手負いのオークは、タチが悪い

ゆうきつかさ

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シナリオID:552

オープニング

●リーンエス王国
「手負いのオークは、タチが悪い。……間違いない。俺は、この目で見たからな」
 ミイラ男のような姿をした商人イタカにとって、それはトラウマにも等しい出来事だった。
 事の始まりは、数日前。
 イタカが仲間達と共に、隣村まで食糧を運ぶため、荷馬車を走らせていた時の事。
 茂みの中から、手負いのオーク達が現れ、イタカ達を襲った。
 どうやら、そのオーク達は何者かと戦って傷を負い、逃げている途中だったらしい。
 そのため、後先考えておらず、ボコボコにされ、命辛々逃げてきたようである。
「おそらく……、誰かが仕留め損ねたオーク達なのだろう。片目のオークや、背中に傷のあるオーク、血塗れのオーク達がいたから間違いねぇ……。まあ、途中でボコられて、しばらく意識を失っていたから、よく覚えていないんだが……。それでも、俺は運よく生き残る事が出来た。その代わり、仲間達が命を落としてしまったが……。俺が生き残ったのは、ある意味……奇跡。だから復讐って訳じゃねぇが、仲間達の仇を討ってほしいんだ」
 イタカが痛む右腕を押さえながら、絞り出すようにして声を発した。
「まあ、俺達から奪った食糧がある間は、大人しくしているかも知れねぇ。だが、それだって時間の問題だ。近くに村がある事が分かったら、新たな食糧を確保するため、間違いなく襲うはずだ。そんな事になったら、取り返しがつかねぇ。だから頼む! 俺の代わりに、村まで食糧を届け、オーク達を追い払って欲しいんだ。おそらく、俺達の事を言えば、村人達も指示に従ってくれると思うから、よろしく頼む!」
 そう言ってイタカが祈るような表情を浮かべ、冒険者達に対してオーク退治を依頼するのであった

解説

 物語の流れとしては、イタカが行くはずだった村に食糧を届け、村人達を避難させ、オーク達との戦闘になります。  オーク達はみんな殺気立っているため、村人達が残っていると、八つ当たり気味に殺されます。  基本的に、村人達が命を落としたとしても、オーク達を追い払えば成功になります。  ただし、村人達の半数以上が亡くなっていた場合は、失敗になります。 ▼基本的な情報  イタカ(ヒューマン:男性)  商人、20代。  全身包帯で、痛々しい。  オーク×16  色々な場所から逃げてきたオーク。  怪我をしているオークもいるが、全く無傷のオークや、メスのオークもいる。

マスターより

 どうも、ゆうきつかさです。  この依頼はオークを倒す事が目的です。  基本的にオーク達は真正面から突っ込んでくるため、作戦などを考えず、それを迎え撃つだけでも構いません。  ただし、オーク達は他の冒険者達と戦って傷つき、凶暴化しています。  もしかすると、その中には別の依頼で戦ったオークがいるかも知れません。

リプレイ

●リーンエス王国【とある森】
「もしかして、この間の生き残りか?」
 ケン・Z・ブラッドリーは仲間達と共に、オーク達が確認された森の中を歩いていた。
 おそらく、気のせい。
 単なる偶然だと思おうとしたが、状況的に考えて、別の依頼で倒し損ねたオーク達である可能性が高かった。
「そこまでは分からないが……。何者かとの戦いで敗走したとはいえ、受けた傷は歴戦の証。これ以上、奴らに場数を踏ませる訳にはいかんな。……ましてや殺気立っているともなれば、のんびりしている暇はない」
 ナタリア・フィッツジェラルドが色々な意味で危機感を覚え、事前に手に入れた地図を広げた。
 地図を見る限り、オーク達が確認された森は、イタカ達が向かうはずだった村の傍。
 そのため、状況次第では村を守りながら、オーク達と戦う事になりそうだ。
「……何か嫌な予感がしますわね」
 レイラ=ルナフィニスが、警戒した様子で辺りを見回した。
 森に入った途端、感じたのは、何者かの視線。
 もしかすると、何処からかオーク達が見ているのかも知れないが、今のところそれらしき姿はない。
「とにかく、警戒だけは怠らないようにしておかないと……。手負いの獣は危険っていうしね。気を引き締めて行こ!」
 そんな中、ニーラ・メッコが冒険者ギルドのツテを頼って借りた荷馬車に乗って、仲間達の後ろをついていった。
「だったら、先に食糧を届けておくか! ここから、そう遠くはないだろ? その方がイタカさんも、安心するしな」
 アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが先々の事を考え、村に向かう事を提案した。
「きっと、村の人達が首を長くして待ってるものね。それじゃ、急ごう!」
 ニーラが納得した様子で、荷馬車を村に向かわせた。
 イタカが向かうはずだった村は、ニーラたちがいた場所から、それほど遠くない場所にあった。
「お、おお……ようやく来たのか!」
 村人達は食糧が届くのを、ずっと待っていたのか、荷馬車に気づくと、ワラワラと群がるようにして集まってきた。
「ヒィヒィーン!」
 それは荷馬車を引いていた馬が、身の危険を感じて、悲鳴にも似た鳴き声を響かせるほどの勢いだった。
「大丈夫、みんな悪い人じゃないから」
 そんな空気を察したニーラが、馬の身体を優しく撫でた。
「ヒ、ヒヒン?」
 だが、馬は不安げ。
 いや、絶対ボクを食べる気でしょ、と言わんばかりに、ニーラの事を二度見した。
「随分と時間が掛かったようじゃが、何かあったのか?」
 そんな中、村の長老が心配した様子で、ニーラに対して問いかけた。
 おそらく、長年と勘と雰囲気で、何かを感じ取ったのだろう。
 村人達が食糧を運ぶ中、ひとり真剣な表情を浮かべていた。
「実は……」
 その事に気づいたニーラが、村の長老に対して詳しく事情を説明し始めた。
 本来、ここに食糧を運ぶはずだったイタカが、オーク達に襲われた事。
 そこで仲間達が襲われ、イタカ自身が怪我を負った事。
 すべて包み隠さず、村の長老に話した。
「……なるほど、そんな事があったのか。まあ、オーク達に襲われたのであれば仕方がない。仲間達が亡くなってしまった事は悲しい事じゃが……。後で彼らの墓を作る事にしよう。ある意味、わしらのために命を落としたようなものじゃからな。それでも、まあ……オーク達が村に押し寄せてこなかった事が幸いか」
 村の長老が物思いに耽りながら、何処か遠くを見つめた。
「いや、そのまさかです。これから、殺気だったオークが来ます。早く逃げてください」
 そんな中、アルベルトが、村の長老に真実を告げた。
「なん……じゃと!?」
 その途端、村の長老の態度が、一変。
 一気に恐怖が押し寄せてきたのか、ガタブルと身体を震わせた。
「そ、それを早く言え!」
 他の村人達も半ばパニックに陥りながら、慌てた様子で荷物を纏め始めた。
「……で、オークはどっちから来るんじゃ!」
 村の長老が両目をカッと見開き、ニーラ達に迫っていった。
「オークは私達が、必ず討伐します! ですから、少しの辛抱です。それまで安全な場所に避難していてください!」
 ニーラが真剣な表情を浮かべ、オーク達がいる森とは反対方向に、村人達を誘導した。
「どうやら、近くにいるようですわね」
 その間にルナフィニスは仲間達と共に、オーク達がいる森に入っていき、ホークアイで優れた索敵術を発揮しつつ、捜波で探知用のエーテルの波動を走らせ、看破でオーク達の存在を感じ取った。
 いまのところ、オーク達に動きはないようだが、それも食糧が尽きるまでの間だけ。
 このまま放っておけば、間違いなく食糧を求めて、村に攻め込んでくる事だろう。
「……嫌な予感が的中したな」
 ケンが五感を総動員して頭上から周囲を俯瞰し、険しい表情を浮かべた。
 どれも見覚えのあるオークばかり。
 みんな怪我をしているものの、ケン達だけでは対処できない可能性が高かった。
 それでも、先に村人達を避難させていたおかげで、最悪の結果だけは避ける事が出来そうだ。
「オーク共め。性懲りもなく……」
 アルベルトが苛立ちを隠せない様子で、ゆっくりとオーク達に近づいていった。
 オーク達はみんな怪我をしているものの、殺気立っている分、危険な存在であると言えた。
「まあ、統率が取れていない分、まだマシか。その分何を考えているのか見当がつかないが……」
 ナタリアが警戒した様子で、オーク達の様子を窺った。
 どうやら、現時点では互いの利害が一致しているため、一緒に行動しているだけで、別に統率が取れている訳でも、仲がいい訳でもないような感じであった。
 それでも、共通の敵がいるため、何かが引き金となって、オーク達が纏まる可能性もゼロではなかった。
「とにかく、今できるだけの事をしておくか」
 すぐさま、ケンが覚悟を決めた様子で、殺界でエーテル光をダマスカス鋼の大太刀を纏わせ、同時に不可視のエーテルを範囲内へ張り巡らせた。
 その途端、片目のオークが、範囲外に飛び退いた。
 それはまるでケンを挑発しているように見えたが、攻撃を仕掛けるには距離が離れ過ぎているため、何も出来なかった。
「今日の私は、いつもより頭を使っているよ」
 その間に、ニーラが村人達の避難を終え、仲間達に合流すると、スタティックフィールドを発動させ、光り輝く球状の存在を、オーク達に纏わりつかせた。
「ブヒィィィィィィィィィ!」
 それでも、圧倒的な数の前では、すべてのオークを足止めする事は出来なかった。
「……逃がすか」
 その事に気づいたアルベルトが、紫電一閃と戦士の一断を仕掛け、近くにいたオークを斬り捨てた。
 続いて、ルナフィニスが精密射撃で、精神を研ぎ澄ませて一射を放ち、他のオークを狙い撃った。
「ブ、ブヒ!」
 即座に、傷だらけのオークが仲間達を守るようにして陣取り、ルナフィニスが放った矢を真正面からモロに喰らった。
「ブ、ブヒッ!」
 しかし、傷だらけのオークは全く怯んでおらず、まるで戦いの勲章が増えたと言わんばかりに、不気味な笑みを浮かべていた。
「……笑っていられるのも今のうちだ」
 ナタリアが嫌悪感をあらわにしながら、エーテルブローを仕掛け、鉄の祭刀に眩い光を宿し、傷だらけのオークに斬り掛かった。
「ブ、ブヒヒィィ!」
 それと同時に、傷だらけのオークが棍棒で受け止め、ギチギチと歯を鳴らした。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィ!」
 その間に、モヒカン頭のオークが棍棒を振り上げ、ナタリアめがけて何度も棍棒を振り下ろした。
 そのため、ナタリアは受け身を取る事が出来ず、よろめくようにして膝をついた。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィィ!」
 そこに追い打ちを掛けるようにして、他のオーク達が一斉に襲い掛かってきた。
「……させるか!」
 次の瞬間、アルベルトが闘気槌2でダマスカス鋼の大太刀に巨大な光塊を纏わせ、オーク達めがけて振り下ろした。
 それに合わせて、ルナフィニスがハーツベインショットで、木の矢に不可視のエーテルを纏わせ、傷だらけのオークの左肩を貫いた。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィ!」
 それと同時に、傷だらけのオークが殺気立った様子で、狂ったように棍棒を振り回した。
「こ、こっちに来ないで怖いから!」
 その事に危機感を覚えたニーラが、メテオライト2で大量の小さな光弾を出現させ、雨の如く次々とオーク達に落とした。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィ!」
 それでも、傷だらけのオークは怯む事なく、棍棒を振り上げて、ニーラに突っ込んできた。
「えっ? う、嘘っ!」
 これにはニーラも驚き、あたふたした様子で、目を泳がせた。
「……随分と、しぶといな。妙なキノコでも喰って、ハイになっているのか?」
 その行く手を阻むようにして、アルベルトがチャージングを仕掛け、傷だらけのオークに斬り掛かった。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
 それを邪魔するようにして、巨漢のオークが横から体当たりを仕掛け、アルベルトの身体を弾き飛ばした。
「……クッ!」
 即座に、アルベルトが受け身を取ったものの、他のオーク達が逃げている途中。
 そんな仲間達を守るようにして、巨漢のオークが壁の如く、アルベルトの前に立ち塞がっていた。
「なかなか、やるようだが、俺の敵じゃない!」
 すぐさま、アルベルトが巨漢のオークをジロリと睨みつけ、鋭撃を繰り出し、ダマスカス鋼の大太刀を深々と突き刺した。
「ブ、ブヒィィィィィィィィィィィィ!」
 その途端、巨漢のオークがアルベルトめがけて、何度も拳を振り下ろした。
 だが、アルベルトは怯まなかった。
 すべての力をダマスカス鋼の大太刀に注ぎ込む勢いで突き刺し、大量の返り血を浴びながら、何とか息の根を止めた。
 しかし、オーク達の大半は、逃げた後。
「どうやら、逃げられてしまったようね。まあ、村とは反対側に逃げてくれたのが、幸いだけど……」
 そう言ってルナフィニスが、アルベルトに手を貸した。
 それでも、限られた人数で、村人達を避難させ、オーク達を追い払う事が出来たのだから、悪い結果とは言えなかった。

マスターコメント

 基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人

2021年02月17日 14時38分10秒 公開

成功

相談掲示板

  1. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 とにかくオークを殲滅するぜ!! 任せておけ!

  2. ナタリア・フィッツジェラルド

    ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。 此度の件では宜しく。 手負いのオークというだけあって、受けた傷は歴戦の証…… イタカのいう所の「仲間」を斃したという事実が奴らにとってのモチベにも繋がるだけに戦意もそれなりと見受ける。 数は16体とあるが、色々な場所から逃げてきたという記述からバラバラに点在する可能性もありそうか……一か所に固まってるという訳でも無いだろうし。 なので勢いに圧し潰されるという可能性はそれ程でも無さそうだが、色々な場所から逃げてきただけに死角からとか予想外の不意打ちも有り得るか。 回復支援が中心になるが、一斉に掛かられた際の立て直しに範囲回復か、不意打ちへの対処を重視するかになるな。

  3. ナタリア・フィッツジェラルド

    ……と、あくまでオークは何者かと戦って傷を負っただけで、イタカらが襲撃され仲間が命を落としたのは運悪く逃げ出したオークに巻き込まれただけか。 お目汚し失礼。 どちらにしても、凶暴化してるという一点に注意した上で真正面から迎撃しても大丈夫というなら、防御を固めて確実に回復という風に立て直しさえ確実に出来れば大丈夫か?

  4. レイラ=ルナフィニス

    レイラ=ルナフィニスといいますの。よろしくお願いしますわね。 弓という武器の性質上、わたしは後方支援を主にさせて戴きますわ。 まだまだ未熟ではありますけれど♪ うーん。 点在する可能性があるようですし、オーク達がどこから襲ってくるかわかりませんわね。 でしたら、今回は個人行動は避けて二人ないし三人で組んで行動した方がよさそうかしら?

  5. ニーラ・メッコ

    キャスターのニーラ・メッコです。 よろしくね! オーク達をやっつけて、村の人達が安心して暮らせるようにする! がんばります! 範囲攻撃スキルとかでバンバン行くよ!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0