【呪輪】帰ってきた無法者

革酎

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シナリオID:1486

オープニング

●再起を図る
 クラウベル戦徒衆と呼ばれる、メドゥの指先の下部組織が存在する。
 元々はフィルエス大森林南東部を縄張りとする野盗集団だったのだが、『青の示指』フェンヌ・ダーニの植物型魔獣育成の邪魔になりかねないということで、『青の中指』ジルベルが一時的に彼らの縄張りをシルトラース帝国領内に移動させていた。
 その帝国領内では、クラウベル戦徒衆は工房街ヴェルターゼンへと帰還する職人達の大移動を獲物として見定め、大規模な攻撃を仕掛けた。ところがロモズ歩兵団を主力とする護衛部隊の返り討ちに遭い、潰走を余儀無くされた。
 首領ダッドレイ・クラウベルは30名程度の敗残兵を取り纏め、這う這うの体でフィルエス大森林へと逃げ帰った。既にフェンヌは討伐され、自分達のかつての縄張りへの帰還に関しては、一切の支障は無くなっていた。
 だが、彼らがもともと縄張りとしていた区域はケアイデによる土壌汚染の影響が色濃く、とてもではないがまともに活動を続けられる地盤ではなくなっていた。
「頼む、もう一度あんたの力を貸してくれないか。今度こそメドゥの指先の一組織として、きっちり結果を出してみせるからよ」
「何だ? あんだけみじめにやられたってぇのに、再起を図りたいってかぁ?」
 ダッドレイは、たまたま所用でフィルエス大森林近くに足を延ばしていたジルベルに泣きついた。
 当初は面倒臭そうな表情を見せていたジルベルだが、ダッドレイが余りにしつこく食い下がるものだから、遂に折れてしまった。
 現在ジルベルはメルトウォールとの共闘でドワーフ王国での戦闘に時間を多く割いている。それでもダッドレイの泣き言に付き合ってやったのは、彼らの縄張りを強制的に移動させたという後ろめたさが多少なりともあった所為かも知れない。
 そこでジルベルは、プラフェルの旧集落跡を利用してみてはどうか、と提案した。
 近隣のパドフェルやトーテルースからは熾烈な抵抗があるかも知れないが、元軍人上がりのクラウベル戦徒衆ならば何とかなるだろう、などと楽観論をぶち上げた。
 勿論、敵も冒険者を雇い入れる等して様々な策を仕掛けてくるだろう。
 だがそれでもダッドレイは、背に腹は代えられぬとばかりに、ジルベルの提案を受け入れることにした。

●今度こそ決着を
 トーテルース集落には、プラフェルの旧集落跡にクラウベル戦徒衆がいつの間にかアジトを移してきた旨の報告が即日で舞い込んできた。
 集落長アレンバーは早速自ら馬を駆って、近隣の町ズロフォールの冒険者ギルド支部へと駆け込んだ。そしてクラウベル戦徒衆討伐依頼を申し込むと、早々に応じる者が現れた。
 重戦士アーギス・マーレイだった。アレンバーとは諸々の依頼ですっかり顔馴染みになっており、この日偶々ズロフォールに滞在していたのを幸いに、いの一番に手を挙げたのである。
「アーギス殿が来てくれるなら、大変心強い。是非、お願い致します」
「しかし、クラウベル戦徒衆か……実は連中とは帝国領内でちょっとした因縁があってね。丁度良い機会だ。ここで決着をつけてやろうじゃないの」
 帝国領内での遭遇戦はロモズ歩兵団の隊長としての立場だったが、今回は飽くまでもひとりの冒険者個人としての再戦だ。果たして向こうが覚えているかどうか。
「前回やり合ったときにゃあ、青の中指の他にエリスリシアっていう授恵者が後ろに控えていた。今回もあのふたりが居る可能性がある。他にもう何人か、冒険者を雇った方が良さそうだな」
 アーギスの進言を受けて、アレンバーは更に数名、追加で冒険者を募集することにした。
 かくして、クラウベル戦徒衆完全討伐に向けた、最後の掃討戦が仕掛けられようとしていた。

解説

状況:  PCの皆様はズロフォールの冒険者ギルドで依頼を受け、トーテルースに駆けつけてきたところからスタートして頂きます。  今回は単純に野盗集団の討伐戦です。敵もまだプラフェルの旧集落跡に居ついたばかりで、周辺の状況には完全に馴染んでおりません。お互いに地の利は無く、普通の森林内局地戦ということになります。 敵:  授恵者ダッドレイ・クラウベルと、その配下の野盗30名です。  ダッドレイ・クラウベルは悪行三昧が祟って冒険者ギルドから指名手配までされるようになった、現役授恵者です。戦闘力はそこそこ高いと考えて下さい。  またクラウベル戦徒衆は、大半がリーンエス王国貴族私兵団からの脱走兵や不名誉退団兵であり、食うに困った挙句にメドゥの指先構成員へと身を転じた者ばかりです。全員革鎧を着込んでおり、槍や長剣、盾、戦斧等で武装しています。  その他、場合によっては『青の中指』ジルベルや、彼の配下の授恵者エリスリシア・トルドという大剣使いの女戦士が現れる可能性もあります。 NPC:  ヒューマンの重戦士アーギス・マーレイと、トーテルース集落長アレンバーが主な顔ぶれです。  場合によってはパドフェルの若者クラムドも顔を出すかも知れません。

マスターより

 皆様、こんにちは。  連動【呪輪】のアフターシナリオをリリースします。  エルヴンデッドや紅い涙とは完全に趣向を変え、普通の対人集団戦となります。彼らを全て討伐すれば、トーテルースやパドフェルに於ける騒乱も完全にひと区切りとなるでしょう。

リプレイ

●闇夜の強襲
 秋の夜長のフィルエス大森林。
 ひんやりと冷たい夜気が、コルネリウス・アーラの頬を軽く撫でた。現在彼女の周囲は樹々諸共闇に覆われているが、温度差で生物の位置を的確に見抜く視界が、漆黒の世界など何するものぞといわんばかりの威力を発揮している。
 僅かに離れた後方では、リディリディ・トゥラ・イェレミースが茂みの奥で気配を忍ばせている。コルネリウスとリディリディが身を潜めている位置から十数メートル先の前方には、プラフェルの旧集落跡が静かに鎮座していた。
 今、このプラフェル旧集落跡にはメドゥの指先の下位組織たるクラウベル戦徒衆が屯している。彼らは自分達がこれから攻撃を受けることになろうとは思ってもいないのか、見張りすらも立てず、呑気に家屋内でくつろいでいる様子だった。
 警戒の為の篝火すら焚いていない。呆れる程の無頓着さであった。
 コルネリウスの視界の中で、ふたつの人影が動いた。地上を走る影は、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。そして樹上を枝から枝へと飛び移ってゆくのはハヤト=ガラン=ヴォルファングだ。いずれも先手を打って敵陣に突入し、撹乱と誘導を担当することになっている。
(クラインさんから……配置に就いたとの連絡が、届きました……)
 リディリディのか細い声が、コルネリウスの脳裏で静かに響いた。ここから西の方角、凡そ100メートルの位置でアーシェル・G・クラインとアーギス・マーレイの両名が旧集落跡を南北に挟む格好で、それぞれの得物を構えている。
 情報では、敵の方が数が多い。だがこの闇の中でなら、要所を抑える位置に範囲攻撃能力を持つ授恵者が立ちはだかることで、数ではなく力による包囲網を敷くことが出来る。
 コルネリウスは北側に視線を向けた。そこに、鞘から大太刀を抜き放ったアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが静かに佇んでいる。細かい表情までは分からないが、その佇まいから一撃必殺の気合が全身から滲み出ていた。
(今回こそは逃がしません……ここで決着をつけましょう)
 コルネリウスも愛用の刃をそっと抜き払い、前方を行くサフィラに念の声で合図を送る。作戦開始だ。
 サフィラはちらりと視線を返し、頷き返す。と同時に、樹上のハヤトに手信号で突入を告げた。
(クラウベル戦徒衆ねぇ……ちったぁ楽しめるかね?)
 内心で小首を捻りながら枝から枝へと飛び移るハヤト。一方のサフィラは地上から樹上へと走り、そのまま敵が居座っている家屋の屋根上へと飛び移った。
 その足音に驚いた屋内の敵が、大声で叫びながら夜の闇の中へと飛び出してきた。他の家屋からも、一体何事かと驚き慌てて、得物を掴んでばらばらと這い出して来る。
「敵かッ!?」
 リーダー格と思しき戦士が、大剣を構えて広場へと躍り出た。
(あ! あのおじちゃん! ダッドレイ見つけたよ!)
 屋根の上で身を屈めていたサフィラが、仲間達に告げた。事前に冒険者ギルドからダッドレイ・クラウベルとクラウベル戦徒衆残党の人相書きを入手していたサフィラは、この男こそが首領ダッドレイであるとすぐに見抜いた。
「よぅ、ブレイブファング傭兵団のハヤト様だッ! クラウベル戦徒衆だか何だか知らねぇが、ぶっ潰してやんぜ!」
 樹上からハヤトが刃を振るって躍りかかる。流石に貴族の私兵団で戦闘訓練を受けていたという経歴通り、ハヤトの奇襲でいきなり昏倒する様な者は出なかったが、矢張り相当に狼狽していたらしく、咄嗟に組んだ包囲陣形は実にお粗末なものだった。
「あっかんべー! ざーこ! ざーこ!」
 一方のサフィラは、敢えて無防備な態勢を見せて戦徒衆を煽りにかかる。その周辺に居た戦徒衆は口々に何かを叫びながらサフィラを追い始めた。所詮はメドゥの下部組織構成員、ちょっとした口撃ですぐにかっとなる辺り、程度が知れているというものである。
 ハヤトはハヤトで、
「そ~ら、鬼さんこちらだ……って、鬼は俺か」
 などと小馬鹿にした様な調子でダッドレイ以下、戦徒衆の主だった面々に挑発を仕掛けた。そうしてサフィラと連携を取りながら、リディリディの強力な魔術の射程範囲内へと誘い出す。
 敵はまんまと乗った。
 空間爆砕が最も効果的に作用する地点に敵が集まるまで、闇の中でじっと息を殺し続けているリディリディ。その表情は実に穏やかながら、彼女が仕掛けようとしている魔術は恐ろしい程の火力を秘めている。
(これも一種の残党狩りということになる訳ですか……マーレイさんは随分と心配なさってましたけど、メドゥの幹部は果たして、姿を見せるでしょうか)
 だが、例え現れたとしても関係は無い。リディリディは己の持てる魔力全てを注ぎ込み、敵を圧倒するまでである。
 そして、十名近い敵が開けた空間に誘い出されてきた時、目に見えぬ衝撃波が一気に襲い掛かった。

●乱戦
 敵勢が大混乱に陥ったところで、アルベルトも動いた。リディリディの仕掛けた魔術は即ち、包囲網縮小開始の合図でもあった。
(流石だな。読み通りじゃないか)
 プラフェル旧集落跡の内部へと踏み込みながら、アルベルトは内心で舌を巻いた。
 今回のクラウベル戦徒衆討伐戦の事実上の指揮官は、コルネリウスだ。彼女はロモズ歩兵団で重兵3番隊長としての経験を重ねるうちに、集団戦を制する技術と知見を磨き続けてきた。少人数で倍以上の数の敵を封じる戦闘には配置とタイミングが何よりも重要なのだが、その全てをコルネリウスは的確に見抜いていた。
 アルベルトとしても、コルネリウスの指示に従ってさえいれば戦局を有利に進めることが出来ると信じていたし、事実その通りになった。
「考えるのは彼女に任せよう……俺はただ、刃を振るうのみ」
 泰然自若と歩を進めるアルベルト。その彼に気付いた戦徒衆の数名が、怒号を放って躍りかかってきた。
「野盗め! 貴様らを殲滅する!」
 走り寄ってくる敵よりも更に速く、アルベルトはほぼ一瞬で間合いを詰め、切れ味鋭い剣戟を放った。最初にひとりを一撃で仕留めると、残りの敵は一気に警戒心を高め、やや後方に退がる。矢張り訓練を受けているだけのことはあった。
 一方、西からプラフェル旧集落跡内部へと侵攻を開始したアーシェルは、アーギスと共に戦徒衆を広場方面へと力押しでぐいぐい押し込んでゆく。
(大した威力だ……あの空間爆砕で出鼻を挫いて貰ったのが、かなり効いているな)
 眼前に迫る戦徒衆数名を流れる様な剣捌きで押し返しながら、アーシェルは東側をちらりと見遣る。
 そして再び、広場方面に視線を戻す。闇に覆われるその先に怒り狂うダッドレイの気配。
(部下を見捨てて逃げ出した腰抜け野郎……今度こそ引導を渡してやろうぜ)
 アーシェルは改めて、自らに気合を入れ直した。部下や仲間を見捨てて保身に走るダッドレイの醜い心根は、同じく部隊を率いる立場の者として、絶対に見逃すことが出来ない。
 必死の形相で反撃を仕掛けてくる戦徒衆に個人的な恨みは無いが、ダッドレイの様な男の配下に収まるということは、この連中も同類と見て良い。ならばこの場で片っ端から叩き伏せておかなければ、後日再び災禍の種となるだろう。
(アーギスも、上手くやっているようだな)
 左手の方角から、巨大な戦斧を振るって敵を圧倒するアーギスの呑気な鼻歌が聞こえてくる。日頃は茫漠とした表情の冴えない中年だが、いざ戦闘となると非常に頼りになる人物だ。同じロモズ歩兵団重兵隊の隊長を務めるだけのことはある。
 アーシェルの強さに恐れをなし、広場方面へと後退してゆく戦徒衆を静かに眺めながら、リディリディに念の声を送り付けた。自身の持ち場で倒した数と、広場へ追い込んだ敵の数を伝えることで、コルネリウスが正確な情勢分析を下す助けとする為だ。
 コルネリウス自身は刃を振るっている為、そのすぐ後ろで待機しているリディリディに情報を集めることとなっている。それは敵陣のど真ん中で駆け廻っているサフィラも同様だった。
 ここで再び、ダッドレイの怒号。急に足場が悪くなったと吠えている模様だ。恐らくはリディリディが重力場を生成したのだろう。広場に追い込まれた敵の多くが、その影響を受けていると見える。
(二発目が来る様だな)
 アーシェルが予感した直後、無数の光弾が闇の中で映えた。地上に巻き起こる流星群の如き華やかさは、敵にとっては地獄の散弾飛来だ。悲鳴と苦悶の声が同時に響いた。
 コルネリウス、アルベルト、アーシェル、アーギスの四人で範囲攻撃を駆使した包囲網を狭めてゆく。そうして敵が足止めされ、逃げ場を失ったところでリディリディの高火力魔術が炸裂する。
 シンプルだが、最も効果的な作戦だ。勿論、ひとりひとりの技量と戦闘力が高度に機能しているからこそ可能な戦術だ。これが所謂未熟な、或いは駆け出しの冒険者であれば、これ程の戦果を叩き出すことは不可能だっただろう。
 更にリディリディが、戦徒衆にとっては最後の止めとなる光弾の雨を降らせた。
 直後、ダッドレイが情けない声を張り上げる。
「青の中指! た、助けてくれ!」
 その瞬間、何となく空気感が変わるのが分かった。ジルベルが来る――アーシェルは戦局ががらりと変化する前に、広場へ進む歩を速めた。

●討伐完了
 一体どこに隠れていたのか。『青の中指』ジルベルは混戦となっている広場に忽然と姿を現した。
「やっぱりテメェが一枚噛んでやがったのか!」
「噛むも噛まねぇも、俺がこいつらをここに来させたんだよ」
 猛然と襲い掛かるハヤトの刃を軽やかな動きで躱すジルベル。
 更にそこへ、城塞の如き防御力と破壊力で戦徒衆を次々と叩き伏せていたアルベルトも一気に間合いを詰めて駆けつけてきた。
「貴様が青の中指か! その首、貰ったぜ!」
「実現もしてねぇのに、勝手に過去形にしてくれんなよ」
 戦徒衆を圧倒していたアルベルトの剣戟は、ハヤトのそれと同じくジルベルには簡単に躱された。しかしこの光景を、アーシェルとサフィラは違和感を抱いて眺めていた。これまでに何度も遭遇してきたジルベルだが、今回の彼の動きには従来には無い鋭さがある。
 それは直接刃を交えているハヤト自身が誰よりも実感していた。
(こいつ……今までとは比べモンにならねぇぐらいに強くなってやがる!)
 表情にこそ出さなかったものの、ハヤトの内心には多少の焦燥感が湧き起こり始めていた。

 ここで再び、リディリディの魔術が炸裂。無数の光弾が一瞬、闇の空間の中で踊り狂った。
 普通ではあり得ない話だが、ジルベルは雨あられと降り注ぐ光弾の群れを全て躱し切った。
(何だこいつは)
 アルベルトは攻撃力には自信を持っていたし、防御力に関しても壁エルフのお姉さんと称されるコルネリウスに決して後れを取らないと自負している。
 だが機動性、速度という点ではジルベルには全く及ばない。自慢の剣戟も、命中させることが出来なければ意味が無い。範囲攻撃を仕掛けても、この敵はあっという間に間合いの外へと退避してしまうだろう。
「てめぇ、この短期間に何でそこまで、異常に速くなりやがった!」
「……流石に壊密宗だな。肉体改造の効果はばっちりだぜ」
 獰猛に吠えるハヤトに、ジルベルはただ機嫌良さそうに笑うのみである。
 そこへ、ダッドレイが笑みを湛えて刃を突き下ろしてきた。ジルベルの加勢を受けて、形勢逆転だと喜び勇んでいる様子だった。しかし、それもほんの一瞬の喜色に終わった。
「……調子に乗るな」
 雷が轟いたかの如き白刃の一閃。アルベルトの剣が、調子に乗りかかっていたダッドレイを一撃で弾き飛ばした。手痛い打撃を被ったダッドレイは、半ば腰砕けの状態で慌てて踵を返す。
 ところがその先には、絶対防御線の象徴ともいえるコルネリウスが立ちはだかっていた。援護に駆けつけてきたアーシェルと連携し、ダッドレイの動きを封じたコルネリウス。
 先程までの余裕の笑みが恐怖の形相へと変じたダッドレイに、アーシェルが迫る。コルネリウスが逃げ道を完璧に封じている以上、最早ダッドレイに生き延びる算段は残されていなかった。
 直前にアルベルトから必殺の一撃を喰らっていたことも災いし、回避動作が極端に鈍っていたダッドレイはアーシェルの刃を受けて、遂に絶命した。
 そして戦徒衆もほぼ全員が死亡、或いは重傷を負い、壊滅状態に陥っていた。
 ジルベルとしても、最早これ以上ここに留まる理由は無くなっていた。
「おぉいエリスリシア、その辺に居てんだろぉ? 一発頼むわぁ」
「えぇ~? 今日は仕事しなくて良いから楽ちんだーって思ってたのにぃ」
 茶飲み話でもするかの様なジルベルの間延びした声に応じて、衝撃波がどこからともなく放たれた。アルベルトとハヤトは超人的な反応速度で回避したが、その隙にジルベルは闇の中へと消えていた。
 尤も、追いすがったところで斃せたかどうかは、誰にも確信は持てなかったが。

 ジルベルとエリスリシアの気配が消えた後で、サフィラは尚も闇に包まれるプラフェルの旧集落跡とその周辺を駆け巡り、クラウベル戦徒衆に討ち漏らしが無いかを見て廻った。
「ん~と、これで全員かなっ? みんな、お疲れ様っ!」
 借用していたランタンの灯の中で人相書きと照合し、ジルベルとエリスリシア以外の全ての敵を確実に殲滅したことが確認出来た。工房街ヴェルターゼンへの職人護送から続く因縁が、漸く断ち切れたと判明した瞬間だった。
 後はトーテルースでアレンバーとクラムドに全てを報告すれば完了だ。
「そういえばマーレイさん……今日も存在感が激薄でしたね……」
「おい、そういうことを軽々しくいわんでくれ。めっちゃ気にしてんだからよ」
 リディリディの容赦無いひと言に、アーギスは心底嫌そうな顔を向けた。
 流石に可哀想だと思ったのか、戦況全体を俯瞰し続けていたコルネリウスが助け舟を出す。
「えぇ、アーギスさんも非常に頑張って下さっていましたよ。弱い相手なら、誰よりも張り切って下さる方ですから」
「おい、ちょっと待て。何気にディスってねぇか?」
 救われるどころか、ますます底辺に墜とされている印象が否めないアーギス。
 すると今度はサフィラが、義憤を湛えた様な表情で割って入ってきた。
「みんな、アーギスを悪くいっちゃ駄目だよっ! アーギスだって頭悪いなりに頑張ってるんだよっ! どんなに無能だって現実を突きつけられても、挫けないその心は大したもんだよっ!」
 リディリディやコルネリウス以上に物凄くはっきりいわれて、アーギスは顔面蒼白だった。
「おい、あのさ……俺を無能者って決めつけんの、やめてくんないかな」
「え? 無能じゃないの?」
「え?」
「え?」
 一気に場の空気が凍り付いた。

マスターコメント

 皆様、お疲れ様でございました。  工房街ヴェルターゼンから続いていたクラウベル戦徒衆との因縁、及びダッドレイ討伐はこれにて終了となります。また革酎が担当していた呪輪としてのストーリーも、本リプレイを持ちまして完了です。  今後は対メルトウォール、対壊密宗へと戦いの場が移っていきますが、そちらでも引き続き、どうぞ宜しくお願いします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年10月17日 17時29分19秒 公開

成功

相談掲示板

  1. コルネリウス・アーラ

    ウォーリアのコルネリウスです、宜しくお願いします。クラウベル戦徒衆と再戦ですね。 ・ダッドレイと兵が30名程度 ・森林内局地戦 ということで、地の利は互いにありませんが人数は戦徒衆側が多いですし、奇襲を掛けられる事と逃走される事は防ぎたいですね。 まだ考え中の部分も多いですが、罠を仕掛けるのもひとつでしょうか。

  2. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    シーフのサフィラだよっ!よろしくねっ! んー、森林の中の集落跡地だからお互いに見通しが悪いシチュだよねぇ 探知系のスキルで相手の配置や状況を丸裸にして、ウォーリアの子が逃げ道を封じてる間にシーフ組が奇襲を仕掛ける感じとかどうかなっ?

  3. No.3

    あの、キャスターのリディリディです。 よ、よろしくお願いします・・・。 相手はこちらの6倍以上の数なんですね・・・。 マーレイさんと集落長さんを入れるとまた違いますが。とはいえ相手の人数が多いです。 ですので場所がわかれば、空間爆砕を行使ししたいですね。 ただ、都合よく固まっているとは限りませんし、戦闘となればあちこちに散らばる可能性の方が高いでしょうね。 逃がさないように挟撃の形を取れれば良いとも思いましたが、こちらも人数の関係でそれも難しいです。 森は身を隠せるところが多いので、逃がさないように他に策はないか考えてみます・・・。

  4. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回はダッドレイ・クラウベルの首を狙う予定だぜ。 万が一ジルベルが登場した場合でも一歩も引くつもりは無いぜ!

  5. アーシェル・G・クライン

    ウォーリアのアーシェルだ。 よろしく頼む。 グラウベル戦徒衆はかなり練度が高い。 【帝国】ヴェルターゼン復興譚 職人達の帰還の報告書に登場しているから、良かったら読んでみてくれ。 ・事前に罠を仕掛ける。 ・探索スキルを持っているシーフが相手の配置や状況を把握する。 ・敵が固まっていたら空間爆砕を使用する。 ・ウォーリアで足止めしシーフが奇襲する。 出ている案を纏めてみた。 勘違いや抜けがあったら指摘してくれ。 サフィラの案で異論ないぜ。 逃亡阻止をより正確にする為の案がまだ思いつかなくて悪ぃが、殺界での足止めを考えてる。 >アルベルト エリスシアも手練だしジルベルは更にその上を行く強さだ。 万が一遭遇した時は無理はせずに援軍を呼んでくれな。 >スキル 視界の悪さは超視覚や超聴覚、看破で対応しよう思ってる。 今回はヒーラーが不在だからヒールも持っていくぜ。

  6. アーシェル・G・クライン

    悪ぃ、ダッドレイの名前が抜けてたからとんちんかんな事を言ってる奴になってたな。

  7. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 森の中でのゲリラ戦ってことだな。 逆に俺やサフィラにとっちゃ好都合の戦場だぜ! んで、クラウベル戦徒衆ってのはなかなかの手練なんだって? そいつぁ腕がなるぜ♪ 敵を1箇所に誘導してリディリディの魔法で一網打尽ってのも気持ち良さそうだよな! 俺とサフィラで森の中を跳び回って撹乱、誘導するって作戦もどーだ? 逃亡阻止もそうそう人数が多くなきゃ逃がさねぇくれーの脚はあるぜ? あとはジルベルの野郎が出て来やがったら俺もやらせてもらうぜ。 あの野郎とは因縁もあるしな!

  8. No.8

    出発も近くなってきました。 そろそろ行動案を練らないといけませんね。 そうですね・・・、ヴォルファングさんの挙げて頂いた作戦で問題ありません。 シーフ勢で攪乱、誘導して頂き、誘導したウォーリア勢で止めてもらえたら、私が広範囲の魔法を行使しますね。 攻撃魔法と同時に敵後方にグラビティフィールドを仕掛けておきますので、生き残りの逃走防止に役立つと思います。

  9. コルネリウス・アーラ

    すみません、間が空いてしまいました。 そろそろ詰めないといけない頃合いですね。 動く際の注意点としては、森の中ですので視界がやや暗い可能性があることでしょうか。暗視が必要なほどかどうかは解りませんし、他のスキルを優先で良いかとは思いますが。 連携用にテレパスは使用しますか?念の為確認をしたいです。 ではウォーリアは固まらないように分散して動きましょう。私も足止めには殺界は用いる予定です。 おおまかな役割分担は現状出ている形で良いかと思いました。 狙いはグラウベルと戦徒衆を確実に討伐することですので、そちらを最優先事項とし。ジルベルやエリスリシアは妨害などがある場合のみ対応、などとしたほうが良いですね。

  10. No.10

    私はテレパス用意しておいた方が良さそうですね。 習得しておきます・・・。

  11. コルネリウス・アーラ

    では私もテレパスを装備していきますね。 状況を把握しながら動きたいと思います。

  12. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!いよいよ23時出発だねっ! ハヤトの提案通り森の中を飛び回って敵をひちゃかちゃにかき回す感じで動いてみるねっ! 特性はホライゾナルジャンプと双波 汎用はテレパスとエリアサイレンスもってくよ! あとはヒーラーの子が居ないからヒールを一つ持ってっとくね!

  13. アーシェル・G・クライン

    間が空いちまって悪ぃ。 連絡用に俺もテレパスを持ってく。 後は超視覚か超聴覚かどちらにしようと思ってる。 ヒールも忘れずに持ってくな。 祭刀を装備していつもより回復量を上げてみたから、皆の傷を癒せたらと思う。 もしもコルネリウスと俺のダブル殺界をすり抜ける敵がいたら、逃亡しないように討ち取ってもらえるとありがたい。 配置について確認させてくれ。 ・サフィラとハヤトは戦場を動き回る ・コルネリウスと俺は分散しつつ前衛で殺界 はふわっと理解してるんだが、アルベルトも前衛、リディリディは後衛で間違ってないか? あとはアーギスにどの配置で動いてもらうかだが、ウォーリア組の近くがいいだろうか? アレンバーやクラムドは戦場には出てこねぇよな……? 杞憂かもしれねぇが、窮地に陥ったダッドレイが人質に取る可能性もあるだろうか。 絶対に死なせたくねぇから、万が一戦場で出会ったら守りつつ戦うようにしてみる。 可能性は低いと思うが、もしもNPCが人質に取られた場合はどうする? 俺個人の意見としては、ダッドレイ達に逃走される可能性があるとしても人質を犠牲にはしたくねぇな。 理想は人質の命を優先、逃走する奴等を追撃して撃破する……はさすがに楽観的過ぎるか。

  14. コルネリウス・アーラ

    私はサーマルアイで索敵しながら、テレパスで情報共有し動く形にしています。 テレパスは戦闘中に使用する場合はメインアクションを使いますので、基本は様子を伺う際に使用→戦闘行動のつもりで流れを組んでいます。 アーギスさんは同行のつもりで認識していましたが、アレンバーさんとクラムドさんは安全な場所で待機して頂くほうが良いかと思いますね。 アーギスさんについて現在触れている方がいらっしゃらなければ、そちらをプレイングにいれますのでアレンバーさんとクラムドさんについてアーシェルさんや何方か記載して頂くことは出来ますか?

  15. アーシェル・G・クライン

    >コルネリウス テレパスについて教えてくれてありがとな。 サーマルアイも身を隠している敵の発見に役立ちそうだ。 俺は奇襲警戒に超聴覚で音を拾ってみようと思う。 アーギスについて記載してくれると助かる。 ありがとな。 アレンバーとクラムドについては俺の方で『戦場に出てこないようにしてもらう』と書いておくな。

  16. コルネリウス・アーラ

    承知しました。 時間が迫っている中申し訳ないのですが…アーギスさんはアーシェルさん側寄りで、何かあれば駆けつけられる程度の距離を空けつつ分散して配置としますね。 リディリディさんの希望もあると思いますので、異論や他のご意見あれば是非仰って頂きたいのですが、私はリディリディさんの少し近くに居られるようにしようと思っています。

  17. No.17

    >クラインさん 前衛か後衛かというと、後衛にはなるのですが、プレイングには記載していない状態です。 えっと、ウォーリアの方たちは(少なくともクラインさん、アーラさんの両名は)少し距離を取られるとのことですね。わかりました。 >アーラさん は、はい・・・。 あの・・・、ご迷惑をおかけするかもしれません。 よ、よろしくお願いします・・・。

  18. アーシェル・G・クライン

    >配置 コルネリウスの近くにリディリディ、俺の近くにアーギスだな、了解した。 漢を見せられるようにアーギスと2人で体を張らねぇとな。 >コルネリウス アーギスに近くにいてもらうのは俺だし、その旨は俺の方で書いておこうか? その分、他の事に字数を使ってくれたら幸いだ。 >リディリディ 認識違いじゃなくて安心した。 高火力でぶっ放す範囲魔法、期待させてもらうぜ。

  19. コルネリウス・アーラ

    リディリディさんは宜しくお願いします。 何かあればすぐ駆けつけられるようにしますね。 ではアーギスさんについては補助に回って頂くようにだけ記載致しますね 具体的な距離感はアーシェルさんが記載したほうが良いと思いますので、宜しくお願いします

  20. アーシェル・G・クライン

    了解。 アーギスについては任せてくれ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0