【聖祭】聖霊節には手作りの料理を

陵かなめ

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シナリオID:1712

オープニング

 今年も聖霊節の時期がやってきた。辺境都市群の水上都市アキュアリスタは観光客で大賑わい、年越しに向けて忙しくする冒険者も多いだろう。
 さて、アキュアリスタの一角にある小さな料理屋に可愛らしいチラシが張り出された。

『聖霊節には手作りの料理を』

『いよいよ聖霊節の季節になりました。
 当店では、聖霊節のプレゼントに手作りの料理を提案いたします。
 家族に、恋人に、手作りの料理を振る舞いませんか。
 キッチンを貸し出しますので、聖霊節までに料理の練習をしましょう。
 料理道具やスパイスなども提供いたします。
 食材は有料になりますが、ご相談ください。
 心のこもった料理を振る舞い、大切な人をもてなしましょう』

「賑わうのは良いことだけど、それはつまり顧客の奪い合いということだからね」
「さすがは店主ですね。こうしてイベントを開催することで、うちの店を盛り上げていきましょう」
「色んな事件もあるようだけど、やっぱり聖霊節は美味しい料理を食べて幸せな気持ちになりたいじゃないか!」
 店主と料理長は張り出したチラシを眺めて頷きあうのだった。

 キッチンを借りる者は、どんな料理を作りたいのか、食材はどうするかなどを申請すれば良い。グループ参加もOKだ。料理をして最後に試食する流れになるだろう。
 聖霊節に向けて料理の腕を磨いていこう。

解説

●成功条件  聖霊節にむけて料理の練習をする。 ●できること  貸し出されたキッチンで料理ができます。  作った料理を試食することも可能です。  調理道具やスパイスは、一般的なものが揃っています。  食材は持込可能です。有料販売もしています。あまり特殊なものは置いてありません。 ●その他  迷子防止のため、グループで参加される場合は【グループ名】を必ず記載してください。  基本的に描写は個別描写になります。  料理に重きを置くか試食に重きをおくか指定可能です。試食に重きをおく場合も、何を作るかはお聞かせください。

マスターより

 こんにちは。今回は【聖祭】シナリオをお届けします。  聖霊節にむけて、料理を練習しませんか。美味しい料理、甘いスイーツなどなどを試作するのはいかがでしょうか。美味しい食べ物は良いですよね。  料理が得意な方もちょっと苦手な方も、楽しく料理しましょう。  ご参加お待ちしています。よろしくお願いします。

リプレイ

●
 料理店では集まった冒険者達が料理を始めていた。
 キッチンはそれなりの広さがあり、ある程度設備が整っている。
 クルタルは手際良くアップルパイを作っていた。
 パイ生地の出来上がりは上々だ。その上に並べるのは切り分けたりんごたち。一つは八等分に切った大きめのりんごを並べた。
 料理長からフィリングを敷けば良いことを聞いて、甘く味付けしたジャム状のりんごと二重の層になっている。
 そして、もう一つのパイに乗せるりんごは薄切りにした。
「せっかくの聖霊節だしな。こういうのがあってもいいだろ」
 以前、神殿を訪れた旅人から聞いたレシピだ。
 それ以来姉たちがせがむのでレシピは頭に入っている。
 りんごにはシナモンをたっぷりとふった。
 大きめに切ったりんごを乗せたパイはかなりのボリュームだ。
 帯状に切ったパイ生地を網目のように乗せたらあとは照り出し用の卵を塗っていく。
 薄く切ったりんごを並べたものは綺麗に平たく成形されている。
 こちらは伸ばしたパイ生地を乗せて端を閉じ、上部に切り目を入れた。
 作業をしながらクルタルは姉たちのことを思う。
 アップルパイが2つも焼けたと知るとどんな顔をするのだろう。それに、神殿は今頃どうしているのかと考える。仕事が回っていれば良いけれど……。
 オーブンに持っていくと料理長がパイを見て瞳を輝かせる。
「とてもお上手です! きっと膨らんで綺麗に焼き上がりますよ!」
「そうかな。それじゃあ焼いていこうか」
 クルタルは焼き加減を確認しながら膨らんでいくパイを見た。

 サイラスは下処理をしてタレに漬け込んでいた肉を取り出した。タレには玉ねぎや潰した茸、そしてはちみつを少々。
 このひと手間が肉を美味しく仕上げてくれるのだ。
 熱したフライパンに肉を置いて焼き色を付けていく。
「美味しいもの食べたいしねぇ」
 そして、もしかしてもしかしたらの話。近しい人ができた時には、料理くらいは作って出したいと思う。
 こうして料理をしておけば、いざという時に何気ない手料理を気負いなく振る舞うことができるだろう。
 火加減を見ながら肉をひっくり返す。ワインで香り付けをしながら、焼色を見た。
「これは、なかなかいい感じじゃないか?」
 肉の焼ける匂いが辺りに漂う。それはとても香ばしく、食欲をそそる香りだった。しかし、まだ完成ではない。これからオーブンを使いじっくりと火を通していくのだ。今でさえこれほど良い匂いだというのに、これ以上美味しくなるのだから……、肉は良い。とても良い。
 この後の手順を確認しながらサイラスはソースの準備も始めた。
「オーブン予熱できています。ご利用ください!」
 料理長の呼びかけが聞こえる。
 サイラスはいそいそと焼色のついた肉をオーブンへ運んだ。

 スフィカはクッキーの生地を作っていた。
「えーと、小麦粉と砂糖を混ぜて……砂糖はこのくらいで良いかな?」
「分量はこちらで量ってください」
 料理長が秤を机の上に置いてくれる。
 材料を購入する際手順を聞いたからなのだろう。気になって見に来てくれたらしい。
「そんなにきっちりと計るの?」
「はい。分量が少しでも違うと別の味になります」
「へー、そうなの? んー、ちっちゃい頃に作り方を調べた覚えはあるんだけどなぁ」
 砂糖の分量を計りながら、そういえばと思い出す。
「砂糖なんて高級品、うちじゃ難しかったから無理で忘れちゃったや」
「バターは溶かすのではなく小さく切って混ぜましょうか」
「なるほどね」
 生地をこねるスフィカに迷いはない。
 お菓子作りの経験はないけれど、料理の感覚はわかっている。
「とてもお上手です」
「ありがと。小麦粉と砂糖、バターは混ぜたから、あとは成形ね。あ、そっか。これ棒状にして切ったらどうかな」
 手際良く生地をまとめ、棒状に。それを包丁で端から輪切りにすれば、あっという間にクッキーの形ができあがった。
 計量をきちんとしなければならないお菓子作りは、普段の料理とは少し違う。だが、きっと美味しいものが出来上がるだろう。初めてにしてはなかなかうまくできたようだ。並べたクッキー生地をオーブンに入れて、スフィカはクッキーの焼き上がる匂いを楽しんだ。
 ハリーヌ・ヨツユビもクッキーを作っている。目指すはモミの木や雪だるまの形の可愛いクッキーだ。
「これは……意外ときれいな形を作るのは難しいでございますね? 抜き型などあるのでございましょうか」
 料理長が生地の伸ばし方や手順を説明してくれたのだが、ヒューマン用のキッチンはハリーヌにとっては少々大き目サイズに感じられる。
 しかも、ようやく形成の過程に進んだのだが、これがなかなか難しい。聖霊節に売れるものを練習すれば商機になるかもしれないと考えているので、やはりある程度納得のいくものを作ってみたいのだ。
「では、こちらをお使いください」
 料理長が可愛らしい抜き型を取り出してきた。それらは思っていた通りの形をしている。ハリーヌはこれだと大きく頷いた。
「これなら、うまくいきそうでございますね」
 抜き型を借りて、何とかクッキーを整えていく。
「バターは意外と多いのでございますね。抜型を使えば成形の工程はそれほど手間ではございませんけれども……」
 クッキーはレシピ通りに作れば完成する。
 しかし、もし美味しいクッキーを作るのであれば、材料にこだわったほうが良さそうだ。
 手間と原価ももう少し考える必要があるかもしれない。
 ハリーヌは億万長者になるという目標に向かって進むのだ。
 出来上がったクッキーは、バターの香りがした。

 シャロン・ラ・モリエールが作っているのは、いろいろな具材が詰まったパンだ。
「それなら、こんにゃくしゃ(婚約者)に好物を作ってあげよう!」
 まずはふやかしたレーズンとナッツ。それからカスタードクリームを入れたものも用意する。最後に梨のコンポート入のものを作って甘いものはこの三種類。
 とはいえ……婚約者の好きなものを、実はよく知らないと思う。
 それもそのはずで、いつもは彼がシャロンの好物に合わせてくれているのだから。
 シャロンは生地で餡を包みながら頷く。
「色々入れれば、ひとつくらいはきっと好物が入ってるわね!」
 作るのは甘いものだけではない。
 続けて準備したのは、甘辛く味付けをした牛肉。鶏肉はトマト味に。豆と一緒に煮た豚肉もある。それぞれの具材を柔らかな生地に包んだ。
「甘いものはこのまま焼いたら良いよね」
 フライパンに並べて火にかける。
 蓋をして蒸し焼きにすれば、ふんわりとした仕上がりになるに違いない。
 一方、おかずになりそうなものは衣をつけて揚げていく。
 パチパチと油が弾ける音がリズミカルに聞こえてきた。
「どれが一番好きな味か聞かないとね」
 これだけ種類があれば、どれかは気に入るものもあるだろう。
 カラリと仕上がったパンは、いかにもジューシーで美味しそうな香りがしていた。

 ルーンス・ラグネルが試作したのはフライドポテトのアレンジだ。
 醤油で下味をつけた醤油ポテト。揚げた後にハーブと塩をふりかけたもの。そして、揚げた後にはちみつを絡めてオーブンで焼いたものの三種類。
 特に、醤油ポテトは焦げないように注意を払った。
 出来上がったばかりのポテトを並べて食べてみる。
「はふ、あ、ホクって良い感じかな?」
 醤油ポテトは、塩とは違う香りと味わいがある。これだけでも美味しいけれど、何かもうひと工夫あっても良いかもしれない。
 ルーンスはキョロキョロとあたりを見回した。他の人にも試食してほしいと思う。
 と、見知った顔を見つけた。
「にいさまのお友達の江流さんだよね。よし、声かけよう!」
 揚げたてのポテトを抱えて挨拶をすると、海神・江流が顔を上げた。
 江流は炊きあがったおこわに鮭を混ぜ込んでいる。
「試食かい? こちらもおこわが炊きあがったところだ」
 そう言って、お椀に鮭入りのおこわをよそいだ。具材は舞茸と塩鮭。どちらも宝石と物々交換をして譲ってもらったものだ。料理長はたいそう恐縮して、かなりの量を融通してくれた。おかげで、十分な量のおこわを炊くことができたようだ。
「よければ、どうぞ」
「おこわ? いただきます!」
 ルーンスが席についてお椀に手を伸ばす。餅米を使ってることもあり、もちもちとした食感が印象的だ。丁寧に炊き上げたことが分かる優しい味わいも、とても良いと思う。出汁もしっかりと効いていると思った。
「美味しい!」
 笑顔が溢れるルーンス。
 さて、ルーンスの手元には揚げたてのポテトがある。
 江流は向かいの席に座って、それを見た。
「あ、ポテト美味しそう。貰ってもいい?」
「もちろん!」
 ポテトは三種類。まずは醤油を味わって、次にハーブと塩がふりかけてあるもの。最後に口に運んだのは、はちみつを絡めてオーブンで焼き上げてある。
「これ、順番に食べたら美味しいね」
 江流はそう言って、醤油、ハーブ塩、はちみつの順番に指差しをする。もちろん、揚げたてのポテトはそれだけでも美味しい。それに加え、順番に口に運ぶことで味わいが増すのだ。
「なるほど、それは良いな」
 ルーンスが頷く。
 言われた通りに試食してみると、たしかに味わいが変わって楽しかった。
 これなら兄に振る舞うこともできるだろう。一緒にお昼ごはんを食べると良いなと、ルーンスは思った。

「わーいっ、いよいよ聖霊節ですね師匠!」
 ハーヴィは仕入れてきた鶏まるっと一羽をテーブルに乗せた。肉屋で〆てもらったばかり。鮮度抜群の鶏肉だ。
 ユズはその他の調味料を確認しながらこくりと頷く。
 今日二人が作るのはローストチキンだ。
 まずは手羽先を身体の下へと折りたたみ足を糸で結ぶ。レシピを見ながら調理をするユズの手際はなかなかのものだった。
「ローストチキン。ボクの半身(妹)の、好物」
 水気を拭いたら下味をすり込む工程だ。ハーブを使うのも忘れない。幸い、鶏以外の材料は料理店に揃っていた。
「えへへ、僕、ローストチキン大好きなんです!」
 ユズの手元で成形されていくチキンを見ながらハーヴィがにこやかに手を叩いた。
 一口大に切った野菜を敷き詰めてその上にチキンが乗せられる。
「……ハーヴィも、好き、みたい。なら、覚えてみようかな、って」
 全体に油を回しかけチキンをオーブンへ。
 下味と焼き加減を間違えなければ、それほど難しい料理ではないと感じた。
 焼き上がるのが楽しみだなーとハーヴィが瞳を輝かせる。
 その隣で、ユズも左右に体を揺らしていた。オーブンからは肉が焼ける匂い。どことなく、ユズも楽しそうな様子だ。
 じっくりローストしたチキンの試食を担当するのはハーヴィ。
「いい匂いですね! さっそく、いただきます!」
 ユズが見守る中、さっそく一口ローストチキンを口に運ぶ。
 何度か肉を噛み締め、ハーヴィの表情が輝いた。
「ハーヴィ、味、どう?」
「んー、美味しい!」
 皮はパリパリ、香ばしい。
 そして中身はしっとりとしていてジューシー。しっかりと付けられた下味が良い味加減だ。
 ただ焼いただけの肉とは一線を画する、繊細な味わいも楽しめると思う。
 ハーヴィは肉を味わいながら、真剣に考えた。
 これでも十分美味しい。肉汁もバッチリだ。
 と、思いつつ……。
「あ、でも、あのスパイスを足したらもっと良くなるかも」
 思いついたスパイスを調理場から探してくる。
 切り分けた肉にふりかけてもう一度口の中へ。
 すると、最後の味わいがピリッと引き締まった。
「……うん、これでバッチリです!」
「……ん、そう。キミの舌、間違いない。信用してる」
 ユズは教えてもらったレシピに追加で情報を書き足した。

 ストレガ・L・リベルガストラが作るのは聖霊節にふさわしいグラタンだ。
 バターと薄力粉、牛乳で作ったソース。
 具材は鶏肉や玉ねぎ、茸だ。マカロニもたっぷり入っている。
「まずは基本を大切に、ひとつひとつをこなしていくのだ」
 ストレガは、どの工程もレシピ通りに分量を計り丁寧に作業をした。完成したソースの美しさは言うに及ばず。具材の味付けも、濃すぎず、さりとてぼやけていない。しっかりと風味が口の中に広がることを確認した。
「具材も、マカロニの具合も素晴らしいですね」
 思わず料理長が手を叩いた。
「手順を正しくこなしていくのが良いのだ」
 探究者であるストレガは、それでも研鑽に果ては無いという。
 次に皆の目を引いたのは、その盛り付け。
 グラタン皿の真ん中に、茹でたブロッコリーが樹木のように立っている。そして飾り切りした人参を使って華やかにデコレーションされているのだ。
「宴に出す料理は見た目の細部までこだわるのが良いのだ」
 試食用の机に運ぶと、そのグラタンはひときわ目を引いた。
「試食をし合うのも良い経験になるのだ。さあ、どうぞ頂くといいのだ」
 ストレガが声をかけると、参加者たちがそれぞれ出来上がった料理を試食し始める。
 聖霊節にふさわしい料理ができあがった。
 参加者たちは感想をあれこれと伝え合い、料理を楽しんだ。

マスターコメント

 皆様、素敵なお料理をありがとうございました。  手作り料理の練習は大成功でした!  聖霊節には手作りの料理を楽しめると良いですね! 美味しいって良いですよね。  それでは、またどこかでお会いしましょう!
イベントシナリオ

イベントシナリオ易しい 報酬:標準10 / 4〜25人

2021年12月19日 20時27分32秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. No.1

    サイラスだ、よろしくなー とりま肉料理作る予定

  2. 海神 江流

    海神江流だよ。宜しくね。 シャルガネの人なので、お米をなにか。 おこわとかあったかそうでいいかなぁ。なんて。

  3. ユズ

    えと、ユズ。……よろしく。 料理、出来ない訳じゃない、けど、ご馳走様、学びたくて参加、した。 ……ローストチキン、焼く、予定。

  4. クルタル

    クルタルだ。ちょっと作りたい料理があってな、参加させてもらった。 スパイスも用意してもらえるということだから、シナモンを借りてアップルパイを。…料理が特別上手いわけじゃないんだが、まあ、なんとかなるだろ。

  5. ハーヴィ

    ハーヴィだよ、よろしくね! 師匠と一緒にローストチキンを焼くよ!

  6. スフィカ

    スフィカだよ、スイーツ全然作ったことないからやってみたいなーって。 よろしくね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0