【竜盤】カルドナス奪還戦

陵かなめ

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シナリオID:1568

オープニング

●ならず者たち
 温泉地であるカルドナスを支配していたならず者たち。
 彼らはこの温泉地を手に入れて、自分たちの好きなように温泉に入り牛乳を飲みマッサージを堪能していた。
 しかしその栄華は長く続かなかったようだ。
「兄ぃ……また冒険者が攻めてきたぜ……」
「くっ、もう町入り口のマッサージ場所は持たねぇな」
「そんなぁ、温泉後のマッサージを味わえないなんて……最悪だー」
 何度かの冒険者たちの攻撃を受け、彼らはすっかり活動範囲を狭めている。
 ならず者たちも必死に交戦し抵抗しているのだが、戦いになれば冒険者たちが一枚上手のようだ。
「しょげんな! 良いか、温泉地でいちばん大事な場所は何か分かるか?」
「ええー、えーと……宴会?」
「ああ、そうだ! 温泉からの酒と宴会は最高だ! って、違う! 温泉だよ温泉!!」
 ならず者のリーダーは、鼻息荒く宣言した。
「いいか、おめぇら! この温泉地の一番大きな温泉施設に籠城するぜ! バリケードを作れ! 温泉に浸かりたいやつは浸かれば良い! ここを明け渡さなけりゃあ、オレたちの勝ちだ! しょせん冒険者ってのは甘ちゃんよ。温泉を傷つけないよう、攻めあぐねるだろうさ!」
「さすが兄ィ!」
「さっそく、ガラクタ積み上げてバリケードを作るぜ!」
「えいやー!」
 こうして、ならず者たちは温泉地の中心地に籠城をはじめる。
「ここまで分厚いバリケードなら心配いらねーだろ!」
「もし冒険者が攻めてきたら、バリケードの中から武器や石を投げてやればいいさ!」
「さあ、もうひとっ風呂いっとくか!」
 最後の抵抗とばかりに作り上げたガラクタのバリケードは、意外にも頑丈で彼らの籠城を現実的なものとしていた。

●試作型チェーンソーブレード
 ぐるぐる回るゴーレムの腕の機構を剣の刃部分に取り付け、細かい刃で攻撃する対邪竜兵器が形になった。
 試作型ではあるものの、硬い鱗や分厚い肉体に対しても斬撃を与えることができる近接用の武器だ。
 ドワーフ王国で小さな工房を構える匠・ガストニーは、完成した試作型を6つギルドに納めた。
「冒険者がゴーレムを倒して腕を持ち帰ってくれたおかげさの」
 冒険者達がブロンズゴーレムの【回る右腕】を5つも持ち帰ってくれたおかげで、試作型を複数用意することができたのだ。
「だが、回る部品が壊れやすいのだ。攻撃できるのは一回程度さなあ。その一度の攻撃で大打撃を与える想定じゃ」
 今回は試し打ちを兼ねて1つ貸し出すことも可能ということだ。
 この武器があれば、冒険者のような攻撃力を持たない兵士でも、多少なりとも戦力になるとのこと。
 使い方を知る冒険者が増えれば兵士への指導も可能になり、それだけ戦力増加が見込めるかもしれない。

●依頼
 対邪竜武器の開発が完了し、ドワーフ王国軍と冒険者ギルドの冒険者有志による都市奪還作戦が本格的に開始された。
 温泉地カルドナスも、奪還の時が来たのだとギルドに案内が出された。

『温泉地カルドナスを取り戻してください。
 ならず者たちは温泉地の中心にある温泉を占拠して籠城しています。
 できれば温泉を傷つけずに取り戻したいのです。
 どうか、お力をおかしください。
 温泉従業員ならびに住民より』

「というわけ。温泉地カルドナスに立て籠もっているならず者たちは風前の灯だ。とはいうものの、中心的な温泉に籠城されるとはね。困ったことになったもんだよ。まさか施設を壊して進むわけにもいかないだろう。バリケードを一気に破壊するしか無いようだ」
 ならず者たちは、戦力としてはそれほど強くはない。
 強引に施設を破壊して制圧するのは簡単なことのように思える。
 しかし、温泉地カルドナスは温泉施設あってのもの。無理な侵攻をして施設が壊れてしまったら、その後の営業に支障が出てしまう。
 しかも長期戦になればなるほど施設にも被害が及ぶ。できればそれは避けたいと、住民たちは願っているようだ。
「そこでだ。ならず者たちが作ったバリケードを正面から一気に破壊して、ならず者たちを引きずり出そうってわけさ」
 ギルドの職員が取り出したのは対邪竜兵器として開発された試作型チェーンソーブレードだ。
「この武器は何発も攻撃できるわけじゃない。ただ、一発の破壊力は凄まじい。試し打ちも兼ねて、これでバリケードを破壊して突入するっていうのはどうだい?」
 頑丈に築いたバリケードを破壊してしまえば、あとはならず者を制圧するだけでいい。
 正面から試作型チェーンソーブレードを使えば、その威力を見て降参する者も居るだろうとのこと。
「もちろん、これを使わずにバリケードを破壊してもいい。とにかく、ならず者たちを温泉から引きずり出して制圧してほしいのさ。バリケードに近づくと、ならず者たちは石や武器を投擲してくる。気をつけておくれよ。目標はカルドナスを奪還することだ。できるだけ施設を傷つけないように頼むよ。……あ、そうそう。温泉地は癒やしの場所だから、ならず者たちは殺さずにギルドに引き渡してほしいんだよ。血の匂いってのは、染み付いて取れなくなるもんだからねえ」
 一番の目標はカルドナスを奪還すること。
 それを目標にしてほしいと言い、ギルド職員は説明を終えた。

解説

●成功条件  ならず者たちを温泉施設から引きずり出し、カルドナスを奪還する。 ●試作型チェーンソーブレード  ギルドから1台貸し出されます。  攻撃回数1回限定です。 ●ならず者  たくさんいます。  全員捕まえるために、効率良く対処してください。 ●その他  バリケードに近づくと、ならず者たちが投擲で攻撃してきます。回避したり仲間の盾になったりなどなど、対策が必要になります。  バリケードを破ると、ならず者たちとの乱戦になります。一人一人の力はそれほどでもありませんが、数は多いので効率良く制圧してください。

マスターより

 【竜盤】シナリオをお届けします。  ならず者たちに占拠されている温泉地カルドナスを奪還しましょう。  このシナリオの結果によって支配勢力が変わることになります。  試作型チェーンソーブレードは1つしかありませんので、もし使うのであれば誰が使うか話し合っていただければと思います。  それでは、よろしくお願いします!

リプレイ

●
「ならず者、懲りずにまだいるとは思わなかったんだよ」
 ルルト・アーキスは住民の居なくなった温泉地カルドナスを見回した。
「籠城してまで温泉に入るなんて……温泉大好きなんだね」
「温泉独占はずるいよな、ずるいんだよ」
 ナハシュは温泉独特の匂いを感じながらそう言った。
 遠くからでも湯気が立ち上っているのが見える。
 サシャ・テーリングも温泉の様子を感じていた。
「温泉地……なんて素敵な響きでしょう」
 ゆったりと寛げる温泉。身体もポカポカ温まることだろう。独り占めしたくなる気持ちも分からなくはない。
「けれど! 横取りとお聞きしました」
 ならず者たちはこの温泉地を武力で占拠し、好き勝手しているのだ。
「正当な持ち主が入りたくて開発されたのだと思うと許せないですわ……天誅に値します」
 それにと、サシャはやや力を込めて語った。
「汗して働き得るからこそ価値あるもの!」
 働いた後の温泉は、さぞ気持ちのいいものだろう。
「私も入りた……いえ、こちらの話です」
 こほんと咳払いをして目をそらす。
 その時、隣りにいたナハシュが呟いた。
「俺も温泉入りてえ」
 サシャは「分かります」と小声で同意する。

「サクッと根切にしてしまえれば楽なんだけどな」
 ケン・Z・ブラッドリーは試作型チェーンソーブレードを抱えた。
 これは対邪竜兵器として開発されたものだ。今回ギルドからひとつ貸し出された。
「まぁ今後の利用を考えれば……あんまり惨事は避けたいのはしょうがないか」
 温泉地ということもあり、あまりに血なまぐさいことはできない。
 町の住民を逃した際にも、今後も温泉地としてやっていけるように配慮したのだ。
 バクル・バスリーはケンの持つ試作型チェーンソーブレードを覗き込み「試作型ってちょっとわくわくするね」と感想をつぶやいた。
 そして目の前のバリケードを見る。
 ならず者たちは武力で温泉地を占拠し温泉を好き勝手している連中だ。
「悪いやつらだね。ちょっと懲らしめないとだね」
 ケンの言う通り、今後のことを考えると温泉地を血で酷く汚すことはできない。
 しかしこのまま野放しにすることはできないのだ。
「へへっ、このバリケード、越えれるもんなら越えてみやがれ!」
 バリケードの向こう側から、勝ち誇ったような声が聞こえてくる。
「さて、あまり引きこもってばかりでは領主様やご子息様にお手を煩わせてばかりですからね」
 ケリー ルギエルも戦いの準備をした。
「僕もクレセントブラッド家の使用人として頑張らなければいけませんね」
 この依頼は、できるだけ温泉を壊さないようにすること。そして、ならず者たちとの戦いは、血が流れないよう気を付ける必要がある。
 少々厄介だが、やるしかないようだ。

●
「バリケード、まずはアレをなんとかしないとね」
 ルルトが言う。
 ケンが持つ試作型チェーンソーブレードを使うためにも、バリケードに近づかなければならない。これは強力な武器だが近接用だ。
「近づいてきてみろ! 石をぶつけてやる!」
 ならず者たちは冒険者の姿を見て石や武器を投げた。
 しかし冒険者達はそれを恐れない。
「別の出口は無いですよね?」
 サシャは周囲の様子を確認した。
 この構造であれば別の場所からならず者たちが逃げることはないだろう。
「支援しますわ」
 短い声と共にエーテルを解き放ち、サシャは仲間たちの体を淡い光で包み込む。
「よーし先陣は任せてよ!」
 特に物理的な防御力が高いバクルが先陣を切った。
「立てこもってる人ー! 今から行くねー!」
 大声で宣言して真っ直ぐにバリケードを目指す。
「石を投げろ! 近づけさせるな」
 ならず者たちが一斉に石を投げつけてきた。
 それでもバクルは止まらない。
 そして――。
「俺もいるんだよな。投げるのに必死で忘れてないか?」
 ナハシュは軽やかな足取りで石を避けながらならず者たちを翻弄する。
「もっと石を投げろ!」
 焦っているならず者たちの様子を伺っているのはケリーだ。
 バリケードで隠れている者たちをできる限り感じ取ろうと神経を集中させる。
「ならず者たちはバリケードの付近に集まっているようですね」
「そうみたいだね。あのバリケードにすごく自信があるのかな?」
 イイズナのシロを走らせていたルルトも頷いた。
 シロは壁を器用に走りながら情報を収集しているようだ。
「お怪我はありませんか? さらに回避を強化しましょう」
 サシャは仲間に輝足を掛けて回る。ならず者とはいえ、あくまでも相手は一般人だ。これで投擲も十分回避できるだろう。
「ありがとう! もうすぐバリケードに穴が開きそうだよね」
 ルルトは、バクルとナハシュがバリケードにかなり接近したことを確認する。
「ぼく、そこまで攻撃力はないけど、降参するなら早めに降参してね?」
 バクルがバリケードに手を伸ばした。
「何をする! この!」
 ならず者たちは、慌ててバクルに投擲を集中させる。それを見越していたように今度はナハシュがバリケードの前を素早く走ってみせた。
 今度は投擲がナハシュに集まる。
 ならず者たちは冒険者たちの動きに右往左往した。

 仲間が注意を引きつけている。
 そのおかげでケンは試作型チェーンソーブレードを抱えてバリケードの前に立つことができた。
 十分な距離になったとチェーンソーブレードを起動させる。派手な回転音が響いた。回る刃の勢いは凄まじい。ケンは荒れ狂い大きな力を作り出しているそれを抑え込み、大きく息を吸い込んだ。
「いまからこのバリケードをぶった斬る!! 死にたくなければバリケードから離れてろよ」
 そして大声で警告を出す。
「……いいか。これは脅しじゃなく警告だ……聞かなきゃ死んでも文句は聞かんからな!!」
「は……?」
 ならず者のぼんやりとした返事。
 ケンは大きく一歩を踏み込んで、回る刃をバリケードに突き立てた。
 ギィィンと強引に硬い物を削る音が鳴る。
 下段からすくい上げるように斬り上げると、バリケードに大きな穴が空いた。
「え……」
 穴の向こう側で顔を引きつらせているならず者と目があう。
「んじゃ、一応聞くけどおとなしく降伏するやついるか? あと十秒だけ降伏を受け付けてやる」
 ガラガラとバリケードから崩れた破片が落下する。
 同時に試作型チェーンソーブレードも動きを止めた。
「ま……さすがは対邪竜武器ってところか」
 その破壊力は流石に目を瞠るものがある。しかし、やはり自分がしたい首狩りには向かない気がした。
 ケンは動かなくなった試作型チェーンソーブレードを地面に置いてバリケードを越える。
「え……あれ?」
 ならず者たちは、何が起こったのか咄嗟に理解できない様子。
 一方、狙い通りにバリケードを破壊できた冒険者たちは、ならず者たちを捕らえるために動き出した。
「よし、バリケードに穴空いたね」
「危なそうな奴は……どこだ?」
 バクルとナハシュがケンに続く。
「うわぁ……すごいっ! あっという間にぽっかり穴が開いた!」
 ルルトは斬れた断面を珍しそうに眺めた。
「チェーンソーブレード、なかなかいい破壊力ですね。出来ればその製造過程を私達も学べれば市場の独占を防止する……んんっ、とにかく今は依頼に集中しないといけませんね」
 ケリーは地面に置かれたチェーンソーブレードを興味深く見る。
 色々考えたいことはあるが、依頼に集中したほうが良いことを思い出し咳払いをした。
「内部は明るいのでしょうか? 灯りは必要ですか?」
 ランタンを手に持ってサシャもバリケードの穴を通る。
「兵器は威圧感がある方が良いかと……素晴らしい迫力ですわ」
 チェーンソーブレードの威力を横目に、周囲を照らした。
 ケリーたちの見立て通り、ならず者たちはバリケード付近に集まっていたようだ。
「それじゃあ、行くよ!」
 ルルトは仲間に合図して閃光塗弾のピンを抜いた。
 相手が呆気に取られている今がチャンスだ。
 3、2、1のカウント後、ならず者たちの真ん中に閃光塗弾を投げつける。
 閃光塗弾は勢い良く破裂して、鮮やかな閃光を放った。
「何が起こった?!」
「これは何だ?!」
 バリケードを破られ呆然としていたならず者たちが、突然の閃光でアワアワと騒ぎ始める。確かに人数は多いけれど、こうなってしまえば冒険者たちの思うツボだった。

●
 ガラガラとバリケードだったものが崩れていく。
「……んじゃ、一狩り行きますか」
 10カウントを終えたケンが首狩刀を構えた。
「おう、お前たち! こっちは数で勝っているだろうが!」
「そ、そうだな兄ぃ!」
 ご自慢のバリケードがズタボロにされ、閃光に慌てていたならず者たちは、それでもリーダーらしき人物が檄を飛ばすと武器を手にした。
「いや俺はこんなところで捕まるのは……ちょっと」
 勿論、逃げ腰の者もいる。
 ナハシュは武器を持った者ではなく、逃げた者を狙い飛び越すように跳躍した。
 エーテルを噴出して軽々とならず者たちの頭上を飛び越える。
 ちらりと仲間のいる場所を確認し、ならず者の前に着地した。
「ええ?!」
「おっと、ここで逃げられると思うなよ」
 軽くステップを踏んで距離を詰め、三連撃を繰り出す。
「あ……あ?」
 あっと思った時には、ならず者がその場に転がっていた。
 脚の腱を切ったので逃げることはできないだろう。
 ナハシュはならず者が倒れると同時に次の獲物に飛びかかった。
「うわあ、逃げろ、ここは駄目だ!」
 ならず者たちはナハシュを避けるように体を反転させる。
「頑張ってそっちに逃げてくれよな」
 必死に走るならず者にはナハシュの声は届かない。
 その先は、先程確認した仲間がいる場所だ。まるで追い込み漁をするかのように、ナハシュはならず者たちを追い立てた。
 同じく、逃げ出すならず者を見つけたケンが殺界改を発動させた。
「おいおい、今更逃げるなよ」
 武器にエーテル光を纏わせ、不可視のエーテルを範囲内へと張り巡らせる。
「ひいぃ」
 ならず者が情けない悲鳴をあげる。
 ケンはあっという間に脚をへし折りならず者を無効化した。

 バリケードの入口付近では、武器を掲げたならず者たちが抵抗をしていた。
「できるだけ血が流れないように、ですね。そこ……次はこちらです」
 ケリーは魔導書を掲げ、魔矢を飛ばした。
「ぎゃん」
 撃ち出された魔法がならず者に命中する。敵は気を失ってその場に倒れ込んだ。
 ならず者を一人沈めたことを確認し、ケリーは遠くを眺めた。
 統率の取れていないならず者たちは、好きなところに走っている。そのため位置を常に把握する必要があったのだ。
「逃げたならず者たちが、何やら必死の形相でこちらに向かって来ますね」
 いち早く逃げ出したならず者が、数名こちらに走ってくるのが見えた。戦いに来たというよりは、何かから逃げているかのようだ。
 事実、それはナハシュに追い立てられたならず者たちだった。
「誰かに追い立てられたのかもしれませんね」
 サシャが祭刀を構える。
 冒険者ならそうやって敵を逃さないよう追い詰めるかもしれないと考え、それならこちらで対処するのが良いだろうと判断する。
「気絶していただくのが良いと思います」
 まず、最初の一人を魔矢で撃つ。攻撃されたならず者はその場に倒れ込んだ。
 すると別のならず者が悲鳴を上げた。
「おい、こっちは入り口じゃねーか!」
「ここも冒険者がいるぞ! どうするんだよ!!」
 右往左往するならず者たちは、互いが互いを罵り合っている。
「方向を考えずに走っていらしたのでしょうか」
 サシャは敵と距離を取りながら、次の魔矢を準備した。
 相手がどのように動いているのであれ、一人一人確実に気絶させていくしかない。
 大声で仲間を責め立てているならず者に狙いをつけて魔矢を放つ。
 とにかくならず者たちは数が多い。
 ドサリとならず者が倒れる音。
 また一人ならず者を気絶させて、サシャは次の標的に向け魔矢を構えた。

「けっこう沢山いるね。それなら、一斉にやっつけるよ」
 ルルトは小さな光弾を大量に作り出し、それを一斉にならず者たちの頭上から降らした。
「うわ?! いたい、いたい」
 光弾が雨霰のように降り注ぎ、ならず者たちが頭を抱えて倒れ込む。
 合流したシロは地を走った。
 ならず者たちの足元でちょこまかと動く姿は、可愛らしくも勇ましい。
「くそ、あっちに行け! 邪魔だ!」
 シロを蹴ろうとするならず者。
 しかし、シロはその足元をするすると通り抜け駆けていく。
 シロに気を取られているならず者をルルトが打ち、数を減らしていった。
 敵の数が随分と減ってきたようだ。
 最前列で戦っているバクルもそれを感じ取っていた。
「逃がさないんだぞ」
 巨大な光塊を武器に纏わせ振り下ろす。
 すると、狙ったならず者たちが衝撃を受けて一瞬で倒れ込んだ。
 周囲の施設を傷つけないよう気をつけつつ、敵を一網打尽にする一撃だ。
 目の前には浴場への入り口も見える。温泉独特の匂いが漂ってきていた。
 なぜ温泉施設に籠城などするのだろうか。
「そんなに温泉すきなら、温泉のためになるような事すればいいのにさ」
 せっかくの温泉地が戦場になり、少し嫌な気持ちになっているバクルだった。
「そろそろ全員やっつけたかな?」
 気づけば、足元には気絶したならず者たちがゴロゴロと転がっている。
 バクルはロープを取り出し、ならず者たちを縛り始めた。
 いつまでも転がしておくわけにもいかないし、ギルドにきっちりと引き渡す必要がある。
 周囲を見ると、仲間たちもならず者を拘束しているようだ。

 ひと通りならず者たちを縛り上げて冒険者たちは施設を確認する。
「損傷はほとんど無いみたいだよ! みんなお疲れさまでした!」
 ルルトはバリケードの瓦礫をまとめて簡単に掃除をしていた。
 血で汚さず温泉地を守るというギルドの依頼をうまくこなしたようだ。
 すでに施設内を捜索し、潜伏している者が居ないことも確認済だ。
「さて一仕事終わったし、一風呂浴びていくか」
 ケンが大きく伸びをして、浴場を覗き込んだ。
 ナハシュはその言葉に食いついた。
「温泉入っていいか??? 入っていいか????」
「温泉に魅かれる気持ちは判りますので……」
 サシャも温泉道具をしっかりと胸に抱きながら訴える。
 温泉に入りたい。目の前に暖かな湯があるのだからと。
「施設の稼働状況に問題は見当たらないようですね」
 ケリーがそう言う。おそらくだが、少しだけなら大丈夫だろう。
 温泉に興味のある者は、少しの間だけ温泉を楽しんだという。

 ならず者たちからこの地を取り戻すことができたのであれば温泉地として再開できるはずだ。
「復興したら遊びに来たいね。せっかくの温泉地だしさ」
 町を出たバクルはふと振り返る。
 温泉地カルドナスの復興は近いと信じたい。

 冒険者たちはカルドナスを占拠していたならず者たちを一掃した。

マスターコメント

 皆様、温泉地でのならず者一掃をありがとうございました。  温泉地が血で汚れずとても良かったです。気をつけて戦っていただきありがとうございます。  温泉地が早く復興できると良いですね。  それでは、またどこかで!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年11月13日 09時24分42秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. バクル・バスリー

    ウォーリアのバクルだよ。よろしくね バリケードに近づけるよう、盾になるつもりだよ。 試作型チェーンソーブレード使う?

  2. ルルト・アーキス

    ルルト・アーキス、シュータだよ。よろしくね! 試作型チェーンソーブレードは、せっかくあるなら使ってみて改良点とかも見つかれば今後の為にもなりそうかなって思ったよ。 …でも、すごく重そうなんだよ。 新しい道具と言えば、閃光塗弾も突入後に役立ちそうかなって。 タイミングよく投げたら、ならず者達を怯ませることができそうな気がするんだよ。

  3. ナハシュ

    シーフのナハシュだ。今回はよろしく。 投石とかは避けつつかな。 チェーンブレードは折角だし使ってみてもいいんじゃねえかな。どんなもんか見てみてえし、マジで相手方の士気も落ちるならいい感じだと思うぜ。 使う場合は予め誰が使うか決めておけってことらしいが、希望制か‥‥?もし誰もやらないなら持っても良い。 閃光塗弾も確かにな、ひるんだり隙を作れそうだ。折角買ったし何個か持って行こうかね。

  4. バクル・バスリー

    さて、出発も近くなってきたね。 前述の通り、ぼくは盾役としてバリケードに近づくまで攻撃引き付けるね。 試作型チェーンソーブレードは使わないから、誰かに任せるね。 その後は闘気槌とかで削っていくよ。 閃光塗弾は役立ちそうだね。 ぼくも持っていくよ。

  5. ルルト・アーキス

    バリケードまでは出来るだけ攻撃は回避して近づこうと思ってるよ。 回復の為にヒールも持っていくね。 チェーンソーブレードはボクも使ってくれる人がいるならお任せしたいんだよ。 バリケード前に注意が向きそうだから、シロは別の所から壁歩きでバリケード突破して上から中の様子を覗いてみようかな。 中に入ったら、みんなの攻撃前に閃光塗弾で怯ませて隙を作ったり、範囲攻撃でまとめて倒していこうと思ってるよ。

  6. ケン・Z・ブラッドリー

    ギリギリの参加になったが、ウォーリアーのケンだ よろしくな ここの温泉街の避難依頼に参加してたし奪還って言うなら手伝わないとな 温泉施設への被害を少なく済ますためには短期決戦で済ませないといけないな その上で、ならず者共を逃さないようにするためにも試作型チェーンソーブレードでぶっ壊したバリケードの穴のところで一人迎え撃つに人員を配置してあとは一気に制圧に動く感じになるかな? 試作型チェーンソーブレードは俺試したいな 邪竜の首を狩るのに使えるかためしておきたい

  7. ケリー ルギエル

    遅くなりました。ケリーと申します まだまだ若輩者ですがサポートを頑張らせていただきます 後衛からの支援攻撃や索敵、光縛呪による拘束作業などをメインに動きますね

  8. サシャ・テーリング

    ヒーラーのサシャと申します。お見知りおき下さいませ。 お相手の方は一般の方…ですよね? どこまでの支援が必要か判っておりませんが レゾナンスとヒール、それと私も光縛呪で戦闘不能の方々を捕縛して行こうと思います。 今から仕度に入りますので、必要なスキルがありましたらお知らせくださいね。

  9. ナハシュ

    お、そんじゃあチェーンソーブレードはお任せして、ならずものの対処メインで考えておくぜ。 双波とトリプルファング、疾風脚当たり持って行って手数で稼げる形にしておこうと思う。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0