【蠱毒】掴んだ尻尾は手放すべからず
革酎
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シナリオID:655
オープニング
ディズル大湿地帯には数多くのリザードマン部族が点在しているが、その中でもターミルはものを生み出す農耕技術伝播者と、戦闘に携わる兵站の双方を担っており、ある意味、両極端な性格を持つ部族として知られている。
農耕技術に於いては何といっても浮遊農場という先端技術を取り入れ、部族単体での収穫量だけでも近隣の他部族合算を遥かに凌駕している。そして兵站担当としては他部族から武技や戦術を学ぶ機会に恵まれ、数多くの武勇者を輩出していた。
強力な政治体とは、経済力(或いは産出力)と武力の両輪が揃って初めて成立する。そういう意味では、ターミルは自立した部族としても周囲から一目置かれている存在であった。
信じ難い話だが、そのターミルに敢えて挑みかかる者が居た。
しかも、発生した事件は同時にふたつ。
ターミル部族民のみならず、多くの関係者を驚かせたことは想像に難くない。
ターミルの集落を襲ったのは、魔獣の群れだった。
魔熊、大蛇、骨鳥など種類は様々な上に、数も非常に多い。それら魔獣の群れが大湿地帯の泥や濁水を盛大に巻き上げ、大地を揺るがす程の獰猛なる進撃でターミルへと迫る。
しかしターミルの誇り高き兵士達は少しも怯むことなく、集落を一気に呑み込もうとする巨大な荒波に立ち向かっていった。
その一方で、彼らターミルの兵士達は各々の所用で集落を訪れていた冒険者達に魔獣の撃退、或いは非戦闘員たる力無き住民達やその避難場所、農場の防衛等を依頼した。
如何に行動すべきか――冒険者達は選択を迫られていた。
●迎撃と追跡
「一体、何が起きたのかね?」
その日、たまたま商用でターミルの手芸品工房を訪れていたツヴェリ部族工房組合代表ジェハバは慌てて工房の外へと飛び出し、護衛として雇っていたふたりの冒険者に目を白黒させながら訊いた。
ふたりのうちの一方、ドワーフの軽戦士ディーグ・ディオロンはたった今、歩を急がせて引き返してきたばかりであり、多少呼吸が乱れている。相当に慌てていたことが、激しく上下する肉厚の肩の動きを見ても明らかであった。
「何だか分からねぇが、何者かの襲撃があったようだ。ここも安全とはいえねぇかもだぜ」
「こいつぁ商用どころじゃなさそうだね、旦那」
もうひとりの冒険者、両刃斧使いの戦士アーギス・マーレイが渋い表情をジェハバに向けた。
ジェハバがターミルを訪れていたのは、先日発足した東ディズル手工芸商会の商圏をここターミルにまで広げる為の予備調査だったのだが、まさか訪問したその日に襲撃事件に遭遇しようなどとは、夢にも思ってみなかった。
「ターミルには武勇に優れた者が多い。集落全土が破壊されるようなことはないと思うが……」
そこまでいいかけて、ジェハバは東通りの向こうへと続く路地を凝視した。何事かとディーグとアーギスもジェハバの視線を追うと、ふたりのリザードマンが数個の大きな卵を抱え、周囲を気にしながら歩き去ってゆく姿が目に付いた。
「……何だありゃ?」
「うむ。何か、臭うな」
小首を傾げるディーグ。その傍らではジェハバが、鼻先に皺を寄せていた。
この時、三人の脳裏にはある事件の顛末が咄嗟に思い浮かんだ。それは、アリルという小部族で発生した孵化場からの卵盗難事件についてであった。
ここターミルにも当然、孵化場はある。この騒乱で孵化場の卵を守るならば、全ての卵を別の場所に移すべきであろう。だが通りの向こうに消えていったふたりのリザードマンは、僅か数個の卵を抱えているのみである。疑問に思わない方がおかしい。
ジェハバの決断は速かった。
「追加の謝礼は出す。連中を追ってくれないかね」
「分かった。俺が行く」
すかさず頷き返したディーグが、懐から黒い炭の塊を取り出した。曰く、この炭で適当な間隔毎に印を残していくから、アーギスは集落を襲った騒乱への対処が片付いたら、もう何人かの冒険者を募って追いかけて来て欲しいとの由。
「良いよ、任せてくれ。なるべく頼りになるのを連れて行くからさ」
かくして、ふたりの冒険者は左右に散った。
一方はターミル集落を襲った騒乱への対処の為に、そしてもう一方は卵を持ち去ったふたりのリザードマンを追跡する為に。
解説
マスターより
リプレイ
ターミルの集落から東へと延びる土手状の馬車道を進んでゆくと、左手に広大な葦原が見えてくる。
丈の高い葦がびっしりと群生しているそこは、湿地や沼に棲息する原生生物達の楽園ともいえる場所であり、見方を変えれば非常に隠密性の高い地域でもあった。
その葦原へと続く脇道の傍らに、ドワーフの軽戦士ディーグ・ディオロンの姿があった。ターミルからここまで相当な距離を自らの足で駆け続けてきた為か、幾分の疲労感が滲んで見える。
身を隠すのに丁度良い大きさの岩陰でひと息入れていたディーグの傍らに、小柄なハーフビーストの娘が駆け込んできた。エルケ・シャルフであった。
エルケが冒険者であることをひと目で見抜いたディーグは、岩の向こう側のある一点を凝視したまま、ずんぐりした体躯を僅かによじってエルケが身を隠す為のスペースを空けた。
「エルケだよ、宜しく」
「ディーグだ……連中、あの小屋もどきの中に居るぞ」
太い指先が指し示す方向に視線を流すエルケ。一見すると干からびた葦が積み重なっただけの枯草の山に見えるが、巧妙にカモフラージュされた出入口があり、内部には相当に広い空間が隠されていることが伺える。
小屋もどき、とディーグは表現したが、実際の容積はもっとあるだろう。
エルケは自身のマントに泥を塗りつけ、数十本の葦の枯草を貼り付けると、懐に忍ばせていた栗鼠のラトを葦小屋近くへと走らせつつ、自らも岩陰を飛び出して葦の間を素早く駆けた。ディーグとは手信号で合図を取り合うことが可能な距離を目指した。
葦小屋出入口のほんの鼻先に位置する窪みにエルケが小柄な体躯を隠したのと同時に、葦小屋内からふたつの大きな人影がぬっと姿を現した。
いずれも頑健な体躯のリザードマンで、一方は左目が潰れており、もう一方は右頬に大きな傷跡が見られる。両者の特徴から見て、卵をターミルから持ち出したふたりと見て良いだろう。
(武装してる……)
事前に聞いていた話とは、装備が異なる。恐らく今の姿が本来の形なのだろう。エルケはラトを手近に引き寄せ、小声で会話を交わすリザードマン達の唇の動きを読んで聞かせた。
エルケから遅れること、数百メートル。
ドーマ・アザーリ、ハリス・アル・ターミル、ルチル・プルメリア・グレイハーツ、アルフレッド・ラ・ギ、そしてアーギス・マーレイの五人はやや息を弾ませながらも、先頭を走るルチルが放った停止の合図を受け、全員が馬車道のど真ん中で足を止めた。
「エルケが、何か掴んだか?」
頭蓋面の奥でルチルの眼光が鋭く煌めくのを見て、ドーマが横合いから覗き込むようにして問いかけた。
ルチルは小さく頷き返す。ラトの聴覚を通じて、エルケが敵の会話を盗み読んだ内容が伝えられてきていたのだ。
「……急がなきゃならないね。二時間後には、卵を別の場所に移すみたいだ」
「我が地元の孵化場以外からも、持ち込まれている様子でしょうか?」
頭蓋面の内側で渋い表情を浮かべるルチルに、今度はハリスが訊いた。が、流石にそこまでの情報は読み取れなかったらしく、ルチルは曖昧にかぶりを振るばかりであった。
「でも、あの規模から見るに、相当な数の卵が運び込まれていると見て良いだろうね」
ルチルもラトの視界を通じて葦小屋の大きさを把握している。彼女が見たところ、少なくとも数十という規模の卵が保管されていると考えて良さそうだった。
しかしルチルが表情を曇らせているのには、実は他に理由があった。卵を盗み、今は武装に身を固めているふたりのリザードマンに並々ならぬ警戒心を抱いているのである。
「あの武装……まさか、とは思うんだけど」
曰く、葦小屋から姿を現したふたりのリザードマンはいずれも特徴のある片刃の剣を腰の左右に吊り下げ、更には巨大なブーメランを背負っているのだという。その武装様式に、ルチルは見覚えがあった。
「連中、もしかしたら青の中指と同じ戦闘技能を習得しているのかも知れない」
「青の中指? 確かそいつは、メドゥの指先の幹部だったよな」
怪訝そうに眉根を寄せるドーマに、ルチルは頷き返す。因縁浅からぬ白銀虎の端正な面立ちを脳裏に描きながら、ルチルは再び歩を踏み出した。
「複数の部族で卵の盗難、か」
「何たる由々しき事態……同胞の恥は私が必ずや雪ぎますッ!」
低く唸る様に呟くルチルとは対照的に、ハリスは憤懣遣る方無しの表情で鋭く吠えた。
何者かが、何かを企んでいる。それが何であるのかは現時点では皆目不明だが、これはリザードマンという種族全体に対する挑戦状と見て良いだろう。
●暗躍者の正体
ふたりのリザードマンについて更にエルケが読唇術を進めたところ、片目の方はウルズ、そしてスカーフェイスの方はギャレゾという名であることが判明した。
その佇まいには妙な迫力と安定感があり、腕に覚えのある戦士であることが伺える。
(別に義憤とかは無いし、私も元々は盗人だから、ここで今更何かいうつもりも無いけど……でも、このふたりは何かが違う、かな)
エルケが見るところ、ウルズもギャレゾも盗人というよりは武人に近い雰囲気を漂わせている。となると、単に盗賊的心理からの行動ではなく、何か目的があっての卵強奪と考えた方が良い。
(流石に生まれる前の赤子をどうこうってのはヒくけど、でもそれを抜きに考えたら相当にヤバいよ、あのふたり)
ウルズとギャレゾは、恐らく強敵だ。エルケとディーグだけで対処出来るかどうかは分からない。
ならばと、エルケは兎に角、自重することに徹した。仲間達による本格的な戦闘が口火を切るまでは、一切動かないと腹を決めた。
そのエルケに対し、ディーグが味方到着を意味する手信号を送ってきた。それから程無くして、驚く程に無防備な様子のハリスが妙にとぼけた表情で脇道から葦原へと足を踏み入れてきた。
一瞬仰天し、危うく声を漏らしかけたエルケだが、ハリスのこの堂々たる接近が作戦であることをすぐに理解した。ディーグのすぐ後ろにルチルとアーギス、アルフレッドらがいつの間にか控えており、意味ありげな視線を送ってきたのである。
ルチルが手信号で、他に敵は居ない旨を告げた。つまりハリスのこの行動は、ウルズとギャレゾに対する戦闘開始の布石であろう。
ハリスはターミルからの追跡者ではなく、偶然妙なふたり連れを見つけた体を装って脇道を進んだ。
「これはまた、おかしなところにひとが居ますね……こちらで何をお探しですか?」
探る様に声をかけたハリス。ウルズもギャレゾも警戒心を露わにした視線をぶつけてくるばかりで、何も答えようとはしない。ただ、それぞれの得物を鞘から抜き放とうとする仕草が、妙に手慣れていた。
敵の意識は十分に引き付けたと判断したハリスは、小脇に抱えていた槍を轟然と振るった。その刃先に纏っていた光の刃が周辺の葦を巻き添えにしながら、ふたりの敵に叩きつけられる。
奇襲を喰らわせるつもりが、逆に不意打ちを喰らう格好となったウルズとギャレゾだったが、ハリスからの一撃を浴びても尚、僅かにも怯むことなく二刀流の戦闘スタイルで反撃に出た。
エルケの潜伏位置を起点とし、ルチル達とは反対側へと廻り込んでいたドーマは、ハリスの合図を受けてのっそりと立ち上がった。
唾で濡らした両掌で自慢の頭髪をさっと後ろに撫でつける様に整え、自らに気合を入れた。
「相当に強ぇな。相手にとって不足無し、だ。出来ることならタイマンでやり合ってみたかったが、今はそうもいかねぇ」
前回の、ケヒナの件もある。ドーマは、今度こそは確実に尻尾を捕まえてみせると自身に誓っていた。
(悪ィがな……二度も逃がしてやる程、余裕ぶっこいてる暇はねぇぜッ!)
ドーマは常人では考えられない程の精確で迅速な術式発動態勢に入った。直後、ふたりの敵周辺には稲妻が迸り、退避行動が阻害された。更に無数の光弾を召喚するや、ハリスとの接近戦に突入する前に、敵ふたり目掛けて雨あられと浴びせかける。
ウルズとギャレゾはドーマの強烈な術式を浴びて僅かながら苦痛の表情を浮かべていたが、しかし悲鳴の類は一切口にせず、切り込んで来るハリス、ディーグ、アーギスらを正面から迎え撃った。
最初に接敵したのはハリスだった。自慢の槍捌きで痛烈な一撃を浴びせかけようと猛然と踏み込んだが、一瞬敵の態勢に違和感を覚えた。
ハリスはほとんど本能的に上体を仰け反らせたが、それとほぼ同時に、死角を突いた猛烈な蹴り足が横薙ぎに空を切っていった。
岩をも砕く程の勢いを誇る蹴り技を紙一重で躱されたウルズが、低く唸った。
「よもや初手で見切るとはな……こやつら、我が流派を知っておるのか」
「いや、ジルベル師の戦技を見知っている冒険者が居ると聞く。この者共が、まさにそうなのだろう」
敵の会話にハリスのみならず、僅かに距離を置いた位置で弓を構えるルチルも全身に緊張を走らせた。
ハリスに対し、蹴り技を警戒するようにと言葉を添えたのはルチルだった。その勘が、見事に的中した格好である。
(何てこった……結局今回もメドゥ絡みだったって訳かい)
内心で唸りつつ、ルチルは敵の退路を断ち、或いは回避運動を阻害する為の矢を放ち続けた。
ラトの分身から他に敵が居ないことを確認したルチルは、今回の敵はウルズとギャレゾの両名だけだと断定した。敵は、ふたりだけである。だが逆をいえば、僅かふたりで行動を起こすが出来る程に、この両名の実力は群を抜いているともいえる。
決して侮れない敵であった。
一方、エルケも敵の後方に廻り込み、増援の乱入や撤退移動を警戒する位置に身を置いている。赤く光る刃を振るってウルズやギャレゾに側面から襲い掛かるものの、これが中々命中しない。巧みな回避技術と強烈な蹴り足が、敵の動きを阻害してやろうというエルケの思惑を遮っていた。
●謀略の黒い糸
ハリス、ディーグ、アーギスの正面からの接近戦に加え、横合いからはエルケの刃が踊り、更に間合いの外からはドーマの魔弾とルチルの鏃が襲い掛かる。
「同胞といえど、卵を贄と捧ぐ様な外道に堕ちたならば……容赦はしませんッ!」
ハリスの一撃毎に重く、そして正確な槍の破壊力がウルズとギャレゾの体力をじりじりと削り落としてゆく。このふたりから放たれる反撃の刃も、ハリスの重厚な防御を崩すには至っていない。
次第に手詰まりとなりつつあったふたりのリザードマンは、肩を大きく上下させ、呼吸を激しく乱れさせていた。だがこの両者の面には、悲痛の色は欠片も見られない。寧ろ、奇妙な程の充足感が見られた。
「人生の最後に良き戦士らと出会えたことを、メドゥに感謝せねばな」
「ラスリャマス師には申し訳ないが、我が運はここで尽きた。悔いは無い」
ウルズとギャレゾの血まみれでありながら妙に晴れ晴れとした表情に、ドーマは嫌な予感を覚えた。
「こいつら……何を企んでやがるッ!」
慌てて魔力を底上げし、敵の動きを封じようと試みたドーマだったが、しかしふたりのリザードマンはドーマの術式完成よりも僅かに早く、それぞれの刃を一閃させ、互いの首を斬り落とした。
まさかの行動に、冒険者達はあっと声をあげるしかなかった。
逃げる敵を捕縛する、或いは戦闘能力を奪った上で動きを封じるといった作戦を用意するところまでは良かったのだが、まさか己の命運が尽きたことを悟り、戦いの最中に自分達の首を刎ねる等とは誰が考え得たことだろう。
しかし、いつまでも驚きの中で呆然としている訳にはいかない。ルチルとエルケは葦小屋内部へと身を滑り込ませ、慎重にその内部を探った。
程無くして、ふたりは枯草の山を内側から崩した。
出てきたのは、二台の馬車であった。荷台には数十にも及ぶ卵が詰め込まれている。ご丁寧に、どの卵がどの孵化場から運び込まれたものであるのかを示すが如く、わざわざ仕切り板で整頓されていた。
「最早、封印戦の裏で陰謀が蠢いていることは明白……除かねばなりません」
渋い表情で低く呟いてから、ハリスは他の冒険者達に向けて頭を下げた。感謝と、そして同胞が犯した罪への申し訳無さが、彼の中で複雑な色合いに混ざり合っていた。
「礼は不要よ。報酬はキッチリと……ま、個人的な感情は抜きにしても、大切なモノなら追加報酬も期待できるって訳で、さっさと稼ぎになって貰うわ」
笑いかけるエルケだったが、しかしその笑みも長くは続かない。
貴族や豪商から依頼される道楽品の奪還任務とは訳が違う。明らかにこれは、陰謀の類だ。今回の奪還任務で全てが丸く収まったとは、到底思えなかった。
「ちッ……卵は確かに返して貰ったがよぉ。何でこう、上手くいかねぇんだろうなぁ」
手近の馬車の御者台に座り込み、ドーマは自身で整えた筈の頭髪をぐしゃぐしゃと掻きむしった。
ターミルを襲った魔獣の群れ、卵を奪ったふたりのメドゥの指先、そしてラスリャマスと呼ばれた黒幕的存在とくれば、最早全てが一本の線となって繋がっているとしか思えなかった。
「ラスリャマス……どこかで聞いたことのある名前だね。さて、どこだったか」
ふたつの首無しの遺体を漫然と見下ろしたまま、ルチルは静かに呟いた。
すぐには思い出せない。だが、いずれ相対する日が来るだろうことは、何となく予測出来た。
エルケとハリス、ルチル、そしてドーマの四人は一旦ターミルの集落へと引き返し、二台の馬車を曳く為の馬の手配を進めた。その際、今回の依頼人たる東ディズル手工芸商会の共同代表ジェハバに事の顛末を軽く説明した。
ジェハバの驚きは当然の反応であったが、直後に彼が見せた憂いの表情は、これから起こるであろう更なる騒乱を予感させるものであった。
ターミルを襲った魔獣の群れは、困難な状況であったにも関わらず、冒険者達の活躍もあり、無事に撃退することが出来た。だがその混乱の中で、ターミルの少年ディノが行方不明になったとの報告も寄せられており、この一連の事件との関連性が強く疑われている。
「何だか、嫌な感じだね」
「ターミルのみならず、全ての同胞を巻き込む様な陰謀が巡らされている……そう思えてなりません」
エルケとハリスは渋い顔を突き合わせ、揃って溜息を漏らした。
その一方でドーマはルチルに、青の中指とは何者かと尋ねている。ルチルは何ともいえぬ漠然とした表情で小首を傾げた。
「まぁ、手強い奴さ。色んな意味でね。今回倒したふたりに比べれば、遥かに面倒な奴なのは間違い無いよ」
「……封印戦に首ィ突っ込んでこなけりゃ良いんだがな」
大きな波が、ディズル大湿地帯を呑み込もうとしている。
その破壊の潮流は、すぐそこにまで迫りつつあった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜5人
2021年03月20日 09時31分52秒 公開
相談掲示板
エルケ・シャルフ、ハーフビーストのシーフよ。 殆どの人はハジメマシテね、今回はよろしくお願いするわ。 しっかしまぁ……私もあんま人の事は言えないけど卵泥棒……あぁ、これは失礼ね。 生まれる前の赤ん坊をってのは、目的が何であれ流石にヒくわー…… とりあえず、今回のお仕事では卵を無事に取り返すのは大前提として。 連中の目的とか背後関係、共犯者の有無とかそういうのを探るために泳がせたり手掛かりを見つける、って事で良いのよね。 これは……追跡の為の連携や工夫の他にも「超視覚」や「超聴覚」、「読唇術」辺りが役立ちそうな感じ……?
ハリスと申します、どうぞ宜しく。 ぬうう孵化場から卵を盗むとは…しかも疑わしきがリザードマンとは何たる事…! やはり今回の封印戦の裏で良からぬ企みを巡らせている者がいるのでしょうか…。 >卵盗難 ドーマ殿が以前に参加した依頼でも同じような一件があったとか。 宜しければその件についてお聞かせいただければ有難く思います。 >行動 直ぐにでも捕らえたい所ですが、状況を鑑みるに最初は見に回るが得策でしょうか。 以前の依頼で捕まった下手人は幾多の尋問にもまるで屈さなかったといいます。 手掛かりを掴むには少なくとも仲間や指示を与えた者に繋がる何かが必要でしょう。 ディーグ殿が追跡を担ってくれているようですから、見つける事自体は容易ですね。 発見後、何か動きがあるまではスキル等を用いた情報収集、尾行を続行。 何らかの手掛かりを得られる段階に至った時点で機を見て奇襲をかけるべきかと。 情報収集に時間をかける程、仲間の合流などで戦力は増加していく可能性があります。 個々の技量も全くの不明とあれば、虚を突いて混乱させた方が良いでしょう。
よう、前回に続きドーマさんだ。ヨロシク頼むぜ。 前回は商会に所属していたリザードマンが商売するルート沿いの各集落で卵盗んでた、っつー事件でなァ。 商会の部隊長もなーんも知らず、おそらくリザードマンの単独犯行。バックにゃ別の誰かがいるみてェだがな。 件のリザードマンは最終的に自己催眠かなんかで気ィ狂ってろくに話を聞き出せなかったが、卵は十中八九生け贄用、だろうよ。 今回は犯人捕縛は当然だが、敵に自決されねえェ手段もありゃァいいんだがなァ……
ヒーラーのアルフレッドだ 知己が多く頼もしい限りだな 泳がせるに異論なし、それはシーフの方に頼むとして 前回同様、実行犯に細工か催眠がしてあるなら操っている者も遠からずどこかに隠れているだろう、泳がせている間にその線を辿るのも悪くないかもしれん 何にせよ監視の目は潜んでいるだろう、どこまで遠くから見張っているか知らんが計画性の犯行ならいる前提で考えておくべきかもな
情報屋のルチルだ。よろしく。 …孵化場から卵を盗難か。ロクでもねえな。 他所の部族の話とはいえいい気分にはならんね。 別件では催眠まで使ってたとかかなり用意周到な犯人たちだね。 他の場所でも起こってるなら姿が目撃された二人以外にも犯人は存在してそうだな。 尾行中をあまり気づかれたくないなら5人とはいえ大所帯になってしまうし、シーフに先行してもらって周囲を警戒しつつが妥当になるかね。
>催眠とか背後とか 随分と手の込んだ、そして悪趣味な相手みたいねー…… それにしても前回の事件で利用されたのは商人、長距離を移動しても不自然じゃない人達だったのは…… これ、今回もどっか遠いところへ持ち出すための移動手段なり迎えなりが潜んでるんじゃないかしら。 監視の目を警戒するのは勿論だけど、相手の逃げ道とかを考えながら探すと良いのかもね。 >尾行 ……え、何。これ私めっちゃ期待されてない?うわマジかー…………あぁけど、稼ぎ時よねこれは。 ……オホン。 じゃ、ひとまず私は姿を隠しつつ追いかけるのと、その様子を皆に伝える事を重視してみましょっか。 隠密重視の軽装と、あとは……声を出さないでいい「テレパス」なんかも便利そうかしら。 いざ戦闘って時にはハリス君の言う通り奇襲なり騙し討ちなりごり押しなりになるんでしょーけど、 その時にはこう……その、何と言うか……ヨロシク?
>荒事の際 それはご安心を。エルケ殿だけに前線を張れとは申しません。 何より、同胞の不始末は私が雪がねばなりますまい。 そしてルチル殿、エーテルリンクを行えば動物を偵察に出すことも可能でしょうか? エルケ殿だけに任せると万が一もあり得ますから、補助に使って頂ければ盤石かと。 >依頼の流れ 纏めれば概ね以下のような形になるでしょうか。 (以下、敬称略) 1:アーギスを伴い先行したディーグと合流 2:エルケが先行し偵察(可能ならペットを偵察補助に) 3:偵察情報を元に待機組は優先すべき対象を吟味 4:いったん合流するかペットを通じて情報共有し戦術立て 5:最適な位置を取り奇襲をかける 奇襲時は恐らく私が大声で正面から押し通り、敵の注意が向いた所を側背面より皆様で 刺して頂くような形になるかとは思います。偶然気付いた部族のリザードマンが一人で 追ってきたと思えば、向こうの実力にもよりますがすぐにあしらえると油断するやも。 同胞の血を見るのは辛いですが…未来を担う子供を、生誕を待たずして贄と捧ぐような 外道に堕ちたならば仕方なし。これ以上魂を汚す前にその生を断つのが情けでしょう。
まぁ役割的に5職一つも被ってないから必然エルケ殿の重要度も高まるわけだね ルチル殿がエーテルリンクで偵察できるならそれは重畳だが 逆にヒーラーの私が最もこの依頼に適してない…… 足止めと補助には一家言あるが正直ハリス殿と同様前に出た方がバランスが取れるか 此度は奇襲と情報戦が要故に万全を期すよりは拙速を心がけた方がいいかもしれん 情報共有は必要だろうがなるべく敵が合流する前に片をつけたいところだな
>エーテルリンク 構わないというか、まだエルケ自身が先行して偵察する意思を出してなかったから念頭に置きつつ言うのを控えてた。 付けるなら体に乗せる事ができて隠しやすく同行しやすい栗鼠でいいかい? それと、念の為言葉を出さずに情報共有するならアタイがテレパスを持って行こうかね。 栗鼠視点で見ながらの方が別々で情報を受け取るより理解しやすいだろう。
>5職被らず そうですね、バランスが非常に良い。 ディーグ殿とアーギス殿の戦士2人もおりますから、前衛は困らないでしょう。 アルフレッド殿は光縛封などで戦士風の者を拘束するなどして頂ければ大変有難く。 勿論敵戦力次第では回復も非常に重要ですので、位置取りは慎重に願います。 >情報収集と奇襲のタイミング 敵の会話を盗聴しつつ、大規模な戦力の合流が予期される場合は直ちに奇襲準備。 そうでないなら可能な限り情報(敵の強さ含む)を引き出すという形で如何でしょう。 敵がどこまで喋るかは未知数ですが…事件解決にはどうしても情報が必要ですしね。 また、盗聴だけでなく「持ち去った先の拠点」などがあるなら陣容や侵入経路までも 勘案しなければなりません。戦術眼等を用いて情報を纏め、起案する形になるかと。 >行動 私自身は大まかに以下のような行動を予定しております。 下記の流れについても纏めておきますので皆様は自身の行動に割いて頂ければ。 (以下敬称略) ・序盤は隠密が低いため察知されない距離を保つ ・エルケ、ルチル両名の偵察結果を戦術眼で分析、奇襲の布陣を起案 ・奇襲戦闘時は囮役を担い敵の注意を引き付ける ・看破を用い隠された証拠や卵などを見つけ出す 以上となります。長々と失礼致しました。 明日は手直しの時間があるか不明なので今日のものが最終稿になるかもしれません。
>偵察 OKOK、分業っていうか得意分野を活かすのが効率的よね。 そしてうん、ルチルのその……栗鼠君?は正直助かるわ。 よくよく考えたらスキル枠的に「隠蔽」と「読唇術」用意したら私は「テレパス」使えないから、 情報の共有手段って意味では最適っていうかむしろ渡りに船って奴よこれ…… >行動 それじゃ、先述の通り私は隠れて見張って追いかけて、栗鼠君を通してルチルに(小声で)適宜連絡ね。 栗鼠君が目標に近づいたりするならちょくちょく私とを往復してもらう事になると思うけど、 その分キッチリ情報は集めてみましょ。 ……あぁそれと、私こんなナリだけど別に取って食いやしないし、怖がらせないでね? それと勿論戦闘にも参加はするけど、基本的に逃走阻止とか側面からの援護になると思う。 そういう意味で、殴り合いや癒しの術に強い皆の事はめっちゃ頼りにさせて貰うわ、うん。
>エルケ 小さいが肝の据わってる子だから安心してくれ。 襲撃に入るまではエルケの傍でいるように言いつけておくつもりだよ。 >行動 テレパスは不要になったから情報収集に使えるスキルを用意しておこうかね。 戦闘では弓の射程も長いし、別方面から敵の退路を塞いでおくよ。 この間にエルケから栗鼠を話して別口で潜伏先の情報収集をさせるつもりだ。
偵察や敵の捕捉はルチルやエルケに完全に任せたぜ。 俺ァ接敵後に大半のウェイトを割く感じになっちまう。 敵の拘束だ面的火力用の手札を中心に、怪しい二人「以外」の敵にも 対応できるようにちィとぶっこんでいくぜ!