【燃纛】捕縛の騎兵隊
望月誠司
コメント 21
シナリオID:884
オープニング
アルサーラムの町の守備隊長ウィリアム・ブレイズが眉を顰める。
先日、町の生命線である森にゴーレムが出現し多くの被害が発生した。
冒険者達の手によってそのゴーレムは撃破されたのだが、ゴーレムがおよそ自然発生したものとは考えにくかった。
故に町は何者の仕業であるのか手掛かりを求めて、回収した残骸をその道の専門家がいる街へと運び込み調査を依頼し、ちょうど今、その結果がもたらされた所だった。
なんでも調査の結果によれば、ゴーレムは人の骨肉と金属を組み合わせたものに魂が籠められて動かされていたものらしい。
およそ常の業ではない。死霊を操る術師の業だ。外法である。
「調査してくださった魔術師曰く、ゴーレムの生成には作り手個々人の癖が大なり小なり出るそうで……例のゴーレムは、ベインという名の死霊術師による可能性が高いのだそうであります」
町へと帰還した騎兵ツェツィーリアが守備隊長へと調査結果を口頭で伝えている。
死霊術師ベインは過去に幾つも凶悪な事件を起こしたお尋ね者で、今は世間から姿を晦ませているが王国のさる貴族に匿われているのではないか、というのが業界筋の噂としてあるらしい。
「で、その貴族っていうのが、赤染めの橋のセンチネル伯爵くさいんじゃないかという話だそうで」
「『可能性が高い』だとか『ではないか』とか『だそうで』とか、予想と伝聞ばっかりで随分と確度の高い情報だなぁオイ」
「申し訳ないですねぇ、私もそう思いますよ」
「悪いな、責めてる訳じゃない、愚痴りたくなっただけだ……しっかし、勘弁しろよ、リーンエス王国の貴族だと……?」
「噂を集めましたが、センチネル伯というのはあまり評判の良く無い貴族みたいですね。普通だったら冒険者ギルドの直轄支部が置かれるべき規模の都市であるにも関わらず、敢えて”鉄の門”なる冒険者酒場を嘱託のままに留めおいて、そこに影響力を働かせて好き勝手をやっているとか」
「好き勝手?」
「下調べにコストがかかる厄介な案件に対し、替えの効く新人達を甘い条件で騙すように釣って突撃させ実態を把握させているんだそうです。新人達が成功したなら成功したでそれで良し、失敗して逃げ帰ったならその被害と証言から状況を把握して、自分の子飼い達に解決させ、子飼い達の損耗を抑えつつ、箔をつけさせているのだそうで」
「箔? 汚い上にくだらねぇ事やってんだな……と思ったが」
「ええ、そこに、死霊術師が絡んで来るとなると、また少し話が変わってくる」
「……つまり、わざと冒険者が死ぬようにも仕向けてるって訳か? 授恵者の死体を得る為に? 死霊ゴーレムの材料とする為に?」
「推測に過ぎませんが、得られた情報を総合すると、そういうカラクリな気がいたします。一石で二鳥も三鳥も狙ってる」
「…………だが……例のゴーレムを放ったのが王国貴族だとして、なんでアルサーラムに放つ? なんでこの町を狙う? 領土的野心というなら解りやすいが、確か上の方で取り決めがあった筈だぞ。切り取れん筈だ。王国貴族が帝国の領土は」
「ええ。ですから、センチネルがアルサーラムにちょっかい出しても何の得も無い筈なんですが……」
「ならセンチネルは違うか?」
「そう思います?」
「センチネルだってこれが証拠掴まれて公けになったら大損害だろ、下手すりゃお家取り潰しだ。なんの利益も出ないのにそんな危ない橋を渡るか? ……サリアンシア人がこの町を狙ってる、って話の方がまだありえそうだ」
「あー……連中ならやりそうでありますね。実際、この前も峠で襲ってきましたし。でも、噂を聞く限りじゃセンチネルは随分と狡猾な輩のようですし、またなんか悪知恵働かせて儲ける算段つけてたとしても驚きゃしませんよ私は」
「ありえない、とは言い切れんか……確かに、引き続き調査と警戒は必要だな……ほんと、厄介事だけは次から次へと襲い掛かってきやがる、クリーパーの相手だけでもきついってのによ」
町の守備隊長は深々と溜息をついたのだった。
●
東のシャルガネには『二匹目のドジョウ』なる言葉があるらしい。
「前回はとても良い実験データが取れました。今回もまたお願いしますよ」
さる王国貴族からの遣いは、そのように微笑して述べ、再びゴーレムをノリクムへと引き渡して来た。
もっとも今度のゴーレムは頭が竜ではなく虎だったが。
「二度目がそのまま通ると思うか?」
「通さないでしょうね聖騎士レイズなら。しかし……」
使者は言った。
「上からの命令は”やれ”です」
にこやかに微笑している。
「そこを通すのが、貴方の仕事、という訳です……断りますか?」
「解っている。引き受けよう」
選択肢というのはあまり数が残されていない。多少のリスクなら呑むべきだろう。
「ではノリクム、お前にこれを差し上げましょう」
微笑む使者は鞘に納められた一振りの鋼を差し出してきた。
ノリクムが視線で問うと、
「死霊の魔剣です。人々の断末魔と憎悪を練り込んで作られた――嘘か本当かは、知らないですがね。もし抜く機会が訪れたら、実戦での使い心地を教えてくださいよ。授恵者相手にも通用するのかどうか」
●
アルサーラムの町の人々は前回のゴーレム事件以降、森へと木を採集に行く際は、集団で固まって行動するようになっていた。
そして恐らく、町が雇った冒険者達だろう、授恵者らしき十人の男女が、町人集団の護衛についているようだった。
集団が森に入る手前の所で、ノリクム達が虎頭型ゴーレムを解き放つと、町人から悲鳴があがった。
冒険者達が慌ただしく迎撃行動に出る。
町人を避難させ、ゴーレムの注意を惹きつける。
虎頭ゴーレムは抵抗力が高くスキルで注意を惹く事はまず無理だったが、自身を攻撃してくる者から優先的に殺戮しようとするようで、冒険者達は上手くやっている様子だった。
ノリクムと二人のサリアンシアの民は、森の木陰に身を伏せながら、その様子をじっと観察し続け、データの収集にあたっていた。
観察を続ける事しばし、ノリクムは不意に気配を感じて背面頭上を振り向き仰ぎ見た。すると、伸びる樹木の枝上に、小さなリスが乗っていた。
リスはじっとノリクム達を見下ろしている。
なんだ、ただのリスか――とは、ノリクムは思わなかった。
魔剣の柄を握り抜刀一閃。剣の間合いの外であったが、剣の軌跡からカマイタチのような斬撃が発生してリスへと襲いかかる。
ただの小動物ならばおよそかわせる筈の無い、超速の一撃だった。
だが、リスは風の如く機敏に反応して身を翻した。斬撃は枝を斬り落としながら虚空を貫いてゆく。
「――レイズの目だ。退くぞ」
ノリクムは側のサリアンシア人達へと告げた。
「ゴーレムの観測は」
「捨てる。我々はまだ死ぬ訳にはいかん」
「冒険者達は今、あの虎頭ゴーレムと戦闘しています」
「アルサーラムの町は、十人しか冒険者を雇えないという決まりでもあるのか? 俺が奴なら、別動隊を用意しているぞ。この町の虎の子は騎兵だ、急げ」
●
彼方に青々とした山が見えた。
「――見つけた」
先頭を駆ける弓騎兵、ツェツィーリア・クラインが呟いた。
彼女の視線の先を追うと、獣の皮を頭部からかぶった蛮族達が、山の方へと向かい平原を高速で駆けていた。かなりの速度だ。
だが、冒険者達を乗せた騎馬の脚の方が速かった。
解説
マスターより
リプレイ
「止まったって事は、奴さんがたもやる気になった様だな」
鞍上、羽付き兜の女騎兵の後ろに同乗している紫髪のハーフリング――バーネット・フォーサイスは緑瞳を鋭く細めた。
身の丈140cm、ハーフリングとしては比較的高身長だが、人間の基準で見るなら小柄だ。種族特有の幼く見える外見もあって少年のように見える。だが実年齢は二十八歳だ。
そんなバーネットが向ける視線の先、彼方の大地を見やれば、先程まで草原を駆けていた獣皮をかぶった蛮族達が足を止め、武器を手に冒険者達へと向き直り身構えていた。
どうやらこちらを迎え撃つ腹らしい。
「気が変わって逃げられる前に……全員張っ倒すぞ」
「ええ、皆さん! ここで仕留めますよ!」
アルサーラム騎兵隊の隊長もバーネットと同意見のようで、羽兜のブロンドの娘は追走して来ている騎兵達を振り返って声を張り上げた。
「いい加減、あちらのやりたいように仕掛けられ続けるのも面倒ですしね。ここで流れをとりたい所です」
騎兵のうち一騎の後ろに跨っている白鱗のリザードマンが頷く。アクティオンだ。歪んだ優越感を持たぬようストイックな様をあまり表には出さないが『魂の階梯を上げる』という種族の基本に忠実な男である。
その身を包む、ゆったりとした緑色の外套が、疾走する騎馬の風を受け後方へと激しく靡いている。
「そいじゃ一丁やるか……この前のガラクタ程度にゃやれるのかね」
別の騎兵の鞍上後方に乗っているアーテミシアが、二つに結われた金色の長髪を、駆ける騎馬の躍動に合わせて弾ませるように躍らせつつ呟く。ドワーフ王国でドワーフとして育てられたエルフ娘は、172cmと女としては比較的長身で、大人びて見えるが、実年齢はまだ十五歳の少女である。
「たった三人でこの人数を迎え撃とうというのですから、腕に自信はあるのでしょうね」
毛先より翠のグラデーションを帯びる氷色の長い髪の、笑顔を張り付けるように浮かべた青年が鞍上より淡々とした口調で述べた。
陶器めいた色白の肌の、女とも見紛う美貌の青年だ。名をイデアという。二十歳の帝国貴族だ。感情が希薄で淡々と人形めいている彼の過去は凄惨なものがある。
「竜頭ゴーレムだっけか? 何だか裏で色々ありそーだが……まぁ、まずはあいつらをとっ捕まえて聞き出すしかねぇな!」
事前の打ち合わせに従い、ハヤト=ガラン=ヴォルファングは疾走する騎馬の鞍上より跳躍した。
銀髪を風に暴れさせながら、銀狼獣人の血を引くゴブリンの若者が、宙空へと赤銅色に引き締まった精悍な身を躍らせ、放物線を描きながら着地する。
足裏が地に接するとブレイブファング傭兵団の団長は、倒れ込む程に前傾の姿勢から、エーテルを全開に解き放ち、爆発的に加速して飛び出した。
風の如く、騎馬にも勝る速度で草原を駆け抜け、瞬く間に長大な距離を潰し、動物の毛皮を頭からかぶっている金髪少女へと肉薄する。
「――なっ?!」
百メートル以上の距離を一気に詰めて来たハヤトの突撃に対し、少女は碧眼を真ん丸に見開いた。まさかこの距離を一息に、そして突出して踏み込んで来るとは思っていなかったのである。
――相手がヒーラーであるとの確信が、ハヤトにあった訳では無い。
だが、金髪少女が手に握る刀は、聖職者達が使う祭刀に酷似していた。
その為、同種の力の持ち主である可能性が高いだろうと踏んだのである。ヒーラー達は味方を強化する術を使う、その使用を妨害したかった。
「くっ」
しかし、いかに速かろうとも、遠方から迫り来た真っ直ぐの突撃に反応出来ない程にヒーラー少女は鈍い訳ではなかった。むしろ、彼女の反応速度は抜群に良い。
その為、意表を突かれた少女ではあったが、矢の如きハヤトのタックルを、彼女はひらりと横に跳躍し鮮やかに回避した。
体当たりが空ぶったゴブリン青年の身が前方へとつんのめる。
「迂闊なアッ!!」
少女の声と共にエーテルが解き放たれ、ヒーラー少女、ノリクム、剃髪大男の身が淡い光に包み込まれてゆく。勇気の共鳴だ。
さらに獣皮の少女は刀の切っ先をハヤトの後頭部へと向け、先端に光を収束させた。
その光が撃ち放たれるより前、馬から降りたアクティオンは、エーテルを解放し精神を研ぎ澄ませ、ダマスカス鋼の弓に矢を番え引き絞り、狙いをつけていた。
(可能なら機動を潰したいところだが――)
しかし、部位狙いは中てづらく、かわされやすくなる。故にアクティオンは確実性を取る事に決め、胴体へと狙いを定め、はっしと矢を撃ち放った。
白鱗のリザードマンが構える弓から旋転する矢が風を巻いて飛び出し、草原の長大な空間を一瞬で突き抜け、金髪少女の脇腹へと唸りをあげ迫る。
錐のように回転する矢が、吸い込まれるように白肌へと突き立つ――寸前で少女は素早く身を捻った。鏃がヒーラー少女の腹を掠め、浅くその肌を裂きながら虚空へと抜けてゆく。
(――あれをかわすか?)
アクティオンは金瞳を鋭くした。
どうやら敵は、少なくともヒーラー少女は雑魚では無いらしい。並みの敵なら確実に中てていた鋭い一射だった。だが、どうやら敵の反応速度は尋常では無いようだ。
直後、ヒーラー少女の刀の切っ先より眩い閃光が飛び出し、ハヤトの後頭部へと迫る。
ハヤトは咄嗟に踏ん張るのを止め身をさらに低く沈めた。光の矢が頭上の空間を一瞬で突き抜けてゆく。
(殺る気だなぁ!)
殺意全開の一撃に口端を上げて笑いつつハヤトは草原を転がりながら身を起こす。
アクティオンの射撃で放たれるのが一瞬、遅れていたから、今のは避けるに余裕があった。並みの冒険者なら直撃だったろうが、ハヤトの体捌きもまた並みのレベルではない。
しかし剃髪の大男がすかさず回避直後のハヤトへと向かい迫らんと駆ける。が、後方から続いて来ていた白髪の少女がその進路上へと割って入った。
ティトである。
シルトラース帝国の、極北寄りの雪に覆われた村落で生まれた、一族唯一の純血な末裔であるハーフビースト。
「退け!」
「行かせない、よ」
白色の狼耳と尾を持つ、130cmの小柄な少女が、山のような剃髪の巨漢の前に、短剣を左右の手に構え立ち塞がる。
獣皮を纏った大男は、赤眼でティトを見下ろすように睨むと、両手持ちの長剣を霞に構えた。次の刹那、長剣が風を破裂させ鋭い音を巻き起こしながら掻き消える。
恐ろしく速い斬閃。
和洋折衷の衣類を羽織った少女は、緑瞳を驚愕に見開いた表情のまま、脳天から股下までを唐竹割りに両断された。
巨漢がニヤリと笑い、しかし、断面から赤色は溢れ出ず、その場に残って、次の刹那、掻き消えた。
残像だ。
すぐ後ろに五体満足の白い狼耳の少女が出現する。
剃髪巨漢が舌打ちし、一撃をかわしたティトは、凍てついたような緑瞳で涼しい顔をしていたが、内心では気を引き締めていた。
(今のは危なかった……)
切り札のアクセラレイターをいきなり切ってしまった。次はかわせるか? 考えると、背筋に冷たいものが流れ落ちる。
ティトの反応速度は非常に優れていたが、それでも剣筋が見えなかった。凄まじい剣だ。
実の所を言うなら、ティトの体捌きに対する大男の剣捌きの精度は素であるならほぼ互角だった。力量に差が無い。だが、勇気の共鳴が非常に大きく効いていた。
力量が高くなればなるほどにこの術は効果が強く働く。その差の分で、まともにやっては避けられそうになくなっていた。
「やはり手強い……一筋縄では行きませんか」
馬から降りて駆けているイデアがその緑瞳と天眼とで前方の戦況を見渡しつつ呟く。アーテミシアもエーテルを全開にチャージして加速し草原を前進中、距離を詰めている。
他方、
「こりゃあ、バラバラに攻撃してたんじゃ駄目だ。飽和攻撃しないと中らん。連携してくぞ」
ツェツィの後部に乗るバーネットが戦術眼で状況をはかり述べる。
「了解!」
羽兜の女弓騎兵は頷き、反時計回りに駆けている乗騎の進路を調整し、敵勢との間合いを詰めてゆく。
疾走し激しく揺れる鞍上にて、射程に入ると紫髪のハーフリングの男は、右手でツェツィに掴まりつつ左手で魔導書を翳した。
光球が草原の一点に出現し、次の刹那、光球は轟音と共に激しく明滅する稲妻の如き光を全方位へと向けて解き放った。アーケインテンペストだ。
アーケインの放電は範囲内の敵対対象に回避も抵抗も許さない。
無数の細い光の腕が、三人の蛮族達の身に絡みついて、その動きを鈍らせてゆく。
稲光が荒れ狂う領域へと向かい、駆ける騎馬の鞍上にて女弓騎兵が、上半身を左へと捻り弓矢を引き絞って撃ち放つ。
獣皮を纏う少女は空を裂いて迫り来た矢を祭刀を一閃し斬り払う。直後、意識を攻撃へと集中させているバーネットは魔導書を向け、空間の一点へと光を出現させた。光は球形状に膨れ上がり、ヒーラー少女、ノリクム、剃髪巨漢を呑み込んでゆく。
ヒーラー少女とノリクムは素早く身を捌いてかわし、しかし巨漢は避けきれず膨れ上がる巨大な光に囚われた。
巨漢の抵抗は高かったが、バーネットの付与力もまた尋常なものではなかった。
「ぬぅっ?!」
凶悪な魔力が抵抗を貫き光が巨漢に絡みついてゆく。稲妻と合わせその足を完全に止めた。
戦況を見据えていたノリクムは、反時計回りに機動する弓騎兵の進路先の方向へと稲妻を裂いて踏み込み、右の死霊の魔剣を振るった。
狙いは――バーネット。
斬撃の軌跡より、三日月状の魔法的な真空刃が飛び出し、紫髪のハーフリング目がけ唸りをあげて迫る。
「来るかよ!」
斜に構えたハーフリングの男は、かわせないと判断すると咄嗟に魔導書を翳し、その身に淡光の障壁を展開した。
エーテルバリアだ。
死霊の真空刃と魔法の障壁とが激突して鬩ぎ合い、明滅しながら光の粒子を激しく撒き散らす。
次の刹那、凶悪な破壊力を秘めた真空刃が光の障壁を突き破った。バーネットの腹に死霊の刃が喰い込んで、深々と抉る。
ハーフリングの男は鞍上で大きくよろめき、苦悶の息と共に血反吐を吐き出した。が、意識は失わずになんとか踏みとどまる。
ノリクムの火力は強烈だった。だが、バーネットの対魔障壁も破られはしたがまた強力だった。威力が大きく減衰されていた為、一撃で斬り殺される事はなかったのである。
一撃では。
(――二発目)
バーネットの視界に、二発目の真空刃が迫り来ていた。三連牙だ。ノリクムが持つ魔剣は一本故に三発は来ないが、二発は来る。
エーテルバリアは、五秒間に一度しか張れない。
今度は凶悪な破壊力が素通しで来る。
死の風をバーネットが感じた時、衝撃と共にその視界が急激に回転した。
紫髪の男の身が鞍上から転がり落ちてゆき、真空波が虚空を貫いて抜けてゆく。
ツェツィが咄嗟にバーネットを突き飛ばしたのだ。
ハーフリングの男は疾走する騎馬から草原へと叩きつけられ勢い良く転がった。
これはこれで結構なダメージが来たが、間一髪で真空刃をかわす事が出来た。
(荒っぽいなクライン……!)
胸中で毒づきながらもバーネットは全身の痛みを堪え、ノリクムを睨みつつ身を起こす。寝ていたら死ぬだけだ。
他方。
敵はクリーパーでも亜人でもゴーレムでもなく人間だ。人間の知能を持っている。
故にハヤトは、敵がこちらの防御の弱い箇所を狙って来る事を予想はしていた。
特にリスが見た光景によれば、ノリクムは飛び道具を手に入れていたようだったから、警戒はしていた。
しかし、彼の身は一つしかなかったので、ヒーラーへと突撃していたからには、ノリクムの妨害へは咄嗟には走れなかった。
今もそうだ。
当初の予定通りヒーラー少女へと三連撃を加えるか、それとも、後衛を狙っているノリクムの妨害に走るか。二つに一つ。
一瞬の逡巡の末に、ハヤトは風と化して駆けた。
「テメェは確かノリクムとか言ったな……今回は逃がさねぇぜ!」
銀狼の血を引くゴブリンは、紅蓮の焔を纏う爪を生やした手甲を右手に、左手に忍刀を携えてサリアンシア人の若長の前へと躍り出た。
――後衛は恐らく狙われたら持たない。
その判断からだった。
(俺を無視して他を攻撃するような隙を晒したら、それに合わせて首を刎ね飛ばしてやる)
睨みつつ何時でも急所狙いの必殺の一撃を繰り出せるように爪と刀を構え、足を止めずにノリクムの周囲を円を描くように機動する。
「いつぞやの傭兵か……」
ノリクムもその気配を感じ取ったか、二刀を構えてハヤトを睨み、僅かに立ち位置を動かしてゆく。微妙な距離で攻撃を誘っている。
他方、稲妻に絡まれているヒーラー少女は、ハヤトの後背を撃たんとして刀の切っ先に魔矢の光を集め、ティトはアーケインとスタティックの効果により完全に足が止まった剃髪巨漢から身を翻して離れると、ヒーラー少女へと向かい踏み込んだ。
「させない、よ」
獣皮を頭からかぶったブロンド娘は、舌打ちするとティトへと標的を変え閃光を発射する。
雪のように白い狼耳を持つ小柄な少女は、半身に体を捌きながら斜め前方へと踏み込み、間合いへと入り込みながらすりぬけるように光の矢をかわした。至近距離まで詰めざま右手に握った短剣を一閃、風を巻き弧を描くように斬撃を放つ。
鋭く走った刃光に対し、ヒーラー少女は後方に大きく飛び退って回避、さらにその瞬間、後背から飛来した矢を振り向きざま祭刀を一閃し斬り飛ばす。ツェツィの射撃だ。
(――ここだ)
白鱗のリザードマンがダマスカスの鋼弓に矢を番え狙いをつけている。
アクティオンはエーテルを全開に解き放つと、矢に風を纏わせ爆発的に射出した。旋転する矢はエーテルの風を受け加速し、雷霆の如くに金髪少女へと迫る。
斬り払い直後を狙われたヒーラー娘だったが、それでも超速で反応し、身を捻って機敏に上体を逸らした。
が、アクティオンから放たれた矢は今度は逃さず、その脇下に喰らいついて、錐の如く回転して肉を抉りながら深々と突き立ってゆく。
がはっと息を洩らしながら、金髪娘が大きくよろめく。どうやら、装甲は厚くないようだ。
「中れよ!」
すかさずバーネットが黄の魔導書を右手に持ち翳した。ヒーラー少女へ向けた魔導書より蜘蛛糸のようなエーテルが撃ち放たれる。魔糸だ。
アクティオンからの矢を受けよろめいていた少女は、かわしきれず、その身に光輝く蜘蛛糸の直撃を受ける。
少女の抵抗は非常に高いが、しかし、バーネットの付与も恐ろしく高い。エーテルの蜘蛛糸は、少女の抵抗を強引に押し切って、その小柄な身に絡みつき、動きを急速に鈍らせてゆく。
イデア、陶器のように白い肌を持つ彫刻めいた美貌の青年は、攻撃に意識を集中し黒の魔導書を翳し狙いを定めている。バーネットのアーケインと少し位置をずらした地点を指定し、自身もまた稲妻の嵐を展開した。
剃髪巨漢の付近に轟音と共に激しく明滅する雷光の領域が出現する。
「――通りますかね?」
毛先が翠にグラデーションする氷色の長髪を靡かせてイデアは、さらに魔導書を剃髪の巨漢へと向けた。エーテルを全開に解放、次の刹那、氷の矢が宙空に出現し勢い良く飛び出してゆく。
宙に煌きの尾を引いて飛んだ蒼い氷矢は、獣皮を纏う巨漢の肩に炸裂して、その肉を抉り血飛沫を噴出させた。集中により破壊力が増している。さらにその巨体へと冷気が纏わりついてゆく。
が、
「オオオオッ!!」
剃髪の巨漢が気合の声を発し冷気が吹き散らされる。抵抗が高い。BSまでは通らない。
直後、自認ドワーフな金髪エルフ少女が巨漢の前へと踏み込んだ。
「おう、よそ見してンな……いや、してていいぞ。その方が楽だ。半殺しで済ませてやる」
挑発するようにアーテミシアは言葉と共に笑みを向けた。
巨漢は怒りの咆吼をあげ、長剣を掻き消すように金髪の女戦士へと一閃する。
アーテミシアはエーテルを解放し盾を傾斜させ翳した。次の刹那、轟音と共に猛烈な衝撃が巻き起こる。盾越しでも衝撃が突き抜けて来る非常に凶悪な火力だ。が、しかし、そのダメージ量はアーテミシアの非常に頑強な装甲によって大幅に減衰されており、ドワーフとして育てられたエルフ娘の耐久力からすれば軽いものだった。負傷率およそ一割、余裕だ。
金髪少女は冷めた嘲笑を保ち剃髪の巨漢をその緑瞳で見返した。
「――やるってンなら全殺しだぜ?」
剃髪巨漢の額に青筋が浮かんだ。
他方、ノリクムが右手に握る死霊の魔剣と左手に握る長剣とで嵐の如き三連撃をハヤトへと繰り出している。
「中れば大した威力なんだろうけどよ――」
ハヤトは振り下ろしの一撃を横にスライドしてかわし、続く顔面への長剣を上体をスウェーしてかわし、三撃目の袈裟の斬閃を斜め下へと低く入って掻い潜る。真空刃が後方の何も無い空間を虚しく突き抜けてゆく。
「――相手が悪かったな!」
赤銅色の肌の青年は、伸びあがりざま雷を纏う具足で半月を描くように蹴り上げた。
ノリクムは半身に身を捌いてかわし、間髪入れずにハヤトは、蹴り上げた右足を切り返して振り下ろした。踵落としだ。
さらに振り下ろした右足で大地を踏みしめ前に出て、左の忍刀を薙ぐように一閃する。
偉丈夫は半身に身を捌いてすり抜けるようにかわし、続く横薙ぎを後方にステップしてかわす。
「面倒な奴だな……」
ノリクムは淡々と呟きつつ双剣を構え直す。ハヤトもまた弧を描くように機動しつつ爪手甲と忍刀を構え直した。
互いに中らない。
ティトが獣皮をかぶった少女へと向かい地を這うように低く踏み込む。ダマスカス鋼の短剣を下段より逆袈裟一閃。鋭く走った一撃を、金髪少女はエーテルの蜘蛛糸に絡みつかれつつも、機敏に飛び退いて回避する。
が、直後に飛来した矢を斬り払わんと振り向きざま振るった刀が、蜘蛛糸の影響で鈍り空を切る。ヒーラー娘の胸元へと矢が深々と突き立ちその衝撃力を炸裂させた。
「うぐっ?!」
剛矢によろけた所へアクティオン、矢筒から二本の矢を一気に引き抜くと目にも止まらぬ速度で連続して速射した。ラピッドショットだ。
よろけ、蜘蛛糸に絡みつかれている金髪少女は避けきれず、その背中と太腿に連続して矢が突き立つ。
「あぁっ!!」
さらにバーネットが魔導書を掲げ、魔球を射出した。
「爆ぜろッ!!」
唸りをあげて飛んだエーテルの光球は、獣皮を被った少女の身に炸裂すると大爆発を巻き起こした。
血塗れの満身創痍と化したヒーラー娘は、虚ろな瞳で自身に左手をあてると、エーテルを解き放った。
すると、出血がみるみるうちにおさまり、その瞳にも輝きが戻ってゆく、生命の河だ。全回復。まだ後一回使える。つまり、まだまだ耐えられる。
他方、イデアは引き続き意識を攻撃の為に研ぎ澄まし、黒い装丁の魔導書を翳した。
「射線は……範囲攻撃は控えますか」
天眼と緑色の瞳で敵味方の位置を見据えつつエーテルを解放、眩く輝く光の球を出現させ撃ち放つ。魔弾が唸りを上げて飛び、アーテミシアと交戦している巨漢の身に直撃して爆裂を巻き起こした。血肉が飛び散り、巨漢が牙を剥いて唸る。
その手に握る両手持ちの長剣が燃えあがるように一瞬、眩く輝いた。戦士の一断だ。
剃髪の巨漢が長剣を竜巻の如くに一閃し、アーテミシアは咄嗟にダマスカス鋼の盾に光を収束させ翳した。
長剣と盾とが激突し、傾斜に沿って刃が受け流されてゆく。完璧に防いだ。
「ハッ、これならこの前のガラクタの方が数倍マシだな。辞めたらどうだ? 戦士なんざよ」
金髪娘は緑瞳を冷たく細めて罵った。剃髪男の顔が憤怒にドス黒く染まる。
眼前の相手を挑発しつつ、その裏、冷静に戦況を見渡していたアーテミシアは、巨漢戦士へと斧を振り上げ斬りかかる――ふりをしながら、爆発的に加速した。強行突破だ。剃髪男は不意を打たれ反応が遅れた。バーネットの術で足が止まっている為、阻止できない。
チャージングで加速して駆けるアーテミシアは、生命の河で自己を治療していたヒーラー娘の後背へと回り込み接近すると、盾と斧を放り捨て背後から組み付いた。
「なっ?!」
羽交い絞めにされた金髪少女が肩越しに振り向いて動揺の声をあげ、
「やれッ!!」
アーテミシアがヒーラー娘を締め上げながら仲間達へと叫ぶ。
それを見たノリクムが咄嗟にアーテミシアへと真空斬を放たんと魔剣を一閃し、
「させるかっ!」
ハヤトが手甲爪を振るって刀身を横から叩き弾き飛ばす。
魔剣から飛び出した真空刃がアーテミシアの身を掠めすぐ隣の空間を突き抜けてゆく。ノリクムとハヤトが猛然と高速で剣と剣と手甲とを甲高い金属音を巻き起こしながら打ち合わせ始める。
ヒーラー娘がバーネットから受けていた蜘蛛糸を高い抵抗力で吹き飛ばす。だが今度はアーテミシアによって物理的により強力に抑え込まれてしまっていた。ジタバタと必死に暴れているが、戦士のアーテミシアの方が力が強い、振りほどけない。
ノリクムが速度を全開に動いている。左の長剣でハヤトを牽制しつつ、アーテミシアへと向かって連続して魔剣を振るう。
ハヤトは長剣を掻い潜りつつ、魔剣へと爪を振るってその斬撃を逸らす、が、強引に振るわれた一発を逸らし損ねた。
(くそっ!)
胸中で悪態をつきつつ、隙を見せたノリクムの脇腹目がけて蹴りを放つ。雷を纏う牙が偉丈夫の腹に喰い込んだ。
唸りを上げて飛んだ死霊の真空刃が、ヒーラー少女を後ろから羽交い絞めしているアーテミシアの背中に炸裂する。バックアタック。
ドワーフを自認する少女は非常に頑強だったが、しかしそれは物理攻撃に対してであって、魔法攻撃に対しては結構柔らかい。
背後からの壮絶な破壊力を受けアーテミシアは意識が一瞬遠退いた。だがしかし、彼女はタフでもあった。凄まじいダメージに喘ぎつつも豊富な生命力にものを言わせて踏みとどまる。無我夢中で暴れているヒーラー少女へも、歯を喰いしばり全霊の力を籠めて拘束し、根性で離さない。
――基本的に、身動き出来ない相手なら殺す事は造作も無い。急所を突けるからだ。
白い狼耳の少女は、羽交い絞めにされている金髪娘へ滑るように踏み込んで肉薄すると、凍てつくような緑瞳で見据え、ダマスカス鋼の短剣を白い喉元へと押し当て引き斬った。
獣皮をかぶった少女は青い瞳を一瞬大きく見開き身体を震えさせ、やがてその瞳から光を消し、首から下を真っ赤に染め上げながら動かなくなった。撃破。
他方、ツェツィーリアはノリクムの後方へと騎馬の機動力を活かして大きく回り込みつつ射撃している。アクティオンもまたツェツィの射撃に合わせて風読みの矢をノリクムへと撃ち放った。
ノリクムはツェツィの矢を身を捌いてかわすと、続くアクティオンの矢を魔剣を振るい斬り払ってかわした。直後、偉丈夫の身にエーテルの蜘蛛の糸が絡みつく。バーネットが離れた位置で魔導書を構えていた。魔糸である。
イデアは戦況を淡々と見渡しつつ、精神を攻撃に集中させながら移動すると、エーテルを練り上げ魔導書をアーテミシアへと向け光を放った。
放たれた光が金髪エルフを照らし、少女の身より痛みが引き傷が塞がってゆく。ヒールだ。
アーテミシアは先程放り捨てた盾を拾って装備しなおし、次いで斧を拾い上げている。
「ツェツィーリア! 退路を断っといてくれ!」
「任せておけであります!」
ハヤトはノリクムと攻防しつつ、ツェツィへと退路の遮断を叫んだ。弓騎兵隊長は承知していたようで、ノリクムから山方向となる離れた位置で、ぐるぐると駆け回っている。
バーネットの蜘蛛糸に絡みつかれていたノリクムだったが、しかしその攻勢は鋭さを増していた。攻撃に集中した動きで、嵐の如くに高速で双剣を縦横無尽に振るう。
ハヤトは視覚のみならず、すべての感覚を研ぎ澄ませて、さらに反応速度を向上させた。神眼法。襲い来る猛撃の悉くを紙一重でかわしてゆく。
「追い詰められたからって慣れねぇ動きをするもんじゃあねぇなぁ……隙が出来たぜ!」
攻撃に集中すれば、その分、防御は疎かになる。
一撃をかわしざま、懐へと飛び込んだ傭兵団の団長は、予備動作を発生させぬコンパクトな動きで手甲を繰り出した。
無拍子。
手甲より生える炎を纏った爪が、サリアンシア人の若長の身を深々と斬り裂いて抜けてゆく。
一撃の衝撃とバーネットの魔糸によって動きが鈍っている所へ、ティトが飛び込んだ。雪のような白い毛並みを持つハーフビーストの少女が波紋の刀身を持つ短剣を一閃する。刃が偉丈夫の脇腹を斬り裂き、次いでツェツィの矢が飛来してノリクムの背に突き刺さる。
さらに間髪入れずにアクティオン、風を矢に纏わせダマスカスの鋼弓より勢い良く射出した。
錐の如く旋転しながら唸りをあげて飛んだ矢が、ノリクムの脇腹に突き立ちその骨肉を深々と抉ってゆく。
剃髪の巨漢、バーネットのスタティックフィールドとアーケインの効果がまだ持続していて移動出来ない。
飛び道具が無いので立っている事しかできなかった。
そこへバーネットが遠距離より魔弾を撃ち込んで爆裂を巻き起こし、イデアはアーテミシアへとヒールを飛ばして治癒している。
巨漢が雄叫びと共に身に絡みついていた光を吹き飛ばす。
バーネットとイデアは共に黒と黄の魔導書を掲げ、魔弾を撃ち放った。十字砲火。二連の光球が次々に炸裂して獣皮をかぶった巨漢の身を爆ぜさせてゆく。
血飛沫を噴出しながら稲妻を裂いて、巨漢が牙を剥き咆哮し両手剣を手に駆け出す。
アーテミシアが突撃した。
右手に握るダマスカス鋼の斧を振り上げ、肉体を蝕むエーテルを収束させると、爆風を巻いて戦斧を振り下ろす。破鎧砕。
巨漢の肩口から入った肉厚の斧刃が、筋肉質な男の身を掻っ捌き鮮血を噴出させながら袈裟に抜けてゆく。しかし、巨漢は赤色をぶちまけながらも怒号と共に身を蝕むエーテルを吹き飛ばし、両手剣を雷光の如くに一閃した。
アーテミシアが素早く身を捻って盾を翳し、剣と盾の縁とが激突して轟音と共に衝撃が巻き起こってゆく。
他方、
「未来永劫呪われるが良い、シルトラースの狗ども」
サリアンシア人の若長が血反吐を吐きながら双剣を振るい、ハヤトはかわしざまに無拍子で蹴りを叩き込んだ。間髪入れずにティトが短剣で突き刺し、ツェツィがその背へと矢を撃ち込む。
さらにアクティオンが風を纏わせた矢をノリクムへと鋭く撃ち込んだ時、サリアンシアの若長は、ついに崩れ落ちるように草原に倒れ伏した。撃破。
「どうする? アンタのところの大将は沈んだようだが、まだやるか?」
アーテミシアが問いかけると、返答は長剣の一閃だった。
轟音と共に盾で受け止めつつ叫ぶ。
「――まぁアンタらみたいなのはそうだよなァッ!!」
長剣を盾で押し払うと同時、踏み込んで斧をその右腕を狙って振り下ろす。
バーネットが光球を放ち、イデアもまた光球を放つ。二連の魔弾が巨漢へと次々に突き刺さって爆裂を巻き起こした。
巨漢は驚異的な生命力で暴れ続けたが、その後、ノリクムを倒したメンバーが加わると衆寡敵せず、彼もまた意識を失って草原に倒れ伏したのだった。
●
戦後。
気絶したノリクムと剃髪の巨漢を捕縛し町へと帰還する途中、アーテミシアがふと疑念を洩らした。
「連中の毛皮、何であんなに頑丈なんだ?」
するとその疑問にツェツィが答えた。
「前に峠で商隊を襲撃してきた時にサリアンシア人達が身に着けていたのと同様のものであるなら、さらに捜波とかも無効にする機能があるようですよ」
そして特に物理防御よりも魔法防御が高いらしい。
「……捜波を無効? そりゃ随分と上等な装備だな?」
「ええ、ろくな拠点設備もなさそうなフィルエスタンのバルバロイ達の力で、こんなものを大量に用意出来るとは考えにくいですから、やはり背後に何者かがいて、装備などを支援しているものと思われます」
「……つまり、こいつらはやっぱり手先に過ぎないって訳か」
「背後関係を素直に吐いてくれりゃ良いんだがなぁ」
と言ったのはハヤトである。
「ええ、お話していただく為に全力を尽くすでありますよ。あまり気は進みませんが、町を守る為ですからね」
羽兜の女弓騎兵は生真面目そうな表情でそう答えたのだった。
かくて、冒険者達の活躍によりゴーレムを森に放っていた下手人達は捕縛され、脅威は一つ取り除かれた。
崩壊した帝国のその辺境に建つアルサーラムの町は、未だ安全が確保されたとは言い難い状況にあったが、しかし、フィルエスタン・サリアンシア人は若長を失い、またその尻尾を掴ませぬ背後の協力者は自ら直接関与する事は難しいのか、アルサーラムの町の人々は、恒久的では無いにせよ、襲われる事の無い平穏な生活を取り戻したのだった。
マスターコメント
ショートEX難しい 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年05月18日 22時23分13秒 公開
相談掲示板
シューターのアクティオンです、よろしく。 目標は頭目の確保……ですが、さて。 向こうも狙いは分かっているでしょうから、頭目だけ集中狙いにしてもカバーされかねず、かといって周りから削り取ろうとしてもそれはそれで形勢不利になる前に逃げ切られかねませんが。 ただ、頭目以外も十分強い可能性を考えれば、せめてヒーラーは落とすべき、ですかね。
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 可能なら、こいつらを連携させない為に分断と足止めはしたいな。 とはいえ抵抗も高いから、BS等は掛かっても長時間持たないだろうし、 通じたらその間にヒーラーを最優先で無力化って所か?
ティトです。よろしくお願いします、ね。 ぼくも、ヒーラー優先でいいと思う、よ。 回避、魔法防御、抵抗が非常に高い…みたい。 だから、命中の高い物理攻撃が1番効果的…? 瞬間火力で一気にパァンしたいところ、だよ。
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな! どうやらどいつも厄介そうな実力の持ち主っぽいな… となるとバーネットの言うように連携取らせねぇ様にすんのが一番重要だろーな。 分断してぇがこっちも6人+1名(ツェツィ)となると理想は2対1の展開に持っていきてぇとこだが… メンバー構成からすると上手いことバランス良く分けるってのは難しそうだな。 ノリクムと金髪少女は回避が高ぇらしいから長期戦も覚悟がいりそうだ… そうすっとキャスター2人で長剣の大男を倒して数的優位を早めに作るってのが良いんじゃねーかと思うがどうだ? ノリクムとヒーラーはその間抑え込むのに最低1人づつは割くことになるが、ノリクムは俺が抑えに回るぜ!
No.5
イデアと申します。お役に立てる事が出来ましたら幸いです、よろしくお願いいたします。 錚々たるメンバーに囲まれている気がしますね。 皆様に比べればレベルが大分低い状態での参加となるので、私はサポートに回る方が良さそうです。 私はBS付与なりでお相手の行動を阻害する方向で考えています。 とは言え、全く攻撃をしないのもどうかとは思うので攻撃するつもりではありますが。
まず、回避が非常に高ぇってのがノリクムとヒーラーだろ? この非常に高いって基準がどんなもんなのかが重要なポイントだと思うんだが… 以前、ノリクムと直接戦った時にゃ 『ハヤトは恐ろしく速いがノリクムもまた互角ないしそれ以上に速い。』 ってリプレイが返って来てたから、当時のレベルでの回避値よりも今の俺の回避を基準に想定するとして… 回避180前後くれぇだと仮定すっと、こっちの命中は260以上ねーとクリティカル以外当たる可能性がねぇってことになるのが恐ろしい相手ってとこだな。 しかも抵抗も非常に高いっつーと魔法やスキルでの対抗策も絞られるもんな… これを考えると無策で突っ込んでもジリ貧になるだけだから何か考えねぇとだがアイディアがあれば教えてくれ!
ウォリアーのアーテミシアだ。宜しくな とりあえずオレは剃髪だな。ノリクムは相性が悪すぎる。 回避と抵抗が高いってンなら避けられない状況に落とすしかねえってわけだ。 範囲攻撃で避けられない範囲で纏めてブッパするか、あるいはカウンターか…後は「わざと避けさせて」避けた先に攻撃を「置く」って戦法くらいかね。 せっかくNPC弓騎兵がいるンだし、牽制はそっちにやってもらったらどうだ?
>連携を取らせない ふむ、少なくとも頭目と剃髪は分断しだいところではあります。 ただ、ヒーラーについては、あくまでこれを優先して落とすならむしろ「味方を回復できる状況」を作ってやれば、自身の生存行動の精度がある程度でも落ちるのでは、という考えもあり。 分断して味方をフォロー出来ない状況であれば、自身が生き残ることに集中するでしょうし…… >回避対策 単発でどうこうするよりは、アーテミシア君の言うように連続攻撃で逃げ切れないようにするとかの方が良さそうですかね。 欲を言えば、足などを潰したりしてその後の回避精度(と逃走能力)を落とせれば幸いですが。 ノリクムの方は本人もそれなりの射程を持っているので、弓持ちツェツィーリア君に牽制をお願いするのは異論ありません。
>ヒーラー対策 アクティオンの言うような、ヒーラーに回復の仕事だけさせ続けて、 自分に手が回らない様にするやり方も有りだな。 ただそれでも、可能ならレゾナンス・オブ・ヴァローの範囲の直径3へクス、 最低でもリヴァーオブヴァイタルが使える同へクスに敵が収まらない様、 他の敵も足止めとか誘導はしておきたいな。 >回避対策 兎に角ノリクムが厄介だよな。 それこそこっちは連携して、逃げ道塞ぐ様な牽制を組み込むとかが必要そうだ。 あとは、挟み撃ちとかで複数方向から攻撃して、意識を散らすとかも良いんじゃないか?
やっぱどんだけ連携を取らせずに相手取れるかは大事だよな。 んじゃ、戦闘突入時の状況を確認させてくれな! まず、ノリクム達との距離は20hexってとこからスタートだろ? ツェツィだけはそのまま馬で突撃してくれるだろう1人は同乗して距離を詰めれるが、他の5人は馬から降りて走っていくしかねぇ。 こうなると初手での相手ヒーラーのレゾナンス・オブ・ヴァローでの敵側の強化はよっぽどじゃねーと防げそうにねーな… 講じれる対策があるとすればアクティオンに近づけるだけ近づいて貰ってからのヒーラーへの直接射撃とバーネットあたりにツェツィの馬に同乗して貰って近づいてから自分の足で距離を詰めて貰ってからの範囲魔法攻撃で妨害くれぇしか思いつかねーな。 ただしどっちもINI勝負になっちまうけどな… >ヒーラー対策 これは2人が言ってくれてるみてぇに回復に専念せざるを得ねぇ状況を作るのがいいかもしんねーな。 そうすっとやり易いのはウォーリアを削り続けて回復させるってのが現実的か? 後は移動を制限すんのに他の弓騎兵に掩護射撃をして貰うってとこか。 射線に入らねぇように位置取りには気をつけとかねぇとだな! 役割分担に関しても希望についてはまとめとくな。 ノリクム:ハヤト ウォーリア:アーテミシア ヒーラー: イデアにはウォーリア相手に魔法ぶっぱなして貰うのが良さそうかと思うがどーだ? それと、ティトはどんな感じで立ち回る予定だ?
No.11
何とか相手方を消耗させ、捕縛か討伐をしたいものですが。 レゾナンス・オブ・ヴァローを使われてしまえば厄介に厄介を重ねることになりますね。 >ハヤト様 私はウォーリアの剃髪大男へ魔法集中砲火、ということですね。承知しました。 あとは念の為、ヒールを用意しておきます。
>初動 最初に敵を射程に収めるのは自分でしょうし、ヒーラーは落としたいというのも考えと合致していますし、最初に妨害をかけるのは異論なく。 回避がかなり高い相手ということで必中にはとても及ばないでしょうが、「意識して回避する必要がある」ぐらいの射撃はいけるはず。 そうして「ウォーリアへの連携阻止」の動きを最初に見せつつウォーリア削り(→ヒーラーを回復専念させる)に移行できれば、「こちらが最初に落としたいのはウォーリア」と思わせられそうですし。 >弓騎兵 ツェツィーリア君以外はノリクム「達」から20hex以内に入らないということで、戦闘は不参加という意思表示でしょう。 届かないところからの射撃に怯んでくれる程度の敵でもないでしょうし、下手をすれば自分達の邪魔にしかならない。 ただ……「ツェツィーリア君のみ戦闘にも参加する」というのはこちらだけの情報なので、敢えてツェツィーリア君も最初は同乗者を降ろして近づかない動きを見せれば、敵に「相手をするのは冒険者のみ」と誤認させ、ツェツィーリア君に「意識外からの攻撃」の機会を持たせることは出来るかもしれません。 まあ初手で一人だけでも騎馬で距離を詰めるアドバンテージを捨てることにもなるので、そこはどっちのメリットを取るか、というのはありますが。
>分断 まぁ、自分で言っておいてなんだが、レゾナンス・オブ・ヴァローを敵の足止めだけで 防げる状況ってのも大分限られるんだよな…… 敵同士の間に1ヘクス距離があって、かつスタティックフィールドが命中して 抵抗を抜く必要がある。 それ用に装備やらを弄ればギリギリ何とかできそうではあるが、それでも確実に乏しいし、 攻撃力の維持も厳しくなるのが難点だ。 やはり最低限リヴァーオブヴァイタルで全回復されない為に、 ヒーラーが他の奴に接触できない様、足止めないし妨害するって程度が現実的か? >個人行動 まぁ、俺も攻撃するならウォーリア狙いになるんだが、 ヒーラーを落とす時は可能な限り多数で畳みかけた方が良いだろうし、 両方攻撃できる場所に位置取りするつもりだ。
ヒーラーはぶち当てれば脆そうなンだがなあ。 あるいは各自担当なンて投げ捨てて6人でヒーラーから全力でボコるか? 一応戦力の集中っていう基本には沿うぜ? 他の二人から殴られ続ける弊害はあるけどな… それと、オレは移動力が2しかねえから接敵するにも結構時間かかるぜ。チャージングを持っていけば5になるけど単純に戦闘力はちっと落ちるな。
う~む…なかなか難しいな… >初動 上手くいくかは賭けになっちまうが、初手で俺が疾風足使った全力移動でヒーラーにタックル仕掛けて体勢崩し、それに続いてアクティオンに矢を撃ち込んで貰うってのはどうだ? 全力で移動すりゃ20hexは詰められるし、そんだけ勢いつけてタックルかましゃ体勢崩させるくれぇはできんじゃねーかと… その後はみんなが追いつくまで2~3ターンは全力回避とフェザーステップで何とか時間稼ぎくれぇは出来んだろ。 ちなみにティトも同じ様に全力移動すれば同じく初動で敵まで接敵出来ると思うが一緒にやるか? ティトも一緒に突撃してくれんならタックルぶちかましはヒーラーはティトに任せてオレはウォーリアの方にタックルかますぜ? >集中攻撃 アーテミシアが追いついたあとなら俺がノリクム、アーテミシアがウォーリアを引き付ける形にすりゃヒーラーを残りの4人&弓騎兵で囲んでフルボッコして早めに落とすって流れも作り出せんじゃねーか? >ツェツィ アクティオンの案でも構わねぇし、最初に1人でも距離を詰めるって方針でもいいと思うぜ。
あ、それとイデアもありがとな! ウォーリアも早めに潰せるとありがてぇがヒーラーに集中攻撃仕掛けんならヒーラー>ウォーリアって感じでもありがてぇかもな。 その辺はイデアの判断に任せんぜ!! 何にしてもこっちはヒーラーがいねぇから回復手段も持っててくれると助かるぜ!
全力移動はまあ、不意打ちって点ではアリといえばアリかもな。なんか見えたと思ったらあっという間に距離詰めてぶつかって来るンだし 2・3T耐えるのが問題といえば問題だな。突っ込む前に補助かけておけば多少はマシか? まあチャージングはどっちにしても必要だな。下手したらたどり着く前に誰かやられてるわ。
>初動 全力移動は孤立が怖いというのが本音ですが……その分、向こうも「ない」と思っている戦術ではあると思うので、大胆な策を撃って一気に流れを取るという考えもありですか。 いずれにしろ、自分の動きは射程を活かしての射撃になると思うので、やりたいという方がいるなら反対はありません。 それに、ヒーラーを早々に落とせるならその分ノリクム、ウォーリアの攻撃に対してこちらは援護射撃を送れるわけですし。 >ツェツィーリア君 この場合だと、他の戦力もなるべく早く近づきたいところなので、素直に近くまで運んでもらう方が良いかもしれませんね。
>個人行動 大分悩んだが……当初の予定通りアーケインテンペスト改とスタティックフィールドで 移動を妨害して連携を崩そうと思う。 最低でも比較的抵抗の低いウォーリアに移動阻害が入れば、 他の二人との交戦から孤立させられるだろうし。 あとは、メテオライト2で範囲攻撃をしたり、魔糸で回避を下げたりって所だな。 あと、クラインの馬への同乗希望者が他に居なければ、俺が同乗して大丈夫か?
>アーテミシア チャージングありがとな! やっぱ純粋な盾役が早く参戦してくれると安心感もあるからな。 >アクティオン んじゃ、全力移動での突撃かましてみっから援護射撃よろしく頼むな! >バーネット んじゃ、敵の足止めはよろしく頼むぜ! それとツェツィの馬に乗るってのも俺は構わねぇぜ。
No.21
私はツェツィーリア様の馬へは同乗希望しません どうぞお乗りください >個人行動 私もバーネット様同様、アーケインテンペスト及びフリーズボルトで移動阻害を狙いつつ 範囲魔法等でウォーリアの剃髪大男を攻撃します。あとはヒールによる回復役をしますね また、場合によってはヒーラーの金髪少女へ攻撃を集中させるなど臨機応変に動くつもりです