今回のお仕事はギルド職員(仮)です
岩岡志摩
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シナリオID:1089
オープニング
冒険者ギルドのとある支部で、ギルド職員アルヒ・ラスカスはこの支部に勤める職員より相談を受けていた。
「不測の事態が連続して発生したため、臨時の職員として働くことが可能な方々をかき集めたいのです」
なんでもこの支部では、職員達が職場からいなくなる事態が発生しているらしい。
ある職員は、病に倒れて闘病中の状態になった。
別の職員は結婚して一時的に職場を去った。
さらに別の職員は、後ろ暗い借金でも抱えていたのか、夜逃げをしていなくなった。
これらが立て続けに発生したため、この支部では慢性的に人手が足りず、残る職員一人一人が複数の業務を抱えている。
おかげで支部に残る全員が過労状態で、今アルヒに話をしている職員すら、疲労を顔に塗りたくって今にも倒れそうだ。
病欠中や結婚した職員達が復帰できれば、今のオーバーワーク状態も解消できるが、そうなるには数日間今の状態でやりくりするしかない。
事態を打開すべく、この支部職員はたまたまこの支部に用事があったアルヒを捕まえ、仕事を手伝ってくれる冒険者を集める依頼を斡旋してくれるよう頼み込み、今に至る。
「事情はわかりました。やってほしいことを伺いましょう」
アルヒが職員に尋ねたところ、今の段階では以下の2つが主な仕事内容になるようだ。
1つ目は、この支部が斡旋する依頼に応募してくる冒険者達への受付対応。
これは依頼内容の説明であったり、何か質問があれば他の人や上役と相談の上で情報を提供したり、人気のある依頼に殺到する人達を捌くなどの業務になる。
なおこの支部で最も人気なのは何かを討伐する依頼で、次いで採取の依頼。逆に街の清掃や水路の泥を除去するといった依頼は不人気らしい。
2つ目は、時々ギルド支部内で発生する冒険者同士の諍いや口論の仲裁など、トラブルへの対処。
時々だが、その依頼の中で活躍(MVP)した人が誰なのか、同じ依頼に参加した冒険者達の中で揉めることがあるようだ。
授恵者である冒険者達を相手にする以上、ある程度の強さは必要になるので、募集する対象も冒険者が望ましい。
などと職員が話している部屋の外で、何かが爆ぜるような大きな音が響いた。
次いでギャーギャーと喚き散らす、荒っぽい罵声が聞こえてくる。
方向からすると、どうも受付あたりで誰かがクレームをつけているのだろう。
「対処した方がいいですか?」
「お願いします」
アルヒは職員から承諾を得ると「ちょっとしめてきます」と言い残し、『道具』を借りて現場に向かう。
受付に通じる扉の向こうへとアルヒの姿が消えた後、今度は何かをひっぱたく音と野太い悲鳴、くぐもった呻き声が連続して響き、静かになった。
「確かに人手は必要ですね。早速手配いたします」
いずれも頭や尻をおさえてうずくまり、呻き声をあげる冒険者達を前に、制圧を終えたアルヒは借りたものを返却し、依頼斡旋に動き出す。
「冒険者達からすれば、ギルドの裏側でどんなやり取りが行われているのかを知る、いい機会になるだろうな」
ちなみにアルヒが借りたのは、このギルド支部ご用達の『ハリセン』なる武器だった。
●やること
今回皆様にやってほしいことは、人手不足に陥ったギルド支部でのお手伝いです。
この支部では病気や結婚、夜逃げといった不測の事態が立て続けに発生しました。
病気や結婚といった理由で職場にいない職員達が復帰するまでの数日間、どうしても人手が足りません。
このままでは支部が機能不全に陥る可能性も出てきます。
このためギルドのことを良く知っている冒険者の皆様へ、この支部は依頼を出すことにしました。
主にやってほしいことは、受付業務とトラブルへの対応です。
この支部では人気のある依頼に冒険者達の数が集中しがちで、なんとか自分が参加しようと参加枠の奪い合いになることもあります。
これが殴り合いの喧嘩にまで発展しないよう、皆様は毅然とした態度で冒険者達に対応して下さい。
時折冒険者達が依頼内容を確認するため、様々な質問をして追加の情報を求める場合もありますが、追加の情報提供が必要なときは、皆様のほうで冒険者達への説明や対応をお願いすることになります。
この支部を利用する冒険者達には「俺様強いだろ」系の荒っぽい人達が多く、周囲へ被害を出す形で討伐対象を倒し、雑な採取の仕方をして素材の状態を悪くして提出することがたびたびあります。
それらのマイナス要素も加味しての報酬が気に入らず、クレームを入れる冒険者も少なくありません。
クレームが来たら対処する必要がありますが、中には応じられないと支部が判断するものもあります。
そしてこの職場でも報告や連絡、相談は大事ですが、一番大切なことは仕事のうえで知り得た情報はむやみに公開しないことです。
これは皆様が隠しておきたい情報をギルド職員にばらされたらどう思うか、ご想像下さればわかるかと存じます。
なお現在人手不足で機能不全に陥りつつあるこのギルド支部では、緊急に人手が必要ということで、相場よりも高めの報酬が提示されています。
●発生するクレーム
以下は皆様が職務に就いた際に、皆様が対処することになると思われるクレームや要請の類です。
なぜそれがわかるのかというと、何度か似たような事例が発生しているためです。
回答例は支部がこれまでに相手方へ出した一例ですが、皆様の方で回答を考えて下さって大丈夫です。
クレーム例1。
こういった集まりだとリーダーを決めない限りは纏まりなど期待できるものではないだろう。将来の英雄である俺を支部が責任をもってリーダーに指名するのが筋じゃねえのか?(by自称俺様ヒーローな冒険者)
回答例1。
支部で指名することはありません。現場に向かう冒険者の間でリーダーを決める必要がある場合、そちらで決めて下さい。
クレーム例2。
依頼で活躍した人(MVP)の基準は、リーダーである俺様を選ぶのが当然だろう。それ以外に選ばれるなら俺様の命令に他の連中が従ったかで判断されるべきだ(by自称リーダーの冒険者)。
回答例2。
その依頼で最も活躍した人(MVP)を選考する基準は、依頼の内容やその時の状況によりその都度異なります。ただリーダーであるか、リーダーに忠実に従ったのか否かで選出されるわけではありません。
クレーム例3。
依頼を達成した時の周辺住民達の感謝の気持ちが足りません。感謝の気持ちの表現大会を開くよう支部のほうで住民たちに命じて下さいませ。
回答例3。
支部にそのような権限はありません。感謝というのは自発的なもので、強制するものではありません。
クレーム例4。
全裸で支部内を歩きたい(by夏の暑い日に服を脱ぎ出した男性冒険者)。
回答例4。
去勢されるか離婚か今すぐ選べ(by職員から連絡を受け支部に駆けつけた、その男性冒険者の妻)。
なお「大丈夫か、この支部?」というクレームは受け付けておりません。
もめ事を鎮圧するために『物理的交渉』もしくは『肉体言語』が必要な場合は、支部よりハリセンや金ダライを貸し出します。
今回はアルヒが皆様の支援役となりますので、判断に困るようなものはアルヒや周囲にいる職員達にお尋ねください。
どうかこの支部への皆様のお力添えをお願いいたします。
解説
マスターより
リプレイ
ある冒険者ギルド支部で不測の事態が立て続けに発生した結果、職員達の数が不足する事態となった。
機能不全に陥りかけていたこの支部は救援要請の依頼を出し、その依頼に応じた冒険者達は臨時ギルド職員となって、今はこの支部を利用する冒険者達への応対や様々な案件の処理を行っていた。
「カウンターのこちら側からギルドを見るのって新鮮ね」
ロゼットは人気のある依頼へと群がる冒険者達をさばきながら、独り言ちる。
「希望者が定員を超えたので、抽選を行いまーす!」
ロゼットは募集人数を大幅に超える応募の数を前に、声を張り上げる。
「棒クジを引いて棒の先端が赤の人が当たり、8人まで!」
ロゼットはアルヒ・ラスカスに要請し、急遽作成してもらった細い棒クジを木のカップに入れ、冒険者達へと差し出す。
それぞれ引いたクジの結果に、冒険者達は一喜一憂するも抽選に漏れた冒険者達が「再度抽選を行ってくれ」と食い下がる。
「もう抽選は終了したのだ。そこまでやる気があるなら、別の依頼をお勧めするのだ」
ストレガ・L・リベルガストラもまた、ロゼットと同じく受付業務に従事しているが、今は抽選に漏れた冒険者達へのフォローを行っている。
「話を聞ける冒険者は成長の余地があるのだ。人気だからではなく、己の力量を見て依頼を受けてほしいのだ」
ストレガは相手の顔をよく見ながら辛抱強く冒険者達の話を聞き、もめ事に発展しないよう聞き役も担っている。
同じ窓口の脇では、パヴェル・A・サムルガチェフがそれまで座っていた絨毯から立ち上がり、別の冒険者への応対をしている。
「そんな依頼は冒険者以外にやらせればいいと言うのかい? 他じゃ対応できないから冒険者に話が回ってきているんだぜぇ」
パヴェルが相手の強さやその能力等を考慮して提示した依頼に対し、冒険者が難色を示すと、パヴェルは演説スキルも駆使して事情を説明する。
その間にもスー・ルーはシンディー・ホシカと共に、今の段階で窓口応対の他に人手が必要な業務がないか職員に尋ねている。
「手が足りてねぇなら、後回しになって放りっぱなしになっている仕事なんかもあるだろ」
そしてスーの予想通り、清掃や荷運びも手が足りないことが判明すると、スーとシンディーは手分けして作業にあたる。
「掃除とか荷物を運ぶとか……そういう頭使わねぇ仕事なら任せろ、俺がやっといてやるぜ」
そう言ってスーが荷運びを、シンディーが清掃を行っていた時だった。
冒険者の1人が、受付に向けてある要望を出してきた。
――全裸で支部内を歩きたい。
「えっ!」
たまたま掃除をしている際に、その冒険者が服を脱ぎ出した場面を目撃したシンディーは、思わず叫びを上げる。
ちなみにこの日の体感気温は、前日の雨から晴天に転じたことで湿気もあいまって、かなり高い。
「ほぅ……全身を出さねぇと、お前さんの肉体は主張できねぇのかい?」
たまたま応対していたパヴェルは、眼前で服を脱ぎ出した冒険者に対し、そんな疑問を投げかける。
(思っていたよりも容姿はいいし、悪くないかも)
などとシンディーは一瞬内心でそう思ったが、すぐに我に返ると慌てて冒険者の行動を制止する。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
シンディーはこのまま放置すると周囲の人達の迷惑になると判断し、慌てて掃除用具をしまうと、その冒険者を個室へと案内する。
「アルヒさん、この人としっかり話をつけるから個室を使うわ」
シンディーがアルヒ・ラスカスから個室の使用許可を取ると、半脱ぎ状態の冒険者を引きずり、個室へと消えていった。
●攻防
困りごとはひとまず去ったが、ロゼットは依頼に参加した冒険者達への応対に追われている。
「クリーパーの情報は、と……あった。目撃した人の証言によると……」
ロゼットは資料検索スキルを駆使して必要な資料を集めると、冒険者へ説明していく。
「おそらく毒持ちね。戦いが長引くと不利になると思うわ」
ロゼットは自身の経験も踏まえて、依頼を行うにあたっての助言も送ることを忘れない。
このときストレガは、報告待ちの依頼を種別ごとに分類し、受注した冒険者の情報を参考程度の範囲で纏めた上で、依頼主と応対していた。
「それは済まない事をしたのだ。次はそういうことがないよう指導するのだ」
ストレガの認識では冒険者ギルドは仲介が業務とはいえ、依頼者からの信用で成り立っている。
依頼先での冒険者の振る舞いは誰かが見ているものであり、冒険者達に非があれば頭を下げる。
それが今の自分の負うべき役割だと、ストレガは考えている。
よってギルドの信頼を貶めるような真似をした冒険者を、ストレガは評価しない。
アルヒや上役にあたる職員とも相談の上で報告書を完成させ、種類ごとに分別するストレガに対し、下された評価に納得できない冒険者が食ってかかる。
「腕自慢が力を振るうのは良いことなのだ。だが諸君らは依頼の達成以外がおざなりになってないか? 苦情が届いているのでしっかり指摘してやるのだ」
ストレガは作業を切り上げると、該当する依頼を出した相手から聞いた苦情内容を事細かに冒険者へと説明する。
――MVPはリーダーである自分が選出されるべきだ。
自称リーダーが発したこの叫びに、パヴェルや荷運びに目途をつけたスーも反応して話に加わる。
「確かにリーダーのお前は偉い」
それが自称か他の人も認めているのかは横に置き、スーはまず相手の言い分を受け止める。
「でもお前みたいなリーダーを無事に連れて帰ってきた他のやつらも同じくらい偉いだろ」
スーの言葉に、周りで自称リーダーを抑えていた冒険者達の表情が和らぐ。
「名案をひらめくのは良いことだ。でもお前さん一人でなしえたものかい?」
そこまでパヴェルが言ったところで、パヴェルは気だるそうな雰囲気を引っ込めて真剣な口調で、言う。
「MVPは、決め手となる事をした奴が評価されるのも順当ってもんだとおもうがね」
パヴェルの指摘を自称リーダーは拒絶するが、周りの冒険者達は頷きで応じた。
「MVPが欲しいのはわかったが、いくらたくさん誇れるものを持っていたからって、それに相応しい奴かを判断するのはまわりの奴らだ」
続いてのスーの言葉に、周りにいた冒険者達は賛意を示し、それを見た自称リーダーはカウンター上に飛び乗って、スーやパヴェルに襲いかかる。
スーはハリセンで足払いをかけ、転倒した自称リーダーを、パヴェルが腕を捻り上げて押さえ込む。
「気ぃ付けろよ。てめぇの器以上の評判は、簡単にてめぇをぶっ潰すぜ。まずは全員無事に帰ってきたことを誇れよ」
スーは眼前で締め上げられ、呻き声をあげる自称リーダーの耳元へ、そんな囁きを残す。
――活躍ってのは死なねぇ限り、生きてれば増えていくもんだからよ。
スーの呟きは、パヴェルに連行されていく自称リーダーに届いただろうか?
そしてシンディーと全裸になりたい冒険者との『攻防』も続いている。
「要するに、自分の体を他人に見せたいのよね? 私だけに見せてくれるだけで、妥協してくれない?」
思わぬ反応を示すシンディーに、冒険者の動きが一瞬止まる。
「さすが冒険者をやってるだけあって、いいカラダしてるわね」
シンディーはまず冒険者の体つきについては、素直に称賛する。
そう、体つきについては。
「鍛えた自分の体を見せつけることができて、楽しい?」
しかしそれ以外については、シンディーは椅子に腰をかけながら、冷静に指摘して冒険者の熱意を削ぎにかかっている。
「全裸とか言い出せば恥ずかしがると思ってるなら、大間違いよ」
既に冒険者は、シンディーの気迫に呑まれかけていた。
●硬軟織り交ぜて
1つの案件が解決しても、カウンターでは新たな要望やクレームが、冒険者達と共に持ち込まれる。
「お前さんらはお金をきっちりもらってんだろう? それ以外のやりがいや、価値を求めんなら他の仕事でもさがしたらどうだい?」
「感謝が欲しくて仕事をするなら、ここより飯屋とか……そういうのやった方がいいんじゃねぇか?」
スーとパヴェルは冒険者側からのクレーム対応を行い、「感謝が足りない」と叫ぶ冒険者を一刀両断した。
冒険者の「褒められたい」という個人的欲求を叶えるために動くほど、冒険者ギルドも依頼者達も暇ではない。
そういった冒険者をパヴェルやスーが脇に押しやる中、窓口ではロゼットが初めて依頼を受けに来たと思しき冒険者に応対する。
「何かお困りかしら? 初依頼? ああ、なるほど」
ロゼットが見たところ、その冒険者の装備は真新しく、希望する依頼内容も難易度が高そうだ。
ロゼットは近くで書類整理や報告書の作成にあたっていたストレガに関係書類の用意をお願いすると、眼前の冒険者達から話を聞きだしていた。
「そうねえ……その魔獣を撃退する依頼はちょっとベテラン向けだから、こっちの……」
そしてストレガの用意した資料を片手に、この冒険者に向いていそうな依頼を複数用意し、それぞれ説明を行う。
「ロゼット殿。こちらがそちらの冒険者殿に向いていそうな依頼の一覧と詳しい資料なのだ」
ストレガはロゼットに後を任せ、報告書の作成や苦情の聞き取りを再開するべく、奥に戻ろうとする。
そこへ多少は経験を積んだと思しき別の冒険者がカウンターへと駆け寄り、何かを喚き散らす。
「そんなに大声で言わなくても聞こえるのだ。もしその板に傷をつけたら、修理代を請求するのだ」
カウンターを殴りながら「この依頼では英雄である自分を支部が責任もってリーダーに推薦しろ」と叫ぶ冒険者を前にしても、ストレガは冷静に対処する。
「荒事は得意なものに任せるのだ」
ストレガがそう告げると、何かを引っ叩く音と共に、その冒険者が前のめりに倒れる。
その冒険者の後ろには、先程振り下ろしたハリセンを構えるロゼットと、騒ぎを聞きつけたパヴェルやスーの姿が見える。
ロゼットは新人冒険者に断りを入れて、対応に駆けつけていた。
「リーダーが必要なら、冒険者同士の相談で選びなさい」
予め教わっていた回答例をロゼットは口にするが、さらに自身の言葉を追加する。
「でもリーダーになるなら、仲間が怪我した時の責任も重くなるのを忘れずに」
ロゼットが見る限りでは、恐らくこの冒険者はその責任を負う気もなさそうだ。
「リーダーになりてぇって勢いは大事だよなぁ、その気持ち、俺にもわかるぜ!」
スーは冒険者の気持ちについては理解を示す一方、パヴェルはこう忠告する。
「そんなにすげぇ評判があんなら、なおさら推薦じゃなくて自分から名乗りを上げて周囲に認められるべきだろう?」
パヴェルの言葉に頷きながら、スーも指摘する。
「そういうのは誰かに頼むもんじゃねぇ。そういうのはカッコ悪ぃ奴がやる事だ」
そしてスーはなおも不満げな冒険者に、こう言い切る。
「カッコ悪いリーダーがどうなるかって? そりゃお前決まってんだろ……近いうちに死ぬだろうな」
スーがストレガに確認したところ、この冒険者が参加したのは討伐系の依頼である以上、スーが口にした未来になる可能性は低くない。
「率先できる器量と能力を見せやがれよなぁ? そうすりゃ誰も異議は唱えねぇさ」
「人より重い荷物を背負う覚悟がないと、リーダー役も活躍も得られないわよ」
演説スキルも駆使しながらパヴェルが助言を送り、ロゼットも「義務や責務を負う覚悟をしなさい」と迫り、ようやくその冒険者は自説をひっこめる。
そして個室では、シンディーが最後の『仕上げ』に入っていた。
「あなた程度の体つきだったら、ここに来る冒険者じゃ並ね」
どの冒険者達と比較したのかは明言を避けながら、シンディーは淡々と指摘を続ける。
「服を着ていると、実際よりもあるように見えちゃう人だったのね」
ちなみにシンディーは眼前の冒険者が持つ筋肉を内心鑑賞して楽しんでいるが、表情や口調にはそれを出さない。
「……あなた、それで全裸で歩き回りたいって本気で言ってたの?」
いつしかへたり込む冒険者を見下ろす形になったシンディーは、何の感情も表情に見せることなく、トドメを刺す。
再び服を脱ぎ出す気を起こさせないようにと、シンディーはあえて酷薄に振る舞い、危険の芽を摘んでいった。
●依頼完了
臨時ギルド職員となった冒険者達はお互いに協力し合ったり、分担し合うことで全ての問題への処理を終わらせることができた。
明日からはこの場にいない職員達も復帰するので、冒険者達の業務はここで終了となる。
その頃には、個室で冒険者との『応対』にあたっていたシンディーも、個室より戻ってくる。
「あれだけ釘を刺せば、また服を脱ぎ出す真似はしないと思うわよ」
シンディーは心なしか憔悴の表情を見せる冒険者を個室から引っ張り出した後、ため息をつく。
再発を防止するためには、それ相応の労力が必要だったようだ。
「もし寒い雰囲気になったり、手に負えないようだったらコレを落とすつもりだったがなぁ……出番がなくてなによりだ」
パヴェルは用済みとなった金ダライを支部職員に返却しながら、シンディーを労う。
「何はともあれお疲れ様だぜぇ、ホシカ」
そんなパヴェルだが金ダライを使わなくても、荒くれ者っぽい冒険者達をある程度大人しくさせることに成功している。
その冒険者達曰く「なんかすごいものを見せられた」とかなんとか。
「経験が我々を強くするのだ。集められた報告は叡智であり力なのだ」
ストレガは駆け出しと思しき冒険者達へ、最後の助言を送っている。
「敵を知り自分を知れば、何度戦っても勝てる見込みがつけられるのだ」
ストレガは許可を得た上で、既に完了した依頼報告書を資料として冒険者達に閲覧させる等、色々便宜を図っていた。
そしてギルド支部の外で『業務』を終えたスーも戻ってくる。
先程までスーは、なおも自分の要求を押し通そうとする冒険者を支部の外へと連れ出し、『物理的交渉』を行っていた。
結果はというとスーの完勝で、負けた冒険者はアルヒの看護を受けている。
「こういうのは大歓迎だ。勝っても負けても、強い奴とやりあえるのは楽しいしな」
スーが支部内でいまだ不満を表情に残している冒険者達に向け、そんなことを告げた。
これは自分達が去った後、クレームを入れてくる冒険者の数を減らすための牽制も兼ねている。
「でもうーん……私たちって、あんな風に見られているのかしら」
今回職員側からの視点を体験したロゼットは、そのあたりが気がかりだった。
その上でロゼットは「あんな迷惑な冒険者にはならない」と心に誓う。
こうして機能停止寸前だった冒険者ギルド支部は、救援依頼を受けた冒険者達の尽力もあって業務を滞りなく進め、持ち直すことができた。
皆様、今回は本当にお疲れさまでした。
マスターコメント
ショートシナリオR易しい 報酬:標準5 / 4〜6人
2021年07月07日 07時49分01秒 公開
相談掲示板
ヒーラーの神官戦士ロゼット、リクエストさせてもらったわ。 冒険者が思ったより荒っぽくなったけど、 ギルドからは私たちこう見えてるのかしら(汗) そんな難しい依頼じゃないから、気楽にやりましょ。
キャスターのパヴェル。参加するぜぇ。 ……あぁ、いや、あんまじろじろ見ねぇでくれ。 この体格は色々あってのもんさ。 んで?荒っぽい冒険者の窓口対応、ねぇ。 できりゃぁ、俺の見た目が活かせるといいんだが。 ま、言うだけ無慮(タダ)で無茶な事降って 都合の良くってのは商売客の常套手段って奴なぁ?
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 事務仕事を知ることで得られる後方支援の大変さもわかるというものなのだ。 新人に現実叩きつけるのは職域越えて温情だと思うのだ。
はじめまして! シンディー・ホシカです! クレーム4の人に対応します。 こういう人には、かえって堂々と対処していくつもりです。
あれこれ言い出しちまってすまねぇな。 思ったことがあるんで、良かったら聞いてくれ。 >アルヒの嬢ちゃん *質問 「くれぇむ」ってのは各例分かれて対応為た方がいいのかい? *クレームの提案(?) 身勝手な冒険者がおおい、ってぇなるとさ。 依頼の後の後始末を誰がやるのか? ってなると大変なことになるだろうな。 ……一応俺らで対応できるんだったら、解決した方がいいかもしれねぇ。 >4番のくれぇむ。 一肌脱いで説得、なんてのが思いついたんでさぁ。 俺よりもガタイの良い男がいるたぁ、少し考えづらいんでな。 ……俺も加わっていいもんかねぇ。
受付係ということで「ですます」で言ってたけど、素の口調にするわよ。 4のクレームには、個室で一対一で話をして二度とこんなこと言い出さないように「しっかり」お話するつもり。 あんなこと言い出す人は一人くらいだと思うけど、二人目もいておかしくないというなら、対応者がもう一人いてもいいと思うわ。
アルヒ・ラスカスだ。今回はよろしく頼む。 受付についてだが、無理に丁寧な口調にしなくても大丈夫だぞ。 そのあたりは理解のある(?)職場のようだ。 >パヴェル・A・サムルガチェフ 質問1 「くれぇむ」ってのは各例分かれて対応為た方がいいのかい? 回答1: 最終的に解決できるなら各例に分かれてくれてもいいし、共同で対処してくれても問題ない。 相手がしつこく食い下がるようなら、ハリセンや金ダライを使った『物理的交渉』も認められている。 手に余るようなら、私を呼んでくれても構わないぞ。 質問2: *クレームの提案(?) 身勝手な冒険者がおおい、ってぇなるとさ。 依頼の後の後始末を誰がやるのか? 回答2: これについては、担当する職員の数が足りているから、依頼で参加したみんながあえて対応する必要は特にないと考えてくれていい。 ただ対応できそうなら、支部の職員達は歓迎してくれるようだ。
No.8
スールだ。よろしく頼むわ。 ギルドの職員ってのは、すげぇ奴らだよな 座ってショルイだのなんだのに色々……よく分かんねぇけど、書いたりすんのも仕事なんだろ? そんな強ぇ奴らが困ってんなら当然、助けてやらねぇとな 俺の故郷じゃ揉め事があったときは、相手をぶちのめした方が正しいって感じだったぜ まあ、ここ都会だからよ……そういうのがナシなのはわかってっけど。 強いから偉い、みてぇなこと言ってるやつはぶん殴ってやった方が早いんじゃねぇか?
成立したわね。流れなくて良かったわ。 私は受付業務と、クレームは…4は希望者がいるから、 1から3で選んでおくわ。 >ぶん殴ってやった方が早い ゲンコツくらいならともかく、ほどほどにね。 仕事自体はちゃんとするなら、まあ個性のうちでしょうから。 私たちにも、色んな人がいるしねえ。
う。俺が音頭を取って良い物か、ちょっとわかんねぇが。 どの「くれぇむ」に対応したいか指した上で 協力作業が必要なら声を掛けるって流れかねぇ。 はは、もし必要だったら参考にしてくれよなぁ。 >シンディの嬢ちゃん 了解。それじゃ、そこんとこはお前さんに任せるとして もう一例あったらそっちに向かうぜ。 >スーの旦那 おっ、なかなかに泊の付いた奴が。 俺もやりがいがあるってもんさ。宜しくな。 *ぶん殴って 互いに力を示す。確かにシンプルだな。 お前さんが理解のある旦那で助かる。 強いから偉い。って事をわからすなら。 俺とスーの旦那が一緒に取っ組み合いして、反面教師に学ばせる ってぇ手もあるな。 >アルヒの嬢ちゃん 質問答えてくれてありがとうな。 ある程度自由に混ざって良いってことだな。了解した。 はりせん、解るんだが、金のタライ……ううむ。 物理的交渉が必要になったら頼るか、ね。
>ロゼットの嬢ちゃん ん。受付の対応だな。 必要なら俺らに引き継いで貰うから、そんな感じで頼む。
123いずれもシステムがわかってない駆け出しのやらかしにみえるのだ。 話せばわかるものならそれでよし。つっかかってくるなら口撃から始めていいと思うのだ。 まあ3なぞそれなりに場数踏んでる者が言い出そうなら恥ずかしいものだと思うのだ。 例にないものだと初心者からのご相談や依頼人からのクレームとかありそうなのだ。 話しや資料だけですむものに対応するのだ。荒事は任せるのだ。
No.13
>取っ組み合って反面教師 おう、いいぜ! ハンメン……なんとかってのは知らねぇ言葉だが あんたでけぇし強そうだしよ、楽しくなりそうじゃねぇか じゃあ俺は、1とか2と……3もか?そういうのやつの相手をして 暴れるやつがいたらとっ捕まえたりすりゃいいわけだな? ん-ー、で。あとはパヴェルと取っ組み合う! あとはそうだな……ずっとくれーむの相手って訳でもねぇだろうし 職員が少ねぇだので重い荷物がそのままになってるとか そういうのがあれば手伝うのもありかもな。