いつか辿り着く約束の日へ ―第2話―
広大野人
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シナリオID:804
オープニング
暗雲を貫いた光芒は、その地に生きるもの達の希望であり、祈りであった。
眩いこの光は暗雲を払い、絶望を退け、命を吹き返す。けれども、常に地に生きるもの達と共にはいられなかった。
まるで、太陽が昇っては沈むように。だから、ある者は願った。その魂が共にあるようにと――。
●山上の砦
リーンエス王国とシルトラース帝国を隔てる山脈の一つに建てられた砦。
以前は密輸を監視するものだったが、今は、帝国領から流れてくるクリーパーの侵入を喰いとめる役割となっている。
砦を取り仕切る王国騎士イェルド・ルリンは、不機嫌を隠そうとせずに、ドンっと力強く事務机を叩いた。
「ったく! 貴族派共めが!」
彼が怒る理由は、本国からの輸送の件だった。
兵士の増援が滞りなく認可されて一段落したと思ったら、今度は輸送隊がとある貴族領を通過する時に適当な理由をつけられて足止めされているのだ。
おかげでスケジュールが遅れてしまっている。
「隊長、そんなに怒ると禿げますよ」
「うっせー。俺の毛はふさふさだ!」
兵士であるコルサの忠告に唾を巻き散らしながら返すと、イェルドは頭を確認するかのように掻いた。
……大丈夫。ちゃんと髪はある。
「いいか、コルサ。よく聞け。補給物資が遅れるという意味を」
「なんすか? エロい本でも積まれてるんすか?」
「そりゃ、お前宛ての荷物の中身はそうかもしれんがな、そんなんじゃねぇ」
そう言い放って、机の上に投げ出した書類の束……それは、増援の兵士達の情報が記された書類だった。
元々の人数が少なかったとはいえ、この砦に詰めている兵士の数は大幅に増えた。寝床もやっとこ用意できた所だ。
「いいか……戦う上で絶対に必要なものがねぇんだよ!」
「武器っすか?」
とんちんかんな返答にガクっとイェルドは頭を落とした。
「ちげーよ! いや、まぁ、武器はいるが、そうじゃねぇ! 食料だっつーの!」
「ま、マジっすか……あ! そっか、兵士が増えたから備蓄している糧秣が足らなくなったと!?」
戦う上で絶対になくてはならないもの――それが兵糧なのは言うまでもない。
そもそも砦に籠ってクリーパーと戦っているのだ。本格的な籠城となれば、食料の補給は断たれる。
そして、どんなに強い人間でも、兵士の数が集まっても、食べる事ができなければ生きていけない。
「やばいっすね、隊長」
隊長が怒るのも無理はないとコルサは心の中で思った。
イェルド・ルリンの実家は国王派の中でもタカ派なので、その影響を受けた形だ。当の本人が政争に全く興味がないのだから、とばっちりもいいところだ。
「仕方ねぇから、ヴォーンの冒険者ギルドに依頼を出しておいた」
先日、冒険者に依頼を出した時に今後も必要かと思い伝書鳩を確保していたのだ。
「相変わらず、手が早いっすね。聞きましたよ。受付嬢の女の子、可愛いらしいじゃないですか」
「よし、コルサ。上司を侮辱した罪で今日から便所掃除だ」
「冗談っす! あー。そうだ。残りの兵糧確認してくるっすよ!」
逃げるようにコルサは駆け出して部屋から出ていくのであった。
●ヴォーンの街にて
砦がある山から王国側に山道を下ったところに、ヴォーンの街がある。
王国内の標準的な村を数倍したような規模の街だ。領主の名はクナード・セルフォライド。王国内の政争に関しては中立の姿勢を貫いている。
これは街の立地的な問題でもあるだろう。帝国領からほど近いので、難民問題や国境を越えて侵入してくるクリーパーに対処に忙しいという訳だ。
そんな街の冒険者ギルドの受付嬢であるアーネリーはふんわりとウェーブがかった金髪を揺らして街中を歩いていた。
「兵糧って……やっぱり、保存食なのかな……でも、なんだろう。チョコでいいのかな?」
手にしているのは王国騎士イェルド・ルリンからの手紙。
そこには兵士約20人が1週間分必要となる食料を調達して欲しい旨が記されていた。
また、食料が必要となる理由も書かれており、切羽詰まっていないものの、今後の事も考慮して保存に適した物とも注文があった。
「……分かんない」
籠を背負ったままアーネリーは呆然と道の真ん中に立つ。
そもそも、20人の食料1週間分が背負った籠に入り切れる訳もないのだが……。
「しかも、食料だけじゃなくて、今回は籠城戦に役に立つ道具類もって書かれているし……」
冒険者ギルドの受付嬢なので、彼女は冒険者ではない。
ゆえに、戦いの事はよく分からない。砦なので、必要な武器は揃っていると思うが、役に立つってなんだろうと首を傾げる。
お鍋とかあったら、お湯を沸かしたり叩いたりできるから便利かな――とか頭の中に思い浮かぶか、きっと、そんな事ではないだろうとぶんぶんと首を振った。
「というか、なんでこんな物を私が用意する事に!?」
唐突に手紙を送ってきた王国騎士の真意もよく分からない。
まさかのラブレターかと思いきや、物資を用意して欲しいという依頼が書かれていたのだ。
期待していたわけではないが……解せない。
「もう一度……良く読み返してみよっと……」
そう呟いて、再度手紙を読み直すアーネリー。
この手紙を送ってきた王国騎士は、態度が悪い人だったが字は丁寧で文章は読みやすく、ギャップが凄いと改めて感じる。
そして最後まで読み終えた時、受付嬢は見落としていた一文に気がついた。
「……以上、これらの調達と輸送を冒険者に依頼する…………」
受付嬢が大きな声で叫んだのはこの直後の事であった。
解説
マスターより
リプレイ
「以前、冒険者のお世話になった事あるし、なんでしょうか?」
行商人であるボルボルドが小太りに育った腹を撫でながら、セリオス・オーガストの声掛けに応じた。
「仕事で幾つかの品を探している。街で探すのに妥当かどうか見て欲しい」
商品の一覧表を手渡す。
もっとも、そんな事は対した内容ではない。セリオス自身が見ても分かるし、行商人であるボルボルドなら朝飯前だ。
「この街では希少な物でも、うちが取り扱っていますよ」
嗜好品の中には珍しい物もあった為、ギルドを通じて行商人に当たってみたのだが、どうやら正解だったようだ。
セリオスは表情を変える事なく、珍しい嗜好品の値段をサラっと告げる。この街で希少なだけあるので値段交渉は重要だ。
「そりゃ、安すぎですぜ、冒険者の兄ちゃんよ」
ボルボルドが驚きを隠そうもせずにセリオスに向かって応えた。
行商人の仕事の基本は安く仕入れた物を、それが希少な土地で高く売る事だ。
移動に要した費用を回収できなければ赤字にしかならない。
「別の行商はもう少し安かったが……なら、これでどうだ?」
サラッと『本来希望する値段』を書いたメモを渡すセリオス。
ボルボルドは幾度か唸りながら、セリオスのメモを受け取った。まぁ……この程度であれば、ギリか……そんな表情が見て取れる。
「納品は冒険者ギルドでいいのかな?」
「あぁ。頼んだ」
物資の積み込みは荷馬車を用意している冒険者ギルドで行っている。
行商人の後ろ姿が見えなくなった所で、セリオスは一覧表を確認した。彼の仕事はまだ残っているのだ。
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは山裾の森で仕事をしている猟師から柿や栗と言った保存食に加工出来る果実の若木を譲って貰っていた。
「まぁ、実るのはだいぶ先になるが」
「何も無いよりかはマシってもんだろう」
いつまで籠城するつもりか分からないが、準備に越した事はないだろう。
最悪、木は燃料としての使い道はあるわけで……。
「しっかし、あの山は最近、物騒だなー。知り合いのきこりの話じゃ、クリーパーも出るって」
「そうなのか?」
「黒い綿で出来た人のような姿をしているらしくてな」
その話にハヤトの手が一瞬、止まる。
半月ほど前の事だ。ハヤトは仲間達と共に、黒紫這者の群れと戦い、罠の力を借り、相当な数の奴等を倒した。
あの時、出現した数は全部では無かった……いや、群れの大部分は山裾の森の中に潜んでいるのかもしれない。
「……数は多かったか?」
「詳しく分からないが、かなりの数、見たって言ってたな」
大規模なクリーパーの出現は、ちょっとした事件でもある。
だが、街ではまだ気が付いていないのか、大規模出現として認められていないのか、大きな騒ぎにはなっていない。
可能性があるのは、帝国領から難民を追ってやって来た事だろう。
「これは確認する必要があるな」
どの道、物資輸送の為に山に登る必要があるのだ。
その時に何かわかる事があるのかもしれない。
強面というのは損な時もあるが、今は役に立っているようだ。
アウル・アンサラーは仕入れ先の一つである商会で品物を見定めていた。干し肉、酒、医療品の類だ。
商会の主はアウルの顔色を窺っているようだが、知った事ないと淡々と品を確認する。
「……おい、この包帯ほつれがあるぞ」
「あー。はい! こ、これは見本ですので。納品物はそれはきちんと!」
「見本なら分かるようにしておけ」
値段吹っ掛けてきたり、粗悪品を売りつけようとする輩も居るかも知れねェと心の中で呟きながら、アウルは傷薬に手を伸ばした。効能は分からないが、何も無いよりかはマシだろう。回復魔法を扱える者が居たとしても、魔法は無尽蔵に使える訳ではないのだ。
回復魔法だけではなく、別の手段も用意しておくべきだろう。
「その傷薬は、この地方でよく使われているもので、切傷、刺傷、火傷にも良いんですよ。値段はそれに見合うものですが……」
売り処だと思ったのか、商品を説明する商会の主の言葉に、傷薬の蓋をパカっと開ける。
薬草の独特の匂いが漂う。少なくとも説明は嘘ではないようだ。
この商会以外でも似たような物を見て来たので、この地方では普通に使われているものなのだろう。
「相応のモンには相応の額を支払う……ま、そこらはよォく見極めさせて貰おうか?」
「へ、へぇ。よろしくお願いしやす」
蛇に睨まれた蛙とはこの事か、すっかり畏縮してしまった商会の主の返事を、アウルは鼻で笑った。
適正な物を適正な金額で買えれば文句はない。
なぜなら、それは傭兵としての価値とそう変わらない考えなのだから。
「普通、こういうのは余裕をもって備えてあるはずなんだが……ま、詮索は止そう」
バーネット・フォーサイスは呟きながら、木材や工具類を調達していた。
食料品にせよ、籠城に必要な物資は、通常、多く備蓄しているものだ。
それが急遽、依頼として出されるというのは……つまり、いつもの補給に何かしらの問題が発生したという事だろうか。
もっとも、その事情を一冒険者が知った所でどうにかなるものではない。足りないなら足りないで運ぶだけだ。
「馬の飼料も調達するか」
砦には戦馬ではないにせよ、馬が数頭いるという。
余力があれば持っていけた事に越した事はないはずだ。特に作業や伝令などは地味ながらも極めて重要な役回りなのだから。
飼料の手配を済ませると、バーネットは空を見上げて一息つく。
やる事はまだまだある。物資を砦に輸送しなければならないが、その前に、リスト化しておく必要があるからだ。
「何がどれだけ持ち込まれたか、それがハッキリしないと余計な仕事が増えるだろうし」
今頃、仲間達が各々、交渉や調達、手配に街中を奔走しているだろう。
荷馬車への積み込み作業、そして、荷崩れ防止の為にロープで固定する必要もある。
やるべき事は多いが時間は限られている。なるほど、これは冒険者に託した方が良い。
「マジカルポケットには、小さな嗜好品を一纏めか」
こうした便利なスキルがあるのだから、尚更だろう。
グッと伸びをしたバーネットは気持ちを切り替えて、ギルドへと向かって歩き出すのであった。
最近、多く出回ってきたチョコレート。街中にあるチョコを取り扱う商会にアリア・ティーダはやって来ていた。
「砦に……チョコですか」
商会の職員はやや驚いていた。冒険者が買付にきた事もそうだが、運ばれる先が砦だからだ。
「多少、贅沢品を入れる余裕もありそうだし」
「それは喜ばれると思いますよ。あの山の上の砦ですよね」
「知っているの?」
首を傾げたアリアに職員は大きく頷いた。
「昔からありますからね、あの砦。と言っても、以前は単なる遺跡だったらしいですけど」
遺跡だったという話は初耳だ。
もっとも、特殊な事ではないはずだ。元々、何かしらあった場所に後から建物ができるのは。
むしろ、きちんと作られた遺跡であれば、土台がしっかりしている分、建築の手間が省けるというもの。
「お仕事でお世話になってるのだから、ちょっと贅沢なものを運ばせて貰おうか。信頼の証……なんてねっ!」
マジカルポケットを使えば、少しでも運べる量を増やす事もできる訳だし。
「こちらとしてもチョコレートの在庫が売れて嬉しい限りです」
あれだけ大掛かりなチョコレートが絡むイベントだったのだ。
多く在庫を抱えている商会があるはずと見当をつけていたアリアの狙い通りだろう。
「遺跡だったという話、ボクから皆には伝えておこうかな?」
それが意味のある話かどうかまだ分からないけど。
「頑張ってる兵士さん達のためのものなので……少しおまけしてくれないかしら」
やや前かがみになりながら、うっとりとした表情でエミリア・シバは油商人にお願いをする。
行きつけの酒場での調達はすんなり進んだが、油の買いつけはやや難航していた。
ちょうど需要が高まっていた所だったようで価格が上昇していたのだ。
「まぁ……冒険者のお姉さんがそこまで言うの、な、ら……」
微妙にチラチラと視線をエミリアの胸の方に向けながら油商人は言った。
これはもう一押しだろうか――と思いつつ、さらに姿勢を落とすと上目遣いになる。
「お・ね・が・い・よ」
「ま、任せて下さいな。うちの油はよく燃えると、そりゃ、評判で……で、砦にこんなにいっぱい持ち込んでどうするのですか?」
姿勢はそのままに、色っぽく人差し指を口元に当ててエミリアは答える。
「調理や夜間の灯は勿論、武具や鉄機材の手入れにも使えるわ。それに戦いとなれば、火矢もできるし、熱く熱した油を敵にぶっかけたり、色々なことに使えると思うのよね」
液体の類は運ぶのにかさ張り、重たい故に、飲料などが優先されて輸送されていそうだが、油の有効性は極めて高い。日常的に使う事もできれば、戦い方にこだわりもない限り、戦場でも役に立つ。あの王国騎士ならば喜んで受け取るだろう。
「そうそう、お姉さん。うちの油は滑り易いから気をつけてな」
「うん、分かったわ」
最後に二コリと笑うエミリア。
滑り易いという事は急な岩山の斜面に流しただけでも、十分に役に立ちそうだと戦いの事を思い浮かべるのであった。
●
山の頂に小さく見える砦に向かって荷馬車と冒険者達が険しい山道をゆっくり登っていく。
少しでも道の傾斜を緩やかにする為の九十九折の道。幾度も折り返した所で振り返ると、眼下には山裾の森が広がり、出発した街が遠くに見えた。
「この砦に来るのも二回目だねぇ」
隊列の最後尾に付いていたアリアが手をかざして呟く。
前回は帝国領側の斜面だったので見える風景が違うが、砦の造りは変わらないようだ。
アリアから少し前に位置していたハヤトも同じように砦を見上げる。造りは質素で飾りっけの無い建築物のようだ。
「籠城戦の準備が出来てねぇってのは意外だな……」
「何か事情がありそうだが……とにかく、物資を無事に届けきることだな」
荷馬車を挟んだ向こう側に居たセリオスが律儀に応える。
軍事施設なのだから、食料には少し位の余裕があっても良さそうなもの――という冒険者の想像は間違いではない。
これは冒険者が知る由もない事だが、砦で指揮を執っている王国騎士の独断で、砦付近で保護した難民らに食料を多く渡していたのだ。
「そういや、物資を調達している時に山裾の森でクリーパーを見かけたって話があったな」
思い出したように言ったハヤトの台詞にセリオスは視線を山裾へと向けた。
「見渡す限り、ほぼ森だな」
「見つけようにも森が深くてここからだと見えないよね」
ジッと目を凝らすアリア。
今でもきっと森の中に奴等が潜んでいるに違いない。
一方、隊列の前方の方では、アウルが能力を用いて周囲を警戒していた。
今の所、問題は無いが、この次の折り返し地点は、帝国領側にグッと近くなる。何かあるとすればそこだろうか。
「それにしても、罠の囮の次はお使いねェ。人使いの上手い騎士サマじゃねぇか。なァ?」
「まだこの道を登ってくのか……馬車で本当に良かった」
斜面を見上げて辟易した様相でバーネットが同意するように応える。
土砂罠を発動させる為の時間稼ぎと引き付け役が前回の依頼。今回は買い付けと輸送。
良かった点は、荷物を荷馬車で運べるという所だろう。背負って運ぶとなると大変だったはずだ。
「食料が届かないで砦に詰めてるのは大変ねぇ。できるだけたくさん届けてあげたいわね!」
エミリアが山上から降りて来る風を一身に受け止めながら、そう言った。
輸送する物資には、保存食から嗜好品まで様々な物を選択した。きっと、喜ばれるはずだ。
「満足いくモンを届けられた時ァ、追加で報酬も貰えるんだろうなァ?」
バンバンと荷馬車の荷台を押すように叩くアウル。
それは依頼主である王国騎士の気持ち次第……あるいは、次の依頼で何か配慮してくれるかもしれない。
「マジカルポケットも人数が揃うと、そこそこ運べるんだな」
「そうみたいよね」
バーネットの台詞にエミリアが頷く。
ポケットに入れられるサイズや条件はあるが、それを差し引いても、今回、有効だった。
重さを感じないのは山登りでは特に大きな意味を持つからだ。
●
黒紫這者の群れが砦に向かって登っているのを発見したのはエミリアだった。
「ルートは被っていないけれど……」
距離が縮まったら襲い掛かってくる可能性はあるようだ。
不気味な呻き声を挙げている十数体の黒紫這者に、荷馬車の御者達は怯える。
「ここは物資輸送が優先だな。この先の道は安全そうだし」
バーネットがそう言って構えた杖から、メテオライトを放った。最優先は物資の輸送だ。冒険者達で黒紫這者共を足止めすれば、まず荷馬車に敵の遠距離攻撃は届かないはずだ。
ちなみに、この選択が可能だったのは荷物が過積載にならなかった事が大きい。輸送隊の速度が遅れればガチで遭遇戦となっていただろう。マジカルポケットのおかげか。
素早く矢を番えたアウルが黒紫這者の1体に狙いを定める。
「全滅させる必要はねぇが……ま、状況次第だな」
認識できる範囲に他の脅威は無いので、倒しきってしまっても問題はないだろう。
十分に引き絞った矢を放つ――次の瞬間、深々と矢が直撃した黒紫這者が衝撃に耐えきれず転がり落ちそうになった所を後ろの黒紫這者が支えるような形で踏ん張り残る。
冒険者達の存在に気が付いたのが、一部の黒紫這者が腕先や黒い塊を射出してきた。だが、反撃は散発的だ。
「下手に山を降りる訳にもいかねぇし、俺の見せ場はあるんだろうな!」
敵の遠距離攻撃から仲間を守るように進みでるハヤト。
剣で射出物を叩き落とすと音も無くその塊が霧散する。
「どうやら、近接職の出番はなさそうだぞ」
容赦ない台詞で応えながらセリオスが放った矢は何体かの黒紫這者に貫通した。
擲人の攻撃で終わらせるという意味ではない。冒険者達のある作戦によるものだ。
「フィールドで勝負がボクですからっ」
アリアの声と共に、ドンっと大きな音を立てて最後尾の荷台が豪快に横転する。
それは輸送用ではなく冒険者達の希望によって用意されたものだ。荷台には大量の丸太や瓦礫が積んであった。
急な斜面を転がり落ちる雑多の物共が、石や岩を抉り、交じり合って規模が大きくなりながら黒紫這者の群れに襲い掛かる。
本来、戦闘とは偶然が介在するものではあるが……冒険者達の一計はその理を文字通り、流し落としてしまったのだ。
「本当に見せ場がねぇぇぇぇ!!」
「近接職の宿命よね」
ハヤトの叫びに、エミリアが少し残念そうな表情を浮かべながら応える。どのように接近戦を挑むか想定していたのだから。
でも、それは無駄な事ではないはずだ。
なぜならば、これからも黒紫這者はきっとまた現れるのだろうから――。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年04月29日 17時20分43秒 公開
相談掲示板
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 ひとまずは、何を準備して持っていくかって所だな。 食料品は保存食を中心にするとして、後は何を持っていくか…… バリスタやらの防衛用兵器は有ると便利だが、整備の手間が掛かり過ぎるものは駄目だろうし、 単純に木材等の資材や道具類を持ち込んで、現地で補修やら改修ができる様にするのが無難か? あと、マジカルポケットとかあると運搬がちょっと捗るかもな。
今回もお邪魔しますでよろしくお願いするよー! ヒーラーのアリアですっ。 >方針さん 本来の糧食が遅れてくるなら、あえてちょっと贅沢だったり新鮮なものを選んで、士気向上を狙ってみたりとかもどうだろうとふっと…? 後は仰ってる通り資材も大事そうだねぇ。 運送方法も大事そうだよねぇ。 確か、前回の報告書で、敵は動くものを狙うよりなんか特定の道を特定方向に流れてるだけなんだっけ? 安全通行に利用できないかなぁ。
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む 一応続けての参加になるのだろうか <方針 基本は次の補給が持つまでの食料と、アリアの言う通り嗜好品などを持っていくでいいと思うな、士気の維持は大事だからな まあ一台で数人分の一週間分の食料とあるから20人のを一週間分と考えると最低4台ぐらい必要か。ほかにも持っていくならもっと必要になるから持っていく量は厳選しないとな あとは道中の輸送を考えるならば道中の警戒も考えて前後に一人ずつ、左右に二人ずつという感じだろうか
アウル、シューターだ。 よろしくなァ。 >方針 あァ、保存食に合わせて嗜好品ってのも、少量ならアリじゃねぇか。 食料もだが、水は足りてんのかね。 調達できるアテがあるなら別だが、水分は重要だろ。 酒でも良いな。度数が低けりゃ、保存が利く分飲み水代わりになるし、度数の高いモンが手にはいりゃ、消毒や気付けに使えるんじゃねぇか? 関連して、医療道具があっても良いか。ヒーラーが居たって、無尽蔵に魔法が使える訳じゃねぇだろ。 防衛戦用の道具も欲しいが、大掛かりなモンは確かに厳しいな。 樽に油詰めて転がして燃やす…ってのも考えたが、周りが山道って事ァ木があるか。ってなると燃やすのは危ねぇかもなァ。 相手の動くルートが分かってるとして、今回それが避けられるかどうかだなァ。 観察できるようならアリかも知れねぇな。 ま、基本はセリオスの言うように前後左右に配置するってので良いんじゃねぇか? 左右それぞれに人員が多けりゃ、そっから前後で何かあった時に駆けつけ易いしなァ。 どこの配置になるにしろ、索敵はしとくぜ。
あら、人数そろってたわごめんなさい。シーフのエミリアよ、よろしくね。 今出ているの以外で、おねえさんがあったらいいんじゃないかしらって思ったのは、アウルちゃんが少し言ってるいるけれど油かしらねぇ。 食料の調理にも使えるし、夜間の明かりの燃料に、火矢にも使えるだろうし、城壁に取りつかれたら熱くしたのをそのままかけるっていうのも聞いたことあるし?多くても害にはならないかなって思うのよね。 とりあえず、マジカルポケットは持っていこうと思うわ、SPに余裕ができるようになったし。
おーっす! 遅くなっちまったがゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 物資についちゃだいたい意見が出てるが、ほかに思いつくとしたら籠城線を前提とした対策として柿とか栗なんかの保存食の作りやすい実のなる木が見つかれば根から掘り起こして移植とかだな。 あとは嗜好品って話題も上がってるから最近出回ったチョコレートなんか喜ばれんじゃねーか? 輸送に関しちゃセリオスの案で問題ねーと思うぜ!
>物資 他に運びたい物の事を考えると、荷馬車は5台有った方が良さそうだな。 いっそ集まった物資の量に応じて荷馬車を手配して貰うのも有りだが、 荷馬車が増えて隊列が長くなると守りにくいのが難点だ。 多くても5台分の量を目安に物資を集めて、その上で一纏めに出来そうな物は マジカルポケットに仕舞って運ぶのが良いか?
>物資 そういえば、保存食って細かく内容指定したほうがいいのかしらね? 『糧秣及び籠城戦で役に立つ物資の内容については、冒険者の皆様で選んで下さい』ってとこだし。 乾パン、チーズ、干し肉、赤ワインなんかは職人通りのショップで日持ちするとか保存性が良いとか書いてあるけれど。 嗜好品となると今出ているのだとチョコとかは良さそうよね。 荷台は出ているように4~5台ぐらいにしたいところ、かしら? 最大でも冒険者一人が1台死守とか考えて6台までとか一瞬思ったけれど、ぎちぎちも怖いものねぇ。 基本は食料(と飲み物)で、それ以外はマジカルポケットに入るぐらいにするとか? ところでマジカルポケット持っていく人ってどの位いるのかしらね? おねえさんは持っていく予定よ。 >道中 しかし、よくよく考えるとつづら折り48回って凄いわね……基本はオーガストさんの案でよいと思うわ。 『輸送中にクリーパーが襲撃してきます。数は十数体』 一応、前回の敵の強さからすると、十数体と上限がわかっているのなら、なんとなく早期発見できれば全部倒せそうな気はするのよねぇ、メンツ的には。 ただ、どこからくるかわからないし、一気に全部来るとも書いてなしのよねぇ 一応おねえさん、隊列の前か後ろを希望するわ。
>物資 今のところ出た案を纏めるとこんな感じか? ・保存食 ・飲み水(又は酒) ・嗜好品 ・木材と加工道具類 ・医療品 ・油 ・実のなる樹 ……結構出たな。 あんまり多くなると運ぶのも大変だし、多少絞った方がいいか? >嗜好品 まぁ、甘いものは外せないな。 ドライフルーツとかなら日持ちがして良さそうだし。 あとは多少嵩張るが、新鮮な野菜やら果物とかも良いんじゃないか? 保存食ばかりってのも期間が長いと中々に辛いし、 保存が効かないにしても、最初の方に食べれば問題ないだろう。 それ以外にも用意するとしたら、酒、煙草、茶葉あたりが思いつくな。 >台車 どちらかと言うと、マジカルポケットに入らない物を台車に乗せる方がいいか? 木材等の嵩張る物資を持っていくなら、1台くらいはそれに割く必要は有りそうだし。 逆に嗜好品とかは一つ一つはそんなに大きくないだろうし、一つの荷物として纏めたら、 マジカルポケットで運びやすくなる。 >個人行動 とりあえずマジカルポケットは俺も用意する。 道中は隊列の側面で警戒して、前後左右どこから襲われても、アーケインテンペストで 足止めしたり、範囲攻撃で薙ぎ払ったりで援護できる様にしておく。
まとめ、感謝だよー! まぁ、それぞれの量自体は少ないし、折角の臨時補給だから持てるだけ持って行くのも 悪くない…と思う!楽観的な意見だけどっ。 >輸送 車両はそれ位+現地で必要に応じてでいいと思うっ! 敵さんも流石に山の中腹から突然魔法の様に合われることはないと思うし ボクも後方に位置して防衛に回ろうかなぁ。いざとなれば結解もあるしね。 後、一台輸送とは別の空馬車を借りて。丸太やがれきを積んだ封鎖用のを 隊列最後尾に着けようかななんて考えてます。
>物資 あァ、油自体に使い道はあるからな。 用意するのは良いんじゃねぇか? 保存食の内容を細かく指定するのも、損になる事ァねぇと思うがな。 取り合えず俺の方では、保存食として干し肉、水と酒、医療品辺りを調達するように動いとくぜ。 マジカルポケットは便利だな。 「入れられるのは一種類・ひとつ」「大きさに制限がある」「梱包したり括るなど一纏めにし、かつ大きさ制限以下なら押し込める」ってのが、注意点でポイントか。 >輸送 馬車一台に積む物の振り分けは考慮するか…と思ったが、最後尾にそれ用の台車を付けるならいいか。 均等に振り分けときゃ、最悪多少切り捨てても特定の物資が全くねぇって自体は避けられるか…っつー考えだったからな。 俺ァ隊列の側面で、索敵と前後へのフォローも意識しとくかァ。
>物資 じゃあおねえさんは自分で言った油の調達をメインに、嗜好品としてのお酒とか他のものも軽く集める感じに書こうと思うわ。 >マジカルポケット あら、そう言った感じの制約があったのね!教えてくれてありがとう! ならバーネットちゃんの感じでまとめるのがよさそうね! >隊列 オーガストちゃんの「前後に一人ずつ、左右に二人ずつ」をもとにして考えるならアリアちゃんが後ろをやってくれるならおねえさんは前に行こうかしら? つづら折りのカーブのところとか少し先行して捜波とかで一応警戒もできると思うし。
>物資 まぁ、逆に集めるだけ集めて、優先度をつけて荷車に積んでいくってのも有りか。 食料と水(含む酒)、医療品あたりは必要だろうから最優先で積み込んで、 油とか嗜好品とかの、有ると助かりそうな物は残りのスペースに積み込み。 材木とか実のなる樹は、ティーダの言う封鎖用を兼ねた荷車として最後尾に配置し、 問題なく運べれば良し、襲われて運べなくなっても足止めに活用できれば良しって具合だ。 瓦礫とか積まなくても材木のみで十分な重さは確保できるだろうし、 運んだ時に積み荷を全部活用で切る方が良いとは思う。 >調達 そういえばこの辺表明してなかった。 材木は自分が言った物だし集めるとして、後は煙草とか少量でも調達してみようとは思う。 それと土壇場で完全な思い付きだが、馬用の飼料とか有れば良さそうだし、 調達できて積み込む余裕が有れば持っていこうかと考えてる。
そういえば調達するにしても安く済んだりしたら評価は上がったりするのだろうか、物資の購入といっても店によっては値段がまちまちだろうし。数十人分買うからまけてほしいとか交渉してもいいだろうしな 隊列は前後は希望者居るようだから俺は側面に回るとする。 超聴覚と看破とホークアイ、孤高者の捜波で周辺をサーチしながら進む予定だ。
>物資 そうだな…。 重要なモンは隊列の前、後方は最悪切り捨てられるモン…って形でもいいかもな。 勿論、そう簡単に無駄にしてやるつもりもねぇが。 >調達 だろうな。 依頼だから、費用に関しちゃ向こうが持つ…ないしそれ以上の報酬が支払われるだろうが、財源だって無限じゃねぇだろうしなァ。 一応そこら辺、洞察(スキル)でどうにかするつもりだぜ。 少なくとも必要以上に高値を付けようとしたり、粗悪品を掴まされたりって事ァ避けやすくなるだろうからな。 ついでだが、それで黒モヤ共の特定の動きってヤツも、推測出来るか見てはみるさ。