●
冒険者になった直後であれば家族のお土産にしようと思ったかもしれない。
けれど今トゥーリが思い浮かべるのは、たくさんの野菜を見て喜ぶハリス・アル・ターミルの笑顔だ。
「ハリスさーん!」
形はヤギに近くても、ひづめからふわふわの尻尾に至るまで丁寧に手入れされている。
好きなひとができると自然にお洒落への意識が高まり、手入れする時間も楽しくなるのだ。
「これ! これ!」
非常に大きな籠を抱えてぴょんぴょん跳んでいるのに床は痛まない。
重さと衝撃を完全に制御できるほど高度な体術を身につけている。
「どうしました?」
ハリスは親しい相手にも礼儀を忘れない。
トゥーリとの距離が近いのが嬉しくもあり少し恥ずかしくもあり、だが反発するような幼さはとっくの昔に卒業している。
「つまり……素晴らしい催しですね! トゥーリ殿、誘っていただいて感謝します!」
説明を受け心から喜ぶ。
大湿地帯でうまれ育ったハリスにとって、大樹海の産物は非常に興味深い。
しかも恋心の自覚はないとはいえ明確な好意と庇護欲を抱いている相手が誘ってくれたのだ。これで喜ばないほど枯れてはいない。
「トゥーリ? おい、トゥーリ」
エルフ射手のエリザ・A・ミシャールが小声で呼びかけてもトゥーリは気付かない。
ふわふわの尻尾が機嫌良く振られていた。
「仕方がないか。ハリス、人手は必要かい?」
「はい、作るのは8人いてもいいくらいです」
「じゃあアタシはガルを呼んでくるよ。道具や場所の準備は任せていいかい?」
「はい!」
ハリスは鍛錬と農作業で鍛えられた腕と拳で自らの胸を叩いた。
●
「急いで来て食事もまだでね。助かったよ」
戦場では即断即決の姿勢と我慢強さを兼ね備えたエリザも、ここでは日常生活を送るエルフだ。
どしりと腹にたまる鍋をどんぶり一杯平らげて器を料理人に返す。
エプロンの上からでも分かる胸筋を動かしながら、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは次の鍋の準備を進めている。
「グリディッカーさんによろしく」
「若いのに気を遣いすぎだよ。……ありがとう」
エリザは機嫌良く奥の調理場へ向かった。
「ガル、まだできてないのかい?」
ガルレイド・S・グリディッカーの隣に極自然に立って、言葉を交わすまでもなく水や調味料を準備して適切なタイミングで渡す。
「エリザ」
「格好付けるんじゃないよ。たまには凝ったもの作りたかったんだろ?」
「……そんなことはないぞ? 個人的には食べられるように流水に10日以上さらすのも苦ではないが……まぁ、時間がないので無しにした」
サバイバルの知識と経験があるので、灰汁やら毒やらが苦痛なほど含まれている野菜とそれ以外を問題なく排除できる。
排除とはいってもきちんと調理できるなら高級食材なのでゴールディ出身者に任せている。
「燃料と食材が無料だからな」
ガルレイドは骨出汁の鍋を準備している。
水に塩を入れ骨を入れて煮る。
言葉で表現すればこれだけだが、設備も燃料も個人で用意するのは大変だ。
「さすがに血はなかったか」
鮮度が十分な状態で届けられた内臓も使う。
贈答用なので汚れがないのが楽でもあり拍子抜けでもありだ。
「今日は見ていろ。熱いし火の粉も飛ぶ」
ガルレイドは決して粗野ではない。
妻を暖かい席に誘導して、自らは妻へ気を配りながら料理にも集中する。
(大体煮ればいいのだ、うむ)
血のにおいが濃い肉を入れ、灰汁はあえてとりすぎない。
生臭さ消しに香草を入れた程度では味が足らないし、何より栄養をとるためだ。
「ガル、修行中はそういう料理を作っているのかい?」
エリザは興味深そうだ。
「修行先では味に面白みがなくなりがちだ」
ガルレイドは見慣れぬ野菜の中からにおいで推測し、エリザの位置から見え易いように選んで刻んで鍋に入れる。
「一般人が敬遠しがちな味要素で楽しむことにしている」
「料理を作らなくてすむのは楽でいいが、普段の料理をガルに任せる気はなくなるね」
非難と表現するには言葉の響きがやわらかすぎた。
「いつも感謝している」
料理を楽しんでいるのも本当だが料理で妻を楽しませようとしているのも本音だ。
たっぷりの燃料と時間を使っている間は修行と旅の面白かった出来事だけを語り、家庭で作るには複数の意味で困難な料理を仕上げた。
「これだ」
椀が1つに匙が1つ。
汁は濁りが強くてにおいも強く、しかし食べて害になるものも砂や骨片なども指と目で丁寧に探して取り除いている。
「ん」
共に100歳を越える夫婦は、若者とは違った形でいちゃいちゃしていた。
●
「これは期待できそうな香りですぞっ」
冒険者ギルド職員だけでなく、各国の様々な派閥の人間が集まっている。
「お客さんいっぱい……。どうしよう。えっと……お鍋とか、チーズフォンデュとかがいいかな?」
「ええ、匂いに関してはチーズと共に煮込み、ハーブや香辛料で十分にフォローできるでしょう」
トゥーリが迷っているとハリスが体格と腕力を活かして鍋とチーズの用意をすませてしまった。
他の冒険者が協力してくれているので、チーズを通せば食べられる野菜も用意済みだ。
「……うむ! これならば問題ないかと!」
絶対に不愉快にはさせないエスコート力と、荒事を離れても十分に通用する実力と誠実さ。
見上げるトゥーリの視線が本人の気付かないまま熱くなっているのにハリスは気付かない。
ハリスが手がけているのはチーズだけではない。
ゴールディ出身者のストレガ・L・リベルガストラから説明を聞いて、冒険の中で磨いた料理の腕を縦横に振るう。
「この香ばしさはっ」
「王国の料理でも帝国の料理でも同盟の料理でもない」
「まさか!」
ギャラリーが何か盛り上がっているがハリスはコメントしない。
魔獣の肉にゴールディ産香辛料で下味をつけ、舌触りと噛み応えも考慮した形のそれに火を通す。
「極北への旅路にてレイウェスト殿下にも振る舞ったものです。恐れずご賞味を」
優れた品に物語を加えることで料理は完成する。
予想を超える好評価を得てハリスは照れ、別の料理を食べるときの注意が少し散漫になった。
「熱っ」
チーズはうまいが熱いまま舌にからまり痛くなる。
「ハリスさん!」
程よく冷えた葉物野菜を、トゥーリは背伸びしてハリスに食べさせた。
「……ふむ、塩加減も丁度良く……」
それでもまだ熱く感じる。
「もひとつ、あーん!」
トゥーリがチーズをくぐらせたものをふーふーして冷ましもう一度背伸びする。
下半身の綺麗な毛並みが、ハリスの無骨な鱗に触れた。
「これは素晴らしい」
ハリスにとってベストの味と温度である。
が、直後にトゥーリとの距離に気付いて動揺する。
「お二人さん、お熱いじゃないか。恋人同士かい?」
エリザはからかう態でお節介を焼いた。
「アタシらもあんな時期があったっけ――どうだっけ?」
「お互い若者達ほど素直ではなかったな」
懐かしそうに思い出している夫を横目に眺めながら、エリザは若い2人に笑顔を向ける。
「えっ!? ワタシとハリスさんはそんな……うん? アレ??」
トゥーリは混乱している。
ハリスを見上げると、鱗で分かりづらいがハリスも赤面している。
(どういうことハリスさんをそういうのじゃないしじゃなくって、確かに頼りになるし、一緒にいて楽しい……)
動揺してもハリスから離れない。
トゥーリは無意識に離れることを拒否していて、ハリスもそれを受け容れている。
「これって、好きってこと?」
か細い声がトゥーリの唇からもれた。
自覚がなかったのかよ! とハリスとトゥーリを除く全員が内心それぞれの言葉で発言し、顔では礼儀正しく気付かないふりをする。
(芽生えた直後の恋心に火と油を注いでもいいことにはならないからね)
エリザ達大人連中には、見守る良識が存在した。
●
「まぶしくて近付けないわ」
服装から判断するとかなり稼いでいそうな職員が、2組の男女を避けるように移動し席に座った。
出来たてのローストビーフが並んだ皿と、琥珀色の液体が入ったグラスが目の前にそっと置かれる。
肉は上品さの欠片もなく、しかし肉から感じる命の濃さが格別だ。赤みを帯びていても新鮮であり食べても問題ない。
香辛料の香りも強い酒精に負けておらず、食欲が強烈に刺激され腹が鳴った。
「そういう考えでしかも口に出すからまぶしく感じるのさ」
ルチル・プルメリア・グレイハーツの言葉に、ギルド職員は心に大ダメージを負いカウンターに突っ伏した。
「いいにおい」
だが復活する。
酒飲みには耐えられないほど魅力的なのだ。
「一口飲んで一枚食べる……幸せ」
(飲み過ぎだよ)
ルチルの方がハイペースで飲んでいるが肝臓の強さが根本的に違う。
ギルドのちょっと偉い人は半分も呑まないうちに顔が赤くなり汗もかき、ルチルはグラス1つ飲み干しても体の芯が少し温かくなる程度だ。
「人が増えたね」
そろそろ片付けを始めようと思ったがもう一度厨房に立つことにする。
多めに確保しておいた野菜を細かく刻む。
解体の際に出た肉に冷暗所に置いておいた肉塊から切り取った分をあわせて挽肉にし、刻んだ野菜と共にパイ生地に包む。
できあがったパイの第1陣を取り出した直後に素早くオーブンに入れ入り口を閉じる。
焼き上がりまで目視で確かめることはできないが、熟練の冒険者の五感があれば大きく外れることはない。
「弱いのに酒ばかり飲むんじゃないよ」
大型包丁を使ってパイを切り分ける。
肉の脂をたっぷり吸った野菜がたまらぬにおいを発して多くの客を惹きつける。
まず酔っ払いに一口サイズにした数個を皿に載せて差し出す。
んんっ、と妙に色っぽい声が響き、人の集まりがますます良くなった。
●
人生の喜びや哀愁が交叉していたりしてもだわには関係ない。
「ここは1人でやらせてくれ」
教えたがりのゴブリンに謝絶して、戦地や荒野でも携帯してきた革張りの手帳を取り出す。
(見慣れない物ばかりなのに一部は似ているのだな)
戦場とは違ってここでは間違っても良いのだ。
観察し考察し試行することを自らに課す。
だわは腕力を活かして厚く大きなフライパンを振るい、野菜や木の実を炒めて味を確かめながら岩塩を砕いて中に散らす。
「素材の味を楽しみたいからな」
他からとても良いにおいがするのでだわも腹が減っているのだ。
だわにとっては美味しくても一般的基準では塩濃いめになったことをメモしてから残りをぺろりと平らげ次の料理にとりかかる。
「肉は熟成済みか」
手を改めて綺麗にしてから、念入りにハーブを揉み込む。
このまま囓ってもいけそうな気はするが、それでは料理の練習にならないので火を通す。
「綺麗でも野生の肉だな。……うん、いい匂いだ」
客に出すわけではないので、ステーキ風に、しかも複数の焼き加減で仕上げてみた。
胃腸が普段より元気に活動している気がする。
観客が物欲しげな目で見ている気もする。
「穀物と一緒に煮込むのもいいな。煮込む汁は骨で出汁を取って調味料で整えただけのもいいし、ミルクで煮込むのもいいだろう」
「分かってるな」
「そちらは実行しているな」
だわとアルベルトが視線を交わし、お互い口元だけでにやりとした。
だん、だん、と大型包丁を使ってステーキを切り分ける。
一切れでも並の成人男性0.5人分くらいになる大きさだ。
アルベルトの料理と一部交換し、料理器具の洗浄も手際よく終えてから席についた。
「美味い」
固いパンに肉と野菜の味が適度に染みこんでいて、しかもかみ切れる程度のやわらかさになっている。
「帝国の騎士団が戦場で作る料理だ。作り方も難しくないし、栄養も十分に取れる。もしよかったら作り方を教えようか?」
「いや、既に教わった」
「見て覚えられたか。やり方は単純だからな」
アルベルトは朗らかに笑う。
かつて同じ鍋を囲んだ男達が今何人生きているかも分からない。
しかし、帝国に属する戦士として騎士として恥ずかしくない生き方を貫いたことだけは確信している。
「食材が違えば味も違うと思ったんだが」
アルベルトはどうにも懐かしさを感じてしまう。
だわが調理した肉をしっかり噛んで嚥下して、椀に入った懐かしい料理を思いごと飲み干した。
(この食材は……食ったことがある気がする)
一口しっかり食べ終えてから、だわは舌と歯に残った感触と記憶の中の味を比較する。
(どこだったか、遠くの町の料理店でだったか……?)
あちこち旅しているので、ゴールディの食材を扱っている店に入ったこともあるのだった。
●
時間は午前まで遡る。
「ふむ、新鮮度からしてビッグオウムの速達で送ってきたのだな」
シルバードのはじまりから存在する学舎に属し、大陸最高峰の学園にも出入りする彼女こそが今回の縁の下の力持ちである。
「食中毒についてはこれは輸送あるあるだから仕方ない。責任ある者が毒見する事にして」
呼んで来い、と言葉にせずに指示を出す。
非番だったオウムの御者の1人が慌てて駆け出したので、10分以内にギルドの人間が来るだろう。
「食材を送るのはありがたい事だが配慮がちと足りんかったなと所感つけておくのだ」
ゴブリンが緊張した表情でただただうなずいている。
「忙しくなるのだ」
ストレガにとっても珍しい品はあるが、大部分の食材は良く知っている品だ。
「酢と火なのだ」
つまり、処理の大変さも知っているということだ。
知識だけでなく技術も優れているストレガでも余裕がないほど働いて、大樹海に縁がない者でも調理できる程度に加工していく。
「ご苦労なのだ」
戻って来た御者にクッキーを与える。
ナッツ類と小麦粉を合わせたクッキーで、ベリーがメインのソースが実にあう。
「米もあるのだ?」
輸送用の大箱の一番下に、精米済みの米が詰め込まれていた。
「もう少し考えて欲しいのだ」
長期保存はできないと判断して今日使ってしまうことにする。
故郷のかおりに釣られて来た者達向けに、骨出汁と野菜屑がベースの生米と生姜と肉の鍋を作ってその〆に投入して粥にしてみせた。
「んっ」
久々の故郷の味に笑顔のまま涙を流す者もいる。
無言で噛みしめるように食べ続ける者もいる。
「次は同胞オススメのレシピを求むのだ。同胞ストレガの助言として」
使用した食材とその調理法と食事会の様子を、所感という名目の報告書へ克明に記すのだった。
顔の熱がひかないままテーブルに顔を伏せたトゥーリの前に、トゥーリの好物料理がそっと置かれる。
「私からの感謝の印です。今日を共に過ごせて良かった。本当に楽しい日でした」
ハリスはよくいる子供とは違って好意を示されても調子に乗らない。
この依頼をうける前よりほんの少しだけ近い距離で、若い2人が静かな時間を楽しんでいた。
冒険者になった直後であれば家族のお土産にしようと思ったかもしれない。
けれど今トゥーリが思い浮かべるのは、たくさんの野菜を見て喜ぶハリス・アル・ターミルの笑顔だ。
「ハリスさーん!」
形はヤギに近くても、ひづめからふわふわの尻尾に至るまで丁寧に手入れされている。
好きなひとができると自然にお洒落への意識が高まり、手入れする時間も楽しくなるのだ。
「これ! これ!」
非常に大きな籠を抱えてぴょんぴょん跳んでいるのに床は痛まない。
重さと衝撃を完全に制御できるほど高度な体術を身につけている。
「どうしました?」
ハリスは親しい相手にも礼儀を忘れない。
トゥーリとの距離が近いのが嬉しくもあり少し恥ずかしくもあり、だが反発するような幼さはとっくの昔に卒業している。
「つまり……素晴らしい催しですね! トゥーリ殿、誘っていただいて感謝します!」
説明を受け心から喜ぶ。
大湿地帯でうまれ育ったハリスにとって、大樹海の産物は非常に興味深い。
しかも恋心の自覚はないとはいえ明確な好意と庇護欲を抱いている相手が誘ってくれたのだ。これで喜ばないほど枯れてはいない。
「トゥーリ? おい、トゥーリ」
エルフ射手のエリザ・A・ミシャールが小声で呼びかけてもトゥーリは気付かない。
ふわふわの尻尾が機嫌良く振られていた。
「仕方がないか。ハリス、人手は必要かい?」
「はい、作るのは8人いてもいいくらいです」
「じゃあアタシはガルを呼んでくるよ。道具や場所の準備は任せていいかい?」
「はい!」
ハリスは鍛錬と農作業で鍛えられた腕と拳で自らの胸を叩いた。
●
「急いで来て食事もまだでね。助かったよ」
戦場では即断即決の姿勢と我慢強さを兼ね備えたエリザも、ここでは日常生活を送るエルフだ。
どしりと腹にたまる鍋をどんぶり一杯平らげて器を料理人に返す。
エプロンの上からでも分かる胸筋を動かしながら、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは次の鍋の準備を進めている。
「グリディッカーさんによろしく」
「若いのに気を遣いすぎだよ。……ありがとう」
エリザは機嫌良く奥の調理場へ向かった。
「ガル、まだできてないのかい?」
ガルレイド・S・グリディッカーの隣に極自然に立って、言葉を交わすまでもなく水や調味料を準備して適切なタイミングで渡す。
「エリザ」
「格好付けるんじゃないよ。たまには凝ったもの作りたかったんだろ?」
「……そんなことはないぞ? 個人的には食べられるように流水に10日以上さらすのも苦ではないが……まぁ、時間がないので無しにした」
サバイバルの知識と経験があるので、灰汁やら毒やらが苦痛なほど含まれている野菜とそれ以外を問題なく排除できる。
排除とはいってもきちんと調理できるなら高級食材なのでゴールディ出身者に任せている。
「燃料と食材が無料だからな」
ガルレイドは骨出汁の鍋を準備している。
水に塩を入れ骨を入れて煮る。
言葉で表現すればこれだけだが、設備も燃料も個人で用意するのは大変だ。
「さすがに血はなかったか」
鮮度が十分な状態で届けられた内臓も使う。
贈答用なので汚れがないのが楽でもあり拍子抜けでもありだ。
「今日は見ていろ。熱いし火の粉も飛ぶ」
ガルレイドは決して粗野ではない。
妻を暖かい席に誘導して、自らは妻へ気を配りながら料理にも集中する。
(大体煮ればいいのだ、うむ)
血のにおいが濃い肉を入れ、灰汁はあえてとりすぎない。
生臭さ消しに香草を入れた程度では味が足らないし、何より栄養をとるためだ。
「ガル、修行中はそういう料理を作っているのかい?」
エリザは興味深そうだ。
「修行先では味に面白みがなくなりがちだ」
ガルレイドは見慣れぬ野菜の中からにおいで推測し、エリザの位置から見え易いように選んで刻んで鍋に入れる。
「一般人が敬遠しがちな味要素で楽しむことにしている」
「料理を作らなくてすむのは楽でいいが、普段の料理をガルに任せる気はなくなるね」
非難と表現するには言葉の響きがやわらかすぎた。
「いつも感謝している」
料理を楽しんでいるのも本当だが料理で妻を楽しませようとしているのも本音だ。
たっぷりの燃料と時間を使っている間は修行と旅の面白かった出来事だけを語り、家庭で作るには複数の意味で困難な料理を仕上げた。
「これだ」
椀が1つに匙が1つ。
汁は濁りが強くてにおいも強く、しかし食べて害になるものも砂や骨片なども指と目で丁寧に探して取り除いている。
「ん」
共に100歳を越える夫婦は、若者とは違った形でいちゃいちゃしていた。
●
「これは期待できそうな香りですぞっ」
冒険者ギルド職員だけでなく、各国の様々な派閥の人間が集まっている。
「お客さんいっぱい……。どうしよう。えっと……お鍋とか、チーズフォンデュとかがいいかな?」
「ええ、匂いに関してはチーズと共に煮込み、ハーブや香辛料で十分にフォローできるでしょう」
トゥーリが迷っているとハリスが体格と腕力を活かして鍋とチーズの用意をすませてしまった。
他の冒険者が協力してくれているので、チーズを通せば食べられる野菜も用意済みだ。
「……うむ! これならば問題ないかと!」
絶対に不愉快にはさせないエスコート力と、荒事を離れても十分に通用する実力と誠実さ。
見上げるトゥーリの視線が本人の気付かないまま熱くなっているのにハリスは気付かない。
ハリスが手がけているのはチーズだけではない。
ゴールディ出身者のストレガ・L・リベルガストラから説明を聞いて、冒険の中で磨いた料理の腕を縦横に振るう。
「この香ばしさはっ」
「王国の料理でも帝国の料理でも同盟の料理でもない」
「まさか!」
ギャラリーが何か盛り上がっているがハリスはコメントしない。
魔獣の肉にゴールディ産香辛料で下味をつけ、舌触りと噛み応えも考慮した形のそれに火を通す。
「極北への旅路にてレイウェスト殿下にも振る舞ったものです。恐れずご賞味を」
優れた品に物語を加えることで料理は完成する。
予想を超える好評価を得てハリスは照れ、別の料理を食べるときの注意が少し散漫になった。
「熱っ」
チーズはうまいが熱いまま舌にからまり痛くなる。
「ハリスさん!」
程よく冷えた葉物野菜を、トゥーリは背伸びしてハリスに食べさせた。
「……ふむ、塩加減も丁度良く……」
それでもまだ熱く感じる。
「もひとつ、あーん!」
トゥーリがチーズをくぐらせたものをふーふーして冷ましもう一度背伸びする。
下半身の綺麗な毛並みが、ハリスの無骨な鱗に触れた。
「これは素晴らしい」
ハリスにとってベストの味と温度である。
が、直後にトゥーリとの距離に気付いて動揺する。
「お二人さん、お熱いじゃないか。恋人同士かい?」
エリザはからかう態でお節介を焼いた。
「アタシらもあんな時期があったっけ――どうだっけ?」
「お互い若者達ほど素直ではなかったな」
懐かしそうに思い出している夫を横目に眺めながら、エリザは若い2人に笑顔を向ける。
「えっ!? ワタシとハリスさんはそんな……うん? アレ??」
トゥーリは混乱している。
ハリスを見上げると、鱗で分かりづらいがハリスも赤面している。
(どういうことハリスさんをそういうのじゃないしじゃなくって、確かに頼りになるし、一緒にいて楽しい……)
動揺してもハリスから離れない。
トゥーリは無意識に離れることを拒否していて、ハリスもそれを受け容れている。
「これって、好きってこと?」
か細い声がトゥーリの唇からもれた。
自覚がなかったのかよ! とハリスとトゥーリを除く全員が内心それぞれの言葉で発言し、顔では礼儀正しく気付かないふりをする。
(芽生えた直後の恋心に火と油を注いでもいいことにはならないからね)
エリザ達大人連中には、見守る良識が存在した。
●
「まぶしくて近付けないわ」
服装から判断するとかなり稼いでいそうな職員が、2組の男女を避けるように移動し席に座った。
出来たてのローストビーフが並んだ皿と、琥珀色の液体が入ったグラスが目の前にそっと置かれる。
肉は上品さの欠片もなく、しかし肉から感じる命の濃さが格別だ。赤みを帯びていても新鮮であり食べても問題ない。
香辛料の香りも強い酒精に負けておらず、食欲が強烈に刺激され腹が鳴った。
「そういう考えでしかも口に出すからまぶしく感じるのさ」
ルチル・プルメリア・グレイハーツの言葉に、ギルド職員は心に大ダメージを負いカウンターに突っ伏した。
「いいにおい」
だが復活する。
酒飲みには耐えられないほど魅力的なのだ。
「一口飲んで一枚食べる……幸せ」
(飲み過ぎだよ)
ルチルの方がハイペースで飲んでいるが肝臓の強さが根本的に違う。
ギルドのちょっと偉い人は半分も呑まないうちに顔が赤くなり汗もかき、ルチルはグラス1つ飲み干しても体の芯が少し温かくなる程度だ。
「人が増えたね」
そろそろ片付けを始めようと思ったがもう一度厨房に立つことにする。
多めに確保しておいた野菜を細かく刻む。
解体の際に出た肉に冷暗所に置いておいた肉塊から切り取った分をあわせて挽肉にし、刻んだ野菜と共にパイ生地に包む。
できあがったパイの第1陣を取り出した直後に素早くオーブンに入れ入り口を閉じる。
焼き上がりまで目視で確かめることはできないが、熟練の冒険者の五感があれば大きく外れることはない。
「弱いのに酒ばかり飲むんじゃないよ」
大型包丁を使ってパイを切り分ける。
肉の脂をたっぷり吸った野菜がたまらぬにおいを発して多くの客を惹きつける。
まず酔っ払いに一口サイズにした数個を皿に載せて差し出す。
んんっ、と妙に色っぽい声が響き、人の集まりがますます良くなった。
●
人生の喜びや哀愁が交叉していたりしてもだわには関係ない。
「ここは1人でやらせてくれ」
教えたがりのゴブリンに謝絶して、戦地や荒野でも携帯してきた革張りの手帳を取り出す。
(見慣れない物ばかりなのに一部は似ているのだな)
戦場とは違ってここでは間違っても良いのだ。
観察し考察し試行することを自らに課す。
だわは腕力を活かして厚く大きなフライパンを振るい、野菜や木の実を炒めて味を確かめながら岩塩を砕いて中に散らす。
「素材の味を楽しみたいからな」
他からとても良いにおいがするのでだわも腹が減っているのだ。
だわにとっては美味しくても一般的基準では塩濃いめになったことをメモしてから残りをぺろりと平らげ次の料理にとりかかる。
「肉は熟成済みか」
手を改めて綺麗にしてから、念入りにハーブを揉み込む。
このまま囓ってもいけそうな気はするが、それでは料理の練習にならないので火を通す。
「綺麗でも野生の肉だな。……うん、いい匂いだ」
客に出すわけではないので、ステーキ風に、しかも複数の焼き加減で仕上げてみた。
胃腸が普段より元気に活動している気がする。
観客が物欲しげな目で見ている気もする。
「穀物と一緒に煮込むのもいいな。煮込む汁は骨で出汁を取って調味料で整えただけのもいいし、ミルクで煮込むのもいいだろう」
「分かってるな」
「そちらは実行しているな」
だわとアルベルトが視線を交わし、お互い口元だけでにやりとした。
だん、だん、と大型包丁を使ってステーキを切り分ける。
一切れでも並の成人男性0.5人分くらいになる大きさだ。
アルベルトの料理と一部交換し、料理器具の洗浄も手際よく終えてから席についた。
「美味い」
固いパンに肉と野菜の味が適度に染みこんでいて、しかもかみ切れる程度のやわらかさになっている。
「帝国の騎士団が戦場で作る料理だ。作り方も難しくないし、栄養も十分に取れる。もしよかったら作り方を教えようか?」
「いや、既に教わった」
「見て覚えられたか。やり方は単純だからな」
アルベルトは朗らかに笑う。
かつて同じ鍋を囲んだ男達が今何人生きているかも分からない。
しかし、帝国に属する戦士として騎士として恥ずかしくない生き方を貫いたことだけは確信している。
「食材が違えば味も違うと思ったんだが」
アルベルトはどうにも懐かしさを感じてしまう。
だわが調理した肉をしっかり噛んで嚥下して、椀に入った懐かしい料理を思いごと飲み干した。
(この食材は……食ったことがある気がする)
一口しっかり食べ終えてから、だわは舌と歯に残った感触と記憶の中の味を比較する。
(どこだったか、遠くの町の料理店でだったか……?)
あちこち旅しているので、ゴールディの食材を扱っている店に入ったこともあるのだった。
●
時間は午前まで遡る。
「ふむ、新鮮度からしてビッグオウムの速達で送ってきたのだな」
シルバードのはじまりから存在する学舎に属し、大陸最高峰の学園にも出入りする彼女こそが今回の縁の下の力持ちである。
「食中毒についてはこれは輸送あるあるだから仕方ない。責任ある者が毒見する事にして」
呼んで来い、と言葉にせずに指示を出す。
非番だったオウムの御者の1人が慌てて駆け出したので、10分以内にギルドの人間が来るだろう。
「食材を送るのはありがたい事だが配慮がちと足りんかったなと所感つけておくのだ」
ゴブリンが緊張した表情でただただうなずいている。
「忙しくなるのだ」
ストレガにとっても珍しい品はあるが、大部分の食材は良く知っている品だ。
「酢と火なのだ」
つまり、処理の大変さも知っているということだ。
知識だけでなく技術も優れているストレガでも余裕がないほど働いて、大樹海に縁がない者でも調理できる程度に加工していく。
「ご苦労なのだ」
戻って来た御者にクッキーを与える。
ナッツ類と小麦粉を合わせたクッキーで、ベリーがメインのソースが実にあう。
「米もあるのだ?」
輸送用の大箱の一番下に、精米済みの米が詰め込まれていた。
「もう少し考えて欲しいのだ」
長期保存はできないと判断して今日使ってしまうことにする。
故郷のかおりに釣られて来た者達向けに、骨出汁と野菜屑がベースの生米と生姜と肉の鍋を作ってその〆に投入して粥にしてみせた。
「んっ」
久々の故郷の味に笑顔のまま涙を流す者もいる。
無言で噛みしめるように食べ続ける者もいる。
「次は同胞オススメのレシピを求むのだ。同胞ストレガの助言として」
使用した食材とその調理法と食事会の様子を、所感という名目の報告書へ克明に記すのだった。
顔の熱がひかないままテーブルに顔を伏せたトゥーリの前に、トゥーリの好物料理がそっと置かれる。
「私からの感謝の印です。今日を共に過ごせて良かった。本当に楽しい日でした」
ハリスはよくいる子供とは違って好意を示されても調子に乗らない。
この依頼をうける前よりほんの少しだけ近い距離で、若い2人が静かな時間を楽しんでいた。
マスターコメント
冒険者の料理は大変好評でした。
ショートシナリオR易しい 報酬:少ない8 / 4〜8人
2022年02月16日 01時52分10秒 公開
成功
相談掲示板
トゥーリだよ!みんな来てくれてありがとう! 野菜もお肉もいっぱいあるよ!!!
お呼ばれにあずかりました。ハリスと申します、どうぞ宜しく。 いや素晴らしい催しですね!全力で料理し美味しく頂きましょう!!
アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 可能ならば帝国料理をアレンジしたものを振る舞うつもりだぜ。
エリザだ。よろしく頼む。 数の賑わいにでも……と思ったが、いやどうしてなかなか。盛況じゃないか。 とりあえずアタシは旦那と適当に料理でも楽しんでる予定だ。 アルベルトの帝国風アレンジ料理ってのも気になるね。 良ければ食べさせてくれるかい?
>ミシャールさん 「帝国の騎士団が戦場で食べる料理をアレンジした鍋料理」を振る舞う予定だ。 遠慮なく食べに来てくれ・・・というかどうぞお召し上がりください。お願いします。
たらふく食えるのか。夢のような…… ああ、俺のことはだわと呼んでもらえれば。 ギルドに調理法の知見が無いようだから、調理法と結果(味など)を報告すればいいんだろうか。 この日に消費しきれるにしても、ゴールディに調理法を問い合わせるにしても、手元に情報があって困ることは無いだろう。 ……という建前で、調理も食事も楽しませてもらうつもりだ。珍しい食材はそれだけで心躍るな。
ストレガなのだ。宜しくなのだ。 とりあえず食えないことはないだろうから好きに料理するといいと思うのだ。 メニューはまだ考えてるのだ。
情報屋のルチルだ。よろしく。 メニューはあまり多く思いつかないが、まあ酒はいるよな…。