黄色の親指、危険な実験!
ゆうきつかさ
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シナリオID:979
オープニング
「いいデスカ、皆サン! アナタ達は選ばれました! ズバァァァァァァァリ! これは名誉な事デショウ! 故に、何も迷う事はアリまセン! 躊躇う事など何もないのデス! ただ、本能の赴くまま、薬を飲んでクダサイ。この薬は、アナタ達に力を与えマス!」
メドゥの指先の幹部【黄色の親指】マルフォが廃村の広場に人を集め、吠えるようにして叫びながら、瓶底眼鏡をキランと輝かせた。
広場に集まっていたのは、魔獣などによって村を襲われ、家族の命を奪われ、住む場所を失った者達。
彼らがいる場所も、かつて魔獣によって滅ぼされた村だった。
故に、その瞳に宿るのは、絶望。
まるで抜け殻になったような者達が、マルフォの前に立っていた。
そのため、マルフォから渡された薬が、危険なモノであると分かっていながら、何の躊躇いもなく飲み干した。
「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
次の瞬間、その場にいた者達が奇声を上げ、瞳孔の開いた眼をギラギラさせ、ニンマリとした笑顔を浮かべながら、ハイテンションで飛び跳ねるのであった。
「……という訳なんだ」
黄色の親指に潜入していた密偵の話では、リーンエス王国の廃村でマルフォが何やら実験を行っているという事だった。
実験に参加しているのは、何らかの事情で住む場所を失った村人達。
密偵の話は、多少誇張している感じもするものの、マルフォが怪しげなキノコや、花粉などを調合して、ヤバイ薬を作っている事は間違いないようである。
その薬の効果を試すため、村人達を利用しているらしい。
残念ながらマルフォは村から去ってしまったものの、彼の手下が薬の調合を続けているらしい。
「……で、まあ……俺の方は、おそらく密偵だって事がバレている。前の奴も、そうだったが、あいつはお前達の実力を過小評価しているからな。つまり俺は、お前達を誘き寄せるための餌にされたって訳さ。それでも、行くって言うのなら、止めはしねえ。場合によっちゃ、何か手掛かりが掴めるかもしれねえからな」
そう言って密偵が、廃村の調査と、薬の処分を依頼した。
解説
マスターより
リプレイ
「本当に……、メドゥの奴らは面倒ごとしか起こさねぇな。人がせっかく和を広げようとしてる中、足を引っ張ることを次から次にやってくれる。いくらなんでも怪しい薬に手を出しちゃいけないだろう」
ケン・Z・ブラッドリーは黄の親指の実験を阻止するため、仲間達と共に廃村にやってきた。
その場所は、魔獣の襲撃に遭って、滅びてしまった村だった。
幸い魔物自体は何者かによって退治されたものの、今では黄の親指の拠点になっているらしく、何やら怪しげな雰囲気が漂っていた。
念のため、天眼を使って村の様子を確認したところ、村人達は広場に集まっており、薬を飲んでハイになっていた。
「なんだか目的がよくわからないでございますねぇ。利用された村人の皆様はお気の毒でございますが……。ご自身の意志でそうしているのであれば、ワタクシ何も申しません」
ハリーヌ・ヨツユビが、深い溜息を洩らした。
マルフォ達については、よく分かっていない。
挙動不審、神出鬼没。
そんな事がピッタリなほど、行動が不明。
何らかの意図がありそうで、まったく何も考えていなさそうなところが、怖いところであった。
「それにしても、酷い状況すね」
マタリキー・T・ヒーローが物陰に隠れつつ、気まずい様子で汗を流した。
薬を飲んだ村人達は、色々な意味でリミッターが外れているのか、白目になっていたり、焦点が合っていなかったりしており、まるでサルの如く跳ね回っていた。
この時点で薬の効果に疑問を感じてしまうのだが、それだけ調合が難しく、効果が不安定と言う事なのかも知れない。
「確かに、悪趣味だな。しかも、今回は実験結果のお披露目か?」
ライラ・サンダーソンが、嫌悪感をあらわにした。
おそらく、今回の目的は、実験データを得る事。
そのため、広場の近くにある納屋にマルフォ達の手下が集まり、薬のデータを取っているようである。
「それでも、倒すだけ」
コハクが落ち着いた様子で物陰に隠れ、村人達の様子を窺った。
村人達は薬の副作用で凶暴化しており、説得するのは難しそうな感じであった。
それ以前に、迂闊に近づけば問答無用で襲い掛かってきそうなほど、頭のネジが外れていた。
「事が済んだら、お知らせください。それまで私達が村人達を引きつけておきますので……」
そう言ってアルカが村人達の注意を引くため、ゆっくりと広場に近づいていった。
●
「ケケケケケケケケケケケケケケケケケケケッ……」
薬を飲んだ村人達は、壊れていた。
この様子では、マルフォの調合した薬が、頭に影響してしまっているのだろう。
瞳孔の開いた眼をギョロギョロさせ、四つん這いになって走る様は、狂気以外のナニモノでもなかった。
「何と言うか……ホラーすね」
マタリキーが物陰に隠れつつ、ゴクリと唾を飲み込んだ。
見るに耐えない光景ではあるものの、視線を逸らした瞬間、こちらに迫ってきそうな感じであった。
「ひとまず、村人達を引きつける必要があるのですが……既に気づかれているようですね」
そんな中、アルカが村人達と目が合い、視線を逸らさず、後ろに下がった。
おそらく、その原因はアルカが、めちゃ臭かったせい。
物陰に隠れただけでは、誤魔化せない程、臭いが自己主張をしているため、村人側から丸見えに近い状態になっていた。
それでも、なるべく村人達を刺激しないようにしながら、決して目を離す事なく、ジリジリと後ろに下がっていった。
「リィリィリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
だが、村人達はアルカを完全にロックオンしており、唸り声を上げて次々と飛び掛かってきた。
そこには躊躇いがなく、確実に命を奪う勢いで奇声を響かせながら、飛び跳ねるようにして迫ってきた。
「そういや、殺すわけにはいかないんだよな。だったら、意識を奪うだけにしておくか」
すぐさま、ケンがダマスカス鋼の盾を構え、チャージングで加速し、村人達を弾き飛ばしていった。
反射的に身の危険を感じて、危うく命を奪いそうになってしまったものの、冷静になって考えれば、薬のせいでおかしくなっていだけ。
その事を思い出したため、ギリギリのところで、踏みとどまった。
「お前達のせいで……お前達が助けてくれなかったから……」
しかし、村人達はまったく怯んでおらず、恨み事を口にしながら、ケン達を睨みつけていた。
「授恵者のせいで村が滅びたのでございますか? なぜそうお考えになるのでございましょう?」
その言葉に気づいたハリーヌが、ペットのゴリラに守られつつ、村人達に問いかけた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
しかし、村人達はハリーヌの質問には答えず、怒り狂った様子で地面を蹴って襲い掛かってきた。
「ウホッ!」
それと同時に、ゴリラが村人達を受け止め、まるでダンスを踊るようにして、軽々と放り投げた。
その拍子に、村人達がゴム毬の如くバウンドし、地面に突っ伏してグルグルと目を回した。
「と、とりあえず、気絶した村人は端に……って、まだ動けるんすか!?」
それに合わせて、マタリキーが地面に突っ伏した村人達を運ぼうとしたが、即座にキシャアアアアアアアアと威嚇され、反射的に仰け反った。
「とにかく落ち着かせましょう。さすがに、この状況では難しいかも知れませんが……」
アルカが複雑な気持ちになりつつ、凶暴化した村人に当て身を放った。
その一撃を食らった村人が糸の切れた人形の如く、意識を失って動かなくなった。
「ま……相手は一般人ならやりようはあるんだよね」
次の瞬間、ケンが殺界で首狩刀『SHIMADZU』にエーテル光を纏わせ、同時に不可視のエーテルを範囲内に張り巡らせた。
その影響で村人達の動きが封じられ、唸り声が辺りに響いた。
「これで少しは落ち着いて話を……って、駄目のようでございますね」
ハリーヌがノービスボウで、喚き散らす村人を殴りつつ、深い溜息を漏らした。
村人達は薬の副作用で凶暴化しており、とても会話が出来る状態では無くなっていた。
それだけ、マルフォにある事ない事、吹き込まれていたのかも知れないが、両目を血走らせ、歯を剥き出しにしながら、今にも噛みつきそうな勢いで迫ってくるため、恐怖以外のナニモノでもなかった。
その間、ゴリラが落ち着いた様子で、暴れる村人を抱え上げ、広場から離れた場所に運んでいた。
それでも、暴れる村人はケンが峰打ちをして、容赦なく意識を刈り取った。
「とりあえず、村人達から話を聞くのは、完全に薬が抜けてからになりそうですね」
アルカが気絶した村人達を運びながら、納屋の方に視線を送った。
納屋の方でも別動隊として動いていた仲間達が行動を起こしているらしく、悲鳴や叫び声が辺りに響いていた。
いまのところ、納屋の外に出ている者はいないものの、何人か死傷者が出ていてもおかしくないほど騒がしくなっていた。
「一体、何を吹き込まれたのか分かりませんが、メドゥの指先の言う事など信用するに値しないでございます。テロリストは大抵嘘つきでございますからねぇ」
その横でハリーヌがロープを使って、村人達を縛っていった。
一方、ゴリラは暴れる村人達をポカッ、ドスッ、ボコッとドツきつつ、流れ作業の如く意識を奪い、ハリーヌのところに運んでいた。
おそらく、村人達の意識が戻った時、最初に感じるのは激痛ではあるものの、そこまでしなければ意識を奪う事が出来ない程、薬の影響は深刻であった。
「さて……、こっちは無事に済んだが、納屋の方はどうなっているのか心配だな。とにかく、手遅れになる前に、加勢に行くか」
そう言ってケンが村人に猿轡を噛ませた後、納屋に向かって走り出した。
●
「……クッ! こんなはずでは!」
マルフォの手下達にとって誤算だったのは、自分達が行動するよりも早くコハク達に動かれた事だった。
広場にいた村人達が騒ぎ始めた途端、手下のひとりは、納屋から飛び出し、指示を出そうとした。
だが、それを邪魔するようにしてコハクが疾風足で駆け抜け、手下の一人に斬りかかった。
その傷は浅かったものの、鋼の盾を構えたライラが、村人達を弾き飛ばしながら迫ってきたため、手下達は完全に逃げ出す機会を失った。
(か、考えるんだ。この状況で逃げ出す方法を……! 何としても、研究成果をマルフォ様に届けなければ……。そのために、俺は誓ったんだ。マルフォ様に忠誠を……! 輝かしい未来のために!)
資料を抱えたマルフォの手下が、悔しそうに唇を噛み締めた。
目を閉じれば浮かぶ、マルフォの笑顔。
瞳孔の開いた眼で、歯を剥き出し、この世の幸福独り占めとばかりの勢いで浮かべる、あの笑顔……。
あの笑顔さえ見る事が出来れば、頑張れる事が出来た。
どんなにつらい事があっても、乗り越える事が出来た。
だからこそ、ここで屈する訳には行かない。
あの天使のような笑顔を見るまでは……!
「この状況でニヤけている奴がいるようだが……。真面目に付き合ったら負けだな」
そんな空気を察したライラが、鋼の盾を構えたまま、少しずつ距離を縮めていった。
「く、来るなァァァァァァァァァァァァァ!」
デーモンメイクをした手下が奇声を響かせ、持っていた刃物を振り回した。
その刃物自体に殺傷能力はほとんどなく、鋼の盾でも難なく防ぐ事が出来た。
「キェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!」
しかし、手下達は諦めていなかった。
一瞬の隙をついて薬を飲み干し、奇妙な叫び声を響かせながら、次々と襲い掛かってきた。
それはある意味自殺行為に等しかったが、手下達は賭けに出た。
すべてのマルフォのため。
あの笑顔を曇らせないために……!
自然と手下達の表情も笑顔に変わり、頭のネジが外れた様子で、縦横無尽に跳ねまわった。
「……」
次の瞬間、コハクが闘気槌3で巨大な光塊をダマスカス鋼の剣Reに纏わせ、手下達めがけて振り下ろした。
それに合わせて、ライラが鋼の斧で、手下の足を斬りつけた。
「むぎゅっ!」
その途端、手下達が間の抜けた声を上げ、地面におかしな形で突っ伏した。
この様子では、骨が何本か折れているようだが、薬の影響なのか全く痛みを感じていないようだった。
そのため、その恰好のままケタケタと笑い、口から泡を吐いて動かなくなった。
「とりあえず、死んではいないようだな」
すぐさま、ライラが手下達に駆け寄り、生死を確認した。
幸いみんな死んでおらず、意識を失っているようだった。
「資料も、全部、残っている」
その間に、コハクが薬に関する報告書を拾い集め、軽く目を通した。
そこには度重なる実験の甲斐なく、失敗続きであった事が書かれており、遠方から呼び寄せようとしていたアドバイザーにも協力を断られた事が、恨みを籠めて書かれていた。
この様子では、報告書の半分が愚痴と言い訳で占められていそうだが、何かの役には立ちそうだ。
そして、コハク達は村人達の相手をしていた仲間達と合流し、ホッと溜息をつくのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜10人
2021年06月11日 21時41分32秒 公開
相談掲示板
マルフォ……また怪しいメンツで変なコトしてるんすね。ウォーリアのマタリキーす。よろしくす。
変人がお祭りをしてるから止めてこいと言われ参戦。 シーフコハク、よろしくね。 ……今のままだと面子が足りなそうだけど
ウォーリアのライラだ。よろしくな。 人数は集まったみたいだし、相談始めようぜ。 …にしても面倒だな。 手加減とか苦手なんだよなー。
ウォーリアーのケンだ よろしくな 人が満員になるかはおいておいて、だれが何を担当するかだな とりあえず ・薬を処分する班 ・村人を無力化する班 に分かれて 理想としては、村人無力化する班がまず正面から乗り込んで注意を引き、薬を処分する班が奴らの逃走経路に回り込んで奴らが逃げようとしたところを強襲するってかんじになるか?
よろしくどうぞ。 ウォーリアのアルカです。 >分担 >>村人の無力化 まあ、何らかの手段で逃げ回る、っていう手もなくはないかなぁとは思いました。 手下さえどうにかすれば済む話ですし、サンダーソン嬢の言うように手加減が面倒ですし。 ただ、逃げ回る途中で納屋に近寄られると面倒な話になるかな、と思うので。 逃げ回り方にも注意が要りますか。 ・・・発想の逆転としてめちゃくさい用意して逆に追っかけ回す、ってのは駄目ですかね?
飛び入りで失礼いたしますよ! ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミのシューターでございます。 村人の無力化でございますか。 彼らはハイテンションで奇声をあげて盛り上がっているそうでございますが、攻撃性はどうなのでございましょうねぇ? ヒトを見ると好戦的になる可能性がございますので、まずワタクシのゴリラにダンスなりをさせて注目させるのはいかがでございましょうか。 その隙に、納屋へ向かう班がこっそり動いて、村人の無力化班も動く…という形でございます。
野生のゴリラ、相当怪しいかもすけど……そのあいだにマルフォの手下たちに当たりをつけたり、捕まえに行けたらよさそうすかね。 あ。めちゃくさい、俺もってるすよ。 それでわれに返ってくれたら御の字、すかね。それなら俺はゴリラとめちゃくさいで注意を引く側に残ってもいいす。我に返らなくても、俺が追われたらいいだけすもんね。
ではワタクシもゴリラとともに村人対応に回るでございます。 ワタクシ射程が長いでございますから、もし納屋のほうへ行こうとする村人がいたら足元を撃つなりして止めようかと… 万が一を考えてノービスボウで行くでございます。
まあ、言い出した身ですし、私も村人対応に回りましょうか。 めちゃくさい持ってますし…
お、気付いていたら人がかなり集まっていた。 皆よろしくね。 それじゃあコハクは薬の処分もとい手下捕縛にまわろうかな。
それならあたしは手下捕縛のほうだな。 陽動が苦手なわけじゃねえが、大声で暴れるぐらいしか思いつかねえんだよな。
これは……ダブルくささで攻めることができるっすね……ところで他人のスーパーめちゃくさい嗅いだことないんすよ。どんな感じなんすかね?(←
>他人のめちゃくさい さぁ? 奇遇にも私も嗅いだことがないので…