何処かで誰かが泣いている
弓月 蒼
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シナリオID:702
オープニング
"――――汚らしい半獣如きが、二度と表通りを歩くな"
拳を振るわれる理由は、ただそれだけだった。
そしてそれで十分らしい。視界が明滅して、反転した。ただ痛みと悔しさだけが残った。
流行り病で両親を亡くした俺にとって、村の片隅で薬師を営んでいた祖母は唯一の家族だった。
祖母は変わり者だったが、けれど腕は良かったから村の中に居場所が有った。
変わり者の孫である俺にも、村を歩けば話しかけてくれる顔見知りくらいは何人も居た。
森で獲物を取ればそこそこの値段で買い取って貰えた。
たまに冒険者や吟遊詩人、行商人がやって来れば村の子供たちに混ざって歓待したものだ。
「――――何だ、この村では半獣など飼っているのか?
全く、季節の代わり目の流行り病は奴らが持って来ることすら知らんのか。
これだから学の無い田舎者は……王都では半獣を飼う者などとうに消え失せたと言うのに」
領主様なる人間が変わって、村に見回りに来る人間が変わった。
見回りの騎士がそう語ると、村人達の目が明らかに変わったのが分かった。
祖母は"嘘っぱちだ。半獣人からしか感染しない病など存在しない"と、言い切ったが。
変わり者であっても効能は確かな祖母の薬は、けれど途端に売れなくなった。
俺が村に獲物を持っていっても、誰も買い取ってはくれない。
金が無ければ物も買えず、路銀が稼げなければ遠出して売りにも出られない。
祖母の蓄えで食いつなぐことは出来たが、このままなら早晩食うにも困るようになる。
食料が無いのでも、売れる物がないのでもない。
だが、買って貰えず売って貰えないのでは、辺境の村ではどうにもならない。
当たり前だった日常は、たった数日で当たり前ではなくなった。
十日も経てば村の半数が順応し、残り半数が見て見ないフリをするようになった。
そして今日――――村長に相談に向かう最中、突然石を投げられた。
拳大の石だ。悪ふざけでは済まない。痛みと流れる血に、視界が赤く染まった。
嗚呼、そこでカッとして殴りかかったのも良く無かったのだろう。
だが言い訳をさせて欲しい。空腹だった。焦りもあった。余裕がなかった。
石を投げた相手が顔見知りだったのが余計に勘に障った。理由がある。理由はあったのだ。
けれど、殴りかかった瞬間に件の騎士が出てきて鋼の篭手で殴られた。
何度も何度も何度も何度も殴られて一方的に血みどろになりながら繰り返し言われた。
半獣風情が人間に手を上げるとは何事だ。貴様が生かされているのは慈悲だ。温情だ。
"――――汚らしい半獣如きが、二度と表通りを歩くな"――――と。
●何も出来ない
冒険者ギルドは市民の味方を標榜している。その事実に嘘偽りはない。
しかし、国家間の力学と言うのは、それだけで片付く物ではない。
例えば同盟が通商路として王国を切り離したら、王国は相応の不便を強いられる。
けれど同盟とて王国の豊かな食料資源に依存している側面がある。痛いのはお互い様だ。
そういった諸々を考慮した時、冒険者ギルドには介入出来る限界値と言う物が存在する。
即ち――――"公務不介入"。国家の機構に対し表立って対立することは出来ない。
それは、各国の掲げる法と秩序が異なる以上は止むを得ないことだ。
そこを土足で踏み躙れば、望む望まざると国家レベルでの対立を余儀なくされる。
故に。冒険者ギルドに持ち込まれた、痩せた半獣人の老婆からの"救出依頼"について。
ギルド中枢の意見が真っ二つに分かれたのは、至極当然と言って良い流れだった。
領主が擁する正規の騎士とは、即ち同領内に於ける限定的な法の執行者だ。
そんな特権階級が多少の横暴を為しても、裁きの場まで持っていく事は困難極まる。
冒険者ギルド内ですらこれほどの意見対立が起きる依頼を軽々と受ける。
そんな行動が不可能なことは、"あらゆる国に拠点を置く"冒険者ギルドの必然である。
ギルドは何も出来ない。支援も。補助も。責任を取ることも。
公的には。半獣人の老婆からの依頼は、公務不介入の原則に反する物として却下された。
依頼の却下が決定した翌日、『リブラネスタ』冒険者ギルドから一つの依頼が発行される。
"王都北方の村落へ赴き、知見に優れる薬師の老婆とその家族をギルド職員として勧誘せよ"
それは安価でささやかな。根本解決には程遠く、きっと何が良くなるわけでもない。
それでもちょっとした――――市民の味方による嫌がらせである。
解説
マスターより
リプレイ
朝、最初に対面した時から嫌な気配は感じていた。と、今年で五十路を超えた男は後に語る。
「"付近一帯の土地検めと地図の作成、情勢の把握を目的に"冒険者ギルドから来ました」
"汚らわしい"、"下等な"、"災いを招く"――――この村では、そう言う事にされた。
ならざるを得なかった半獣人の少女の言に、侮蔑と無関心の中間の様な冷めた眼差しが向かう。
突然村を訪れた冒険者が告げた言に、否やが有る訳ではない。地図から省かれる方が余程問題だ。
しかし、そういった態度を取らなければ辺境の村など貴族の気紛れで容易く無きものにされる。
選りに選って半獣人の『光の回避型殴りヒーラー』トゥーリは、まさに厄介事の塊だった。
「冒険者には村も幾らか恩が有る。止めはしませんが助けまで期待せんで下さいよ」
精々、そう忠告することで厄介事の芽を減らしておくことが彼に出来る最大限の配慮だった。
――――訳だが、事態はここから思わぬ方向へ転がり始める。
「村の周辺に群生する植物類の調査を受けたんで、村に入りたい」
暫し時間を置いて。昼前頃に村長宅を訪れたのはまた異なる冒険者であり、半獣人だった。
顔一杯に渋面を作った村長に対し、勲章を差し出し身分の確かさを証明するも。
けれど王国辺境の村長に勲章の真偽など判断出来る訳もなく。調査と聞けば嘆息しつつ認める外無い。
『ブレイブファング傭兵団団長』ハヤト=ガラン=ヴォルファングは、かくて無事入村を果たした訳だ……が。
「食料の調達をさせて頂きたいのですが」
「多少であれば……失礼ですが、もしや村の近場で何か起きているのですか?」
流石に3例目となると黙っている訳にも行かず、村長も切り込んだ。
村に来る冒険者がそれほど多い訳ではない。だからこそ冒険者の話は娯楽になるのだ。
それが別個の事情で3人となると、彼が村長になってより十余年で初めての異常事態である。
おまけに半獣人2人に加え『リットの先生』ドローミも王国ではあまり見ない蜥蜴人だ。
「いえ、ただ任務の為に村の外にキャンプを張らせて頂くかもしれません」
「村の外で何か起きているんですね?」
ドローミを見る村長の目には最早隠し切れない不審の色がじっとりと滲んでいたが。
しかし今更方針を取り下げる訳にもいかない。冒険者各人が打ち合わせ出来る場も無いのだから。
――――村に射す陽が傾きつつある頃。病人だと言う亜人を抱えた半獣人がやって来た。
「伝染性は無いけれど、普通の病ではないのだわ」
「足を踏み外して怪我をしてね。良くなるまで暫くここで休ませて貰いたい」
「……、……。……どうぞ」
『いっ』バンビと『黒諜の護盾』スヴァン=ウォルフ=ユーウェンの申し出に。
彼は頭を抱えたくなる衝動を自制心の全てを費やして圧し止めなければならなかった。
既に半ば以上の確信に至っている。何かが起きている。村の外で――――何かが。
嫌な妄想が際限なく広がる。まさか、本当に半獣が災いを運んで来たのか!?!?
事態を重く見た彼は直ぐに領主の元へ陳情に向かうか熟考するも。
だが、"明らかにおかしい"だけで、辺境の一村落の為に領主が動いてくれるとは思えない。
せめてそう――――何か間違いなく喫緊の事情が無ければ。
「ギルドに討伐依頼が出ていたクリーパーがこの村の近辺に逃げてきたみたいで……えっ?」
村長は顔を覆って咽び泣いた。これまで積み上げて来た違和感が全て消化された様だった。
事情を説明しようとした『常に紳士であれ』レオナルド・ピーフォウルが戸惑いの声を上げる。
地図作成、植物調査、キャンプ作成。斥候隊が負傷。
嗚呼――――と言う事は、病人の原因もクリーパーか。冗談じゃない大問題だ。そして喫緊の事情だ。
「……そうではないかと、思っていました……」
震える声で目元を拭う村長。あまりにも劇的な。そして流石に予想外の反応である。
控えで居ようとした『透徹の蒼眸』エルゼリオ・レイノーラが驚いてハンカチを差し出す。
「いや、でも小型のクリーパーで、実害は殆どないから……」
「村を護る立場の者として、放ってはおけません! こうしちゃいられない!」
「ええ――――!?」
一体何が彼をこれほど昂らせたのかはレオナルドにもエルゼリオにも全く分からない物の。
恐らく、各自ででっち上げた村へ入る理由が何か奇跡的な噛み合わせを見せたのだろう。
「冒険者の皆様、村を。私たちの村を宜しくお願いします……!」
村長宅を跳び出していった村長に呆気に取られる形で取り残された3人。
その最後の1人。『風よりも疾く』フリューリングスルフト=ティエラがぽつり呟いた。
「うちら、何か不味いこと言ったかなぁ……?」
何故こんなことになってしまったのか。せめて理由はある程度絞った方が良くは無かったか。
今更考えても栓無き話である。――――賽は、投げられてしまったのだから。
●扉の鍵
「態々来て貰ったのに、すまないねえ」
翌日。獣人の老婆宅へ訪れた冒険者達を待ち受けていたのは、完全籠城体制の孫だった。
ドローミが食料を持ち込み最悪の事態こそ免れているが、自室から出てすら来ない。
「これは厄介だな」
「ヒューマン至上主義は其れこそ地方の貴族派くらいだと思うのですが……」
昨今GP教なる教えに傾倒しつつある蜥蜴人の言には妙な説得力があるが。
しかし実際問題。王国と言う土壌に限れば、残念ながらその原則は成立しない。
事実として王国貴族はその九割以上が唯人なのだ。市場流通品の殆どは唯人用で設えられる。
他種にとっては生きるだけで不便であり、その不平不満は蓄積されども決して減少する事は無い。
結果必然的に。揉め事は"唯人と他種族"の形に陥り易く。大衆心理として恩は忘れど恨みは残る。
そんな社会が世紀単位で続いていれば、問題は個の域を越え国家の仕組みにまで根を張っている。
スヴァンが考えていた秘蔵のチョコレートで釣り出す、と言う手も対面出来ればこそだ。
恐らく、彼らに唯人が混ざっている時点で拒絶反応が出たのだろうが……
「うーん……じゃあワタシは時間稼ぎに徹しようかな」
「俺もそっちだな。誇り高き半獣人として、一丁村人の本音でも引き出してやろうじゃねえか」
"依頼の信憑性を上げる為"と言う名目で、脱出ルートの選定へ向かうトゥーリ。
"村人達から本心を聞く"と言う目的の為に、村恒例の歓待の宴に出ていくハヤト。
それぞれが、冒険者達が村に滞在している間の違和を消す為に動き始めると。
残る面々は如何に老婆の孫を説得するかで頭を悩ませる。
「人は一朝一夕で変わりはしない。強行突破するしかないのでは?」
「いや……扉越しでも、粘り強く語りかけるしかないと思う」
「そうやね。確かに簡単には変わらんくても、仕方ないで済ましたくない」
結局。方々意見は割れた物の大意として、これ以上傷付けないで済む方策を模索した結果。
老婆の孫とは持久戦で相対する方針で固まった物の……
"……帰れよ。唯人なんか見たくもない"
木目扉をノックして。返って来た声はにべもなく。弱った声は掠れていた。
身体の怪我はある程度ドローミの回復魔法が癒していたが。けれど心の傷は開いたままだ。
ノックしたエルゼリオも言葉を選ばざるを得ない。
今、仲良しの異性の話を聞いて。それを素直に聞ける精神状態で無いことは、分かってしまう。
「いつの世も、差別は無くなりませんわね」
だから。口火を切ったのはバンビであった。彼女はただ自分の話を語り出す。
ゴブリンは蛮族だ。その認識は王国のみならず大陸中で蔓延している。半分は事実ですらある。
それをどれだけ差別だ。不平等だと嘯いてもどうにもならないのが国家の仕組みだ。
バンビは放浪者だった。定住せず各地を転々として来た。――――何度かは逃げても、来た。
「嵐は突然やってきて、何もかも台無しにしてくれますわ。
そういう時オレは逃げました。逃げる事は恥ずかしいことだと思います?」
問に応えは無い。けれどそれは、反発ではない。帰れ、と言う声は沈黙へと換わる。
「チョコレートが、ある」
"……えっ?"
続いたのはスヴァンだが。その言葉の意味を理解出来た者がどれだけ居るだろう。
声には痛切な。或いは押し込められた燃え盛るような情念が込められていたが。
「秘蔵の。カカオが取れる間しか安価に買えない一品だ。
いつまで流通しているか分からない。この意味が分かるか」
"……わ、……からない"
意味は、良く分からない。半獣人の少年の声も明らかに戸惑っていた。
「餓えて死んでも奴らは笑うぞ。選べ、俺のチョコレートを喰って生きるか。ここで独り餓え死ぬか」
はっと。扉越しにでも分かるほどはっきりと、息を呑んだ音がした。
それを聞いて……今だ。今しかないと。あんまりな流れに固まっていたフリューが慌て言葉を繋ぐ。
「話、聞かせてくれんかなあ。うちは君が何を想って、何を感じたのかを聞きたいんさ」
そうしてそれが。きっと、数少ない扉の合い鍵だった。
彼は傷付き、苦しんで。何もかも上手く行かず固く扉をを閉ざしていたけれど。
結局のところ――――
"……俺さあ、誰も嫌いじゃ無かったよ"
"助けて貰ったよ。助けたことだって沢山あったよ。喧嘩したって、仲直り出来ると思ってたよ"
"なんでかな。……なんでこうなっちゃったのかなあ。……俺が半獣だから悪いのかなぁ……っ"
溢れ出す言葉は洪水のようで。其処には彼の。彼だけの十年余りの時間が有って。
其処には、きっと彼にしか分からない無数の"理由"があった。
「うん。悔しかった。怒りもあった。そんで、何より悲しかったんやね」
彼はただ、聞いて欲しかったのだ。何処にも吐き出せないままになっていたその想いを。
「うちにも、ヒューマンの同居人且つ友人が二人おるんよ。二人の事が、うちは大好きさ」
語る声音は静かに。木目扉を挟んで泣き声が響いて来るまで、訥々と続く。
そうして翌朝――――少年の部屋の扉の鍵は、確かに開いていたのだった。
●騎士と貴族
村に着いて4日。一通り村の人間全員と面識を作ったハヤトが酒臭い息を吐いて突っ伏した。
「駄目だな。罪悪感を憶えてる奴も居るっちゃ居るが……」
狭い村に有りがちな、相互の監視体制がまともに機能している。
互いの目が有る場所では、半獣人に対する冷淡な態度が崩れる可能性は低い。
それがハヤトの出した結論だった。つまり村人の協力はまるで期待出来ないと言うことだ。
「ワタシも大雑把に図面を引いてみたけど……別に何処からでも出られそう?」
退路を確認していたトゥーリもまた。結論は似たような物だ。
村人の態度は消極的嫌厭に近い。以前老婆の孫が殴りかかった為だろう。
協力は得られないが邪魔して来る程でもない。村を出るだけなら容易だ。……けれど。
「……となると、問題はあれか」
孫の態度が軟化した事で、老婆も同盟への旅を決意してくれた様だった。
準備はほぼ終わったと言って良いが、問題は老婆宅の窓から外を覗くレオナルドの視線の先。
家の周りを囲んでいる――――3人の赤い騎士だ。
「増えてるんだけど」
「増えてるね」
最低限、小型クリーパーを相手に出来る戦力を揃えて来たのだろう。
面倒な事になった……と、レオナルドとエルゼリオが顔を合わせて大きく息を吐く。
「どうする、やるか」
「突破するなら、支援しますが」
決して多く無いチョコレートの残機が減って殺気立つスヴァンと。
買い出し+調理or加工+事情説明の繰り返しで心のバランスを崩しつつあるドローミ。
勿論、流石にそんな理由でジャイアントパンダは助けてくれない。
両名の呟きをまあまあとエルゼリオが宥めたが。ともあれどれかは件の騎士だろう。
――――であれば。ここは唯人の出番だ。
「何としてもお婆さんとお孫さんの脱出は成功させる」
「うむ。まあ僕も好き勝手、自分にとって楽しくなりそうな事をするか」
意を決して2人の王国貴族が扉を開く――――
「おい、出て来たぞ」
「構わん。その方が話が早い。おい、其処の冒険者――――ん?」
レオナルドが胸に手を当て一礼する。エルゼリオもまた見様見真似でこれを演じる。
王国の作法は微に入り細を穿つ酷く格式張った物だ。一朝一夕では粗が出る。
「いずれ名の有る騎士殿とお見受けします。此度はご足労頂き恐悦の限り。して御用件は」
「あ。いや、自分――私達は此方の村の警護の任を当領領主より預かっている者です。
こちらにクリーパー対峙の為に来られた冒険者が居ると伺ったのですが……」
それを慣れた仕草で示されたことで、騎士達の警戒度合いは目に見えて上がった。
貴族には何の気紛れか冒険者に扮する者が居る。とは上流階級における常識の範疇である。
第二王子からして"あれ"なのだから今更だが。と言っても貴族は貴族だ。
家格も分からず礼を失すれば、最悪首が飛ぶ。少なくともその結末を警戒せざるを得ない。
「はい、ボクらが討伐を請け負い、けれど此処まで逃がしてしまいました。
こうなった以上、ギルドの威信にかけてボクらの手で討伐しなければなりません」
「相手は小型ですし、知能も低く、近付かなければ無害でもありますので」
エルゼリオの言をレオナルドが補足すると、騎士達が互いの表情を伺う。
それが事実なのであれば、余計な事に手を突っ込み火傷したくはないと言う色が濃い。
しかし3人の中の1人が進み出て改めて声を上げる。
「其処の。御二方が滞在している半獣……人の一家とはどういった関係で?」
「此方の家が最も森に近いので、近隣の調査に当たり協力を依頼しています」
答えを用意してあったレオナルドが即切り返すと。騎士は怪訝の表情を浮かべるも。
確実な決め手が有る訳でも無かったからだろう。控えた2人の騎士に肩を引かれ去って行く。
家の中を見せろ――――と、言われたなら不味かったなと。小さく息を吐く2人。
こうして、最大の障害を排除した事により半獣人一家の夜逃げは粛々と幕を降ろす。
夜闇に紛れて村を抜け出し、小高い丘を登った老婆の孫は幾度も幾度も村を振り返った。
どんなに嫌な記憶が有れど、故郷は捨てられない。未練も、やはりあるのだろう。
泣きそうな顔で拳を握った少年の手を2人の冒険者が左右から握った。
「これ、賄賂さぁ」
左手を握ったフリューは、七色のチョコレートをそっと手渡して笑い。
「人事は尽くしました。後は幸せになるだけですわよ」
右手を握ったバンビが。鼓舞の言葉と共に握り過ぎた拳を解いた。
何も言えず両目を閉じて。最後の涙を振り払った少年は、前を向いて歩きだす。
「例え差別や格差というものがなくならなくとも」
――――それでも生きていくしかないのだと。黒い雪豹の呟きは、風に乗って解けていく。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:少ない8 / 6〜8人
2021年03月24日 10時22分00秒 公開
相談掲示板
よぉ! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、みんなよろしくな!! ったく、王国の人間様至上主義にゃうんざりさせられんな… 種族で差別してくれるとあっちゃ胸糞悪くてかなわねぇぜ! 気をつけなきゃならなそーなのは巡回の騎士に対する対応と孫の人間不信解消か… 騎士の対応はエルゼリオかレオナルドに頼った方が良さそうか?
はい、ドローミと言います。 エルゼリオ殿には、カラーフレムでもお世話になりました。 皆様、今回も宜しくお願いしますね。
半獣人差別か…………耳の痛い話だ。 まあ、その、よろしく頼む。
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 いつの世にもどこの国にもある話ですわ。 一朝一夕にも首のすげ替えでも変えることの難しい話ですもの。 たとえ人種が単一になったとしてもなくなる話ではありませんわ。
トゥーリだよ、よろしくね! うぅん……身につまされる感じ。なんとかしたいな!
どーも、ヒューマンのレオナルドでーす。今回はよろしく頼むよ。 必須条項の『孫の半獣人以外の種族に対する根深い人間不信を解消すること』から考えるに、ハーフビースト以外は等しく警戒されるという認識でいいのかな。 まあ、今回は3/8がハーフビーストだし、門前払いとまではいかないと嬉しいが。 >騎士の対応 発言から考えるに、ハーフビーストに限らず選民思想がありそうには思えるね。 一応、礼儀作法のスキルはあるから、僕が対応すれば最低限の信用は得られるのではないかと……ほんとか? ハーフビーストが流行病を持つと思い込むレベルの奴に礼儀の良しあしが分かるのか?? あと、素直に考えれば騎士はヒューマンだと思う。 その騎士から受けた差別から来る孫の人間不信を考えると、僕かレイノーラ君のどちらかはその敵意を解きに行くのもアリではないかと考えるよ。
おはようございます。 レオナルド殿におかれましては、初参加の依頼以来ですね。 王国でのハーフビーストを差別というか、ヒューマン至上主義って 貴族派の一部だけでは?という印象がありますよ。 治療と体調改善は僕でもなんとかなる筈。 あとは、GP教の流行について説きませんか? 世は万事バランスだそうです。
ヒーラーでヒューマンのエルゼリオ・レイノーラだよ。 今回は宜しくね! >ドローミさん あ!カラーフレムではお疲れ様! こちらこそお世話になりました~。 >騎士の対応 視野狭窄な差別主義者っぽいから、 巡回にやって来た時はレオナルドさんとボクで何とか当たり障りなく対応して、 お帰り頂くしかなさそうだよね。 …ただ王国のハーフビースト差別はかなり根深いみたいだから、 この騎士さんだけが特殊って事ではなさそう。 >人間不信解消 ボクも仲良くさせて貰ってるハーフビーストの娘が居るし、 ヒューマンがあの騎士さんや、村の人達みたいなのばかりだと思われるのは凄く哀しい…。 何とかお孫さんに『ヒューマンにも色んな考えを持ってるヤツが居る』って事を知って貰いたいな。
シーフのフリューリングスルフトって言うさぁ、長いからフリューって呼んでね。 よろしく! んと、必須条件の中に『老婆と孫の健康状態を1週間程度の旅に耐え得る状態まで回復させること。』とあるから、これは少なくとも2~3日かけて回復させてから脱出ってことでいいのかな? もしそうなら、お孫さんは狩りとかいってたみたいやし、動けるようになったら人間不信解消の交流を兼ねて森へ狩りに行ってみるのはどうやろか?
連投してごめんさぁ。 この村にはみんなどういう風で入るか確認、提案しておきたいんやけど。 今回の依頼を隠す必要があるらしいから、村に来た表向きな理由としては近くに立ち寄った、しばし休息を取らせて欲しい、が自然かなぁ思うんよ。 村やけど、宿があるかは分からんから、宿代わりにどこか泊めてさせてもらう場合、ハーフビーストに差別感情持っとるからうちとか泊める事断られる可能性高いんかなぁと。 なら、今回のおばあちゃんーー老婆が経営してる薬屋に向かおう→宿泊の交渉しつつ、今回の依頼の交渉も切り出す という流れはどうやろか?
>フリュー殿 全員で逗留だと、いささか人数が過ぎると思います。 (パーティとして一斉に村に入るのは自然) 僕は他所でも話を伺いつつ、現地で食料を補給する形で二人の食事も供給したいです 立ち寄った村の薬屋に出入りする分には、無理は言われない筈
ドローミさんは現地集合、やね。ありがと! 他のみんなもそんな感じなんやろか? あ、あとなんやけど。脱出する時間?というんやろか。 昼間に堂々と? 昼間にこっそり? 夜にこっそり? 薬屋に裏勝手口とかあったり、なくても周囲見張りながらタイミングを計ってなら、 昼間から脱出もできるのかな? と、思ったりしてます
>村に入る口実 取り敢えず、ボクは『村の周辺でクリーパーの目撃情報があったので、暫くの間は村を拠点としてクリーパーの捜索&討伐をする為』って口実で村に数日滞在しても怪しまれない様にするつもりでいるよ~。 >脱出時間とか ボク等の存在自体、村人達には異質で目立つ存在だろうし… 密告されたりすると面倒だから、出来るだけ目立たない様に行動したいよね。 そうなると、必然的に行動の時間帯は(村からの脱出以外も)夜間にするしかないかな~?とは思う。(騎士さんの対応は別として)
>脱出時間 ふむ、夜間というのに異論はないよ。 なんなら、レイノーラ君の言う口実のクリーパーに絡めて『夜行性らしいから自分たちも夜に探しに行く、知能は高くない種なので家の中にいれば安全だ』とでも言ってしまうのはどうだろう。 よければ、僕も演技のスキルで村長辺りにそう話そうかと思うよ。 >騎士対応 レイノーラ君が人間不信解消に動いてくれるようだし、僕としてはこちらの騎士相手を主に行いたいと思う。 見回りという騎士の立場も考えると、クリーパー探しに行かせないような言い訳も必要になるかな……。 別の冒険者が仕留めそこなった個体と思われるので、ギルドに責任を持たせてほしい、とかかな?
>レオナルドさん それじゃ『夜行性らしいから自分たちも夜に探しに行く~』って方向で村長さんへの根回しお願いします! >騎士対応 そうだねぇ。領主さんと騎士さんに絶対迷惑は掛けないって念押しした上で、 一度冒険者ギルドが請け負った依頼だから、最後までギルドだけで責任を持ちます…! みたいに押し切るしかなさそうだよね。
>村に入る口実 今更なんで方針転換が難しそうなら俺はこの理由付けで村に立ち入る事にするって宣言になるが… クリーパー退治を絡めちまうと見廻り騎士の耳に入って領主の介入の可能性を作っちまうと考えるとやめといた方が良くねぇかと思ってよ。 どうせなら希少な薬草採取の依頼を受けてとかって理由の方が当たり障りねぇんじゃねーか? 薬草の採集なら数日くれぇ滞在してもおかしくねぇだろうし。 んでもって、上手く事が運んで老婆と孫を連れ出した後は実は希少な薬草ではなく老婆の作る薬がとんでもねぇ価値のあるもんだったって噂でも届けてやれば村や領主含めた騎士達を悔しがらせるちょっとした嫌がらせにもなっかなと思ってよ♪
>口実 領主が介入してしまうかもというのはまあそうなのだが、希少な薬草があるとすると、欲に駆られて出歩く村人が現れないか心配かな。 老婆の家に行くところを見られたら、騎士へ報告が行く可能性もある。 もっと言うと、領主側が『そんな美味しい話があるなら首を突っ込ませろ』と来るパターンも起こりうると思う。 ただ、騎士たちを悔しがらせたいというのが主眼ならばいい塩梅の嘘ではあると思うよ。 (クリーパーに関しては、最終的にはまた別の地域に追い払ったなりなんなり言うつもりだ)
あ、結論を言い忘れてた。 方針を合わせるまではいかないけど、ヴォルファング君がその理由を使うことまでは反対しない感じかな。
村に入る口実と滞在の理由……今更だが俺は怪我人のフリ(演技)をするつもりでいる。 腕の確かな薬師が村にいるのだから、怪我人(嘘)が数日滞在していても不自然ではないはず……
>村に入る口実 希少な薬草みたいな資源関係は財源と直結しちゃうし、 『それは何という薬草だ?どんな効能が?何処に生えている?そんな希少な薬草を領主様の許可なく採取するとはけしからん!』…みたいな感じで騎士さんの興味を惹いちゃわないかな? かと言って何の変哲もない薬草の採取や納品の為に、 行商でもない冒険者が何日も滞在するのは不審がられそうだし…。 クリーパーは『小型で脅威度は低いが、冒険者ギルドの面子の問題で追っている』事にすれば、 然程興味は持たれないかなぁ?って思ってる。(きりがないだろうし) 夜間行動がしやすいって利点もあるかな。
>村に入る口実 口実のこじつけとしては 非常に効果の高い薬(高値のつく)が見つかったが出処を調べたらこの村に辿り着いた (ここまでは最後の仕返しの噂流しまで伏せておく) →希少な薬の出処である村の近くに原料となる薬草が生えている可能性が高いことから調査依頼があって村に訪問。 この理由すら最初は伏せておいて学者でも装って周辺の植物調査でたまたま訪れたって体にしといてもいいかもしんねーけどな。 →最悪老婆に接触してもおかしくない状況を作っておける(薬の情報収集として) 老婆と俺達の接触自体を完全に秘匿にすんなら関係ねぇけどよ。 ま、そもそもこっちから積極的に見廻り騎士に接触するつもりもねぇから、向こうから難癖つけて来ねぇ限り旅の冒険者を装ってでもいいだろうけどな。 クリーパー退治が名目でもビビって冒険者に任せるって言ってくれるレベルなら逆に滞在し易いだろーが、血気盛んで自分達から討伐に乗り出すかのどっちかの反応で無関心ってこたぁねー気がするけどな。 ま、そのへんは人間以外の俺達にはそもそも嫌悪感持って接してくるだろーからレオナルドとエルゼリオに任せんぜ。
>村に入る口実 何れにしても巡回時に騎士さんの方から難癖付けに来る可能性は高いと思うから、 (流れ者が村に入って来たら確認位はしに来るだろうし)その時の対応は各自で考えておかないと不味いと思う。 クリーパー退治に騎士さんが付いて来るって言った場合、 適当に同伴しながら村の周辺を巡回するつもりでいるよ。
んーと、おおまかな流れと、こうした方がええのかな?というのをまとめると。 ・各自それぞれの理由をもって村へ。現地集合 ・老婆と孫にバラバラに説得や話をすると混乱すると思うのでみんなが集まった時タイミング見計らって話す ・騎士対応は基本的にレオナルドさんとエルゼリオさんにお願いする(念の為、各自対応についても可能なら考えておく。ただし戦闘回避) ・脱出必須条件クリア後、夜間に脱出する って感じでええかな? 孫との交流はしたい方いると思うからその辺りのタイミングはふわっとしてるけど。 あ、うち、レオナルドさんやエルゼリオさんと一緒に(同じ理由として)村に入ってもええかな?
>フリューリングスルフトさん 流れの纏め有り難う! お孫さんと会話する時、ボクは『クリーパーの情報を収集する』名目でお婆さん宅へ行く事にしたよ。 それと、誰かが騎士さんに絡まれた時は可能な限り仲裁に入るようにするね! (演技&交渉スキル活用) 勿論、OKだよ~。宜しくね!<同じ理由で村に入る
>ティエラ君 ちょっと忙しいんで一言になるが、僕としても理由の共有は大丈夫だよ!
エルゼリオさん、レオナルドさん、ありがとうさぁ! みんなも現地ではよろしくね!