【帝国】これよりはぐれクリーパー掃討を開始する

岩岡志摩

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シナリオID:1584

オープニング

●戦後処理
 帝国都市ダルトートに生えていた幽界樹がクーネ・ルウに両断され、分かたれし幽界樹や配下のクリーパー群との戦いには一応の決着がついた。
 クリーパー群は大半が討ちとられたものの、全て撃破されたとは言い難く残存するクリーパーは、はぐれと化して周辺にある土地を食い荒らしているようだ。
 生産性のないのがクリーパーだ。1か所にまとまっていたら、飢えてお互い食い合う状況も起こり得る。
 はぐれクリーパーの位置を示す情報は次々と冒険者ギルドにも届けられている。
 そして今回、ある冒険者ギルド支部へ情報を持ち込み、はぐれクリーパー退治の依頼を出したのは、リーンエス王国のフローラ・ウォレス伯爵だった。

●依頼
 伯爵によると、はぐれクリーパーの一部が帝国側から国境を越え、伯爵の領土に迫りつつあるようだ。
「数体程度でしたら私の私兵達でも対処できますが、1か所だけ無視できない数が集まってきています」
 その1か所で土地を荒らしているクリーパー達を退治するために、今回冒険者達の助力がいると、伯爵は説明する。
「今の段階ではまだ私が領有する土地までは来ていません。しかし放置すればいずれ被害を受けることは確実です」
 伯爵側がクリーパー達を掃討するために出せる戦力としては、私兵団に所属する兵士で50人ほど。
 ただしいずれも一般人で得意とする武器は弓矢が主であるため、距離を詰められると弱い。
 少数のクリーパー相手ならば数で押しきれるものの、ある程度まとまった数が相手ではその弱点を突かれる危険が高くなる。
 伯爵は別の戦力が必要と判断し、冒険者ギルドに話を持ち込み、今に至る。
 伯爵としては、これまでにも自身の私兵団を鍛え上げ、様々な依頼をこなしてくれた冒険者に感謝している面もある。
 応対したアルヒ・ラスカスは伯爵がこれまで収集できた情報を一通り聞き終えると、あることを確認する。
「そちらから派遣される私兵団の指揮権は冒険者達が引き受ける、ということでよろしいですね?」
 現場での指揮系統が混乱しないよう、アルヒは伯爵に確認をとると、伯爵は頷きを返す。
「これまでも私兵団は冒険者の皆さんに導かれ、指示を受け経験を積み重ねてきました。よほど無茶な指示でない限り、彼らも冒険者に従います」
 その言葉には、伯爵が冒険者達を信頼していることが伺える。
 なおもアルヒは伯爵とやり取りを行った後、はぐれクリーパーの群れを退治する依頼を斡旋するため動きだした。

●やること
 今回皆様にお願いするのは、ウォレス伯爵私兵団(総勢50名)と共に指定された場所で、はぐれと思しきクリーパーの群れを撃破もしくは撃退することです。
 既に伯爵側の調査によって、クリーパーの群れがどこに出現するのかは、ほぼ特定されています。
 私兵団の指揮権はこの依頼に参加する皆様に帰すると、伯爵より言質をとっていますので、彼らは皆様の指示に従って動きます。
 私兵団の兵士は全員一般人でその武器の大半は弓矢ですが、これまでも皆様の指示に従って複数の実戦を経験してきたので、既に新兵の域を出ている中堅クラスです。
 問題のクリーパー群ですが、先の決戦で冒険者達による討伐から生き延び、王国まで南下してきた奴らも含まれているようです。
 大きさは小型で、枯れ木に顔めいたものを生やしたような姿であることが、これまでの調査で明らかになっています。
 このクリーパーですが、共通の特徴として作物の育つ土地を荒らし、その場所にあるエーテルを吸い上げます。
 エーテルを吸い上げられた土地では作物が育ちにくくなり、クリーパー群に襲われた箇所の一部では、既に凶作が発生しているの情報もあります。
 今回依頼を出してきたウォレス伯爵の領地では、このはぐれクリーパー群に襲われたという報告はありませんが、このまま放置すれば広範囲の土地が荒らされ、農作物の生育に影響が出るのは確実でしょう。
 それを未然に防止するためにも、どうか皆様のお力添えをお願いいたします。

解説

●目標  はぐれクリーパー群を撃破もしくは撃退  失敗条件:犠牲者が出る  登場  クリーパー×20  枯れ木に顔を生やし、根を動かし移動しているような外見の小型クリーパー。全高2m程度。略称『樹』。  目の部分は空洞で、口から光線めいた攻撃を放つ。射程6程度で魔法攻撃扱い。    私兵団  ウォレス伯爵配下の私兵で総勢60名。今回の皆様の増援で全員一般人。  過去に何度か冒険者達に鍛えられ、着実に練度を上げている。  40人が射程20の弓を装備し、10人が盾を、残り10人は槍を装備する。全員皆様の指示に従う。  アルヒ・ラスカス  今回の増援その2。授恵者でクラスはヒーラー。皆様の指示に従う。使用可能スキルはヒール、解呪。  事前にアルヒへ申請すれば、ある程度のものは用意できるが、これ以上の増援要請には応じられない。  状況  シルトラース帝国領の中でもリーンエス王国国境に程近い場所にある、廃村の1つ。  帝国崩壊前まではこの村でも人々が暮らしていたが、ヴィント奪還後も人々は帰還しておらず、無人。  現地時刻は正午で天気は快晴。周囲は草木で生い茂っているため、身を隠す場所は複数ある。  敵の撃破ないし撃退が任務だが、危険と判断できれば退却して構わず、判断は皆様に委ねられている。  なお現場一帯は周辺を封鎖している伯爵配下の手の者以外は無人の為、皆様は避難誘導を考慮する必要はない。  以下村の簡易見取り図。1マスあたり10×10m。  予測では村の左側(北)よりクリーパー群は来る模様。右(南側)の王国方面に逃げれば退却できる。  皆様は好きな場所からスタートが可能で、上記私兵団を好きな編成で下記見取り図内に配備できる。   ↑東   ABCDEFGHI  1櫓※■+櫓※※+櫓  2※ 樹→畑■■ ■  3樹→  4 樹→  ■  5+※■ 畑■■ ■  6樹→       ~→王国  7 樹   畑畑 ■  8+畑■ ■畑■ ■  9櫓※※ 櫓※※ 櫓  ■:住居。平屋で高さ約3m。1個につき5人まで身を隠すことができる。  櫓;村を守る施設。物見台(高さ10m)がある。収容可能人数は各5人。  畑:作物が植えられたままになっており、上記クリーパー達が率先して狙う対象。  +:防壁。高さ5m。  ※:藪。崩れた部分に草木が生い茂り、藪と化している。1マスにつき2人まで身を潜めることは可能。  樹:クリーパー群。1個当たり4体。

マスターより

 決戦シナリオ、お疲れさまでした。  今回はその残党と思しきクリーパーが群れをなして南下しつつあるため、被害が出る前に撃破するか、南下を阻止する形で撃退をお願いいたします。  私兵団は過去に冒険者達の指導や指揮を受けており、全員冒険者達を尊敬しているので、指示には従います。  皆様は私兵団の数を加えれば数的有利や地の利も確保しているので、皆様のほうが有利です。  ご不明な点がございましたら、出発36時間以内まででしたらアルヒかウォレス伯爵(フローラ)が答えられる範囲は答えます。

リプレイ

●展開
 はぐれクリーパー(以下『樹』と略)を迎撃すべく、冒険者達はウォレス伯爵私兵団と共にその廃村へと到着する。
 シャロン・ラ・モリエールとロゼットは私兵団の兵士達に指示を飛ばし、5人から10人で1組を作らせると、まず廃村中央を走る道沿いに前衛の盾兵と中衛の槍兵、後衛役の弓兵を配し、櫓や近隣の家屋にも残る弓兵達を配備していく。
「後々の被害を思うと、ここで全滅させておきたいわね」
 ロゼットは戦闘後のことも考慮しながら兵士達一人一人に語りかける。
「この廃村にも、いつか住人が戻ってくると信じて、畑への被害も少なく済むように戦いましょう」
 ロゼットはそう言い終えると、自らは北西方向から来る樹の群れに備える。
 ロゼットと共同で配備を進めていたシャロンも、犠牲者が出ることを防ぐため、入念に配備状況を確認していく。
「土壌は浄化で復活の目がありますが、死んだ人はよみがえりません」
 シャロンはこの廃村での迎撃に失敗した場合は、私兵団を退かせるため、畑を樹の餌にすることも視野に入れている。
 その目安としてシャロンは私兵団の3割が負傷したあたりで、健常な人達に補助をさせながら、撤退するつもりでいた。
「しかしそれは最後の手段です。なるべく畑も守りつつ戦いましょう」
 シャロンも私兵団の兵士達に退却の目安も含めた訓示を行い、自らは村中央を通る2本の道の内、東寄りの道で樹を待ち受ける。
「はぐれクリーパーは放っておけば土地がどんどん荒れていき、被害が広がるだろう」
 ライナ・フレイヴァルツは村の中央よりやや東側から超視覚を駆使して、ここに来ると思われる樹達を探索していく。
 樹の狙いは既に判明しており、この廃村を襲うことはほぼ確定している。
 放置すればライナの言う通り、凶作となる場所が増え、冬を越せなくなるところも出るだろう。
「そうならないためにも、ここでしっかりと殲滅を行い、この地の安息を取り戻そう」
 ライナと同じような危機感を、その近くにいるフロマーシュ・ダイヤドロップも抱いていた。
「まだ大地を荒らすクリーパーが……!」
 既に本体というべき『幽界樹』は撃破されているが、はぐれであっても放置していいクリーパーではない。
 そうフロマーシュは考える一方で、優先することがある。
「協力していただける方たちの為にも。みんなも畑も、ライナ様も、全力で守ります!」
 フロマーシュはクリーパーの撃破よりも犠牲者を出さないこと、被害を抑えることを念頭に置いていた。
 そしてセリオス・オーガストは、村の中央にある家屋の屋根へとよじ登り、その上から周囲を見渡す。
 周囲にはセリオスの視界を遮るものは少なく、射撃支援を行うには最適な場所と言える。
「ここから東西どちらの戦場も見通すことはできるが、畑での戦闘は控えたいところだな」
 セリオスは樹たちを可能な限り、畑に到達する前に倒すつもりでいる。
「フレイヴァルツの言う通り、作物を狙われて畑を荒らされた結果、作物の生育に影響が出たら負けだからな」
 セリオスもまたライナと同様、今後のことを考慮して戦闘を行う腹積もりだ。
 やがてライナの超視覚が、樹木のようなクリーパーの群れを捉える。
「来たぞ。北方より例のクリーパーらしき群れが来た。私兵団は総員配置につけ」
「ライナ様。私の方からも確認できました。クリーパーの数は全部で20体です」
 ライナからの連絡に加え、フロマーシュも看破スキルを駆使して探索した結果を周囲の味方に報せていく。
 やがて他の冒険者や私兵団兵士達の目にも、北側より廃村へ到達した樹の群れを視認する。
 その頃には冒険者達も私兵団も配置につき、迎撃準備を整えていた。
「おっしゃ! 派手に暴れてやんぜ!」
 ここでハヤト=ガラン=ヴォルファングが、戦端を開いた。
 ハヤトは他の方面や後方の守りを仲間達や私兵団に託し、自身は先陣を切って北西方面より樹の群れへと切り込んでいく。
「俺の役割は戦場を縦横無尽に暴れ回ることだ。戦果をもって私兵団を鼓舞しながら、士気向上を図るぜ」
 ハヤトは自身の果たす役割を心得ており、最も先頭にいる樹との距離を詰めていくと、勇牙嵐撃を行使する。
 ハヤトの魂に宿る狼鬼の本能が解放され、樹へ肉薄したハヤトの体が旋回し、焔雷獣の拳爪蹴牙を纏った蹴りと、藍玄の忍刀が交互に繰り出される。
 樹の身は2度爪牙に貫かれ、斬撃に裂かれたところでその生命を断たれ、倒れていった。

●交戦
 ハヤトの切り込みが開戦の合図となり、村の南側で守りを固めた冒険者達と私兵団が、樹の群れへの迎撃を開始する。
「これから敵の一部を隔離します。私達が敵の足止めを行うから、協力して撃破しましょう」
 シャロンは礼儀正しい口調のまま、兵士達にそう告げると光縛封を行使。
 シャロンの祈りとともに、輝きを発する光の檻が樹の群れの中に顕現し、範囲内にいた樹達を光の檻で囲い込み、他の樹達と分断していく。
「分断されている間に、道沿いにいる弓兵は後退しながらの引き撃ちで、外の個体から順繰りに各個撃破を」
 シャロンの指示と共に、弓兵達より弓弦が矢を放つ響きがあがり、矢の飛翔音が樹達へと降り注ぐ。
「盾兵はしっかり構えて。来るわよ!」
 村の北西方面より兵士達の射撃結果を観測していたロゼットは、兵士達に守りを固めるよう命じる。
 ロゼットの言葉通り、樹の群れより幾条もの光が放たれ、冒険者達や兵士達のいる場所へと飛来する。
「アルヒは後方で味方の回復をお願いするわ」
 ロゼットはアルヒ・ラスカスに後方支援を依頼し、それを受けたアルヒが後方でその役目に回る。
 今のところ樹からの攻撃は藪や地面を抉るだけで命中率が低く、樹達の狙いは兵士達ではなく畑にある。
 戦術眼スキルでそう分析したロゼットは祈雷2を行使する。
「雷を司る神よ。その鎚を振るい給え!」
 ロゼットの祈りに応じるように、樹達のただ中に霧が出現した。
 次いで霧の中に雷の嵐が出現して荒れ狂い、霧の中にいた樹達を雷が打ち据え、樹達は生命を奪われ倒れていく。
 ロゼットの応雷2から逃れえた樹達にも、既にセリオスがダマスカス鋼の短弓Reを向けていた。
「物陰に身を潜めるわけでもなく、ただひたすら畑を狙うのか。俺としては好都合だが」
 セリオスは樹に対し特に感慨はない。目の前に現れた敵を撃破するだけだ。
 ここでセリオスは天眼を駆使して全体の戦況を確認する。
「今の状況なら、西側にいる敵の撃破に専念するのがよさそうだ」
 東側の状況も確認したセリオスはそう判断すると、弓弦を引き絞り炸光矢3を行使。
 エーテルを籠めた光の矢が弓弦を鳴らして放たれ、樹達の塊の一つへ吸い込まれると、光の矢は炸裂して光の破片となって周囲に飛び散った。
 範囲内にいた樹達はその身を切り裂かれ、命ごと削り取られて倒れ、沈黙する。
 ロゼットやセリオスの範囲攻撃を免れた樹にも、周囲の櫓や道沿いに配備された兵士達の矢が降り注ぐ。
「こちらが終わったら、次は東側の救援に行くとするか」
 戦術眼スキルでそう判断したハヤトは、東側にいる味方の動向から前方へと視線を戻し、獰猛な笑みを見せる。
「うるぁ! これがブレイブファング傭兵団の戦い方だぁ!」
 叫びをあげたハヤトが疾風足を行使して、猛然と吶喊する。
 人の形をとった暴風のように駆け回り、殺到する樹からの光線を見切り2を行使して躱したところで、ハヤトは勇牙嵐撃をさらに行使。
 樹の懐へ飛び込んだハヤトより蹴撃が放たれ、嵌められた爪牙が樹の身を穿つと、ハヤトの身が旋回して横殴りの斬撃が樹の身を切り裂き、さらにハヤトは体を回転させ、追撃の回し蹴りを叩き込む。
 嵐のごとき連撃に耐え切れず、生命を断たれた樹は仰向けに倒れ、動かなくなる。
 そして東側では、シャロンの光縛封に捕捉されなかった樹達が、兵士達の援護射撃を受けたライナとフロマーシュによって数を削られていた。
「ライナ様。シャロン様。このまま押し返せば畑への被害は出ない模様です」
 フロマーシュは看破スキルも駆使して、自身が確認できた情報を周囲の味方に報せていく。
「了解だ。私も同じ見通しを立てているぞ」
 ライナもまた自身の天眼や戦略眼をもとに、フロマーシュと同様の見解に至ったようだ。
「こちらの敵はまとめて攻撃することが可能か。味方を巻き込む心配がなさそうだな」
 ライナは改めて自身が担当する場所の戦況を確かめ、そう分析するとタイダルストリーム3を行使する。
 ライナが前方へ突き出したイノセントロッドの先が発光し、やや遅れて轟音と衝撃波を伴うエーテル光の波が撃ち放たれ、直線上にいた樹達を飲み込み、薙ぎ払う。
 まともに攻撃を浴びた樹達は光の中でその身が微塵に砕け、光が消えた頃には破片が霧散し、その姿を消していた。
 ライナが強制的にこじ開けた間隙を突く形で、フロマーシュがチャージングを行使して疾走する。
「できるだけ複数の敵を阻めるように。そして、より窮地に陥っている方を守るように使います」
 そしてフロマーシュは畑の前に立ちはだかり、殺界を行使。
 鉄の祭刀にエーテル光が纏い、長大な刃を形成すると共に、不可視のエーテルが展開して、周囲にいる樹達を包み込んでいく。
 直後、祭刀が風を裂く音に続き、樹達の肉を断つ異音が幾重にも重なって響き渡った。

●撃破
 村を襲った樹達の討伐は、冒険者達が主導して順調に進めている。
 西側では輝甲を行使したロゼットが、樹からの攻撃を防いでいた。
「槍兵は前に! 盾兵は後ろの弓兵を護衛。一緒に倒すわよ!」
 輝くエーテルをダマスカス鋼の盾に収束させ、防御を向上させたロゼットが兵士達に指示を出し、樹達に損傷を蓄積させている。
 ロゼットの命令を受け、弓兵が櫓や通り沿いから矢を撃ちかけ、後退する盾兵と入れ違いに、槍の穂先煌めかせた槍兵が押し出してくる。
「ここの戦闘が終わったら、次は東側の加勢に向かうわよ!」
 ロゼットは次の目標を兵士達に伝えると、射程に入れた樹に向けエーテルブローを行使。
 ダマスカス鋼の祭棍が眩い光を宿して鋭く振り下ろされ、肉を叩き潰す異音が響き、既に弓兵達の射撃で損傷を負った樹はその一撃で絶命した。
「残りの始末は俺がするぞ。お前は東側に残る敵の始末に加わってくれないか?」
「了解だ。向こうの始末は引き受けた。後はよろしく頼んだぜ」
 セリオスとハヤトは短いやり取りをすると、ハヤトは疾風足を行使して東へと急ぎ、セリオスは残る敵に短弓を向ける。
「単体で生き残っているようなら、鋭射やラピッドショットでトドメを刺すところだが……」
 セリオスがその天眼を駆使して調べた結果、樹は依然としてある程度纏まって動いている。
「バラバラに動かないとは好都合だ。おかげで狩りがやりやすくなる」
 そう判断したセリオスは射撃位置を調整し、直線上に樹達を捉えたところで貫通衝撃射3を行使。
 エーテルを籠めた矢が弦を鳴らして射出され、セリオスが目標とした地点で破裂し、放たれた衝撃波が樹達を薙ぎ払う。
 既に弓兵達からの射撃を受け、損傷が蓄積していた樹達は耐え切れずに身を引き裂かれ、倒れて動かなくなる。
 そして東側ではシャロンが兵士達に指示を出し、樹を畑や兵士達のいる櫓に近づけないよう防戦を続けていた。
「負傷したら、無理をせず一度後退して治療を受けて下さい」
 シャロンは兵士達を指揮する中、自身も時折ヒールを行使して、負傷した兵士の治療も行っている。
 既にシャロンの光縛封は解除され、光の檻に囲まれていた樹達も弓兵達の攻撃を受け、損傷を蓄積させている。
「今のところ畑への被害はないわ。このまま殲滅できそうね」
 戦術眼を駆使してこれまでの戦況を分析し、そう判断したシャロンは前に出て、樹達へと突っ込んでいく。
 一気に樹達へ肉薄したシャロンは、薙ぎ払い2を行使。
 イノセントローズが光の刃を纏って周囲を一閃し、周辺にいた樹達を薙ぎ払う。
 その一撃で絶命した樹達の胴が切断され、まとめて宙に舞い、地面に叩きつけられ転がっていく。
 残る樹達は怯む様子はなく、ただ畑を目指して進み、光線を飛ばしてくる。
「敵の増援が来る可能性はないようだが、ここから先の戦いは味方や畑を巻き込む危険がありそうだな」
 ライナは天眼と超視覚を駆使し、樹達が来た方角や戦域となっている場所を確認し、フロマーシュやシャロンに報せる。
 そのフロマーシュは、樹の攻撃を受けそうな兵士に向けカバリングを行使してその前に割り込むと、ひらめく白衣の盾を掲げた。
 翼の羽ばたきにも似たフォルムが、樹からの光線を防ぎ止め、後方に攻撃を通さない。
「マーシュ。私兵団から重傷者は出ているか?」
「ご安心ください。数名が軽傷を負いましたが全員回復しています」
 兵士を守り抜いたフロマーシュは、私兵団も全員健在だとライナに答える間に、西よりハヤトが加勢して残る樹達へと突っ込んだ。
「変則的な攻撃パターンをいくつか用意できれば、敵に動きを読まれる確率は低くなるはずだぜ」
 ハヤトは反応強化を行使して、瞬間的に反応速度を強化し、樹からの光線を回避しつつ勇牙嵐撃を行使。
 なおも樹よりハヤトへ放った光線が地面を抉り、土煙を巻き上げ、別の樹より飛来した光線がちらつく土煙を吹き飛ばす。
 その土煙を縫って跳躍したハヤトの体が風を撒き、ハヤトの籠手と具足の脚部に埋め込まれた爪牙が、直刀の斬り下ろしと共に打ちおろされ、樹の頭に当たる部分を2度打ち抜き、さらに直刀が斬り裂いた。
 その連撃で吹き飛んだ樹は仰向けに倒れて絶命し、沈黙する。
「ライナ様。私も攻勢に加わります。範囲攻撃はその後にお願いいたします」
 フロマーシュはライナにそう言い残し、チャージングを行使。
 一陣の風と化したフロマーシュが樹の1体を射程に捉えていき、衝撃刃2を行使。
 振り下ろされた祭刀より不可視の衝撃が放たれ、樹の胴をぶち抜いた。
 既に損傷が蓄積していた樹は、その一撃で生命を断たれ、倒れ伏す。
 そして残る樹達を全て効果範囲におさめたライナは、空間爆砕を行使。
 不可視の波紋が空間を走り、次の瞬間ライナが指定した起点より爆発めいた衝撃波が周囲に拡散し、荒れ狂う。
 その威力はライナが敵と指定した樹達のみに炸裂し、衝撃波の中で樹達の身は微塵に砕け、飛散していった。

●完遂
 眼前の樹達を全て撃破した冒険者達は、負傷者の治療と畑の確認、そして討ち漏らしがないかの確認を行う。
 その結果、味方の負傷は全て治療され、はぐれクリーパーの討ち漏らしもない。畑は荒らされずに済んだ。
 冒険者達の完勝と言える成果だった。
「今は無人だが、いつかこの地が安らかな土地になると良いな」
 一連の確認を終えたライナが発した言葉は、この場に集った冒険者達や私兵団の心情をよく表していた。

マスターコメント

 今回ですが兵士達への被害を出さないよう、かつ協力して敵を倒すことができるようにと、兵士達の配備がうまく行われていました。  その一方でクリーパー達に満足な動きをさせないよう、それぞれのやり方で攻撃と防御をうまく分担して戦いの主導権を握り続けた結果、兵士達への被害は最小限なものにとどまりました。  敵を殲滅できたことに加え、村への被害も最小限で済みましたので、文句なしの大成功です。  改めましてこのたびはご参加下さりありがとうございました。  また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年11月20日 08時12分01秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シャロン・ラ・モリエール

    シャロンです。ヒーラーをしております。 ヒーラーといってもタイプは色々なので端的にいいますと……回避と物理攻撃を重視しておりますが、作戦上必要なら後衛に回ってもよいです。 よろしくお願いします。 えぇと、タワーディフェンスの雰囲気で動けばよさそうでしょうか? 弓持ちの私兵団の方に、櫓と後方をお願いして、盾や槍の方に弓の方の護衛をお願いして、冒険者で敵を足止めをして弓の方が一方的に殴れる位置を維持する……というような。 そうしようと思いますと、A列の櫓はいきなり敵が迫りすぎていますので、EとIを使うのがよさそうに思いました。C2の敵が、ちょっとE1の櫓に近いのが不安ですね。 その上で、収容しきれない弓の方は民家の屋根や窓からの射撃をお願いするなどでいけませんかね。 マップは予想ですので、不要な懸念かもしれませんけど。 ……と、色々言いましたが、もし違う意見の方がおられましたら遠慮なく言ってくださいね! すり合わせできればいいなと思います。

  2. ロゼット

    ヒーラーの神官戦士ロゼットよ。よろしくね。 シャロンに倣ってタイプを言うと生命・防御を重視ね。 ウォーリアには負けるけど、普通の敵相手なら壁役をしてるわ。 「畑」をクリーパーに長居させると、土地が枯れてしまって 今後この廃村が復興するのに障害になりそうで避けたいなって。 >私兵団(弓兵40名、盾兵10名、槍兵10名)の配置案 私は先に弓兵を「櫓」6カ所と、視界の開けた後方2カ所に 置いてから他を考えたらどうかな?って思ったわ。 ・弓兵 「櫓」6カ所に各5名(30名) 「I3」に5名 「I6」に5名 櫓は高所から、I3とI6は障害物なしに撃てる位置ね。 A列の櫓は敵に近いけど、攻撃するには「高さ」に届く射程が 必要になるからマップで見るよりは、距離は離れてると思う。 これを元にして冒険者が、クリーパーを抑える位置に付いて、 手が足りない(クラスの不向き等)ところに盾兵、槍兵を 5人組で配置して、弓兵を守ったり前衛になってもらったり。 シャロンの言うように、A列の櫓は配置しない方が良いって 意見が多かったら取り下げて構わないわ。ただ平屋の屋根は 高さが半端で、目立つから逆に狙われやすそうにも思うわ。 とりあえず、最初に思ったのはこれぐらい。

  3. シャロン・ラ・モリエール

    ふむ……。ロゼット様のご懸念ももっともですね。 >屋根 「失敗条件:犠牲者が出る」ですので、狙われやすそうということであれば屋根の上はやめておきましょうか。 >櫓 敵の動きはマップの表示はイメージで、左側画面外から出現し右側へ徐々に移動してくる形ですね。 櫓の高さ10メートル(2ヘクス)。マスのサイズは縦横10メートルなので、斜めにとればロゼット様のおっしゃるとおりもっと距離は出るのですが、敵の射程は6ヘクスなので隣接マスなら結構届いちゃいそうで。 ので……折衷案として私兵団の方には「引き撃ち」をお願いするのはいかがでしょうか? 配置はロゼット様の案の通りにして、敵の移動に合わせて敵射撃攻撃の射程に入る前に徐々に後退、負傷が重ければ撤退していただくというのは。 ややこしいですかね。プレイングがNPCへの指示で圧迫されてしまうのもなんですし、もっとシンプルな案があればいいんですけど……。

  4. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたしますっ! 犠牲者を出さないようにする為にも、皆様も兵士の方々も、頑張ってお守りしていきますのでっ! 敵の数が結構多いですから、ウォーリア武器を装備して、シーザーロアで引き付けていくか、ヒーラー武器を装備して、堅甲と殺界で侵攻を防いでいくか、どちらにするかが悩ましいですっ。 どちらの場合でも、カバリングでの守りはしていきますのでっ!

  5. ライナ・フレイヴァルツ

    キャスター、ライナ・フレイヴァルツだ。皆よろしく頼む。 私兵団のことも気にかけながら戦わないといけないのだな。 この村では以前は人が暮らしていたが、今は無人だそうで。 避難を考えずに戦える点は戦いやすいか。 >冒険者の位置 何事もなければクリーパーが優先的に仕掛けるのは作物か。 出ている配置を入れ込んで確かめると…、 飛び出しているB列の1マスは除き、E列から畑が多くなるようだな。 冒険者がD列あたりにいるとちょうど守りやすそうだがどうだろう? >引き撃ち 弓兵は今出ている案が良いかと思うが、 引き撃ちというのは、弓兵を含めて引き撃ちということで良いだろうか? そうなると弓兵のA列の弓兵の移動(特にA1)がかなり大変そうに見える。 E列からはそのまま横の藪にずれていけばいいが…。 であるならば、A列の櫓には配置せずE~F列あたりに弓兵を配置するのも良さそうだ。 負傷者の撤退も兼ねるのであれば、盾兵がE列に出て射線を防げるだろうしな。 犠牲者になりうるリスクがあるのであれば、A列配置は危険かな…というのが私の主観だ。 >立候補 希望を出すのであれば、敵数が多い2~4のあたりを立候補したい。 数がやはり多いので、範囲攻撃を多めにもっていこう。 撤退支援として「アイアンウォール」も所持しよう。 鉄盾があれば幾分撤退しやすいはずだ。

  6. ロゼット

    シャロンは折衷案ありがとう。ライナからもA列への 配置は危険って意見が出てるから、私の案は取り下げるわ。 弓兵の引き撃ち案を入れて、下みたいな感じでどうかしら。 >私兵団(弓兵40名、盾兵10名、槍兵10名)配置案 ・櫓4カ所 E1:弓兵5名、E9:弓兵5名 I1:弓兵5名、I9:弓兵5名 ・地上 G3H3:弓兵10名(引き撃ち) F3:槍兵5名(盾の隙間から攻撃) E3:盾兵5名(壁役) G6H6:弓兵10名(引き撃ち) F6:槍兵5名(盾の隙間から攻撃) E6:盾兵5名(壁役) >冒険者の配置希望 ライナ:2~4列あたり >立候補 ライナが2~4で、もしフロマーシュが同行するのなら、 私は6~7あたりで、下側の「樹」に備えようかな?

  7. セリオス・オーガスト

    ・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む 私兵団の配置は今出てるので異論無い。 おれはC5の家あたりで上下どっちにも支援できるようにするつもりだ あと相手の特徴から畑のマスでの戦闘は控えたいところだな。ライナの言う通り作物を狙われて畑を荒らされてその後の作物に影響が出るのでは負けだろうしな

  8. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    兵士の方の配置の方は、私もそちらで大丈夫ですっ。 いろいろ練っていただき、ありがとうございますっ! 畑がある所での戦闘はできるだけ避ける事も了解しましたっ! それから、初期位置については、皆様が了承していただけるのでしたら、ライナ様と同じか、隣にしていきたいと思いますっ。 参加するメンバーでは、ライナ様が一番打たれ弱いようですから、 孤立したり包囲されたりしたら危険なのもありますのでっ。

  9. シャロン・ラ・モリエール

    ロゼット様はすり合わせありがとうございます! いい感じにまとめてくださったことにもお礼申しあげます。 と、満員ですね! 皆様、よろしくお願いします。 >全体作戦 私兵弓をEI行の4つの櫓に5人ずつ配置。 他私兵はE-H3、E-H6に盾を前衛、槍を中衛、弓を後衛として等分に配置し引き撃ち…という感じでしょうか。 >冒険者配置 連携の取りやすい仲のいい方同士で組むことは作戦としても理に適っていると思うので、ライナ様とフロマーシュ様が組まれることはいいことだと思います! ロゼット様が西側に行かれるのでしたら、同じヒーラーである私は東のほうがバランスがいいでしょうか? 回復スキルは多めに持っていきますね。 しかし人数配分を思うと、ハヤト様の選択肢を暗に奪うことになりそうなのが気がかりなので、もしハヤト様の配置が西側でなにか不都合があれば移動してもよいですよ! ※だいたいD列あたりとする 東側(2-4) ライナ フロマーシュ シャロン(移動可) 中央(5) セリオス 西側(6-7) ロゼット あ! それと… B7の樹が静止しているっぽいので、西側の方は場合によってはD列より前に出る必要があるかもしれませんね。 B8の畑で食事中なのかな?

  10. ロゼット

    私兵団の配置は、問題なさそうなら配置表だけ記載しておくわ。 私兵に個別で指示なり、声をかけたい場合は各自で良いかな。 シャロンとは東西(上下)で分かれた方が良さそうね。 ハヤトが東(上)を優先するなら、こっちはセリオスに 下側への射撃を多めに頼んでみるわ。私兵団もいるしね。 >B7の樹 B8畑を狙うなら『祈雷』配置で範囲攻撃かな?と考えてるわ。 これとE9櫓からの弓矢でも叩けるかなって。 >アルヒ(NPC) 彼女への指示は後方待機かな?負傷して右端へ下がった 私兵には、私やシャロンのヒールは届かないかもしれないし。

  11. シャロン・ラ・モリエール

    すこし間があいてすみませんっ! >アルヒ様 はい、負傷した私兵団の方への対応をしていただくのでいいと思います。 ヒールは射程短めですものね……。 >B7 対応いただけるのなら助かります!

  12. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす!遅くなっちまってすまねぇな! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 私兵団の配置やら作戦は了解したぜ! 俺は西側で構わねぇぜ。 何にせよ俺は前線でひたすらクリーパーを狩るだけだからな!!

  13. シャロン・ラ・モリエール

    ハヤト様、ご連絡ありがとうございます。 では私は東へまいりますね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0