【CP】辿り着けなかったゴブリン
馬車猪
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シナリオID:587
オープニング
ゴブリンは穏やかに微笑んだ。
老人じみて深い皺は長年の苦労の証。
粗食により小柄であり筋肉も細い。
「そうか」
御者席に座るヒューマンの商人は、それ以上詳しい事情を聞かないことにした。
行き先は、難民キャンプとして使われるだけあって痩せた土地だ。
ゴールディとは比べものにならないほど寒く、農作業は過酷で収穫量だって少ないはずだ。
だがそれでも、ゴブリンへの敵意や憎悪は他の大部分の地域よりは薄い。
種族など気にしていられないほど追い詰められているからだ。
「日暮れまでには到着するはずだ。……どうした?」
これまで愛想良く相づちを打っていたゴブリンの声が聞こえない。
振り返ろうとしたタイミングで、緊張しきった囁き声が響く。
「何かいる」
ゴブリンには戦う力などない。
しかしこの歳まで生きてきた経験が、彼を狩ろうとするものの気配を感じ取る。
枯れたくさむらが風とは無関係に揺れる。
そこにコボルトが伏せているのに気付いたときには、既にどうしようもなくなっていた。
荷馬車が囲まれる。
劣化させたリザードマンと劣化させた犬系ハーフビーストを足して2で割ったようなコボルト達は、口を開かず獲物を観察する。
装備は石製ナイフのみ。
しかし冷静に退路を断つ様は、まるでどこかの軍隊のようだ。
「逃っ」
口を塞がれる。
喉に石の刃が当てられる。
ぶちりと皮膚と血管を裂かれ、溢れた血が肺を満たしていく。
(畑、耕したかったなぁ)
消えゆく意識が、最後にそんな思考をしていた。
●荒野
リットを先頭に武装難民が周囲を警戒している。
昨日到着する予定の輸送隊が3つとも来なかった。
ここは僻地だ。
まともな街道など存在せず行商や輸送隊が数日遅れるなど当たり前。
だが必ず遅れる訳ではなく、好天に恵まれ予定より早く着くこともある。
3つ全てが遅れるのは非常に怪しかった。
「おーい、おっちゃーん!!」
「待ってリットちゃん」
呼びかけを始めたリットを仲間が止める。
「何か呼び寄せちゃうかもしれないから声は抑えて。輸送隊が襲われたら困るでしょ」
言葉も声も穏やかだが生存者0を確信している。
後半はリットを宥めるための方便だ。
リット以外は、輸送隊の全滅を確信していた。
(死体と荷馬車を隠すということは賊?)
リットよりは頭が良い仲間達は慎重だ。
いつでも逃げられるよう慎重に、不意打ちを受けないよう注意深く周囲を調べる。
唐突に、リットが剣で薙ぎ払う。
枯れた草むらを無意味に切り裂き、否、無意味に草だけ斬ったはずなのに濃い血の臭いが漂った。
「えっ?」
斬ったリットが一番戸惑っている。
おっちゃんともう1人に警告された気がして、半ば苛立ち解消目的で剣を振った結果がこの状況だ。
動揺したコボルト達が、草むらで隠されていた凹みから飛び出した。
「テメェらっ!!」
輸送隊の末路をようやく察したリットが襲いかかる。
リットの仲間達はリットの背後を固める。
おかげでリットが背後から襲われることはなくなったが、武装難民はリットごと包囲された。
「殺す必要はねぇ! 時間を稼げ!!」
だが士気は崩壊しない。
リット達は分厚い防寒具を着込んでいる。
石製ナイフ程度では切り裂けはしないので、すぐに負けることはない。
しかも数百メートル後方に冒険者がいるのだ。時間稼ぎするだけで勝てる、簡単な戦いだ。
しかし敵は身軽だ。
冒険者という強者が現れたら、弓の射程に入る前に逃げ出してしまうだろう。
武装難民を包囲し追い詰めるコボルト達は、既に冒険者達に気付いて警戒を強めていた。
●冒険者ギルド
ギルド職員が地図を広げている。
「難民キャンプからの依頼です」
エルフとの衝突が回避された結果、これまで後回しにされていた仕事にとりかかる余裕が出来た。
少しは開拓が進んだキャンプ周辺とは違い、土地の価値が限りなく0に近い場所の調査などだ。
「輸送隊が使用する経路の調査をお願いします」
賊やクリーパーはこれまでの依頼で排除されている。
害獣も強者である冒険者は多分避ける。
「難民の一部も調査を行うようです。義務ではありませんが、危険に巻きこまれて死なないよう注意してあげて下さい」
部隊規模のコボルトと遭遇することになるなんて、誰も想像していなかった。
解説
マスターより
リプレイ
コボルトは小柄だ。
揺れる草むらに紛れ、遠くからではかなり見つけづらい。
「クソッ、こいつら戦い慣れてやがるっ」
リット達難民は、敵が目の前にいるのに捕捉出来ず一方的にやられていた。
セリオス・オーガストは惑わされない。
優れた視力とシューターとして身につけた索敵術、そして何より長射程の捜波によりコボルトの行動を全て暴く。
(あのコボルトは何者だ?)
コボルトの練度の高さが異常だ。セリオスは敵の情報を他の冒険者に知らせて自らは弓を引き絞る。
矢を放つ。
足の速さではセリオスを上回る面々を瞬く間に追い抜き、コボルト集団の手前へ着弾する。
コボルトの顔に嘲笑が浮かぶがすぐに消える。
直後に発生した爆発が草ごと3匹のコボルトを巻き込んで深手を負わせ、断末魔じみた悲鳴をあげさせた。
「なんだぁっ!?」
リットが混乱する。
スキルについての知識がないのだ。
「リット、気を抜かない」
聞いた覚えのある声が聞こえた直後に、目の前にいたコボルトの首が裂ける。
黒髪のハーフビーストが足を止めずに2つの刃で切り裂いたのだ。
「冒険者のねー……」
左右で色合いの異なるノノアの瞳と自身より低い背丈に気付いてリットが口籠もる。女性陣の年齢の扱いを間違えると命が危ないのを知っているのだ。
「敵は訓練された猟犬と思いなさい」
草に紛れて石製のナイフがノノアを狙う。
が、遠く離れているならともかく、白兵戦の間合でなら臭いで位置を宣伝しながら戦っているようなものだ。
ノノアは余裕を持って切っ先を避けて、駆け抜けざまにコボルトの利き腕に骨まで達する傷を負わせた。
(12匹? 今度はコボルトの部族が動き始めたのかよ……ま、何にせよ目的を探ってみねぇとだな……)
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは、非授恵者の難民を狙った1匹を仕留めてから気配を殺すのを優先し始めた。
「リット殿は無事ですね。その他の皆さんがヒーリングオーラの範囲に入るよう指示を」
ドローミは弓矢を使っている分距離が離れている。
すぐに合流出来る距離ではない。が、決して浅くないダメージを負った難民達に、耐えれば治ると確信させることで士気を回復させた。
(難民達の危機、という事ならやるしかないわね)
走ってきたミツキ・アインホルンは最低限呼吸を整えてから詠唱を開始する。
ハヤトからの目配せ。
それに気付いたミツキは、予定の詠唱を一部変更してコボルトの大部分を効果範囲に入れる形でエーテル製光球を出現させる。
ミツキの詠唱はさらに続く。別系統の術を効果範囲が重なる形で使う。
いずれも強力な妨害術ではあるが、対象に当てた上で対象に状態異常を付与する必要がある複雑な術だ。
2つ重ねてようやく実用的と評されることもある術を、高度な魔法技術と優れた付与技術を兼ね備えたミツキが行使するとどうなるか。
答えは、効果範囲のコボルト全てが完全に移動を封じられる、だ。
「さて、機動力は削ったわね」
敵はコボルト。
どれだけ鍛えていても、特異個体や種族の英雄級の個体でなければ地力は冒険者よりずっと下だ。ミツキが攻撃に参加するより早く次々討ち取られていく。
「リット君無事か!」
「いつも通りだぜ師匠っ」
リットがいいところを見せようとして石ナイフを握った手に殴られた。
この程度では死なないことは、剣の師であるアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが一番よく分かっている。
「害獣共め。性懲りもなく……、殲滅するぜ!」
身軽なコボルトは飛び退いて回避しようとするが無意味だ。
アルベルトの斬撃は速くそして正確だ。独学で身につけた体術や回避術では対抗不可能。
重く鋭い刃が、毛皮すらまとえていないコボルトの胴を半ばまで切り裂いた。
「いてて……ししょー疲れてんのか? なんか」
「気を緩めるな。仲間を守れ」
アルベルトは穏やかであると同時に有無を言わせない。
こくこく頷いて仲間の守りに専念する弟子を横目で見ながら、アルベルトは呼吸が乱れそうになっているのを感じる。
(この装備で長距離走るのは厳しいな)
短距離ならチャージングで補えるが、広大な戦場を馬やビヒモー無しで駆け回るのは正直辛い。
アルベルトは、追跡には加わらず戦闘に専念することに決めた。
コボルトが決死の反撃を試みる。
勝つことは不可能でも、白兵戦に向いていない授恵者を1人でも殺せば残された部族が有利に戦える。
そんな甘いことを考え突撃したコボルト3体が、鎧ではなくコートを着込んだキーゼに真正面から盾で押さえ込まれた。
(自棄になって判断を間違えたか?)
キーゼは盾越しの力比べを維持したまま術を編む。
乱戦中の難民に当てないよう敵味方識別能力つきのメテオライトを発動させて、既にぼろぼろだったコボルト達に止めを刺す。
3つの死体が地面に転がった。
ミツキのメテオライトがわずかに残ったコボルトを痛めつける。
「1匹生け捕りしろ。俺は案内についていく」
ハヤトは不敵に笑い、わざと移動能力を残されたことに気づかず逃げるコボルトを追った。
「ねーちゃん追いかけなくていいのかよ!」
ドローミに問うリットは戦闘の興奮で痛みを忘れている。
光輝くエーテルの波動がドローミから放たれる。
回復速度は緩やかだが、コボルトの戦いで傷を負った非授恵者にとっては文字通りの救いの光だ。
「ついて来なさい」
ドローミに難民達が従い、リットも慌ててその後を追った。
●
地の利がある状況での伏兵は有効な策だ。
が、圧倒的な力には通用しない。
ハヤトは敵の臭いを感じた時点で停止。
その後は熟練シューターであるセリオスと手分けして捜波を使った。
「反応は10。配置はこうだ」
戦闘中と戦闘開始前では時間の価値が違う。
セリオスは数分使って隠れ潜む敵の位置と移動の頻度を把握し仲間へ伝える。
特定されたことに気付いた個体もいたが、分不相応に大きな武器を持ったコボルト達に素早い行動など不可能だ。
「敵が後退を始めた」
セリオスは、捜波の連続使用により敵の移動速度まで見抜いていた。
「逃がしませんよ。例外は1匹だけです」
ドローミの飛ばした矢が爆発する。
爆発は火炎ではなく無数の光破片を伴い、草を細切れにしてコボルト槍兵に無数の傷を負わせる。
一撃で倒しきる威力はないが十分以上の脅威だ。
「リット殿前衛参加願います。行けますか? その他の皆さんは一先ず僕たちより後ろに下がって下さい」
ドローミは武装難民の引率も行っている。
非授恵者は戦闘に参加させず見て学ばせ、授恵者であるリットには術で支援する。
相変わらずコボルトの言葉は非常に分かりづらく、行動から読み取る方が早いかもしれなかった。
「行きますよリット君!」
「う、おう!!」
シルク・メイプルリーフはリットが一瞬動揺したのに気付いた上で気にしない。
今のシルクにとってリットは可愛い弟分でしかないのだ。
槍が複数突き出される。
棒の先端にナイフを縛り付けただけの粗末な品だが、強靱な足腰と息のあった連携に支えられた一斉攻撃は強烈だ。
草に半ば隠れた状態からの攻撃なので奇襲攻撃でもある。
が、シルクは臭いで気付いているため不意打ちに引っかかりはしない。
「ねーちゃんっ!」
慌ててシルクを支援しようとするリットだが行動が的外れだ。
シルクは盾で防いで被害を抑え、強力な治癒術で防御時に受けた打撲の影響を消しどんどん前に出る。
コボルトはシルクを癒し手と判断し、最優先で仕留めようとシルクへ攻撃を集中させる。
亜人達は、草や地形を活かすという意識が薄れ、シルクの狙い通りに障害物の少ない場所へ移動してしまった。
キーゼが前へ出る。
敵後衛が投石に集中して石の弾幕を張る。
(自らの強みを手放したか)
術で強化済みの盾から感じる衝撃は多く、小さい。
そして位置が特定出来ているコボルトは、少々訓練されていてもただのコボルトでしかない。
杖の先端に呼び出したエーテルが弾け、直径3メートル近い極太エーテル光波と化しコボルト投石兵を蹂躙した。
「さあ、どんどん行きますよ!」
シルクとリットが飛び込み生き残りの投石兵を攻撃する。
コボルト槍兵が仲間を助けようとしても、セリオスが死角から射撃するので集中出来ない。
槍が届かない場所から一方的に攻撃されるのは、肉体的ダメージだけでなく精神的ダメージも大きかった。
(記憶力には自信があるのよね)
ミツキは最初の戦場で見逃した個体を覚えている。
今も恐怖はしても理性に従い逃走経路をちらちら確認している。
(槍に、投石……。どちらも面倒ね)
冒険者にとっては雑魚でもリット達難民にとっては危険過ぎる。
(どう見てもここが本拠地でも重要拠点でもないわ)
重要な証拠がある確率は極小のはずだ。
だからミツキは敵味方識別がない分強力な氷嵐を発生させる。
槍兵は槍衾を作って迎撃しようとするが、魔法には何の効果もない。
凶悪な風がコボルトの体から熱を奪って体温と命を同速度で冷やす。
嵐に乗った氷が冷えた皮膚を裂き、傷口から新鮮な血が溢れて冷たい風に飛ばされた。
移動速度が落ちるほど重い装備を身につけているアルベルトが、他の冒険者に引けを取らない速度で槍衾に迫る。
彼の攻撃手段は物理攻撃のみ。
単独の剣では槍衾は突破出来ないと、コボルト達だけは思っていた。
「帝国国民の安全を守ることは帝国貴族たる俺の義務だ!」
アルベルトの剣は速く鋭く重い。
1本の槍ごと、端にいたコボルトが頭から脇にかけて両断される。
生き残りの士気が、軽装のコボルトも含めて完全に崩壊した。
「畜生逃げるなっ!!」
追おうとするリットをミツキが止める。
「仲間の護衛と、ここまでの経過の連絡、リットさんなら大丈夫よね。追跡は任せて」
シルクもついて来ずにヒールをかけているのに気付き、リットは肩を落として立ち止まるのだった。
●
追跡では、隠蔽に長けているのは最低限の前提だ。
泥を体になすりつけて体臭と色を誤魔化し、コボルトが警戒すれば何時間でも土や泥や水の中に潜んで耐える。
心身共に強靱なハヤトが気絶しそうになるほど消耗してようやく、目当ての場所らしきものが視界に入った。
(奴等捜波を知ってるのか)
コボルトの拠点となりうる洞窟を中心に、100メートルと少し離れた位置に哨戒中のコボルトがいる。
見えている個体だけで5。
(隠れてる奴がいるな)
ハヤトは風下から接近する。
優れた嗅覚で微かな臭いを捉え、敵の大まかな配置の把握に成功した。
(夜になったら留まるのは危険よ。夜煌石の首飾り程度の光量でも気付かれるかもしれないわ)
声にはほとんど出さず、目配せと指の動きでノノアが語る。
耳と鼻に自信はあるので、目を使わなくても敵の数や行動を探ることは可能だ。
しかし目で得られる情報は多く、それ以上にエーテルを使用するスキルは強力だ。
(手薄なのはそこだ)
ハヤトが捜波で得た情報をもとに、ノノアはコボルトの警戒を避けて洞窟へ接近する。
入り口とは逆の方向から近づいたので比較的に楽に近付けた。
そして洞窟の近くから探波を連続行使する。
5秒間で直径15メートルの地形構造調査を1~2回だ。広範囲を調べても1分もかからなかった。
(おっとぉ……させるかよ!)
夕日に照らされ視界が悪い地上で、短く激しい戦いが行われる。
光を反射しないよう黒く塗られたハヤトの刃が、連続で3度コボルトに突き刺される。
(急げ、気付かれたぞ)
2度目の3連撃で仕留めはしたが、断末魔の悲鳴ではなく警告の叫びをあげられてしまった。
ハヤトはノノアを支援しながら、俊足を活かして難民キャンプとは別方向へ走り出す。
日が沈み地上に闇が満ちる。
拠点の露見が死に繋がるというのはコボルトにも分かるようで、特異個体を除けば最良に近い兵にノノア達を追跡させている。
つまりコボルトの足音が多く、キーゼが詠唱する音がかき消されていた。
(本拠を見つけたか?)
無数の光弾が闇の中で浮かび上がる。
夜目が利くキーゼにとっては少し明るくなった程度だが、コボルト達にとってはいきなり敵軍に迎撃されたようなものだ。
降り注ぐ光弾は1つ残らずコボルトの体に命中。
既に傷を負っていた個体は重体に陥り、他の個体も痛手を負って勢いが鈍った。
夜煌石の光が揺れる。
混乱したコボルトは光に気付いても目で追いきれず、黒髪のハーフビーストの横撃により隊列を突き崩される。
キーゼの攻撃も続いている。
コボルトは人類の授恵者に挑むため固まって行動していたことが仇になる。範囲攻撃であるメテオライトが最大の効果を発揮しコボルトの命を大量に奪う。
「これだけ倒しても焼け石に水かもしれないけど」
ノノアはハヤトと連携して残りを刈り取る。
敵の質は低いが士気は非常に高く、撤退時に負った傷を癒やすためキーゼに念入りにヒールをかけてもらう必要があった。
●
人類に対する憎悪が強すぎて思考に焼き付いてしまいそうだ。
ドローミは、残留思念感応に全神経と精神力を集中せざるを得ないことに気付く。
「ねーちゃん大丈夫か?」
リットが心配そうに見上げているのに気付き、ドローミはコボルトの死体から離れた。
途端に肩が楽になった。
自覚していた以上に負担が大きかったようだ。
「手隙ならこちらに来てくれ」
窪んだ地形に降りて地面を調べていたセリオスが、普段より厳しく沈痛な声で呼びかける。
察しないリットを置いてドローミが出向く。
日当たりが悪く湿った土の中に、一際湿り気と瘴気じみたものを感じさせる場所があった。
「荷車は?」
「見当たらない。車輪の跡もなしだ」
「まさか、担いで運んだ? 馬も?」
ドローミが緊張する。
「それではまるで……」
亜人ではなくゴールディのゴブリンのようではないですかと、思わず口に出かかった。
言語の有無という巨大な違いはあるが、知恵と組織力という面では今回のコボルトも強力だ。
セリオスは地面の土を払う。
コボルトがしたのは埋葬ではなく証拠隠滅であるので、乱暴に衣服を剥ぎ取られた死体の一部が現れる。
「おっちゃん……」
見覚えのある腕を見て、リットが力なくつぶやいた。
ドローミは礼儀正しく遺体に触れる。
残留思念が予想以上に消えている。
まるで、誰かを助けるため燃え尽きたかのように。
「お願い出来ますか」
シルクがうなずき、リットが中心になって改めて埋葬を行う。
汚れ、悪臭、不衛生が揃った苛酷な作業に、リット達キャンプ住民は黙々と従事する。
「この場に散った方々に冥福を……豊穣の恵みを受け再び芽吹かんことを」
シルクの言葉が、冬の日に照らされた荒野に響いていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 6〜8人
2021年02月24日 22時16分03秒 公開
相談掲示板
No.1
この局面を乗り越えるだけならさほどでもなし といった依頼ですね 問題は調査の方ですか
キャスターのミツキよ。よろしくね 確かに、包囲しているコボルト達は近づけば逃げ出すようだし、リットさん達の今の安全は簡単に確保できそうね。 そこでコボルド達の逃走を妨害して、先んじて殲滅させるとなると難しそうだけど。 もし、殲滅させるなら、私はスタティックフィールドとアーケインテンペストで、逃走の妨害はできるわ。
僕の名前はドローミ、どうぞ宜しくお願いしますね。 よもや出発人数に届いていないとは_ いろいろ難易度が高いですね。
キーゼと申します。宜しくお願い致します。 ひとまず知り合いにも声をかけておきましたので、せめて6名揃えたいところですかね。 >状況 NPCを助けるだけなら戦場1でその後護衛をして終了 コボルト軽装兵の追撃までかけて戦場2以降に移るかどうか、ですかね >殲滅 恐らく殲滅してしまうと、伏兵に合流しようとするアクションを潰してしまうので。 PL情報という点も鑑みて 今後の安全の為にも追撃、但し拠点や別動隊の存在も考えての行動、ですかね… >調査 どこまで行うかですかね、これも PL情報ではありますが、少なくともこれだけの規模の部隊があり、なおかつ待ち伏せをしている、となると。兵站の概念がどこまであるかはわかりませんが、少なくとも伏兵地点からの知覚に敵拠点もあるでしょうかね。 後は、出来れば戦場2に移行した後、ここも潰走あるいは敗走して誘導していただけると助かるのですがね… 輸送隊の被害状況から把握すれば、ある程度絞り込みも出来そうですが。
ノノアよ。人手がたり無さそうでしたので参加してみたわ。 救助と討伐と調査ですね。調査も力を入れるのでしたら、索敵系などを持っていきますわ。
・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む まあ本拠地を見つけられれば楽になるだろうから見つけたいところだな
ウォーリアのリットだ。よろしくな! 難しいことは全く分からないんで本当によろしく……。
>構成 ひとまず矢面に立てるよう、防御を固めておきます。反動として移動が少し落ちますが。 >調査 襲った輸送隊の物資をどこに隠したか、あるいは運んだか。 このあたりの痕跡もできれば見つけたいですね。 これだけの規模ならば、恐らく後方輸送専用の部隊もあるでしょうし。もしうまく見つけられれば、敵の進軍してきた方向もわかりそうかと
はい、最低人数達成ありがとうございます。 可能なら満員で出発したいですね。 残留思念感応持ちますので、皆殺しで問題ありませんよ。 リット殿たちにけがをさせる駄犬に、慈悲は要りません。
>敵 ここに関しては、戦場1に関しては先に触れたよう、あえて撤退されるべきですね 戦場2も、敵が撤退に移るなら追撃で。 残留思念に頼るのは有効ですが、それを主にするのはいささか弱いかと。 第一、味方もおらず敵だけが向かってきた、となればあちら側も早々逃走するかもしれませんし。 戦場2の切替スイッチが、敵の撤退、という条件もありえますからね。
戦場1と2は敵の撤退からの追撃および追尾ですね。2で敵が撤退が無い場合は他の方法で本拠地の調査になりそうですね。敵はなるべく1体は残す感じで数を減らす事にしますわ。 他に何かありましたら対応するように行動はしてみますね。
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 上手くコボルトの本拠地を発見して調査する必要がありそうだな。
殲滅させず、残して撤退した所を追跡&攻撃ね。了解したわ。
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、ギリギリの参加になったがみんなよろしくな!! ひとまず戦場1の軽装兵は何体か倒してあえて逃がし戦場2まで誘導させる。 んであらかた片付けつつ本拠地探る為にも1体くらいは泳がせるイメージでいいか? 先に生け捕りに出来たら尋問してもいいだろーがそもそも言葉が通じるかわかんねぇしな。 追跡の方は【捜波・改】と【超嗅覚】で突き止めてやんぜ!
1は1~2体逃す感じにして、2も敵が撤退するなら追尾しない場合は殲滅からの匂いや足跡等で調査にしましたわ。 わたしは探波、超聴覚、超嗅覚にしました。3がもしも暗い場所の場合はランタンやエンライトが無いといけなさそうですね。
No.16
戦場2においても投石兵と槍兵の方が厄介なのは確かなのでそちらを優先して攻撃しましょうかコチラの戦力がアチラを上回れば逃げてくれるはずですので罠に気をつけつつ追撃しましょう。一応超嗅覚と看破を持っていきます。ヒールはお任せください
奴らを泳がす利はほとんどないですが、意見に沿います。 『レゾナンス・ヴァロー』用意しましたので、希望タイミング聞かせて下さい。 『ヒール2』置いてよければ、『貫通衝撃射2』持ちます。 >セリオス殿 なさりたい事は察しますが、条件【近接武器】の装備がないとスキル3・4は発動しませんよ。 確認ください。 また、皆さん向けに PL情報ではありますが、コボルドは冒険者が弓の射程に接近した段階で逃げるらしいですから1~2体だけ逃がすのは難しいと思います。
追記 暗所には、夜煌石の首飾りが軽くて便利です。 着火能力はありませんけれど。
<ドローミ 単にこないだ出発した依頼の装備のままになってるだけでこれから変えるだけだぞ
>セリオス殿 すみませんでした。 了解です。