冬を告げたモノ達の足掻き
ゆうきつかさ
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シナリオID:694
オープニング
「……また面倒な事になった」
帝国軍人ガデムが困った様子で、深い溜息を漏らした。
事の始まりは、数日前。
ガデムが部下達、数人を連れて、周囲の見回りをしていた時の事。
真っ白な狼の群れに遭遇した。
すぐさま、ガデムが部下達を逃がし、狼の群れに戦いを挑んだものの、そこで信じられない事が起こった。
「いきなり奴等が氷のブレスを吐いてきやがったんだ。間一髪で岩陰に隠れて難を逃れたが、直撃していたら、間違いなく死んでいた。だが、今考えて見ると、あれは威嚇だったのかも知れない。おそらく、われわれが狼の群れと遭遇した場所が奴等の縄張りだったのだろう。だからと言って、安心する事は出来ない。奴等は我々を敵として認識した。脅威になると判断すれば、あちら側から攻撃を仕掛けてくる可能性もある。もちろん、相手が普通の狼であれば、我々だけでも追い払う事が出来たかも知れない。しかし、相手は氷のブレスを吐く狼だ。おそらく、あれは魔獣……いや、間違いなく、魔獣だ。そんな奴等に攻めて来られたら、最悪の場合は多くの死傷者を出す事になるだろう。そこでお前達に狼の魔獣を退治してほしい。我々が狼の群れと遭遇した、この森で!」
ガデムが真剣な表情を浮かべ、テーブルの上に地図を広げた。
その森は山に近く、雪がわずかに残っている場所だった。
解説
マスターより
リプレイ
「さっむ……俺の実家では考えられない厳しさすね。まさに、身も凍るほどの寒さ。……雪は綺麗すけど……。それ以上に寒いっ!」
マタリキー・T・ヒーローは仲間達と共に、難民キャンプ傍にある森にやってきた。
そこには、まだ薄っすらと雪が残っており、冷たい風がマタリキー達の身体から体温を奪っていた。
幸い、依頼主であるガデムから防寒具を借りる事が出来たものの、ないよりはマシなレベルであったため、最低限の寒さしか防ぐ事が出来なかった。
それでも、防寒具なしでは戦闘どころでは無くなっていたため、ガデムに対しては感謝の気持ちしかなかった。
「とにかく狼の魔獣を見つけないと……」
それとは対照的なコハクが、ガデムから受け取った地図を広げ、狼の魔獣が出現したポイントを確認した。
事前に得た情報から考えて、狼の魔獣は周囲の偵察をしている段階なのだろう。
故に、こちら側の戦力を把握した上で、自分達の縄張りを広げるため、行動を起こす可能性が高かった。
しかも、狼の魔獣が出現した場所には規則性があり、少しずつ縄張りを広げているようだった。
「……そうですね。難民キャンプの近くまで来ているという事は、いつ襲われてもおかしくないような状況。このまま放置しておく訳にはいきません。このハリーヌ、報酬分はしっかり働くでございますよ!」
ハリーヌ・ヨツユビが色々な意味で危機感を覚え、警戒した様子で辺りを見回した。
戦力的に考えて、狼の魔獣を二体相手にするのが、やっと。
何とか頑張れば、もう一体倒せるかも知れないが、全滅させる事は至難の業だった。
それでも、限られた戦力の中で、狼の魔獣と戦わなければならないため、ここで気を抜く訳にはいかなかった。
「まぁ……、これも生存競争か。今回は兵士だけだったからまだいいが、これから暖かくなっていく事を考えると、奴らの行動範囲と難民の行動範囲が被る可能性は高いしな。だったら、今のうちに対応しておかないと……」
ケン・Z・ブラッドリーも同じように危機感を覚え、森の中を進んでいった。
いまのところ、難民キャンプにまで被害が及んでいないものの、自分達の縄張りを広げるためには邪魔な存在になるため、見て見ぬフリをする事も無ければ、共存する事もないだろう。
故に、ここで手を打っておかなければ、何らかの形で難民キャンプにも被害が及ぶため、残された時間は極わずかと言っても大袈裟では無かった。
「それでは、ワタクシが捜波で索敵するでございます! ゴリラ、お前はしっかり周りを見るでございますよ」
すぐさま、ハリーヌが見通しの良い岩場に隠れ、捜波で狼の魔獣の気配を探った。
それに合わせて、ペットのゴリラが奇襲を警戒するようにして、ハリーヌの死角を索敵した。
この時点で、何かの気配が感じられたものの、それが狼の魔獣なのか特定するのは難しかった。
それでも、茂みに隠れるようにしながら、少しずつ距離を縮めている事を考えて、こちらの命を狙っている事は間違いなかった。
「多分すけど、風下から来るんじゃないかなあ……と思っているんすが……。だって、ほら……相手は、けもの。俺は、のけもの……って今日は妙に寒いすね」
そんな中、マタリキーが渾身のギャグを口にした後、極寒の寒さに襲われガタブルと身体を震わせた。
一瞬、激しいブリザードに襲われたかと思ったが、おそらく気のせい。
その間も仲間達が真剣な表情を浮かべていたため、その流れに乗るようにして風下に立ち、超嗅覚で何か異常が無いか確かめた。
その途端、風に乗ってケモノのニオイが漂ってきたため、マタリキーが仲間達に声を掛けようとして口を開こうとした。
「……どうやら現れたようだね」
それよりも速くコハクが、仲間達に対して警告し、警戒した様子で物陰に隠れた。
それに合わせて、仲間達が武器を構え、狼の魔獣との戦闘に備えた。
「グルルルルゥ……」
次の瞬間、狼の魔獣達が次々と茂みの中から姿を現し、唸り声を響かせながら、ジリジリと距離を縮めてきた。
おそらく、自分達の縄張りに入ってきた侵入者達を、力ずくで排除するつもりでいるのだろう。
こちらの戦力を過小評価しているのか、まったく躊躇う事なく、逃げ道を塞ぐようにして、まわりを囲んでいった。
そこには迷いも躊躇いもなく、あるのは絶対的な自信のみ。
絶対に仕留める事が出来るという確認があるため、動きにもまったく無駄がなかった。
「……随分と甘く見られたようだな」
ケンか天眼で状況を確認しながら、狼の魔獣の注意を引くようにして、ジリジリと後ろに下がっていった。
「グルルルルルルッ!」
その誘いに乗るようにして、狼の魔獣達が少しずつだが、確実に距離を縮めていった。
「だったら、こっちの方が強い事を示すだけ」
コハクが何の躊躇いもなく疾風足で距離を縮め、先手必勝で狼の魔獣に攻撃を仕掛けた。
「……!」
その事に驚いた狼が身の危険を感じて、コハクの傍から離れていった。
この様子では、予想外の行動だったのだろう。
先程までコハク達の実力を過小評価していたようだが、この事がキッカケになって、警戒心が一気に膨れ上がった。
「……そうですね。ワタクシ達の実力を見せつけてやりましょう!」
ハリーヌが納得した様子で狼の魔獣を挑発するようにして、鍋で棒を叩きながら少しずつ後ろに下がっていった。
「ワォォォォォォォォォォォン!」
それと同時に、狼の魔獣が三匹で連携を取るようにして、氷のブレスを吐いてきた。
そのブレスはまわりにあるモノを凍りつかせ、あっと言う間に辺りを銀世界に変えた。
「それじゃぁ、一狩りいきますか」
すぐさま、ケンが仲間達と連携を取りつつ、ダマスカス鋼の大太刀で斬りつけた。
だが、狼の魔獣は全く怯んでおらず、ケンの利き腕に噛みつくと、そのまま引き千切る勢いで頭を振った。
それでも、ケンはまったく動揺しておらず、狼の魔獣の頭蓋が叩き割る勢いでダマスカス鋼の盾を振り下ろした。
「ぎゃわん!」
その途端、狼の魔獣が額から血を流しつつ、逃げるようにしてケンの傍から離れていった。
「……そうっすね。ここで倒し損ねると、難民キャンプにまで被害が及んでしまいますものね。……だから手は抜けないす」
そこに追い打ちをかけるようにして、マタリキーがシーザーロアで殺気と共にエーテルを叩きつけ、狼の魔獣を引きつけつつ、ダマスカス鋼の爪を振り下ろした。
「……!」
その事に気づいた狼の魔獣が氷のブレスを吐き、勢いをつけて飛び退いた。
「――さぶ!」
その影響で、マタリキーがシャレにならないほどの寒さに襲われ、全身に鳥肌を立たせながら、氷のブレスから逃れるようにして岩陰に隠れた。
「魔獣も生きるために必死なのはわかるでございます。しかし、所詮この世は弱肉強食……生き残るのは強者のみでございますよ!」
それと入れ替わるようにしながら、ハリーヌが岩陰に飛び出し、精密射撃で精神を研ぎ澄ませて一射を放った。
「……!」
その攻撃は狼の魔獣が放った氷のブレスによって防がれたものの、死角から回り込むようにしてゴリラが殴りかかっていったため、無防備な脇腹に打撃を受けて身体が宙に舞った。
「……まずは一匹」
その隙をつくようにして、コハクがタナトスバイトで不意打ちを仕掛け、大量の返り血を浴びつつ、ダマスカス鋼の剣Reを払って、地面を真っ赤に染めた。
「グルルルルルルルルルッ!」
だが、狼の魔獣達はまったく怯んでおらず、唸り声を響かせながら、再び攻撃を仕掛けてきた。
「そろそろ、纏めて仕留めるぞ!」
それを迎え撃つようにして、ケンが仲間達に声を掛けながら、闘気槌2でダマスカス鋼の大太刀に巨大な光塊を纏わせ、狼の魔獣めがけて振り下ろした。
「ワォォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
次の瞬間、狼の魔獣が一斉に氷のブレスを吐きかけ、その隙に何匹か逃げていった。
おそらく、この出来事を仲間達に知らせるつもりなのだろう。
逃亡を図った狼の魔獣は、みんな傷つき、戦えるような状況では無かったため、今後の事を考えた行動のようである。
「……逃がさない」
その事に気づいたコハクが傷つく事も恐れず、氷のブレスを浴びながら、近くにいた狼の魔獣にダブルエッジを繰り出した。
その拍子に、狼の魔獣の額にバツ印の傷がついたものの、真っ白な毛並みをした狼の魔獣が行く手を阻み、近距離から氷のブレスを吐いてきた。
「……!」
そのため、コハクは氷のブレスを避ける事が出来ず、そのまま勢いよく尻餅をついた。
「この状況で向かってくるという事は覚悟が出来ているって事だよな? それとも、俺の首を取りに来ているのか? だったら、力ずくで奪ってみろや!」
その間に、ケンが真っ白な毛並みをした狼の魔獣に迫り、ダマスカス鋼の大太刀を首を刎ねた。
その拍子に、狼の魔獣の首が宙を舞ったものの、未だにケンに対して殺気を向けており、生首だけでも向かってきそうな勢いだった。
その勢いに多少の危機感を覚えたものの、狼の魔獣が動く事は二度となかった。
「どうやら、逃げられてしまったようでございますね。それでも、狼の魔獣を三体ほど倒す事が出来たのですから、しばらくの間は大丈夫だと思いますが……。残念ながら完全勝利とは言い難い状況でございますね」
ハリーヌが複雑な気持ちになりつつ、森の中に消えた狼の魔獣に視線を送った。
狼の魔獣達は、今回の戦いでだいぶダメージを受けたため、すぐには仕返しに来る事は無さそうだ。
だが、ずっとここにいる訳にもいかないため、ガデム達がピンチになったとしても、助けに行ける保証はなかった。
それが心の奥底に引っ掛かっているため、モヤモヤとした気持ちが消えなかった。
「とにかく、難民キャンプの人達に報告しておく必要があるっすね」
そう言ってマタリキーが色々な思いを秘めながら、ガデム達に今回の出来事を報告するため、難民キャンプに向かうのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い4 / 4〜10人
2021年03月22日 23時50分31秒 公開
相談掲示板
ウォーリアーのケンだ よろしくな さぁて…出発までに人がそろうかどうかだな 現状の情報だと敵は連携してくるのと氷ブレス攻撃してくるってのと若干雪が残ってるってくらいか
ギリギリの参加で失礼いたしますよ! ワタクシはハリーヌ。しがないヨツユビハリネズミでございます。 森の中でございますから、奇襲に気をつける必要がございますね。 こちらの人数が少ないと思われるでございますから、分散は避けたほうが良いでございます。 森の中、できるだけ見通しの良いところで音を立てるなりして誘き寄せ、迎え撃つのはいかがでございましょうか?
こちらもぎりぎり参加ですまないすわ! よろしく頼むっす。 ガデムさん、頑強そうで一瞬敵かと思ったすわ。 俺、超嗅覚持ってるんで、これをつかって風上の方はチェックできると思うす。 そういえばコレも良さそうと思ったんで、超聴覚もゲットしてみたっす! これである程度偵察はできそうすね。ワンチャン、俺自身がすーぱーめちゃくさいで臭くなっておびき寄せる手もあるッスけど。。。 とりあえず今回は、穏便に超聴覚のほうでいってみようと思うす。
シーフコハク、どうぞよろしく。 取りあえず最低人数は足りたって感じかな。 現状はハリーヌの言う通り人数差で負けてるこちらは分かれると数の暴力で潰されかねないから、四人で固まっての行動が無難になるだろうけれど。 三匹が連携を取って攻撃をしてくる、という所が良くも悪くも肝になると思うからそれによってかな。 連携の攻撃がどんな種類によりけりだけど理想像で言えばカウンター狙いで三匹を最初に上手く潰せれば残りはこちらが4であっちは3になるから有利になるし。