【鉄鱗】美味さの追求ッ!
ゆうきつかさ
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シナリオID:1201
オープニング
ヴィントの地下ダンジョンに広がる海で発見されたのは、イカとタコが混合した魔獣であった。
それはイカとタコの美味しい部分だけを特化させた、動くグルメ素材であった。
その食感はタコであり、イカでもあり、それ以上の何かであった。
しかも、イカの甘みと、タコの旨味が濃縮され、歯ごたえも抜群。
その上、イカスミ以上に、スミが美味い。
今までにも同種のモノが、他の海辺で発見されていたため、高値で取引されているのだが、このイカタコ……無駄に強くて、簡単には仕留める事が出来ないようである。
そこでイカタコを退治して欲しいという依頼が舞い込んできたのだが、イカとタコのイイトコどりと言うだけあって、足の数も倍ッ!
おまけに二本の腕を鞭のようにしならせ、問答無用で攻撃を仕掛けてくるため、色々な意味で厄介な相手のようである。
それに加えて、常に美味しそうなニオイを漂わせているため、無防備に突っ込んでいく者がいたとか、いないとか。
そう言った事も踏まえた上で、イカタコを倒すのが、今回の目的であった。
解説
マスターより
リプレイ
「まさか帝国南部に、このような地下ダンジョンが存在していたとは……。冒険すれば様々な叡智が得られそうではあるな」
ライナ・フレイヴァルツは仲間達と共に、ヴィントダンジョンの第一層にある海にやってきた。
そこには広大な海が広がっており、ダンジョンに来ている事を忘れてしまう程だった。
おそらく、これが依頼でなければ、そのまま砂浜で遊び始めていた事だろう。
そんな気持ちになってしまう程、海風が心地よく、潮の香りが鼻をくすぐった。
「……」
そんな中、コハクが海を眺めて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
コハクは、大の水嫌い。
そのため、海を観ているだけで、全身に鳥肌が立った。
だが、それを上回るほど魅力的な海鮮類が、海には……いる!
その事を知ってしまったため、興味が恐怖を上回ったようである。
それに今回は仲の良い友人や、依頼仲間達がいる。
そのおかげもあってか、水に対する恐怖心が目立たなくなる程、抑えられているようである。
「それにしてもイカとタコが混合した魔獣がいるのか。しかも、このような状況下で生存できる適応力に驚きだな」
その横でライナがイカタコの生命力に驚きながら、何処までも広がる海を眺めた。
一体、どのような経緯を経て、イカタコが生まれたのか分からないが、生命を脅かすほど、危険な存在がまわりにいなかったのだろう。
その上、巨大でありながら、大味ではなく、イカとタコのイイトコ取りと言うのだから、オドロキである。
それを食した猛者がいる時点で、凄い気もするのだが、依頼主からの話を聞く限り、食べても腹を壊す事はないようだ。
「ピィィィィィィィィィィィィィィィ!」
次の瞬間、ライナ達のニオイを嗅ぎつけ、イカタコがザパァーンと水飛沫を上げて姿を現した。
この様子では、だいぶ飢えているのだろう。
ひさしぶりの御馳走を前にして、とても興奮しているようだった。
「予想以上に……大きいですね。しかも、見るからに硬そうですし……。本当に食べられるのですか、これ……?」
エヴァン・ピオネロがイカタコを見上げ、気まずい様子で汗を流した。
一見すると、硬そうな上に、大味っぽい。
そんな印象を受けるのだが、食べた者がいるのだから、見た目に反して美味しいのだろう。
それが本当なのか、ウソなのか、実際に食べてみないと分からないが、どちらにしてもイカタコを倒す必要があった。
「……とは言え、おいしいものを手に入れるためには、身体を張らないといけないのですね……。ライナ様やコハク様を始め、皆様がタコでイカな魔獣の手足で大変な事になってはいけませんから、私がお守りしないと!」
フロマーシュ・ダイヤドロップが自分自身に気合を入れ、イカタコをジロリと睨みつけた。
例え、イカタコが強敵であったとしても、仲間達を守るためなら、自らの身を犠牲にするつもりでいるらしく、何の迷いもないようだった。
そのためか、まわりにピンク色の死亡フラグ(擬人化幻覚中)達が集まってきたような気もするが、そちらに関しては、あえて気づかないフリをした。
「私の力が、どこまで及ぶか分かりませんが、精一杯……力を尽くして参りますわ」
ネーヴェ・グラヌローザも覚悟を決めた様子でイカタコの前に陣取り、レゾナンス・オブ・ヴァローで声と共にエーテルを解き放った。
「ピキィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
それと同時にイカタコが奇妙な鳴き声を響かせ、ネーヴェ達に対して真っ黒な墨を吐き出した。
その途端、香ばしいニオイが、一瞬にして辺りを包み込んだ。
間一髪で、ネーヴェ達はイカタコの墨を回避したものの、あまりにも香ばしいニオイに包まれてしまったせいで、胃袋が大ダメージを受けた。
(二人が大変な事にならないうちに、どんどん攻撃をしておかないと……)
ライナがコハクとフロマーシュに視線を送った後、爆炎2を仕掛けてイカタコに先制攻撃を仕掛けた。
「ピィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
次の瞬間、イカタコの身体が爆炎に包まれ、その苦しみから逃れるようにして、イカタコが腕を降り下ろした。
「……!」
それに合わせて、コハクが飛び跳ね、イカタコの注意を引いた。
「ピキキキキィ!」
その挑発に乗ったイカタコが、狂ったように二本の腕を振り回し、コハクの後を追いかけた。
即座に、フロマーシュがダマスカス鋼の盾Reを構え、イカタコの攻撃を受け止めた。
「これは……良い匂いです! 絶対に、逃がしませんよ! この戦いが終わったら、イカ祭りをしましょう! スミはパスタですかね? リゾットも美味しいって聞きました!」
その間、エヴァンはイカタコの全身から漂う香ばしいニオイを包まれ、幸せそうな表情を浮かべていた。
この時点で、エヴァンの心を鷲掴み。
頭の中に浮かんでいるのは、沢山のイカタコ料理であった。
「だからと言って、大切な人をイカタコうねうねの餌食になんてさせません!」
それとは対照的に、フロマーシュが仲間達を守りながら、衝撃刃を繰り出して、イカタコを牽制した。
コハクもフェロモンを漂わせて、イカタコの注意を引き、捕まりそうなタイミングを狙って、疾風足で瞬間的に加速した。
その事が原因でイカタコのストレスが、物凄い勢いで、蓄積していった。
「ピィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
それが怒りとなって爆発し、八つ当たり気味にフロマーシュを捕縛すると、手足をネットリとニュルニュル絡ませた。
「わ、私はそんなにおいしくないです。……って、そこはとくにだめですぅー!」
その途端、フロマーシュが全身に鳥肌を立たせ、恥ずかしそうに頬を染め、甘くイケナイ声を響かせた。
……それはめくるめく禁断の世界へと誘う危険な行為。
イカタコ自身、そう言った意図が無かったものの、フロマーシュは恥ずかしさとイケナイ気持ちに支配され、どうして反応していいのか分からなくなっているようだった。
「これは一大事ですわ。援護しますから、その間に避難してくださいまし!」
その事に危機感を覚えたネーヴェが祈雷で祈りを捧げ、雷を荒れ狂わせる霧を出現させた。
「……!」
その途端、イカタコが動揺した様子で、霧から逃げるようにして飛び退いた。
おそらく、雷が怖いのだろう。
恐怖で身を強張らせ、ガタブルと身体を震わせているようだった。
「今さら後悔したところで、何処にも逃げ道はないぞ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、ライナがフレイムゲイズを放ち、イカタコの身体を炎に包んだ。
それがジューシーなニオイとなって、ライナ達の身体を包み込み、違う意味(主に胃袋)で大ダメージを受けた。
「……ごめんなさい……匂いに負けました……。これも運命だと思って……受け入れてください!」
そんな中、エヴァンは泣いていた。
空腹と悲しみがダンスを踊る中、食欲と使命感が拳を交えて、互いの気持ちを確かめ合うような状態に陥っていた。
その気持ちを振り払うようにして、エヴァンが魔糸3で蜘蛛糸のようなエーテルを放ち、イカタコの動きを封じ込めた。
「もう少し雷撃も入った方が、より身が美味しくなりそうですね」
その次の瞬間、ネーヴェが出現させていた雷の霧が無数に瞬き、イカタコに幾つも雷をビリビリと落とした。
だが、イカタコは動けない。
自分の意思に反して、手足を動かす事が出来ないため、痛みと怒りと恐怖で悲鳴にも似た鳴き声が響き渡った。
「いまです! 早く、トドメを!」
すぐさま、フロマーシュがシーザーロアを発動させ、イカタコの注意をコハクから逸らした。
「……!」
その気持ちに応えるようにして、コハクがイカタコの死角に回り込み、ダブルエッジを繰り出した。
「ヒュ……ヒュルルルル……」
その途端、イカタコが激しく痙攣し、まるで空気が抜けるように、ガックリと崩れ落ちて動かなくなった。
「尻尾まで萎れてますわね。大丈夫、いま丁寧に水気を拭き取りますから」
ネーヴェがコハクに駆け寄り、タオルで汚れを拭き取った。
「それにしても、凄い生命力ですね。まだ元気なうちに、持ち運びやすくしておきましょうか。美味しく新鮮なまま保存してお届けたいですからね」
一方、エヴァンは腕にくっついたイカタコの足を引っ張り、吸盤の跡を撫でながら苦笑いを浮かべた。
イカタコには独特の臭みがあったため、まずはヌメリを海水で洗い取り、真水で流した後、丁寧に切り分けた。
「少しくらいなら、食べても大丈夫ですよね。傷の多いモノは、持って帰るのには、適していないと思いますし……。それでは、腕によりをかけて、おいしいものをお作りいたしますねっ」
フロマーシュがタオルで身体の汚れを拭き取った後、イカタコの身を煮たり焼いたりし始めた。
「やっぱり、ニオイがいいなぁ。美味く作れたと思うんだが、味見をしてくれないか」
その間に、ライナが生活魔法を駆使して、イカタコ料理を完成させ、コハクに味見を頼んだ。
「こ、これは……!」
その気持ちに応えるようにして、コハクがイカタコ料理を食べて、ハッとした表情を浮かべた。
それはイカであり、タコであり、それ以上の何かであった。
とにかく、美味い。
一度食べたら、止められない、止まらない。
イカとタコが手を取り合い、互いの欠点を打ち消し、上位職にクラスチェンジしたような味わいが口の中に広がった。
目を閉じれば、イカタコが棲んでいた海中の光景が広がり、タイやヒラメの舞い踊りを最前列で観ているような感覚に陥った。
「まぁ、2種のハイブリッドのようなお味……これは美味しいですわね……!」
ネーヴェも蒸留酒を振ってイカタコの臭みを取り、豪快に火をあぶったモノを口にして、幸せそうに溜息を洩らした。
だが、すべてを食べる訳にはいかなかった。
例え、その先に楽園が待っていたとしても、依頼を成功させるためには、ここで我慢をする必要があった。
そして、授恵者達が楽園の片道切符を握り締めているような感覚に陥りながら、任務を遂行するためヴィントダンジョンを後にした。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人
2021年08月04日 11時24分59秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのネーヴェ・グラヌローザと申します。どうぞ宜しくお願い致します。 匂いの強いものを塗ると良い、とありますが、筆頭に上がるのは香水ですわね。香水でも大丈夫なものなのでしょうか。 ひとまず他にどなたかいらっしゃらないか、待ってみますわね。
キャスターのエヴァン・ピオネロです。 火や雷に弱くて美味しさマシマシに惹かれて、爆炎を持ってきました。 良い匂いはフェロモンなら持ってますが、自分へと呼び寄せるのは危険でしょうか? ……コメディと書かれてるとツイ無謀な事をしたくなります。 または、壺の中に豚肉・鶏肉を詰めて囮にするのはどうでしょう?
じゅるり……ふーっふーっ。 オナカスイタ、ワンコオナカスイタ…。 ……はっ! シーフコハク、どうぞよろしく(何事もなかったかのように) コハクは近接戦で今回は攻撃通らなそうだから囮にでも回ろうかなと。 …狩った後の解体には剣も必要だよね、だよね?
エヴァン様、ようこそいらっしゃいませ。 コハクさんは改めてどうぞ宜しくお願い致します。 囮案、良さそうですわね。そちらへ引き寄せられている間に叩く、と言うのが現実的でしょうか。通常攻撃は通り難いとのことですし、私は魔矢をメインに戦いましょう。 後は……祈雷、でしょうか。上手く使いこなせた試しがないのですけれど、雷に弱いなら試す価値はありそうです。 後お一方いらっしゃると信じて、プレは仕上げておきますわね。
キャスターのライナ・フレイヴァルツだ。 ギルドから何かお勧めの依頼はないかと尋ねたところ人数不足の此方の依頼を紹介された所だ。私も手を貸そう。 冒険者家業から離れていた期間が長いので、少々手間取るかもしれないが宜しく頼む。 さて、イカとタコが混合した魔獣か。 火や雷に弱いとのことなので、フレイムゲイズと爆炎2を使っていくとしようか。 ニオイの出るものは、ネーヴェさんが挙げてくれているように香水は所持しているがこの場合囮を引き受けてくれているコハクにお願いしたほうが良いのだろうか? …コハクは嫌がりそうではあるが。
確定ですね、改めて宜しくお願いします。 囮はコハクさんが「囮にでも回ろうかなと。」と申し出てくれてますので その時点でコハクさんだと思ってましたが……お願いしても大丈夫でしょうか? または、キャスターが2名に成ったので、ぼくがフェロモンを使って囮をしてもかまいません。 祈雷は使う機会がないスキルですよね …このチャンスに試してみて良いと思います。
ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたします。 しばらくお休みしておりましたが、できる限り頑張らせていただきますのでっ! なかなかにあぶない感じの敵ですし、皆様をお守りする為にも、今からでも大丈夫でしたら、囮役を勤めていきたいと考えております。 その際は、シーザーロアで敵を引き付ける事も出来ますので、それも使っていく予定です。
はろはろー、二人とも。 依頼よろしくね。 まぁ今回は本当にイカタコ食べたいだけで参加したようなものだから戦闘ではくその役にもたたなさそうだし頑張って囮するよ。 まかせといてーぶいぶい。 囮というかマーシュは皆の盾、かな? 後衛陣は防御危ないしね。
こちらこそお久しぶりになってしまいましたけど、改めまして、よろしくお願いいたしますっ! なるほど、確かに相手は手数も多そうですし、皆様…特に打たれ弱い方をお守りする事を優先して、囮としては… って、コハク様がピンチの時もお守りいたしますのでー! というわけで、カバリングも用意して、しっかり庇っていきますっ!