幻狐の隠れ里

小緑 一滴

コメント 7

シナリオID:1053

オープニング

「ここで冒険者に依頼ができると聞きました。要求したいのはある人物への手紙の受け渡しです」
 カウンターで淡々と用件を伝える男に、ギルドの受付係は慇懃無礼で酷薄な印象を受けた。
 銀縁眼鏡の奥で静かに瞬く、こちらをまるで人とも思っていないような男の目が原因かもしれない。

 男は画商だ。学術都市ヴェルクリエなどで作家から直接絵を買って、エラトゥーン都市同盟にある自分のギャラリーに展示し、富裕層がそれを買う。
 男が手紙を渡したいのはかつて売れない無名の画家だったセルジオという人物だ。
 セルジオの作品は長い間見向きもされなかったが、最近になってようやく評価されはじめた。無地のカンバスより無価値とされていた彼の作品に、高額がつく。
「私は彼と商売の話がしたいのですが、問題がありまして」
 セルジオは数年前に行方不明になっているのだという。

「手掛かりはあります」
 失踪前にセルジオが残した日記の最後のページには、辺境都市群にある小さな山へ向かうと書かれていた。
 その山は奇妙な魔獣が現れることで知られている。
 狐の姿をした魔獣は巧みな幻術を扱い、人間を惑わして山奥の隠れ里へと連れて行き召使いにしてしまう。術にかけられた人間はしばらくの間、狐達の毛づくろい係や食事係としてこき使われるが、数時間か長くても数日で無事に帰される。
 だが人の世に戻りたくないと願う者は、そのままずっと隠れ里に留め置かれて魔獣の狐達と暮らしていく。

「文字も読めない冒険者も多いと聞きます。そんな輩に大切な手紙を託すのは不本意な選択ですが、こうして私が人物と場所を教えたのですから届け物くらいはできるでしょう。ああ。不正がないとも限りませんか。依頼を請けた冒険者は、証拠としてセルジオのサインを必ずもらっておくように」
 嫌な野郎だという印象は確固たるものとなった。まあそれでも依頼人は依頼人だ。受付係は普段通りの態度を崩さぬよう意識して、依頼人に確認をとる。
「依頼は、その人物へ手紙を渡すところまでですね?」
「私はそのように申し上げましたが?」
 無能のせいで同じことを二度も言わねばならないのか。そんな心情が透けて見える返事に、受付係の臓腑(はらわた)はぐつぐつ煮えくり返った。
 こんな調子で手紙も書かれているのだとしたら、セルジオも隠れ里から戻ってこようとは思わないだろう。

解説

目的  セルジオへ手紙を渡し、受取のサインをもらう(依頼内容)  セルジオと関わる(任意)  幻狐と関わる(任意) 手紙  セルジオの絵が評価されていることと、手を組んで一儲けしないかという誘いが書かれている  丁寧ではあるが、どこか人を見下すような文章  手紙を読んだだけではセルジオは依頼人の要求に応えず、隠れ里に留まる セルジオ  ヒューマンの中年男性  売れない画家として生きてきたが、妖狐の隠れ里の召使いとして第二の人生を送っている  隠れ里の暮らしに大きな不満はない  絵を描くことは今でも好きだが、本格的な画材が手に入らずその点は少し物足りない 幻狐  狐の姿をした魔獣。複数存在。額には、黒や白の毛で紋章のような印がある  幻術をかけた人間を隠れ里に連れてきて自分達の世話をさせる  しゃべらないが、人間の言葉や意図を理解しているような反応を示す  幻狐から冒険者達に攻撃を仕掛けることはない  セルジオのことは気に入っているが、彼が里を去る選択をしても無理に引き留めはしない 隠れ里  自力での発見は困難だが、あえて魔獣の幻術にかかることで簡単に行くことができる  美味しそうな食料や興味を引くオモチャなどを持っていると、特に幻狐を引き寄せる  術にかけられても授恵者であれば一時的にぼんやりする程度で、里についてからは自由に行動できるだろう  それでも視覚には若干幻術の影響は残り、山奥に豪華な洋館があるように錯覚させられる  セルジオ以外に召使いにされている人間は現在いない

マスターより

小緑 一滴です。 依頼内容はシンプルで、任意目的を各自で楽しむようなシナリオです。 セルジオがまた画家として生きるよう説いたり、逆に世捨て人となったセルジオの気持ちに同調してみたり、幻狐と戯れてみたり、依頼達成後は好きにお過ごしください。

リプレイ

 幻狐の隠れ里があるという山を進みながら、レラ・シュマリが疑問を口にする。
「冒険者として依頼を請けるのは今回が初めてなのですが、依頼者にはあのような方が多いのですか?」
 レラの初仕事の依頼者は横柄な印象の男だった。
 前方を歩いていたフリーダ=ブロムヴィストが振り返った。レラとは同年代だが冒険者としては先輩だ。
「高圧的な依頼人でしたね。あそこまで露骨に嫌な人物は少ないですよ。安心してください」
 シルヴィア・A・カペルが軽やかな足取りで歩みを寄せて、レラの隣につく。
「商人にとって利益が重要な点は理解するけれど、あの画商の男の態度はいただけないね」
 画家とその作品を金儲けの道具としか見ておらず最低限の礼節さえ欠いている。
「『ベンチャー企業で一山当てた成金みたいだなお前な』と啓示の神もお怒りのようです」
 真面目な顔でしれっと妙な発言をするフリーダ。
 三人の少し後ろの山道をストレガ・L・リベルガストラと大福が進む。
 ストレガの荷物から果物の香りがふわりと漂う。甘く熟したプラムと爽やかなマスカットを幻狐への手土産にと持ってきた。
 風呂敷包みを背負った大福が転ばぬようにと狼の粽が先導する。包みの中身は重箱入りの稲荷寿司。
「おいなりさんも果物も、きっとお狐様は喜んでくれるのだ」
「うむ。鉄板の選択なのだ」
 お狐様という言葉にわずかな引っかかりを覚えつつストレガが頷く。
「少し休憩しようか。私も狐が好みそうな食材を持ってきたんだよ」
 皆で足を止めて、シルヴィアが持参した油揚げを生活魔法の火で香ばしく焼いて……。

 ――そこで記憶は途切れた。

●
 気づけば全員で見知らぬ広場にいた。噴水のある広場を囲んで立ち並ぶ豪華な洋館。道が伸びてはいるが不自然な霞に覆われて行先がまったく見えない。
「あの赤いアーチは神様の鳥居……じゃなさそうなのだ。粽~、お社はどこなのだ?」
 赤い蔓バラのアーチを見て大福が首を傾げる。シャルガネの神域でよく見られる鳥居と見間違えたが違うようだ。
 山奥に作られた富豪の秘密の別荘地。そんな雰囲気の佇まいだが、ここの主は人ならざる者。
 屋敷の窓から。茂みの中から。花壇の角から。魔獣達の視線が一同を捉える。
 どんな過酷な労働を与えてやろうかと邪悪な顔で狐が笑む。満足するまでずっと背中を掻いてもらおうか、それとも快適な寝床でも作ってもらおうか。
 だがその悪逆の奸計は授恵者には通用しない。幻術の効果はすでに切れている。
「ご招待に感謝するのだ。私達は小間使いではないが、敵でもないのだ」
 幻狐が警戒を深めるよりも先に、ストレガが速やかに友好の挨拶を述べる。ゆっくりとした動作で手土産の果物を丁寧に差し出す。
「お狐様。お供えのおいなりさんをどうぞなのだ」
 大福もまた小さな手をぽふんと合わせて祈りを捧げる。幻狐の姿形や能力が、シャルガネの神の使いである狐と重なって見えている。
(魔獣へ友好を示す方法。こういうやり方もあるのですね)
 二人の対応をレラはつぶさに観察する。魔獣を斬り伏せるばかりが冒険者の仕事ではない。無用な争いを回避した方が上手くいく場合もある。
 礼儀正しい振る舞いに応えて、幻狐達が静かに近づいてきた。
「やあ。私達は用があってここに来たんだ」
 シルヴィアが狐の背にそっと触れる。ふわりと柔らかな手触りは野生動物の毛皮とは到底思えない。
(誰かが丹念にブラッシングをした毛並みだね)
 指先から幻狐の感情が伝わってきた。警戒というほどではないが軽い疑問を抱いているようだ。何が目的かと冒険者達を探ろうとしている。
「セルジオという者を探しているのだ。セルジオ殿はいずこに?」
 ストレガの問いかけに幻狐達は顔を見合わせると、一軒の屋敷に向けて呼び声に似た鳴き声を上げた。

「おや? 新しい召使い仲間ではなさそうだが」
 幻狐に呼びつけられ一人の男がいそいそとやってきた。彼がセルジオに間違いない。
「セルジオ様ですね。実は『カクカ=シカズィカというわけ』なのです」
「ギルドで依頼を請けた冒険者なのだ。依頼人からセルジオ殿に届け物なのだ」
 レラがバックパックから手紙を取り出し、セルジオへと差し出す。
「はい。こちらがその手紙です。受け取りの印にサインをお願い致します」
 依頼は成し遂げる。それが駆け出し冒険者レラのプライド。
「書くのにこれどうぞなのだ」
 紙と画材。絵の道具として持ってきたがサインをもらうのにも役立った。
「ありがとう。色とりどりだ」
 すんだ青空の色でセルジオの名前が記される。
「手紙の配達お疲れ様。辺鄙な場所で大変だったろう」
 お礼を言われても素直に喜べない。大福の可愛らしい耳も粽の凛とした耳も、今はどちらもしゅんと下がっていた。
「……その手紙を書いた人、意地悪さんかもしれないのだ」
「返信は自由なのだ。読まないという選択肢もあるのだ」
 ストレガはばっさり言い放つ。いっそ突き返してくれても一向に構わないくらいの心持ちである。
 一応手紙の内容を確認したセルジオだが、読み終えると同時に紙飛行機にして幻狐のオモチャにしてしまった。
「大福が言ったように差出人は性格に難ありの画商でね。気分を害してしまったかな」
 申し訳なそうに苦笑するシルヴィア。
「皆さんは気にしなくて大丈夫。それより山道で疲れていないかい? 少しゆっくりしてから帰ってはいかがかな」
 無事にサインも受け取り、これにて依頼は完了。冒険者達は帰るまでの間、のんびり過ごそうと決めた。魔獣の隠れ里でくつろぐ機会など冒険者であってもそう多くはないはずだ。

●
 セルジオが茂りすぎた緑にハサミを入れる。あの花壇の日陰は快適な昼寝場所になりそうだ、とでも思っているのかレラの狼と粽がしげしげと作業を見つめる。
「この場所はどのようにして知ったのです?」
 のどかなハサミの音に聞き入りながらフリーダが尋ねる。
「この山に人を惑わす魔獣が出るって話は、そこそこ有名な噂だったんだ」
 噂をあてに自暴自棄になって山に入ったところ、幻狐の隠れ里での暮らしにすっかり馴染んだという次第だ。
「ここでの暮らしが性に合っているようですね」
 齢十六のエルフのレラでも人の世で生きる煩わしさを実感している。己の欲のために他人を犠牲にするような輩がいるということも知っている。
 会話の間も整えられていくバラとハーブの花壇。花と緑と土の香りが漂う。優しい香りにレラの心もふっと和んだ。
「綺麗な場所だね。どこまでが幻術でどこからが本物なのかわからなくなるほどに」
 咲き誇るバラをシルヴィアが愛でる。上質の布にも似たバラの花弁のなめらかな手触りは、きっと現実のものだろう。さらりと流れる白い髪に小さな青い蝶がふわりと止まる。束の間の髪飾りだ。そんなシルヴィアの姿はそれだけで一枚の絵画のようで。
「ここなら絵の題材も豊富そうですね。隠れ里ではどんな絵を描いているのですか?」
 一定のリズムで動いていたハサミの音が鈍る。フリーダの何気ない質問に、紙の片隅に落書き程度しか描けていない、と少し寂しそうな答えが返ってきた。油絵具やキャンバスといった使い慣れた道具はここでは手に入りにくいようだ。
「じゃーんなのだ!」
 励ますような明るい声で大福が一枚の絵を取り出す。ダイナミックな風景画だ。片隅には肉球のスタンプ。筆遣いの精度こそ粗いが、子供ならではの真剣な観察と描写が活きた絵だ。
「大好きな倭桜ノ街の風景を描いてみたのだ。お絵かき道具はあるから、セルジオもなんか描いてみるのだ~」
「面白そうだ。それじゃ少し休憩して……」
 庭仕事を切り上げて創作活動に取り組んだ。

 セルジオが絵に集中する間、各自思い思いの一時を楽しむ。
 研究熱心なストレガは隠れ里でも知識の追求に余念がない。食の探求の副産物として魔獣にも関心を寄せている。なお、逆ではない。
「幻狐に攫われた者達の安否について確証が得られたのは収穫だったのだ」
 非敵対的かつ意思疎通が可能な魔獣。充分な調査がなされないまま何かの誤解で討伐対象に、とでもなったら目も当てられない悲劇の愚行だ。
「攫われた住人の無事を強調して、この一帯を保護できないか交渉してみるのだ」
 知を求めるだけでなく、知を守り残し広めることにも意義を見出しているストレガだ。彼女がもたらす正確な知識という小さな灯は、ロスガリアに生きる人々がより良い選択をしていく手助けとなるだろう。

 もふもふの一団が重箱を取り囲む。犬、狼、狐とメジャーなイヌ科がそろい踏み。
「どうぞ召し上がれ~なのだ」
 葉っぱの皿に稲荷寿司を盛り付ける。幻狐達は興味津々といった様子で匂いを嗅ぐと、ぱくりと頬張った。舌をぺろりと出して満足そうな鳴き声をあげる。
「油揚げでこういう料理も作れるんだね」
 見守るシルヴィアが微笑みかける。不思議な幻狐にはシャルガネ風の食べ物がよく似合っている気がした。
「おっ母のおいなりさん、大福も好きなのだ~。食べるとほんわか幸せな気分なのだ」
「美味しそうだね。私からはこちらを」
 優雅な香りがふわりと漂った。さっくりと焼き上げられたスコーンにローズジャムを添えて。
「カペル領のお菓子だよ。味は私が保証しよう」
「わー! おしゃれでステキなオヤツなのだ!」
「ふふふ。いっぱいあるからね。大福も食べると良いよ」
 大福や幻狐達の目がキラキラ輝く。粽だけは、お菓子ではなく大福の笑顔に優しい眼差しを注いでいた。
 そうこうして満腹になり寝転がった幻狐の毛並みの手入れ。お世話セットでブラッシングをしながら大福が話しかける。
「お狐様はこの山の守り神様なのだ?」
 幻狐はくわんとあくび。結果的にそうなっている一面もあるものの、そこまで立派な志を持っているわけでもない。
「大福、シャルガネの倭桜ノ街ってところに住んでるのだ。これからも時々お山に来てお狐様のお手入れをしたいのだ」
 幻狐は気持ち良さそうに目を閉じて穏やかな一鳴き。訪問を歓迎する、といった意味だろう。
 近くでは別の幻狐をシルヴィアが撫でている。
「君達と友達になりたいな。可愛らしいし癒される」
 普段は飄々と振舞って冒険者生活と学園生活を華やかに謳歌するシルヴィアだが、ふと疲れる時もある。
「私は人の世を楽しんでいるけど、たまに休みたい時もあるからね」
 疲れた時はゆるりと休むに限る。そんな思いが伝わってくるような声で幻狐が小さく鳴いた。

「ここの住み心地はどうです?」
 レラはしゃがみこんで幻狐に尋ねる。隠れ里で暮らす魔獣に興味があった。
「ふふ。もふもふで綺麗な毛並みを見れば、快適な生活を送っているのは一目瞭然ですね。少し触れてもよろしいでしょうか?」
 一言断って反応を伺ってからふわりとした体に手を伸ばす。レラは幻狐にも礼儀正しい。幻狐は穏やかに目を細め、エルフの少女に身を任せている。人懐っこいを通り越し、ちょっとふてぶてしいほど堂々とした有様だ。
 そんな態度に、くすりと控えめな笑みがこぼれる。
「それもそうですね。隠れ里の主は貴方達なのですから」
 この魔獣と敵対せずに済んで良かった。安堵のため息をつく。

「ふむふむ。過去にはセルジオ様以外の召使いもいたのですか」
 フリーダは魔獣相手に話し込む。幻狐は言葉を理解しているような反応を示すのに加え、感情のやり取りができる動物交感の力も役に立った。
 隠れ里に入った者は長くても数日ほどの労働で帰されるのがほとんどだが、セルジオのように長く留まる者も稀にいたという。それでも隠れ里で一生を終えた者はいない。幻術で連れてこられた他の下僕と意気投合して里から去っていった。
 という情報になんとかたどり着く。幻狐は直接しゃべれるわけではないので、会話の成立はフリーダの努力と根気の賜物だ。
(セルジオ様は隠れ里に骨を埋めるつもりなのでしょうか……)
 絵を描くセルジオの様子をちらりと伺う。
「決断するのはセルジオ様ご自身ですよ」
 聞こえるか聞こえないかの小さな声でつぶやいた。

 完成した絵に真っ先に反応したのは大福だ。柔らかなタッチの水彩で描かれているのは赤いバラのアーチの周りでくつろぐ幻狐の姿。輪郭はぼんやりとして光と空気を絵に移したような画風だ。
「大福、セルジオの絵、好きなのだ! 大福の絵と交換こするのだ! お願いなのだ~」
「喜んで。私も君の絵が好きだよ」
 交換した絵を互いに大事に抱える。
「その絵に描いた倭桜ノ街はとっても良い所なのだ。春は桜が満開で、綺麗で優しい人達ばかりなのだ」
 ニコニコ顔にかすかな切なさがにじむ。
「いつか里から出たいって思えたら見て欲しいのだ」
 レラが一歩前に出る。
「私達は依頼を終えて帰還します。セルジオさんはこちらの里に残るおつもりですか?」
 特に意見は押し付けず、あくまでも相手の意志の確認に留める。
 里での暮らしに不便はないかとストレガが気遣う。
「もし変化を望むなら、私達が相談に乗れるのだ」
 この隠れ里では画材の確保は難しい。それがセルジオの悩みだ。
「なるほど。その問題はセルジオ殿が町への使いを務めることで解決できそうなのだ」
 隠れ里を拠点に町へ繰り出すセルジオを想像し、シルヴィアは満足そうに頷く。
「実に面白い生活になると思うよ。町なら画材も買えるし、美味しい食料や興味を引く玩具も手に入る」
 セルジオの絵が評価されている今、絵を売ってお金を得る計画も夢物語ではない。もっとも嫌味な画商の誘いを断るなら、セルジオの絵を売る方法も新たに考えていかねばならないが。
 その点の協力者もいた。
「大福、ちょっと考えたのだ」
 母と兄が営む万屋「やおよろず亭」にセルジオの作品を置けないだろうかと。
「旅行の人も多いし、街の人達も芸術が好きなのだ。だからきっと上手くいくのだ!」
 幻狐の下僕を続けつつ人の社会とも接点を持つ。そういう選択肢もあることを冒険者達は提示した。
「大切なのはセルジオの気持ちだよ。どうか後悔の無いように」
 冒険者達の知恵と思い遣りに助けられ、セルジオは自分の答えを導き出す。
「隠れ里で暮らしながら絵を描いて暮らせたら、私にとってこれ以上ない幸せだよ」
「新しい生活を楽しんでください。啓示でも『これでハッピ=エンドゥ』と出ております」
「うむ。隠れ里の保全などは任せておくのだ」
「良かったのだ~! 『やおよろず亭』もセルジオを全力で応援するのだ!」
「これからの生活が楽しみですね」

 麓まで送るので目を閉じるようにと幻狐が合図する。不思議な風が頬を撫でたかと思うと山道の入り口にいた。町の様子を見に行くセルジオも一緒だ。
「皆さん、素晴らしい提案をありがとう」
 その顔は、一度は人の世を捨てた者とは思えないほど晴れやかだった。

マスターコメント

冒険者の皆様、お手紙配達の依頼お疲れさまでした! 隠れ里での自由時間もお楽しみいただけたでしょうか。 セルジオの画風は印象派のようなイメージです。 * 道具につきましては、職人通りで販売されている干し肉やぬいぐるみなどの利用を想定していましたが、解説で食料やオモチャに触れたことでプレイングの記載で用意できるとの印象をPLの皆様に与えてしまった。と判断致しました。 公平性を維持しながら楽しんでいただくため、このシナリオでは以下の対応を行いました。 ・出発前に街や自宅で用意できる道具は描写 ・非所持の道具が描写されていても、シナリオ判定とMVP選出に影響を与えない
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人

2021年07月03日 06時58分40秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シルヴィア・A・カペル

    シルヴィアだ。今回はよろしくね。 まだ成立はしていないけど参加者を待とう。 幻狐と戯れてみたい……という気持ちが第一だったりするけど← 画商の男にセルジオを利用されたくないな、と思っている。セルジオの絵が評価されていて、かつセルジオ自身が絵を手放しても良いと思っているなら……彼が絵を売って、そのお金で画材と幻狐達のための「美味しそうな食料や興味を引くオモチャ」を買って隠れ里に戻る生活も有りなんじゃないかな。人の世界と幻狐の世界を行き来する形になる。その方向で話してみるつもりだ。 依頼内容の「セルジオへ手紙を渡し、受取のサインをもらう」もちゃんとやるよ。

  2. フリーダ=ブロムヴィスト

    ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 最低限クリアするべき目的は手紙を渡してサインを貰う事ですが、 セルジオ様に対する対応をどうするかは悩み所ですね。 仮に開放されたとしてセルジオ様が幸せになるかと言われると厳しいでしょうが、 かと言ってずっと幻狐達の里に留め置き続けるのもまた問題がある気がします。 シルヴィア様の言う様な一挙両得の方法を試してみるのも良いかもしれませんが…

  3. 大福

    遅くなってごめんなさいなのだ!大福と粽なのだ よろしくお願いします、なのだ~! 大福も実はお狐様(稲荷神と勘違いしている)とお話ししてみたいのだ! シャルガネからお稲荷さん(稲荷寿司)を作っていくのだ セルジオとは絵の見せっこしたいのだ~! まだ絵を描くのが好きだったら一杯お話ししてくれるかもしれないのだ~✿ 描きたい物や風景が里の外に沢山あるなら、隠れ里から出ようって思ってくれるかもしれないのだ 大福のお絵かき道具持って行けるかなぁ…なのだ シルヴィアの案も良いと思うのだ お狐様とセルジオがとっても仲良しさんになってたら これからも時々会える方が嬉しいのだ

  4. シルヴィア・A・カペル

    フリーダも大福もよろしくね。 幻狐には油揚げと米のお酒を持って行くつもりだ。東方ではお狐様に供えると聞いたことがある。大福が持って行く「お稲荷さん」も、お供え物として名前を聞いたことがあるよ。どんな料理か楽しみにしているね。絵を描く道具も持って行けると思う。そんなに高い道具でなければ……幻狐達が遊び道具として興味を示すかもしれないし。 何がセルジオの幸せかは悩ましい所だ……フリーダも言ってくれているけど、ずっと幻狐の隠れ里にいるのが良いことなのかもわからないし、ね。最終的な判断は彼に委ねるよ。 個人的には、幻狐の里がセルジオにとっての隠れ家になるならそれも良いかなって。幻狐達と友達になりたいし、幻狐の里にはまた遊びに来たいな。

  5. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。よろしくなのだ。 セルジオが今の暮らしが気に入ってるならそれでいいと思うのだ。 幻狐にはセルジオを看板にたまにお使いに行かせてやってほしいとでも。交流ができるならそうしたほうがいいと思うのだ。 人語を理解し敵対的ではない魔獣は環境保全・保護が順当なのだ。

  6. シルヴィア・A・カペル

    ストレガもよろしく頼むよ。 そうだね、幻狐は敵対的ではないし、これからも交流できるならしていきたい。セルジオが隠れ里と人間の街を行き来する方向で説得してみよう。

  7. レラ・シュマリ

    時間ぎりぎりとなりますがシューターのレラ・シュマリと申します。初めての依頼となりますがよろしくお願いします。皆さんの邪魔にならない様に動きます。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0