奇女は魔法学院の夢をみるか

夜帷かもめ

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シナリオID:925

オープニング

 グランスパーダから一週間弱ほどの距離にある、とある貴族の私邸。ここには、この地を治める伯爵がその親族と共に暮らしていた。
 季節は春から初夏へと移り行く時節。窓の外に芽吹いている鮮やかな緑をベッドの上から見遣りながら、少女が傍付きの爺やへと呼びかけた。

「ねぇ……イェルク?」
「なんでしょう、お嬢様」
「わたくし、元気になったら――学校(・・)に通ってみたいわ」
「ええ、そうですね。きっと楽しい事でしょう」

 カテリーナというその少女は生まれつき身体が弱く、社交界へも出たことが無い。屋敷の敷地の中だけが彼女の世界であったが、通いの商人が持ち込む書物がその寂しさを紛らわせる友となった。
 最近の彼女のお気に入りは、『ハッタリ・ポッチャリと秘密の皿』と題された物語である。ポッチャリ少年が異世界で至高の一皿(料理)を求めて旅する、魔法活劇美食ロマンものだ。その中に魔法学院での日常生活が描かれることが多々あり、少女カテリーナとしては同じ年頃の男女と共に学ぶということが興味の的となった、という訳だ。

 身を起こして執事のイェルクに理想の学院生活について語るカテリーナ。その瞳は生き生きと輝いていたが、しばらくすると息切れを起こしてまた床へと臥せってしまう。ままならない身体を恨みながら、カテリーナは天井を見上げて言った。

「本当に、学院に通うことが出来たらいいのに」

●
「――という話があってね」

 稀代の変人あるいは残念な天才こと、クリオシティーヌ(キュリィ)・G・フォンタリオテは冒険者ギルドの受付嬢に依頼票を差し出しながら言う。

「まあ、かわいそうな話だよ。カテリーナお嬢様の身体は、これ以上良くなる事もないらしい」

 つまりは彼女の夢、学院に通うという願いが叶うことは無い。

「それを伯爵始め周囲の人間も残念に思っていてね」

 せめて、夢だけでも学校生活を体験できないかと呪術や魔法にも手を出したのだという。その、流れで。

「ワタシにも声が掛かったんだ」

 元はと言えばパンクリアースで研究者としても実績のあるキュリィである。その知識を頼ってというのはさもありなん。

「いろいろと睡眠薬や劇薬、向精神効果のある薬草なんかを混ぜたらそれらしいものは出来たんだが」

 なにぶんモノがモノだけに、身体の弱いカテリーナお嬢様にいきなり使うのは憚られる。一回はキュリィ自身が試したものの、念のために授恵者(実験台)を使ってもう一度安全性を確かめておきたい。

「この薬を飲んでから寝ると、おぼろ気にだがどこかの学院らしい(・・・・・)場所にいる自分の夢を見ることが出来る」

 そこで何ができるかは夢を見た者の自由だが、目覚めた後で身体に不調が無いかを確かめたいのだという。

「まあ、恐らくは大丈夫だとは思うが」

 そこは貴族ゆえの難しさ、研究者自身の言葉だけでは娘を怪しげな薬の実験台とする訳にもいかないのらしい。

「薬はカテリーナお嬢様の分を残して、およそ6人分ある。ぜひ試してみて欲しい」

解説

夢オチシナリオとなります。ハッタリ・ポッチャリはリプレイには登場しません。 目的:アプリーリス魔法学院の学生として一日を過ごそう ・学院生の何気ない日常の一コマ ・魔法学院ならではの授業の風景 ・寮対抗戦などの催し物 などなど……。 設定: アプリーリス魔法学院はエイプリルフールイベントにて登場した架空の学院となります。AnnihEpicaとは一切関係ない夢の中の世界のみに存在する学院です。 所属寮などの描写が必要な場合はプレイングに明記をお願いいたします。 エイプリルフールイベントの詳細は https://alpaca-connect.com/news/1070 にてご確認ください。 注記: 本シナリオ中の出来事はあくまで夢の中の出来事です。実在したことにはなりません。また、シナリオ中の記憶はあなた達が目覚めた時点で霧のように消えてしまいます。 ぼんやりとした感情の残り香などはあるかもしれませんが、それも朧げなものとなることでしょう。

マスターより

こんにちは、かもめです。 PCさんからのリクエストを受け、アプリーリス魔法学院のシナリオを出せる運びとなりました。 相談期間は少し長めにしてありますので、お誘いあわせの上で合わせノベルのように遊んでいただいても構いません。 ショートシナリオの最大文字数は6000字ですので、4人ならばひとり頭1500字弱、6人ならば1000字弱の割り当てと考えていただければ大丈夫です。

リプレイ

 羽ペンが紙に文字を刻む音が規則正しく響いている。

 かりかり。

 かりかり。

「――?」
 ふと、視線を感じてイズレンディル・パラリムが手元から視線を上げると、コルネリウス・アーラと目が合った。
「コルネさん……」
「あ、あはは……」
 コルネリウスは、バツの悪いのを隠すように彼から視線を逸らす。普段であれば穏やかな彼の瞳に見つめられるのはとても嬉しいことだが、今ばかりはその視線を受け止めきれなかった。何と言っても、先ほどからまったく課題が進んでいないのだ。

「少し、休憩致しましょうか?」
 そんな恋人の様子を見て、イズレンディルは苦笑した。アプリーリス魔法学院は中間考査の時期である。試験対策という口実のもとに、コルネリウスがイズレンディルの部屋を訪れたのは一時間ほど前のこと。
 だが、その言葉とは裏腹に彼女はいまひとつ勉強に身が入っていなかった。
(もう、あと一年もないのよね……)
 イズレンディルは学院の六年生(最上級生)。次の春が来れば、彼は学院を卒業してしまう。その一方で、自分にはあと二年も学院での生活が残っているのだ。残り少なくなった時間を惜しむように、コルネリウスは恋人との逢瀬を楽しんでいた。
 その気持ちには、イズレンディル自身も気が付いている。だから、彼もまた、こうして愛しい彼女へと視線を投げかける。水縹の双眸を見つめ返して、コルネリウスはこくりと小さく頷いた。

「今日はずいぶんと捗りましたね」
「本当ですか? それなら良かったです」
 小休止を入れたあと、もう一時間あまり課題に集中すると試験の対策はずいぶんと進んだ。考査への手応えを感じた二人は、いまは並んでソファへと座って息抜きを入れていた。更にその横には、コルネリウスの召喚獣であるニラさん(ニラミズク)がひじ掛けに留まっている。
 軽めのスコーンに渋めの紅茶が疲れた脳みそに染みわたる。
「ニラさんもお菓子をどうぞ。少しお暇でしょうか?」
 その柔らかな羽毛をもふっているコルネリウスの横でニラミズクは逃げるでもなく視線を部屋の四方へと投げかけていた。イズレンディルが小さく砕いたスコーンを差し出すと、小さな嘴でひとつ、ふたつと啄ばむ様子はずいぶんと彼にも慣れているようだ。

「まだ、夕食には時間がありますね。それまで、髪を結わせてもらってもいいですか?」
「本当ですか? はい、ぜひお願いします!」
 その提案には、コルネリウスも即座に頷いた。邪魔にならないようにアップにまとめていたコルネリウスの髪を解きながら、イズレンディルはその間に指を通してゆく。髪や首筋に触れる指先の感触をくすぐったく感じつつ、鏡越しに彼へと視線を合わせるコルネリウス。イズレンディルの指によって髪を梳かれ、編まれてゆく自分の姿を見ながら彼女は背中に彼の温かさを感じていた。
「コルネさんはどんな髪型も似合いますね」
 出来上がりです、とイズレンディルが声を掛けると、コルネリウスはゆっくりと瞳を開いた。少し、うとうとしていたかもしれない。丁寧に結われた髪には、青いリボンの羽根飾りが結ばれていた。それは普段、自身(イズレンディル)の髪を留めているもの。
「交換です」
 そういって笑うイズレンディル。その笑顔がくすぐったくて、彼女は上気した顔を少し横へと向ける。長く下がった髪の先で、羽根飾りが揺れた。
「ありがとう……ございます。お返しに私も」
 今度は前後を交換して、コルネリウスが彼の髪を結う。
「イズさんの髪、とても綺麗で好きです」
 男性ながらに丁寧に手入れされたその髪は、一本一本が月の光を紡いだ金糸のようであった。そんな髪を、一束手に取り、梳いて、結ぶ。手に取るのは柑子色のリボン。流れる時間が永遠のものになればいいのに。そんな子供じみた願いを籠めて、きゅっと結び留めた。
「そうですか? ふふ――ありがとうございます」
 それはきっと、二人同じ気持ちで。夕食の時間を告げる鐘が鳴るまでのひと時を、彼らは楽しんだ。

●
 エーファ・メイベル・マジェリトの朝は早い。

「さて……薬の調合はどんな具合でしょうか?」
 まだ日も上り切らず、薄闇が校舎や宿舎を包んでいるうちから彼女の一日は始まる。今日は、この数か月エーファが心血を注いできた魔法薬の試作品が出来上がる日である。少しまだ眠い目をこすりながらも、その瞳には爛々と好奇心が宿っていた。
 講義が始まる前に、薬の出来栄えを確かめたい。そう思って、いつもよりも早く宿舎を出たのだ。特別教室が並ぶ第二校舎の一角に、彼女の研究室はある。運動場を横切って(ショートカットして)第二校舎へ向かうと、何やら民族衣装風の服を着た褐色肌の少女(サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ)が一人。運動場の中央で演舞をしていた。
「アイヤー……ハッ!」
 元気よく声を上げる少女を横目に見ながらエーファは研究室へと急ぐ。

 普段であれば、この時間にはまだ人気のない一角。だが、今日はそこに先客がいた。
「貴方、この部屋の使用者ですか? 中を確認させてもらってもいいでしょうか」
 エーファに声をかけたのは、リサ・ベイカーだ。『お嬢様(レディ)』として学院内に名を馳せているリサは、トラブルがある度にこうして解決や仲裁に呼ばれている。別段『風紀委員』のような役職に就いている訳では無いのだが、何かあったら彼女へ相談するという向きがあるのは否めない。
 そんな彼女へ、「特別教室から異臭がする」と早朝に問い合わせがあった。その為、リサはこうしてエーファの研究室にやってきたのだ。

「ええ、問題ありません。今すぐに鍵を開けますよ」
 元より、エーファ自身も部屋の中に用がある。リサを伴ってドアを開けると、リサがうっと顔をしかめた。部屋の中は、何とも言えない甘ったるい匂いが充満している。ドアの外よりも一層濃いその匂いは、一息嗅ぐだけで眩暈を起こさせるほどだ。
「何ですか……この匂いは。あなた、何ともないのですか?」
 そんなリサとは対照的に、エーファはなんの躊躇もなく部屋へはいると、実験机の片隅に仕掛けられていた蒸留器を止めて何やら薄桃色の粉末をガラス容器から取り出した。
「これは私が調合した薬です。全身が数十年かけて機能不全に陥る奇病。それから人々を救う、希望の光となるはずの、その試作品ですよ」
 匂いに慣れ切っているエーファは、リサの困惑を他所に薬の効能について語る。
「不生不滅の化け物の唾液、今にも死にそうなふわふわした毛玉の生気、生きている焼き鳥の羽、夜昼なく働かされている番犬の眠気……素材集めには随分と苦労しました」
「あの、それは構わないのですが」
 恐らくは上級生(六年生)だろう。滔々と苦労話を始めたエーファに、リサは言葉を選びつつやんわりと釘をさす。
「共用の設備でもありますから、匂いやその他、周囲に漏れることが無いようにはお願いします」
 窓を開けて換気をすると、少し匂いが薄らいだ。この調子なら午後には問題なく使えるだろう。エーファから追加の説明を受け、顛末を報告書にまとめると既に課業の開始が近い時間となっていた。
『魂の記述史』の講義を受けるというエーファと別れ、リサも彼女自身の講義を受けるべく第一校舎へと向かった。

●
「いやあ、すごい匂いだったさぁ」
 第二校舎から歩いて来たのはフリューリングスルフト(フリュー)=ティエラだった。校舎裏の畑から、魔法具作成に使えそうな素材を採集(失敬)してきた帰りのこと。嗅ぎ慣れぬ甘い匂いがしたので各所へと連絡をしていたら遅くなってしまった。
 あの匂いには随分と面食らったが、それでも今日はいい収穫があった。虹色トウガラシに羽搏き鳥の羽根もたくさん手に入った。これなら『ブリーチ(七色)・(の)ボム(髪染め)』や『幽霊の書き手(自動書記ペン)』も作れるに違いない。
「――は! のんびりしてたら授業に遅れてまう……あの先生怖いんのに!」
 視線の先には、校舎の中へと駆けてゆく学生の姿。我に返ったフリューも、戦利品がいっぱいに詰まった採集かごを手で押さえながら走る。

●
 窓越しに陽の光が差し込む教室の最前列で、エーファは講師が板書する内容と手元のメモを見比べていた。
「え~、魂というものは長らく感覚と表象と理性。この三つの観点から認識、あるいは表現できると考えられてきた。だが、これに異を唱えたのが魂源派であることは先週に話した通りだ」
 講師の説明を聞きながら、大きく頷くエーファ。試験無しのレポートのみで評価される為、毎年一定数の聴講生が集まるこの講座だが、内容の難解さや説明の平坦さ故に途中で脱落する者も少なくない。教室の後方では出席だけはしたものの、内職に精を出す学生の姿も見受けられた。
(今日は――私の先祖(苦痛派)の提唱した理論についてでしたか)
 入学以来、六年に亘ってこの講義を受けているエーファは今となっては講師の片腕と言っても過言ではない。この先に続く説明資料の作成の為に、文献を調べる手伝いを頼まれた際のことを思いだしながらエーファは熱心に講義を聴講していた。なかなか現代理論に辿り着かない講義ではあるが、彼女に取っては全ての学派の主張が面白い。 

●
「む? あれは……イズ先輩とコロネ?」
 午前の課業を終えたサフィラが行く手に見かけたのは、コルネリウスとイズレンディルの二人である。食堂へと向かう道すがら、手を繋いで歩いている様子は傍から見ても仲睦まじい。
「イズ先輩、こんにちはアル。コロネもお疲れさまネ」
 走り寄って声を掛けると、二人揃ってサフィラへと振り向く。
「こんにちは、サフィラさん――そう言えば、コルネさんとサフィラさん。二人はお知り合いだったのですね」
「はい! 購買で出逢ったお友達(ライバル)です」
「コロネとは負けられない戦いを繰り広げた仲アル――それにしても」
 おご馳走さまアル(糖尿病になりそうな程の甘々空間アル)」とサフィラがコルネリウスをつつくと、彼女は耳まで赤くしてイズレンディルの陰へと逃げる。やいのやいのと言いながら食堂へ行くと、早くも席は半ば埋まりかけていた。
「今日はチョココロネにするアルか?」
「どうしましょう……」
「購買のパンも美味しいですが、食堂のメニューも負けていないから目移りしますね」
 座席を確保して、献立を思案する三人。そんなサフィラの目に、期間限定メニューのポップが飛び込んできた。
「む――? Wカツセット……?」
 見れば、トンカツにカツ丼、味噌汁がひとつのお盆に乗ってセットメニューになっている。カツ丼も、トンカツも単品でそれぞれ一人前の分量だ。
「大盛り、いや。それ以上ですね」
「これ考えた人は真性のアホだけど、天才ね」
 イズレンディルが苦笑する横で、サフィラは目を輝かせる。
「おばちゃん、Wカツセットメガ盛りで頼むネ!」
「あいよ、限定メガ一つね」
 小気味よい返事と共に、衣が付けられたカツが二枚、油で揚げられてゆく。きつね色に染まるカツを横目に見ながら、コルネは「私は……普通の肉野菜定食にします」と呟いた。

 サフィラにコルネリウス、イズレンディルがそれぞれに昼食を確保して席に着いたところへ、リサが通りがかった。
「サフィラさん、お元気……そうですね」
 サフィラの前には、湯気を立てて小さく油の泡が弾ける揚げたてのWカツセットメガ盛りがある。一方のリサが手にしているのは、小ぶりのランチセットだ。
「ご一緒にどうですか?」
 イズレンディルが声を掛けると、リサも首肯する。四人で歓談しながら楽しいひと時となった。

●
「ここをこうして……っと」
 放課後。フリューは朝方に採集した素材を使って魔法具の制作に精を出していた。虹色トウガラシを種とそれ以外に分け、種は水分が飛びきるまでよく乾煎りする。皮や葉は細かく刻んで、アルコールに漬けると鮮やかな赤や緑の色が抽出できた。それぞれの色素を水や小麦粉と混ぜ込んで、丁寧に練り上げると煙玉の核が出来た。
「どんなもんさぁ?」
 試しに一つ、核を取り出して火をつけてみるとバチバチと火花を上げつつ七色の煙が立ち昇る。

「フリュー、暇アル。何やってるアルか?」
 遠くからでも目立つその煙を見てやってきたのはサフィラだった。
「はろー、サフィラ。今日は煙爆弾の試作さぁ」
「むむ、何やらおもしろそうアルね。手伝ってもいいアルか?」
「もちろんさぁ。一緒にやるの、大歓迎!」
 暇を持て余したサフィラの手を借りながら、フリューは更にいくつかの煙爆弾を作っていく。芥子山椒に海鳴き貝の貝殻、ディズルの泥炭などさまざまな色味の素材を加えると、髪染めの色は複雑さを増していった。

「こういうのってどこからアイデアを見つけてくるネ?」
 サフィラは思った疑問を口にする。学院の講義で学ぶ理論とは、また一風変わった特徴を持つフリューのイタズラは、見ていても面白い。
「ううん……そうなぁ……探検とか?」
 暇があれば学院のあちこちに潜り込んで、興味のままに探索活動をしているフリューの見聞は広い。
「あとは、ほらやっぱり。うちは、た……」
「た?」
「――! たのしい事、好きだからいろいろ普段から何が出来るか考えてるさぁ」
 口を滑らせかけて慌てるフリューだが、その内心にサフィラが気が付くことは無かった。なるほど、と素直に関心してサフィラはまた作業に戻る。単純な作業だが、煙爆弾を練るのはコツが分かると意外に面白かった。

『DOM☆』

 出来上がった試作品を手に、二人は日が傾き始めた学院へと繰り出す。通りすがりの学院生に煙爆弾を撃ち込むと、爆音と激しい閃光が炸裂した。目を回してひっくり返った学院生の髪は、虹色に光るアフロヘア―になっていた。
「やったさぁ!」
 実験の成功に手を取り合って喜ぶ二人。目を覚ました学院生が悪戯の主を探して怒声を上げると、きゃぁと笑って逃げ出した。その影を追って走る学院生が疲れて息を吐く頃には、髪に付いた色素も落ちて元通りの髪型へと戻っている。

「フリューと一緒だと退屈しないアル。今日のお礼に、おやつ買ってきたから一緒に食べるネ」
 サフィラは懐から焼き菓子を二つ取り出す。木陰に並んで座り、それを齧ると生地に浸み込ませたシロップがじんわりと口の中へと広がった。夕方の風は涼しく、肌に心地よい。
「今度は空飛ぶ雲を作ってみようと思ってるさぁ」
 次の試作品の構想を熱っぽく語るフリュー。その横顔を、サフィラはじっと眺めていた。

●
「今日も一日、賑やかでしたね……」
 どこかで誰かの声が聞こえる。ひとしきりの実験を追えて、エーファは自室へと向かって歩いていた。腰にはたくさんの金属板が、じゃらじゃらと鳴っている。その一つ一つに、過去に亡くなった彼女の一族の名前が彫られていた。
 死後の魂は本質的な拠り所に宿る。そうエーファは信じていた。祖先の霊が迷う事がないように、名を刻んだタグを身に着けて彼女は歩いてゆく。魂の記述についての研鑽を深めることが出来れば、彼らの寂しさも紛らわせることが出来るだろうか? 問いかけに答える声はなく、じゃらりともう一度金属板が鳴った。

マスターコメント

試作品のテストお疲れさまでした。 皆さん楽しく学院生活の夢を見られたようで、依頼主としても満足のいく結果となったのではないでしょうか。残念ながら目覚めれば夢は泡のように消えてしまいますが、きっと楽しかった記憶はどこかに名残を感じる事ができるでしょう。 この結果をもとに、キュリィはカテリーナお嬢様へも夢を見せるに違いありません。今回は試作品故に全ての夢を叶えることは出来ませんでしたが、また別の機会があれば更に色鮮やかな夢が見られるかも……しれませんね?
ショートシナリオR

ショートシナリオR普通 報酬:多い6 / 4〜6人

2021年06月06日 11時16分20秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. リサ・ベイカー

    あれ?ここは… あ、薬の効果ですね?えーとなんだっけ。 あ、スワン寮5年生、と言う事になっています。リサ・ベイカーです。 よろしくお願いしますね。 何か合わせたい事がある方がいれば、おっしゃって下さいね。

  2. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    む?ここどこアルか?(きょろきょろ) あたしの名前カ? グリフォン寮一年のサフィラ、アルよ。 あたしは武術の練習か何か食ってるアル。 よろしくねアルよ。

  3. イズレンディル・パラリム

    グリフォン寮6年のイズレンディル・パラリムです。 宜しくお願い致しますね。 リサさんがスワン寮で別ですが、サフィラさんとは同寮ですね。 学年は異なりますが、寮では顔を合わせたりという事もあるのかもしれませんね。 他の皆さんも寮が違ったり一緒だったりと、どういう組み合わせになるのか楽しみですね。 学院生活が楽しみです。 私はコルネさんとご一緒させて頂く予定です。 皆さんとも何らか関われると嬉しいですし、皆さんがどのように過ごされるのかも楽しみにしておりますね。

  4. フリューリングスルフト=ティエラ

    うわっはぁーい! おうりゅっ……こほん。オウル寮2年フリューだよ! いたずら仕掛けたり、道具作ったり、道具のアイデアを探し回ってるかもさぁ。 絡みびっぐうぇるかむ(大歓迎と言いたい)やから、学院で会うたらよろしくさぁ!

  5. コルネリウス・アーラ

    ペガサス寮4年生のコルネリウスです!よろしくおねがいします。 皆、寮も学年も結構バラけてるんですね。 私はイズさんとご一緒させて貰う予定です。 学内でお会いしたらよろしくおねがいします。

  6. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    >イズレンディル む?イズ先輩もここに来たアルか。 彼女とデートアルか? 存分にラブラブしてくるアル。 >コルネリウス …!(顔を見て驚き) お前は!いつぞやのチョココロネ女!! ここで会ったが百年目!勝負するア… む?お前、イズ先輩の彼女アルか?

  7. エーファ・メイベル・マジェリト

    サーペント寮六年のエーファです。学内で会ったら宜しくお願いいたしますね。

  8. コルネリウス・アーラ

    >サフィラさん …!えっと、サフィラさんでしたね! はい、そうですけど…。 チョココロネ女じゃなくてコルネです!名前似てますけど!

  9. イズレンディル・パラリム

    ふふ、はい、私はコルネさんとデートの予定です。 フリューさんがオウル寮、エーファさんがサーペント寮、ということでしたら、 ドラゴン寮以外は全て揃うのですね。 エーファさんとは同学年ですね、宜しくお願い致します。 コルネさんと寮で過ごす時間が長くなりそうなのですが、一緒に登校も予定しております。 もし字数の都合等も良ければその際に皆さんにご挨拶をさせて下さいね。

  10. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    >コルネリウスもといコロネ ふん!「チョココロネが好きなコルネリウス」だからコロネで充分ネ!! …ふーん、そういう事なら今回は見逃してやるアル。人の恋路を邪魔したら六本足の馬に蹴られてしまうアル。 >イズ先輩 甘々で胃がもたれそうだけど、軽く挨拶くらいはさせてもらうネ。 >フリュー 放課後ヒマだから遊び行ってもいいアルか? まぁ、話を聞いても半分くらいしか理解出来ないけど退屈よりマシアルね。

  11. フリューリングスルフト=ティエラ

    >サフィラさん お、もちろんさぁ! 放課後は試作中の「空飛ぶ雲」雲形の空飛ぶ絨毯の試運転とかしてるから、良かったら乗り心地とか運転の感想を聞かせてさぁ♪ あとは、悪戯道具を買ってくれてもいいんよ?(うしし、と笑って) 他のみんなも良かったら乗っていってさぁ! メタ的に言うとたぶん「絡みOK」ってプレにあればいける気がする(

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0