【FF】あやかし森のマズ魔瘁お菓子

小緑 一滴

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シナリオID:1576

オープニング

「あの森に入ってはいけないよ」
 ローレラウラ湖にほど近いこの村で育った子供は皆、うんざりするくらいこの忠告を聞かされてきた。
 村人達があやかし森と呼ぶそこは遠目にはどうということのない小さな森にしか見えないが、人類が中に足を踏み入れれば奇妙な力に翻弄される。同じ場所をずっとグルグル歩かされたり、用意していたお弁当やお菓子を何者かに奪われたり、気配や視線を感じたり……。
「イタズラ好きな魔獣がわんさか住んでいるのさ。あの森じゃ、魔性を帯びた獣が人を惑わす。それから妖精(隣人)も」
 妖精を隣人と呼ぶ村の老人の声には、森の魔性達への温かい親しみが込められていた。
「あやかし森で化かされたくなかったら、敬意と友好の気持ちを示して魔性の者の仮装をすると良いんだよ」

●
 そのあやかし森に魔獣ですらない奇妙な何かが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)し始めた。
 ……ひょろ長い足でシャカシャカと森の中を動き回る、カップケーキの群れである。
 定番のクリームやチョコはもちろんのこと……。
 食べ物らしからぬ虹の色彩のカップケーキもある。
 洒落たレッドベルベットも高速で森を駆け回り……。
 紫やオレンジのデコレーションを施したケーキが負けじと飛び跳ねる。
 その正体は小型のクリーパーだ。収穫祭ムードの街中で出現したのならその擬態にも多少効果があっただろうが、森の中ではむしろ異質だ。非常に目立つ。
 滑稽な見た目とは裏腹にその本質は機械的な冷淡さの敵対存在。あやかし森の魔獣達に有無を言わさず襲い掛かる。

 ――といった内容を村の老人はなんとか苦労して、傷ついた泣きべそ顔の妖精から聞き取った。
「マズマズ、オバケー……。ぴええっ」
「よしよし……。もう大丈夫だよ。蜂蜜紅茶でもお飲み」
 魔獣の一種である妖精にはおぼろげながら人類との意思疎通ができる者もいるが、人同士の会話ほど流暢で円滑にはいかない。老人は妖精に話しかける時は、わかりやすい仕草を取り入れたり幼児にも伝わるような言葉を選んだりと工夫をしていた。
「放置すればいずれ村にも被害が及びかねん。冒険者ギルドに依頼を……」
「?」
 ままごと用のカップで紅茶を飲みながら、不思議そうな瞳で妖精が老人を見上げた。
「いや……、ええと……。強い人達を呼んでくるからね。悪いお化けを倒してもらおう」
「ハーイ!」
 わかっているのか、いないのか。小さな妖精は元気な声で返事をした。

解説

目的  あやかし森を荒らすお化け退治 あやかし森  多少薄暗いが穏やかで歩きやすい森  昼間なら光源がなくても支障はない  妖精を含む在来の魔獣達がお化けの脅威にさらされている 魔獣達  保護対象  魔獣達は各自で思いのまま逃げている  言葉が通じるとは限らない 仮装  村では「魔性の者の仮装をすればあやかし森の災難を免れる」との伝承がある  都市同盟では収穫祭の仮装が盛り上がっており、だいたい街で容易に調達できる  高価すぎる、作ることが技術的に難しい品は置いていない 敵 小型クリーパー「魔瘁(マズー)」8体  ひょろっとした足が生えたカップケーキのお化けといった外見  ケーキは一見美味しそうだがエーテルで構築された偽物である  このエーテル体はクリーパー本体ではない  エーテル体をまとった状態をケーキ形態とする  INIと移動が高め。さほど強くなく作戦をたてる高度な知性もないが、冒険者側の隊列や陣形を崩すのに適した能力を持つ お菓子な誘惑(サブ)  【執着】の付与判定。射程12  抵抗に失敗した者は魔瘁のカップケーキに引き寄せられてしまう  ケーキ形態でないと使えない 食べ過ぎ注意報(メイン)  使用者を中心にした直径3ヘクスの範囲魔法攻撃。自己識別  カップケーキを模した部分が膨張し破裂。魔力を帯びて飛散する  スキル使用後、ケーキ形態が解除される

マスターより

依頼料は、妖精さんが魔法で生産したお砂糖によってまかなわれます。 見た目が愉快なクリーパーですが共生不可能な敵です。きっちり倒しちゃってください。 今回は森の魔獣達がピンチなため仮装なしでも化けされることはありません。 有利不利はないので、各自の個性に合わせて仮装するか否かを選んでくださって大丈夫です。

リプレイ

 森に積もった枯れ葉がさくりと踏まれた。
 魔性の者の仮装をすればあやかし森の災難を免れる。そんな伝承に倣って、冒険者は可愛らしい魔物に化けた。
 フラム・アニムスはパンプキンヘッドの怪人に扮している。このカボチャは自分でくり抜いた世界にただ一つだけの作品だ。
「皆さん、素敵な仮装ですね!」
 仲間達の姿を見て、カボチャ頭の下でフラムが顔をほころばせる。
 三つ首の魔狼がゆったりと尻尾を振った。その正体は、二つのぬいぐるみの顔にはさまれた粽である。
 大福はというと……。
「今日の大福は大福じゃなくてたこ焼きなのだー」
 もふもふの顔や手足はしっかり出ていて、着ぐるみだけど動きやすい。
 赤い頭巾からは獣の耳がにょきり。ふんわりしたスカートから狼の尻尾がぴょこん。フロマーシュ・ダイヤドロップの仮装は、童話の主人公と悪役の獣を同時に表現している。視線の先には、ずっと傍にと慕う相手。魔法使いらしい服装に白狼の耳や尻尾のアクセントを加えたライナ・フレイヴァルツがいた。
(ライナ様……)
 物語に出てくる赤頭巾の少女は悪い狼に美味しく食べられてしまうもの。ライナの姿を見て、ついそんなことが思い浮かぶ。色白のフロマーシュの頬と耳の先がほんのりと赤く色づいた。
「美味しそうだな、マーシュ」
 ライナのささやきが聞こえたのは、傍にいたフロマーシュだけだろう。
 赤面し狼狽える赤頭巾狼の尻尾を優しく撫でてから、ライナは意識を切り替えた。
「……森の様子も探らねばな。耳を澄ませて探ってみるか」
 エーテルで強化されたライナの長く優美な耳が、枯れ葉の上をかさこそ駆ける足音と小さな悲鳴を拾った。
「皆、急ぐぞ」

●
「ぴえーっ!」
 逃げ惑う妖精の背後に、邪悪なカップケーキクリーパーの群れが迫る。まさに追いつかれてしまう、という窮地に颯爽と現れたのは三つ首の狼。心の絆(エーテルリンク)を結んだ粽の脚力はシーフ授恵者をも凌ぐ。
「粽ー!」
 木々の向こうから大福の声。少し置いて仲間達も駆けつけた。
「私たちが来たからにはもう大丈夫だ」
 ライナが穏やかな声で話しかける。妖精を驚かさないように、ゆっくりとした動作で敵意がないことを示す。
「お守りします! こちらに!」
 身振りもまじえてフロマーシュが避難を呼びかける。敵はこの三体だけとは限らない。粽がクリーパーを威嚇している間に、フロマーシュの青い瞳が油断なく周囲を見渡す。近くに潜んでいる敵はいない。だが、小さな気配が茂みの奥で震えている。
「あちらの茂みに怯えた森の魔獣らしき気配がありました!」
 クリーパーは言葉を解さない。よく通る声で仲間に伝えた。
 茂みに向かってフラムが明るく呼びかける。
「助けに来ました! あ! 変な格好してますけど、怪しい人じゃないですからね……!?」
 仮装で怯えられてしまうかと危惧したフラムだったが、その心配はなかった。
「わっ。友好的ですね」
 角の生えたウサギの魔獣が茂みからぴょんと跳び出し駆け寄ってきた。森の中で乱暴狼藉を働く性悪な新参者(カップケーキ・クリーパー)から助けてほしいとでもいうように、フラムの足に体をすりすりしている。
 どうやら異形の姿をしている方が、あやかし森の住民には仲間のように感じられるらしい。
「ここから見えないところにも、まだ逃げてる魔獣たちがいるかもしれないのだ……!」
 避難を促したいが、言葉でのやりとりが難しい妖精や魔獣たちにどう円滑に伝えたら良いかと大福はうんうん考え、そしてひらめく。
「わおーーん!」
 小さな口を開けての精いっぱいの遠吠えは、エーテルの作用により増幅されあやかし森に大きく響き渡った。
 この爆音は魔獣たちを追い払うと同時に、獲物を求めるクリーパーをこの場へと引き寄せる。言葉の通じぬ敵と保護対象のどちらにも効果てきめんだ。
「驚かせちゃってごめんなのだ! でもここは危ないから、粽といっしょに逃げて欲しいのだ!」
 慌てて逃げていった角ウサギにお詫びの言葉を叫ぶ。
 ウサギのように速くは走れない妖精は粽の口にぱくっと軽くくわえられ、離れた場所に連れていかれる。
「さあ。悪いカップケーキなど、私のこの牙で喰らってみせよう」
 目の前の敵に向けるライナの声は、先ほど妖精に話しかけた時とは打って変わって不敵で妖艶。
 美しさと危険な香り。
 赤頭巾の胸がとくんと跳ねた。

 クリーパー達が動き出す。
 フラムはすかさず辺り一帯のエーテルをその身に集める。とっておきの魔法に備えて。
 遠吠えを上げた大福目掛けて紫芋色をした一体が向かう。攻撃はせずくるくる躍るような奇妙な動き。お菓子な誘惑である。
「はうっ!?」
 なんだか無性にあの紫芋のカップケーキが食べたい! そんな衝動に大福は襲われた。射程を活かして距離をとって戦うつもりだったのに、足は夢中で敵へと進む。至近の間合いまでふらふら引き寄せられてしまった。
「食べちゃうぞー! 成敗するのだー!」
 たこ焼きの爪楊枝……ではなく、着ぐるみの背中側からはみ出して見える矢をとって弓につがえる。肉球のついた子供らしい小さな手から放たれた正確無比な一撃が、紫芋ケーキにガツンと突き刺さった。
 オレンジ色のカボチャケーキがフラムに跳びかかる。しかし出来たのは軽いひっかき傷で、このくらいはへっちゃらだ。
「素早いのは厄介ですが、その分物理的な攻撃も軽いみたいです。でも……魔力はそこそこかもしれませんね。気を付けてください!」
 赤頭巾を狙うのは狼だけでなく、レッドベルベットケーキもだ。フロマーシュに近づき怪しい踊りで誘いをかけるが……。
「効きませんよ」
 月の加護(ムーンガード)を受けた可憐なウォーリアはクリーパーの奇怪な術を跳ねのけた。
「戦いで相手を引き付けるお手本を見せて差し上げましょうか?」
 大剣の切っ先をカボチャケーキに向ける。殺気と共にエーテルを放ち、敵意の行き先を自分だけに固定させる。敵に狙われることになるが、単純で威力も低い攻撃は彼女の脅威ではない。
「フロマーシュさん! 敵をまとめてくれると助かります!」
「承知しました」
 多彩な範囲魔法を操るフラムの要望に応え、フロマーシュは赤いスカートをなびかせて走った。
 手負いの紫芋をライナがロックオン。
「愉快な見た目だが、油断はしないぞ」
 イノセントロッドの表面にエーテルの光が走る。先端に集まった光をロッドを振るって撃ち出す。
 エルフの魔力は強力だ。さらにこの杖はライナの故郷の霊木の枝を触媒に使った特別製。
 魔法の直撃を受けた小型クリーパー魔瘁(マズー)は一たまりもない。吹き飛ばされてガクリと力尽きた。そして見た目だけは美味しそうなカップケーキが、その背中からすっと消えていく。
「カップケーキはエーテルで作り出した紛い物のようだな。正体はいかにも不味そうだ」
 狼魔法使いは艶っぽく口元に指を当て、冷めた視線で倒れたクリーパーを見下ろした。
 炎にも似た橙色の尻尾がふさりと動く。
「カップケーキならオーブンの中で大人しくしてほしいですね!」
 フラムの魔力だけでなく、あやかし森のエーテルも含んだ蠢く炎球(フレイムゲイズ)が二つのカップケーキを一気に呑み込んだ。
 炎が止んだ後には、カボチャとレッドベルベットのケーキは跡形もなく、ひょろ長い脚のちっぽけな死骸だけが残っていた。
「すっごいのだー! 皆で協力してやっつけちゃったのだ」
 笑顔の大福に優しい眼差しを向けたライナだが、すぐに真面目な顔になり森の奥を警戒し始める。
「遠吠えを聞きつけて、新手の敵がお出ましのようだぞ」
「良いでしょう。いくらでも相手になってさしあげます」
 フロマーシュがひらめく白衣の盾を構え直す。仲間を守る決意を示すように。

●
 ――冒険者達の足元に、抹茶と紅茶のカップケーキを背負っていたクリーパーの体が転がる。
「あと三体です!」
 天眼で戦況を把握しているフラムが声を張り上げる。
「付近に潜伏しているクリーパーはいないようです」
 フロマーシュは枯れ葉の山や茂みに素早く視線を走らせた。
「何かが近づいてくる足音もしないぞ」
 この場の敵さえ倒せば依頼は完了。ライナの鋭敏な聴覚はそう告げている。
「粽……。もうすぐ終わらせるのだ!」
 エーテルリンクで繋がっていても別行動は心細い。いつも隣にいてくれた温かな存在が今はいないのだ。弱気を吹き飛ばそうと大福はぷるぷると首を振り、しゃんとして顔を上げた。
 魔瘁(マズー)は強敵でこそないものの、鬱陶しさという意味ではなかなかのものだった。冒険者達も少々手を焼いている。
 誘惑への対抗策を取ろうにも、敵に先手を取られて術に惑わされてしまうと作戦通りに動けない。敵に執着する間は、近づいて攻撃することを最優先してしまう。
「エーテルの作用とはいえ、なんとも歯痒いな」
 好き勝手に動き回るクリーパーに忌々しさを覚えつつ、冷静さは失わずにライナがつぶやく。その間も瞳は敵の隙を伺っている。
「幸い敵はそれほど打たれ強くないので、俺は攻撃できるチャンスがある時にとにかく攻撃するって方針でいきますね!」
 フラムは元気で真っすぐだ。自分と仲間を鼓舞するために愛用の宿り木の長杖を掲げると、炎にも似た飾りが持ち主を励ますようにはためいた。
「敵が全員私を狙ってくれると話が早くて助かるのですけれど」
 術に抵抗する備えをしてきたフロマーシュは誘惑にかかりにくい。皆を守るために。そんな想いで彼女は授恵者の力を振るう。
「ちょっと大変だけど、頑張ろーなのだー!」
 敵より早く動ける可能性があるのは大福のみ。巧みな狙いで離れたところにいる虹色カップケーキを的確に射た。
 三つのカップケーキが動き出す。
 まずはチョコ味のカップケーキがフラムの傍でしゃかしゃかと高速で左右に揺れる。
「あ、ああ~!! こ、こんなクリーパーのケーキ、食べたくなんてないのにー!」
 青空を思わせる爽やかな目がぐるぐると回っている。
 クリーム味の魔瘁(マズー)は大福の前でぴょんぴょん跳ねた。
「大福、おんなじ手に何度も引っかかったりしないのだー!」
 口をむにっと横に引っ張って、いーっとしてみせる。
 手負いの虹色はフロマーシュとライナの方へ接近。嫌な予感がして、フロマーシュは守りを固めた。
 予感は的中。
 突然の虹色の膨張。そして破裂。ケーキを模して溜め込まれていたエーテルが破壊へと転用される。
「っ……! マーシュ!」
「心配ありません! ライナ様を守り抜いてみせます!」
 自分も攻撃にさらされながら我が身を挺してライナを守る。攻撃は耐え切ったものの、フロマーシュは肩で荒く息をした。呼吸を整え、癒しの術の詠唱を静かに口ずさむ。
「クリーパーめ……。覚悟するが良い」
 ライナの殺気がそのまま不可視の波紋となったかのように吹き荒れた。虹色と、クリーム味も巻き込んで。怒涛の衝撃波が小さなクリーパー二体を猛然と吹き飛ばす。
 そこに一切の容赦はない。
 マーシュを傷つけた罰(空間爆砕)だ。
 凄まじい衝撃波が敵だけを葬った。
 残る最後のチョコ味にフラムはご執心。不本意ながらもつい引き寄せられてしまう。
「う、う~ん……。美味しいですよね、チョコレート!」
「わーっ、フラムー! しっかりするのだー!」
 心友の叫びを聞きながら、フラムはぐるぐる目の笑顔を浮かべ。
 高々と長杖を振りかぶり。
 カップケーキにどごんと一発。
 そしてそのまま――零距離で強烈な魔矢をぶっ放す。
 ひとたまりもないその威力に魔瘁(マズー)は息絶えた。
「敵ながら痛そうでしたね……」
「……攻撃を誘引できても、無効化できるわけではないしな。当然の結果だろう」
 エルフの二人が頷き合って意見を交わす。
「フラム! 平気なのだ?」
「へへ。大福さん、心配してくれてありがとう」
 駆け寄ってきた大福に、フラムはにっこりと手を振った。元通りの澄んだ綺麗な青い目で。

 クリーパーとの戦いで荒れた場所を大福が綺麗に整える。
「これでよし、なのだ」
 森の魔性たちにこの場がもう安全だとわかってもらうために、葉っぱのお皿に蜂蜜を乗せて木の下へ置いた。
「皆、騒がしてごめんなのだ。もう帰って来て大丈夫なのだ」
 背中に妖精を乗せた粽が尻尾を振って戻ってくる。森で仲良くなった他の魔性たちも引き連れて。
「粽ー!!」
 温かな毛並みに大福が顔を寄せる。優しき狼は大福の頬をぺろりと舐めた。我が子を慈しむかのように。
「オバケないない。かんしゃかんげき。あめあられ」
 ふにゃふにゃ脱力ボイスでお礼の言葉らしきものを口にしながら、妖精が何かを渡そうとしてくる。
 滑らかな葉っぱに包まれたプレゼントの中身は、ころんと固まった白砂糖。ロスガリアではかなりの貴重品だ。

●
 討伐が済んだことを報告しに依頼人の家へと向かう。
「ありがとうございます。これで我々も安心です」
 自由奔放な妖精と違い村の老人は丁寧に礼を述べる。模範的大人である。素朴な木のカップに入れたお茶も振舞われた。
「もらった砂糖を紅茶に入れたら渋さと甘さが引き立ち合いそうだ」
 お茶の中でもライナはとりわけ紅茶が好きだ。
「うふふ。ティータイムがより楽しくなりますね」
 フロマーシュが幸せそうに微笑む。
 老人の家には助けを求めにきた妖精も留まっている。
 あやかし森の妖精はお菓子が好きだと老人が言っていた。
「そうだ! これを……」
 フラムのポーチから魅惑の黒い輝きが現れる。チョコレート。希少なカカオから作られた甘くて幸せな例のあれだ。
「妖精さん、チョコレートですよ。いかがですか?」
「らぶー」
 小さな体でしがみつく。恥ずかしいのかくるりと後ろを向いて、妖精はもらったチョコをかじり始めた。
「蜂蜜のお茶もいっしょに飲むのだ?」
 こくんと頷くのを見て、大福は妖精用の小さな器に艶香の蜜花を一垂らし。
「大福はシャルガネののんびりした町で育ったのだ。あやかし森の雰囲気はなんだか落ち着いたのだ~。とってもステキな場所なのだ~」
 大福に森を褒められて妖精もなんだが嬉しそうだ。ほのぼのとした空気が出来上がる。そんな平和な光景を粽も満足げに眺めている。
「さて……。どうしよう……」
 フラムの思案顔の理由は、仮装のためにくり抜いたカボチャの中身。捨ててしまうのももったいないし、できる限り早めに料理したいところだ。
「うちの台所を使うかね?」
「良いんですか? ありがとうございます!」
 老人の申し出にフラムはぱっと顔を輝かせる。

 台所から、カボチャの甘い香りが漂う。
 賑やかで楽しそうな皆の声が聞こえてきた。
 収穫祭の食事会の始まりだ。

マスターコメント

冒険者の皆様、お疲れ様でした! あやかし森の平和は守られました。 クリーパーは不気味なデザインにしがちなのですが、今回のような怖くない見た目の敵との戦いも書いていて楽しかったです。 ありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人

2021年11月17日 08時26分23秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ライナ・フレイヴァルツ

    キャスター、ライナ・フレイヴァルツだ。 皆よろしく頼む。 魔獣たちを守りつつ、お化け退治もといクリーパー退治か。 「魔性の者の仮装をすればあやかし森の災難を免れる」との伝承があるようなので、 私は魔性のオオカミの姿の仮装でいくつもりだ。 沢山のカップケーキを食ってやるぞ、がおー! はっ、違う。おばけを退治するぞ!

  2. フラム・アニムス

    同じくキャスターのフラムです! 皆さんよろしくお願いします(深々お辞儀) >ライナさん オオカミの仮装、可愛らしいですね! 俺も折角だから何か仮装しようかな…!

  3. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたしますっ! なるほど、仮装をすれば災厄を免れられるのですねっ。 では私も仮装していこうと思います… って、すでにライナ様が仮装してやる気いっぱいでした!? ともあれ、私もどんな仮装でいくかを考えないとですっ。

  4. 大福

    来るのが遅くなってごめんなさいなのだ。 大福ちょっと寝込んでたのだ… もう大丈夫だから粽と一緒に頑張るのだ~よろしくなのだ! 大福も粽も仮装するのだ~。どんな魔獣がいいかなぁ(わくわく 粽は何もしなくても狼だけど何か着せたいのだ 大福はシューターなのだ 敵の攻撃が当たらないように、ぎりぎりまで後ろに下がって攻撃するのだ 魔獣たちの保護も頑張りたいのだ~

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0