罠にかかった放蕩息子
そうすけ
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シナリオID:843
オープニング
権利書の束を懐に入れ、ウキウキしながら事務所を出ていくその袖を引いた。
「なあ、思いとどまってくれよぅ。ボスにばれたらどうするのさ。てか、それが本当にホワイトライフの手に渡ったら……」
「じゃあ、他に手があるっていうのか。あるなら言ってみろ!」
相手はなまじ顔がいいだけに、凄むとそれなりに迫力がある。
ヴァイオレットレオンの下っ端も下っ端、ただの住み込み見習いであるダグに、カジノ賭博で作った莫大な借金を返す当てなどあるはずがない。
ダグは、ぐぅ、と喉の奥でヒキガエルが潰れたような声を出した。
もっとも、ホワイトライフの地下カジノで負けこんで借金を重ねたのは目の前にいる色男なのだが……。
「ほれ、みろ。何の考えもないのにオレの邪魔をするな」
とん、とデコを長くて形のいい指で突かれてよろめいた。腕を強く振られて、袖から手を離してしまう。
「心配するなって。ミモザの計画どおり、何もかもうまく行くって」
そういって、眉尻を下げて笑顔を作る。人の心をとろかすような笑顔である。本人もその効果を知っていて、ここぞという時にいつも使う。もっとも、その笑みは軽く、薄っぺらい。
この色男、名をハヤテという。
ブラックデスとともにゴールディ任侠の一翼を担うヴァイオレットレオンの跡目であるのだが、これが『飲む・打つ・買う』を揃えた典型的な放蕩息子で、一字違いのイトコ殿とはえらい違いなのである。
ファミリー内での評判も最悪だ。ボスの息子だから挨拶ぐらいはきちんとするが、組織の誰もまともに相手にしない。だから、ダグのような(命令を断れない)下っ端に声をかけ、マブダチと称して悪い遊びに付き合わせていたのだ。
話を戻そう。
いや、どこまで戻せばいいものやら……。
簡単に言ってしまえば、放蕩息子が惚れた女に貢ぐための金に困ってバクチに手を出した挙句、借金で首が回らなくなって自宅と事務所とそのファミリーの所有地の権利書を親に黙って差し出しに行く、という話である。
そんなことをすればヴァイオレットレオンはたちまち困窮し、いずれは解散。自分の住む場所すらなくなるというのに、ハヤテは鼻歌を歌えるほど余裕をみせている。
「で、でも助けに来るのがレッドブーツっていうのが、ちょっと」
「いいんだよ。ホワイトライフとレッドブーツが揉めているどさくさに権利書を持ってさっさと逃げる、完璧な作戦だ。さすがミモザ、オレの惚れた女だぜ」
計画はシンプルだ。
権利書の束を持ってホワイトライフの地下カジノへ行き、借金帳消しの証文と引き換える。
取引が成立した瞬間を狙い、ミモザがたらしこんだレッドブーツのおバカたちが取引現場に乱入。
大混乱に乗じて、権利書の束を取り戻して逃げる。
以上。
「じゃ、ちょいと行ってくる。オレが戻ってくるまでこの部屋に誰も入れるなよ。金庫が開いていることが知られたらマズイことになるからな」
幸い、ボスはブラックデスのドン・ゴーフルとの会食に出掛けており、夜まで帰ってこない。主だった者たちは、ブラックデスの要請をうけて前線キャンプの修復に出向いている。
ダグ一人でも、なんだかんだと理屈をつけてボスの部屋に人を入らせないことぐらいはできるだろう。
「できるよ。できるけど……そこじゃないんだよ、オイラが心配なのは」
色事は得意でも、荒事はてんで駄目なハヤテにできるはずがない。
最悪、ヴァイオレットレオンは権利書も跡継ぎも失ってしまうだろう。
「だから大丈夫だって」
ハヤテはスキップしながら事務所を出ていった。
「……まずいよ。絶対まずいって」
こんなこと、ボスにいえるはずがない。組織の恥をブラックデスに持ち込む訳にもいかない。でも、どうにかして権利書を無事に金庫の中にもどさないと……。
困った挙句、ダグは知り合いの情報屋に頼ることにした。
●
「来るとこ間違えてる。冒険者ギルド、行き」
ラズリーはダグから話を聞き終えるなり言い放った。
「だからさ、ラズリーから依頼を出してくれない。大至急」
「なんでやねん。自分で依頼書、書きぃな」
「オイラ、字が書けないんだよぅ。それに口下手だし」
ラズリーはため息をついた。ダグとは以前、ちょっとした盗難事件を解決した際に知り合った。それ以来、時々しょうもない仕事を持ち込んでくる。いや、今回の事件は全然しょーもなくないのだが。
正直、ホワイトライフとレッドブーツが互いに潰しあってくれるのは街の治安の向上につながるので大歓迎だ。しかし、ヴァイオレットレオンが潰れるのは、勢力バランスの上からいっても好ましくない。ブラックデス一強は健全とはいえないだろう。
「しゃあないな、せやけど後であんたんところのボスにはきちんと事の顛末話させてもらうで。でないと、ゼンゼン金にならへんからな」
●
ミモザはハヤテの肘を取ると、ヒールの音を響かせながら地下カジノの階段を降りた。
(ウフフ……。手伝ってあげるわね、『緑の親指』ちゃん)
扇子で口元を隠して静かに笑う。バカ息子をリードして、ゴールディをムチャクチャにしてやろうとする魂胆が、強い眼差しのなかに感じられた。
解説
マスターより
リプレイ
昼下がり。
太陽はゴールディの空に眩いばかりに輝いているが、ラズリーと冒険者たちがいる歓楽街の裏路地には陽が満足に差し込んでこない。うなだれた空気が壁を背に座り込んでいるような、どこかやさぐれた雰囲気が漂っている。
アスティン・ヴェルラインは素早く辺りを見回した。
「意外。きれいだ、ゴミひとつ落ちていない……」
どうやら地下カジノにやってくるカモ、いや上客の気分を害さないよう、こまめに掃除されているようだ。
「ホワイトライフって、こういうところ手を抜かないよね」
「あくどい商いやってるけどな。はい、これ会員証。急いで作ったから、あんまり出来がようない。じぃっと見られんようにしてな。こっちがアスティン、でこっちがララベルの」
ララベル・サン・ディーベルは、受け取った偽の会員証をまじまじと見つめた。
ホワイトライフの代紋が型押しされたつや消しの黒厚紙に、金で小さく表の店の名前が書かれている。
「これが地下カジノの会員証? ただの……高級クラブの名刺みたいだけど?」
「そこがミソや。裏から特別な赤い光を当てると表の店の名前が消えて、代わりに地下カジノの名前と会員番号が浮き上がって見えるようになる」
へぇ、と感心して裏返す。何も書かれていない。
「特殊な透かし加工や。裏返して見てもわからん。本物はめっちゃ特殊で、完璧にコピーできんかった。うちが作ったやつは、裏にちょっと薄いところがあるやろ」
確かに。
意識して指の腹で触ってみると、微かな凹みを感じる。
「……心配ないよ。入口でもめるようなヘマはしないから」
スマートに出せば、じっくり検分されることはないだろう。
「頼むで。はい、次。ナハティの会員証」
「ナハティ?」
壁を睨むようにして立ち、エーテルの波を広げて建物の構造を調べていたナハティガル=ラーが、怪訝な顔で振り返る。
ラズリーは男らしく整った顔を見上げながら会員証を手渡した。
「そ、ナハティ。アンタの愛称や。いやか? 別にええやろ、アンタとウチの仲やし」
そう言われるほど親しいわけではない。
過去に片手で数える程度、ラズリーが出した依頼を受け、時には一緒に戦ったりしただけだ。だが、それを言ったところで……。
「好きにしろ」
「あは。よかった。で、この中のこと何かわかった?」
急な話だったので、ラズリーも地下カジノの図面を手に入れる暇がなかったようだ。もっとも、そんなものは店が作られると同時に廃棄され、残っちゃいないだろうが。
「一階はごく普通の高級ラウンジだな。地下カジノへはラウンジのバックヤードから降りるようだ。しかし、出入口が一か所だけとは考えにくい……もう少し時間をくれ、別の出口がないか探ってみよう」
「罠は?」
横からハヤト=ガラン=ヴォルファングが問いかける。
「ざっと調べた感じでは……ないな。アスティンのほうはどうだった?」
「うん、特には。一階は照明が落とされていて暗い。この時間はまだ営業してないみたいだ。バックヤードだけ明かりがついている。地下は中に行ってから、また改めて見てみるよ」
「そうか」
逃走時に余計な気を使わなくて済むと知り、ハヤトはほっとした。
残る不安要素は、こんな真っ昼間から違法カジノでギャンブルに興じている客ぐらいか。
大ばか者の従兄弟のように、荒事になると及び腰になるモヤシ野郎ばかりなら助かる。集まってくれた仲間に身内の不祥事で怪我はさせたくない。
不意に、へらり、と笑う従兄弟の顔が目に浮かんだ。
熱い怒りがハヤトの胸を駆け抜ける。
「ったく、あの大バカ野郎は何考えてやがんだ!」
フリーダ=ブロムヴィストは、突然噴きだしたハヤトの愚痴を苦笑いで受けとめた。
「放蕩息子というのは中々厄介ですね。親の力を自分の力と勘違いした結果がこれでは……」
語尾が消えた先、愛想のない鉄の裏ドアへ目が流れていく。
今まさにあのドアの向こう側で、放蕩息子が親の財産を借金のカタに差し出そうとしているのだ。
どれだけ甘やかされてきたのだろう。事務所も土地も失ってしまえば、親がどんなに困るか想像もできないなんて。
啓示を与えてくれる異次元の神ですら、「駄目だこいつ、早くなんとかしないと……」と、呆れていたぐらいだ。
「とはいえ、ハヤテさんの性根をなんとするのは親御さんの役目ですから、私たちは彼と権利書の奪還に全力を尽くすまでです」
「ずいぶん破天荒な従兄弟が居てハヤトも大変だね……僕、力貸すよ」と、ララベル。
「やれやれ……どの世界も放蕩息子を野放しにしてると碌なことがねェな……」
何か思い当たることでもあるのか、中村・右衛門佐・勘次郎も感慨深げに言う。
すっと、全員の幾分憐れみが混じる視線がハヤトに集まった。
「いや、アイツも生え抜きの悪党ってワケじゃねぇ。親に甘やかされた放蕩息子たけど、本気になって物を言う時には、お坊ちゃんらしく真っ直ぐなところが……なくはない」
人から貶されれば途端にフォローしたくなる。それもこれも血の絆のせいか。
「真っ直ぐなところねぇ」
勘次郎はふところ手でぼんやり顎を撫でた。
「だから女に誑かされたのかもしれねェな」
「タグが言ってたミモザって女のことか。女たらしのハヤテが骨抜きにされるぐらいだ、すげー美人なんだろうなぁ」
ハヤトが口元をだらしなく緩ませる。
この男、美人にはめっぽう弱いのだ。
ラズリーが「いまから仕事やで、しゃんとしい!」と背中をどやしつけた。
「みんな会員証持ったな。ほんなら、いっといで。ノックは3回。ドアの小窓が開いたら、ご招待ありがとうございます、って言うて会員証を出すんやで」
会員証を手に、フリーダも鉄のドアへ向かう。
(ミモザ……何やら陰謀の香りがしますね。背後になにかいるかも知れません)
●
「本日は少々場が荒れる気配が……ムショクの方々はご遠慮ください。何かあってはいけませんので。後日、改めてお詫びを――」
『無職』ではない、と言いかけたナハティガルを、ララベルが止めた。
目で、ここは僕に任せて、と訴える。
(何か考えがあるようだな。では、任せるぞ)
ナハティガルは微かに頷くと、鉄のドアの前から一歩下がった。
代わりにララベルが前に出る。
「俺たち、『紫』なんだけど。ハヤテの兄貴、下にいるよね?」
「これは失礼。二代目ならもう来ているぜ」
紫――ヴァイオレットレオンと知った途端、黒服は砕けた口様に切り替えながら細く笑む。
(どうせカモがネギ背負ってやって来たとか思ってるんだろうな)
黒服が、決まりだからと会員証の提示を求めたので、ララベルは開いた小窓から差し入れた。
ハヤトがララベルの横から小窓を覗き込む。
「全員一度に見てくれよ。一人、一人確認してたら陽が暮れちまうぜ」
「ちょっと待てって。そんなにかからねぇよ」
「ところで、他に何処が来てンだ?」
ハヤトは、黒服がさっき言った『場が荒れる』という言葉が気になっていた。無色、つまり一般の客ではない者たちが先客としているということだ。
「あん? あ、ああ……無色を装ってるが、あいつら全員『赤』だな。ま、大人しく金を落としていってくれるなら別に遊んでくれてもいいんだけどよ」
赤はレッドブーツの事だろう。何人来ているのかは、ララベルの透視待ちか。
ハヤトは素早く仲間たちと目を合わせた。
ナハティガルがハヤトの耳に口をよせて、問題ない、と囁く。
「よし、最初の……ゴブゴブ10589様、ようこそお越し下さいました。どうぞお入りくださいませ」
途中から黒服の口調が丁寧になったのが可笑しくて、アスティンは思わず笑ってしまった。
フリーダがしーっと口に人差し指を立てる。
「聞かれてしまいますよ」
「ごめん。でも、あの黒服、たぶん新人なんだろうなぁ」
ふん、と勘次郎は鼻から息を抜いた。
「あっしらは客だ。黒だろうが紫だろうが、態度を変えちゃいけねえや。教育がなっちゃいねェ」
こうして、冒険者たちは首尾よく地下カジノへの潜入を果たした。
揺らめく蝋燭の炎に照らされた巨大なテーブルをかこんで、いずれも一癖も二癖もありそうな連中が、巨大な影法師を背後の壁に這わせ、ゆらゆらとうごめかしている。
一般市民に化けたつもりのレッドブーツたちが、殺気に似た緊迫する空気を孕んで、いつ果てるとも分らないカードゲームに興じていた。
ナハティガルは勝負を見学するフリで足を止め、天井近くまで意識の目をあげて店内を見まわす。
「――さて。問題の放蕩息子は何処に居る……?」
土地の権利書、それと引き換えに出される借金返済の証文のありかを知るには、ハヤテを探すのが効率的だ。
勘次郎は酔った振りをしながら、早くもサイコロ賭博に賭けている。
(ま、一見の客はカモられるだろうから、負けておくのが自然か)
いいカモっぷりを演じて魅せれば、場が盛り上がり、客も大喜びだ。この箱全体を酔わせることができたなら、事もスムーズに運ぶだろう。
放蕩息子を真っ先に見つけたのは、顔を知っているハヤトだった。
「あの野郎、呑気に鼻の下を伸ばして美人とデレデレしやがって」
入口の黒服をたたきのめして痛めた拳に息を吹きかけながら、奥へ、奥へと進んでいく。
店の一番奥にあるテーブルで、取引が始まっていた。
テーブルの奥側にこの店の支配人らしき中年のゴブリンが、ボディーガードの黒服を後ろに二人従えて座っている。対面にハヤテと謎のハーフビースト美人のミモザ。ミモザはハヤテの腕に自分の腕を絡ませて、豊満な胸に押しつけている。
取引は和やかに進んでいるらしく、テーブルで笑い声が響いた。
ミモザは眼が大きく、笑うと頬に針の尖で突いたような深いえくぼができた。華やいだ笑顔は、見たものに白い牡丹の花が咲きこぼれている姿を連想させる。
(くぅ~。いい女じゃねぇか。ハヤテの野郎……あんなナイスバディの美女を侍らせて調子に乗りやがって……ぜってー許さん!)
それはそうとして、どこで知り合ったか聞きだすこと、と心に書きつける。
ミモザの胸から目を引き剥がし、奥のテーブルに近いルーレット台についた。
ララベルはおでこに小さな一角を張りつけて、従業員に成り済ましていた。銀盆で飲み物の給仕をしながら、ハヤテの様子を窺う。
(あれが入れ込んでるお相手さんかな? 確かに綺麗な人だけど、なんかちょっと危険な感じがするなぁ)
同じ女を見ても、こうも反応が違うものか。
アスティンがララベルの銀盆からカクテルをひとつ取り上げた。誰が敵となりうるのかを見分けながら、さりげなく柱の影に移動。短弓を取り出した。
前を過ぎていくフリーダに目で合図する。
フリーダはそのまま歩き続け、ナハティガルの傍に立った。
「ナハティガル、あれ、面白そうじゃない?」
壁に並んだダーツボードを指さす。
「いいね。やろう」
腕を組んでカップルを装いながら、ミモザの横へ移動した。
目的は証文と権利書の奪還、ハヤテの保護なのだが、放蕩息子を誑かした女もできれば身柄を確保したい。何か企んでいるような気がして仕方がないのだ。
小声でナハティガルと打ち合わせる。
「私はミモザを取り押さえます。アスティン様がフォローしてくれますので、勘次郎様が行動を起こされたら、ナハティガル様は証文と権利書を奪ってください。素早く動かなくてはなりませんね。レッドブーツのみなさんは……只の巻き込まれですから、なるべく怪我をさせないようにいたしましょう」
「フリーダは優しいな。まあ、いたずらに事を複雑にする必要はないだろう」
突然、店の一角で怒声が上がった。
「おい! あんちゃん。イイ女連れてンじゃねェか!!」
据わった目で勘次郎がハヤテとミモザに絡む。
「お? 見せつけてンのか? ケッ、気に入らねェなァ!」
「な、な、なんだ、お前。彼女に手をだすな」
「なにぃ!」
「ひっ」
勘次郎に凄まれて、ハヤテがすくみあがる。
タイミングを見計らっていたララベルが、ここであ然としている支配人に成り代わって声を張り上げた。
「お前達何をやっている、早く騒ぎをおさめんか!」
従業員たちの注意がララベルに集中する。
その隙をついてナハティガルがテーブルに身を乗り出し、中央に置かれた証文と権利書を鷲掴みにした。
ほぼ同時に権利書へ手を伸ばしていた支配人の腕を、アスティンが撃ち抜く。
「急所は外しておいたよ……まぁ、カジノ側はある意味被害者だし」
先に行くぞ、とナハティガルがハヤトに声をかけて非常階段を駆けあがっていった。アスティンも後に続く。
ハヤトはすくみあがったハヤテの腕を取った。
「このボケ! 早く逃げんぞ、こっち来い!」
「逃がすか!」
黒服が顔を真っ赤にしてハヤトとハヤテに襲いかかる。
が、気配を殺して背後に近づいていたララベルに手刀を首に入れられてあっけなく気絶してしまった。
「さぁ、今のうちに…って、いや僕、男、男!!」
「助けてくれてありがとう。キミ、かわいいね。どう、今夜……っててて!」
ハヤトがハヤテの耳を引っ張って、ララベルから引き離す。
「こんな時に口説くなよ、バカ野郎! 男も女も見境なしか……ほんと情けねぇ」
そのとなりではフリーダと勘次郎がミモザと揉みあっていた。
「貴女にも一緒に来ていただきます」
「お断りするわ」
ミモザはエーテル球を強発光させてフリーダの目をくらまし、勘次郎の手を振りほどいた。親指と人さし指で輪をつくり、口にくわえて口笛を鋭く鳴らす。
「権利書を取り戻すのよ、すぐに追いかけて!」
我を取り戻したレッドブーツたちが、ヘタクソな変装を解き始めた。律儀にレッドブーツに履き替えてから、見得を切る。
「レッドブーツ見参! ヴァイオレットレオンの土地を寄越せ!」
「おうおうおう!! 白に赤と目出度ェ連中だな。ホワイトライフとレッドブーツで祝言でも上げンのかァ!?」
直後、大乱闘になった。
大暴れの勘次郎に守られながら、ハヤトとララベルが両脇からハヤテを挟んで脱出する。
「フリーダ、あんたも行け!」
「まだ、彼女が」
ミモザはフリーダの視線の先でテーブルを倒して走り出す。そのまま、乱闘の混乱に乗じて姿を消した。
「待って!」
「もういい。とっととずらかるぜ!」
●
「みんな、身内の不始末のケツ持ちに手を貸してくれて本当にありがとな」
ハヤトはハヤテの頭に手をやると、強引に下げさせた。
幸いと言うか、冒険者側にけが人は一人も出ていない。あの後、ホワイトライフとレッドブーツがどうなったのかは、その内に街で噂になるだろう。
アスティンは逃げたミモザの気配をしばらく感知できていたものの、逃走先を特定するには至らなかった。彼女の正体も気になる所だが、まずは一件落着だ。
「じゃあ、ラズリー。あとは頼むわ」
「はぁ? 何いうてんねん、おもろいな。アンタも一緒にきて怒られ。似たような名前してからに」
「か、関係ねーだろ」
こののちは次なる演者に譲りまして、おあとがよろしいようで。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:多い6 / 4〜6人
2021年05月12日 10時13分16秒 公開
相談掲示板
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだよろしくな!! ったく、あの大バカ野郎は何やってやがんだよ! 色仕掛けになんざかかりやがって!(←自分も絶対引っかかるくせに) なんか、身内の不始末に付き合わせちまってすまねぇが力貸してくれな!!
ウォーリアの勘次郎ってモンだ、よろしく頼む。 …まぁ、どの世界でも二代目が放蕩息子だと苦労するモンだが、こいつァその中でも一等の阿呆だな(苦笑) 一家離散の危機だ、一肌脱いでやンぜ。
シューターのアスティン。よろしく。 えーっと…。状況的には証文を持ち逃げされたりする可能性もあるのかな? 放蕩息子を保護、護衛するのと、証文の確保を優先するグループに分かれて、 敵を殲滅、って感じかな? あとは事前から潜入するなら、ミモザの特徴とか観察するぐらいかなぁ…
シーフのナハティガル=ラーだ。今回は宜しく頼む。 状況的にミモザとか言う女と、ホワイトライフの連中が組んで居る美人局としか思えんが。 ハヤトも厄介な従兄弟を持ったな…。 >行動 基本的にはアスティンが言っているように ・放蕩息子を保護、護衛する班 ・証文の確保を優先する班 …に分かれる方向で良いかと。 何れにせよ。ラズリーが偽造した会員証を各自所持した上で、 客として地下カジノに潜入する形になるな。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 基本的には2手に分かれて放蕩息子・証文の確保にかかる形で良さそうですね。 敵戦力自体はそれなりに多めですが十分対応は可能でしょう。 懸念事項としてはミモザという方の逃走をしっかり塞ぐ必要があるくらいでしょうか。
あっしもアスティンが提示した二手に分かれる策に賛同するぜ。 放蕩息子を誑かした女についてだが、戦闘が始まる前に放蕩息子に接触しながら逃げ道を塞ぐ形にすりゃふん縛ることも出来そうだナ。
メンバー構成が ウォーリア2 シーフ3 シューター1 か、結構偏ってるね。今気が付いたけど。 敵は基本的にみんな近接系、っと。 護衛班にも確保班にも機動力のあるシーフの人が入ってた方がいい、のかな? …支配人って打ち抜いても問題ないのかな? 射線の問題はちょっとあるけど、 証文を持って逃げようとする人間をとっとと狙撃してしまえれば、 確保が楽になりそうだけど。見えない死神とかで
>班分け 出発まで時間もないので、そろそろ決めてしまわないと不味いな。 取り敢えず、俺は証文の確保をメインに動く予定でいる。 ※敬称略 【確保班】 ナハティガル 【護衛班】 >行動 偽造会員証で地下カジノに客として潜入。 潜入前に【探波】で建物の構造を調べ、退路を把握&確保。 潜入後はハヤテ達の動向を【天眼】で監視しつつ、証文確保のチャンスを狙う。 ――大雑把にはこんな感じの動きを考えている。
連投失礼。 >支配人 >打ち抜いても問題ないのかな? ……特に問題ないんじゃないか?(ぉ 証文確保の段階で荒事に発展するのは避けようもないし、な。
ナハティガルはまとめてくれてサンキューな! 俺はバカ従兄弟の方を回収に動くことにすんぜ。 証文の確保は任せたぜ! 俺も変装して客として潜入、ハヤテの様子を伺いつつ騒ぎが起きたら回収に動くつもりでいんぜ。 あとは女狐も出来れば逃がさずに確保しときてぇとこだよな。 >撃ち抜く あ、一応殺さねぇようにだけ気をつけといてくれな。 殺っちまうと後々面倒なことにもなりかねねぇしよ。 ※敬称略 【確保班】 ナハティガル 【護衛班】 ハヤト
ナハティガルの旦那は取り纏め感謝すンぜ。 さて、あっしも放蕩息子の護衛… というより、毒婦ミモザの捕縛に動こうかねェ 客として潜入しながら酔っ払ったフリで 放蕩息子に絡んでミモザの逃げ道を塞ぐ算段で考えてるぜ。 ん?ゴーフルの大親分は不殺命令出してンだろ?殺さねェにしても程々にしといた方がいいンじゃねェか? ※敬称略 【確保班】 ナハティガル 【護衛班】 ハヤト 勘次郎
まとめありがとう んー…。とりあえずいったん確保側に回ろうかな。 移動力はそこまでないけど 証文を持っていこうとした人間を射撃で撃ち落としたり牽制する方向で …ペットの持ち込みは、場所柄厳しいかな…? 偽会員証で入るなら目立つのも不利かもだし <不殺命令 不殺の件って古ゴブリンと白蛇だけじゃないの? まぁ、この件に関してはホワイトライフがわからすれば、いい迷惑だろうし、 おかしな遺恨が残って恨まれるのも厄介かぁ…。 じゃあ、せいぜい手足を打ち抜くぐらいにとどめたほうがいいかな…。 レッドブーツ側にはそんな加減する余裕ないから狙えるなら急所を避ける、 ぐらいで撃つけど。 ※敬称略 【確保班】 ナハティガル アスティン 【護衛班】 ハヤト 勘次郎
ここまでのまとめありがとうございます。 >担当 それでは私は確保役として行動したいと思います。 ※敬称略 【確保班】 ナハティガル アスティン フリーダ 【護衛班】 ハヤト 勘次郎
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんなよろしくね。 勘次郎がミモザの確保メインで動くとすると、主の護衛役がハヤトだけになっちゃうし、僕もそっちに回るね。 主に動きのあった後の退路確保とかで動こうかな。