歌声は天高く
ゆうきつかさ
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シナリオID:686
オープニング
「ちょっと、困った事になっているんだ」
エルフの吟遊詩人エリオットが、深い溜息を漏らした。
どうやら、数日後に仲の良い吟遊詩人達を集めて、コンサートを行う事にしたらしい。
「実は歌を歌っただけで襲い掛かってくるオーク達がいるらしく、コンサートを中止しようという意見が出始めている。おそらく、オーク達にとって、私達の歌声は雑音に等しいモノなのだろう。もちろん、すべてのオークが、そうとは限らないが、この辺りで被害が報告されている以上、無視できないというのが現状だ」
エリオットが悲しげな表情を浮かべ、言葉を詰まらせた。
どうやら、その事が原因で、吟遊詩人達が険悪なムードになっているらしく、コンサートどころでは無くなり始めているようだ。
「そのため、吟遊詩人達の間でも、意見が二分している。オークに恐れず、コンサートを続行すべきだという意見と、観客達が怪我をする危険がある以上、コンサートは中止……もしくは延期すべきと言う意見にな。だが、私としては、両方の意見を尊重したい。そこで、君達にオークの相手をしてほしいという訳だ」
そう言ってエリオットが、一枚の紙をテーブルの上に置いた。
そこにはコンサート会場の見取り図が描かれており、ステージを囲むようにして、切り株が配置されていた。
ステージの後ろは岩壁になっているため、オーク達がコンサート会場に入り込んだら最後。
最悪、オーク達に追い詰められる形で、観客達もろとも、肉の塊と化してしまうかも知れないという事だった。
「今までの報告を聞く限り、オーク達は真正面から勢いをつけて、棍棒を振り上げ、吟遊詩人達に襲い掛かっているようだ。つまり、真正面からオーク達とガチンコ勝負を挑み、観客達に被害が及ばないようにして欲しい。ただし、オーク達の狙いは吟遊詩人。故に、力技を用いて、突破してくれ可能性があるため、くれぐれも気を付けてほしい。また観客達は一度パニックに陥ると、手がつけられなくなってしまう。おそらく、君達の足を引っ張るような感じで逃げ惑う事になるから、その事も頭に入れておいてくれ」
そう言ってエリオットが、コンサート会場の防衛と、オーク退治を依頼するのであった。
解説
マスターより
リプレイ
「今回は、音楽のイベントにオークが突入してくるのですか……。まだ観客達が集まっていない事が幸いですが、さすがにこれは止めないとですね」
ダルタニアは仲間達と共に、コンサート会場にやってきた。
コンサート会場では、既に準備が進められており、吟遊詩人や歌姫達がリハーサルを始めていた。
そのためか、森の何処かからオーク達の唸り声が聞こえており、色々な意味で気が抜けない状況になっていた。
「いや……オークが襲ってくる原因がわかってるんだから、無理にコンサートやる必要ないだろう。そもそもオークが、ここまで歌嫌いになったそもそもの原因って、お前だろうエリオット」
ケン・Z・ブラッドリーが天眼で周囲を警戒しつつ、呆れた様子でエリオットにツッコミを入れた。
「そ、そ、そんな訳ないだろ! 私は被害者だ。そもそもの原因はナルシス。歩く大災害だ」
エリオットがムッとした様子で、ケンに言い返した。
どうやら、ナルシスと言う名のエルフが、ところ構わず歌いまくった事が原因で、オーク達を怒らせてしまい、このような状況を作り出してしまったようである。
それでも、ナルシスはまったく反省しておらず、むしろ歌の良さを伝えようと思って歌いまくり、余計にオーク達を怒らせているため、日に日に状況が悪化しているようだ。
「それじゃ、その……ナルシスってヤツを差し出せば、すべて解決って事すか?」
マタリキー・T・ヒーローが、キョトンとした表情を浮かべた。
おそらく、それが最善の方法。
たったひとりの犠牲で、平和な日々を取り戻す事が出来るのだから、必要な犠牲であると言えた。
「まあ、その通りなんだが……。ミリティさんが……その……悲しむから、そう簡単には……なぁ」
エリオットが気まずい様子で、ポリポリと頬を掻いた。
「……好きなの?」
そんな空気を察したコハクが、エリオットに問いかけた。
「いや、まあ……そうと言えば、そうなんだが……。違うと言えば、違う……かなぁ? まあ、何と言うか、アレだ。ほら、アレだよ、アレ。憧れというか、何と言うか、ほら……言わなくても分かるだろ?」
エリオットが言葉を選びながら、恥ずかしそうに頬を染めた。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
そんな中、オーク達が森の中から姿を現し、リハーサル中の吟遊詩人達を狙って、物凄い勢いで迫ってきた。
まだ本番ではなかったものの、オーク達には無関係。
歌っている事自体が罪なのだと言わんばかりに、殺気立っていた。
「……ん? 来ましたね。さて、釣られていただきましょうか」
すぐさま、ダルタニアがエリオットから借りた楽器を掻き鳴らし、オーク達を挑発するようにして歌声を響かせた。
それはエルフ達の歌声とは違っていたものの、オーク達にとっては些細な事だったようである。
「ブヒ、ヒィィィィィィィィィィィィ!」
そのため、オーク達は怒りの矛先をダルタニアに向け、棍棒や斧を振り上げて襲い掛かってきた。
「この【オークキラー】アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトの前に現れるとは不運な奴らだ。奴らを殲滅するぜ! ……コンサートを邪魔させない!」
それを迎え撃つようにして、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが戦術眼でオーク達の動きを予測しつつ、ダマスカス鋼の大太刀で斬り掛かった。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィ!」
その攻撃を力任せに斧で弾き、『そこを退けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』と言わんばかりに、耳障りな鳴き声を響かせた。
「そっちには、そっちの事情があるのかも知れないけど、こっちも依頼だからね」
一方、サイラスはチャージングで間合いを取りつつ、亜人語で知る限りの罵倒を歌に盛り込み歌い出した。
それは知っている亜人語を適当に並べているだけだったため、ほとんどオークには伝わっていなかった。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィ!」
それでも、挑発されている事は、理解する事が出来たのか、殺気立ったオーク達がサイラスに迫ってきた。
「後は、こっちに引きつけるだけすね」
マタリキーもサイラスの言葉を真似て、適当な事を言いながら、オーク達を煽った。
残念ながら、こちらは言葉にすらなっていなかったが、挑発されている事だけは理解したのか、オーク達がイライラモード。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィ!」
何だかわからないが腹が立つと言わんばかりに、オーク達が鼻息を荒くさせながら、狂ったように棍棒を振り回した。
おそらく、マタリキーの言葉で腹を立てたのではなく、身振り手振りでイラッとしたのだろう。
そのため、先程よりも、怒っているようだった。
「ん~~、どうせだったらエリオット、いやナルシスとやら一人で餌役をやって、オーク殲滅後にコンサートをやってくれたら良かったんだが……。まあ、いいか。それじゃ、オーク狩りと行きますか」
その間、ケンが天眼で周囲の状況を把握しつつ、ダマスカス鋼の盾で、オークが振り下ろした斧を防いだ。
そんな空気を察したのか、エリオットが脱兎の如く逃げ出し、しれっとコンサート会場でリハーサルを始めていた。
「……というか、こいつらどこで歌う事を知ったんだ? 縄張りに入って歌うならまだしも、中止提案されるレベルで歌が聞こえる距離に居るって事は……オークの縄張りが近くにあるって事じゃあ……」
サイラスがオーク達を見つめ、気まずい様子で汗を流した。
いまのところ、オーク達の巣穴が発見されたという報告はないものの、可能性的には高そうである。
そう言った意味で、色々と面倒な事になりそうだが、今回の依頼には含まれていないため、オーク達を追い払う事だけを考えた方が良さそうだ。
「まあ、考えるのは後だ。今は考えている時間が惜しい。とにかくオーク共を殲滅するぞ!」
アルベルトが仲間達に声を掛けながら、紫電一閃と戦士の一断を繰り出し、近くにいたオークを斬りつけた。
その拍子にオークがグラッとバランスを崩したものの、分厚い脂肪が邪魔をして致命傷を与える事が出来なかった。
「……そうだね。すぐに終わらせよう」
そこに追い打ちをかけるようにして、コハクがダマスカス鋼の剣Reを振り下ろし、オークの身体を斬り裂いた。
続け様に攻撃を喰らった事でオークは動揺しており、先程よりも弱腰になっていた。
「ブヒ、ブヒ、ブヒィィィィィィィィィ!」
そんな空気を察した別のオークが、喝を入れるようにして、ブヒブヒと騒ぎ始めた。
「プギィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
その途端、説教をされたのか何なのかオークがブチ切れた様子で、狂ったように斧をブンブンと振り回した。
「……何か傷つく事でも言われたのか? まあ、俺には関係のない事だが……」
アルベルトがチャージングで間合いを詰め、鋭撃を繰り出して、オークの首を貫いた。
オークは後先考えずに突っ込んできたため、アルベルトの攻撃をモロに食らい、首から大量の血を撒き散らし、ブクブクと口から泡を吐いて息絶えた。
「確かに、どうでもいい事だね」
コハクがまったく興味がない様子で、弱ったオークにトドメをさした。
「まあ、怒りのぶつけどころが欲しいんだったら、俺が相手をしてやるよ。ただし、命懸けになるけどな」
ケンがチャージングで瞬間的に加速し、近くにいたオークを薙ぎ払った。
「恨むならエリオットさんを恨む事すね」
続いてマタリキーがダマスカス鋼の爪で、オークの顔を引っ掻き、その場から飛び退いた。
それと同時に、コンサート会場の方から、エリオットと思しき男性のクシャミが響き渡った。
「月に至る我らが神狼よ、不埒な豚どもに雷の鉄槌を与え給え」
次の瞬間、ダルタニアが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出し、その中にオークを閉じ込めた。
それに合わせて、サイラスが殺界でダマスカス鋼の大太刀にエーテル光を纏わせ、同時に不可視のエーテルを範囲内へ張り巡らせた。
その影響で大半のオークが、行動不能になった。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィ!」
だが、効果の範囲外にいたオーク達が身の危険を感じ、蜘蛛の子を散らすようにして逃げていった。
「コンサートの邪魔にならないなら、逃がしても……って訳にもいかないすね」
その逃げ道を塞ぐようにして、マタリキーが近くにいたオークに斬り掛かった。
「とにかく、可能な限り倒すしかないな。限られた時間で、少しでも多く……!」
アルベルトも同じように別のオークの行く手を阻み、闘気槌2でダマスカス鋼の大太刀Reに巨大な光塊を纏わせ、他のオークを巻き込むようにして力任せに振り下ろした。
「わりぃが、その首……狩らせてもらうぜ。まぁ、嫌だって言っても狩るけどな」
そこに追い打ちをかけるようにして、ケンが一気に間合いを詰め、容赦なくオークの首を刎ねた。
そのドサクサに紛れて、オーク達が何体か森の奥に逃げていった。
「これに懲りて、エルフを襲う事が無いと良いんだけどなぁ」
サイラスが複雑な気持ちになりつつ、オーク達が逃げた森を見つめた。
どちらのオークも怪我をしていたため、復讐に来ると言うもしばらく先になりそうだが、そうなる前に巣穴を見つけた方が良さそうである。
「大丈夫、その時は倒すだけ」
コハクがまったく躊躇う事なく、キッパリと断言をした。
「……そうですね。念のため、その事をエリオットさんに伝えておきましょうか。もう少ししたら、コンサートも始まるようですしね」
そう言ってダルタニアが、コンサート会場に視線を送った。
オーク達が倒された事で、エルフ達も安心したのか、少しずつコンサート会場に集まってきた。
残念ながら、何体かオークを逃がしてしまったが、この人数であれば仕方のない事。
そして、ダルタニア達はオークの死体を片付けた後、報告も兼ねてコンサート会場に向かうのだった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準6 / 4〜10人
2021年03月22日 11時11分16秒 公開
相談掲示板
No.1
サイラスだ、よろしくなー。 とりあえず人数揃うまでは動きようがないかね? 強引に抜かれるって事は殺界チョット怪しいかねぇ。まあ歌が嫌いなのでこっちでも歌えば良いかもしれんが。 来る人次第だけど歌うとしたらアカペラになりそうだね。少なくとも俺は楽器演奏すると両手塞がると思う
よろしくす。 ははあん。歌が嫌いなオーク……どうすかね。演奏は無しでも、とりあえず歌ってたらよさそうな雰囲気には見えなくもないす。 ただ、あんまり大きな声で歌うとコンサートの邪魔になりそうな気もするっすね。。。オークが来ている、ってお客さんにバレない程度にしようにも、ステージ以外は森の開けた場所っぽいすから、ちょっとむずかしいところがあるかもしれないす。 オークが来た場合の避難路とかがわかりやすければ、邪魔にならない程度にそっちに殺到してくれたりしないかなって淡い期待をしてるす。
むむむ…シーフコハク、どうぞよろしく。 と言いたい所だけど…人数的に難しそうだね
さぁて・・・・・ギリギリだけどウォーリアーのケンだ よろしくな 人数的な余裕があれば取れる手はあるが・・・・現状じゃ会場を等間隔で囲って出てきたオークを倒していくしかないか? あとはできるだけ移動阻害系のスキルが有るといいな
わたくし、ヒーラーのダルタニアと申します。 よろしくお願い致します。 オークが向かっているのですね…今回は前線として攻撃に参加させて頂きますよ。
ウオーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 ギリギリだけど俺も参加するぜ! 歌と演奏でオークを誘導して見せるぜ