老、若者の矢にため息をつく

狐野径

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シナリオID:1783

オープニング

●そうだ、釣りでもしよう
 フィルエス大森林の里の一つ。
 『灰火の守部』グレイオンスはいつもと変りない穏やかな日を送っていた。
 面倒見ていた子どもは自分で考え行動を始めたし、大森林の南東部で起こっていた植物枯死も一定の方針が定まったからだ。
 なお、平穏なのがいいに決まっている。

 家の入口の片隅に、古びたバケツと釣り竿があった。
「いつからあったのか」
 誰も触っていないので、十年位前からそのままだ。
 グレイオンスと知り合いであるエルフに拾われたウル・ヘルバが、子どものころ使っていたものだ。大変小さい釣り竿である。
 グレイオンスは釣り竿を手に取る。
「……釣れるものなのだろうか?」
 と思い返すけれども、記憶にあるのは「手で捕まえた」というすがすがしいウルの姿。ハーフビーストであるウルの指先はかぎ爪があるため引っ掛けやすいのかもしれない。
「やはり……釣れないのか……」
 考えても仕方がない。暇だし、天気もいいし、出かけることにした、近くの川に。

 川の流れは穏やかで、日差しも心地よい。
 グレイオンスは釣り糸を垂らしてうつらうつらする。
 いわゆる、釣りをしている風の日向ぼっこ。
 木の陰になり、ひやりとした風を感じたので、日向ぼっこをやめることにした。
「釣れないのは餌がないからだしな」
 釣り竿を回収して、立ち上がる。
 川を覗くと、魚は泳いでいる。
 子どもたちはここで水に入って取っていたのだろう。

 視界の隅をどんぶらこっこと川を流れてくるものを発見した。
 クラゲまたはイソギンチャクを大きくしたかのようなもの。どう考えてもこのあたりに住んでいる生き物ではない。
「……魔物か……」
 それは、岩にぶつかったところで、上陸を試みている。
「どうにかしないとならないな」
 一旦里に戻り、足が速いものに冒険者ギルドに行ってもらう必要がある。

 その時、複数の矢が飛んできた。

●集中力問題
 一本目は、グレイオンスの服をかすめ、川に落ちた。
 二本目は、グレイオンスが持っているバケツに刺さった。
 三本目は、一歩引いて回避した……偶然かもしれないけど。
 小さいエルフが「おじいさん!」と悲鳴を上げている。
 めそめそしながら小さいエルフはやってきて、グレイオンスにケガがないか確認している。
 それをなだめながら、グレイオンスは、
「……まさかと思うが、射ったのはセリアとワルツとカドか……」
 と、矢を放った人物についていう。
 百戦錬磨のような風貌のエルフが冷汗を流しながら、やってきた。弓の使い方を教えていたクルモである。
 まず、グレイオンスに謝罪をした後「その通りです」と答えた。
 グレイオンスは「この三人、相変わらずなのか」とあきれる。

 セリアとワルツ、カドは若い男のエルフで、20代後半だ。
 弓のコントロールの悪さというより、集中力の問題は十数年前に知られている。
 クルモはバツが悪そうに言う。
「……矯正できればいいと思ってはいたので……一応、原因はわかっていますし」
 原因は的を狙うけれども、的の手前にいる人が的になるというもの。
 つまり、集団戦の場合、前に立ち守ってくれる盾を持った人を狙ってしまう。
 または、敵から逃げてくる一般人がいた場合、その先にいる敵ではなく、逃げてくる人に当てるというもの。
 結果、実戦では弓を使うことは問題ありという状況。

 グレイオンスはクルモが言っている意味も分かるので、今の対処に移る。
「お前たちは今、矢を射るな。被害者が出る。魔物退治について、冒険者ギルドに依頼を」
 クルモは「はい。そうですね」というと、連絡や見張りなど分担を分ける。
 問題の三人組も、矢を使わなければ問題ないので、見張りになる。

 三人組はさすがに、射殺しかけた状況なため落ち込んでいた。
「ごめんなさい」
 練習用ではない矢を人に当てかけたのは初めてである。
 敵ならばまだしも、顔見知りの年寄。
 それも、エルフ最高齢の中の一人。
 三人の様子を見て、グレイオンスがため息を漏らす。
「どうしたものか」
「……うう」
「お前たちはきちんと見張りをするように。自分と敵の間に人がいる限り、矢は放つな」
 念を押しておいた。
 この三人のことより、対岸にいる魔物の討伐が重要だ。
 ここからどこに向かうのか。
 森を歩く人や、里に入り込めば被害が出る。
 川辺でのろのろとしてる間に討伐できれば、一番よいことだった。

 グレイオンスは帰りそびれて、河原と森の間に、程よい切株を見つけ腰を下ろした。

解説

●目的・目標  魔物の討伐。 ●地理  森の間を流れる川。川幅は5メートルほどとしておく。  川の両端は河原がある。便宜上、幅10メートルとする。  川は浅いので、渡ろうと思えば中を歩いて渡れる。  ただし、行動にペナルティは若干ある。身長にもよる。  グレイオンスなどNPCがいる河原や森は里寄り。  魔物がいるのはその対岸である。  なお、河原の先は、森になる。 ●魔物  大きさ2メートル未満、数は6。  イソギンチャクのようなクラゲのようなよくわからない外見。  正面があるか不明であり、どこから攻撃が出るかわからない。  触手で単体近接攻撃が基本。  時々、クルクルと回転して周囲に攻撃することもある。  表皮がぬめっているため、武器は横滑りする感覚がある。  里側ではない河原にいる。 ●現地にいるNPC  ・グレイオンス 帰ろうと思ったけど、何となく残った。  一応、責任者だという認識があるため。  ・セリア、ワルツ、カド 20代後半くらいのエルフ、男。非授恵者。  ものおじせず人と話せるし、外の世界もちょっと憧れたりする。  年が近いから仲良し。そして、結構、羽目を外すタイプだとしても、弓の腕前が三人一緒なのは困りもの。  ・クルモ 弓の扱いなど武術を教えることができる人。非授恵者。  年はそこそこいい年齢、働き盛り。穏やかな雰囲気。  でもちょっと、顔は怖い。  ・ちびっこエルフ 二人 クルモから弓の使い方とか教わっている。  里の人大好き。冒険者が来るのはそわそわ、わくわく。  最近時々見るキツネの人(ウル・ヘルバ)以外、他の種族を見ていないので。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  後衛からの攻撃があるということは、前衛を飛び越えるんだよなぁと思うときが時々あります。  そんなわけで、このような後衛がいた場合、怖いなというところから生まれたシナリオがこれです。  とはいえ、三人組の弓の腕前は関係なく、魔物討伐をしていただくのこが今回の依頼です。  グレイオンスとちびっこは応援以外することないです。  なお、年末年始だと気づきました。そういう時期なんですね……なんというか、あまり実感がないです。  では、よろしくお願いします。

リプレイ

●避難
 冒険者の到着により、魔物を見張っていたエルフたちはホッとしていた。
 魔物は移動はあまりしていないという。

 だわ、は到着後、状況を確認した。
 エルフたちは川の手前側、だわが来た方にいる。
 魔物がいるという緊張感はあってもどこかのんびりしているように見えた。それは距離が保たれているからだろうか。
 エルフの子どもは、だわを見て「耳が丸い!」とまとわりつく。
 その言葉にだわは、軽くうなずいた。
 それよりも、魔物を討伐することに意識を向ける。
 魔物は死すべきで、一片の慈悲はない。
 相手が動き出す危険性を考慮し河原に先に降りる。一般人が避難する間の守りとなる。
 距離から、そのまま攻撃が届くかなど、すでに臨戦態勢ではあった。
 ただ、できれば水には入りたくはなかった。

 ハリーヌ・ヨツユビはグレイオンスに挨拶する。
「グレイオンス様、お久しぶりでございます!」
「また世話になるな」
「いえ! これが仕事でございますから」
 ハリーヌは誠心誠意応じる。
「さあさ、非授恵者の皆様はどうか、安全な場所までお下がりくださいませ。あのような汚い魔物の相手を皆様にさせるのは心苦しゅうございますからね。グレイオンス様も、万が一のことがあっては困るでございましょう。ここはワタクシどもにお任せくださいでございますよ」
 ハリーヌははきはきと言い終わった後、視線を感じた。
 横を見ると、エルフの子どもが二人、目をキラキラさせて、ハリーヌを触りたいというような勢いで声をかけてきた。
「何っ!」
「ね」
 ライナ・フレイヴァルツはしゃがむと、二人に話しかけた。
「ハリーヌさんが困るぞ。魔物を退治し終わった後、ゆっくり話をするほうがいいだろう?」
 子どもたちはライナとハリーヌを見比べる。
「わかった!」
「ボクたち、おじいさんたちとあっちにいるね」
 子どもたちは聞き分けがよく言う。
「そうしてくれると助かる。お姉さんたちと後で遊ぼうか?」
「うん!」
 フロマーシュ・ダイヤドロップもしゃがんで「私も一緒に遊んでいいでしょうか?」と問う。
 子どもたちは「うん」というとグレイオンスの方に向かう。
 ライナはグレイオンスが持っているバケツに刺さる矢などに気づいた。
「それよりも、なぜグレイオンスさんの持つバケツに矢が刺さっているのか……」
「それはね!」
 子どもたちが意気揚々と三人の若者――セリア、ワルツとカドの弓矢の腕前のことを言った。
「お前ら!」
「本当のことだけど」
 三人が追い払うけれども、怒りつつも、しょげていた。
 子どもたちはグレイオンスに隠れる。
 ライナは三人の様子に苦笑する。
「集中力がないと当てられるものも当てられない」
 聞いていたフロマーシュは自分の経験から考えた。
「そうですよね。狙いを定める、ということは意外と大変だったりしますよね。わたわたしちゃうと思わぬミスにつながっちゃいますし……」
「実際問題、乱戦になっている際、味方以外に攻撃を当てる技術は相当難しいものだ」
 ライナは師匠に教わったときのことを思い出す。
「とはいえ、三人も腕を磨いて、いつか戦闘で焦らないようになるとよいな。まずは、あそこにいる魔物を倒しておこう」
「そうですね。わたわたさせちゃいそうなうねうねを退治しないと!」
 フロマーシュが魔物のことを告げると、三人組が頭を下げ、避難する。
 冒険者たちは臨戦態勢を整えていく。

 ストレガ・L・リベルガストラが魔物を見た瞬間、思ったことは「あの魔物を退治したら、解体していいだろうか」だった。
 あの魔物がどこから来たか、何をしに来たかにも興味はある。
 それに加えて「おいしそうなのだ」ということだ。
 クラーケンは美味しかったから、クラゲみたいなものもいけるだろうと考えた。毒がなければ。
 ただ、魔物の特性上、その存在自体がどうなるか不明。
 とはいえ、何事も見て確かめることが大切だ。
 なお、エルフ三人組の弓の話が聞こえる。
 彼らが立ち去る前に、ストレガも一言告げる。
「……戦闘は敵と味方の位置を把握、その未来位置と術の効果範囲を計算、そして敵をしっかり見定めるのだ」
「……そういうの難しいんだよね」
「直感じゃだめ?」
 三人が情けないことを口々に言う。
 ストレガは諭す。
「直感でもいいのだ。でも、考えないとだめなのだ。後衛の攻撃には前衛も恐怖心があることは認識するのだ。後衛である我々は信用をもって攻撃しているのだ」
 三人は思い出していた。気絶したウル・ヘルバの姿を。
 そのあと、師匠や親たちに叱られ、グレイオンスが無言で怒っていたあの時。
「何にせよ、練習なのだ。弓術もこれでいいはずなのだ」
 視界の隅で彼らの弓の指導をしているクルモがうなずいている。
 三人はストレガに頭を下げ、里の方に避難する一行に加わった。

 子どもたちはストレガの頭を見て「違うっ!」「何!」と種族を聞きに戻ろうとしたが、グレイオンスに諭されて「あとでね」と手をぶんぶん振っていった。
 次の興味は護衛を兼ねてついてきているゴリラに移る。ゴリラはハリーヌが付けてくれたものだ。グレイオンスたちの安全のためではあったが、子どもたちがすんなり移動するというのに大変貢献していた。
 そんな感じで一般人の避難は完了した。

●討伐
 魔物は河原をうろついている。川に入るでも森に入るでも現状はない。
 様子をうかがっていると、魔物の表面はぬめっている。これがこちらの攻撃をどう受けるか悩ましい部分がある。

 ライナは【天眼】を用いて、魔物とその周囲を見る。
 魔物はあまり動いていないようだが、それが逆に作戦を立てづらくしていた。
 こちらに来るでもなく、川を渡ってこちらに来るでもない。
 なお、ぬめりは水気を帯びているからだろうかと考える。
 ストレガは「川を渡るつもりの者がいるのだ?」と問い、「【ウォーターウォーク】を掛けるのだ」と続けた。
 だわが「その方が確実だと思う、頼む」と応じた。
 対岸から攻撃できる可能性もある。ただし、それは、魔物が川に向かってきてくるということが前提だ。もし、森の方に行かれると、だわの攻撃は当たらなくなる。
 フロマーシュは少し考えた後、魔法をかけてもらうよう頼む。
「こちらに来る様子がないのですし、あちらでひきつけたほうがよいですね」
 あとから使ってもらうより、敵を引き付け止める方がよいと考えた。
 ストレガは【ウォーターウォーク】を掛ける。
「わかったのだ。あとで必要ならいうのだ」
 そして、フロマーシュとだわは川を渡る。

 魔物は冒険者に気づき、そちらに向かい始める。

 ハリーヌは試しに【炸光矢】を放つ。
 エーテルがこもった光が炸裂すると、魔物を穿つ。
「効いておりますね」
 手ごたえはあるように感じた。
 魔物のぬめりに対してココアパウダーを掛けたらどうなるかを考えていた。ぬめりを落として攻撃した方がいいかもしれないからだ。とはいえ、攻撃が効いているならこのまま行けそうだ。
 ストレガは敵がこちらに来ないようにするため【重力場】を仕掛けておく。そのうえで、こちらから見て遠くの敵には【足絡之呪】をかける。逃亡を食止めるためだった。
「足、あるのだ?」
 ふと、ストレガが疑問を持つ。さらに、動きを見ていると、効いているかわからないと気づいた。
 ライナは【アーケインテンペスト改】を仕掛ける。これはストレガが使ったオブジェクトの召喚と隣接するような位置だ。それにより、こちらに来るのは遅らせていきたかった。その上で、まだ乱戦になっていないため、【心燃】を用いたうえで【タイダルストリーム3】を放った。巨大な光波は魔物たちを呑み込んだ。

 フロマーシュとだわは対岸に到着する。
 河原は足場が不安定ではあるが、気を付けさえすれば大した問題は生じないはずだ。
 最も、敵の位置は河原だけでなく、森の近くの地面にもいる。
 敵が移動していこうというのを足止めするため、フロマーシュは【シーザーロア】、だわは【陽動】を用いる。
 フロマーシュやだわに向かう敵がいるが、これはスキルが効いたのかたまたまかわかりづらい。
「この魔物、どっちが正面なんだ。というか、正面はあるのか?」
 だわの疑問。魔物の外見がイソギンチャクやクラゲのため、顔が明確にないという状況である。
「ぬめりが確かにありますね。ただ、魔法も矢も効いているようです。エーテルのおかげでしょうか?」
 フロマーシュは洞察する。
 ひきつけられた魔物に対して、ハリーヌ、ストレガとライナの攻撃が加えられる。
 先ほどの攻撃は効いているだろう見立てからだ。

 魔物はフロマーシュやだわに向かう。基本的に触手での攻撃だ。直接たたくか、本体が回って触手がひらひらと周囲を攻撃するかの違い。
「このくらいはびくともしませんよ!」
 フロマーシュは盾で抑える。
 だわも剣技をもっていなした。
 どこを見ているかわからないということは、どう攻撃されるかわかりづらい。それがあってもなくても、冒険者側は敵の攻撃は注意していることには変わりはなかった。

 冒険者たちは反撃に出る。瞬時に味方のケガの状況と敵の状況を判断し、全体で攻撃をしかけた。
 フロマーシュが放つ【衝撃刃3】が、弱っていた一体を消し去った。
 ハリーヌとストレガは味方もいる現状など鑑みて【メテオライト3】を放つ。さらに弱る魔物や消える魔物が現れる。
 だわが追い打ちをかけるように、敵が集まるところに向かい【闘気槌】を用いて攻撃する。
 さらに、ライナが放った【刻星】。星のような光たちが残っていた敵を穿った。

 周囲に敵がいないか確認後、臨戦態勢を解除する。
 そして、里にいるグレイオンスらに報告するのだった。

●事後
 魔物討伐後、思うべき行動する。

 ハリーヌはグレイオンスが釣りの道具を持っていたことをきっかけに話す。
「ところでグレイオンス様、釣りをなさっておいででございましたか?」
「釣りという名の日向ぼっこだったがな」
「それは……釣れなかったということでございますか」
「餌も付けていなかったからな」
 グレイオンスは小さい頃のウルが川で魚を取ってきた話をしてくれた。
 ハリーヌもウルを知っているし、水を触るときにヒューマンと異なる部分は見た覚えがかすかにある。そのため「なるほど」とうなずく。
「この川は手づかみの方が取れるのでしょうか……試してみるでございます」
 かぎ爪であれば確かに取りやすいかもしれないが、もともと、川が浅く、捕りやすい可能性もある。
 ハリーヌが試しに足を踏み入れる。
 川は浅い。ハリーヌの身長を考えると、幼少時のウルの視点に近いだろう。
 そこから川を見ると、魚は泳いでいるのが見えた。
 大きさからして、子どももつかめそうだ。
「なるほどでございます……が」
 ツルリと滑る。
 結果、ずぶ濡れで里に戻る。乾くまで、しばらく暖炉の前にいることになった。
 グレイオンスが用意した温かいハーブティーを手に。

 ライナは三人組に「弓の腕、見せてもらってもいいか?」という。
 遊ぶ気まんまんで寄ってきた子どもたちが「的には当たるんだよ」とか「危ないよ!」という。大人たちが言っていたのをまねているようだった。
 セリア、ワルツとカドは諦めモードもある反面、子どもに言われるのも腹立つ様子。
 フロマーシュが子どもたちに声をかけた。
「お姉さんとこっちで待ってよう」
「いいよ」
 フロマーシュが少し引き離す。子どもたちが三人組についていくと、集中をそぐのは確実だ。
「普段、どんな遊びをしているのですか」
「えっとね、木登り」
「キツネさんごっこ」
 フロマーシュの問いかけに子どもたちは動作をしながら教えてくれる。
 その間、ライナは三人組が弓の訓練をしているところに行った。
 三人に的に向かって矢を射ってもらう。
 それを見る限りでは的を射る力はきちんとあるし、構えもおかしいところはない。
「的から目は離すな、というのが一番重要だな。だから、集中力と、慌てないということだな」
「うう」
「それが難しいというわけだから、慣れるしかないのだろうな」
 ライナより少し年上の青年たちが落ち込む姿は何とも言えない気持ちになる。
 得手不得手もあるから致し方がない気もしもする。
「無理に弓を使わないのも一つの選択だ。狩りをするのだって弓だけではないのだから」
「そうだよなぁ……」
「ごめんよ。時間取らせて」
「僕たちだって、心は痛むんだ。ウルに全部当てたの」
 三人は落ち込んでいる様子だけれども、どこかあっけらかんとしている。
 練習用の矢でも全部当てられた方はたまったものではなかろう。
「さすがに味方は射らないようにな」
 大変重要なことだから、念を押しておいた。
 ライナは戻ると、フロマーシュを追いかける子どもたちを見る。
「元気だな」
 自然と笑みが浮かぶ。
「お姉さんと魔法の勉強もするか?」
 そう話しかけると、子どもたちは目をキラキラさせるのだった。

 ストレガは魔物の残骸を見た。水っぽい何かである。形を保っているから、たぶん、皮みたいなものがあり中身があるのか、全体的にゼリー状なのか。
「これは食べられるのだろうか? 毒の有無もかかわるのだ」
 ストレガは試しに拾ってみる。
 プチンとはじけて水が垂れた。
「手触りから薄い皮があるタイプだとはわかっていたのだ……食べるどころではないのだ」
 残念極まりない。
 念のため、残っているものは確認した。魔物がどういうところを通ってきたかがわかるかもしれないから。魚や小動物の骨ぽいものも魔物の残骸にはあった。
 つまり、川の上流の方から来たというのに合致するだろう。
「残念なのだ」
 魔物の解体ができなかったのは悲しいが、無事に魔物は討伐できたのは喜ぶべきことだった。
 里に戻ると、料理をふるまってくれるという人がいた。
 このあたりの料理の話など聞けると考え、気分を変えた。

 だわは川の上流の方に行ってみる。とはいえ、準備もしていないので、少し上流を観察する。
 そちらから流れてきたなら、何か異変がある可能性もある。たまたまなのかもしれないという見極めができればよいと考えた。
 川に沿って進むが、特に何もなかった。何もなければ、仕事中だということを忘れそうなのどかな森の光景だ。
 魔物がすくっている状態というのはなさそうだということを確認し、戻り報告するのだった。

 無事、魔物討伐は終わり、一行は里を辞するのだった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました。  無事魔物の討伐できました。  一方で、三人組へのフォロー、ちびっことの遊び、上流の確認、避難誘導など、プラスアルファもありました。結果、大成功という運びです。  エルフの子どもたちはあちこちに飛びつきました。  私が書いていることですが、キツネさんごっこって何でしょう……。  ご縁があれば、またお会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜6人

2022年01月11日 12時44分39秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたしますっ! どことなく攻撃が掴み辛く、死角がない、あるいは分かり辛い感じの敵が相手なのですね… 物理攻撃への耐性も伺えそうな印象なのも厄介でしょうかっ。 ともあれ、皆様がそんな敵に絡まれちゃわないよう、しっかりお守りして参りますっ!

  2. だわ

    ウォーリアだ。だわと呼んでもらえれば。 魔物の数は6体。……俺にも分担して受け持たせてもらえるか。 ■ デバフ対策 イソギンチャクやクラゲというと、麻痺毒をもつイメージがあるな。念の為、デバフ解除も準備したいところだが……扱えるのはヒーラークラスだけか。 ■ 引きつける位置 魔物は対岸にいるようだが……、こちら(近接職)が川に入って対岸へ行くべきか、それとも相手がこちらに来るよう引きつけるべきか……。 個人的に、川の中で戦うのだけは避けたい。その、足場も悪いし、相手は水棲生物のようだし。どうだ。 ■ ぬめり対策? それと、難しいかもしれないが……何かしらの手段で「ぬめり」を抑えることが出来れば攻撃が通りやすくなったりするだろうか。例えば火で炙ってみるとか、塩をぶちまけてみるとか。

  3. ライナ・フレイヴァルツ

    キャスターのライナ・フレイヴァルツだ。 皆宜しく頼む。 遠くから攻撃できる者は特段、川を気にする必要はないが 今参加しているウォーリアの二人については遠距離攻撃手段がなければ 攻撃を引き付ける役割を担ってもらう形になりそうか。 魔物の攻撃手段や特徴を見ても、あまり近接攻撃が効きそうにない印象を受ける。 全く効かないということはなさそうだが…水面を斬るようなものか? 弓は…どうだろうな。 二人が対岸へ渡るというのであれば、アーケインテンペストを魔物がいる対岸辺りに設置して 時間を稼ぐこともできる。 今の所回復手もいないようだから、ヒールは持っていける人は持っていこう。 範囲攻撃で複数攻撃できる様準備もしておく。

  4. ストレガ・L・リベルガストラ

    キャスター、ストレガなのだ。よろしくなのだ。 川渡る者にはウォーターウォークかけるのだ。 火や風が効きそうだし範囲はそのように。 足止めはグラビティがあるのだ。

  5. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    私は衝撃刃で何とか遠距離攻撃もできますけど、私達前衛より打たれ弱い皆様が狙われた際の危険を考えますと、 引き付けてお守りしていく方がよさそうな気がします。 対岸へ渡るか、渡らずに川岸で迎え撃つかは悩ましい所です… また、複数の敵を引き付けていく事を考慮して、衝撃刃の代わりに闘気槌にして、範囲攻撃をしていく事も考えておりますっ。

  6. だわ

    様子見として闘気槌などの射程延長攻撃で叩いてみて、奴らがこちらへ来なさそうであれば川を渡るのもありか。 渡らずに済めば一番良いが……渡った方が良いと判断したらありがたくウォーターウォークを使わせてもらおう。 明日の正午出発だから、ひとまずその方針で出るつもりだ。調整事あれば今のうちに頼む。

  7. ハリーヌ・ヨツユビ

    相談になかなか来られず申し訳ございません。 ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 まずは川は渡らず、遠距離攻撃で叩いてみるでございますね。 アチラが逃走すると厄介でございますから、ワタクシは捜波のマークでもし位置を見失っても追えるようにしておくでございます。 非授恵者の皆様には、安全な位置まで退避していただきたいでございますね。 ワタクシのゴリラを護衛につけようと思うでございます。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0