【FF】ゴースト・スイーツを作ろう【鼓星】
九蓮宝燈
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シナリオID:1515
オープニング
収穫祭。
秋の実りを祝う祭りが催されているのは毎年恒例のこと。
今年は妖精さんなる珍客の訪問によって、例年とは違った傾向が見えるらしい。
結論だけで言えば、『菓子が甘くなった』。
「女子供は嬉しいだろうが、俺ら酒飲みにとっちゃぁあんまり関係のねぇことだなぁ」
呟いたのは『神匠』ヴィンダールヴル。
鍛冶のみならず、木工、裁縫、彫金など様々な分野に精通し、授恵者たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う、凄腕の職人である。
閃光塗弾の開発も一段落し、次の作品へと取り掛かる前に、ひとつ解決しておきたい案件があった。
光る菓子。
冒険者たちにヒカリゴケの利用法について意見を出してもらったときに出たアイデアである。
ヴィンダールヴルにはこれを食べるという発想はなかったが、食えるかどうかを確かめずにはいられない程度の好奇心はあった。
天然ものは細かい砂粒やクマムシなどが入り込んでいて食えたものではなかった。
しかしテラリウムで栽培された養殖ものであれば汚染は比較的マシ。
そして、ヴィンダールヴル含む数人の有志の毒味したところ、美味くはないが、口にして体調を崩したものはいないという結果が得られた。
しかし、如何ともしがたい独特の風味……。
「どうせなら見た目の珍しさだけじゃなく味もまともであってほしいよな」
そう思ったヴィンダールヴルは、高弟の中でも皆に夜食を差し入れてくれる料理のうまい人物に相談した。
「もっと強い匂いでごまかすのが常套手段でしょうなぁ」
高弟はかまどに火を入れ、小鍋に材料をほうりこむ。
蜂蜜とバニラとクローブ、シナモンカルダモン他スパイスとレモンを煮込んだシロップで臭みを消し、よく冷えた炭酸水で割る。
砕いた氷を入れたグラスに注げば……。
「コイツを飲むとシャキッと目が覚めるんで、徹夜のお供にしてるんですがね。甘くすれば子供のおやつとしてもウケるんじゃないかと」
子供向けにはシャキッとするスパイスは抜いた方がいいですかね、と高弟は言いながらヴィンダールヴルにグラスをすすめる。
ヴィンダールヴルは受け取ったグラスを手で覆って暗がりを作る。飲料に加工してもヒカリゴケの発光する成分は失われていなかった。
「それ、おばけです?」
「おかしのにおいにつられてみればー」
「とんでひにいるなつのむしとはこのこと」
「せちがらいでほんま」
賑やかな声にヴィンダールヴルが振り向くと、開け放たれた窓から身の丈三十センチほどの小人が。
「お前らが噂の妖精か」
高弟が人数分のショットグラスに飲料を注いで妖精さんたちの前に置いてやると、妖精さんたちはお互いを抱きしめあってぶるぶる震えた。
「おばけじゃないよ。甘くて美味しいよ」
高弟が妖精さんをあやすと、妖精さんはおっかなびっくりグラスを口につけた。
飲料が甘いと知った妖精さんは、パァッと笑顔になる。
グラスの中身を飲み干すと、満足したのか妖精さんたちはちりぢりに逃げていった。
そんなことがあった数日後。
ヴィンダールヴルは冒険者ギルドに光る菓子のレシピを募集するという旨の依頼を出した。
どんな案が出てもいいように、ゴールディの果物、エドゥノーグ迷宮から出た珍味など、季節外れの食材や珍しい食材も可能な範囲で用意した。
踊る小熊亭の一角に集まった冒険者を前にヴィンダールヴルが依頼の趣旨を説明する。
そんな彼らを、窓から覗く何人かの妖精さん。
妖精さんたちはあの日味わった目新しいお菓子を忘れられず、ついつい出てきてしまったようだ。
秋の実りを祝う祭りが催されているのは毎年恒例のこと。
今年は妖精さんなる珍客の訪問によって、例年とは違った傾向が見えるらしい。
結論だけで言えば、『菓子が甘くなった』。
「女子供は嬉しいだろうが、俺ら酒飲みにとっちゃぁあんまり関係のねぇことだなぁ」
呟いたのは『神匠』ヴィンダールヴル。
鍛冶のみならず、木工、裁縫、彫金など様々な分野に精通し、授恵者たちが振るう特殊な武器の作成を一手に担う、凄腕の職人である。
閃光塗弾の開発も一段落し、次の作品へと取り掛かる前に、ひとつ解決しておきたい案件があった。
光る菓子。
冒険者たちにヒカリゴケの利用法について意見を出してもらったときに出たアイデアである。
ヴィンダールヴルにはこれを食べるという発想はなかったが、食えるかどうかを確かめずにはいられない程度の好奇心はあった。
天然ものは細かい砂粒やクマムシなどが入り込んでいて食えたものではなかった。
しかしテラリウムで栽培された養殖ものであれば汚染は比較的マシ。
そして、ヴィンダールヴル含む数人の有志の毒味したところ、美味くはないが、口にして体調を崩したものはいないという結果が得られた。
しかし、如何ともしがたい独特の風味……。
「どうせなら見た目の珍しさだけじゃなく味もまともであってほしいよな」
そう思ったヴィンダールヴルは、高弟の中でも皆に夜食を差し入れてくれる料理のうまい人物に相談した。
「もっと強い匂いでごまかすのが常套手段でしょうなぁ」
高弟はかまどに火を入れ、小鍋に材料をほうりこむ。
蜂蜜とバニラとクローブ、シナモンカルダモン他スパイスとレモンを煮込んだシロップで臭みを消し、よく冷えた炭酸水で割る。
砕いた氷を入れたグラスに注げば……。
「コイツを飲むとシャキッと目が覚めるんで、徹夜のお供にしてるんですがね。甘くすれば子供のおやつとしてもウケるんじゃないかと」
子供向けにはシャキッとするスパイスは抜いた方がいいですかね、と高弟は言いながらヴィンダールヴルにグラスをすすめる。
ヴィンダールヴルは受け取ったグラスを手で覆って暗がりを作る。飲料に加工してもヒカリゴケの発光する成分は失われていなかった。
「それ、おばけです?」
「おかしのにおいにつられてみればー」
「とんでひにいるなつのむしとはこのこと」
「せちがらいでほんま」
賑やかな声にヴィンダールヴルが振り向くと、開け放たれた窓から身の丈三十センチほどの小人が。
「お前らが噂の妖精か」
高弟が人数分のショットグラスに飲料を注いで妖精さんたちの前に置いてやると、妖精さんたちはお互いを抱きしめあってぶるぶる震えた。
「おばけじゃないよ。甘くて美味しいよ」
高弟が妖精さんをあやすと、妖精さんはおっかなびっくりグラスを口につけた。
飲料が甘いと知った妖精さんは、パァッと笑顔になる。
グラスの中身を飲み干すと、満足したのか妖精さんたちはちりぢりに逃げていった。
そんなことがあった数日後。
ヴィンダールヴルは冒険者ギルドに光る菓子のレシピを募集するという旨の依頼を出した。
どんな案が出てもいいように、ゴールディの果物、エドゥノーグ迷宮から出た珍味など、季節外れの食材や珍しい食材も可能な範囲で用意した。
踊る小熊亭の一角に集まった冒険者を前にヴィンダールヴルが依頼の趣旨を説明する。
そんな彼らを、窓から覗く何人かの妖精さん。
妖精さんたちはあの日味わった目新しいお菓子を忘れられず、ついつい出てきてしまったようだ。
解説
●目標
光る菓子のレシピ考案と試食
●食材
・ヒカリゴケ
サウゼル大樹海で発見された発光植物。
どうやら食用可能らしい。ただし単体では美味しくはない。
あまり味はしないが、寒天や海苔のような独特のニオイと草っぽい青臭さがある。
加熱しても黒焦げレベルまで損壊しなければ光る性質は失わないようだ。
圧力を加えると光度は増すが光の持続時間が短くなる性質がある点に注意。
特に意識して圧力を加えない場合、日中ではわからないが夜間なら視認できる程度の光が2日ほど持続する。
・砂糖
妖精さん提供の白い粉。
ハッピーな気分になれる。
・他
製菓の他ちょっとしたオカズの材料程度は準備してある。
ヴィンダールヴルが使いそうなものは購入しておいてくれたので、レア素材であっても少量ならあるとしてよい。
●NPC
・『神匠』ヴィンダールヴル
冒険者用の装備品などを作る技術に長けた職人。
・妖精さん
お菓子を食べたくて出てきた。
誰かが気づけば出てくる。気づかなくても乱入してくる。
お菓子が美味しいかをジャッジする。
しかし会話が噛み合うかは不明。
人語っぽいものをあやつるが、所詮は魔獣なので。
●状況
リブラネスタ、踊る小熊亭の一角。
収穫祭シーズンのとある日。
冷蔵庫や冷凍庫、ハンドミキサーに相当する紋具の貸し出しあり。
マスターより
九蓮です。
決戦中に失礼いたします! 収穫祭兼【鼓星】番外編です。
OPのドリンクはクラフトコーラです。MSは光る食べ物と聞いてコーラしか思いつかなかったです。積みゲーしてるなぁ、あれ……。
ヒカリゴケの光源は無害なので安心してくださいね。
現実でもブラックライトを当てると光る食品というのは多々ありますが、ヒカリゴケはブラックライトを当てなくても発光します。
ハロウィンぽくていいんじゃないですかね。
質問があれば冒頭に【質問】と書いて相談卓に投稿すれば、ヴィンダールヴルさんが答えられる範囲で答えます。
リプレイ
●光る菓子
サウゼルの動乱以降、多くの冒険者と『神匠』ヴィンダールヴルが取り組んできた『ヒカリゴケ』。
一連の商品開発に関わる依頼の、今日は例えるなら番外編である。
「今日集まってもらったのは他でもねぇ。苔を使った菓子っつぅ案があるんだがよ……」
ヴィンダールヴルが依頼を受けた冒険者に趣旨を説明する。
「じゃ、美味ぇモン期待してるぜ」
彼らの後ろにある窓から、三人の妖精が室内を覗いている。どんな美味しいお菓子が出てくるのか、ワクワクを隠せないようだ。
●[検閲済み]
リリリリスは豊満なバストを自信満々に反らし、カリスマ感あふれる美声で高らかに宣言した。
「私がいれば、こんなクエストは華麗に優雅に華憐に達成してさしあげますわ!!」
しかし彼女の未来的発想と味覚センスは石鹸やインクを食材として認識していた。
(……いくつか、作ってみたいですわね……)
まずは削った氷にシロップをかけたもの、すなわちかき氷を作ろうと考えた。
鍋に苔や甘味料を投入し煮詰めてシロップを作る。
「でも、これだけだとお菓子らしさに欠けますので隠し味を少々」
そう言って風味づけのための香水を投入。
食べると舌が千六五○万色になりそうなお菓子が完成。リリリリス的にはコレが至高の味。
「ここからが本番ですわ!!」
一品を完成させたリリリリスは、さらに苔の見た目とお菓子としてのクオリティの極致へ至らんと本気を出す。
サクっとした生地を作るためという名目でなぜかスライム石鹸を削って織り交ぜ、着色にコスメセットとインクを使ってカラフルな外観を作り上げる。焼き上げた生地に苔を使った光るクリームをサンドすれば完成だ。ここでも風味づけに香水が使用されている。
「そう、魔化論ですわ!」
リリリリスはこれが美味しいと本気で信じている。大事なことなので二回言いました。
「さぁ、どうぞ遠慮せずに食べてくださいまし!」
試食したアルマ・ヴァレンタインとハルハン・ツァガーンナルはえずいていた。
しかもアルマの味覚と調理技術は深淵を覗いてしまった。正気がゴリゴリ削れていく……!
「まぁ……味覚は人それぞれだからな」
ヴィンダールヴルとしてはレシピとして常識的に要求される水準を満たすものを納品してほしかったので、意思疎通の難しさを痛感していた。
しかしリリリリスはこれを仕事と認識し、自分なりに一所懸命取り組んだ結果がコレであるというのも理解していたのでそれ以上何も言わなかった。
●賢者の飴
凄惨な状況にも顔色一つ変えず、ストレガ・L・リベルガストラは苔の味をみていた。
「無味だし確かに菓子に使う発想はなかったのだ」
今までの文脈は兵器や高性能照明という話だったのだから無理もない。
「光る菓子……不健康なイメージがあるがそれがよいというもので」
食の探求者としての好奇心がうずく。そして普通に美味しいものにするならば……。
まず、匂いと青臭さを消すためには加熱すること。
鍋で袋に入れた苔をゆでる。
「甘いスパイス、よく見つけたのだ」
スパイスは香りと辛味というイメージがあるが、お菓子に使われることもある。
ストレガは圧力を加えすぎないように苔を潰して舌触りを向上させていく。
すると、先日の甘い飲み物に似た匂いにつられて妖精がこっそりと入ってきた。
別の鍋に甘露アリのシロップをあけ、苔のペーストと混ぜていると……。
「妖精なのだ」
妖精はつぶらな瞳を期待でキラキラさせている。
「あまいあまい?」
楽しそうな調理に加わりたいのか、空鍋に砂糖を生成してストレガにおねだりする。
「いれてー」
「いいのだ。シロップがなければ砂糖でも代用できると思っていたところなのだ」
ストレガは妖精の鍋にもペーストを入れてやり、次の工程へ。
水と檸檬汁を加えて煮詰め、うっすら色が変わったら火を止めて型に流し冷やし固める。
「うむ、飴なのだ」
甘露アリのほうは粘土のような固さで成形しやすそう。砂糖のほうは匙の先で叩くとコンコンという反動が返ってくるほどの硬度。
「飴を固める際に蜜柑や林檎の切身などの果物にかけてもよい」
ストレガはそれぞれの妖精たちに帽子の色と同じ果物の飴を配った。
「食べるのはお早めに……と、注意するまでもなかったか」
妖精は我慢できずにその場でがっついていた。
「煮込む際に食べられて着色できるものを混ぜてもいい。成形すればケーキの飾りにもなるのだ」
匙に飴を取って線を描くように垂らすと、紙の上で飴は複雑な形状に固まった。
また、丸型で抜いた光る飴を油紙の袋に入れる。暗くすると紙の繊維ごしに光がこぼれていた。
「保存にもよいのだ。冷暗所に置くとべたつき防止になるのだ」
寒い冬のお楽しみとしても有用そう。
「色といい形といい、ずいぶん使い道が多そうだ。コイツは便利だな」
「万人が使用できるレシピを作るのが賢者の知恵なのだ」
ヴィンダールヴルが感嘆すると、ストレガは飄々と言った。
●星屑の宝石箱
うがいをして気を取り直したアルマは愛用の器具を広げて調理を始めた。
「いよいよ苔を使ったお菓子作りだね」
苔は食べられるが寒天に似た癖がある。そして冷やす紋具が使える。アルマの頭にレシピが浮かんだ。
「妖精さん、お砂糖もらえるー?」
「はいなー」
妖精はお菓子が食べられるのならいくらでも砂糖を出すつもりのようだ。
「ところでこの白い粉って合法……?」
アルマが妖精におそるおそる尋ねた。
「よくなっちゃうー」
「とぶー」
物騒な反応に一抹の不安があるが、作業を進めることにした。
ふやかしておいた寒天を鍋で煮溶かし、砂糖を投入。
煮詰めて、へらで掬うと糸を引くようになったら着色。今回は湯で溶いたココアや濃く作った紅茶や珈琲を使用。これには苔の青臭さを消す意図もある。
それを濡らしたバットに流し入れて、冷やし固める。
「渋い色になったなぁ」
ヴィンダールヴルがアルマの手元を見て言った。茶色のトーンの大人っぽい色彩だ。暗いところでは赤や茶色の光に見え、着色料の透明度で微妙に光量やニュアンスが変わって見えた。
「これだけじゃないよー」
次の作業は冷えて固まってから。それまでは妖精と遊んで待つことに。
片付けたり、他の人を手伝ったり、妖精のお腹をこしょこしょするなどして時間を潰すこと二時間。
固まった寒天を星形の型で抜いたり、手で崩して天然石のような形にしたり、包丁で切って面取りし、宝石のようにカッティングしたり。
そしてそれらを三つに分けて、一つに重石、もう一つにもっと重い重石を乗せる。
数段階の圧力をかけることで光量に差をつけられないかという試みである。
「このまま冷暗所で二日ほど乾燥させたら完成ー」
型で抜いた切れ端をもらった妖精はご機嫌だった。
「あまー」
「はぴはぴー」
妖精たちはもちもちの寒天を人間サイズのフォークに刺して奪い合うように食べている。
「乾燥させたのはシャリってして美味しいよー」
重石を外したあと、光量の差を維持できるかどうかが気になるところ。閃光塗弾は圧力から解放された直後、焼き切れるまでは光り続けているのだから、短時間でも保ってくれればいいのだが……。
「上品で大人っぽいのができたな。貴族連中にゃ、これくらいのモンのほうが受けるかもな」
琥珀のような人を魅入らせる黄金の輝きは豪奢な印象を与える。
ヴィンダールヴルは、たまに子熊亭に飲みに来るウィリアムあたりに見せればいい反応を示すかもしれないと考えた。
●煌めきのゼリー
ララベル・サン・ディーベルは厨房をチェックしていた。
「わぁ、いろんな食材や、道具もそろってるね……考えるのもすごく楽しそう」
用意された食材を見ていると、いくつかの色鮮やかな果物が目に留まった。
(果汁をたっぷり混ぜた寒天の中に、苔を閉じ込めたらどうだろうな)
ララベルは、フルーツの味や香りで苔の癖をわからなくできるのではないか、と考えた。
「味だけでなく見た目も楽しめるお菓子、キラキラ素敵だなって思えるような……」
完成したら宿屋の酒場で出せば、客やいつものメンバーに喜んでもらえるかもしれない。アイデアを形にすべく、作業に取りかかる。
まずは果汁で味と色味をつけた寒天液を半量流し込み、冷やして固める。
適当なサイズに丸めた苔を等間隔に配置し、もう半量の寒天液を注ぐ。
同じものを数種類の果物でいくつか作る。
「カラフルだねー」
自分のお菓子が冷やし中なので、アルマと妖精が手伝いに来た。
アルマとララベルの寒天が固まるころ。
ララベルはできあがったものを星やハートの形に切り抜いていく。
「ちょだーい」
妖精が寒天の切れ端をねだる。
「これも使うからダメだよ。君たちの分も用意してるから待っててね」
ララベルがニコッと笑って妖精をたしなめると、あとでもらえるらしいという雰囲気を察した妖精は机の上に腰掛けて大人しくしていた。
ララベルは寒天の切れ端をほどよく崩して器に盛る。その上に切り抜いた寒天を乗せると、洒落たカクテルのようなゼリーが完成した。
「口当たりもよくなるかなって思って」
ララベルが意図を説明する。ヴィンダールヴルが器を日に透かすと、透明感と色味のグラデーションが大変美しかった。
「この見映えはシグルランが好きそうだ」
「食べてる最中にゼリーを強く押したら、光の強さの変化も楽しめるって思うんだ」
ギミックつきのお菓子。楽しい祭りにはこのような遊び心はぴったり。
試食しながらララベルはふと思った。
(二日も光り続けるのなら、お手洗いが少し心配……)
生物の体で消化された苔の発光成分はどうなるのだろうか。この場で口に出すわけにはいかないことなので、その疑問はララベルの胸の中にひっそりとしまわれた。
●びっくり卵のクッキー
サマエラ=フォリウムがオーブンから天板を取り出すと、バターの香りにつられて妖精たちが群がってきた。
どうやらクッキーのようである。
「完成するまでは大人しく、な?」
サマエラが優しく妖精を遠ざけたのは、熱い天板が危ないからというだけではなかった。
冷却なり焼きなりの待ち時間で手のあく者が多いタイミング。
サマエラのお菓子ができあがった。
「おかしー」
サマエラは休憩中の冒険者と妖精たちに一枚ずつ、チョコレートでコーティングされたクッキーを配った。
「どこに苔を使ったんだろう?」
クッキーがまるで光っている様子が見えないので、ララベルは疑問に感じた。
「この卵のような形と、ひび割れのようなぎざぎざ模様。むむ、思わず割ってみたくなりますね」
ツァガーンナルが、楕円形のクッキーに入った線につられるように割ってみると、断面がピカッと光った。
「チョコレートの中に、光る生地があるんですね!」
「なにこれー!」
「おばけー?」
妖精たちはかじったところが光ったので、目を剥いて驚く。机の上にクッキーを落としてしまうが、クッキーは妖精に襲いかかったりはしない。妖精はクッキーを割ったり裏返したりして不思議そうな顔をしていた。
「なるほどねー。割るときの圧力で強く光るんだ-」
アルマが仕掛けを見抜く。
苔の特性を最初から見せるのではなく、驚き要素として隠しておくという発想だった。
「苔の臭い消しにチョコレートを使ったのだな。生地そのものにも香りがあるか」
ストレガがクッキーと引き換えに果物の飴をサマエラに渡して言った。
「生地にも、ハーブやチョコレートを、練り込んである」
甘いものやスパイシーなもの、生地の風味も数種類用意されているようだ。
「光が漏れないよう……かつ、厚すぎて割りにくくない、チョコレートの厚さの調整に、苦労した」
サマエラはこともなげに言うが、この心地よいパキッと感や歯触りは超絶技巧によって実現された至高の領域。
ストレガの果物の飴も、外がカリッと中がじゅわっとの絶妙なバランスになっている。コーティング系のお菓子は、味だけではなく、こういったところでも口腔内に快感をもたらすものなのだ。
「コイツは子供に大受けしそうだが、老若男女誰が食っても絶賛するだろうな」
食べ物としては微妙だった苔が、五感の全てに訴える美味に仕上がるとは。
「化けるもんだなぁ……」
ヴィンダールヴルのつぶやきに妖精はぶるぶる震え上がった。
「やっぱり、おばけー?」
●妖精のジンジャークッキー
時は遡って、ツァガーンナルは何を作っていたかというと。
「ふむふむ。光るお菓子……面白そうですね! ボクもがんばって作ります!」
厨房をちょろちょろアスレチックしている妖精を捕まえ、抱っこしてお願いした。
「お砂糖、出していただけますか?」
「なにー?」
「お・さ・と・う!」
いくつかの言葉を交わし、ようやく理解した妖精が小さなボウルに一杯の砂糖を生成する。
「妖精さんのおかげで砂糖がいっぱいなので、贅沢に使えるのがいいですよね」
「ほめられたー?」
「ごほうびー?」
さて、何を作るかであるが、高弟が見本として作ったクラフトコーラにヒントを得て。
「ジンジャークッキーを作ってあげましょうね」
さらに、せっかく訪れた妖精のために、もう一工夫を。
(お酒にもあうように、スパイスや生姜を効かせたものと、甘めにしたものを用意しましょう)
小麦粉や砂糖、スパイスの粉末をふるいにかけて、生姜汁とバターと混ぜてまとめ、しばらく寝かせるとクッキーの生地になる。
生地を薄くのばして人型に成形し、翅をつけると……。
「ほら。妖精さんのクッキーです!」
妖精はきゃっきゃと嬉しそうにはしゃぐ。
甘い生地は妖精の形に、辛い生地はかぼちゃおばけの形にして、いざ、オーブンに。
「焦げませんように……!」
使い慣れないオーブンは焼き加減が難しい。ツァガーンナルはオーブンに拝んだ。
ストレガの飴やサマエラのクッキーの味見をしながら待つこと十五分ほど。
祈った甲斐あってか、クッキーは均一な明るいベージュに焼き上がってくれた。
粗熱を取る間に苔で光る糖衣糖衣を作る。
卵白と砂糖、檸檬汁とペースト状にした苔を混ぜあわせて絞り袋に入れ、妖精クッキーの翅とおばけクッキーの目に塗る。
これをしっかり乾燥させれば完成。
「なかまー?」
妖精たちは妖精クッキーとお互いを見比べている。
「お菓子ですよ。めしあがれ」
ツァガーンナルが促すと妖精はおそるおそる口をつけた。
「うまー」
一口食べればあとは止まらないといった様子。
ヴィンダールヴルにはおばけのクッキーを。
「スパイスが効いたものなら、どうでしょうか?」
「ウィスキーやスピリッツにあいそうだ」
ヴィンダールヴルの視線はチラチラと棚の酒瓶に向いていた。
●サウゼル発の流行
後日、お菓子のレシピと試作品はゴールディのドン・ゴーフルに届けられた。
果たしてこれらは新名物となるのだろうか。
サウゼルの動乱以降、多くの冒険者と『神匠』ヴィンダールヴルが取り組んできた『ヒカリゴケ』。
一連の商品開発に関わる依頼の、今日は例えるなら番外編である。
「今日集まってもらったのは他でもねぇ。苔を使った菓子っつぅ案があるんだがよ……」
ヴィンダールヴルが依頼を受けた冒険者に趣旨を説明する。
「じゃ、美味ぇモン期待してるぜ」
彼らの後ろにある窓から、三人の妖精が室内を覗いている。どんな美味しいお菓子が出てくるのか、ワクワクを隠せないようだ。
●[検閲済み]
リリリリスは豊満なバストを自信満々に反らし、カリスマ感あふれる美声で高らかに宣言した。
「私がいれば、こんなクエストは華麗に優雅に華憐に達成してさしあげますわ!!」
しかし彼女の未来的発想と味覚センスは石鹸やインクを食材として認識していた。
(……いくつか、作ってみたいですわね……)
まずは削った氷にシロップをかけたもの、すなわちかき氷を作ろうと考えた。
鍋に苔や甘味料を投入し煮詰めてシロップを作る。
「でも、これだけだとお菓子らしさに欠けますので隠し味を少々」
そう言って風味づけのための香水を投入。
食べると舌が千六五○万色になりそうなお菓子が完成。リリリリス的にはコレが至高の味。
「ここからが本番ですわ!!」
一品を完成させたリリリリスは、さらに苔の見た目とお菓子としてのクオリティの極致へ至らんと本気を出す。
サクっとした生地を作るためという名目でなぜかスライム石鹸を削って織り交ぜ、着色にコスメセットとインクを使ってカラフルな外観を作り上げる。焼き上げた生地に苔を使った光るクリームをサンドすれば完成だ。ここでも風味づけに香水が使用されている。
「そう、魔化論ですわ!」
リリリリスはこれが美味しいと本気で信じている。大事なことなので二回言いました。
「さぁ、どうぞ遠慮せずに食べてくださいまし!」
試食したアルマ・ヴァレンタインとハルハン・ツァガーンナルはえずいていた。
しかもアルマの味覚と調理技術は深淵を覗いてしまった。正気がゴリゴリ削れていく……!
「まぁ……味覚は人それぞれだからな」
ヴィンダールヴルとしてはレシピとして常識的に要求される水準を満たすものを納品してほしかったので、意思疎通の難しさを痛感していた。
しかしリリリリスはこれを仕事と認識し、自分なりに一所懸命取り組んだ結果がコレであるというのも理解していたのでそれ以上何も言わなかった。
●賢者の飴
凄惨な状況にも顔色一つ変えず、ストレガ・L・リベルガストラは苔の味をみていた。
「無味だし確かに菓子に使う発想はなかったのだ」
今までの文脈は兵器や高性能照明という話だったのだから無理もない。
「光る菓子……不健康なイメージがあるがそれがよいというもので」
食の探求者としての好奇心がうずく。そして普通に美味しいものにするならば……。
まず、匂いと青臭さを消すためには加熱すること。
鍋で袋に入れた苔をゆでる。
「甘いスパイス、よく見つけたのだ」
スパイスは香りと辛味というイメージがあるが、お菓子に使われることもある。
ストレガは圧力を加えすぎないように苔を潰して舌触りを向上させていく。
すると、先日の甘い飲み物に似た匂いにつられて妖精がこっそりと入ってきた。
別の鍋に甘露アリのシロップをあけ、苔のペーストと混ぜていると……。
「妖精なのだ」
妖精はつぶらな瞳を期待でキラキラさせている。
「あまいあまい?」
楽しそうな調理に加わりたいのか、空鍋に砂糖を生成してストレガにおねだりする。
「いれてー」
「いいのだ。シロップがなければ砂糖でも代用できると思っていたところなのだ」
ストレガは妖精の鍋にもペーストを入れてやり、次の工程へ。
水と檸檬汁を加えて煮詰め、うっすら色が変わったら火を止めて型に流し冷やし固める。
「うむ、飴なのだ」
甘露アリのほうは粘土のような固さで成形しやすそう。砂糖のほうは匙の先で叩くとコンコンという反動が返ってくるほどの硬度。
「飴を固める際に蜜柑や林檎の切身などの果物にかけてもよい」
ストレガはそれぞれの妖精たちに帽子の色と同じ果物の飴を配った。
「食べるのはお早めに……と、注意するまでもなかったか」
妖精は我慢できずにその場でがっついていた。
「煮込む際に食べられて着色できるものを混ぜてもいい。成形すればケーキの飾りにもなるのだ」
匙に飴を取って線を描くように垂らすと、紙の上で飴は複雑な形状に固まった。
また、丸型で抜いた光る飴を油紙の袋に入れる。暗くすると紙の繊維ごしに光がこぼれていた。
「保存にもよいのだ。冷暗所に置くとべたつき防止になるのだ」
寒い冬のお楽しみとしても有用そう。
「色といい形といい、ずいぶん使い道が多そうだ。コイツは便利だな」
「万人が使用できるレシピを作るのが賢者の知恵なのだ」
ヴィンダールヴルが感嘆すると、ストレガは飄々と言った。
●星屑の宝石箱
うがいをして気を取り直したアルマは愛用の器具を広げて調理を始めた。
「いよいよ苔を使ったお菓子作りだね」
苔は食べられるが寒天に似た癖がある。そして冷やす紋具が使える。アルマの頭にレシピが浮かんだ。
「妖精さん、お砂糖もらえるー?」
「はいなー」
妖精はお菓子が食べられるのならいくらでも砂糖を出すつもりのようだ。
「ところでこの白い粉って合法……?」
アルマが妖精におそるおそる尋ねた。
「よくなっちゃうー」
「とぶー」
物騒な反応に一抹の不安があるが、作業を進めることにした。
ふやかしておいた寒天を鍋で煮溶かし、砂糖を投入。
煮詰めて、へらで掬うと糸を引くようになったら着色。今回は湯で溶いたココアや濃く作った紅茶や珈琲を使用。これには苔の青臭さを消す意図もある。
それを濡らしたバットに流し入れて、冷やし固める。
「渋い色になったなぁ」
ヴィンダールヴルがアルマの手元を見て言った。茶色のトーンの大人っぽい色彩だ。暗いところでは赤や茶色の光に見え、着色料の透明度で微妙に光量やニュアンスが変わって見えた。
「これだけじゃないよー」
次の作業は冷えて固まってから。それまでは妖精と遊んで待つことに。
片付けたり、他の人を手伝ったり、妖精のお腹をこしょこしょするなどして時間を潰すこと二時間。
固まった寒天を星形の型で抜いたり、手で崩して天然石のような形にしたり、包丁で切って面取りし、宝石のようにカッティングしたり。
そしてそれらを三つに分けて、一つに重石、もう一つにもっと重い重石を乗せる。
数段階の圧力をかけることで光量に差をつけられないかという試みである。
「このまま冷暗所で二日ほど乾燥させたら完成ー」
型で抜いた切れ端をもらった妖精はご機嫌だった。
「あまー」
「はぴはぴー」
妖精たちはもちもちの寒天を人間サイズのフォークに刺して奪い合うように食べている。
「乾燥させたのはシャリってして美味しいよー」
重石を外したあと、光量の差を維持できるかどうかが気になるところ。閃光塗弾は圧力から解放された直後、焼き切れるまでは光り続けているのだから、短時間でも保ってくれればいいのだが……。
「上品で大人っぽいのができたな。貴族連中にゃ、これくらいのモンのほうが受けるかもな」
琥珀のような人を魅入らせる黄金の輝きは豪奢な印象を与える。
ヴィンダールヴルは、たまに子熊亭に飲みに来るウィリアムあたりに見せればいい反応を示すかもしれないと考えた。
●煌めきのゼリー
ララベル・サン・ディーベルは厨房をチェックしていた。
「わぁ、いろんな食材や、道具もそろってるね……考えるのもすごく楽しそう」
用意された食材を見ていると、いくつかの色鮮やかな果物が目に留まった。
(果汁をたっぷり混ぜた寒天の中に、苔を閉じ込めたらどうだろうな)
ララベルは、フルーツの味や香りで苔の癖をわからなくできるのではないか、と考えた。
「味だけでなく見た目も楽しめるお菓子、キラキラ素敵だなって思えるような……」
完成したら宿屋の酒場で出せば、客やいつものメンバーに喜んでもらえるかもしれない。アイデアを形にすべく、作業に取りかかる。
まずは果汁で味と色味をつけた寒天液を半量流し込み、冷やして固める。
適当なサイズに丸めた苔を等間隔に配置し、もう半量の寒天液を注ぐ。
同じものを数種類の果物でいくつか作る。
「カラフルだねー」
自分のお菓子が冷やし中なので、アルマと妖精が手伝いに来た。
アルマとララベルの寒天が固まるころ。
ララベルはできあがったものを星やハートの形に切り抜いていく。
「ちょだーい」
妖精が寒天の切れ端をねだる。
「これも使うからダメだよ。君たちの分も用意してるから待っててね」
ララベルがニコッと笑って妖精をたしなめると、あとでもらえるらしいという雰囲気を察した妖精は机の上に腰掛けて大人しくしていた。
ララベルは寒天の切れ端をほどよく崩して器に盛る。その上に切り抜いた寒天を乗せると、洒落たカクテルのようなゼリーが完成した。
「口当たりもよくなるかなって思って」
ララベルが意図を説明する。ヴィンダールヴルが器を日に透かすと、透明感と色味のグラデーションが大変美しかった。
「この見映えはシグルランが好きそうだ」
「食べてる最中にゼリーを強く押したら、光の強さの変化も楽しめるって思うんだ」
ギミックつきのお菓子。楽しい祭りにはこのような遊び心はぴったり。
試食しながらララベルはふと思った。
(二日も光り続けるのなら、お手洗いが少し心配……)
生物の体で消化された苔の発光成分はどうなるのだろうか。この場で口に出すわけにはいかないことなので、その疑問はララベルの胸の中にひっそりとしまわれた。
●びっくり卵のクッキー
サマエラ=フォリウムがオーブンから天板を取り出すと、バターの香りにつられて妖精たちが群がってきた。
どうやらクッキーのようである。
「完成するまでは大人しく、な?」
サマエラが優しく妖精を遠ざけたのは、熱い天板が危ないからというだけではなかった。
冷却なり焼きなりの待ち時間で手のあく者が多いタイミング。
サマエラのお菓子ができあがった。
「おかしー」
サマエラは休憩中の冒険者と妖精たちに一枚ずつ、チョコレートでコーティングされたクッキーを配った。
「どこに苔を使ったんだろう?」
クッキーがまるで光っている様子が見えないので、ララベルは疑問に感じた。
「この卵のような形と、ひび割れのようなぎざぎざ模様。むむ、思わず割ってみたくなりますね」
ツァガーンナルが、楕円形のクッキーに入った線につられるように割ってみると、断面がピカッと光った。
「チョコレートの中に、光る生地があるんですね!」
「なにこれー!」
「おばけー?」
妖精たちはかじったところが光ったので、目を剥いて驚く。机の上にクッキーを落としてしまうが、クッキーは妖精に襲いかかったりはしない。妖精はクッキーを割ったり裏返したりして不思議そうな顔をしていた。
「なるほどねー。割るときの圧力で強く光るんだ-」
アルマが仕掛けを見抜く。
苔の特性を最初から見せるのではなく、驚き要素として隠しておくという発想だった。
「苔の臭い消しにチョコレートを使ったのだな。生地そのものにも香りがあるか」
ストレガがクッキーと引き換えに果物の飴をサマエラに渡して言った。
「生地にも、ハーブやチョコレートを、練り込んである」
甘いものやスパイシーなもの、生地の風味も数種類用意されているようだ。
「光が漏れないよう……かつ、厚すぎて割りにくくない、チョコレートの厚さの調整に、苦労した」
サマエラはこともなげに言うが、この心地よいパキッと感や歯触りは超絶技巧によって実現された至高の領域。
ストレガの果物の飴も、外がカリッと中がじゅわっとの絶妙なバランスになっている。コーティング系のお菓子は、味だけではなく、こういったところでも口腔内に快感をもたらすものなのだ。
「コイツは子供に大受けしそうだが、老若男女誰が食っても絶賛するだろうな」
食べ物としては微妙だった苔が、五感の全てに訴える美味に仕上がるとは。
「化けるもんだなぁ……」
ヴィンダールヴルのつぶやきに妖精はぶるぶる震え上がった。
「やっぱり、おばけー?」
●妖精のジンジャークッキー
時は遡って、ツァガーンナルは何を作っていたかというと。
「ふむふむ。光るお菓子……面白そうですね! ボクもがんばって作ります!」
厨房をちょろちょろアスレチックしている妖精を捕まえ、抱っこしてお願いした。
「お砂糖、出していただけますか?」
「なにー?」
「お・さ・と・う!」
いくつかの言葉を交わし、ようやく理解した妖精が小さなボウルに一杯の砂糖を生成する。
「妖精さんのおかげで砂糖がいっぱいなので、贅沢に使えるのがいいですよね」
「ほめられたー?」
「ごほうびー?」
さて、何を作るかであるが、高弟が見本として作ったクラフトコーラにヒントを得て。
「ジンジャークッキーを作ってあげましょうね」
さらに、せっかく訪れた妖精のために、もう一工夫を。
(お酒にもあうように、スパイスや生姜を効かせたものと、甘めにしたものを用意しましょう)
小麦粉や砂糖、スパイスの粉末をふるいにかけて、生姜汁とバターと混ぜてまとめ、しばらく寝かせるとクッキーの生地になる。
生地を薄くのばして人型に成形し、翅をつけると……。
「ほら。妖精さんのクッキーです!」
妖精はきゃっきゃと嬉しそうにはしゃぐ。
甘い生地は妖精の形に、辛い生地はかぼちゃおばけの形にして、いざ、オーブンに。
「焦げませんように……!」
使い慣れないオーブンは焼き加減が難しい。ツァガーンナルはオーブンに拝んだ。
ストレガの飴やサマエラのクッキーの味見をしながら待つこと十五分ほど。
祈った甲斐あってか、クッキーは均一な明るいベージュに焼き上がってくれた。
粗熱を取る間に苔で光る糖衣糖衣を作る。
卵白と砂糖、檸檬汁とペースト状にした苔を混ぜあわせて絞り袋に入れ、妖精クッキーの翅とおばけクッキーの目に塗る。
これをしっかり乾燥させれば完成。
「なかまー?」
妖精たちは妖精クッキーとお互いを見比べている。
「お菓子ですよ。めしあがれ」
ツァガーンナルが促すと妖精はおそるおそる口をつけた。
「うまー」
一口食べればあとは止まらないといった様子。
ヴィンダールヴルにはおばけのクッキーを。
「スパイスが効いたものなら、どうでしょうか?」
「ウィスキーやスピリッツにあいそうだ」
ヴィンダールヴルの視線はチラチラと棚の酒瓶に向いていた。
●サウゼル発の流行
後日、お菓子のレシピと試作品はゴールディのドン・ゴーフルに届けられた。
果たしてこれらは新名物となるのだろうか。
マスターコメント
ご参加ありがとうございました。
美味しいレシピを考案してくださった皆様のおかげで依頼は無事大成功となりました!
字数がたりなくて交流が少なめになってしまったのはすみません!
MVP選出はヴィンダールヴルチョイスと妖精さんチョイスの各一名様ずつ。
MSはどれもいいなぁと思いました。
お楽しみいただけていれば幸いです。
ショートシナリオ易しい 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年11月03日 00時24分21秒 公開
大成功
相談掲示板
アルマだよ、どーぞよろしくねー ハピ粉…(ゴクリ) 冷やす紋具もあるみたいだし 安直だけど光る琥珀糖みたいなの作ろうかなと思ってるよ
私(ワタクシ)、リリリリスですわ!! 光お菓子と言うことですわね!! これはとても興味深いですわっ!創作意欲をとても掻き立てますわねっ!!
ボクは、ツァガーンナルです! よろしくおねがいしますね。 光るお菓子! 不思議な感じになりそうですね。どういったものを作るか、考えるのが楽しみです!
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 苔を食べる発想はなかったからなんとかやってみるのだ。
ゴブリン、サマエラだ。 よろしく頼む。 あれは、食べられるのか……食べられるのなら、確かに味も整えねばな。 まだ調理内容は決め兼ねているが、良いものができるよう、尽力しよう。
もうすぐ出発も近いですね。 お菓子は、作ったら試食もしてみたいです! ボクは、収穫祭に合わせてかぼちゃのお菓子と、クッキーを作ってみたいですね 皆さんのお菓子も、楽しみです!
僕は、ララベル・サン・ディーベル。 みんな、宜しくね!
ふふ、私の至高の一品 皆様もぜひ味わってくださいませ!(どやぁ)