怪盗と張り込む十三人の警備員
空色みなも
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シナリオID:1371
オープニング
「夜が訪れ、屋敷は静けさに包まれた――」
厳かな女の声が、宿の食堂に響き渡った。
声の主は、シリス・アローゼア。
都市同盟の小さな町、エルタ・リコにある女神の賽子亭を営む女主人だ。
シリスを中心とし、取り囲むように椅子を置いて座るは十三人の冒険者たち。
皆、一様に瞼を閉じている。
「しかし、その静寂を破る突然の騒ぎ――煙幕!」
シリスの声に合わせ、デロデロデロ、と太鼓の音が鳴り響く。
ちなみに、太鼓を鳴らすのは女神の賽子亭の隣人、アネータ・シブリングスの役目だ。
騒々しい太鼓の音に紛れ、シリスは杖の先で数人の冒険者たちの肩をトントンと叩く。
その冒険者たちの中には、あなたもいた。
シリスの合図で起こされたように目を開いた冒険者たちは、無言で身振り手振りをかわし、目を閉じたままの一人を指さす。
先程まで目を開いていた冒険者たちが、再び眠りについたように目を閉じた。
それを確認したシリスは、別の冒険者を一人ずつ起こし、何事かやりとりをしている。
「煙幕はやがて晴れる――しかし、そのとき姿を消した者があった。それは――」
太鼓の音が止むのに合わせ、シリスが杖を用いてビシッと指し示したのは。
最初に冒険者たちから指差された者であった――。
●
時を少し遡った女神の賽子亭。
「よく集まってくれたね、あんたたち。今日は警備員に変装して紛れ込んだ怪盗を探す遊戯をやるよ」
シリスは総勢十三人の冒険者を宿に集め、遊戯会を開催しようとしていた。
話が長くなるので、シリスによる説明を要約しよう。
これより開催されるのは、富豪の屋敷を舞台とし、そこにある秘宝を狙う怪盗と、盗難を阻止しようとする警備員たちによる攻防をテーマとした遊戯らしい。
十三人の参加者たちは四人の「怪盗」と、九人の「警護勢力」に分けられる。
さらに「警護勢力」は五人の「警備員」と一人ずつの「切れ者」「尋問官」「腕利き」「目撃者」に分類され、これらが参加者にランダムに振り分けられるとのこと。
「これらの割り振られた正体は、それぞれ自分しか知らないことになるよ。ただし、怪盗どうしを除いてね」
四人の怪盗だけは、互いに正体を知った状態で遊戯を開始するのだと、シリスは言う。
こうして怪盗の正体が隠された中、警護勢力は怪盗が誰か探るのが遊戯の肝となる。
「そうして怪盗と疑わしい者を屋敷から追放したり、怪盗が誘拐を行ったりで、参加者は退場していくんだけど――」
シリスによると、参加者の減少が各勢力の勝利条件に関わるらしい。
怪盗の勝利条件は、残った警護勢力の人数を、残った怪盗の人数以下にすること。
警護勢力の勝利条件は、そうなる前に怪盗が残っていない状態にすること。
遊戯の世界観的には、怪盗は警備員たちの人数が減るまで秘宝に手を出せない、ということになるのだとか。
それと大事なことになるが、自身が最終的に退場せずに残っているかは勝敗に関係しない。
所属している勢力が勝利条件を満たせば勝ちである。
「具体的な遊戯の流れとしては、怪盗や警護勢力が能力を使う夜と、怪盗と疑わしい者を探して追放する昼に分けられるよ」
進行は一日という単位で分けられ、さらに一日は夜と昼に分かれると説明するシリス。
一日目から夜、昼の順番で進行するが、一日目の夜は怪盗が互いの正体を確認して相談するだけで、能力は使用されないそうだ。
夜に怪盗たちは身振り手振りを用いて相談し、一人ずつ「誘拐」したい相手を指差す。
多数決により一人の対象が決定され、その対象は昼の開始前に誘拐され、遊戯から退場することになる。
最多得票が複数いたら、対象はその中からランダムだ。
なお、このとき誘拐する対象は怪盗でもよいが、誘拐される本人の同意――自分を指差す行為が必要になるのだとか。
誘拐をパスすることはできず、時間内に指差しを誰も行わないか、無効な指差ししかなかった場合は、進行役が怪盗以外からランダムで決定するらしい。
「昼の開始前、その日に誘拐される人が発表されるよ。その人は退場になって、発言や投票などができなくなるね」
シリスの説明は続き、昼に行われる怪盗探しに移る。
昼になると、一定時間の討論が許される。
ここで怪盗の疑いのある者を見つけ出し、昼の終わりに投票によって一名を追放するのだ。
ちなみに、多数決で最多得票が複数名いた場合、その中から進行役がランダムで追放者を決定する。
「この話し合いの中で、勝ちを目指すためなら嘘をついてもいい。怪盗が自分の正体を警備員と偽って報告したって構わないわけだ」
遊戯の中でのことであるなら、嘘も盛り上げるためのうち、というのはシリスの弁。
「とはいえ、熱くなるあまり、キツい物言いとかは勘弁しとくれ。あくまで遊びでやってることなんだから、気楽に頼むよ」
シリスは茶目っ気を出して、片目を閉じてみせる。
「あと残ってるのは警護勢力の能力の説明、かね」
シリスは正体を割り振るために用いるカードを広げて一枚一枚、冒険者たちに見せながら説明していく。
警備員。
これは特別な能力は何もない。
切れ者。
夜がくるごとに、残っている参加者から一人を指名して「怪盗」か「警護勢力」か進行役から教えて貰う事ができる。
尋問官。
夜がくるごとに、直前に追放された参加者が「怪盗」か「警護勢力」か進行役から教えて貰う事ができる。
腕利き。
夜がくるごとに、残っている参加者から自分以外の一人を指名して、怪盗に誘拐されるのを防ぐことができる。
目撃者。
夜がくるごとに、その夜の誘拐対象になる者が「怪盗」か「警護勢力」か進行役から教えて貰う事ができる。
腕利きが誘拐を防いだ夜には発動しない。
「長くなったけど、必要な説明は以上だよ。待たせた分、早速、始めていこうじゃないか」
正体を示す絵柄が描かれているのであろう十三枚のカードの束を、シリスはシャッフルして配っていく。
あなたに配られたカードに描かれていたのは――。
怪盗だった。
解説
マスターより
リプレイ
「カードを使った遊戯は幾度か参加したことがありますが……こういった会話型の遊戯は初めてですので、少し緊張しますが楽しみですね」
最近、ときおり卓上遊戯を楽しむようになったリディリディ・トゥラ・イェレミースの心拍数が上がっているのは、緊張半分、楽しみ半分か。
「要は推理ゲームみたいなもんか? まーよろしくな!」
一方、ナハシュは気楽な調子で遊戯の開始を待っていた。
「そのようですね。どうぞよしなに」
Alexandra・Hexe・Claudiaは淡々とした調子で話すため、その胸の内は推し量りにくい。
「ゲームは楽しむことがまず重要ですけど、どうせなら勝ちたいですよねっ」
ルアンナ・ミュラーはといえば、遊戯と聞いてやる気を隠そうともしなかった。
「自分の正体は確認できたね? じゃあ始めるよ、あんたたち!」
シリス・アローゼアは進行役として、参加者たちの正体を把握している。
身振り手振りの際に発生する音を隠すための太鼓が、アネータ・シブリングスの手によって鳴り響き。
最初の『夜』が訪れた。
●
(あら、私たちで怪盗役ですか。よろしくお願いします!)
怪盗役として起こされた面子を確認して、ルアンナは早速、作戦会議を開始する。
(私はどこかで切れ者を名乗ろうと思います。どなたか尋問官を名乗って頂けませんか?)
ハンドサインを用いて、器用に自らの意思を伝えるルアンナ。
(では、私が尋問官を名乗ろうと思います)
リディリディが要請に応じたところで、怪盗たちは頷き合い。
そして、夜が明けた――。
●
「皆さん、早速ですが提案があります。初日には、能力を持った人も積極的に名乗り出ないようにしてはいかがでしょうか」
アンリが開口一番、作戦を提案したことから議論は開始された。
「いいですね、なんの結果も出さないまま、能力持ちが狙って誘拐されるのは防ぎたいものですね」
内心しめた、と思ったルアンナが提案に乗っかってみせる。
怪盗からすれば、能力持ちが誰か、という情報が確実に出揃うのは避けたいのだ。
「ルール的にも情報が出始めるのは明日からだ。妥当だと思うぜ」
ナハシュもルアンナの意図をすぐに察し、潜伏作戦に同調するよう場の空気を誘導し始めた。
「キッシュさん、もっと自分の思うように発言しても構わないのですよ」
「あ、ああ、やってみる」
ルアンナがびくついているキッシュに落ち着かせようとしているのも、なにも敵に塩を送ろうというのではない。
情報収集の一環だ。
「十三人中、警護勢力は九人、怪盗は四人。最低、二回は警護勢力が追放されても負けることはありません」
それまで黙って様子を窺っていたAlexandraが、重い口を開いた。
ミスが二回まで許されるというのは、一日の間に減少する人数が、追放と誘拐で二人ずつであるため。
誤って警護勢力を二人追放し、その間に二人誘拐されたとしても、警護勢力と怪盗は五対四であるため、遊戯は続くのだ。
「ですから、いまは怪盗を無理に狙う必要はないでしょう。自発的に意見を出せる方を優先して残すべきかと。能力持ちも名乗り出ないということは、追放を恐れるなら意見出しも頑張ってください」
Alexandraは意見を一通り述べると、再び口を閉ざした。
暗に能力持ちに発言を促すことで、誘拐対象を決める際の情報を集めようという狙いもある。
しかし、この意見は思わぬ形で場を大きく動かすことになる。
「ってことは、意見が少ないやつを追放すればいいんだよな。そこの、リディリディさんだったか。随分おどおどしてるようだが」
ウォルフラムが議論慣れしていないリディリディに目を付けたのだ。
この発言を発端に、リディリディが怪しい、という方向に議論が流れかける――。
「私は警護勢力の能力を持っています……それが何かはまだ言えませんが」
が、リディリディは能力持ちであることを匂わせることで、危機を回避した。
最初の相談で、尋問官を名乗る役に立候補していたおかげで、機転を利かせることができたのだ。
「あら、これは申し訳ないことをしました。なら、少なくとも今日はリディリディさんには投票しないようにしましょう」
突然の状況にもクララは慌てず、場を取りまとめていく。
「嘘か本当かは知らねぇが、能力持ちとなればいきなり追放するわけにもいかねぇよな。それより、目立たねえといえば、そこのケイってやつがそうじゃね?」
「そうですね、私もケイさんはお茶を濁すような発言が多く、気になっておりました」
たまたまであるが、ナハシュとAlexandraは同じくケイへと投票するつもりであった。
その布石を打とうと、ケイへ水を向けたところ――。
「私は腕利きです。怪盗に目を付けられて誘拐されないよう、目立たないように振る舞っていましたが、裏目に出ましたか」
このままでは追放を免れないと察したのか、ケイは自らが腕利きであることを名乗り出た。
初日に能力持ちが名乗り出ないはずが、疑いの向け合いによって、名乗りの連鎖が発生していた。
「腕利きが本物なら、今夜に誘拐されてそうですね……この状況、どう思われますか。オルトさんの意見も伺いたいですね」
「ワシは、皆の意見が正しいと思う、うん」
ルアンナはオルトの返答を聞いて、察した。
オルトは考えが話し合いについてきていないな、と。
投票の結果、その日の追放はオルトになった。
●
「煙幕が晴れたとき――クララの姿が消えていたよ」
シリスの宣告を受けクララは静かに席を立ち、観戦席へと移動した。
Alexandraにより提案された作戦上、見えている腕利きより潜伏した能力持ちを狙うべきであるため、ケイは放置されたのだ。
潜伏した能力持ちを具体的に絞ることができなかったため、ナハシュの提案により、立て直し力のありそうなクララが結果として選ばれた。
「おはようございます。ケイさんではなく、クララさんですか……」
怪盗であるルアンナは当然、クララが襲われることも知っていたのだが、そこは演技。
「もう名乗り出てもいいよね? 僕が切れ者だよ。ウォルフラムは警護勢力だと確かめられた」
「おっと、イーノさんは偽物です! 私が本物の切れ者で、エルシアさんを警護勢力だと確かめました」
イーノがどうやら誘拐を生き延びた切れ者だったようで、名乗り出てくる。
そこへ食い気味にルアンナが名乗りを重ねた。
この展開もまた、怪盗の作戦の内である。
「そろそろ出るべきでしょうね。私が尋問官で、オルトさんは警護勢力です。潜伏を提案したのは、誘拐されたくなかったためです」
「この場合だと名乗らないわけにはいきませんね……私は尋問官でした。偽物を信用されるわけにはいきませんから。オルトさんは警護勢力でした」
そしてアンリの名乗りを聞いて、リディリディも曖昧にしていた立場を明確にする。
「お、おれは目撃者だ。クララは警護勢力だったぜ!」
目撃者も生き延びていたようで、キッシュが名乗り出た。
「はーん、こういう状態もあり得るのか。おもしれえな」
勿論、ナハシュもこうなることは分かっていて言っている。
「正直まだどっちが本物なのか、ちょっと難しいな。できるならもう一日、情報が欲しいところだが……追放のパスはできないんだったか」
ナハシュは切れ者や尋問官の真贋は知っているのだが、真偽を付けようと悩むフリをする間に、頭の中で怪盗視点の作戦を整理していた。
「一人ずつ追放でもいい。やるとしたら、どっちからがいいんだ? 切れ者か、尋問官か」
ナハシュは怪盗の作戦として、能力持ちの追放を狙うことを思い出しながら言葉を紡ぐ。
「切れ者から追放して、尋問官をどっちか本物か見極める方が勝機がある気もするが」
そうした議論のきっかけとすべく、ナハシュが意見を投げかけると。
「いいえ、切れ者は隠れた怪盗を見つけることができる唯一の役割、まだ追放されるわけにはいきません。尋問官から手を付けるべきです」
「そうですね、私もそう思います。Alexandraさんもおっしゃったように、ミスはトータルで二回でき、あと一回は残されている。本物の尋問官ごとでも、尋問官を騙る怪盗を追放すべきでしょう」
ルアンナが反論すると、エルシアがそれに同調して援護射撃を加えてきた。
「同じ尋問官を名乗る人が二人となれば、どちらかを追放した方がいいのでしょうけど……その場合、私からの尋問官としての情報は出なくなりますよ」
それを受けたリディリディも、精いっぱいの抵抗を演じてみせる。
たとえ作戦上は追放される覚悟でも、警護勢力を名乗るうえで諦めが良すぎても問題だ。
「今日の追放は尋問官のどちらかでよいでしょう。それより、私はルアンナさんの発言が周囲の意見と似通っているのが気になりますね」
Alexandraが味方のルアンナにあえて疑念を集めるような発言を口にする。
「アンリさんの潜伏策に乗ったのもそうですが、互いに正体を知っている……つまり怪盗どうしだから、同調してた可能性もありますね」
こうしてAlexandraがルアンナに嫌疑をかけるのも、後の展開に向けての布石であった。
投票の結果、その日の追放はアンリになった。
●
「煙幕が晴れたとき――イーノの姿が消えていたよ」
この日、シリスから退場を指示されたのは、イーノであった。
「尋問官を騙る偽物だったアンリさんは勿論、怪盗でした」
本当はリディリディのほうこそ怪盗だが、尋問官としての立場を演じるうえでは、このように報告するのが正解だ。
「昨日、私に疑いを集めていたのが怪しかったのでAlexandraさんを確かめたところ――怪盗でした!」
そしてルアンナの出したこの結果こそ、怪盗たちの作戦だった。
「キキッ、攫われたイーノは警護勢力だ! 順当に本物の切れ者を誘拐したみたいだな」
「これは……やはりルアンナさんが怪盗だったようですね」
キッシュの報告に重ねるように、Alexandraは本物の切れ者が誘拐されてしまっていることを強調する。
「こりゃあ、どういうことだ。誰を信じたらいいんだ、この場合?」
カッツもこの混迷した状況には困惑を隠せなかった。
「これよ、目撃者って名乗ってるキッシュのほうが怪盗って場合もあり得るんじゃねえの?」
ナハシュが投げかけた可能性が、さらに場の混乱を加速させる。
目撃者が本物であれば、ルアンナが怪盗であることは間違いないだろう。
しかし、もし誘拐されたクララこそが本物の目撃者であったとしたら?
キッシュが怪盗である可能性――つまりルアンナが本物の切れ者である可能性は残る。
怪盗たちが腕利きを放置してでもクララを誘拐した狙いは、この状況を作り出すことにあった。
「だからと言って、怪盗を誘拐するのは回り道すぎます。特段の理由なければ、本物の切れ者が誘拐されたと見るべきです」
Alexandraはルアンナに本気の論戦を挑むつもりで突っかかっていた。
これでは怪盗と名指しされたAlexandraと、偽物と糾弾されるルアンナへ票が集まりそうなものであるが――それこそが怪盗の狙いであった。
(しかし、思ったより私へは疑いが集まりませんね)
Alexandraは目撃者であるキッシュと視点を同じくしていることもあり、二対一の構図ではルアンナがどうしても不利になる。
このままではルアンナに票が集中する可能性があるため、作戦を実行すべきか思案していると――。
「では、こうしませんか。とりあえず、今日は初志貫徹で残った尋問官を追放すると」
エルシアが尋問官を全て追放しきるべきと主張したのだ。
複数が名乗り出た尋問官のうち、本物は一人で、残りは怪盗が騙る偽物。
本物を一人は追放しても問題ない以上、確実に怪盗を追放できる策をとるべきだ、というのがエルシアの論理だ。
(どうします……?)
(こうなれば、ルアンナさんと私だけでなく、リディリディさんにも票が割れる可能性に期待しましょう)
リディリディが意見を乞うように目線を向けてきたので、Alexandraは小さく目配せを送り、作戦の決行を伝えた。
そして、投票の時間がやってきた。
結果、以下の通り。
Alexandra、得票数1票。
投票者、ケイ。
ルアンナ、得票数1票。
投票者、キッシュ。
リディリディ、得票数3票。
投票者、ウォルフラム、エルシア、カッツ。
キッシュ、得票数4票。
投票者、Alexandra、ルアンナ、リディリディ、ナハシュ。
投票の結果、その日の追放はキッシュになった。
●
「そこまで! もはや警備員たちに怪盗に抵抗できるだけの人数は残されていないよ――怪盗の勝利!」
シリスが遊戯の終了を宣言したことによって、警護勢力の冒険者たちは己の敗北を悟る。
「いやぁ、まさか怪盗どうしで切り合ってるだなんて流石に予測してなかったな。こいつは一本とられたよ」
最後に種明かしを聞いたカッツが、どちらかというと愉快そうに結果を受け止めた。
「私も最初にこの作戦を聞いたときにはびっくりしましたが……なんとかなるものですね。残ったまま勝てたのは嬉しいです」
票合わせ作戦のおかげで生き延びたリディリディが、そっと口元を緩める。
退場せずに残るかが勝敗には影響しないとはいえ、遊戯に最後まで参加できるのは、それはそれで楽しいものだ。
「ケイがAlexandraに投票したのは、俺が目撃者を偽物と言ったのが少しは効いたんかね」
「ええ、すっかり惑わされてしまったようですね」
ナハシュの問いに、ケイは恥ずかしそうに頭を掻いて答えていた。
「しかし、この段階で組織票とは思い切った手段に出ましたね」
「ええ、これは賭けではありました。もし警備員側の票が割れず、怪盗の誰かが追放されていたら、票から怪盗が芋づる式にバレてしまいましたし」
エルシアに度胸を褒められ、Alexandraがその胸中を明かす。
「おれからすれば、ルアンナが確実に偽物だから票を入れたんだけどなあ」
「キッシュさんから見て、リディリディさんは本物の尋問官である可能性は残ってましたからね」
自らの視点を怪盗に利用される形となったキッシュに、ルアンナはフォローを入れていた。
「そうだね、こういうことがあるから、警備員側も票がバラけないように取りまとめるのが重要なんだね」
感想戦の流れを受け、シリスが遊戯の総評に入る。
「そのためには、確実に警備員側と信じられる人が最低一人は必要なんだけど、それを作らせないように動いた怪盗側が上手かったね」
シリスは初日に提案された潜伏策を怪盗が利用して、警備員側が確実に信じられる情報を残さなかったことを評価した。
初日にあぶり出されたケイは腕利きを名乗っていたため、誘拐されたクララが隠れたままの腕利きであったことを主張しやすかったのも大きかったという。
「さあて、コツもつかめたところで……もう一戦やるよね?」
シリスの呼びかけに、参加者たちから歓声が沸き上がる。
その日、何試合も続くほど遊戯は盛り上がったという。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜4人
2021年09月09日 22時36分53秒 公開
参加者
ルアンナ・ミュラー
ナハシュ
- イェレミース トゥラ リディリディ
Alexandra・Hexe・Claudia
相談掲示板
クラウディアです。よしなに。 ―事細かに説明を受けましたが、要約すると人狼ゲーム ですね。 内訳はこのように、と… 市民〈警備員〉:5 人狼〈怪盗〉:4 占術士〈切れ者〉:1 霊媒師〈尋問官〉:1 狩人〈腕利き〉:1 探偵〈目撃者〉:1 そして総数から、警備員(市民)側には最低でも2回のミスが許容されます。 …勝利条件がなかなかどうして、厳しいところですね。 もっとも、楽しみ、楽しませられればそれでよい話ではあるのですが。
ルアンナです、ゲーム楽しみましょうね♪ 動きについてなんですが、私は占い師役である切れ者を騙りたいと思ってます。 ここを確定させてしまうとワンサイドゲームになってしまいますしね。 そして参加者のアンリさんが言っている「一日目はCOなし」の案に乗ろうと考えています。
【質問】 Q1,多数決による投票の手段について詳しい情報をお願いします。 ここで重要と捉えるのは、『誰がどの人物に投票したかがわかるか』。 例えばの話、その場で投票先の人物を指差す形は投票先が明確になります。 一方で、メモを取らせて進行者が確認する形であれば、投票先を伏せることも可能でしょう。
参加ありがとうね! やあやあ、頼もしそうな怪盗が揃ったもんじゃないか。 これはどんな盛り上がりを見せるか、今から楽しみだよ。 それで、質問だったね。 A1.重要なのは具体的な投票手段より、投票が持つ性質だと思うから、そのつもりで答えるよ。あと、誘拐の多数決は指差しって明記してるから、追放の多数決のつもりで答えるね。 ・誰が誰に投票したかは分かる ・誰が誰に投票するかの開示タイミングは同時 と捉えておくれ。 具体的な手段としては投票先を一斉に指差す、とかでも可能だろうし。 それで色々と不都合なら、投票先の番号札を手元で選んでおいて、一斉にオープンとかでも実現できるだろうね。
No.5
リディリディです。 よ、よろしくお願いします・・・。 「誰が誰に投票したかは分かる」というのって、結構な足かせになってきますよね。 あ、その・・・、こういった遊戯はあまり詳しくないのですが、尋問官と目撃者というのはほぼ同じ役割だと思って良いのでしょうか。
むぅ、開示あり。これも若干の不利要件… 初手のパワープレイは目立ちすぎますね、これは。 ―ともあれ、初手役職伏せの奨励は賛成です。 初日に盤面進行がいてしまうと、消化できる脅威も消化できませんからね。
いえ、尋問官と目撃者は参照する対象が全く異なります。 尋問官:"昼の間に追放した人物"の情報を得る 目撃者:"深夜に誘拐された人物"の情報を得る つまり、前者は討論の結果確認。後者は敵(警備員視点)の行動結果確認となります。
No.8
あ、なるほど・・・。 全員の相談による「追放」と怪盗による「誘拐」とで対象が違うということですね。 クラウディアさん、わかりやすい解説を有難う御座います。
投票先は開示なんですね、シリスさんありがとうございます。 むやみに組織票を入れると気付かれてしまいますね。 >序盤の展開 ここには狂人ポジションの役職がいないので、対抗に出ると確実に真-怪盗の内訳になります。 なので片方を追放して翌日尋問官の結果が伝えられてしまうと簡単に審議がついてしまうんです。 そこでなんですが、尋問官にもこちらから対抗を出すという作戦はどうでしょうか。 切れ者と尋問官の2-2なら、尋問官の両追放に持ち込んで切れ者の真偽が簡単にはつかなくさせる事が出来ると思います。
同じ理由で、目撃者が生存したまま役職対抗の片方を誘拐してしまうと真偽がついてしまう。 …どちらにせよ、切れ者+(尋問官or目撃者)で役職対抗を配置する点は賛同できます。 ただ…個人としては、どちらかというと場荒らしを主体としたいところ。 できれば固定の役職対抗には志願せずにプレイングを立てたいのですよね。どうしたものか。
ナハシュだ。ちょっと遅れて申し訳ない。 初日はCOなしっつうのや、切れ者と尋問官2:2になるよう騙りを入れるのは異論ない。いやあ、すげえな・・しかしそのそうなると、CO後の2~3日目が勝負じゃねえか? COした奴をどちらか潰そうって話になった場合、尋問官を追放できればコッチが「あいつが怪盗だった」と嘘をつきとおせるが、そうでなければ本物の尋問官は確実に怪盗の一人を特定できることになる。先に切れ者から選んだとしても、その時点で本物と怪盗どちらが残っているのかこいつは確実に理解できる・・ってことだよな。 かといって切れ者が残ってる段階で本物の尋問官をさらっても、今度は切れ者が把握しちまうわけだろ。出来たら尋問官→切れ者の順で潰すか、それまでになるべく警備員を潰して後を失くす流れにした方がいい‥‥気がするか‥?
先ず、尋問官に対抗を立てるところまで確定させましょう。 この部分が曖昧ですと、説明も戦略も立ち行かなくなる。 都合、現在の役割で… ・切れ者を名乗る(1名は確定) ・尋問官を名乗る(1名は確定) ・腕利きを名乗る(任意) ・目撃者を名乗る(任意) ・名乗らない(希望:クラウディア) ここまでは出ていると。 さて。 尋問官か切れ者を追放する場合、尋問官の対抗に立てた人物に結果を騙らせればよいだけです。 本物を追放した場合、その結果は『怪盗であった』と言ったふうに。 この手段があるというだけで、その後の捜査に不確定情報を残せる。 一方で、切れ者や尋問官を〈誘拐する〉選択肢はそれなりの危険性を伴います。 先に説明した通り、目撃者は誘拐した人物の判別が利く。 本物の切れ者ないし尋問官を誘拐した際にこれが生存していれば、確実に露呈してしまう。 実際に誘拐するなら、目撃者を先に潰すか、人数を減らしてから…でしょうね。
―ふむ。勝ち筋について一つ形が上がりましたので、話しておきます。 初日昼:『誰も名乗り出ない』案に乗る。 議論への参加意欲に乏しい人物を追放する。 初日夜:なにがしかの役割を持っていると思しき人物を誘拐する。 翌日昼:切れ者・尋問官に対抗を立てる(切れ者:ルアンナ 尋問官:?) (追放先の指針未決定) 翌日夜:本物の切れ者が生存→これを誘拐(→次の日の目撃者出現を誘発) 翌々日昼:切れ者担当から狂人担当に黒出し(想定:ルアンナ→クラウディア) 目撃者の乗っ取り示唆で反撃・ライン切りの上、2:1で叩き合い 投票時にヘイト分散を確認したところで、組織票で警備員側を吊り上げる→終了
No.14
そうですね。 今のところ誰も居なさそうなので、私が偽の尋問官に立候補しましょうか。 私に務まるかはわかりませんが、なんとか頑張ってみます。 真の尋問官が名乗り出たら対抗として出るというようにしようかと思っています。
なるほどなーーーわかりやすい!ありがとな。 実はこういうゲームは片手で数えるほどしかやったことねえから大変助かる。 そしたら野良の怪盗‥‥って事でいいのか。 初日は程よく流し、2日目から俺ら‥特に対抗で上がったがつられないようにしつつ役職をやっていけばいい感じかな。上げてくれた流れを意識して動ければと思うぜ。
クラウデイアさんの案で進めましょう。 翌日出発ですね、二日目のラン吊りで追放されないように頑張りましょう!