赤狐、巫女と出会い依頼を受ける

狐野径

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シナリオID:1705

オープニング

●残る脅威
 フィルエス大森林の南東部を襲った植物の枯死。
 その原因となっていた植物型魔獣を生み出していたフェンヌ・ダーニが討たれてまだ日は浅い。ムーセルを中心とした地域は植物や土が腐る部分もある。
 冒険者のおかげや、そのあと、近隣のエルフなどの活動もあり、何か変わってきているかもしれない。

 ウル・ヘルバはムーセルからモルアモに抜ける道を進んでいた。
 植物型魔獣が飛ばしていた胞子や土の状況から生じていたカビのようなものなどは、さほど飛んでいない状況になっている。
 太陽の光が入ってきており、明るい。
「土の状況は……まぁ、そんなに早くよくならねぇよな」
 ウルは休息をとる傍ら周囲を見た。
 長居したい雰囲気ではない。

 不意に森の中から冷たい風を感じたため、そちらを見る。
「なんか、妙に暗い? 木が茂ってるってことか? そんなに?」
 木々が茂りすぎれば暗くなる。
「でも、枯死の状況があるからおかしいよなぁ……いや、でかい植物型魔獣(ケアイデ)が残ってるのか?」
 ウルは確認のため行こうとした。

「行く必要ない!」

 モルアモの方から聞き覚えのない女の声がした。
 エルフが数人来ている。声の主以外は簡素ながらも武装しているため、女の護衛だとわかった。

 なお、女は目を丸くしてウルの耳としっぽを見た後、唇を尖らせ、眉間にしわを寄せた。
 ウルとしては森の外でもよくある感覚だったが、何か、違う気もした。
 ウルは努めて事務的に問う。
「なんで行く必要ないんだ?」
「冒険者だろう? 小さい……キツ……いや、一人で行くには難しかろう」
「小さいは余計だ」
「ふん」
 護衛のエルフが慌てて、女に注意をし、ウルに頭を下げている。

 ウルは黙っているけれども、相手のやり取りを見ながら困惑していた。
(頭下げられるって……なんか、こう、おかしい!?)
 一方で、女は、何か言いたげにウルを耳から尻尾まで見ている。その上、ため息をついた。
(つーか、この女……種族のことじゃなくて、俺自身が落胆されたってやつだよな? なんか、それはそれで腹立つよなぁ)
 ウルは努めて冷静さを保つが、尻尾がブワッと膨れて反応しているため、怒っている感じは出てしまっている。コートを羽織ると見えづらいけど、コートが膨れるからわかるかもしれない。
 そして、護衛のエルフはウルに対して謝る。

 ウルは「……で?」と話を促すように言った。
 女は咳ばらいをしてから口を開いた。
「冒険者ギルドに依頼を出したいと思うているのだ。あの場所について」
 女はウルが行こうとした方向を指さした。
「何があるんだ」
「エーテルがよどんで、異変が起こっているし、行方不明の者はそこにいそうだ」
「行方不明者? それは一大事だよな」
「うむ。授恵者ではないから一層心配だ」
 そこの状況がどうなっているかわからないし、魔物などが出現しているかもしれない。
「我らの森に戻すには活動をしないとならないから、入るのは致し方がない。ただ、警戒しても、すべてを回避できるかはわからぬ」
 場所の異変は行方不明者が出て気づいたという。
「行方不明者は……」
「われの住まう、モルアモの者じゃ」
 ウルは護衛のエルフたちの対応には納得できた。
 そうなると、護衛される女の態度がいまいちわからない。
 ハーフビーストであるという点より、ウル自体に落胆したぽいから、深く考えたくはなかった。
 ウルは、助けを求める人がいるなら、助けることだ、と自分に言い聞かせる。
「で、あんたは?」
「巫女をしているファシオじゃ」
 ファシオは続けてウルに問う。
「うぬは? 伝令を頼むとしても名は聞いておこう」
「あ、ああ。俺は、ウル・ヘルバだ」
「ウル? ……キツネ……やはり、グレイオンス爺様のところの……捨て子か」
 ウルはファシオの言葉に間違っていないため、うなずく。ただ、捨て子の前に何か言いかけて飲み込んだ間がある。
 そのあたりは不問にして、ウルは怪しいとされる方を見た。
「あそこ……フェンヌの研究室じゃね?」
「……なるほど……魔獣を効率よく生むために、エーテルを利用したのか。そこがもともとエーテルがたまりやすかったのか、それとも……あいつの行動で集まったか……か」
「……あいつ? 知ってるやつぽい言い方だな」
 ファシオはうなずく。
「年齢近いし、あいつが連れてきたイケメンを見たし! それに……いや、なんでもないっ!」
「は? イケメン?」
 ウルが思わず反芻したため、ファシオは顔を真っ赤にした。
「うわあああ! いや、あ、では、よろしく頼むぞ」
 ファシオは悲鳴を上げた後、急いで帰っていった。

 残っていたエルフ数人は神妙な顔でウルに頭を下げる。
「すみません、巫女が」
「いや、なんて言っていいのかわからねぇ」
「巫女のことはともかく、エーテルのよどみの異変があるなら、被害が広まる前に、どうにかできれば助かります。死んだ人は戻りません。しかし、生きているならば、助けたいです。それに、ムーセルに人が戻るにしても、あれは脅威になってしまいます」
 エルフはちらりと、異変が起こっているらしい方を見る。
 実際にここから何か見えるわけではない。
「ムーセルの関係者や近くの氏族の者が、少しでも森の回復のために行動をとろうとするかもしれません。たまたま、今回、モルアモの者でしたけれども……情報が出てないだけで実はもっと被害があるかもしれませんし……」
 ウルはまじめな顔でうなずくのを見て、エルフは話を続けた。
「生存しているなら助けてほしいし、すでに死している場合は……それ相応の対応を頼みたいです」
 何があるかわからないからこその覚悟の言葉。
「犠牲を止め、被害を食い止めるのが優先です。危険を承知で頼むのですから、冒険者の安全も重要です」
 ウルは真っ直ぐな言葉に胸を突かれた。
 希望を持たせる言葉は吐かず「わかった」と告げる。
「あ、一応確認だけど、何かあったら、モルアモに聞きに行けばいいか?」
「はい、答えられることなら答えます。族長も、他の者も協力は惜しみません」
 エルフたちは頭を上げ、ウルを見送った。

●依頼
 ウルは森の外で一番近くの冒険者ギルドでムーセルとモルアモの間の調査依頼を出す。
 職員が眉をひそめたのは言うまでもない。
 以前、研究室については冒険者も調べている。その時は、特に問題はなかった。そのあとも、変質したということになる。
「何があるかわからないんですね」
「まぁ……俺も入ってないし……なぁ、調査に俺も行っていい?」
 職員はうなずく。
「場所は明確ですが、すべての人がそこを知っているわけではないですから、道案内頼みます。あと、モルアモの巫女と面識あるのは強みですね」
 その瞬間、ウルの表情がゆがむ。
「何かあったんです」
「あー……嫌われてるぽい?」
「……何したんです?」
「何もしてねぇ」
 二人は頭を抱えるが、調査と直接関係ないことなので考えるのをやめるのだった。

解説

●目標・目的  森の中にある一角の調査。 ●調査場所の状況  エーテルが濃くよどみ、異変が発生している状況。  フェンヌ・ダーニの研究室となっていた家は森から見ると存在する。  ただし、見た目より中は広くなっている。 ●ウル・ヘルバ  道案内、調査の手伝いとしてついていきます。  できれば戦闘……もするつもりです。  【カバリング】できます。  なお、基本的に剣を使いますが、弓も使おうと思えば使えます。 ●PL情報  現場に行くと、フェンヌの研究室は以前見た人があれば同じように見える。知らなくてもただの家のように見える。  中に入ると、以前より広くなり、作りも変わっている。なお、通路と正面に扉が見える。  扉を開けると、20×20メートルの部屋があり、正面に扉がある。  ただし、部屋には巨大なクモと、クモの巣、糸に巻かれたエルフが数人クモの巣にぶら下げられています。ミノムシのような状況。  クモの巣は床から160センチよりは高いところにある。天井は見えづらいが5メートルはありそう。  ・巨大クモ 魔獣、全長2メートル。  「糸を吐く」粘着性のある糸を吐く。絡みつかれると【行動阻害】が付与される。  「噛みつく」対象にダメージが入ることで、BS【スリップ】の付与がある。判定あり。  「吸収」ダメージが積み重なると、糸を通して他者の生命力を奪う。  ・エルフ×4 生存しているかどうか不明。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  【呪輪】で出しましたムーセルとモルアモです。  行方不明者の捜索です。中はダンジョンぽいですが。  よろしくお願いします。

リプレイ

●澱みへ
 トーラはモルアモの巫女の話を聞き、首をかしげる。
「ウルさんが会った、モルアモの氏族の巫女様は何か隠していそうですけど、このエーテルのよどみについて何か知っているのでしょうか? フェンヌの家族を知っているとか?」
「まぁ同じ氏族だし、年近いかもしれないし」
 と、ウル・ヘルバがいう。
 トーラは「そうですよね」と言い、思考を切り替えた。
「人命がかかっているのでゆっくりはしていられません。急いで向かいましょう!」
 調査や救助を頼んでいるのだから、隠していることがあってもそこに影響があるものではないはずだ。そこは信じて救助に集中する。

 セリオス・オーガストは問題の一角に近づくにつれて、用心を強める。
 森の状況は植物型魔獣の影響が残り、見える建物の自体はエルフの里で見るような家である。これ自体は違和感はないが、視野を広く、状況は把握する。
 違和感があればすぐに対処する必要がある。エーテルの澱みがどういった影響を与えるかは、わからないから。

 ヨル・スレイマンはエーテルの澱みに近づく際、用心深く見た。
 森を、研究室の建物を。
 建物は外からでは一室二室しかない家に見える。
「中の状況が見たままとは限らないかもしれない。マッピングはしないといけないな」
 エーテルの澱みは空間にすら作用するし、どうなっているかはわからない。
 なお、以前の研究室に入った人たちの聞き取りの資料は目を通しておいた。研究室の間取りや調度など、今回ヒントになることもあるだろうから。
 ヨル自身、フェンヌ・ダーニのしていた研究には興味があるため、何か知れたらよいとも考えはした。

 カーテン・オルテッドンドンは現状の反復をする。
「迷宮化した場所で、エーテルだまりと植物の調査とクモの撃破ッス。もちろん、要救助者の救出」
 迷宮化しているところがどうなっているかわからない。
 そこを使っていたフェンヌが残したものも、どうなっているかわからない。そうなると、植物型魔獣……となり、様々なことが想像された。
「アタシは、補助に徹するッス」
 なお、救出が無事終わった暁には、教義を絡めて訴えるものを訴えたいと考えた。
 そのためには依頼の完遂が必要だ。

 アスティン・ヴェルラインは現在のところ違和感を見出していない。
 エーテルリンクでつながっている大鼬のディディは、遊びたそうだ。
「遊ぶのはあとだよ」
 ディディはおとなしく待機する。
 調査や必要なときには手を貸してもらうけれども、今はまだその時ではなかった。

 イズレンディル・パラリムは森の異変を見通す役割から、この件も放っておけなかった。
 そして、入り口の扉を透視する。見えるのは通路だが、見えづらい。
「暗いのかもしれませんね」
 真っ暗ではないため、ある程度明かりがあれば、どうにかなりそうではあった。

 扉を開ける前に、互いに知りえたことを交換した。
 そして、扉が開かれた。

●調査と救出
 開いた扉から、冷たい風が出ていく。
 土や胞子など、研究にかかわりそうな匂いを感じた。
 目の前にあるのは研究室とは縁がなさそうな薄暗い、真っ直ぐな通路。
 10メートルほど先の正面に扉があるがわかる。

 ヨルは通路の左右を見て、壁に触れてみる。見える通りの壁のようだ。
「外と中は違うし、ここは見たままか?」
 ダンジョン化がどう進んでいるかは先に行かないとわからない。ペンや閃光塗弾を用いて、壁などに印をつけることも考える。
 イズレンディルは通路の左右を見る。壁の向こうは何かという確認だ。
「左右は壁みたいですね……用心して進んで、一つずつ確認しないといけないな」
「では、先に進んで見ていきますね」
 と、トーラは前に出て【双波】で丁寧に見ていく。
 続く者たちも何があるかわからないため、注意深く見る。
 通路に仕掛けはなく、扉の前までは来られた。
 さらに、その奥は、どうなっているのか。
 調べられるところは各々見る。
 トーラは把握できたものを考える。
「クモです!? 細いのはクモの糸、巣です。あとミノムシ」
「ミノムシですか?」
 と、イズレンディルが反芻すると、トーラが「そう見えますし、中に人がいるかも」という。
 アスティンが「捕獲されているエルフ?」とつぶやく。
 セリオスが同意する。
「その可能性は高い。被害者ならば保護しないとならない」
「そうッスね。敵ってこともあるッス?」
 と、カーテンは心配げに言うが、進むためには確認がいる。

 用心を重ね、木製の扉を開ける。
 部屋はそれなりに広いが、天井近くはクモの巣がかかっており、視界が悪い。
 クモの巣は人間もつかまる危険が高そうだ。
 イズレンディルは入り口付近で身をかがめ、ミノムシ状のものの温度を見る。
「……大きさと温度……行方不明者の可能性は高そうですね」
 アスティンは眉を寄せる。
「まだ生きているなら、あのクモの貯蔵食糧ってところか」
「それは、まずいッスね」
 と、カーテンは慌てる。助けに行くにも、カーテンの背丈だと届かないが、クモがこっちを見た気がした。
「それより、あのクモ、こっちに来るッス?」
 ヨルは「来るだろうな」と言い、クモの巣をよけつつ、前に出た。
 クモと要救助者の位置を確認後、ヨルは祈りを捧げクモを封じるように【光縛封】を作った。
 巨大なクモは閉じ込められる。

 ミノムシ状態のものが要救助者であるのは、近くで操作系のスキルを行使するとわかる。
 そのため、保護する活動となる。

 ヨルとセリオスはクモと対峙する。
 クモ自体は光の柱の中にいるけれども、時間が切れるまでじっとしているかはわからない。光縛封を破ることができる攻撃があるかもしれない。
 もしもを考え、救助完了までひきつける役割がいる。
 セリオスは矢をつがえ、いつでも狙うことができるようにした。
 ヨルは盾(パルムラ)を手にクモの様子を見る。
「クモというのは、少し彼女らしくはないかな」
 フェンヌは植物型の魔獣を作っていた。クモの魔獣は育てたというより、これ自体が異変に巻き込まれたのかもしれないし、引き寄せられてきたのかわからない。
 何にせよ討伐はしておかないとならない。

 アスティンはディディにクモの巣に乗ってもらい、要救助者が入るのものを支える糸を切ってもらおうとした。
「救助を優先しないと、この手の魔獣は傷をいやすために、捕食行動をする可能性があるしな」
 気を付けないとクモの巣に絡まる可能性がある。
 ティディは器用に上って近づくが、前足で触ったところがねばねばしていたのか、怒っている。安全そうな道を確保し、ティディは所定の位置についた。
 噛み切るには難しそうだという感触。
 アスティンは矢で糸を削れるか試す。
 矢自体はあてることはできそうだ。
「よし、追撃頼む」
 アスティンが矢を放ち、そこにティディが魔法攻撃をする。
 攻撃が加わったところは細くなり、糸は切れた。
 途中でクモの巣にかかったが、アスティンの手も届くところであるため、引き落とす。そのまま、入り口付近に運んだ。

 トーラは壁を走り、要救助者の糸を切る。
「カーテンさん、ヨルさん、糸を切るので回復をお願いします!」
 クモは閉じ込められた直後なため、救助に集中した。
 支えていた糸を切り、入り口付近にいるカーテンのところに連れて行った。
 盾を持ち、隠れる場所を作るウルの背後に回ったところで、糸を短剣で切る。
「まず、一人目です」
 トーラはカーテンに任せ、救助に戻った。

 イズレンディルは魔法攻撃でクモの糸を切断できるか試みる。
 要救助者がいるところを避けるように【メテオライト】で狙う。
 光弾が当たったクモの糸はちぎれて落ちる。視界を遮る糸が減ると同時に、クモが冒険者の頭上を移動できなくなることも意味していた。
 手ごたえは感じたが、まずは、保護した人を入り口の方に運ぶ。
 カーテンにその先は任せてから、自身はクモの巣の対処にあたる。
 あと一人、保護できれば、クモ討伐に集中できるが、光縛封の時間は限られている。
「トーラさんはそのまま、救援に集中してください」
「わかりました」
 イズレンディルはトーラの返答を聞きつつ、クモの位置を見て【メテオライト】で巣を破壊した。

 ヨルが「そろそろ、動くぞ」という。クモは自力で脱せなかったようだが、光縛封の効果時間が来る。
 セリオスは要救助者とトーラが移動ルートを考え、位置取りをした。

 カーテンはまず一人目を診る。脈や呼吸など医学・薬学の心得をもとに。
「生きているッス」
 衰弱しているのは毒の可能性を考え【解呪】を試みる。
 毒があっても排除されたが、衰弱に関してはここでできる処置は少ない。今は彼らを守り、早い段階で里に届ける必要がある。
 ウルは糸に巻かれたままの人を救出するため、その糸をナイフで切り裂く。
 カーテンは中から無事出せた人を診ると、やはり、衰弱か毒かということだ。
「できれば、早く外に連れていく方がいいッスね」
 カーテンは戦いに加わるかどうか、このままで大丈夫かということを考え出す。
 気がそぞろになったことに気づいたウルが「救助に集中しろ」と言った。
 カーテンははっとして「わかったッス」と答え、三人目の状況を見て、最後の一人を待つ。

●討伐と調査
 光の壁は消え、クモが動き出す。
 クモは獲物がいなくなっていることや巣が壊れていること把握し、近くにいるヨルに向かって糸を吐き出す。
 ヨルは防御で耐える。
「ウル君、もしもの時はそっちは頼むよ」
 ウルが「わかった」と返す。
 クモは目の前のものに集中しているが、何かのはずみで後方の状況に気づき、そちらに向かうこともある。そうなれば、動けないエルフたちはどうしようもできない。
 セリオスが【バスターアロー】をクモの腹を目がけて放った。強力な一撃を食らうと、甲高い嫌な音を発した。痛みに対する悲鳴なのかもしれない。
 イズレンディルがクモを含め、巣を【メテオライト】で狙う。

 トーラは壁を上り、クモの糸に巻かれた要救助者を支える糸を切った。
 しかし、その下にあるクモの巣がしっかりしていたのか、それ以上落ちてこない。
 クモの巣を切り落とすため近づこうとしたけれども、粘着性があることを考えると下手に近づけない。床から手を伸ばしても届かない位置だ。
 近くにいたアスティンが「手伝うよ」というが早いが、それを引っ張った。
「ありがとうございます」
 二人はそのまま、救助した人を抱え、走りだす。

 クモがその動きに気づく。
 セリオスがすぐにエーテルを込めた矢を放つ。
「さっきの攻撃を覚えているだろう?」
 攻撃の矛先を自分たちに向けたかった。
 イズレンディルが今回最後の【メテオライト】を放つ。クモがいる周りの足場はかなり崩れている。
 ヨルはクモの位置を考え【銀貨】で攻撃をした。
 クモは次々とくる攻撃から、遠くの何かではなく、近くの敵を狙うことにした。
 セリオスに向かってとびかかる。噛みつかれる寸前でセリオスは避ける。
 一瞬、クモは床に降りたが、まだ残っている巣に戻った。

 アスティンとトーラは、一目散に救助した者を運ぶ。
 盾を持ち警戒するウルの背後に一気に回り込む。
 トーラは「これで最後です」と言いながら、クモの糸を切り取っていく。
 カーテンは「わかったッス」と言い、救助されたエルフを診た。
 アスティンはクモ討伐に戻る。矢を引き抜き、弓につがえる。

 セリオスはそのままクモに向け、矢をつがえ【鋭射】を放つ。
 ヨルも味方への被害が現状ないため、【銀貨】を放ち攻撃を重ねる。
 イズレンディルは【魔弾】とアスティンの【鋭射】もクモに向かう。
 クモは避けることがうまくできなかったのか、かなりのケガを負っていた。

 トーラはカーテンにエルフを託した後、クモと巣の状況を考え、どう攻撃するか、検討しつつ、壁沿いを移動した。

 カーテンはエルフが生存しているのを確認後、【解呪】を試みた。
「次はあたしもいくッス」
 衰弱しているエルフたちを助けるためにも、魔獣のクモを討伐すべきだった。

 クモは必死になっていた。
 そのため、近くにいる冒険者の動きを無視する形で、近づいてくるトーラに向かって糸を吐き出した。巻き付けたかったのだけども、あっさりとよけられる。

 冒険者は冷静に攻撃を畳みかける。
 ヨル、セリオスとアスティンもスキルが許す限り、攻撃を続ける。
 イズレンディルは【高速多段式超魔法】を用いて、エーテルをかき集め、【魔弾】を放つ。クモの様子から一押しを仕掛けておく。
 トーラは【腱撃】で攻撃を仕掛けた。
 カーテンはクモに近づいているトーラを考え【輝足】を掛ける。

 クモは糸をさらに吐く。必死に攻撃をし、挽回を求めているように見えた。
 段取りを考え攻撃をしている冒険者は、そこからも冷静に攻撃を重ねた。
 そして、クモは倒れた。

●調査と報告と
 ヨルは部屋の調度品の状況を見るが、部屋自体はクモの巣以外は何もなく無機質と言っていいくらいだ。
 あらかじめ聞いていたフェンヌの研究室のものはないように見える。
 核心に触れるものはこの先なのだろうかと考えた。
 イズレンディルは部屋にある扉の先を透視を用い見てみる。
「通路ですね」
 セリオスは【孤高者の双波】で壁の先を見ていく。扉以外に何か変なところはないかの確認だ。
 トーラも部屋の構造のおかしいところはないか見ていく。壁を歩き、違う角度でも見る。
「特に何もないです」
 部屋の見た目は見たままのようだ。
 カーテンは自身の目や勘で見る。
「明かり持ちはするッスよ」
 扉を開ける際の手伝いはする。
 アスティンはエルフたちの様子を見る。
 部屋の調査も必要である一方で、エルフたちを放ってもおけない。

 部屋の先を見るべく扉を開ける。
 その先は通路になっており、先は見えづらい。さらに、通路の左右に扉も見えた。
 イズレンディルが「再調査、いりますね」という。
 助けた人たちがいるし、準備もせず、このまま進むことはできない。
 ヨルは建物の素材など見る。木製の家の片鱗は残している。
 調度品があるかどうかは、通路を見る限りではわからない。

 なお、通路の先の方から音がするような気がした。
 ここまでのマッピングはきちんと行い、保護した人たちを連れて一行は外に出た。
 モルアモまでは特に問題なく到着する。
 里の人たちは冒険者が来たことに驚くが、理由を知りすぐに対応してくれた。
 ここで、衰弱している人たちを引き渡した。
 一行は族長や巫女ファシオに状況を説明した。
 族長は簡単に調査は終わらなかったこと驚くが、すぐに礼を述べる。
 そして、周囲への注意喚起や警戒は買って出る。
 ファシオは冒険者一行を見て、素直に礼を述べた。
「助かった。準備が整い次第、次……だな」
 ファシオの冒険者を見る目は憧れに近いようでもあった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  救出ありがとうございます。ええ、分担やら段取りがはっきりしており、問題が起きようがない状況でした。結果、敵の能力、生かせず……生かせず……。そもそも、生かしちゃった状態だと、ああなってこうなるため大失敗ですもんね。生かせない方がよいんですけどね。  ダンジョン深そうに示しましたが、ゴールに向かって好スタートとなりました。  ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:多い6 / 4〜6人

2021年12月20日 20時02分23秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. トーラ

    シーフのトーラです。 よろしくお願いしますね! エーテルだまりの調査ということですけど、迷い込んだエルフの人の捜索もしっかりやりたいですね。 捜波・改か双波を用意していくつもりです。

  2. カーテン・オルテッドンドン

    ヒーラーのカーテンッス。 エーテルと調査、救出とごった煮だけど頑張りたいっス。

  3. イズレンディル・パラリム

    エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 故郷で問題が発生しているという事で駆けつけました。宜しくお願い致します。 一旦現状の整理ですが、このような認識です。相違なさそうでしょうか? 何かあればご指摘下さいね。 ●調査場所  フェンヌ・ダーニの研究室の家がある。  ダンジョン化?している為、建物外見と内部構造は一致しない可能性が高い。 ●部屋内  部屋形状:20×20メートル、高さ5mの部屋。正面に扉  敵   :巨大クモ1体  クモの巣:床から160センチ以上高所  要救助者:エルフ4人(蜘蛛の巣でミノムシ状態、生存不明) ●その他  正面の扉の先は不明。  扉の先にさらなる要救助者や敵性クリーパーが存在する可能性あり。 >方針 部屋内のクモを退治してエルフ4名を救出、までは確定かと思います。 クモには「糸を通して他者の生命力を奪う」能力があるので、先にエルフ4名を救出したいですね。そのまま交戦すると生命力が吸われて死亡するかもしれません。 撃破後は、正面の扉の先の調査、でしょうか。 行方不明者が何人いるかわかりませんから、しっかりと探索したいですね。 トーラさんの調査力には頼らせて頂くことになりそうですし、調査に時間がかかり消耗するようでしたらカーテンさんのヒーラーとしての回復も頼もしいですね。

  4. ヨル・スレイマン

    ヒーラーのヨル・スレイマン。宜しくね。 イズ君はまとめありがとう。現状の認識として相違はない。 やるべきことはざっくり「救出」「探索」「調査」だね。 >方針 全体的に、救助が必要な場面において常時救助優先くらいで良い気がするね。 最初の部屋内のエルフ数名の救出の手順についても、イズ君の言ってる『先に救出を行う』のが良いと思う。その間は蜘蛛を足止めした方が良さそうだね。俺も光縛封は持っていける。 >個人 救助対象の回復や調査時の皆の回復が優先かなと思うので、今のところは回復スキルを多めに持っていく予定。 調査のための汎用スキルは何を持っていこうかな。これは少し迷っておくね。

  5. セリオス・オーガスト

    ・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず方針は俺もそれでいいと思う。 まずは一番危急の障害である蜘蛛を取り除かんとな

  6. イズレンディル・パラリム

    ヨルさん、セリオスさん、宜しくお願い致します! 回復も探索も出来そうな布陣で頼もしいですね。 方針のご確認ありがとうございます。 ヨルさんに光縛封をして頂ければ、先に救出が出来そうですね。分担すれば時間も十分かと。 救出方法は射撃で糸を切るか壁歩きで天井まで行くか、でしょうか。 大枠が問題なければ、後は対蜘蛛の対策でしょうか。 糸の対策は必要になりそうですよね。燃やすのでしたら爆炎があるのですが、部屋が狭すぎて全員巻き込んでしまいます。松明などの火で燃やせればいいのですが…無理でしたら魔法攻撃をぶつけて見ましょうか。 蜘蛛は天井から襲って来そうな点も要注意ですね。前衛後衛、の枠組みがあまり通用しないかもしれません。全員ある程度耐えられるように備えられれば楽ですが、難しい場合は【魔法の壁】を配置して盾にして頂くのも有りかと思います。 >個人 探索用に透視とサーマルアイを考えています。 戦闘では魔法火力担当になりますね。火力は高めにしておこうと思います。

  7. トーラ

    定員ですね。 改めてよろしくお願いします! 方針はイズレンディルさんとヨルさんの言う通りでいいと思います。 なるべく早くエルフの人を救出しましょう! 蜘蛛糸は切れないか試してみるつもりですけど、攻撃力はあまり高くないので切れなかったら蜘蛛の妨害とかに回ろうと思います。

  8. アスティン・ヴェルライン

    顔出し遅れてごめん。シューターのアスティン。よろしく。 方針は了解。 蒸留酒とか油と火を併用すれば燃えそうだけど、 煙とか二次被害が結構まずそうだな。 矢で撃ちおとしたり、大鼬がかみちぎれないか試させてみようかな。

  9. ヨル・スレイマン

    枠が埋まっていたね。頼もしいな。 >蜘蛛戦 そしたら初戦初手で光縛封を使うよ。 糸を切る手勢が充分のようなので、以降も蜘蛛の足止めに回ろうと思う。 館内で同じような戦闘になる場合も、基本的には救出までの足止めをメインにしておくつもり。 >ウル君 今回の編成を考えるとカバリングが頼もしい。 蜘蛛が抑えきれなかった場合、救出対象側に行かせないように使って貰えるとすごく助かると思う。 他に頼むことがないなら、俺から頼んでおくけどどうだろうか。 >個人 そしたら残留思念感応は持っていこうかな。救出対象の思念は拾える可能性もある。 もう一つは看破かな⋯⋯と考えている。

  10. イズレンディル・パラリム

    定員埋まりましたね。 アスティンさん、宜しくお願い致します! >蜘蛛戦 ヨルさん、光縛封ありがとうございます。 では初動は私も救出に動きますね。トーラさん、アスティンさんとそれぞれ違う手段で切りにいけますから、少なくともどれかは上手くいくと思います。よろしくお願いしますね! >ウルさん カバリングを中心に動いて頂くと助かりますね! 記載ありがとうございます、ご記載頂いた動きで問題ないと思います。

  11. トーラ

    とりあえず、捜波を使ってエルフの方の無事を確認しようと思います。 ウルさんへのお願い助かります! 部屋があまり広くないので、後衛に攻撃が行った時のカバリングは助かりますね。

  12. ヨル・スレイマン

    意見ありがとう。そしたらカバリングを頼んでおく。 探索も救出も皆の手が厚くて安心感があるね。 それでは、当日もよろしく。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0