【黒雨】母に捧げる一献
北織 翼
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シナリオID:1009
オープニング
白い鳥が飛んでいる。海から山へ……エラトゥーン都市同盟の内陸側へと飛んでいく白い鳥の姿に、ああ、また夢を見ているのだと、預言の魔女オペラは悟る。
異変は、フェアドゥキア平野の一角で起こっていた。
――ザァァァァァァ……。
雨が降る。しかし若葉に落ちる雫の色は黒く、異変が起こっている事は一目瞭然だった。
バシャ、バシャ、バシャ。
水飛沫を上げて進むのは、異形の怪物クリーパー。クリーパーの周囲だけ局地的に降っている、その黒い雨を浴びた木はやがて枯れてゆく。
クリーパーの進む先にあった畑の芽は次々と萎れ、雑草までも黒く染まって枯れてしまう。その範囲はクリーパーの進行と共に広がるばかりだ。
「畑が……!」
「な、なんだアレは!?」
クリーパーの降らせる黒い雨を見た農民達が騒ぎ出す。すると雨は農民達にも降り注ぎ……。
「ぺぺっ、なんだこのあ……っ!?」
「ぎゃああっ!?」
――しばらくして、辺りは静けさを取り戻す。黒く枯れた作物の山、黒い雨に濡れた建物の残骸。そして……びしょ濡れになって力尽きて倒れた人々の屍の上に、雨は、降り注ぐ――。
「農作地が広がるフェアドゥキア平野に、周囲を無差別に襲撃するクリーパーが現れるのじゃ」
踊る子熊亭に集まった冒険者達に、オペラは予知夢の内容について語った。
「クリーパーは『黒い雨』で周囲を攻撃しながら移動するのじゃ。これが複数バラバラな方角へ移動し、広範囲に被害を振りまこうとしておるのじゃ」
頭の痛い話じゃ、とオペラは溜息をつく。
人々への被害は勿論、畑にまで被害を及ぼすというのが厄介だ。春野菜の収穫は終わった畑がほとんどだろうが、夏野菜の収穫はこれから、秋野菜はまだまだ育ち始めたばかりだろう。オペラの予知夢が現実になれば、今後の食生活にだって影響を及ぼすかもしれない。
「クリーパーの数を考えると、冒険者の方も人手が欲しいのじゃ……どうか皆で手分けをして、此度のクリーパーに対処して欲しいのじゃ」
皆の未来のためによろしく頼むのじゃ、と、オペラは頭を下げた。
●諦めきれない一献
フェアドゥキア平野の一角に、ファーツという街がある。
街と言っても、華やかな大通りがあるわけでも、賑やかな市が立ち並ぶわけでもない。どちらかというと長閑な農村といった景観の街だ。
この街もまた、例外なく黒い雨を浴びることとなる。
オペラの予知が功を奏して住民は皆避難を済ませたのだが……。
「……やっぱり、諦められない!」
街の外れにある小さな葡萄園とワイナリーの娘・ヴェラが臨時避難所となった宿屋を飛び出した。
流行り病で母と弟妹を亡くし、父と二人三脚で葡萄畑を守り早三年、昨秋に仕込んだワインはこれまでで最高の出来だ。
間もなく母の命日、ヴェラは母の墓前に仕上がったワインを供えると誓っていた。
だというのに、おぞましい黒い雨は建物を腐らせ植物を枯らし、挙げ句人の命まで奪うという。
取るものもとりあえず父と逃げてきたヴェラだったが、黒い雨に打たれる畑とワイナリーを想像すると胸を抉られる思いだった。
父とともに涙の代わりに汗を流し、歯を食いしばって悲しみに耐え、ようやく母に捧げるに値するワインが出来たのに。そのワインを作るために、雨の日も風の日も葡萄の木を世話してきたのに。
ワイナリーが朽ちるだけではなく葡萄の木まで枯れてしまうというのだ、このままでは今年以降のワインは期待出来ない。
二度と、母の安らかな眠りに添えるワインは作れないかもしれない。
せめて、せめてボトル一本だけ……それだけでもワイナリーから取ってこよう。それだけ手に入れたら、すぐに戻ってこよう。
避難所を飛び出した時のヴェラは、自分がボトルを抱えて無事に戻ってくることを当たり前のこととして想像していた。
しかし……。
現実はそう甘くはなかった。
ボトルを手にし、ワイナリーを一歩出たヴェラの頬に黒い雫が落ちる。
脱力し、あわやボトルを落としそうになりながら、ヴェラは慌てて建物の中に戻った。
だが、建物のあちこちから、ミシミシ、ミシミシ……と壁や柱の崩れ始める音がする。
黒い雨を浴びたワイナリーの建物が腐敗し始めているのだ。
「ど、どうしよう……」
ヴェラはぎゅっとボトルを抱きしめながら、途方に暮れて蹲るしかなかった。
●命懸けの青年
一方、避難所である宿屋ではフェリクスという青年が立ち上がっていた。
ヴェラがいつまでも戻らないことを心配したフェリクスは、宿屋の主人から近隣宿場の管理人を通じて冒険者の助けを呼ぶと、自身も武装して仲間たち数人とともに避難所を出る。
ファーツの有力者で、住民に「頭」と呼ばれている老人がフェリクスに声を掛けた。
「すまんのう、フェリクス。ヴェラにもしものことがあっては、父親は独りになってしまう。頼んだぞ」
「はいよ、任せといて下さい」
フェリクスは頭を安心させるように微笑んでそう返すものの、本心は危機感で一杯だ。
(この中で授恵者は俺ひとり……冒険者が来てくれないと、恐らく俺の命運も尽きるだろうな……)
フェリクスは現場に冒険者が駆けつけてくれることを心底願いながらヴェラ救出に向かった。
解説
マスターより
リプレイ
「あれが黒い雨を降らせるクリーパーか……」
マントの際から覗くゴブリアの漆黒の瞳は、不気味な風貌のクリーパーに向けられている。
(他所でも同様のものが発生していると聞くが……一連のクリーパーに何か関連はあるのか? ともかく、早急に片を付けなければならないな)
ゴブリアは五感を総動員し周囲に気を配った。
(ここがヴェラさんとお母さんの思い出のブドウ畑ですね……)
「美味しい葡萄の危機! ぶどうジュースの危機です!」
ゴブリアから少し離れた位置でフェリクスら私設兵団のメンバーと合流したエルナ・クルプファルツは、葡萄畑を見つめてぎゅっと拳を握りながら声を上げた。
傍に立つコンフリーは
「命を蝕む雨ですか……全く、厄介な力を持っていますね」
と仮面の下で人知れず眉間の皺を深める。
(被害拡大の阻止と救助の双方を考えると、やはり出来るだけ早く倒してしまいたいですね)
如何に迅速に片付けようかと思案するコンフリーの横では、エフィルミアが雨の中蠢くクリーパーを睨んで
「酷い! 許せない!」
と怒る。
ようやく堂々と酒を嗜める年になったというのに、ワインなるものを心底楽しみにしていたというのに、それを蹂躙するとは何たる鬼畜の所業かと。
「大切なブドウ畑……絶対に護りましょう! さあ皆さん、戦いますよ! もちろん――」
エルナはフェリクスの方を向き、
「――ヴェラさんも無事に救出、です!」
と力強く宣言した。
「そうだな、これ以上被害を広げないようにするぞ……!」
イズル・M・ヴォルゴールもエルナの気合に頷いて呼応する。
ヴェラの家と同じく生家が果樹農業と果実酒醸造を主な生業とするイズルにとって、この状況は他人事には思えないのだろう。
イズルはエフィルミアとヘレン・ワーグナーの元に駆け寄り、二人の攻撃が更に力を増すようにと順番に淡い光を纏わせた。
●
ゴブリアはクリーパーとワイナリーそして味方の位置関係を俯瞰状態で具に把握すると、身を低くして移動する。
研ぎ澄まされた聴覚は微かにワイナリー内ですすり泣くような声を捉えた。
ゴブリアはそれをヴェラのものと察し、フェリクスとともにいるキオルティスの元へと急ぐ。
「ヴェラのものと思しき泣き声が建物の中から聞こえる。彼女はまだ無事のようだ」
「そうか……ひとまず良かった」
ゴブリアの報告を受けたフェリクスは安堵した表情を見せたが、キオルティスは悩ましげに首を横に振った。
「でも、泣いちゃってるのか……これは尚更可愛いレディを放っておくワケにはいかないね」
キオルティスは遥か前方のワイナリーに視線を一点集中し、つま先でトントンと地面を突いた。
「ワイナリーまでひとっ走りして、ヴェラさんを助け出そう。フェリクスさん、キミのお仲間にはここに残ってもらって、救出したヴェラさんを託すのはどうだい?」
視線をワイナリーに向けたまま作戦を口にしたキオルティスに、フェリクスも二つ返事で応じる。
「ああ、賛成だ」
ヴェラ救出の算段が付いたところで、ゴブリアはここまでに把握した状況を元に敵の攻撃である「雨」の効力範囲を見極める。
雨はクリーパーを中心に広範に降り注いではいるものの、葡萄畑全体を覆う程ではなく、ワイナリーから離れた高傾斜の地点はまだ然程濡れていない。
(このまま比較的傾斜の緩やかな場所に敵を止め、こちらが戦いやすい状況に持っていくべきだな)
ゴブリアはコンフリーとイズルに合図を出した。
それを確認したコンフリーは光の矢を飛ばしながら敵との距離を詰めていく。
コンフリーの移動に合わせてイズルもクリーパーに接近を始め、気怠そうにマントを頭から被ったヘレン・ワーグナーも、
「眠い……のはいつものことかー。だるい雨……」
とぼやきながら同様にクリーパーに近付く。
「どのみち雨に当たらないなんて無理みたいですし、それならやられる前にやりましょう! ぼっこぼこにしてやりますっ!!」
仲間が動き出す中、エフィルミアもそう言うや否や駆け出した。
足の速さには自信がある。
早々に黒い雨が彼女の生命力をこそげ取っていくが、エフィルミアは一気にクリーパーを己の間合いに捉えひゅんっと暗器を振るった。
赤の一閃は光糸に姿を変えてクリーパーに纏わりつき、締め上げる。
「じわじわ生命を削るのは私も得意なんですよ――毒殺エルフを甘くみないでくださいっ!」
エフィルミアは得物にエーテルの刃を纏わせ、動きを制限された状態の敵に無慈悲に切り付け一旦距離を取った。
エルナの方は優れた視力で眼前の状況を掴み、遠くの音でも聞き取る耳で周囲の音をしっかりと認識しながらマントを被りケトルを手に駆け出していた。
雨がぽつぽつと頭に当たる感覚を覚えたエルナはその辺りでケトルを置くと、可能な限り雨を避けることに意識を集中させ、クリーパーに最短距離で突っ込む。
(頃合いですね)
クリーパーにエルナが突っ込んだところで、じりじりと距離を詰めていたコンフリーが六角形の柱を出現させ、ゴブリアとエルナそして接近していたヘレンを含めてクリーパーを囲った。
逃げ場を失い、更にエフィルミアの斬撃で体を蝕まれ始めたクリーパーにエルナの光球が苛烈に打ち込まれる。
「ぶどうジュースのためにさっさと倒れちゃって下さい!」
続いてヘレンの斧が大きく振るわれた。
「我が安眠の空を守るため、君には永眠してもらうよー」
上腕と背中の鍛えられたヘレンの筋肉がしなり、重量級の斧が風を切る鈍い音とともに射出された衝撃波が逃げ場を失ったクリーパーの胸元に食い込む。
痛みに身を揺らしたクリーパーを尻目に、結界の外にいるイズルは周囲を確認した。
黒い雨は六角柱状の結界に阻まれ、結界内でしか降り続いていない。
(結界は雨に対しては有効のようだ。ならばこのまま好き勝手に移動させなければ被害を抑えながらの撃破が可能になる)
確信を得たイズルはいつでも結界を展開できるよう身構える。
●
「ヴェラさん、助けに来たよ」
コンフリーが六角柱を出現させた頃、キオルティスはエーテルを巧みに操り、窪みも泥濘みも自身に有利な足場に変えて葡萄畑を瞬時に駆け抜けていた。
フェリクスよりもひと足先にワイナリーに到着したキオルティスは、ドアを開けてすぐ難なくヴェラを発見する。
ヴェラはワインボトルを抱えたまま建物の隅で蹲っていた。
「あ、あなたは?」
ヴェラが恐る恐る問うと、ちょうどそこにフェリクスが追いつく。
「ヴェラ、この人は俺たちからの依頼でギルドから来てくれた冒険者だ」
「そういうこと。さあ、ここは倒壊の危険があるから俺たちと一緒に行こう、レディ」
柔和に微笑みながらヴェラに差し伸べられたキオルティスの手には二枚のマント。
「急いでこれを被って」
マントを二枚重ねてヴェラに半ば強引に被せると、キオルティスはヴェラの手を取り外に出る。
雨が降る中、キオルティスは出来る限り最短の距離を選びどうにか兵団員たちの元へと帰還した。
ヴェラは軽い息切れ程度で特に衰弱の様子は見られない。
「レディのこと、頼んだよ」
キオルティスが兵団員たちにヴェラを託したその時。
コンフリーの結界が雨を受け続けて壊れる。
ゴブリアはすかさずクリーパーの前に立ちはだかり、愛刀を抜いた。
「被害は最小限に抑える」
切っ先をクリーパーに向けて構えるゴブリアの口から零れた一言には、呟きのようでありながら強固な意志を感じさせる不思議さがあった。
光を纏い長大な刃と化した刀は凄まじい気迫を放ちクリーパーの動きを阻み、その間に今度はイズルが六角柱の結界を展開、ゴブリアとヘレン、そしてエフィルミアが結界内で構える。
結界の外ではコンフリーが広範に回復術を展開して結界外にいるエルナたちを癒し、結界内では早速ゴブリアが瞬間的に守りを固めて雨から身を守りながら一気に踏み込み、妖刀で斬り上げた。
クリーパーは衰弱著しくも雨足を強めて抵抗するが、ヘレンが真横に滑り込み、まるで大木を切るかの如く斧を強く打ちつける。
一撃入れる度にぐわんとクリーパーの体が歪み、ヘレンは体勢を崩したクリーパーのベールのようなものの裾を踏みつけて引っ張った。
(……いやぁ、だって絶対怪しいよねー、これ、防具なんじゃないの?)
だが、それは掴んでも全く剥がれず、どうやら完全にクリーパーの体の一部らしい。
ヘレンの攻撃で耳障りな叫び声を上げたクリーパーに、エフィルミアは威力重視の強打を入れる。
すると、敵は耐えきれずとうとうその場に一度ダウンした。
●
やがてイズルの結界も雨を受け続け消滅すると、内部で冒険者たちと戦っていたクリーパーの姿が露わになる。
信じ難いが、クリーパーはダウンから再び立ち上がっていた。
「しぶといですね」
コンフリーの冷ややかな一射。
光の矢は真っ直ぐに敵の胸元を突き、クリーパーは声を上げて仰け反った。
(これ以上粘らせてなるものか)
姿勢の乱れたクリーパーにゴブリアが肉体を脆くしていくエーテルを放つと、
「加勢して一刻も早く終わらせよう……レディのためにもね」
「ああ、そうだな」
とキオルティスとフェリクスが動く。
フェリクスは大剣を抜いて飛び込みクリーパーの下半身に一太刀入れ、直後空を駆けてきたキオルティスがまるで舞うように細剣を走らせた。
クリーパーは苦悶の様相を呈し後退るが、そこに
「私、これでもだいぶしぶといんですよ……ワインの恨みは怖いんですからね!」
とエフィルミアが不意打ちに近い刺突を繰り出したために体勢を崩す。
「皆さん、このまま攻撃の手を緩めず行きましょう!」
エフィルミアが声を張り上げるとほぼ同時に、コンフリーが走ってクリーパーの斜め後方に回り込み、軸足を深く踏み込んで強烈な一閃を打ち込んだ。
眩い光と装飾が相まったそれはさながら雨後の煌めき。
すると、度重なる攻撃とゴブリアのエーテルで肉体の崩壊を感じ取ったクリーパーはいよいよ逃走を図った。
だが、冒険者たちはそれを許さない。
イズルは仲間たちの消耗に気を配りつつ眩く光るハンマーを構え、強烈な殴打をクリーパーの背後に入れる。
続いてゴブリアが一閃走らせれば、キオルティスが機動力を生かしての剣撃を加え、確実にクリーパーの生命力を削っていった。
更に、雨で衰弱し始めたヘレンがイズルに軽く手を挙げ合図を送り、イズルが飛ばした癒しの力で息を整えた彼女は再び猛然と斧を振るう。
そして、雨に打たれながらの激闘の中エルナが構えた。
「まだ倒れないなら、これはどうですか!」
エルナは光を纏う長杖の先端を可憐にも勇ましく敵に突きつける。
目に見えぬ力が一直線に射出され、直後クリーパーはぐうっと身をくの字に曲げた。
クリーパーは地の底から響くような呻き声を上げると、やがてズルズルと身を沈ませ、冒険者たちの前で黒い靄となって霧散した。
●
クリーパーの息の根を止めた途端、禍々しい黒い雨は止んだ。
不思議なことに、降っていた雨も消えている。
「何か調べられればと思ったのだが……」
「ケトルの中身も空っぽです……」
水袋とケトルをそれぞれ手にしたイズルとエルナは顔を見合わせ苦笑した。
エフィルミアは葡萄畑の土壌に触れ、持てる知識でその状態を調べる。
雨を浴びた範囲は全体的に「栄養失調」の状態にはあるが、今後の手入れ次第で十分回復が見込める状態に思えた。
しかし、幹に葉にと雨を受けた葡萄の木たちのダメージは大きい。
エフィルミアは共感覚を働かせて調べるが、随分と多くの木が根元までやられており、手の施しようがない。
しかし、ワイナリーから離れた高傾斜の畑は雨の被害が少なく、葡萄の木も生きているようだ。
そこに、フェリクスに付き添われながらヴェラが戻ってきた。
コンフリーは心配げにヴェラの様子を診るが、幸いにも然程弱っていない。
「良かった……特に異常はなさそうですね」
コンフリーが安堵したところで、エフィルミアが葡萄畑の奥を指しながらヴェラに声を掛ける。
「ヴェラさん、この辺りの木は厳しいけれど、向こうの木はまだ生きてます! 土が栄養を取り戻せばきっと元気になりますよ!」
「本当に……!?」
エフィルミアの言葉と励ますような笑顔に、ヴェラは泣きそうな顔ながらも笑みを返す。
「ヴェラさん、美味しいワインとぶどうジュース、これからも楽しみにしていますね!」
エルナのエールにヴェラは笑顔で強く頷いた。
「ありがとう! それと……あなたたちのお陰でワイナリーはまだ崩れてないの。今のうちに残ったワインを母屋に運びたいんだけど、手伝ってくれるかしら?」
「もちろんです!」
エルナは満面の笑みでそう返した後、
(お母さんへのワイン……護れて良かったです!)
と改めて感じ入りながらヴェラの腕の中にあるワインボトルを見つめる。
「キミとお父さま、二人の想いが沢山のワイン……きっとお母さまも喜ぶよ」
歩み寄ってきたキオルティスの言葉に、ヴェラは嬉しそうにワインボトルを抱きしめた。
ヴェラの救出が成功し、フェリクスはキオルティスに礼を言う。
「色々と助かったよ、ありがとう」
「力になれて良かったよ。でも、彼女とお父さまの想いを無駄にしないよう、早くこの一連の事件も片付けたいものだね」
「ああ、全くだ」
フェリクスは感慨深げにキオルティスの手を取り、感謝を込めて握る。
そこに、周囲の木々に共感覚を働かせながらイズルも合流した。
確かな命と可能性を感じ取り胸を撫で下ろしながら、イズルもエルナたちと一緒にワインの搬出を手伝う。
「今年のワインは母上に捧げるのか?」
「ええ。でも、これで終わりにはしないわ。来年も父と一緒にワインを作る。出来上がったら、飲んでもらえる?」
「ああ、もちろんだ。来年か……是非飲んでみたいな」
ワインの搬出を終え、ヴェラはギルドに戻る冒険者たちを見送る。
「またいいワインが作れるようになったら、ぜひ雀亭とも取引してくださいねっ。私も最高のワインを飲みたいので!」
「ええ、きっと!」
新緑色の瞳を輝かせるエフィルミアにヴェラは頷いてみせた。
その様子を微笑ましく見ていたヘレンは、去り際にそっとヴェラに近づき声を掛ける。
「あなたもワインも無事で本当に良かった。でも、生きている人のこと……父さんのことも考えてあげなよー。生きてさえいれば、案外なんとでもなるもんだよ?」
その一言に、ヴェラははっとした。
「……うん、そうだよね。ありがとう、大切なことに気付かせてくれて」
「今日も頑張ったなー……」
皆と別れた後、ヘレンは雨が止み晴れ渡る空を見ながら近くの丘に寝転がり満足げに瞼を閉じるのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準7 / 4〜7人
2021年06月24日 00時41分39秒 公開
相談掲示板
エルヴンシューターのエルナです!皆様よろしくお願いしますね! 葡萄畑を狙うクリーパー!ヴェラさんも救出してあげないとですね! 出来れば畑への被害は抑えつつ、迅速にクリーパーを排除したいですね!
エルフでヒーラーのコンフリーと申します、よろしくお願いします。 生命と物質を蝕む雨とは厄介な相手ですね。 強引にでも近付くか、遠距離から仕留めるか、悩ましい所です。
ゴブリンのウォーリア、ゴブリアだ。よろしく。 クリーパーの討伐自体は非常にシンプルに見えるな。 全域に黒い雨が降っているのであれば、回復の都合以外は各々の距離で戦えばいいように見える。 非常にタフという話だから回復を多めに持っていくのと、スリップや防御力低下のBSは有効なのではないだろうか? 【BS能力低下:回避:3】については、無視してもいいように感じた。 どうせ雨を避けることなどできないのだからな。
シーフのキオルティス。キオでもルティスでもお気軽に。 今回は宜しくね。 …俺もなるべく被害は最小で行きたいから早期決着したい所。 それには結局は残り生命力%での継続回復しつつのタコ殴りしかないかな…と。 ゴブリアさんが言うように、スリップは確かに有効だろうと思う。 あとは被害を減らす為に移動力も減らしたい所かな。どうだろう。
ヒーラーのイズルです。よろしく。 果樹園への被害は他人事とは思えないから最小限にしたい。 回避低下は重ねがけにならないなら、全員が得意とする攻撃方法で攻めるでいいと思う。 一応、解呪か聖別は入れることはできる。 ワイナリーが倒壊しそうになってるのが気になるな。 村の青年(フェリクス)とその仲間がワイナリーの中にいる女性(ヴェラ)を救助に行ってるみたいだけど、倒壊で巻き添えになる可能性があるのも少し気にかかる。 戦闘で早期決着を目指して全員高火力で殴るか、一人でいいから救助に援軍を出すかは悩みどころかな。
短期決戦ということなら敵に近付く必要がありますね。 移動力を減らすというなら光封縛で動きを封じるというのも考えています。 雨も防げますしね。ただ、相手の近距離にいないと攻撃が通らなくなりますが…… 救助に一人回す場合は足の速い方を回すのが良いかと思われます。 その場合は短時間でいいので雨を凌ぐ方法も考えねばなりませんね。
うーん…ワイナリーも確かに気になる、ね。 ただ、救助に手を回しても雨が在る限り、何とも出来ないのが考え所。 しかもフェリクスさんだけなら兎も角、他の非授恵者はヴェラさんと 同じ扱いでもおかしくない状態じゃないかな? それならいっそのこと、やっぱり早期決着短期決戦の方が良いかな、と。 勿論、他の意見も聞いて決めたいと思うけど、ね。 あ!因みに。 もしもワイナリーに1人回すことになった場合、俺でも構わないよ、とだけ。
やー・・・ウォーリアのヘレンだよー。 救助一人であとは殴りに行くかんじ・・・? 防御を下げる系のナーフして一気に片をつけたいよねー。
シーフのエフィルミアです!よろしくお願いしますっ。 ワイン畑への被害を最小限にしたいので、私も早期撃破を目指したいです! 最高のワインと父娘の思いを無駄にしてたまるかー!(ふんすっ) ついでに成功したら雀亭(コミュ)にも、いいワイン卸してくれるように交渉しましょう! 私飲みたいです!最高の出来のワインを…!! >移動低下やスリップ ふっふっふ!毒殺エルフと名高い(※自称)私の腕の見せ所ですね! 縛糸刃で束縛2を与えたり、死齎刃でスリップ10を与えてガンガン削りたいです! >回避低下 敵は攻撃手段を持っていないし、雨は避けようがないので 私も回避低下BSは無視でいいかなっと思ってます! シンプルにやられる前にやるしかないですねっ。 >一時的に雨を防ぐ方法 空に向かって爆炎を放って雨を吹っ飛ばして、その間に仲間に駆け抜けて貰えれば 雨に当たらずワイナリーに向かってもらう事は出来るかもしれませんっ。 救助に向かうなら道は作りますよ! あとは、ちょっと見た目がシュールになりますけど、 水袋か麻袋に目鼻のところだけ穴を開けて被る…とかでしょうか? 体は防具があるから多少は軽減されるかな?っと予想すると 一番守りたいのは顔ですよねっ。
>黒い雨 戦闘に関しては回避防御は気にせず全力攻撃!で良さそうですね! 黒い雨のダメージがスリップのような固定値なのか、生命力への割合ダメージなのかは気になるところですね! >救助か撃破か 救助か早期撃破か、は悩ましいですね! ワイナリーの倒壊を考えると安全策としては救助に行く方がいた方が良さそうかなというような気もしますね! その場合はヴェラさんに厚手のローブ等を着てもらって、素早く黒い雨の圏内から離脱する感じ……になるでしょうか! 私が大型ペットを入手して、ペットさんに救助に向かってもらうというのもありでしょうか! ペット連れだと私の被ダメは2倍になりそうなので、攻撃ペースは落ちるかもですが……!
救助に関しては、NPCの授恵者が向かってるので、その人に引き継げるなら早急に雨の範囲から抜けてNPCに託すのも良い思ってるけど、それは救助に行ってくれる人に任せたいと思ってます。 >光縛封 これで雨も防げるなら、NPCの避難にも役立つだろうし、俺が持っていっても構わない。 建物の崩壊したときの防御にも使えそうと思ったけど、3ターンしか持たないからそれなら敵に使ったほうがいいいかな?と考えてる。個人的な行動としてだけど。 意見をもらえたら嬉しいし、参考にさせてもらいたい。 >個人行動 敵の方に向かうなら、攻守両用でスキルを選ぶ予定だ。 検討分だと、アクティブはヒールと2枠、早期殲滅に攻撃バフ1枠、攻撃1枠 特性は、攻撃系に、範囲回復か光縛封が候補になってる。 言い出しっぺだし、救助に向かうなら、 要救助者を守れるようにスキルを考える。
>光縛封 雨は凌げますが、展開出来るのは15秒程ですので避難に活用するのは難しいかと思います。 敵に使う際は、敵と同じヘクス内に仲間が複数いた場合使うのがいいかと 光縛封を展開している間は攻撃が内外のどちらからも通りませんのでそこは注意が必要です。
>光縛封で敵を閉じ込める作戦 いいと思います!結界は内外が完全に閉ざされるので、おそらく雨も防げますよね? 雨が防げれば建物倒壊までの時間が増えますし、雨を止めている間に救助も出来ますっ。 3ターンの15秒と言われると短い様に感じますが、今救助に名乗りを挙げてくれてるキオルティスさんなら 疾風足+移動でメインアクション消費をすれば1ターンに20へクス、つまり100m移動できるわけでっ。 300mも移動出来れば十分避難は完了出来るんじゃないかな? 勿論広範囲の雨がどのくらいか、建物倒壊まで何ターンあるか、人を背負った場合の移動力マイナス補正はどのくらいか等、不確定要素がたくさんあるので断言は出来ないのですけどっ。 私は避難の面でも、とても助かると思いますっ。 光縛封で仲間と敵を一緒に閉じ込めちゃうのもいいですねっ。 雨の被害をなるべく少なくして敵を倒せる最適手段だと思います! 1へクスに4人までしか入れないので生命力のある人に入って貰って 私は生命力が低いので毒を食らわせてから、光縛封外で待機しといた方がいいかな? もちろん光縛封がとけた後にでっかいの食らわせてやりますけど! >救助に来た私設兵団達 黒い雨の範囲外で待機するように最初にきちんと言っておきますね! 要救助者が増えたら大変ですので…!
流れ的にはヴェラさんを救出する感じかな? それじゃ、とりあえず候補者が今の所、俺だけなんで救出に向かうね。 疾風足に壁歩きと、邪魔なモノ全てを突っ切る形でワイナリーまで… と言った形になる…かな。あとは自分はヒールを持って行くけれど ヴェラさんにはマントを2枚ほど、降雨圏外まで羽織って貰おうか、と。 (ブランケットの方が良ければそっちを選択するけど、どっちが良いかな) その後はヴェラさんをNPCに引き渡す形かな? 早期殲滅を望むならフェリクスさんよりは、非授恵者に手渡した方が 戦力として数に入れられるかな…と。逆に有事の際を考慮するならば フェリクスさんに直接手渡すけれど…。どっちが良いだろうか。 個人的には非授恵者の方たちにお願いした方が良い気がするけど、ね。
>救助 キオルティスさんありがとうございます! 全身を覆えるならマントでもブランケットでも大丈夫かなという気がしますが、文字数的にはマントの方がよさそうでしょうか! 引き渡す相手については、フェリクスさん達に渡す、みたいな感じで具体的な指定はないふわっとした感じでもいいのかなというイメージです! 実際にどんな感じにするのかの判断はキオルティスさんにお任せできればと思います! >光縛封 閉じ込めで雨を防ぐことが出来るかは未知数ですが、敵と一緒に味方を閉じ込めする感じで行くとして、救助役のキオルティスさんを除く生命力の高い順だと…… ゴブリアさん ヘレンさん エフィルミアさん エルナ が中に入る感じになるでしょうか! 一応今回のメンバーで最高火力の私は常に攻撃できる位置にいた方がいいのかも? と思っていたりはしています!
>ヴェラさんを救出する感じ 救出する方向で問題ないと思います! キオルティスさんよろしくお願いしますっ。 マント2枚もありがとうございます! ブランケットだと雨がしみ込みそうなので、マントで良いんじゃないかなーっと思いますよっ。 ヴェラさんは非授恵者に手渡すで大丈夫だと思いますっ。 フェリクスさんはいけそうなら戦闘に加わってもらいましょう!(ぐっ) >ペットを使っての救助 先の発言で答えてなくてすいません…! スリップダメージ2倍は危ないので、移動力のあるキオルティスさんがやってくれるなら お任せする方がいいと思います! >個人行動 【疾風足】で一気に敵に近づいて【縛糸刃】で束縛を付与してから スリップダメージの【死齎刃】を食らわせちゃおうと思ってます! 回復量はあまりないですけど【ヒール】も持ったので、雨で倒れないように頑張りますっ。
はわ、すいません!発言が被った…! >光縛封で中に入るメンバー 攻撃力の高いエルナさんが常に攻撃できる位置、了解です! 敵がどのくらい大きいか分からないので、もし3人しか入れないようなら 私は出るようにしますね!
それでは私は光縛封を使えるようにしておきます。 それ以外では敵に近付く際の回復を担当いたします。
私はクリーパーボコすのと戦闘終了後に安眠する係ね……。 >光縛封 ほーい……光縛封の範囲内に入るように移動すれば、イイ感じ? 一応個人でもマント持ってくから、接近後は攻撃重視で雨に多少打たれるの覚悟で攻撃に転じてもいいかもねー
安眠!ヘレンさんその前に果樹園の片づけや修復のお仕事もあるかもですよ! エフィルミアさんありがとうございます! 今回の敵さんは直接の攻撃手段を持っていませんし、頑張ってドカンと攻撃しますね! マントは私も準備していきますね!