温泉宿『ユノハラ』へようこそ! ~夏~

とりる

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シナリオID:1295

オープニング

 シグモル火山帯深部――。
 きちんと整備された道の先に……新築の温泉宿があった。シャルガネ(和)風の立派な店構え。

 温泉宿の女将の名はユノハ・グラナート。
 日に焼けた健康的な小麦色の肌・引き締まった肉体・宝石のような紅い瞳・燃えるような長い赤髪をポニーテールに結わえた、エルフの美女(外見年齢は20程度)。
 エルフとしてはかなりの変わり者で、幼少期に天啓を受けたかのように故郷のフィルエス大森林を飛び出し、シグモル火山帯にて育った。
 そのユノハの、人生最大の夢は自分が育った土地、『シグモル火山帯で温泉宿を経営すること』であった。
 彼女は授恵者・冒険者であり長年依頼をこなして資金を調達。その後、他の冒険者(授恵者)の力を借りてこの温泉宿を建設。
 無事にオープンし、現在は絶賛好評営業中!!

●
「いつもお疲れさんなー。報酬は討伐モンスターの強さや数で上乗せしておいたから、帰ってから冒険者ギルドで受け取ってくれ」
「あいよー。こっちもどうもな、女将さん。また依頼を見かけたら受けさせてもらうわ」
 女将――ユノハと、数日間宿周辺の護衛を担当し、交代がやって来たので依頼を終えて帰還する冒険者達の会話である。
 ここはシグモル火山帯深部であるので、当然モンスターが湧く。そのため交代で冒険者が常駐し、護衛をしていた。

 帰還する冒険者を見送り、交代の冒険者を受け入れて説明を終えたユノハは、お茶を一口飲んで一息。
「ふむ。やっぱりここは暑い。まあ、あたいは慣れたものだけど」
 護衛の冒険者やお客は……陽が落ちれば多少気温は下がるが、もっと涼みたいと思うこともあるだろうな~と、考えたので。
「新しい風呂を造った訳だが。色んな人に試しに入って貰って感想を聞きたい所だ。好評なら宿の評判も更に上がるからな!」
 そんなこんながありまして。
「あいつらをまた招待するかー。ここに年中居ると感覚が狂いがちだけど今は夏……あいつらも遊びたいはずだし。更に熱くなって貰おうじゃねぇか! ……そんで新しい風呂で涼んでもらう、と」
 我ながら良い考え~と女将のユノハはにっこり。

 ……というわけで、二泊三日の温泉旅行へのご招待依頼が冒険者ギルドへ貼り出されるのだった。

解説

【依頼概要】 絶賛営業中の「温泉宿『ユノハラ』」への温泉旅行のご招待! 自慢の秘湯やグルメを楽しみ、二泊三日の日程で宿泊していただきます。 一応続き物ですが、これまでの依頼に参加していなかった方も大歓迎です。 【施設案内】 ■温泉について 天然の温泉を利用した各種露お風呂。 景色にもこだわっており、シグモル火山帯を見渡す事が可能です。 お湯は天然の温泉らしく硫黄の匂いが強い白濁湯。温度は少し熱め。 美肌・擦り傷切り傷・身体の凝りや、痛み(関節痛・腰痛など)への効能あり。 ●男女別露天風呂 男女別に分かれたスタンダードな露天風呂です。男女別の脱衣場もあります。 ●混浴露天風呂 混浴の大きな露天風呂です。こちらは水着やタオルの着用が必須。 勿論男女別の脱衣場があります。 ●ケモノ湯(露天・混浴) ハーフビーストや、ペットを連れた方向けのお風呂。 ペットと一緒に入浴でき、抜け毛を気にせずお湯を楽しめます。 混浴なのでこちらも水着やタオルの着用が必須です。男女別脱衣場完備。 ●屋根付き風呂(混浴) 屋根付きの温泉です。景色や開放感は劣りますが安心してお湯を楽しめます。 混浴なのでこちらも水着やタオルの着用が必須。男女別脱衣場完備。 ●水風呂(混浴・NEW!) 地下水をくみ上げた、やや冷たい水のお風呂。 湯船はかなり広いので、他の客の迷惑にならない程度なら泳いでもOK。 お湯に浸かり過ぎて火照った身体を冷やしたり、涼んだりするのに最適! 水着やタオル着用必須。男女別脱衣場完備。 ■お部屋やお食事について お一人部屋から多人数部屋まで完備。 食事はシャルガネ居住区に伝わる、いわゆる和食が中心。海や山の幸を使ったお膳が出ます。 女将こだわりの石焼肉・魚が自慢。成人はお酒も飲めます。 【その他】 お湯へ入る際や宿泊する際のグループ分けは「必ずメンバーのフルネームをプレイングに書いて」下さい。 勿論、お一人様での宿泊でも楽しめます。

マスターより

無事オープンして好評営業中の「温泉宿『ユノハラ』」。 夏ということで水風呂を追加したので、それのお試しも兼ねて温泉旅行へのご招待です。 参加者の皆様には二泊三日で温泉を堪能、それからお料理も楽しんでいただきます。 ショートEXなので長めの日程。 温泉旅行への招待なので報酬は出ません。ご了承ください。 それでは振るってのご参加、心よりお待ちしております。

リプレイ

●
 コルネリウス・アーラとイズレンディル・パラリムのカップル。

(お風呂を楽しんで、お部屋でゆっくり過ごします)
「旅行も二泊三日は初めてですからディリーと長く一緒に過ごせるのは、とても嬉しいです」
「私もですよ、ネリー。楽しみですね」
 コルネリウス(以下コルネ)はとても楽しみで、嬉しい気持ちがすごく表情に出ていた。
 イズレンディル(以下イズ)はそんな最愛の人の様子を見て穏やかに微笑みを浮かべる。
 しかしそれは年齢的に落ち着いているだけであり、イズとしてもコルネと2人の時間を過ごせる事をとても楽しみにしている。
(2人で幸せな思い出を作れればと。温泉も楽しみたいですが……部屋でネリーと一緒に寛ぎ、過ごす時間を大切にしたいですね)
 イズ的には温泉や新しく出来た水風呂にも勿論コルネと一緒に入って楽しむが、メインは部屋でコルネと二泊三日の時間をのんびり過ごすことが目的。

 ***

 コルネとイズは荷物を部屋に置いて、浴衣に着替えて水着セットを片手に持ち、仲良く手を繋いでまずは混浴の露天風呂へ移動する。
 ……到着すると2人は男女別の脱衣場にてそれぞれ水着姿に。イズは前回と同じ薄緑の腰巻パレオの水着。

 2人で並んでかけ湯をしてから、2人肩を合わせ少し熱めの天然の温泉に浸かって、宿までの道のりの疲れを癒す……。
 
 それから――コルネ。
(熱い温泉を楽しんだ後は、水風呂も試してみましょう)
 というわけでイズと一緒に手を繋いで水風呂へ移動。

 地下水をくみ上げたという夏らしい水風呂に2人で入る。
「海に入った時とは、また少し違いますね! ひんやりして気持ちいいです」
「んんっ。熱いお湯から冷たいお湯へ……不思議な感覚ですね!」
 イズは手を握って引き寄せて、冷たい水の中でコルネの体温を感じる。
「少し冷たすぎる気もしますが……ふふ、一緒なら大丈夫ですね」
 彼に引き寄せられると身体を預けて、こちらもイズの体温を感じる……。
「はい、ディリー……温かい……」
 水がやや冷たいために、普段のハグよりもお互いの体温を鮮明に感じることが出来た。
(胸はドキドキしているのに……冷たいのに温かい、幸せで不思議な感覚……)

 ***

 温泉と水風呂を満喫したコルネとイズは手を繋いで部屋に戻る。
(食事はお部屋でゆっくりと楽しんで、ふたりの時間を過ごしましょう)
 コルネがそのように考えつつ戸を開けると……部屋には既に2人分のお膳が用意されていた。

「とても贅沢な食事ですね! 食べ切れるでしょうか、少し心配です」
 イズは困ったように言いながらも、石焼の肉と魚が中心の料理を美味しく嬉しそうに頂く。
「ふふ、お腹がいっぱいになってしまったら、私が食べますよ」
 コルネも、どのお料理も美味しくて、幸せそうに頂く。

 山と海の幸が贅沢に使われた夕食を堪能した後は――
「折角です、もう少し飲みませんか?」
「はい、勿論頂きます」
 イズが言い、コルネは嬉しそうに頷く。……2人は晩酌しながら、寄り添って夜景を眺める――。

 部屋から見える夜景を肴にお酒を頂く2人。
「またネリーと一緒に来れて良かったです。贅沢で、とても幸せな時間ですね」
「私も……また一緒に、この場所に来られて嬉しいです」

 2人は視線を合わせて微笑み、コルネはそのまま手を彼へ伸ばす。イズはその手を受け入れて……コルネのほうからそっと唇を重ねる。
「大好きです……いつも傍にいてくれて、ありがとうございます」
「ふふ、甘いお酒の味がしますね」
 イズは微笑み返し、コルネの柔らかな身体をぎゅっと抱き締めて……もう一度こちらからキス。

 お酒が入って少し大胆になった2人は少し大人な夜を過ごし、床に就いた際には、手を握り一緒に眠りに落ちてゆく……。

 ***

 チュンチュン。翌朝。

 イズ、先に目を覚ました彼は布団の上で横になったまま、隣ですぅすぅと幸せそうに寝息を立てるコルネの寝顔を「ふふ」と、愛しく思いながら眺める。

「すぅー……すぅー……むにゃむにゃ……ディリー……すき……だいすきですぅ…………ん?」
 コルネの意識が覚醒し、ぱちりとおめめを開けれれば、愛しい彼の笑顔がすぐ傍に――
(…………。いつも先に眠ってしまうので、朝は早起きしてディリーの寝顔を見られると思ったのですけど……私のほうが寝坊してしまいましたね……)
「……おはようございます……あの……」
 寝顔がだらしなくなかったかな、と心配しつつもコルネは彼に聞くに聞けず……恥ずかしそうに耳を下げてもじもじ。

 そんな彼女にイズは――
「おはようございます。……可愛らしい寝顔でしたよ」
 にっこりと笑む。……コルネと一緒に起きたいと思い、彼女が目覚めたので挨拶。
 ……と、彼女が耳の様子から恥ずかしがっていることに気付き、イズはまた微笑んで最愛の人の髪を優しく撫でた。
「こ、今度は早起きします、ので……」
 コルネは赤面しつつ髪を撫でられながら、明日こそ彼の寝顔を見ようと決意!

 そして。
(今日も想い出を沢山作ります!)
 コルネは今日も愛しの彼との時間を目いっぱい楽しまねば! と思う。

 一方でイズも大事な時間を形として残したいとも思い、後で記念のお土産を見に誘おうと考えながら――……
 今はまだもう少し朝の穏やかな時間を~と、幸せを嚙み締めるのだった。

●
 サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブとハヤト=ガラン=ヴォルファングのペア。

「ふふーん♪ コルネからとってもいい温泉があるって聞いたから楽しみだなっ♪」
「ここんとこは色々と大変な仕事続きだったからな~。たまにはのんびりと羽を休めるのもいいよな♪」
 サフィラとハヤトは温泉宿『ユノハラ』に着けばすぐに部屋で浴衣に着替えてさっそくお風呂にGO!

 なお、ハヤトは他の参加者のほとんどが顔馴染みらしく、顔を合わせればその都度挨拶。
「よぉ! お前らも来てたのかよ♪」

 ***

 2人がやって来たのは――『ケモノ湯』。
 ハヤトには尻尾や獣耳があるためだ。彼はサフィラと一緒に混浴を楽しむつもり。

 サフィラは男女別の脱衣場で花柄のオフショルダーのビキニにお着替え。艶のある褐色の肌と合わせてとってもセクシー!
「前に行った旅館は男女別だったけど今回は混浴で入れるから……ちょっとドキドキするねっ」

 風呂場に出ればハヤトはまだ居なかったので、サフィラは先にかけ湯をしてから湯船に浸かる。
「ふぃ~……お湯はちょっと熱めだけど風が通って気持ちいいね……あ! ハヤトも入ってきた!」
 と、間もなくハヤトも腰にタオルを巻いた姿で登場。

「ふぅ~♪ いい湯だぜ~♪ 身体の芯から疲れがとれる感じだな~」
 ハヤトもかけ湯で身体を流してから入浴。ゆったりのんびり。日頃の疲労を癒す。

 サフィラは温泉に入ったままハヤトの隣に腰掛け。
「このところ依頼が忙しくてバタバタ慌ただしかったから……こうしてゆっくり同じ時間を過ごせて嬉しいなっ」
 彼女はハヤトと一緒の温泉旅行という事でとっても嬉しそう。るんるん気分でテンション高め。

 一方のハヤトは――サフィラのスタイル抜群の肢体(水着姿)に鼻の下を伸ばしながら、お湯も楽しむ。
「ムヒョヒョ♪ やっぱサフィラのダイナマイツなバディは堪らねぇぜ♪」
「…………」
 心の声がダダ漏れである……。まあ、サフィラは褒められたと解釈して、頬を染めつつもまんざらでもない様子だったが。

 ***

 サフィラとハヤトは温泉を満喫した後、宿泊する2人部屋に移動。
「お風呂のあとはご飯♪ 旅館のご飯って品数がいっぱいあってどれから食べようか迷っちゃうね!」
(せっかくだしシャルガネの米酒も楽しみながら料理を楽しむよっ!)
「美味い! この味はまさにシャルガネの味だよな♪」
 2人は既に用意されていたお膳……シャルガネ風の料理に舌鼓を打つ。

 ハヤトはシャルガネ居住区が生まれ故郷なので、懐かしい味を噛み締めながら、おすすめの食べ方をサフィラにも教える。
「こうすっともっと美味くなるぜ♪」

 ……そして就寝時間。並べて敷かれた2つのふかふかオフトゥンにINして2人は熟睡。

 ***

 サフィラとハヤト。翌日は温泉宿『ユノハラ』の周囲を2人は浴衣姿で並んで歩いて散策。
 遠くに見えるシグモル火山帯の景色を眺めながらゆっくりとした時間を過ごす……。

 散策から帰還すれば、まずはケモノ湯で汗を流して、それから今日は水風呂にもチャレンジ!
「ふぁ……火照った身体にひんやり冷たさがしみるね……」
「これはこれで涼しくて気持ち良いな♪」
 ハヤトも新しく追加された水風呂に入り、プールのように楽しむ。
 他に人が居なかったのでサフィラと水遊びや、一緒に泳ぎもしてみた。

 2人は水風呂から上がって一息。キンキンに冷えたエールやジュースを一緒にごきゅごきゅ!
「えへへ、やっぱりお風呂上がりにはこれだよねっ!」

 ***

 サフィラとハヤトは部屋に戻り、ご飯を食べてゆっくりのんびりしたらあっという間に夜……。
「ねぇ、灯り消して外を眺めて見ない? 星がすごく綺麗だよっ」
 と彼女は彼を誘う。ハヤトは快くOK。……一緒に夜空を眺める。

(そう言えば、ハヤトに想いを打ち明けたけど……返事を聞かせてもらえるかな……?)
 良い雰囲気……。サフィラはふと、そのように思い出し、彼の横顔を見つめる。

 そこで。ハヤトが急に彼女の方を向き「サフィラに話がある」と改まって言った。
 思わぬタイミングで彼と間近で目が合ってしまったのでサフィラは内心ドキドキしながら首肯する。

「え~っと……こないだのヴィント奪還作戦の前によ、サフィラから俺の事好きだって言ってくれたじゃんかよ」
 ハヤトは視線を逸らし、ぽりぽりと人差し指で頬をかきながら切り出す。
(……!?)
 ――それはつい今、自分が思っていた事……。サフィラは目を見開いた。
「そのことについてちゃんと答えてなかったからよ……俺もサフィラの事が好きだ。俺が無茶すんのが心配だって言ってたろ?」
「えっ……?」
「なら、いつも傍で見てたらいいんじゃねーかと思ってよ。その、オレと付き合ってくれねぇか?」
「…………」
 サフィラは……顔を真っ赤にし、黙って俯いてしまった……。
「ダメ……か?」
 ハヤトが心配そうに彼女の顔を覗き込むと――がばぁ!! っと、急にサフィラが抱き付いて来て、床に押し倒された。
「!?」
「ダメなわけないじゃん! あたしのほうから告白して返事待ちだったんだよ? 断るわけないじゃない! ハヤト好き! 大好き!!」
 サフィラはハヤトに覆い被さったまま、彼の身体をぎゅ~~っと(脚も使って)抱き締める。そしてすりすりと頬擦り。大胆な愛情表現。
「お、おう……それなら今から俺達は……その……恋人同士……ってこと、だな……」
 これには流石にハヤトも赤面しつつ、笑みを浮かべる。
「恋人同士なら……いいよね?」
「え?」
「恋人同士なら……すること、あるよね……? ハヤト……好きだよ……」
 ハヤトの眼前に――キス顔のサフィラが迫った――。

●
 シャロン・ラ・モリエールと悠人・ラドルファスのカップル。
 2人はこんにゃくしゃ(婚約者)という関係。

 長毛種猫の耳と尾のある赤髪の美少女、シャロンは故郷を出て以降、ずっと演技をし続け、生きてきた。
 しかし。彼女にも唯一素を出せる相手が出来た。それが黒髪の少年・悠人だ。
 ゆえに、シャロンは彼をこんにゃくしゃ(婚約者)と決めた。
 ……まあ、その関係に至るには色々ハプニングやらがあったらしいが……それはまた別のお話。

 お相手の悠人としては「よく解らないけど仲は良くなったので良いかな」程度に思っているようだが。

 ***

「美肌に効くなんて最高ね!」
「あんま武器持ってない所で他人と会いたくないんだよね」
 シャロンと悠人は他に人が居ないタイミングを狙い、脱衣場でタオル一枚へ着替えて一緒に混浴露天風呂に。
「悠人以外に肌を見せるなんて嫌だもの!」
(タオルだけじゃ心許ないし……)
「そう言って貰えるのは……嬉しい? のかな?」

 2人は一先ず、かけ湯をした後に湯船に並んでゆっくり浸かって往路での疲れを癒す……。
 悠人は温泉を楽しみつつシャロンに目をやり――
(やっぱり胸大きいし普通に可愛いよな)
 と、内心では下心(婚約者なのでセーフ)があるのだが表情筋死んでおられるのか顔には出ない。

 しばらく浸かってから……シャロン。
「背中流してあげる! こんにゃくしゃだから当然よ!」
 なお、彼女もこんにゃくしゃという意味がよく解っていないらしい……。

 ……というわけで2人は湯船から上がって洗い場へ。
 悠人を風呂椅子に座らせて、シャロンが彼の大きな背中を流してあげる。
 一応石鹸は備え付けてあるが……湯を汚すのは本意ではないので、シャロンは素手で悠人の背中から肩、腕を洗う。
 悠人その間……シャロンのたわわな2つのお胸(※タオルを巻いています)が背中にむにゅむにゅ当たるので洗って貰う気持ち良さより、お胸の柔らかさの方を楽しむ。
 健康な男の子なので仕方ないと言うか、当然の反応と言えるだろう。
 
 それから悠人。
「なら、俺も流さないとね」
 彼は交代で、今度は悠人がシャロンの背中を流してあげる。
 彼女の尻尾も丁寧に手揉みで洗う。揉み揉み。
(尻尾は触られるとムズムズするけど……不思議と、もっと触って欲しくなるような……?)
 シャロンはその感覚にびくんびくんと反応。未知の気持ち良さに彼女は身体を震わせた。

 ***

 温泉を堪能した2人は宿泊する2人部屋に移動。既に食事が用意されていた。

 悠人が事前に女将であるユノハにお願いし、貴重な海の幸・生の魚介類を使った料理のお膳を出して貰った。
 内容は……シャロンの好物が赤身の魚やイカ・タコだと認識していたので、それらの刺身が主体の食事である。

 目の前のお膳を見て、シャロンは大喜び&大興奮。
「私の好物知っててくれるなんて……悠人は優しいのね」
 好感度アップ、尻尾ぴーん!
「こんな素敵な人とこんにゃくしゃになれて幸せね」
 にっこにこの笑顔で海の幸を堪能するシャロン。ぱくぱくもぐもぐ。
 悠人は……地元の村に居た頃は人付き合いが上手くいっていなかったので……シャロンから向けられる無邪気な好意に対して、どう返していいか分からない。
 とりあえず自分も海鮮中心のお膳をもぐもぐ。刺身だけでなく、この宿名物の石焼魚が特に美味しく感じた。焼き加減・塩加減が素晴らしい。

 シャロンは悠人に尻尾絡めてスリスリ。そのスリスリしてくる彼女へ、悠人は刺身をお箸で摘まんで食べさせてあげる。
「ぱく、もぐもぐ。美味しい! 私もあーんしてあげる。悠人はどれが好きかしら?」

 その様な風に2人は食事を済ませたあと、就寝時間までいちゃいちゃして過ごした。

 ***

 さて――就寝時間。カップルなので当然ながら敷かれていたのは大きめのお布団に枕が2つ。
 2人はお布団の上でまたいちゃいちゃ。

 悠人は寝に入る前の布団で猫がやると喜ぶらしい、お尻の尻尾の付け根をトントンしてあげる。
 これは猫のハーフビーストであるシャロンも結構お気に入りみたい。
 ……お布団の上で尻尾付根トントンされた彼女はとても気持ち良さそう。
「これ、すきなの……」
(気持ちよくて四つん這いでお尻や尻尾を高くしちゃう……)
 とろんとした表情のシャロン。思考も蕩けてしまいそう。

 と、そうなる前に。こちらからも。
「ドゥジンシでみたの。恥ずかしいからしないつもりだったけど、悠人が好きだからしてあげる」
「え、なに? ドゥジンシって……?」
 シャロンは秘蔵本にて『ご奉仕』なる謎知識を仕入れてきたらしい……?
「何する気なの……ぇ?」
「悠人……」
 頬を赤らめて、シャロンは彼との距離を縮めてゆく……。

 以下、暗転。

 ***

 翌日。2人は水風呂にやって来ていた。

「泳いでいいの? やったぁ♪」
 シャロンは水浴びの楽しさで――油断。ざぱぁ! した瞬間、タオルが水圧ではらり。
 すぐにタオルで身体を隠したが、その肉体はばっちり悠人に見られてしまった。
(私の身体、小さくて痩せてるわ……悠人がもっと肉付きのいい人が好きだったらどうしよう?)
 シャロンは裸を見られて恥ずかしい気持ちよりも悠人に自分の身体を魅力的に思って欲しいという気持ちが強かった。

 悠人的には彼女のタオルが肌蹴、ばっちり見えてしまったので役得。彼女と一緒だとラッキースケベが多くて良きかな。
 ……出会ってから最初の頃はもっと細く痩せていたが、今では少し肉付きが良くなり、元気に健康体。そのほうが色気も乗るよな~と、彼は内心思う。
 しかしながら悠人は口数が少なく表情も変わらないのでシャロンは不安げな表情が晴れない……。
 ので、彼は彼女の頭を優しく撫で撫でしてあげた。気持ち良さそうに、安心した表情を浮かべるシャロン。

 シャロンと悠人は頭一つ分以上体格が違う。シャロンは悠人の膝の上に乗って、
「こうすれば目線が合うわ」
(チビもちょっとはマシに感じるかも)
 彼女は悠人と対面になり、微笑む。
「目線が合う、か。確かにそうだな」
(ありのままでいいと思うんだけど……なんか頑張ってるし言わずにおこう)

 このような感じに2人はいちゃいちゃしつつ、残りの時間を過ごした。

●
 ララベル・サン・ディーベルとアリエッタのペア。

(気になる友人のアリエッタを誘って、一夏の温泉旅行……。一緒に温泉宿を楽しみたいし……ひょっとしたら急接近出来るかもしれない)
「ララベルに誘われたのだし、喜んでついてきたよ」
 女の子と見紛う長い髪の美少年、ララベルの心中はドキドキ。
 アリエッタとの関係は……最初はお客さんと宿屋のオーナー。

 前向きに明るいハーフビーストの少女、アリエッタはララベルと初めて出会った時には「女の子が宿屋を経営してる!」とびっくり。
 そして実は男の子だと聞き、二重の意味で驚いたらしい。その宿屋へ通う内に彼とは仲の良い男の子の友達になった。
 ララベルには友人が沢山で眩しくて……自分もいつの間にかその輪に加えて貰って嬉しくて……。
 はしゃいで一緒に過ごす内にそれまで人との付き合いで性別を意識する事の無かった自分が……唯一、異性として意識するようになった人……。
 そのように『1人の男の子』として意識し始めた友人のララベルに誘われて、アリエッタは温泉旅行にやって来た次第。

 ***

 ララベルとアリエッタは混浴露天風呂へ一緒に入ることに。
「綺麗な景色も見えそうだし、一緒にどうかな?」
「ろてんぶろ……? あ、う、うん、もちろん!」
 裸に近い状態になるので2人ともドキドキ。……男女別の脱衣場でタオル一枚になり、風呂場で合流。

 2人並んでかけ湯をして、湯船にちゃぷんと浸かる。温泉に入る前にはドキドキしていた2人はお湯の気持ち良さに少しリラックス。

 十分にお湯へ浸かった2人は洗い場に移動。そして背中の流しっこ。まずはアリエッタがララベルを流してあげて。
 次はララベルがアリエッタの背中を流す際に間違えて(?)彼女のお尻にタッチしてしまったり。
 また対面でお喋りしながらお湯に浸かっている際にはララベルが体勢を崩してアリエッタの膨らみかけのお胸にタッチしてしまったり。
「はわわわ、ごっ、ごめんね」
「だ、大丈夫……」
 ララベルは真っ赤。アリエッタの方は平気そうに見えるが彼女も赤面しており、直ではないがタオル越しに肌に触れられてドキドキ。
 風呂場に来る前はテンション高めだったアリエッタ。しかし今は意識している男の子とのハプニングにしおらしく恥らう。

 ***

 翌日。温泉を楽しみに旅行へやって来たものの、流石に夏のシグモル火山帯は暑かった。

 朝風呂を満喫していたララベルとアリエッタだったが、身体が火照ってしまったので。
「あっ、ここ水風呂も有るんだ、この暑さだし気持ち良いかも。一緒に行ってみない?」
「水風呂ってはじめて。温泉って言ってもいろいろあるんだね。行きましょ」

 そんなわけで移動。やや冷たい水風呂に入った2人はしばし冷却。

「アリエッタ、すごく気持ちいいよ、アリエッタも泳がない?」
「うん、いいわよ」

 他に客が居なかったので2人は水風呂にて競争するなどして泳いで楽しむ。
 だが――水着ではなくタオルを巻いた状態だったので、激しく動いた後、立ち上がった際に2人ともタオルが肌蹴てしまうというハプニングも。

 ***

 夕食の時間になり、部屋へ戻ったララベルとアリエッタの2人は美味しく食事をいただいて……お腹を落ち着けてからまた一緒に混浴の温泉へ。
 ……たっぷりとお湯を楽しんでから、2人は火照った身体を冷ますために庭をお散歩。

 途中、ベンチに並んで腰かけて、休憩中――
「温泉も料理もすごく良い。すごく楽しい。アリエッタが一緒に来てくれたから余計に……」
 ララベルはそう言ってからアリエッタの顔をじっと見つめ。
「あのね、アリエッタ、君が好きだ」
 真剣な顔つきと口調で、告白。
「あ、あれ? やだな、こんな……普通の女の子みたいに……」
 それを聞いたアリエッタは思わず目を見開き、その瞳から自然と涙が零れ落ちる……。
「……嬉しいよ、ララベル。私も……好き……♪」
 笑顔で頷いて彼の告白を受け止めてから、アリエッタは頬を赤らめて、飛び込む様にして抱き付いた。

 その勢いのまま2人はぎゅっと抱き締め合い、そして今度はちゃんと自分達の意思で、唇と唇を重ねるのだった……。

●
 セロンガード・シュタインドルフとティトのペア。

「私のわんぱく狼が尻尾を振りながら手を引くものですから、早々に浴衣へ着替えて入浴に参ることに致します」
(二泊三日の温泉旅行……罰ゲームありのゲームをしようと思った、けれど、ゆっくりしたいと懇願されたから、今回はやめとく……けど、つぎはする、よ)

 ***

 ティトとセロンガードは部屋に荷物を置いたらすぐに浴衣に着替えて、温泉に移動。
「ほんとはあまりお風呂とか好きじゃないけど……ん、セロンと一緒なら、平気」

 屋根付き風呂にやって来た2人は水着に着替えて風呂場へ。

 セロンガードとティトはかけ湯をしてから、2人並んで肩まで湯船に浸かる。他人に見られる心配のない屋根付きのお風呂でゆったりまったり。
 熱めのお湯で身体を温め、疲れを癒す……。
「どうです、お風呂も悪くないでしょう?」
「そうだね。そんなに嫌な感じじゃない、かも。……むしろ気持ち良い、かも」

 続いてセロンガードとティトは、他の客が居ないタイミングで水風呂へ移動。
(ティトに泳ぎ方を教えます。最初は顔を水面につける事も嫌がっていたのですが……)
(水風呂で泳ぎ方を教えてもらう、よ。多分すぐに遊び始めちゃうと思う、けど)

 しかしティトを待っていたのはセロンガードの熱血指導。遊んでいる暇など無かった。
「頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるってやれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ!」
 …………と励まし(?)続けた結果、ティトは無事泳げるように――?

 水風呂から一旦上がったティトはもじもじしながら切り出す。
「……ん、じ、じつはね……ちょっと前から普通に泳げるようになったの。でも、セロンに泳ぎを教えて欲しくて……褒めて欲しくて……」
「おや? そうでしたか。頑張りましたね、ティト」
 セロンガードはティトの頭を撫で、どさくさに紛れて狼耳もモフる。
「えへへ……良かったぁ」

 その後は2人は男女別の露天風呂に移動して、お湯にゆっくり浸かり景色をゆっくり楽しみながら身体を温め直す……。

 ***

 2人は温泉でほかほかになってから部屋へ。もちろん同室である。
 食事のお膳(石焼き魚が中心)は既に用意されていた。

「ご飯~。お肉もお魚もこんがり焼けて良い匂い……。えっとね、ししゃもをいっぱい食べる、よ」
 少しはしゃいだ様子のティト。それにセロンガードは――
(ティトがししゃもを好きな理由の1つに、魚の骨を取るのが苦手な事があるらしいです。その手間の無いししゃもが好きだと言う事ですね)
 ということなので、骨が多い魚はセロンガードが取ってあげて、食べ易くした身を「あーん」する。
 ティトはお口を大きく開けてぱくり。もぐもぐと美味しそうに咀嚼。

(お酒はまだ飲めない……また今度のお楽しみ)
 それはティトにはまだ早い。後々の楽しみにしておく。

 ***

 ……さて、食事をゆっくりと楽しんで、お腹も落ち着けたらもう就寝時間。
 寝床に2つ並べて敷かれてあるお布団に、2人は入る。

 深夜――。

 ティトはセロンガードがごそごそしている事に気づく。薄目で見てみれば……どうやらお風呂に行くらしい。
 こちらが寝ているか確認して来たので、その際は寝たふり。
(こっそり深夜風呂に行こうとしてるセロンを追いかける、よ。それで、一緒にお風呂入る、の)

 深夜の誰も居ない混浴露天風呂にセロンガードが到着し、風呂場に足を踏み入れれば――背後から、ちょっとホラーな感じで「どこにいくの?」と声がした。
 びくっ! とするセロンガードだったが……振り向けばその正体はティト。モフモフの狼少女は『してやったり』な表情を浮かべて「ふんす!」と鼻息を荒げている。
「寝たふりだったのですか。……深夜に1人で風呂に行こうと思ったのですが……見事に追跡されてしまいましたね」
(夜景を1人でゆっくり楽しむつもりだったのですが、やむを得ません、ティトと一緒に夜景を眺めると致しましょう。2人で【暗視】を持って)
「ケモノ湯に入浴+セロンの膝の上+頭なでなで+夜空+暗視で完璧なのだ」
 2人はティトが何も気にせずゆっくりと温泉に入れるように、ケモノ湯へ移動し、かけ湯の後、2人並んで湯船に肩まで浸かる。
【暗視】持ちの2人だったが、月が綺麗で星の瞬きもあり、また火山活動もあるので夜でもそれなりに明るかった。2人はその夜景を温泉のお湯と共にゆったり楽しむ……。 

 ***

 ティトはお湯に浸かったままセロンガードにもたれ掛かってうとうと。
(心地良くて、そのまま寝ちゃいそう……。もうセロンに全部任せちゃおう。……ん、タオルで身体の拭き取り? 着替え? 布団に連れてってくれるまで……意地でも起きない)

 セロンガードはティトがお湯に入ったままうとうとしている事に気づき、起こそうとするが……彼女は無反応。
「仕方が無いですね」
 というわけでセロンガードはティトを抱き上げ、お姫様抱っこして部屋まで連れていく事に。お風呂上がりのアレコレもやってあげる。
 ティトのモフモフしっぽがもげそうなくらいぶんぶんしていたので、また寝たふりなのは判っていたが……まあ、それはご愛嬌。

 2人が部屋に戻れば(正確にはセロンガードがティトを抱っこして戻れば)……。
「本格的に寝入る前に、他にやりたいことといえばそうですね……ティトの髪をブラシで整えたり、でしょうか」
(タオルでまた拭いて乾かして差し上げたりも致しましょう。そのあたり、ティトはルーズな気がしますので……)

 セロンガードはティトを浴衣に着替えさせ、髪をブラシで整えてあげてから、お布団へ連れていく。
 そうして2人は今度こそふかふかのオフトゥンで「すやぁ……」と就寝したのだった。

マスターコメント

諸事情により遅れまして申し訳ありません。 新たなカップルが誕生するなど、皆は温泉旅行を楽しみました。
ショートEX

ショートEX易しい 報酬:無し10 / 4〜10人

2021年09月13日 14時29分23秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. コルネリウス・アーラ

    コルネリウスです。よろしくおねがいします。 温泉旅行、楽しみですね。 皆さん良い時間を過ごせますように。

  2. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!サフィラだよっ! 露天風呂に水風呂、屋根付きのお風呂もあって楽しめそうだねっ!

  3. ティト

    ティトです。よろしく、ね。 ん、良い休日を。

  4. ララベル・サン・ディーベル

    僕は、ララベル・サン・ディーベル。 よろしくね。 温泉♪温泉♪

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0