赤狐とヤギと冒険者と
狐野径
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シナリオID:957
オープニング
リブラネスタの空き地。
止まっている馬車のそばに保存が利く食料の包みなど大量の物が置かれていた。
馬車の所有者はエルフの女性二人。
その内の一人、ナツキ・エルが食料の内容をチェックしていた。突然「ああっ」と素頓狂な声を上げた。直後「ま、いっか」といった。
馬の手入れをしていた、ハルシ・エルがその声に驚いた。
「どうしたの」
「な、なんでもないよっ!」
ナツキが慌てた。
慌て方が怪しくて、ハルシは、ナツキの横に来て、
「何があったのかな?」
とにこやかに問う。
ナツキは顔を逸らした。
「ナツ、怒らないから言ってほしいな」
優しい声で幼い子どもをあやすように言う。
「……買ったヤギ、ぼちぼち来るかなって」
「……何頭?」
「三頭」
ナツキは目をきらきらとさせて言う。
この瞬間、ハルシの表情は、穏やかさから離れた。
「旅に出るっていうのにどうするのよ!」
「うわ、ハル、怒った!」
「さすがに一頭以外はどうにかなるけど、三頭もどうしようもできないよ」
ハルシは呆れる。
「……ううう」
「どうするの」
「グレイオンスに送る」
「……そうしようか」
「うん」
どうするかはまとまった。
送られる方の意思は関係ないらしい。
「そういえば、グレイオンスに送るのって、毛玉以来だね」
ナツキの言葉に、ハルシは「そうだね」とうなずいた。
「毛玉、どこにいるのかな」
ハルシがふと思い出す。
毛玉ことウル・ヘルバは単身旅をしているはずだ。伝言でも残さない限り、どこにいるかなんてわからない。
「意外と会わないよね」
ナツキも思い出し首をかしげる。
「冒険者ギルドに『おじいちゃん、危篤、早く帰れ』て伝言頼めばいいかな」
「……それ、二人にめちゃくちゃ怒られるパターンだよ」
とハルシは呆れた。
名もなき赤子だったウルを拾ったのは今のように旅をしているハルシとナツキだ。
怪我もしていたため、そのままにできず、信用できる人ということで、グレイオンスの所に駆け込んだ。
フィルエス大森林の近くだったことで、一命を取り留めた赤子は、そのまま放置されて、エルフの中で育つ。
「そうだ、毛玉も一緒に送ろう!」
ナツキが名案とばかりに言う。
ハルシは困惑したが、ナツキの視線の先を見た。
「え? 毛玉っ!?」
向こうも気づいて驚いた様子で見ていた。
「姐さんたち!? 久しぶりっ、来んじゃねぇ!」
ウルは挨拶の途中で、ナツキが向ってきたので、逃げた。
ナツキが疲れたころを見計らって、ハルシの方にウルが来た。
「隙ありっ!」
ナツキがウルの尻尾にとびかかった。
ウルは回避したため、ナツキは地面に突っ伏し「ぐっ」と呻いた。
ナツキの奇行について、ハルシがウルに説明した。ナツキは先日、ハーフビーストとペットたち、ヒューマンまで撫でたという。
「ナツはひでぇけど……冒険者、すげーな」
ウルは素直な感想を漏らした。
呼吸も落ち着いたらしく、ナツキは立ち上がりながら、
「そうだ、ウル。グレイオンスに恩は感じてる?」
と問う。ウルは警戒して「……なんだよ、やぶからぼうに」と言う。
「感じてる? 感じてるよね」
「押し付けるんじゃねぇ!」
「ね、ヤギたちを連れていってあげて!」
「は? 勝手に決めるな。なんだよ、ヤギって」
ウルはハルシに説明を求めた。その理由を聞いても首を縦に振る理由にならない。
「運ぶなら自分たちでしろよ」
至極真っ当なツッコミを入れるウルに、
「グレイオンスも年だし」
と現実を突きつけるナツキ。
「毛玉、大きくなったの見せておかないと、後悔するよ、五センチだっけ?」
「三十センチは伸びた! で、でも、帰らねぇ!」
かたくなに抵抗するウルに「なんで」とナツキは問う。
「お前ら、すぐ、俺の頭……なでるなっ!」
ウルの帽子をどけて、頭をなで始めるハルシとナツキ。
「だから、俺の身長伸びなかったんだ!」
「うんうん」
二人は取り合わない。
それが真実ではないのをウルも含めて知っている。
ウルはため息をついて、なでられるままになっているが、
「俺、いつまで経ってもガキのままなんだろうな」
と、内心つぶやくのだった。
●依頼
フィルエス大森林にヤギ三頭とウルを連れて行くという依頼が出る。
「ウルさん一人に押しつければいいのでは?」
「そもそも、ヤギ三頭が腹をすかせた動物に狙われたり、クリーパーに出くわすと、毛玉だけでは対処できないのは事実よ。そもそも、毛玉、戦うのからっきし。けんかはそれなりだと思うけど。たぶん、ヤギ連れたままどっか行っちゃうと思う」
「それは……荷物略取」
それはそれで問題だけれども、知り合い同士での押し付け合いならば、冒険者ギルドは関わりたくはないところだ。
「エルフが毛玉をいじめた訳ではないと思うよ。毛玉、グレイオンスに懐いていたし。まあ、エルフまみれのところに行きたくないのも分かる。ただ、毛玉、このままだと駄目な気がする」
「駄目?」
「うん、冒険者としてあちこち飛び回るつもりもないんだよね。エルフと一緒だった影響もあって、こう、時間感覚の取り戻しがうまくできていないとか、あと、目的が定まらないとか……色々ある気がする」
意外と真面目な話だったので職員は返答に困る。
「色々な人と過ごすとか、仕事する冒険者の姿を見るとか必要かなって」
ハルシは言う。
ウルの目的は定住したいだが、どこにというのもない。もちろん、フィルエス大森林やエルフが嫌いという訳ではないけれども、居心地がどこか悪い感覚。
「そもそも、毛玉小さいし」
「は?」
「年上の年は抜けないでしょ、互いに生きている限り。知識もなかなか同じ分野だと難しい」
「あ、はい」
「身長くらいは……と、小さい毛玉は思ったかもしれないけど、私達より低い」
職員はハルシとの目線から、身長は160センチ台と察する。
「つまり、私達より身長高いおじいちゃんの身長も抜けない」
「……あ、えと……永遠に色々勝てない感じですか」
「そうそう」
真面目な話から、微妙な話に変わっていった。
職員は話を締めるため、
「フィルエス大森林のどこなんです、届け先?」
と問うが、
「グレイオンスの自宅。だから、面倒臭いから、毛玉連れていって」
と、ハルシは投げたのだった。
●何も知らない荷物受取人
グレイオンスはふと、窓を見た。開け放たれた窓の枠に、リスが一匹載っていた。
そのリスは入手したらしい木の実を口に含むと、立ち去った。
その尻尾を見て、ハーフ―ビーストの少年を思い出す。
喜怒哀楽が耳と尻尾ではっきりと分かる子どもだった。
旅すると言って集落を出て10年経つ。
エルフの集落に止まるのも、止まらないのも本人次第だと送り出した。
もっとも、エルフの中にいて、劣等感を覚えているようだった。旅に出るのは必然だし、彼にとっての同胞を探す方が落ち着くに違いないとも思う。
ただ、出て行ってから、連絡もない。そのために、生死も分からない。
「どうしているのか」
窓から部屋に目を移した。
入り込んでいたリスが、インクを倒して逃げていったのだった。
解説
マスターより
リプレイ
シルフィード・フェルナールは依頼を見て、
「この前のモフリストからのお仕事ね」
と思うが、なぜヤギを買ったのかなどは疑問が生じる。
ヤギを連れていくため、捕食者でもある狼のランディスを連れていくのはためらわれた。そのため、大鼬のビアンカを連れていくことにする。
集合場所であるリブラネスタの冒険者ギルド前に行くと、依頼主であるハルシ・エルとナツキ・エル、荷物のヤギたちとウル・ヘルバがいた。
ナツキに疑問点を尋ねる。
「酪農でもするの? モフるため?」
ナツキは「いるのがいいの」とただ微笑み、ヤギをなでたり抱き着いたりしていた。
それを見て、ハルシとウルがなんともいえない顔をしていた。
ハリーヌ・ヨツユビはヤギを乗せるための荷馬車を借りておいた。
「ヤギ3頭とウル様を、グレイオンス様のご自宅までお送るするのでございますか? 長旅になりそうでございますね」
とつぶやく。なお「グレイオンス様といえば、大森林のお偉い方のはず……コネを作っておいて損はないでございます! ククッ……」と笑う。
偉いかどうかは別として、冒険者に人脈はあって越したことはないだろう。
ゴブロウタは軽い護衛依頼と思って受けたが、行き先を知り、驚く。
「大森林の重鎮……? マジかよ、いろんな意味で気合を入れとかねぇとな」
護衛のための準備とする。ウルはともかく、言葉が通じない荷物のヤギや運搬を手伝う馬のためだった。
マタリキー・T・ヒーローはヤギにとって長距離移動は大変だろうと考える。
そちらのストレス軽減を意識した。
「まずは、俺の【もふもふ】ヘアー」
ヤギたちは仲間とみなしたり、その手触りに和むかもしれない。
集合場所にして「グレイオンス……さんって、誰でしたっけ?」と思い出したかのようにつぶやいた。
ハリーヌとゴブロウタの「知らないのか」というような視線を送る。
エルフ二人とウルは「大森林の長老の一人」と淡々と答える。
「エルフのお偉いさん……すか? ほーん……農民には殿上人のあれやこれはまあ、気にしないことにするす。それがライフハックす」
マタリキーが納得して締めようとしたが、ウルとハルシが驚き、問う。
「なんで、殿上人っ?」
「あれこれって!?」
ナツキは「偉いのかなぁ?」とつぶやいていた。
「偉くないすか?」
エルフ2人とウルが「まあ、偉いは偉いのか」と異口同音に言うのだった。
色々な謎は残しつつ、ヤギたちを荷馬車に乗せて出発する。
●それぞれ
地理は分かっているので、大体の推測はできていた。
日が暮れる前に人里に到着したら無理せず泊り、うまく進まず人里がなかったら野宿するという方針だ。野宿の際は夜当番を立て、たき火で獣を避ける。
そのため、夜当番が出そうなときは、昼間に馬車で眠れるような体制にしていた。
ウルも夜当番すると言ったが、道案内もあるため、免除される。
「一番の難所は森の中だから、それまでは……とはいえ、まあ、うん」
ウルは居心地悪そうに、ヤギの面倒をみていた。
なお、ハリーヌはヤギにはロープを巻いておき、荷馬車に括り付け乗せていた。不意に逃げる危険性もあるので、用心は必要である。
そんなヤギたちは荷馬車に揺られて時折「めえ」と鳴く。
シルフィードの大鼬のビアンカは馬車に乗って、見張りをする。風に乗ってくる匂いをスンスン回でいる。
「肉食獣の襲撃も、歩くときよりは、確率が低くなるね」
馬車に乗っていれば蛇行も減るし、匂いも減るとはいえ、何があるかはわからない。
シルフィードは弓を持ち、周囲を警戒する。
ゴブロウタは御者を引き受け、手綱を握る。
出発前にギルドの人に御者のコツなどは聞いていた。今後何かの役に立つだろうし、それは金銭に関わる。
初心者でも大丈夫かということに「無茶しなければ、馬ができる馬だから」と職員がいう。
ゴブロウタは「確かに馬がしっかり進む」と感じた。平時であれば、曲がる道などの指示を出せば問題はなさそうだ。練習にも良い。
ハリーヌは【捜波】や【サーマルアイ】で周囲を警戒する。
それ以外は獣のフンなど痕跡に気を配る。それらがあるということは、行動範囲であるということはわかるし、もしもの対処も可能になる。
なお、ヤギよりも逃亡しそうなウルに注意する。
マタリキーはヤギたちの信頼を得て、ストレスを軽減する努力をする。途中でヤギが気に入った草があればそれを取っておくし、水も汲んでおく。
とくに小さめのヤギに目を掛ける。
「上2匹の信頼を得るす、ぐふふ」
ということらしかった。ヤギがうさんくさげに見ていたかどうかは、分からなかった。
ハリーヌは休息中ヤギをつないだロープを持ち、好きなように草を食わせたり水を飲ませる。
一緒にヤギの様子見ているウルに問う。
「グレイオンス様に顔を全然見せてないと伺いましたが、なぜでしょうか?」
ウルは渋面になり、少し考える。
「別に……特には……」
そっぽむくということは、戻らないことにも何か思うところはあるのだろう。
「育ての親でございましょう? 十年も顔を見せないのは不義理でございます」
「育ての親……なのか……なのか? 里の人が基本的に……でもな……うん、まあ……」
ウルはごまかすように核心の所を答えない。
「ワタクシ、故郷も親も亡くしてのでございます。ウル様も、あと何回グレイオンス様にお会いできるか分からないのでございますよ。もっと会っておけばよかったと、後悔しないよう……」
ウルの尻尾が垂れる。
「……どっちが先に死ぬか分からないもんな……年寄りと、俺じゃ」
「その通りでございます」
「グレイ、年寄りだし……身長高いし……はっ! 俺の方が先に死ぬじゃ」
「身長と年齢は関係ないでございます!」
ハリーヌはウルの言葉を否定するのだった。
シルフィードは夜営の番が回ってきた。
安全な場所だとしても、夜は何があるかわからない。野生動物が出没するかもしれないし、良くない人間も出るかもしれない。
ヤギたちにとっては大問題だ。
ビアンカには馬車の高いところに乗ってもらい、視界を確保する。
シルフィード自身は【捜波】や【ホークアイ】で捜索する。
焚火についてはこまめに確認し、薪をくべた。
動物の気配はあっても、無事、夜は明ける。
マタリキーはウルと話している内に、冒険者になった理由を話していた。
「田舎で農民していたす。八男すよ」
「八男ってすげーな」
「授恵者になったと知って、冒険者になったす」
「それで冒険者になるって、決断すげーな」
ウルが素直に褒める。
「『あれ? これって俺が頑張らなきゃだめなやつなんじゃ……?』みたいな考えにとらわれたんすよね。だから、しゃーなし感はあるす」
時期が帝国崩壊と重なり、そこかしこに不安があった。
「いや、簡単にできるわけじゃねぇだろ」
「そういうわれると、そういう気にもなってくるす」
そのような感じで、会話は進んだ。
なお、マタリキーは夜の番をするときは【超聴覚】を中心に用心する。
視界は悪くとも周囲にいる何かに気づく可能性が高くなる。
時折、見回りも欠かさない。
こちらの様子をうかがう者があれば、警戒する人間がいるということで、攻める気をなくさせるという考えだった。
不穏な音はなくはなかった。動物だったかもしれないし、何かわからないが、無事、夜を乗り越えた。
ウルが御者をしているとき、横にいるゴブロウタとぽつぽつと会話する。
冒険者についての話が及び、ゴブロウタは、
「最初は金貯めてゴールディで一角の人物になる足掛かり、の予定だった」
と自身の理由を話した。
「今は、ゴブリンは『ヒト』だから、世界を助ける、に乗ったってことだな」
ウルは黙って聞いている。
「まぁ、現状だと仕事も扱いもちぃとばかり不利だからな。改善されてからでも一角の人物になるのは遅くねぇだろ? 急がば回れってやつだ」
「扱いねぇ……確かに……。あんたはすげぇよ、考えて行動してるし」
ウルは微笑む。
「俺は結局……」
ウルは言葉を切り、手綱を握るのに注力しているようだった。
何か考えているならそれはそれだと、ゴブロウタも黙った。
ゴブロウタは馬の様子も注意していた。荷馬車には馬が必要だから、休息や快不快など感じ取るよう意識していた。
なお、ゴブロウタは夜の見張りの際、火を絶やさず、眠気覚ましの適度な運動することで乗り切る。
●襲撃
フィルエス大森林が見えてくる。
森に到着というのがまず第一目標だった。
その先は違う問題はあるかもしれないが、油断せず進むのが大前提だ。
シルフィードは地形を意識し見ていた。
野生動物がいるならば、魔物であれば、隠れるのはどこか。
「何かいるよ」
シルフィードは警告を発する。
「野生動物か、それとも、クリーパーか現状はわからないから、ぼくが見てくる」
馬車は止まり臨戦態勢となる。攻撃距離は意識した。
ハリーヌのところのゴリラはヤギたちをつないだロープを持つ。そして、ZOCを展開する場を考えて待機する。
ハリーヌはヤギと馬車を守る位置に立つ。
ゴブロウタは敵が見えたらすぐに攻撃できるように待機する。
敵性のものが動物であれ、クリーパーであれ、早々に討伐する必要を感じていた。
マタリキーはヤギをなでる。
「大丈夫すよ」
ヤギが逃げるというのが一番困る。
ウルが戦いに慣れていないのはわかる。武器や盾を使えたとしても、それは覚えているだけに過ぎない。
「シューターもいるす。俺らは後でじっとり対応するので行けると思うす」
マタリキーはウルにいう。
シルフィードはビアンカとともに「何か」との距離を縮め、矢を放った。
矢を受けたそれを見て、次にとるべき行動を理解した。
「クマ……こいつ、クリーパーだ!!」
叫ぶと突進してくるクリーパーを回避し、続き矢を放つ。遮るものがないし、2体いるため【炸光矢】放った。続いてビアンカも追撃を仕掛ける。
近くで狙われたということで、敵はひとまず足止めに成功している。
「早く倒したいけど、焦ったらだめだね」
シルフィードが釘付けしている間に、もう一体が倒れればいいのだ。
攻撃を取捨選択し行動する。
ハリーヌは味方と敵の位置を確認し、使う攻撃を瞬時に考えた。【炸光矢】を放ち、敵がこちらに1体向かってくるため【精密射撃】にする。
「こちらにもいると理解したようでございますね」
それでもすることは変わらない。確実に攻撃を当てるのだ。
ゴブロウタは敵がまとまっているうちに【ストーンブラスト2】を放った。敵がこちらに向かおうとしているのか動きが変わった後は【メテオライト2】で攻撃をする。仲間の位置を考え最良を選択する。
「先手必勝、短期決戦……」
を意識し、攻撃を重ねた。
マタリキーはヤギたちがおろおろしているため、用心する。
ウルはじっと戦況を見つめる。
「守るにしても攻撃をするにしても、見るてことは必要すよ」
「ああ……」
「俺の頭なでてもいいすよ」
「ああ……てか、いらねー」
ウルは苦笑し、緊張がほぐれた。
一対一で対応していると距離が近くなり、シルフィードは敵に殴られる。
距離を離したいけれど難しい。なら、仲間の援護が来るまで相棒と共に、回避し、攻撃し、耐える。
しばらくすると1体は討伐されたらしく、シルフィードの前の敵に矢が突き刺さった。
こうなれば、討伐までの時間は早かった。
敵がいないことを確認し、進む。
●無事
「ここからフィルエス大森林……」
ウルが森を見つめ息を吸った。
一呼吸後、歩き出す、冒険者たちとともに。
木々が生い茂り、様々な高さの木や草が生えている。
道があるのかないのかわからないところウルは歩いていく。それでも荷馬車は通れる。
木の様子が違うことを注意深く見ていないと迷うかもしれない。
休息を挟みつつ進む。
森の奥に来て、ハリーヌはウルの尻尾が落ち着きをなくしているのに気づいた。
「そろそろ目的地でございますか?」
問われた瞬間、ウルの尻尾がブワッと膨れた。
「わかりやすいでございますね」
「……うるせー」
ウルは噛みつく。
「つまり、そこね、お届け先は」
シルフィードは先を見た。
集落の入り口を示すようなものが見える。
「ヤギ、無事につきそうだな」
ゴブロウタは気を抜かず馬車を操作する。
ウルは馬車の陰とマタリキーの後ろに隠れる。
「そんなに嫌す?」
「心の準備ができてねー」
「こんなに長く旅をしていきたのにすか?」
マタリキーに言われて、ウルは口を尖らせた。
里の方から若いエルフ三人が出てくる。
「外の人間だ。あれ? まさか、ウル?」
「隠れているつもり? 尻尾見えているし」
「ウルの友達? 外の?」
口々に言い冒険者たちを囲む。
「これをグレイオンスさんに届けるようにいわれたの」
シルフィードがいうとエルフたちは「あの2人が送ったのか」と異口同音に聞く。
「あのモフリスト、過去にもしたことがあるの?」
三人のエルフはウルを指さした。
「え、ええ……」
シルフィードがなんと言っていいかわからず呆れる。
ゴブロウタは「そのまま里の方に運んでいいか?」と問う。
「行こう」
三人のエルフが先導するため、ゴブロウタは馬をそちらに向けた。
ハリーヌはウルの服をしっかり握り、逃亡防止ししつつ、馬車についていく。
「ここまで来たのでございますよ」
里の入り口では大人のエルフもおり、グレイオンスもいる。
ハリーヌを引っ付けたままウルが逃亡を図ろうとする。
「ダメすよ。依頼は、アンタも連れていくことす」
マタリキーに言われてウルが不満そうな顔になる。
先についたシルフィードとゴブロウタが説明しているところに、ハリーヌとマタリキーがウルを捕まえて到着する。
エルフの視線がウルに集まる。仕方がなく、ウルはマタリキーの後ろから出て帽子を取る。
「ただいま……戻りました」
「大きくなった」
グレイオンスの言葉に、ウルは嬉しそうに尻尾を揺らしたが、頭を撫でられ「あああああ」と呻いていた。
年齢が上そうなエルフたちも、ウルの頭をなでた。小さい子が帰ってきて嬉しいという雰囲気。
「依頼の内容は聞いた。無事荷物を届けたことは感謝する」
グレイオンスは言葉を切ったあと、
「前置きなしに、なぜ、ここにヤギを送る」
というが、心なしか怒っているような声に聞こえる。
ヤギが必要だったというならまだしも、送りつけられたのだから怒っても当然かも知れない。
なお、冒険者たちはエルフの里で一晩過ごすことになる。
冒険者たちに若いエルフたちは話を聞きに現れた。外の様子を興味深そうに聞いていた。
翌朝、世話された馬と共に帰路につくのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜6人
2021年06月07日 22時49分27秒 公開
相談掲示板
うす。よろしくおねがいするす。 定住・・・いい響きすね。よろしくす。
大森林までヤギ…とウル様を連れて行くのでございますか? ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 長旅になりそうでございますが、皆様よろしくお願いいたします。 徒歩ではヤギもワタクシ共もつらいでございましょうから、やはり荷馬車を借りたいでございますね。 ウル様は授恵者でいらっしゃいますし、無理やり連れていくのは難しそうでございます。 なぜお逃げになりたいのかをお聞きして、説得する方向で考えたいでございますね。
よろしくおねがいします。 >荷馬車 あるに越したことはないかと。 そうなると御者が要りますけど、その辺りは相談で。 >歩哨 ざっくり言うと夜警が要るかどうか、の話ですが。 その辺りもまあ詰められれば詰めときたいですね。 担当者は昼間は荷馬車の中で寝ててもらいましょう…
やはり夜は野宿でございましょうか? 日が暮れる前に村や街を通ったら、無理せず朝まで留まったほうが良さそうでございますね。 都合の良い場所に人里がなければ野宿でございますので、1日ごとに順番で夜の見張りを決めておくでございます。 それにしても、お届け先はグレイオンス様… 大森林のお偉い方ではございませんか? ククッ…
開いてるんで、ぼく、参加させてもらうよ。 ぼく、シルフィード・フェルナール。よろしくね。 今回はビアンカ(大鼬)連れてこようかと思うんだ。 馬車の上で見張ってもらうんだ。 あの、ナツキ・エルって人はモフリストだから… ヤギ3匹って、何するつもりだったのかな??
人数が揃いましたね。改めてよろしくどうぞ。 >夜警 メタな話になりますが、いっそのこと >>あなたがなぜ冒険者をするのか話したり。 これを夜警時に、というのも有りですかね。 あんまり聞かれたくないっていうヒトもいるでしょうし。 ともあれ、日毎に順番で、というのは賛成です。
お。シルフィードさん、ごぶさたしてるす。 モフ…たしかに…これは俺もモフモフを盛っていったほうがよいすかね……。 経路や道中について、了解すわ。日毎もいいすね。多分まあ・・・イイカンジにしてくれるでしょう、うむ。 俺はどうしようすかね……超聴覚あたりがあれば結構使い勝手がよさそうかな、と思うんで、そちらは持ち込もうかと。
シルフィード様、どうぞよろしくお願いいたします! モフモフでございますか? ワタクシはこのナリでございますが、なにぶんほとんどが針でございますから… ゴリラでも良いでございましょうかねぇ。 道中の襲撃に備えて、ワタクシは捜波とサーマルアイなどをセットしていくでございます。 ヤギも逃げ出してしまわないよう、草を食べさせている時もロープなどで繋いでおいたほうが良さそうでございますね。
>道中 私は暗視があるんで、そちらを持参予定。 後は天眼もってくかどうか、ですかね。
ぼくは、看破とホークアイかな。
とはいえ、あのモフリストに合うのはスタート時だけだから、あまりモフモフ関係なかったりするな。