私は『お姉様』を取り戻す
岩岡志摩
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シナリオID:1739
オープニング
あの人を取り戻せるのなら。
どんなことでもしてみせよう。
何を引き換えにしてでも。
私は過去を取り戻す。
一度はこの手から失われた大切な人を。
この手で取り戻す。
誰にも邪魔はさせない。
●通り魔事件
ターミル族の少年ディノが、その人物に関わったのはある偶然だった。
――ある地域で通り魔事件が相次いでいる。
日を追うごとに、その件数は増加していく。
最初の被害は軽傷で済んだが、徐々に被害は大きくなり、ついに犠牲者が出た。
また別の日には1人の女性が攫われ、行方がわからなくなっている。
事件が発生している地域の住民達は、発生時刻とみなされる夕方から夜にかけて、外に出歩くことを恐れるようになる。
地域の治安を守る衛兵達も躍起になって、容疑者の捜索にあたっていた。
やがて人形師と呼ばれる1人の女性が、容疑者として浮上する。
だがこれまで発生した事件で生き延びた被害者の証言では、犯人は複数だったという話だった。
そして夜間に発生した通り魔事件で、衛兵が犯人の確保のため駆けつけるも、闇から湧き出たように現れた何かに襲われ、撃退される。
一般人が対処するには荷が重すぎると判断した現地の衛兵達は、冒険者ギルドに依頼を出す。
衛兵達が依頼を持ち込んだその支部が、その時人手が足りない時期だったのか、用件が緊急を要するものだったのかはわからない。
一つ言えるのは、たまたま所用でその支部を訪れていたディノが、帰り際にギルド職員から呼び止められ、気づいたら他の冒険者達と一緒になって、人形師のいる工房に向かっていたことだろうか。
ディノ曰く「ものすごく強引で、断り切れませんでした」。
このギルド支部には、口で相手を丸め込む達人がいたらしい。
まだまだディノはこの世界が広く、武芸以外にも様々な分野に秀でた人達も多いことを学ぶ必要があった。
そしてディノや冒険者達が工房に到着し、衛兵達から渡された許可証をもとに、工房内へと踏み込んだとき。
ディノ達を異様な光景が出迎える。
●人形師
顔。
顔。
顔顔。
顔顔顔顔。
顔顔顔顔顔顔顔。
大きな部屋の中を、表情のない無数の顔がひしめいている。
正確には同じ顔、同じ姿の人形達が床に転がり、壁に並び、天井からぶら下がっている。
その奥には、攫われたと思しき被害者が口を布で塞がれてもがいており、その被害者の体に刃物を入れようとした女性が、ディノ達へ顔を向けていた。
女性が着ているものは作業衣めいたものだったが、いたるところが血に塗れ、乾き切らない血の匂いを帯びて、赤黒く変色している。
「私は今『お姉様』を作ってるのよ! 邪魔しないで!」
眼球が充血し、肩が震え、常軌を逸した叫びと共に、周囲で不気味なオブジェと化していた人形達がぎごちなく動きだし、感情のない視線をディノ達に集中させる。
部屋のあちこちから、人形達が関節をきしませる音が、腐臭さながらに立ちのぼり、やがて直立した人形達が部屋の中を席巻し始める。
それは人形師の死霊術によるものだった。
人形師は周囲に漂う死霊だけでなく、自身が手にかけた人間達の魂を人形へと埋め込み続けていた。
――『お姉様』を作るために。
しかし何度やっても、出来上がるのは失敗作ばかり。
そんな出来損ないの『お姉様』――人形達が、ディノや冒険者達への包囲を狭めていく。
これまで犠牲にしてきた人達の魂を制御し。隷従させ。行使する。
「ちょうどいいわ。貴方たちも材料に加えてあげる」
その『罪人』こそ、目の前の人形師。
●やること
今回皆様は通り魔事件の解決のために出された依頼に様々な理由で応じ、容疑者として浮上した人形師の女性のもとへ到達しました。
その理由は、別件で立ち寄った支部が緊急の依頼を斡旋していて、時間があったので応じたからかもしれません。
あるいはディノのように、話のうまい職員に丸め込まれてしまい、気づいたら参加していたのかもしれません。
しかし既に皆様は人形師の工房の奥まで踏み込んでおり、動き出した人形達との戦いが始まりつつありますので、敵を倒さない限り、この工房から外に出ることはできません。
依頼主が皆様にお願いしたのは『事件の犯人である人形師の撃破』です。
これは被害の大きさから、身柄を確保する際に、人形師が激しい抵抗をみせると予想されたためです。
また迅速に人形師を撃破すれば、攫われた女性も助かる可能性が高いと見込まれています。
そのためこの依頼では人形師の撃破が目標とされ、人形師の生死は問いません。
PL情報ですが、既に人形師は狂気に心を蝕まれ、なぜ『お姉様』を作らなければならないのかを忘れています。
そしてその『お姉様』とはどんな人物なのか、人形師には外見以外もうわからなくなっています。
正解が存在しないのでいつまでも失敗作しかできませんが、人形師は『お姉様』を作ることを止めませんし、止まりません。
これ以上被害者を増やさないために。
皆様の手で、事件を解決して下さるようお願いいたします。
●人形師
今回の撃破対象。生死は問わない。
『お姉様』を作ることに執着する人形師の女性。死霊術を使い、人形を操る。略称『師』。
本人は短杖を装備し、射程7の魔法攻撃が可能。
既に正気を失っており会話は絶望的。
また人形達を操り、以下の行動を人形達に行わせる。
人形の盾
人形1体に自分を庇わせ、カバリングの効果を受ける。リアクション扱い。
抱擁
自身の近くにいる人形2体を射程2以内にいる対象へと抱き着かせ、命中した場合はさらに【束縛】(強度2)のバッドステータス付与判定を行う。メインアクション扱い。
解説
マスターより
リプレイ
ある通り魔事件の犯人を追っていた冒険者達は、犯人と目される人形師を追い、人形師の工房に到達した。
そんな冒険者達を、人形師だけでなく同じ顔や姿をした無数の人形達が出迎える。
「何これ……。もしかしてアタシ達とんでもない所に来ちゃった?」
ベアトリーチェ・カロッサは動き始めた人形達の群れを前に、ドン引きしている。
通り魔事件の犯人とされる人形師の言動も異様だった。
「ギルドの職員さんに上手く乗せられちゃいましたね」
トーラは苦笑を見せるも、内心では少し引いている。
――まあ、通り魔に困っている人が居るのならお手伝いしますけど……?
過去にそう言って職員からの要請を承諾した自分に、トーラは文句を言いたくなる。
(思ったより猟奇的な事件ですよっ!?)
正面には狂気を顔に塗りたくった人形師の女性。
周囲には関節を軋ませ、歪な動きで包囲を狭めてくる人形達。
ベアトリーチェの観点では、十分ホラーな状況である。
その一方で、トーラには奥で拘束されている人質の女性が気がかりだった。
「奥に捕らえられている人がいますね」
それはベアトリーチェも同じようだ。
「貴女は随分とお姉様とやらの『紛い物』が大好きなんですね?」
グレイブ・ヤードはこの場における事実を人形師に突きつける。
なおグレイブは事前に捕縛用の網を借用しようとしたが、物がないということだったので、網に拘ることなくこの場に赴いている。
グレイブの行使したエンライトが光の球を形成して周囲を照らし、既存の灯りよりも鮮明にこの部屋の中を露わにする。
光の球に照らされるのは、全て同じ顔、同じ姿をした人形の群れ。
犠牲となった人々のものと思しき無数の血痕。
攫われて拘束され、恐怖に顔を歪める女性。
眼前の人形師がこれまで行った所業の数々が、エンライトの光にさらされる。
「作れるわけないじゃん。馬鹿なの? 頭死んでるの?」
サイラスもまた、先に人形師の発した叫びの内容を容赦なく切り捨てる。
なおサイラスは、珍しい鉱石を採掘するのに良さそうな場所を冒険者ギルド職員に尋ねたら、いつのまにか今回の依頼に組み込まれていたらしい。
それでも依頼を果たすべく、サイラスはグレイブに合わせる形で、人形師の注意を引きつける発言を続ける。
「使ってるのが他人の時点で、『御姉様』の魂になるわけないじゃん」
「代用品で満足できるとは、なんともまぁとお安いことで」
サイラスとグレイブの発した言葉は、人形師の敵意を刺激するには十分な効果を発揮したようだ。
人形師は言語になっていない金切り声をあげ、遠くにいる人形達をサイラスやグレイブのいる方角へと向かわせる。
これに対しサイラスは焔翼を行使。
サイラスの背より炎めいた『翼』が出現し、そこからエーテルを放出してサイラスの身を射出する。
一気に加速したサイラスは人形達を振り切って、人形師の前にいた人形へと躍りかかる。
サイラスのエクセキューションが肉薄した人形へと振り抜かれ、人形の胸元から首筋にかけ、深々と断っていた。
仮の生命を断たれた人形は転倒し、動かなくなる中、ベアトリーチェは別の人形へと疾走する。
一気に距離を詰め、繰り出されたダマスカス鋼の短剣が人形の胴を貫いた。
人形はベアトリーチェが刃を引き抜いた反動でよろめくも、人体の構造を無視した動きでベアトリーチェに追いすがる。
「全然堪(こた)えていないのですか?」
ベアトリーチェは精神をガリガリ削ってくる敵の動きに、内心慄いている。
「まずは目の前の人形を排除しましょう」
そう言うとトーラは先手必勝を行使。
体内にエーテルを巡らせ、自身の反応速度を高めたトーラはメテオライト2を行使。
トーラの周囲に無数の光弾が顕現すると、人形師やその周囲にいる人形達へと降り注ぎ、その身を穿つ。
人形師は人形の1体に自分を庇わせ、降り注ぐ光弾をやり過ごしたものの、全身を貫かれた人形達は仮の生命を断たれ、周囲に倒れて沈黙する。
「……愛の為とはいえ、こんな行い見過ごせない」
ザスキアは人形師の発した言葉から、人形師の行動原理が『姉』への愛だと推測する。
だからといって、他の人達を襲っていい理由にはならないと、ザスキアは思う。
「悪いが止めさせてもらうよ」
宣言と共に、ザスキアはベアトリーチェが攻撃した人形へと疾走する。
「私は人形狙いで行く」
そのままザスキアは人形達のただ中へ突っ込み、薙ぎ払いを行使。
鉄の斧がザスキアの周囲を一閃し、射程内にいた人形達の胴を切り裂いた。
既にベアトリーチェの攻撃でダメージを負っていた人形が、胴を断ち割られて倒れ伏し、動かなくなる。
だが人形達を倒しても次の人形が動き出し、その数を埋めていった。
●堅守
天眼によって敵味方の位置を把握したトーラは、人形師やその周囲にいる人形達の掃討に動く。
「早く女の人を助け出さないと……!」
トーラは守りを固めた人形師に向け、メテオライト2を再度行使する。
「エーテル拡散、誘導。メテオライト2!」
叫びと共に、トーラの周囲が光弾の煌めきで輝きを帯び、次いで光弾の群れが驟雨と化して、人形師や人形のみに降り注ぐ。
光弾の乱打を受けた人形達は全身を削り飛ばされ、仮の生命が尽きて倒れていく。
今度は人形師の身にも光弾が命中してその身を打ち据え、血を噴出させた。
それでも新手の人形が周囲から動き出し、再びその数を回復させる。
そういった一連の流れを、ベアトリーチェは注意深く観察していた。
「これではいつまで経っても終わりません」
刃を生やした人形の突撃を、大きく飛び退いて回避したベアトリーチェはため息をつく。
この部屋の中にある全ての人形を破壊すれば、人形師も打つ手がなくなるだろうが、それでは時間がかかりすぎる。
「捕らえられている人を助ける為にも、ここは大元をやってしまわないといけません」
決意したベアトリーチェは人形師へと攻撃の矛先を切り替え、ハイディングを行使。
認識を妨げるエーテルがベアトリーチェの周囲に張り巡らされ、ベアトリーチェの存在を秘匿する効果を発揮する。
「被害者の保護。それから本命の人形師を叩くことはみんなに任せるぞ」
ザスキアはそう言うと、人形師や背後の女性から人形達を引き離すため、迎撃を続ける。
この部屋に飛び込んでから既に相当数の人形を壊しているが、人形達が追加される動きは衰えない。
それでも怯むことなく、ザスキアは破脚砕を行使。
鉄の斧に肉体を蝕むエーテルを纏わせ、振り下ろしたザスキアの一撃は、人形の肩から脇腹にかけて大きく斬痕を刻み、その行動を鈍らせる。
「相手の手札を少しでも減らして、被害者の保護を円滑に進める助けをしたいところだね」
ザスキアは着実に撃破するよりも、ある程度損傷を与えた状態の人形をあえて残すことで、満足な動きのできる人形を減らす策に出たようだ。
その間にも、グレイブとサイラスによる人形師との舌戦をまじえた攻防は続いている。
他の冒険者が倒し、残骸となって床に転がる人形の頭を、グレイブは踏みつける。
「貴方にとって大事なものは、私にとってこの程度のものです」
そう言ってグレイブは一気に人形の頭を踏み抜いた。
それを見せつけられた人形師がヒステリックな金切り声で喚き散らすも、近くにいるサイラスの舌も鋭さを増している。
「あ、自分の色眼鏡で見た『御姉様』ごっこさせられる道具が欲しいんですか。こりゃ俺の勘違いだったな」
サイラスの言葉は挑発じみていたが、人形師の所業を言い当てている。
「なら誰も巻き込まない方法でやったらどうなんだ?」
そこまで言ったところで、サイラスは人形師の願うことの本質を容赦なく看破する。
「これで手に入ると思うくらい、御姉様が理解不可能なお前に取り戻せるものでもないし」
サイラスは眼前の人形師が、本当は何を取り戻そうとしているのか分からなくなっていると断じる。
事実、それまで喚き散らしていた人形師が一瞬絶句した。思い当たる節があったかもしれない。
だが人形師は頭を振って何かを否定すると、再び人形達をサイラスへと突進させる。
それに対しサイラスは人形達のみを巻き込めるよう、角度を調整したうえで戦刃炸を行使。
サイラスの背に炎の翼めいたものが出現し、前面に収束されたエーテルが光の奔流と化して撃ち放たれる。
竜のブレスを模倣したかのような一射は、射線上にいた人形達を包み込み、光の中で人形達は砕け散り、破片と化して床に散乱していく。
その直後、捕まっている女性がいる場所に光り輝く六角形の柱が顕現した。
グレイブが行使した光縛封だ。
「魔法攻撃でも、容易く壊せるとは思わないでいただきたいですね」
グレイブの祈りと共に形成された光の柱は、女性の周囲を包み込み、人形師や人形達の手出しを阻む壁となって部屋の中で輝きを放っていた。
●撃破
再び新手の人形達が動き出す中、冒険者達は人形師への攻撃を強めていく。
「大事な人を失って取り戻したいという気持ちは誰にだってあるでしょう」
トーラは人形師の心情に一定の理解を示しつつも、こう断言する。
「けれど、その為に他の人を犠牲にするのは間違っています!」
アクセラレイターを行使して、人形の攻撃を躱したトーラは、人形師に向け魔弾2を行使。
突き出した宿り木の長杖Reより光球が撃ち放たれ、人形師の身に着弾すると、その身を引き裂き血が噴出する。
このとき人形師は周囲に残る人形を自分の近くへ引き寄せるつもりだったが、ザスキアが該当する人形を押さえ込んでいた。
「……もう、彼女(人形師)は救えないところまで行ってしまっているのだろう。楽にしてあげるべきだ」
ザスキアは『生死問わず』とされた人形師の扱いについて、消極的ながらこの場で討つべきだと具申する。
それに反対する声もなく、冒険者達は人形師の討伐へと傾く。
「せめて死に際には『お姉様』の夢が見られるよう祈るよ」
ザスキアはそんな願いを口にしながら、周囲に味方がいないことを確認した上で、薙ぎ払いを行使。
豪風が巻き起こり、その豪風が斧刃の煌めきを描いて真横に旋回した時、ザスキアの周囲にいた人形達が胴を割られて後退する。
「そろそろ本体を削りにいくのがよさそうだな。これだけヘイトを稼げれば十分だ」
サイラスも舌戦から武器をまじえた本格的な戦いへとシフトし、焔翼を行使する。
再びサイラスの背に『翼』が現れ、エーテルを噴出させてサイラスの身を前方へと射出すると、抱擁を試みる人形達を振り切って、人形師に迫る。
「抱擁されても刺築で殴れば、捕まっていてもあんまり問題無さそうだな」
そんなことを考えながら、サイラスは刺築を行使。
サイラスが『分身擬き』と呼ぶものが忽然と現れ、サイラスと共に人形師や人形達へ襲いかかる。
四方から閃いたエクセキューションの剣光に、人形師が目を奪われたまま、サイラスの範囲攻撃は人形師と人形達にダメージを負わせていく。
人形師の身より血が噴出し、周囲の人形達はその身を断ち割られて床に転がり、沈黙する。
「いくら私が貴方に恨まれようが憎まれようが、私は構いません」
そう言い切るグレイブは、人形師の感情よりも守るべきものが何かを口にする。
「大事なことは人質の安全ですから」
その人質となった女性は、現在グレイブの光縛封によって守られている。
そしてグレイブが今も人形師への語り掛けを止めないのは、密かに人形師の死角へと回り込むベアトリーチェの行動を支援するためでもある。
そのベアトリーチェはハイディングの効果が消える前に、人形師の背後へ到達しつつあった。
(このまま人形師を後ろから殺ってしまおう!)
既にその決意を固めていたベアトリーチェは、身を潜めたままタナトスバイトを行使。
(一撃必殺を狙います)
練りに練ったエーテルを短剣に纏わせ、低い姿勢のまま人形師の背後をとったベアトリーチェは、そのまま必殺の暗殺撃を繰り出す。
短剣はするりと人形師の背に吸い込まれ、その身を刺し貫く。
縫い止められる形になった人形師は、眼を見開いたまま、硬直したように停止した。
ぶるぶると、断末魔の痙攣を見せる人形師の前に、グレイブが立つ。
「死者は取り戻すものではありませんよ、――さん」
ここでグレイブは依頼主より教わった人形師の本名を口にするも、その響きは虚空に消え、返事の代わりに人形師の口からは大量の鮮血があふれ出た。
「死者の魂は天に昇らせるものです」
その言葉と共に、振り上げられたグレイブの無銘祭祀刀が、人形師へと振り下ろされる。
人形師の手に握られていた短杖が床に転がり、その上に持ち主である人形師の体が鮮血を撒いて倒れ込み――。
死闘は幕を閉じた。
●鎮魂
人形師が討たれ、それまで周囲で蠢いていた人形達も力尽きたように倒れ、沈黙する。
「もう大丈夫です。貴方を襲う存在は全て片付けました」
ザスキアが女性の拘束を解きながら、女性を安心させられるように声をかけ続ける。
やがて待機していた衛兵達が冒険者達に案内され、工房内へ足を踏み入れる。
「私は人形師の犠牲になった人たちを弔いたいです」
トーラはそう言って、犠牲となった人達の探索を始める。
「私も手伝います。遺体が残されているようでしたら埋葬を行いたいです」
それまでヒーリングオーラを行使して、冒険者達の負傷を回復していたグレイブも、犠牲者の探索と埋葬の準備にとりかかる。
「採掘に良さそうな場所は、後で聞けばいいだろうな」
サイラスは本来やろうとしていたことを後回しにして、グレイブやトーラの手伝いに回る。
ベアトリーチェは仲間達の作業を手伝う中、工房より奥にあるひらけた場所で、小さな墓を発見する。
衛兵に確認したところ、それは人形師の姉の墓らしいとの情報を受け、ベアトリーチェはその横に新しい墓を作成していく。
「確かにその非道な行いは許せるものではありません」
ベアトリーチェは人形師の所業に憤りを見せつつも、一方でこうも考える。
「ですが『お姉様』に対する気持ちは本物だったのではないでしょうか」
だからベアトリーチェは姉の隣に人形師の墓を用意した。
「……愛の為に狂ってしまった、と考えると心苦しいけれどね」
救助した女性を衛兵に託したザスキアもまた、複雑な感情を抱きつつも、ベアトリーチェの作業を手伝う。
やや離れた位置では、犠牲となった人々の埋葬が行われる。
「どうか皆さんの魂が昇天できますように」
その中でグレイブは衛兵より聞き出すことができた犠牲者の名を一人一人あげて、祈りを捧げる。
後日、住む者がいなくなった工房は取り壊され、更地になった。
犠牲者全ての名を記した墓と、やや奥まった場所に残る姉妹の墓が、ここで起きたことを物語っている。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準5 / 4〜8人
2021年12月27日 15時46分02秒 公開
参加者
相談掲示板
ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 流石に死霊術はいささか見逃せなかったので・・・。 よろしくお願いしますね
シーフのベアトリーチェだよ、よろしく! 死んじゃった人はもう戻らないのに、どうしても諦められなかったんだね…。 でもこんな事してもお姉さんは絶対喜ばないよ! >戦術 操ってる人形師を倒さないと周りの人形をどんどん動かしちゃうから埒が明かないし、ハイディングで気配を消して背後から人形師に攻撃を仕掛けるよ!
では私はあえて正面から人形相手でも考えましょうか。 注意をひければやりやすくもなるでしょうし 挑発も含めてみましょうかねぇ
No.4
これで最低人数は揃ったかなと とりま隠れてく人いるなら派手目に動いて注意引くかなと?
無事に成立したね! >グレイブ、サイラス ありがとう! 相手が正面に集中している隙に後ろから不意打ちするよ!
不意打ちもいいのですが、人質もいますのでその確保も必要かもしれませんね。 今は命に別状はないでしょうが、巻き込まれたりしないとも限りません。 ディノさんにお願いするのもありかもしれませんが、その対策も考えたほうがよさそうです。
No.7
一マス一ヘクスと見るとチャージングである程度は接近できるから、それで強引に術師狙う振りして接近、次以降カバリング出来る位置に向かうとかは出来るかねぇ それやるならE 1(ここに来るなら担いで戻るも手?)か2辺りに行くとかになりそうだけど、そんな移動したら多分タゲ俺に集まると思うし 抵抗上げて抱擁対策もしとけば尚良しかな?と思いたい
おっと、挨拶が遅れてしまったね。ウォーリアのザスキアだ、よろしく頼むよ。 私も今のところ人形狙いで行こうと思うから本命を叩くのは任せたいな。他に出来そうなことがあれば方針は変えるよ。
シーフのトーラです。 成り行きで参加したらとんでもないことになっちゃいましたね…。 とりあえず、派手に動くならメテオライトでE3を中心に攻撃しましょうか? 近付く方はそれに紛れて近付いたり隠れたりして貰えたら。
>人質 時間を稼ぐだけでよいのであれば光縛封の中にいて貰う手もありますけどね。 物理的(人形)の手は回らなくなるでしょうし >人形 そういえば戦ってるのに混ぜて「未稼働の人形群」をB8~H8地点当たりに吹っ飛ばす、というのも手かもしれませんね? いつ動いても不思議じゃないですから、とりあえず人形師の周囲から離してみるのは有効な手ではないかと思います。 目的は人形師の処理ですし。