【FF】妖精さんのおうちの安全を!

狐野径

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シナリオID:1536

オープニング

 エラトゥーン都市同盟のとある村。
 大きい町から少し離れているけれども、それなりに活気はある。
 近くには林や森や丘などもある。
 農業が基本。

 その村に住むヴェル・コルトゥーラは去年、隣の町の収穫祭が見たくて妹のローザ・コルトゥーラを連れてこっそり出かけた。
 そして、魔物に出会って、冒険者に助けられたことがある。
 それから一年経つ。
 今年は収穫祭に行きたいけれども、家族や近所の友達と約束して、一緒に出かけようという話になっていた。そのため、収穫の手伝いは頑張る。
 とはいえ、ヴェルが主にしているのは、家に併設されている小屋に住むヤギやニワトリの世話だ。
 普段から世話をしているけれども、一人で受け持つのはこの時期ならでは。
 いつも面倒見ている妹のローザもいる。
 ローザは4歳になるかならないかなので、ヴェルほどまとまった仕事はできなかった。

 ヴェルが家畜を小屋から追い出して、掃除をしている間、ローザは隅っこの藁の上で、人形のペッペーと遊んでいた。
「ペッペー、ごあんよ」
 しばらく人形の世話を焼いていたけれども、藁の下に何か落ちているのに気付いた。
 ローザは藁をどけて、掘り出した。
 そこにあったのは、人形のようなものだった。
「ペッペー? ともらち?」
 ペッペーよりは大きく、50センチくらいの全長。
 人間の姿に似ているけれども、耳がとがり気味だったり、背中に透明な翼があるように見える。
「ヴェ、なんかいうー」
 ローザに呼ばれるヴェルだが、タワシで床掃除をしており気付かない。
 ローザは人形を取ってみることにした。
「もーい」
 人形よりは重いけれども、なんとか持ち上げて藁の上に置いた。
「たたかい」
 人形は温かった。なお、本人は「あたたかい」と言ったつもり。
「ねむーの?」
 ローザは藁を人形にかけた。
 ヴェルに報告したいけれども、なかなかこっちを見てくれない。
 仕方がないのでローザは藁から降りると、ヴェルに駆けよった。
「ねむーのペッペー」
「何? 眠いの?」
 ローザは首を横に振った。
「ぺっぺーけど、ちがう、いる」
「人形があるってこと?」
 ヴェルはほうきを手に、ローザについて行く。
 ローザが指さした所には、人形のようなものがいた。
「何だろう?」
 ヴェルの知識の中にある小さい人はハーフリング。
 そこに居るのは人形に見える。でも、生きているようにみえる。
 ヴェルの中にはよく分からない物は魔物という認識もある。
 これは怖そうには見えない。眠っているだけであって、起きたら、自分たちをばりばり食べてしまうのかも知れない。
「困ったなぁ……都合良く、冒険者通らないかな……」
 ヴェルの中の冒険者は知識豊富で強くてかっこいい人たちという認識になっているので、ちょっと考えた。
 しばらく外を見ているけれども、村の通りに冒険者どころか誰も通りかからない。
「お父さんたちに言った方がいいかな……」
 寝ていた物が起きて、突然叫んだ。

「ぴぎゃあああああああああああああああああああああ」

 反射的にヴェルはローザの腕を引き、それから離した。
 その上、ほうきでそれをぶったたいた。
「あ……」
「ペッペー!?」
 ローザが叫んだ。
 害があるかどうか考えず、ほうきで叩いたのはまずかったかなとヴェルは思った。
 なお、その生き物は藁の上で目を回していた。
「ペッペー? ペッペェエエエ」
 ローザがそれを持ち上げるとがくがくと前後に激しく振る。
「ちょ、ロー!?」
 ヴェルの言葉にローザは一瞬止まった。
「とっとー、とっとー!」
 言い直して、また、それを前後に振る。
 ヴェルははっとして、ローザの手を押さえた。
「待って! 違う、呼び方の問題じゃない! そんなに振ったら、とどめを刺しちゃうっていいたいの!」
 ローザは人形のようなものを持って、首をかしげる。
「なの?」
 ローザは藁に置いた。
 数秒後、それは目を覚ました瞬間、
「ぴぎゃああああああああああああああああああああああ」
「うるさああああああああああああああああああああい!」
 と、ヴェルが牽制する。
 それは、黙った。
 ヴェルは怒りながら、それに問う。
「で、何なの!」
 それは首を傾げた。
 おどおどしている様子のそれを、ヴェルは観察する。
 妙に汚れているし、実は怪我をしている。
(わたしのせいじゃないよね?)
 たぶん、違う。背中の翼もぼろぼろだから。
 それから「ぐぅうううう」という音がした。
「……おなかすいているの?」
「……」
 それは、鳴いている自分のお腹に手を触れた。
「……ももも」
「何を食べるの? まさか、人間とかいわないよね」
「もも、も?」
 会話が通じない気がして、ヴェルは困る。
「……そうだ、これ食べる?」
 おやつようのクッキーを渡した。
「サクサク、サクサク!」
 すごく嬉しそうだと言うことが伝わった。
「よかった……怪我、いたい?」
「……サクサク!」
 手を差しだしてきたのでヴェルは渡した。
 クッキーを全部食べたところで、それは、目を見開いた。
 何か思い出した時の様子に似ている。
「おばけ、でーん!」
「ばけ! どーん」
「おば、でー」
「なの!」
 それに対してローザが答えているように、ヴェルには聞こえる。
 しかし、一切、会話が分からない。
 ローザ語やそれの様子を元にヴェルは何を言いたいのか考えた。
「おばけ?」
「どーん」
「たいへーなー」
 それとローザの会話は続いている。
 ヴェルはひらめいた。状況は分からないが、それしか当てはまらないと考える。
「お化けが出て大変なの?」
 ヴェルは一生懸命状況をかみ砕いて理解した。
 それはヴェルの言葉が分からないのか首を傾げるけれども、ローザがうなずいている。
「冒険者に頼まないと駄目だよね」
「うん」
「お金ある?」
 ヴェルは生き物に問う。
「サクサク」
 それは、栗を一個取り出した。
「う、うーん」
 ヴェルはどうしようと悩む。
 それは突然ぐったりと倒れた。
「……え?」
 ローザがまたぶんぶん振ろうとしたのでヴェルは止める。
「いい、この小さいの見てて。触っちゃ駄目。お父さんたちに言ってくる」
「わったの」
 ヴェルは決断した。
 たぶん、早くしないといけない。

 父親に相談した直後、村長に話をする。
 村長が言うには、栗の木が生えている近くといっても、普段行かないところに、妖精が住んでいるところがあると言い伝えであるという。外見はその妖精に似ている。
 そこにお化けが出て妖精がひどい目にあっているということは、こちらにも影響が出る。
 村長の決断により、依頼はなされた。

 村の近くにある、妖精のすみかの確認。
 そこにお化けとされる何かがいるならば、討伐して欲しいと言うもの。
 あと、できれば、倒れている妖精も連れて言って欲しい。
 このままだと衰弱して死んでしまうかもしれないから。

解説

●目的・目標  おばけを退治する。  妖精を帰してあげる。 ●場所  村を出て、近くの林を抜け、森との境界辺りにあるという場所。  木と木の間はそれなりにあり、剣を振るって戦える状況ではある。けれども、更地ではないため、視線は遮られる。なお、針葉樹と広葉樹は混じっている。  大き目の木があったり、木のうろがあったり、ちょっとした洞窟があったり、妖精が隠れられやすそうな雰囲気がある。なお、洞窟、ハーフリングでも厳しい。 ●妖精  身長50センチくらい。耳の先端はとがり気味。背中に透明な翼があるらしい。  保護された個体はケガをしている上、衰弱している。 ●お化け  魔物×6、2メートル以下。人間がシーツをかぶっている感じかもしれない。  灰色のお椀を伏せたような形。足があるかどうか不明でふわふわしている。  顔らしいものは一応ある。とはいえ、二つ並んだ穴とその下に三角形の穴があるだけかもしれない。  手は顔の下、胴体と思われるところに二つ盛り上がっている。  攻撃方法【体当たり】【巻きつき】【噛みつき】

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  ローザの言葉がバージョンアップ! ヴェルにはなんとなく伝わるのでしょう。  妖精、片言どころか何言っているのか怪しい状況です。それでもローザは会話している……のか、本当のところはわかりません。  いや、もう、そんなことより、魔物討伐のお仕事です。  妖精たちは全員食べられてしまったのでしょうか?  どこかにいるのでしょうか?  よろしくお願いします。

リプレイ

●まずは村へ
 依頼を受けた冒険者は保護されている妖精を連れていくことなど考え、村に寄る。

 ルルト・アーキスとアルバス・ロウルは以前、この村の子どもたちのキャンプにつきあったこともある。妖精を見つけたヴェル・コルトゥーラと妹のローザ・コルトゥーラがどういう子かイメージは湧いた。
 ルルトとアルバスはほぼ同時に、
「ヴェルもローザも久しぶりー! 元気だった?」
「久しぶりだな、元気していたか?」
 と声をかけた。それに対して、ヴェルとローザは答える。
「元気だよ」
「げーき、よ」
 ヴェルは冒険者が来たことで安堵している様子だ。
 ルルトとアルバスはよかったと感じるとともに、ローザの発語について驚いていた。
「ローザはお話できるようになってるのね。びっくりなんだよ」
「少し見ない間に大きくなったな!」
 褒められたローザは胸を張る。まだ片言だけれども、しっかりしてきている。

 ナタリア・フィッツジェラルドは物語で見聞きする妖精への興味もある。
「絵本の中でしかいないようなものたちだぞ。実在するということを確かめられることは喜ばしい」
 実際見て、感激をしたけれども、妖精の衰弱ぶりを見て、まずは元気を取り戻してもらわねばならないと考える。医学・薬学のスキルを用いて診断でわかるかどうか不安はあるが診る。
「あくまで人間や亜人相手のためのものゆえ、効果はわからんが」
 ケガを負っていることは明白であるため、【ヒール】で回復をしてみる。
 ケガ自体に効果はみられるが、不調さは簡単に治らないようだ。
「早く、住処に連れて行かねば」
 それで解決するかはまだわからない。まずは妖精の言うお化け討伐が必要だ。

 シグルド・オルセンは妖精の手当てを観察していた。
「ほぉ、この小さい生き物が妖精か」
 興味深いところはあるが、動かないということは相当な衰弱だろうと様子をうかがう。
 妖精は回復魔法をかけてもらった後、少し動き訴える。
「おばー、わー」
 意味が分かりづらい。それでも何かに攻撃されたから妖精がケガを負っているととらえられる。
「【テレパス】かなんかあれば意外といっていることがわかったりしてな」
 現在のところ【動物交感】で状況をとらえる感覚だ。妖精は不安と恐怖で揺れている。
「お化けとやらを退治して、妖精を無事に住処に届けてやろう。何が起こるかわからない以上、簡単とは言わないが、そこまで難しい内容じゃなくて安心した。あとはそのお化けとやらの強さ次第か」
 妖精の言わんとしていることが村人によって解釈してもらえているため、冒険者がすることは定まる。
 お化けが魔獣なのか魔物なのか、亜人なのかなど一切わかっていないという点だけだけれども、そこは冒険者の仕事である。
「ここでは衰弱したままということは、住処に何か元気になるものがあるのか探してみようか」
 お化け討伐さえすれば、場所を見たり、妖精と交流もできるかもしれない。

 一行は妖精の住処と言われる場所に向かって出発する。
 妖精を守ることと、何が現れるかの注意をすることになる。
 ナタリアが抱えている妖精はおとなしい。
 ルルトが先行し道を見て、シグルドとアルバスは妖精を守る位置を取る。

●境
 村を出て林を進むが道もあるため迷うことはないはずだ。
 落葉樹が色づき、木の実なども見られ、のどかな秋の森だ。
 シグルドは林の様子を見てつぶやく。
「何事もなければ、村人が出入りしているのだな」
 敵性の生き物がいるからか、林を進むに連れて、生き物の気配が薄くなるようだ。
 ナタリアは妖精に「こちらでいいか?」と問う。それと同時に、妖精の体調を見る。
 妖精から返答はないが、進むにつれて怯えや焦燥のようなものが強くなる雰囲気だ。
「やはり何かいるのだろうな」
 ナタリアがいう。
 アルバスは妖精に話しかける。
「君が安心できるように、俺たちは守るよ」
 先行するルルトはも安心させるように言う。
「そうそう、今のところ、変なのはいないよ」
 先に進むと景色が変わる。
 木々の植生が変わり、林と森のはざまのようだった。

 ここが村人のいう、妖精の住まいがあるとされるところだ。
 林と森の境は道のようにも見える。
 ナタリアの腕の中で妖精がもぞもぞ動くと鳴いた。
「なー!」
 帰ったよということだろうか?
 大きな声であるため、お化けが来るかもしれないし、動物や妖精が動くかもしれないため、冒険者は構える。
 警戒するが変化は見られなかったため、冒険者による調査が始まる。
 ルルトのコートのフードに入っていたイイヅナのシロが地面に降りる。
「探そう」
 ルルトの言葉により、シロは鼻を高くして匂いを嗅ぐ。そして、草に隠れるように進む。
 ルルトは捜波やホークアイで周囲を見る。自然のものと思われないものを探すように。
 シグルドも超視覚や天眼を用いて索敵を開始する。
「敵がここにいるか、妖精の仲間はどこにいるか、見ていこう」
 見ることで、地形の把握にもつながる。

 アルバスは索敵が得意である人に任せ、何かあったらすぐに動けるように距離を一定に保ちつつ待機する。
「お化けか……どんな奴があらわれるやら」
 妖精の言葉からは外観はわからないし、今見ても違和感を見出すことができなかった。
 ナタリアは妖精の体調を見つつ、戦いに備えてアルバスの近くで待機していた。
「お化けを退治して、君たちの仲間も探すぞ。だから、落ち着いて待ってくれ」
 言葉が通じるか怪しいけれども、妖精の冒険者に対する信頼をナタリアは感じていた。

 索敵しつつ、前進する。歩みは遅いけれども、確実に情報を集め、対応するためだ。
 進むにつれて、林や森なのにもかかわらず、人工的な場所だと感じる。
 石造りの家があるわけではないが、木のうろや穴、枝の様子から動物や鳥の住居が密集しているように見えるためだ。
 ここが妖精の住処なのかもしれないと確信に変わってくる。

 そういった場所の中程までで、シロが「シャッ」と怒りの声を上げる。
 ここまでに嗅いでいない匂いがあったのかもしれない。
 ルルトはシロとのエーテルリンクから状況をとらえると同時に、方向を定め捜波のスキルを放つ。
「……お化けかな」
 方向を指さす。
 立木の裏のほうから、スッと白い影が複数現れる。
 まるで、人間の大人がシーツをかぶり、子どもを脅かそうとしているというようなものだった。ただ、そういうには、足元がふわふわしており、人ではない何かのようだ。
 アルバスは実物を見て納得した。
「なるほど、おばけらしいおばけだな」
 ナタリアも同意する。ただ、これがどう妖精を襲ったのか推測がしづらい。
「なんとも絵本にでてきそう、子供の落書きのような感じだが、こいつらが襲ってきたというのか?」
 冒険者に気づいていないのか、お化けはフワフワしているだけだ。
 シグルドはその姿を見つつ、疑問を発する。
「お化け……あれがお化けかぁ。霊体とかではないんだな」
 実のところ分からない。
 現状見ている限りでは、木の中からは出てきてはいない。背後にいたということは実体が伴っているととらえられる。

 冒険者が相手の姿を認め、戦闘準備を整えた。
 一方で、お化けは冒険者を見る。
 お化けの顔は黒い丸い穴が二つ並び、その下に三角形の穴がある。笑っている顔に見えなくはない。その奥は空洞かどうかわからない闇の色。

 ルルトは「うわっ」と思わず声を上げた。
「なんかこっち見ているよね……」
 ルルトは矢をつがえ、シロは草の陰に隠れ、襲撃するチャンスをうかがう。
 ナタリアは妖精が彼女にしがみついているのに気づき、その背中を優しくさする。
「守るけれども、協力してくれるのは助かるな」
 妖精は震えているが、背中をなでられたとき、少し、こわばりが取れたようだった。
 アルバスが「攻撃が通るなら、攻撃をしていくのみ」という。
 シグルドはその言葉に同意を示す。
「魔物か魔獣か不明だとしても、逃がすつもりはないよ」
 敵の数は冒険者より多いし、できればこちらに引き寄せたいところである。ただし、シーザーロアを持っているのは誰もいない。お化け自体もこちらを見ているため、手早く討伐することが求められる。

 ルルトは告げた。
「シロ、行くよ!」
 シロはタタタと軽やかに走る。敵に近づくと、ルルトの指示を受け、敵の注意を分散させるように動く。
 ルルトが注意がそれた瞬間を狙い、矢をつがえ【貫通衝撃射】を放った。矢はお化けを貫き進んだ。
 手ごたえはある貫き方だった。お化け自体も驚いたような顔をしているためダメージが通っているのだろう。
 ナタリアは魔法攻撃を主体で仕掛ける。状況によっては魔法ではなく、物理攻撃に切り替える心づもりはあった。
 妖精の家を壊さないということも意識する。
 お化けが比較的まとまっていることもあり【メテオライト3】を放った。
「効いているな」
 お化けの様子からすれば、当たればダメージは通るようだ。
 アルバスは手早く倒すために、範囲攻撃を用いたい。一方で妖精がどこかにいるということを意識する。それらを念頭にお化けに攻撃する。
「木々を傷つけないようにしないとな」
 敵の位置や後衛に敵を近づかせないことなど念頭に置き殺界を展開したうえで、近づいてきていた敵には【闘気槌2】を放つ。
 シグルドは前に出て、攻撃をする。敵がまとまっているため戦槌を振るい【衝撃波】を放った。
「今は、数を減らすほうが先だな」
 カバリングが必要な状況ではないと判断はするが、守るべき妖精から離れないようには気を付ける。

 冒険者の攻撃が重なった敵は、すでに消滅しているものもある。
 動ける敵は冒険者に攻撃を仕掛けてくる。
 シロを踏みつけるようにお化けは動く。ルルトはシロに離れるように指示を出す。
 シグルドはお化けに巻きつかれるがかろうじて回避する。
 アルバスに体当たりを仕掛けたお化けは、反撃を受ける。

 そして、冒険者が連携を強める。
 討伐まで時間はかからなかった。

●妖精の踊り
 お化けはいなくなったが妖精は出てこない。

 シグルドは妖精の住処を探すにしても手掛かりが薄い。
「妖精の住処、どこかねぇ。動けるのか? 場所がわかるならありがたいな」
 連れてきた妖精はナタリアに地面に降ろしてもらうと、移動を始めた。
 木に空いている穴の前で妖精は止まる。
 シロはその穴に入れそうなため、ワクワクしながら近寄った。そのため、ルルトが呼び戻す。
 ナタリアはしゃがむと、妖精の様子と穴の中をうかがう。
 妖精は人語とは異なる発音で何か言っている。
「ここにいるのか? 仲間が?」
 ナタリアは妖精に話しかける。
 アルバスは魔物に襲われていたなら、妖精も傷ついているだろうと考える。
「ケガをしているなら、治してやらないとな……中で治せれば……シロくらいでないと入れないか」
 シグルドは残念そうに言う。
「……さすがに俺たちじゃ中には入れなさそうだな。ちと、住処に入ってみたかったんだがなぁ」
 入れそうなシロは誇らしげにも見えた。

 穴から妖精が恐る恐る出てくる。
 ケガをしているものもいる。
 ナタリアはエーテルを活性化する。
「効果があるかわからないが……リヴァーオブヴァイタルを試すか」
 妖精たちはケガが治ったのか、嬉しそうにしている。
 ルルトは妖精に話しかける。
「オバケはもういないから安心してね」
 妖精に話しかける。言葉がわからなくても雰囲気から察するものはあるため、そこを意識して伝える。

 妖精たちは周りを見て踊り始めた。バラバラだったけれども、輪を作り踊る。
 その姿は愛らしいものだ。
 ケガをしていたことを考えると躍らせて大丈夫かと不安になるほど、踊っている。
「止めたほうがいいのか?」
 シグルドがいうけれども、他の人も悩む。
 妖精たちは何周かしたところで違う踊りに替えた。
 どこか、寂しげに感じられる。
 その意味を考えると、お化けに襲撃されたとき、犠牲者もあったのだろう。
 それを何周か踊ると、妖精は踊りを変える。
 さすがに、ルルトが声をかけた。
「えっと、栗の木から栗もらってもいい?」
 妖精たちは冒険者の存在に気づいたらしい反応を示した。
 村に助けを求めた妖精が何か言う。
 妖精たちはそれぞれあれこれ言う。
 話がまとまったのか、冒険者のほうを見たあと、踊り始めた。
 先ほどまでの二種類の踊りとはまた違う。
 ナタリアは研究者の一面と幻想文学が好きという点から気持ちがうずく。
「言葉も気になるが、この踊りも気になるな」
 今は踊りの様子はしっかりと心に刻む。
 ルルトは再度話しかけた。
「踊り、ありがとう! ……栗を分けてもらってもいい? 村の人にお土産にしたいな」
 指で栗の形やイガを描きながらしゃべった。
 妖精は踊りを止め、ルルトの言うことを理解しようとしていた。
 妖精はとことこと走り出した。そして、いったん止まると、冒険者たちを一斉に見て、
「なー」
 と声をかけた。
 冒険者はついていく。

 妖精についていくと、栗の木が何本も生えているところに着く。
 ルルトが「少しもらうね」と言い、拾う。
 アルバスも集める。村の人が知っているというだけあって、それなりに生えている。
「共生しているということか」
 妖精の邪魔をしない程度に村人が利用する。だから、妖精も気にしないし、隣人として頼ったのかもしれない。
 なお、妖精たちは楽しそうにイガをつかみ、放り投げていた。雪合戦ならぬイガ合戦。
 ナタリアの胴にイガがぶつかる。防具があるから痛くはないが、妖精にとっても危険だ。
「危ないぞ」
 しゃがんでイガの危険性を訴えた。
 シグルドは妖精の行動範囲を眺める。
「穏やかな雰囲気と、自由な行動が元気の秘訣だろうか」
 ここの妖精はそんな感じがする。
「元気になってよかった」
 妖精たちの動きを見て表情が緩む。

 ルルトが栗のお礼を言う。
「ありがとうね」
 妖精たちは何か考えた様子で、口をもごもごさせる。
「あーとね」
 何となく「ありがとう」と聞こえるようだった。

●報告
 ギルドに完了の報告を行く前に、村に寄る。
 村長や妖精の発見者などに妖精を送り届けたことなどを話すためだ。
 話を聞き、村人たちはホッとしていた。
 ルルトはヴェルとローザを褒める。
「二人のおかげで大きな被害が出ずにすんだよ。お手柄だね」
 ヴェルは照れ、ローザは胸を張る。
 ルルトは「妖精さんに言って栗もらったよ」と渡した。
 アルバスはどっさりと栗が入った袋を置き「結構とれるのだな」という。
 ナタリアは妖精たちが踊っていたことを伝えた。
「妖精たちは喜んでたぞ」
 シグルドは「住処はどんなかは気になるなぁ」と尋ねるが、村にも伝わっていないという。
 村長も「こちらも知りたいです」と返すのだった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました。  妖精とお化けの外見に対する反応ありがとうございます。意外と魔物でも魔獣でもなんでも外見は悩ましいです。今回は、かなり、お化けになりました。とはいえ、私が出すと大体似ているのは気のせいではないです。  色々あって相棒や妖精が動いてます。  なお、NPCの成長喜んでいただけてうれしいです。  NPCの成長がどこまでするかというので悩んだ結果、ローザの言葉がまとまってきた次第です。  ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜6人

2021年11月04日 17時36分42秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ナタリア・フィッツジェラルド

    ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 といっても妖精と聞いて参加した身だから、彼の者の治癒を何とか出来ないかという気持ちが強いな。 亜人でもない幻想的な存在を相手であろうと医療・薬学、ならびにヒール系のスキルが通じれば良いのだが。 他には別件で関わった妖精のように、多少なりとも動物交感が通じるかどうかも気になる。 森でも林でも、それなりに木々が茂って視界が遮られるともなれば超聴覚が役立ちそうか? シーツを被ったような感じのお化けとなれば、発するとされる音は衣擦れくらいにせよ。

  2. アルバス・ロウル

    ウォーリアのアルバス・ロウルだ。よろしく! 前に依頼で関わった子らが困っていると聞いて参加した。 お化けの位置把握が難しそうだな。 先に見つけられさえすればシーザーロアで誘き寄せられるんだが。 いっそ後手に回る前提でリヴェンジスマイトで反撃しようかと思っているよ。

  3. シグルド・オルセン

    ウォーリア、シグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 お化け……ほんとにお化けなのか…?なんか攻撃方法が物理っぽいんだが。 まぁそれはそれとして。位置把握は超視覚もしくは超聴覚と天眼でちょっとした距離なら把握しやすいと思うぞ。俺はそれでどうにかやってみようかね。

  4. ルルト・アーキス

    シューターのルルト・アーキスだよ、よろしくね! ボクもローザ達が気になって参加したんだ。 妖精さんはナタリアが手当てしてくれるなら安心だよ。 森だと視界が悪そうだから敵を探すの大変そうだよね。シロと協力して捜波も使って索敵を手伝うんだよ。 白い布は森だと目立ちそうだし超聴覚で探るのも良さそうだね! おばけ…だけど、攻撃は体当たりとかなんだね。 という事は、こっちの攻撃も問題なく当たりそう?

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0