【CP】魔獣しかいない小集落にて
岩岡志摩
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シナリオID:482
オープニング
ことの発端は、燃料や木材にするため林の木を切っていた難民キャンプの住民達が、エルフの勢力圏であることに気付かず木を伐採したことだった。
これによりエルフとの間で小競り合いが発生し、難民キャンプの人々とエルフ達の間には一触即発の雰囲気が漂い始める。
そしてエルフと思しき一団の襲撃があったという噂が、難民キャンプ内に飛び交う。
エルフ達へ確認しようにも、エルフ達は複数の集落に分かれて暮らしており、異なる集落に住むエルフ達の動向までお互い把握しているとは言い難い。
その情報の正誤を確認する間にも、難民キャンプに兵士達を派遣している王国貴族の一部が難民達の保護を大義名分として、攻撃を仕掛けてきたであろうエルフの小集落に攻め入り、難民キャンプへの手出しを牽制することを主張し始める。
難民キャンプの一部が襲撃を受けたのは事実だが、それがエルフによるものなのかは未だ判明していない。
その中で小集落への攻撃を叫ぶのは過激な主張だが、次にいつ来るかわからない襲撃に怯える難民達と、それを守る兵士達の中には、その意見に賛同する者達も出始めた。
そんな主張に押される形で、王国所属のある男爵が襲撃を止めさせるという名目で、近隣にあるエルフの小集落の1つへと手勢の兵を差し向ける。
●結果
この部隊は、ある男爵が擁する兵士達で構成され、小集落の1つに工作を行う命令を受けていた。
その小集落へと忍び寄った部隊は、男爵より渡された薬剤を集落の井戸へと投げ込むと、周囲で身を潜める。
井戸に入れた薬剤は、効果が出るには時間のかかるが強力な作用のある下剤だった。
やがて井戸の水を飲んだエルフ達は激しい腹痛に襲われ、集落のあちこちで身動きがとれなくなる。
「下剤がエルフ達に浸透したようだ。ここからは疫病が発生したと説明して彼らを治療しよう」
部隊長からの指示を受け、隊の兵士達は小集落へと踏み込んでいく。
――エルフ達には予め避難を呼びかけたが、彼らは人間達には排他的で聞く耳を持たない。
――しかし我々がただ集落へ進出すれば、武力衝突に発展しエルフや自分達の間に犠牲者が出る。
――そうならないようエルフ達に下剤を飲ませ、疫病が発生したと誤魔化してエルフ達を助けることで恩を売り、難民キャンプへの襲撃を止めさせよう。
男爵は部隊長や兵達に、エルフ達の暮らす小集落の井戸に下剤を入れる理由をそう説明していたが、事態は思わぬ方向に向かう。
●悪意
『それ』は腹痛に襲われ満足に動けないエルフ達を、エルフ達を助け起こしている部隊の前に前触れもなく現れた。
「ジャ・ジャ~ン! 遊びマショウ!」
それは人の姿をしていたが、道化師めいた奇抜な衣装を纏い、顔は道化師を模した仮面で隠されている。
「何者だ?」
部隊長の問いに道化師は答えず、仮面に隠された唇の端を吊り上げる。
「アドリブはできマスカ? できないと死にマスヨ?」
キヒヒヒヒヒヒ。
哄笑と共に、地を揺るがす何かの響きが近づいてくる。
やがてエルフや部隊の前に、夥しい数の魔獣達が現れた。
「これはコレはどうしたんでしょうか? 飛び入りデショウカ?」
道化師は笑う。嗤う。
「貴様、何をした!?」
偶然とは思えない魔獣たちの襲撃に、部隊長と兵士達は満足に動けないエルフ達を庇いながら道化師に詰問する。
「知恵と勇気を振り絞り、悪夢を追い払おうとする、勇敢なる兵士達に喝采を!」
『道化師』の叫びに、エルフや部隊へと襲いかかる魔獣達の咆哮が重なっていく。
小集落が殺し合いの戦場と化す中、道化師は何かをその場に放り投げ、姿を消した。
●魔獣退治
その報せが、ある依頼と共に冒険者ギルドに持ち込まれたのは、魔獣の襲撃から数日後のことだった。
「エルフ達がいる小集落を、魔獣たちが襲撃して壊滅させたので、魔獣達を退治してほしい、ですか」
依頼を持ち込んできた人物に、応対した職員が依頼内容を確認する。
依頼人は帝国からの難民達が暮らすキャンプの防衛の一端を担う、リーンエス王国に属する貴族からの使者だった。
「そうだ。その魔獣たちのいる小集落は難民キャンプに近い。このままではキャンプで暮らす人々に危険が及ぶ」
なぜそれがわかったのかと言えば、たまたまその小集落に立ち寄っていた部隊が、魔獣達の襲撃に遭遇したから、らしい。
その部隊からの連絡が途絶え、確認のために調査隊がこの小集落へと派遣された。
調査の結果、小集落には少数ながら大蛇めいた魔獣達が残留していることが確認できたが、生存者を発見することはできなかった。
そこまで把握したところで、調査隊は小集落より退いている。
一連の報告を受け、手勢の兵達では解決が難しいと判断した王国貴族は、今回の依頼人である使者を冒険者ギルドに派遣し、今に至る。
「小さいとはいえ、1つの集落を壊滅させるほどの魔獣が出没しているのでしたら、軍に出動を要請してはいかがですか?」
「居合わせた部隊とエルフ達が壊滅したのは、不幸な出来事が重なった結果にすぎん」
ここで依頼人は「直接的な要因ではないが」と前置きし、ある男爵がその小集落を鎮圧するため部隊を派遣したことを打ち明ける。
「その男爵を締め上げたところ、小集落で疫病が発生したと偽装してエルフ達を助け、疫病から救ったと見せかけてエルフ達に恩を売ることで、お互いの緊張状態を緩和しようとしたと白状した」
言ってみれば自作自演に近いことを、男爵と配下の部隊はやろうとしていたが、魔獣達の襲撃で部隊及びエルフ達の全滅という最悪の結果になった。
「最悪のタイミングで、魔獣達の襲撃があったと思われますが、そちらについては何か判明しているのですか?」
「調査隊によると、現場に残っている魔獣達はいずれも何かに執着する真似をしていたそうだ。おそらくそれが、今回の襲撃を説明できるものだと考えている」
周囲に魔獣達がいるので、そこに何があるのかは判明しなかったが、魔獣達を撃破できれば調べることができるようになると依頼人は告げる。
「魔獣襲撃の原因究明と男爵への罪の追及は我々が行うので、冒険者には魔獣退治に専念してもらいたい。以上だ」
そう言って依頼人は席を立つ。
「聞いていたな? 依頼内容はそんな感じだが、少しだけ追加させてほしい」
職員は使者がギルド支部がある建物から姿を消したところで、改めて周囲にいる冒険者達に説明を追加する。
「恐らくだが、今回の魔獣の襲撃は偶然ではなく何らかの要因が絡んでいると私は考えている」
依頼人の様子から、職員は王国貴族側が何らかの事情を掴んでいると判断していた。
「魔獣達を倒した後でいい。可能であればそれを発見して回収してほしいが、危険が生じるようなら無理に回収しなくていい」
その代わり、現場に残っているであろうエルフ達の骸の埋葬や、今回の事件を引き起こす一因となった部隊兵士達の骸の運び出しは、既に現場周囲で封鎖にあたっている別動隊が責任をもって行うと職員は約束する。
「周辺で暮らしているエルフ達の感情を考慮すると、事件を起こした連中を小集落に葬るのはまずいからな」
まだ不明な点は多いが、今は小集落にいる魔獣達を倒し、難民キャンプに行かせないことを最優先としてほしいと職員は訴え、頭を下げる。
いまそれができるのは、授恵者である皆様だけだ。
解説
マスターより
リプレイ
エルフ達が全滅したとされる小集落に、8人の冒険者達が到着する。
「うーん、結果はともかくとして、やろうとしたこと自体には理もあるし穏当よな。強硬的ではあるけど」
北側より進出したクリエーナ・バーリフェルトは、同じ方面から進むシャトン・アルジェントに話を向けるも、「ま、結果がヤベー事になってるわけだけど……」と自己完結する。
クリエーナは部隊の意図こそ理解するも、壊滅という最悪な結果になった以上弁護は難しいと判断している。
「エルフの言い分も分かるのよね。あたしだって自分の村の森で勝手に狩猟されたら困るし、人の手が入った森だと切って良い樹と切っちゃいけない樹があるんだし」
シャトンはエルフ達の心情に理解を示すも、すぐに思考を切り替える。
「考えるのもいいけど、まずはさっさと魔獣を蹴散らすのが先よね」
そう言うとシャトンは集落北西にいる大蛇型魔獣(以下『蛇』と略)に狙いを定め、鋼の強弓の弦を引き絞り、ハーツベインショットを行使。
弓弦を鳴らし、不可視のエーテルを纏った矢が撃ち放たれ、蛇の胴を貫いた。
射抜かれた蛇が血をしぶかせ、シャトンのエーテルがその身を蝕む中、その蛇へとクリエーナが走り寄る。
既にクリエーナは捜波によって蛇達の動向を把握し、この蛇を撃破の優先対象と見定めていた。
「魔獣の襲撃にしてもタイミング良すぎだよな。元からこの集落を狙っていて、状況に合わせてきたのか内通者が居たか……」
そこまで考えたところでクリエーナは眼前の蛇へと意識を切り替え、突風の速度で鋼の槍を繰り出した。
突き出された槍の穂先が蛇の身を貫き、蛇にさらなる出血を強いる。
南側より進出したドローミは、眼前に広がる光景に首を傾げる。
「兵士の遺体が見当たりません。被害の割には蛇の数も少ないですね。すでに多勢は移動しましたか?」
ドローミの分析通り、小集落1つを壊滅させるには蛇6体では少なすぎる。
そしてドローミの超嗅覚は、ある異変を捉えていた。
「血臭や錆めいた匂いの他に、僅かですがおかしな匂いがしますね」
その匂いを覚えると、ドローミは同じ南側より進出するアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトに向け、輝足を行使。
淡い透明な光がアルベルトの脚部を包み、その反応速度を向上させる。
「援護感謝だ、ドローミさん。このまま大蛇を殲滅させるぜ」
ドローミに礼を述べたアルベルトは、チャージングを行使して瞬間的に加速する。
「エルフにはいろいろ言いたいことがあることは事実だが、今回の男爵の所業は論外だな」
少なくともアルベルトは、疫病の自作自演は間違っているとみなしているが、今は蛇退治が先と意識を引き戻す。
蛇より放たれた毒を跳躍で躱したアルベルトは、着地して一気に蛇へ肉薄すると鋭撃を行使。
ダマスカス鋼の大太刀が勢いよく蛇へ振り下ろされ、蛇を頭から斜めに叩き割る。
切断面から血を噴き出し、蛇が倒れ伏す間に、東側からも冒険者達が進出する。
「妙だね。集落が1つ壊滅している被害の規模の割に敵が少ないような……?」
その中で海神・江流はドローミと同様、この場にいる魔獣の数に疑念を抱く。
事前に借用できたこの集落の見取り図の写しに目を通し、天眼を駆使して周囲を見渡しても、蛇の数が少なすぎる。
「意図的に疫病を演出させるとは、なんと外道な……」
ライナ・フレイヴァルツは疫病の『工作』を行った部隊へも憤りを見せている。
魔獣が襲ってきた理由は不明だが、このままでは死んでいった同胞たちが報われない。
「自作自演でエルフを懐柔しようなどと、浅はかすぎますわ。だからこそいらぬ介入を招いてしまうのですわ」
バンビもまた、今回の経緯について呆れを示すが、今は依頼をこなすのが先と意識を切り替える。
「まずは依頼を果たすのだわ。事の論評や追及などはすべて後の話だわね」
「そうだな。蛇は変温動物と聞いたことがある。蛇そのものであるならば、寒さは苦手のはずだ」
バンビの言葉にライナも賛意を示し、それぞれ戦闘態勢に移る。
「敵はすべて蛇型のようだ。戦闘の中でも敵が何に気を取られているのかも見ておこう」
江流は蛇達の動向に探りを入れつつも、フェザーステップを行使し、最も手近な位置にいる蛇へと切り込んでいく。
肉薄する直前に江流は真横へ跳躍し、蛇の巻きつきを回避すると、蛇に向け毒撃を行使。
鋼の細剣が蛇の身に突き刺さり、刃に纏っていたエーテルが蛇の身を蝕む中、江流は他の蛇達が見える位置まで後退する。
そして先程江流が攻撃を加えた蛇に向け、バンビとライナはそれぞれフリーズボルトを行使。
バンビとライナよりそれぞれ射出された氷の矢は、立て続けに蛇の身を穿ち、蛇は冷気に包み込まれたまま頽れ、絶命する。
「蛇共が金属に執着する様子を見せるなら、取り囲まれない様に警戒しておくよ」
同じ東側より進出したユーリス・レインフォードは、味方が北側の蛇達と交戦する間、南側から来た蛇を迎え撃つ。
「戦闘が終わったら集落内の探索だね。蛇が呼び寄せられてきたのなら、それを為した何かが集落内に残っている可能性がありそうだ」
蛇の尾の動きを見て後方に飛びのいたユーリスの前を、締め付けを試みる蛇の体が通過し、着地したユーリスは破鎧砕を行使。
鋼の槍が吹き伸びて蛇の身を貫くと、武器に纏うエーテルが蛇の身を蝕み、脆くさせていった。
●撃破
冒険者達は小集落の出入り口をほぼ塞いだ後、蛇達への包囲を狭めていく。
「逃がしはしない、見逃すと思ったか?」
南西方面にいた蛇にはアルベルトとドローミが回り込み、行く手を遮る。
「敵の体は長大で締め付けが予想されます。なるべく回避と移動を重視した攻撃を目指して下さい」
既に攻撃集中を宣言したドローミは、そう言ってサイドヒールを駆使してアルベルトの治療にあたる。
「了解だ、このまま大蛇を殲滅させるぜ。最悪でも、難民キャンプの方には大蛇を逃がさないつもりだ」
そう言うとアルベルトは駆け出し、ドローミはやや距離を置いてダマスカス鋼の短弓の弦を引き絞る。
「支援攻撃を行います。アルベルト殿は敵に僕の攻撃が届いたら、攻撃を重ねて下さい」
アルベルトにそう伝えると、ドローミは強射を行使。
エーテルを纏わせた矢が弓弦を鳴らして放たれ、強烈な一射と化して蛇の身を射抜く。
血を噴出して悶える蛇に向け、肉薄したアルベルトが強打2を行使。
威力を重視する強力な一撃と化した大太刀が蛇に叩き込まれ、蛇の胴を断ち切った。
血を噴出して蛇は頽れ、絶命する。
その北側ではシャトンとクリエーナが攻撃を重ね、蛇を追い詰めている。
「気配を殺し、敵の意識の外から射抜く。狩猟も戦闘も基本は同じよ」
「ま、とりあえず今は魔獣退治を頑張りましょうかね」
シャトンは逃走に転じた蛇を追い、クリエーナも捜波を行使して周囲に探知用のエーテルの波動を走らせ、把握できた敵の動向をシャトンに報せていく。
「攻撃系のスキルも無い故、まぁ自慢の速さで翻弄させてもらおう」
クリエーナは飛来する蛇の毒を身を捻って躱しつつ、鋼の槍を振るい蛇に損傷を負わせながら、集落の奥へと追い立てる。
その間にシャトンは近くの家屋の屋根へと跳躍すると、バランス感覚を駆使して屋根から屋根へと飛び渡る。
「物陰に潜んだくらいじゃ防げないわよ。弓は前に撃つだけじゃないの」
既に攻撃専念を宣言したシャトンは、そう言うと鋭射を行使。
弓弦が鳴り、エーテルを収束させ破壊力の増した矢が鋭く射出され、蛇の身を貫いた。
その一射で生命を断たれた蛇は、血を噴いて倒れ伏す。
そして東側では、江流やバンビ、ライナ、ユーリス達が残る2体の蛇の東進を阻む。
「俺は自分の手で倒す事には拘らず、うまく足止めして各個撃破していこう」
疾風足に加え、エアーライドも行使してエーテルを爆発的に噴射し、宙を奔る江流は先のユーリスの破鎧砕で脆くなった蛇を細剣で手傷を負わせていく。
「二次被害を防ぐ意味でも、極力今回で全て仕留めたいところだね」
空を駆けて迫る江流に向け、手傷を帯びた蛇が大きく身を捻って捉えにかかる。
だがそれは江流の誘いだった。
蛇を釣った江流は背転跳躍で大きく後ろへと身を翻し、入れ違いにその下を潜り込むように身を屈めながら、ユーリスが蛇に襲いかかる。
「件の男爵……武力を用いず融和を図ったのは、或いは、王国貴族らしからぬ善良な思想によるものだったのかもしれないが……」
ユーリスの視点では、『工作』を行わせた男爵の意図自体は否定していない。
「……いや。実のところ、そこにあまり関心はないのさ」
ユーリスの意識は即座に眼前の蛇へと引き戻すと、そのまま強打を行使。
強力な一撃と化して突き出された槍が、蛇の胴を貫いた。
血を噴いた体が揺らぎ、土煙をあげて倒れた蛇が絶命する。
「効かなくても期待はしていないわ。嫌がってやみくもに範囲外に飛び出してくるようなら好都合だわね」
最後の蛇に向け、既にバンビがアーケインテンペストを行使していた。
無数の稲妻を取り巻く光球が顕現して蛇を押し包むと、光球の中を奔る稲光が蛇を絡めとり動きを阻害する。
「ライナ様、どうやらこの蛇で最後のようなのだわ。このまま消し飛ばすのだわ」
バンビはあくまでも最後の守りとしてその場から動かず、連撃をライナに打診する。
「了解だ。このまま魔獣を打ち倒し、魔獣が引き寄せられた原因を探ろう」
ライナはそれを承諾すると、蛇に向け魔矢2を行使し、バンビも魔弾を行使。
ライナの突き出した宿り木の杖より強烈な光の矢が撃ちだされ、バンビの指先からも光球が放たれる。
光の矢と光球がそれぞれ異なる角度から蛇の頭を直撃すると、血煙と共に蛇の頭が割れ爆ぜた。
「状況に応じて他チームの応援にも駆け付けるつもりだったが、不要だったようだな」
最後の蛇が倒れたところで周囲を見渡したライナは、味方の無事と敵の全滅を確認し、安堵の息をついた。
●探索
蛇を殲滅し、ドローミやライナからの治療を受けた冒険者達は小集落内の探索に移る。
「僕は倒した大蛇達の死体を調べることにします」
ドローミはそう言うと鋼の祭刀も駆使して、蛇が兵士や不自然なものを食していないか調べ始める。
「敵が何に反応しているのか、仕掛ける前にその挙動を観察していたけれど、だいたいこの周辺のようだ」
江流は要返却と念押しされた上で借用した小集落の見取り図を仲間達に見せながら、大まかな場所を説明する。
「なるべく隙間なく調査はしたいが、しらみつぶしで調べてる余裕がないかもしれんのでな。手がかりになりそうな場所を優先しよう」
クリエーナは江流からの説明にあった場所周辺より調査を始め、クリエーナの『家臣』にあたるバンビも協力する。
「魔獣が執着するような何かについては、エーテルを発する紋具のようなものを想定しているのだわ」
バンビの想定は、エーテルを波で捜査する波紋学派の考えに則っている。
「そうなのか? 決定的な証拠はまぁ出ないとは思うが、魔獣の誘引に使った道具か何かが見つかったら良いなぁ」
クリエーナはバンビの考察を否定せず、バンビと手分けして慎重に集落内の物陰などを調べていく。
「オレとしては役に立つ存在でない限り、四の五のは言ってられない身なのだわ」
バンビはそんなことを呟き、慎重に手がかりを探す。
「天眼で確認した限りだけど、各個体の動きから判断して、何らかの匂いである可能性もありそうだね」
江流は別の可能性も指摘しつつ、捜索範囲を調整していく。
「貴族の策も穏便に話を進めるって意味なら悪くはないわ。最悪を想定すればベストじゃないにせよ、ベターな選択よね」
探索の中で、シャトンは今回『工作』を行った部隊の意図が、必ずしも悪いものとは言い切れないとの見解を示す。
「魔獣の襲撃のタイミングが良すぎるのは何かの作為があるのかもしれないわね。そもそもエルフと難民を対立させる事を目的とする勢力が居るのかもしれないわ」
――こういう場合は得をする誰かが一番怪しいのだけれど……。
シャトンは今回の魔獣襲撃が偶発的なものとは考えていない。
「俺は家や井戸を捜索して、エルフの生存者がいないか捜索するつもりだぜ」
「俺も家や井戸も含めて、入念に探索しよう。もしかしたら……可能性は限りなく低いだろうが、生存者も居るかもしれない」
アルベルトとユーリスは手掛かりの探索を仲間達に任せ、自分達は集落内に残る各家屋へと踏み入り、生存者の探索を開始する。
やがてライナの超嗅覚も加わり、徐々に探索範囲が狭められ、ついに冒険者達は『それ』を発見する。
それは香炉めいた何かだった。
「まだ確定とはいえないが、魔獣がこの集落を襲った原因はこれだな」
中身はほぼ焼け焦げ、匂いが薄れたことで魔獣の多くが集落から離れた可能性は高い。
「他にも情報を得たいところだ。植物共感でこの辺りの植物に触れて状態を確認するとしよう」
ライナはそう言って周辺に生えている植物に向け植物共感を使ったところ、植物の成長を阻害するような成分は撒かれていないと判明する。
そして蛇への『調査』の他に、周囲に転がるエルフ達の骸へと、残留思念感応を行使して回ったドローミが仲間達のもとへ戻ってくる。
死亡してから数日が経過しており、残留する思念を読み取ることは困難だったが、僅かに読み取れたものも存在した。
「時間が経過しているので望みは薄かったですが、辛うじて魔獣を誘引した犯人のイメージを読み取ることはできました」
それは派手な衣装と仮面に包まれた存在が、エルフ達に向け魔獣の群れをけしかけるイメージだった。
念のためドローミは、仲間達の確保した香炉にも残留思念感応を使うと、僅かだが香炉に残る思念を読み取ることにも成功し、これを持ち込んだ者がその犯人だと説明する。
「生存者ありだ! 急いで別動隊を呼ぶんだ!」
ここでユーリスと共に生存者を探していたアルベルトが家屋の1つから飛び出し、救援を要請。
ただちに待機していた別動隊が集落に駆けつけ、現場は慌ただしくなる。
●結果
別動隊の手でエルフ達の骸と唯一人生き残った子供が収容され、運ばれていく。
アルベルトとユーリスが発見し、救出できた子供は衰弱が激しいものの、快復すれば話ができるようになるだろう。
「エルフ達は薬を盛られ、苦痛の中魔獣に集落を蹂躙され、滅んだ……許す事などできはしないさ」
ユーリスは魔獣だけでなく、工作を行った部隊にも憤りを向ける。
ドローミの調査では蛇の体内より兵士らしきものは見つからなかったことから、工作した部隊が生き延びた可能性は高い。
「小賢しい男爵も……この状況の影に何者かがいるのなら、その存在もね」
そしてその周囲にいるであろう黒幕にも。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年01月30日 21時58分39秒 公開
相談掲示板
シャトン・アルジェント。シューターよ。 よろしく頼むわね。 前衛は充分そうだから、基本的には射界を確保する為に家の屋根に登れそうなら登って、弓を撃つ形になるわね。
意図的に疫病を流行らせるとは、なんと外道な…。 それと魔獣との因果関係は分からないところだが。 なんにせよ、このままでは死んでいった同胞たちが報われない。 なんとしても魔獣を打ち倒そう。 ライナ・フレイヴァルツ、キャスターだ。 皆宜しく頼む。
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 姑息な手段で恩義を売ろうなどと考えるとは浅はかすぎますわ。 件の男爵には相応の制裁が加わると期待してまずは魔獣退治ですわね。
はじめましての方ははじめまして。 そうでない方はお久しぶり。シーフの海神江流だよ。 一芝居打ってみるのはまぁ兎も角、井戸に下剤は無差別テロと同じだわな。 まぁ今回はそっちの追求は依頼人にお任せするとして… そんなに大きな集落ではなさそうだけれど、初動というか初期配置は東西南北?あるみたいだし、そのへんは打ち合わせしておいた方が良さそうだね。 キャンプ側に抜けられると失敗条件に当たるみたいだから、特段理由がなければ東側から行くのがいいのかな?と思ってるよ。
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 エルフに対しては愛弟子のリット君の件があるし、色々思うところがあることは確かだ。とは言え男爵の行為は論外だな・・・。 今回はI4(難民キャンプ側の入り口)から突入して大蛇に接近戦を挑むことになりそうだな。
シーフのクリエーナだ。 失敗したとはいえ、バリバリ好戦な奴等も出てる中で講和狙いなあたり割と穏当な貴族様だなぁ。結構いいやつなんじゃないか? しかしまぁ、タイミング良すぎだし?第三者の関与はあるんだろう。 この状況を狙った誰かは一体どこの誰で、何が目的なんだろうな? こう、魔獣を意図的に突っ込ませるなんてそう簡単に出来るもんじゃねーだろ? つーことは間違いなくヤベー奴がヤベー物品がかかわってるって事じゃん? いやーコワイコワイ、乱世乱世!! とりま、≪I≫の列は封鎖するのは確定だろ? 全部逃がさず……ってことなら他の入口から入る部隊もあっていいかもな、弱ってきたら逃げる可能性があるわけだし。 分けれて2部隊が限度だとはおもうが。
皆さまごきげんよう。 僕の名前は、ドローミ今回も宜しくお願いします。
追記 アルベルト殿の支援行いたいと思いますが、目標は【4E】から良いと思います。 H軸の2か所を最後にすれば、別動隊に証拠をもって行かれ難くなるはずです。
ウォーリア、ユーリス・レインフォードだ。今回はよろしく頼むよ。 …男爵の行った意図や求めた結果がいずれにあるとしても、結果がこうではエルフ達も死にきれないだろう。 魔獣の討伐は勿論、何らかの事情とやらも解明したいところだね…
>ドローミさん 支援助かるぜ。 でも、H軸の2匹を先に倒さないといきなり難民キャンプに逃走されることにならないか?
えーっと。 とりあえず全員Iの☆からのスタートで良いのかしら? Iからスタートする場合、あたしはH3のヘビが居なくなったら奥の家の屋根に移動して、固定砲台やりつつ、高所から蛇の動向を伺う事にするわ。 射程内から蛇が居なくなったら他の家の屋根に移動して同じ事の繰り返しになるわね。
そーだな、基本Iスタートでいいんだが……シャトン俺と一緒にF1から入らねぇ? 横合いから居抜いた方が狙いやすいだろうし、俺はF1から9方面に向かって捜波でなんかないかあさりながら進行しようと思ってるから誰か一人くらいついてきてくれるとありがたいんだよね。 H軸の二匹は最初にヤっていいだろ、9方面においる様にジリジリ南下しつつ調べればいいんじゃねーかな。
とりあえず、以下の通り仮プレイングを提出したぜ。 指摘等があったらよろしく頼む ・心境 大蛇を殲滅させるぜ ・目的 大蛇を絶対に全滅させる(最悪、難民キャンプの方に大蛇を逃がさない) ・台詞 「逃がしはしない、見逃すと思ったか?」 「エルフにはいろいろ言いたいことがあることは事実だが、今回の男爵の所業は論外だな」 「奴らの目的は一体何なんだ?」 ・全体的な行動(数字の順に行動する予定) 1:小集落にはI4からスタートする 2:大蛇はH3、H6、E4、C2の順に倒しに行く 3:道化師の放り投げた「何か」を捜索する ・戦闘での行動 毎ターン攻撃集中状態で行動する 大蛇に対しては最初の一撃はその後は『鋭撃』を使用する(『鋭撃』を使い果たしたら『強打2』を使用する) 複数の敵に囲まれた場合『闘気槌2』を使用して囲んできた敵にまとめてダメージを与えることを狙う 道化師が現れたら最初は『紫電一閃』+『戦士の一断』を使用する。(その後はスキルが残っていたら『鋭撃』『強打2』を使用する) 仲間との連携を重視する 仲間の攻撃魔法に巻き込まれないように位置取りを注意する
発言できずにすみません。 本日明日で何とかしたいところ_ >アルベルト殿 話が進んでしまったので、H軸後回しは取り下げます。 ですが、開始位置は【9CDE】のいずれかにしませんか? >クリエーナ殿 理由は不明ですが、恐らく突かない限り蛇は移動しないと見ます。 ただジリジリ南下ですと、I軸多勢になると間口の広い南側から逃げると思うのです。 >皆様に 『悪意』の項をPC情報にする為、家や井戸を捜索しませんか? 生存者がいるような気がするのですが。 蛇の蝶嗅覚もありますし。
誤 【9DEF】でした。
おっけー。それじゃ、あたしもF1から入るわね。 それ以外のやる事は殆ど変わんないけどね
>ドローミさん 開始位置を【9DEF】にしたいとのことだけど、どう言った狙いなんだい?
>アルベルト殿 まず、東と北から戦力が入る事。 間口が広いこと(30m)。 家と井戸に近いこと。 他方より、早く【7F】【6C】に掛かれること。 等です、他方からの圧力で移動してしまうならこの2か所でしょうし。
>ドローミさん 了解しました。プレイングを以下の内容に変更しました。 いかがでしょうか? ・全体的な行動(数字の順に行動する予定) 1:小集落にはF9からスタートする 2:大蛇はF7、C6、E4、C2の順に倒しに行く 3:家及び井戸を捜索してエルフの生存者がいないか捜索する 4:道化師の放り投げた「何か」を捜索する ・戦闘での行動 毎ターン攻撃集中状態で行動する 大蛇に対しては最初の一撃はその後は『鋭撃』を使用する(『鋭撃』を使い果たしたら『強打2』を使用する) 複数の敵に囲まれた場合『闘気槌2』を使用して囲んできた敵にまとめてダメージを与えることを狙う 道化師が現れたら最初は『紫電一閃』+『戦士の一断』を使用する。(その後はスキルが残っていたら『鋭撃』『強打2』を使用する) 大蛇・道化師への接敵には『チャージング』を使用する 仲間との連携を重視する 仲間の攻撃魔法に巻き込まれないように位置取りを注意する
ん、つまり3部隊にわけるのか。 F1侵入は俺とシャトン、9軸スタートにアルベルトとドローミ、残りはI軸スタートって所かな。 んじゃぁ俺はC2、C6の蛇を狙いつつ南下する形が良さそうだ。 >ドローミ 理由は不明だが突かない限りは動かない……というのはあれか、私なんか情報見落としてるかな……。 戦闘が始まったら動かない理由、無いと思うんだけれども……。 あと全滅は努力目標で、敗北条件が東へ行かせなければ良い感じだから南に抜ける分には良いかなぁなんて思ってた。 あんまり戦力分割させるのも怖かったし。 >探索 探索自体はするが生存者は……無いんじゃないかなぁ、蛇の探知能力高そうだし。 なんか魔獣を誘引するマジックアイテム的な物品?が転がってるんじゃねーかなって予想してる。 まぁ、建物内だけとも限らないので建物含みつつしらみつぶしに……になりそうかな。
三部隊行動だね、了解した。 東側(I軸スタート)の俺達は人数も多いし、叶うなら手早く蹴散らしていきたいね。 >蛇の動向 ふむ…。動かないと言える理由について俺の方でも情報が得られていないから、否定的な考えになってしまって申し訳ないけれど… 戦闘する場所と蛇の位置次第では動かない事もあるかもしれないが、蛇の目に付く場所で戦闘が行われたと仮定するなら、乱入なり逃走なり動きはするんじゃないかい? 場合によっては、南下や進行よりも合流を急いだ方が良い状況もあるかもしれない…と、警戒はしておくべきだと思う。 此方の見落としがあったなら、すまないね。 >探索 こちらは了解だ、留意しておこう。どの道、探索はしなくてはならないからね。 …無論。限りなく低いとはいえ、生存者が生きている可能性に賭けたいのも本音になるけれど。
間が空いてしまってすまない。 俺はI4からのスタートで行こうかな。 差し当たり、最初はH3個体の対処しつつE4を牽制ってトコで。 キャスターさんの壁をやりつつ、フェザーステップで攻撃後移動を使えば後方からの射線の確保も出来ると思うから、よければ使ってやってね。 念の為、疾風足とエアーライドも用意しておくから、H6あたりが東へ抜けようとする動きが見えたらそっちの対処出来るように備えてておくね。
ここまで了解した。 私は東側(I軸スタート)でキャンプ側に抜けられない様にしよう。 この場合狙う敵は、まずはH3とH6の蛇で良いのだな? その後の状況次第では、E4とF7か。 蛇は取りあえず初期位置がそことなっているだけで、 戦闘開始状況によっては多少偏るかもしれないな。 基本的にはおおむねその辺りにいると思っては良いのではないだろうか。 探索もぬかりなく行っておきたい所だな。 道化師が投げた何かと、大蛇の超嗅覚は何か因果関係があるのではないかと少し思っている。 もしかしたら大蛇を引き寄せる匂いが詰まった匂い袋などが落ちていたりする可能性も。 あくまで想像の域を出ないが。 探索の時に超嗅覚があっても良いのではないだろうかと私は思ったな。
はいすみません、体調思わしくなくプレイングは明日の午前になります。 >アルベルト殿 【9F】スタート了解です。 ただ蛇は中型だと思うので、二人ではそれほど多く手を出せないと思います。 スキルの相談ですが、サルベーションと聖別どちらが良いですか? 馬車猪MSの依頼が確定したら、輝足も持ちます。 巻きつきに注意をお願いします。 >皆さま 金属鎧装備の方は、警戒のプレイングを推奨します。 別動隊が回収予定の、工作班の兵士の遺体は見当たりません。 蛇の攻撃優先が、金属(撒かれた何かによる?)かもしれませんし。 OPに蛇は、何かに執着しているとありますし。 ご考慮下さいませ。
全く相談に来れず申し訳ありません。 三部隊分割で俺はi軸スタート了解いたしました。 出口付近で最終防衛戦を張って、H軸の蛇から始末しますわね。 後は、そのまま待機しますわ。
>ドローミさん スキルは『聖別』をお願いします
プレイング送信できました。 【9F】スタート ・現場状況の把握 ・超嗅覚判定 ・【7F】を初期目標、接敵前にアルベルト殿に輝足付与 鋭射・強射・サイドヒールで支援(援護)攻撃 ・アルベルト殿が選ぶ目標を順次討伐 ・蛇殲滅後、家屋と井戸の調査を頼み 自身はエルフの遺体を回り残留思念感応を行使 生存者か残留思念から『悪意』の顛末をPC情報に出来る様する予定です。 回収目標は、薬剤か加工食品、紋具の類と予想。