死すべき運命にある者達
ゆうきつかさ
コメント 10
シナリオID:479
オープニング
●リーンエス王国
「この時期になると、決まって奴等がやってくる。わしらを恐怖のどん底に突き落とすために……」
リーンエス王国の辺境にある村に住むジクムントが、酒場に集まった冒険者達を前にして依頼の内容を説明した。
ジクムントが住んでいる村は、この時期になるとコボルト達が襲撃してくるようである。
それは自分達の実力を示すため。
コボルト達からすれば、大人になるための通過儀礼のようなモノではないかと、ジクムントは考えているようだ。
そのため、必要以上に人を殺さず、食糧や家畜を奪っていく。
だが、それらはジクムント達が生きていくのに、必要なモノ。
そのため、今までにも何度か戦った事があるようだが、コボルト達を倒すどころか、返り討ちに遭ったり、大怪我をしたりしていたらしい。
それが原因で村から人が去っていき、残っているのは年寄りばかり。
そんな状況でコボルト達と戦ったとしても、勝ち目はない。
その上、食糧や家畜も、生きていくのに、必要な分しかない。
そこで冒険者達に力を借り、コボルト達を追い払ってもらおうと考えているようだ。
「幸い、貴金属を売って、纏まった金が出来たから、そっちの心配をする必要はない。こんなモノがあったところで、腹が膨れる訳でもないしな」
そう言ってジクムントがニカッと笑って、金の入った袋をテーブルの上に置くのであった。
「この時期になると、決まって奴等がやってくる。わしらを恐怖のどん底に突き落とすために……」
リーンエス王国の辺境にある村に住むジクムントが、酒場に集まった冒険者達を前にして依頼の内容を説明した。
ジクムントが住んでいる村は、この時期になるとコボルト達が襲撃してくるようである。
それは自分達の実力を示すため。
コボルト達からすれば、大人になるための通過儀礼のようなモノではないかと、ジクムントは考えているようだ。
そのため、必要以上に人を殺さず、食糧や家畜を奪っていく。
だが、それらはジクムント達が生きていくのに、必要なモノ。
そのため、今までにも何度か戦った事があるようだが、コボルト達を倒すどころか、返り討ちに遭ったり、大怪我をしたりしていたらしい。
それが原因で村から人が去っていき、残っているのは年寄りばかり。
そんな状況でコボルト達と戦ったとしても、勝ち目はない。
その上、食糧や家畜も、生きていくのに、必要な分しかない。
そこで冒険者達に力を借り、コボルト達を追い払ってもらおうと考えているようだ。
「幸い、貴金属を売って、纏まった金が出来たから、そっちの心配をする必要はない。こんなモノがあったところで、腹が膨れる訳でもないしな」
そう言ってジクムントがニカッと笑って、金の入った袋をテーブルの上に置くのであった。
解説
▼基本的な情報
ジクムント(ヒューマン:男性)
70代。
ヨボヨボ。
▼敵の情報
コボルト×20
おそらく、若いコボルト達が大半。
頭の人骨を被ったコボルトがリーダー。
若いコボルト達を指導する立場。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
この依頼は格好良さを重視しますので、作戦などを考える必要はありません。
村にやってきたコボルトを狩る。
ただ、それだけの事をすれば、成功です。
そのため、コボルト達を全滅させる必要はありません。
またオープニングに書かれていない事は、自分達が有利になるように解釈してかまいません。
世界観に問題なく、まわりに迷惑を掛けていなければ、採用していこうと思っています。
リプレイ
●リーンエス王国
ジクムントが住む村は、リーンエス王国の辺境にあった。
そこは隊商の行き来もほとんどなく、特別な用事がなければ、近づく事がないような場所であった。
そのため、リーンエス王国に住んでいる者でさえ、村の存在を知らない者がいる程、小さな村だった。
「まさかリーンエス王国の民が、これほどコボルト達の恐怖に晒されているなんて……。レプシウス家の領地ではありませんが、いまの私は授恵者です。このまま見過ごす事など出来るはずがありません。ジクムントさんの気持ちを無駄にしないためにも、コボルト達を退治してしまいましょう」
ダリア・レプシウスが仲間達と共に、ジクムントの村に辿り着いたのは、村人達が戦いの準備を終えた後だった。
ジクムントの話通り、その場にいたのは老人ばかり。
しかも、武器と言えば、農耕具のみ。
それだけでコボルト達と戦う気になっていたため、色々な意味で不安になった。
「やー、これは……何と言うか、マズイっすね! ……と言うか、王国も帝国があったとこの領土を狙う前に、もうちょっと自国領をなんとかして欲しいもんっす」
それを目の当たりにしたカルミーが、気まずい様子で汗を流した。
一言で言えば、死亡フラグと一緒に、二人三脚状態。
ふたりで息を合わせて、死に一直線な感じになっているため、この時点でストップと叫びたくなった。
「もしかすると、コボルトの襲撃がある割に、人の被害が少ないからズルズルときてしまったのだろう。もっと深刻な村はいくらでもあるだろうし、今は帝国との国境沿いの方で色々とあるからな。まあ、今回追い払うのはわけないが……この村は今後大丈夫なのかね」
レギン・アンドヴァリが物思いに耽りながら、村人達に視線を送った。
おそらく、心配しなければならないのは、コボルト達を追い払った後。
最悪の場合は、報復に来る可能性があるため、覚悟をしておく必要があった。
「確かに、元凶を断たない限り、応急措置でしかないですね」
キーゼが村の状況などを把握しつつ、深い溜息を漏らした。
食料も家畜も最低限しかないため、コボルト達に奪われたら、そこで終了。
冬を乗り越える事が出来ず、飢え死にするのがオチだろう。
その事を理解しているため、村人達も必死になっているものの、気持ちだけ先走っており、それに実力が追い付いていないような印象を受けた。
「本当なら、コボルト達に、やめてくれるようお願いして、それでやめてくれたらいいけれど……。そ、それで解決したら、こんな事になってないですよね、多分……」
ラティア・ミゼリアが村人達を見つめ、ションボリと肩を落とした。
既に、村人達は、ヤル気満々。
そのため、コボルト達と和解する気はなく、相手側も同じ考えである可能性が高かった。
「まあ、コボルトにとっては野の獣を狩るのも、村の家畜を奪うのも同じことってことかな。文化の違いなんだろうけど奪われる側にとっては死活問題だし、やむを得ないわね」
ロゼットが何かを悟った様子で、仲間達に対して答えを返した。
それはヒトが獲物を狩るようなモノ。
それがコボルト達にとっては、ヒトと言うだけの話である。
「コボルト達にも何か事情があるのかもしれませんが、やっていることは野盗と変わりありませんからね。村の生活を守るためにも、頑張りましょう、エリック」
ルーカ・ルンガルディエールが気持ちを切り替え、エリック・ハルトマンに声を掛けた。
理由は何であれ、依頼を引き受けた以上、コボルト達は倒すのみ。
「ああ、任せとき!」
その気持ちに応えるようにして、エリックが躊躇う事なく同意した。
「まあ、敵の数は多いが、こちらの戦力は十分だし……問題ないだろう。村に残ってる御年寄り達のためにも、サクッと終わらせてやらないとな」
ケン・Z・ブラッドリーも自分自身に気合を入れ、コボルト達がやってくる方向に設置されたバリケードまで移動した。
それは板や木を何重にも重ね合わせて作られた簡易的なモノだが、ある程度の攻撃であれば防ぐ事が出来そうだった。
「それに、村人達の想いを無駄には出来ません。もう二度と、ここには来たくないって気持ちにさせないと……」
その間に、エヴァン・ピオネロが村人の恰好に扮し、大樹の短杖の軸を半分袖の中に隠すようにして見えづらくした。
(これだけのお金を用意するのは、きっと大変だったに違いありません。それこそ記念の指輪等を手放した人達もいるのでは……)
一方、ダリアは村人達の気持ちを察しつつ、コボルト達に関する情報を集めていた。
コボルト達は木の剣や棍棒などで武装しているものの、防具などは身に着けておらず、問答無用で突っ込んでくるようである。
その分、トラップ等が有効的なようだが、その事が引き金となって、コボルト達が怒り狂い、容赦のない攻撃を仕掛けてくる事もあったらしい。
その事を踏まえた上で、カルミーが超視覚、エリックが超視覚と超聴覚を使い、ルーカは木に登って高いところから捜波や超視覚、サーマルアイ等を駆使して、コボルト達の襲撃に備えた。
「ギャッギャッギャッ!」
次の瞬間、コボルト達が勇ましく雄叫びを響かせ、森の中から姿を現した。
コボルト達は何の迷いもなく得物を振り上げ、殺気立った様子で鳴き声を上げており、その先頭にはヒトと思しき頭の骨を被ったコボルトがいた。
「我こそはリーンエス王国騎士見習いダリア・レプシウス! 村には一歩も入れません!」
それを迎え撃つようにして、ダリアがコボルト達の前に陣取り、シーザーロアを発動させた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
それでも怯む事なく、リーダーと思しきコボルトが吠えた。
まわりにいたコボルト達も一斉に吠え、ヤル気と殺気を漲らせた。
「んじゃ……一狩りいきますか」
すぐさま、ケンがダマスカス鋼の盾を構えたまま、チャージングを仕掛け、コボルト達に突っ込んだ。
それに合わせて、レギンも同じようにチャージングで加速し、真正面からコボルト達に衝撃波を叩き込んだ。
「さーて、やってやんすよ!」
続いて、カルミーが先手必勝と疾風足で斬り込み、ダブルエッジを繰り出し、コボルト達に血の花を咲かせた。
そんな中、キーゼは天眼で辺りの状況を確認しながら、戦術眼でコボルト達の進行ルートを予測した。
どうやら、コボルト達は戦って奪う事しか頭になく、リーダーと思しきコボルト達の指示が無ければ、ケモノにも等しいようだった。
そのため、感情に身を任せて得物を振り回し、後先考えずに攻撃を仕掛けていた。
「数はいても所詮はコボルトか……」
ケンが天眼を用いてまわりにいるコボルト達の位置を把握しつつ、闘気槌で巨大な光塊をダマスカス鋼の大太刀に纏わせ、コボルトめがけて振り下ろした。
「それでも……油断は出来ませんね」
その間に、ルーカが木の上から飛び降り、鋼の祭刀でコボルト達に斬り掛かった。
「ギャッギャッギャギャ!」
だが、コボルト達は全く怯んでおらず、自らの血で顔に化粧を施すと、殺気立った様子で吠え始めた。
「だったら、まとめて相手になってやる! かかってこい!」
そんな空気を察したエリックが、コボルト達を挑発するようにして、わざと大声を上げた。
その挑発に乗ったコボルト達が、狂ったように得物を振り回し、一気に距離を縮めてきた。
「これで閉じ込めるわ。袋叩きにされちゃかなわないからね」
それと同時に、ロゼットが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出し、先頭にいたコボルト達を閉じ込めた。
「さぁ、楽しませてくれよ」
その隙をつくようにして、ケンがダマスカス鋼の盾を構えたまま体当たりを仕掛け、コボルト達の足を狙って薙ぎ払った。
「ふふ……」
そんな中、エヴァンが目の前に光がないまま、病的に化粧を施した顔で、不気味な笑い声を響かせ、コボルト達に迫っていった。
「……!」
それはコボルト達にとって、恐怖そのもの。
エヴァンの演技が上手かった事もあり、コボルト達が本気で警戒しており、あからさまにドン引きしているようだった。
「この戦鎚は痛いわよ! 向かってくるなら容赦しないから!」
その間に、ロゼットが鋼の戦槌を握り締め、コボルトめがけて振り下ろした。
「あは、あははははは……!」
それに合わせて、エヴァンが不気味な笑い声を響かせ、フレイムゲイズを発動させた。
次の瞬間、コボルト達めがけて火球が放たれ、まるで意志があるかの如き勢いで燃え盛り、恐怖心を煽るようにして迫ってきた。
「さすがに、動揺したっすか? でも、休んでいる暇なんてないっすよ」
すぐさま、カルミーがバーストストライクを発動させ、鉄の爪を燃え上がるように眩く輝かせ、近くにいたコボルトの顔を引っ掻いた。
続いて、キーゼが大樹の長杖を槍の如く扱って、近くにいたコボルトを突き飛ばした。
「キィシャアアアアアアアアアアアア!」
しかし、コボルト達は全く怯んでおらず、半ばヤケになれつつ、ルーカに迫ってきた。
「おっと、アブナイで、ルーカ!」
その事に気づいて、エリックが闘気槌で鉄の大剣に巨大な光塊を纏わせ、コボルトめがけて振り下ろした。
ルーカもエリックに守られながら、魔矢で鋼の祭刀の先端から光の矢を飛ばし、コボルト達を牽制した。
「ふふ……ふはははは……」
その間も、エヴァンは不気味な笑い声を響かせながら、ダマスカス鋼の盾を構えて迫り、下からコボルトの顔を覗き込むようにして、怪しくニヤリと笑った。
それだけでコボルトがストンと腰を抜かし、ガタガタと身体を震わせた。
「これで終わりやないで!」
そこに追い打ちをかけるようにして、エリックが破鎧砕を仕掛け、肉体を蝕むエーテルを鉄の大剣に纏わせ、コボルトを斬り捨てた。
だが、コボルト達は仲間が倒れてもまったく気にしておらず、さらにヤル気が増しているようだった。
「大丈夫ですか、エリック? 後ろは私に任せてくださいね♪」
その事に危機感を覚えたルーカがエリックに駆け寄り、ヒールで自らのエーテルを操って、傷を癒す光を撃ち放った。
「ルーカ、後ろはまかせたで!」
その事を感謝しつつ、エリックがルーカと背中合わせになりながら、鉄の大剣をギュッと握り締めた。
「ギャッギャ!」
しかし、コボルト達は殺気立っており、どんなに傷ついても、躊躇いが無かった。
「可愛いカルミーちゃんとお近づきになりたいのはしょうがねっすけどー、お触りは厳禁っす! 当てられるもんなら当ててみるっす!」
その事に気づいたカルミーが、コボルト達を挑発しながら、フェザーステップで間合いを取った。
一方、ダリアは鉄の盾で攻撃を防ぎながら、鋼の大剣を振るって、不可視の衝撃波を放ち、コボルト達を追い詰めていった。
「戦い……楽しいですよね……ほら、大人になれますよ……頑張りましょう」
次の瞬間、エヴァンが魔導の潮流で、自らのエーテルを燃やして、魔力を増幅させ、爆炎2で光の巨弾を放ち、爆風と共に無数の光の礫を飛ばした。
それと同時に、キーゼがメテオライト2で周囲に大量の小さな光弾を出現させ、コボルト達を狙って雨の如く降り注がせた。
それはコボルト達によって、経験した事のない攻撃。
頭で理解する前に、身体が悲鳴を上げてしまったため、何が起こったのかさえ理解できない様子であった。
「皆、コボルトのリーダーよ。あれを倒せば統率を失うわ!」
そんな中、ロゼットが魔矢で光の矢を飛ばし、リーダーと思しきコボルトを攻撃した。
「ギャギャッ!」
その途端、リーダーと思しきコボルトが、素早い身のこなしで光の矢を避けた。
「いざ、尋常に勝負ッ!」
その間に、ダリアが鉄の盾を構えたまま、リーダーと思しきコボルトに突っ込み、鋼の大剣を振り回した。
「他は逃がしても、リーダー格だけは……!」
それに合わせて、レギンが仲間達と連携を取りつつ、リーダーと思しきコボルトの逃げ道を塞いだ。
「ギギギッ!」
リーダーと思しきコボルトが悔しそうに歯を鳴らした。
「……ごめんなさい。でも、ジクムントさん達も困っているから」
ラティアが申し訳なさそうにしながら、リーダーと思しきコボルトを狙って、ハーツベインショットを仕掛けた。
不可視のエーテルを纏った矢は、リーダーと思しきコボルトの肩をかすり、大量の血が大地を染めた。
「そろそろ、いいよな? もう覚悟は出来ているんだろ。だから、その首おいてけやぁぁぁ!!」
次の瞬間、ケンが一気に間合いを詰め、ダマスカス鋼の大太刀で、リーダーと思しきコボルトの首を刎ねた。
それと同時に、リーダーと思しきコボルトの首が舞い、地面にコロコロと転がった。
「ギャギャ」
それを目の当たりにしたコボルト達が、現実を受け入れる事が出来ずにフリーズした。
「さぁて……それじゃ残りも全部根切りにしてこうか」
ケンがダマスカス鋼の大太刀についた血を払い、コボルト達に迫っていった。
「ギャ!」
そこでようやく情報を理解したのか、コボルト達がジリジリと後ずさった。
「まさか、これで終わりか? あんたらの覚悟は、そんなものか? だったら、情けねぇな!」
その間に、レギンがコボルト達を挑発しながら、鋼の斧をブン回した。
「それとも、虐げ過ぎて……村人が狂った……と記憶しましたか? 覚えないと倒しますよ」
そこに追い打ちを掛けるようにして、エヴァンが一気に距離を縮めていった。
「ギャッギャッ!」
その途端、コボルト達が一斉に背を向け、脱兎の如く逃げ出した。
「おいおい、今更逃げるなよ」
その事に気づいたケンが、シーザーロアを使って、コボルトの行く手を阻もうとした。
「……放っておきましょう。あれだけ怯えているのですから、報復など考えないでしょう。おそらく、そこに転がっているコボルトが一番強かったと思いますし……」
すぐさま、キーゼがケンに声を掛け、リーダーと思しきコボルトに視線を落とした。
万が一、コボルト達が報復しようとしたとしても、今までのように上手く行かないだろう。
それよりも、新たなリーダーを決めるため、内輪揉めが起こってもおかしくないような状況になりそうだ。
「本当に……いいんですか?」
ラティアが驚いた様子で、仲間達に対して問いかけた。
「まあ、あれだけ痛い目を見たら、当分は襲ってこないでしょう」
ロゼットがホッとした様子で、鋼の戦槌を地面に置いた。
だが、大変なのは、これから。
村に若い人達が帰ってくる可能性が低いため、しばらくの間は辛い日々が続く事だろう。
それでも、コボルト達が攻め込んでくる心配が無いため、以前よりも幸せな日々を送る事が出来そうだ。
そして、ロゼット達はコボルト達の死体を片付けた後、ジクムント達に別れを告げ、村を後にするのであった。
ジクムントが住む村は、リーンエス王国の辺境にあった。
そこは隊商の行き来もほとんどなく、特別な用事がなければ、近づく事がないような場所であった。
そのため、リーンエス王国に住んでいる者でさえ、村の存在を知らない者がいる程、小さな村だった。
「まさかリーンエス王国の民が、これほどコボルト達の恐怖に晒されているなんて……。レプシウス家の領地ではありませんが、いまの私は授恵者です。このまま見過ごす事など出来るはずがありません。ジクムントさんの気持ちを無駄にしないためにも、コボルト達を退治してしまいましょう」
ダリア・レプシウスが仲間達と共に、ジクムントの村に辿り着いたのは、村人達が戦いの準備を終えた後だった。
ジクムントの話通り、その場にいたのは老人ばかり。
しかも、武器と言えば、農耕具のみ。
それだけでコボルト達と戦う気になっていたため、色々な意味で不安になった。
「やー、これは……何と言うか、マズイっすね! ……と言うか、王国も帝国があったとこの領土を狙う前に、もうちょっと自国領をなんとかして欲しいもんっす」
それを目の当たりにしたカルミーが、気まずい様子で汗を流した。
一言で言えば、死亡フラグと一緒に、二人三脚状態。
ふたりで息を合わせて、死に一直線な感じになっているため、この時点でストップと叫びたくなった。
「もしかすると、コボルトの襲撃がある割に、人の被害が少ないからズルズルときてしまったのだろう。もっと深刻な村はいくらでもあるだろうし、今は帝国との国境沿いの方で色々とあるからな。まあ、今回追い払うのはわけないが……この村は今後大丈夫なのかね」
レギン・アンドヴァリが物思いに耽りながら、村人達に視線を送った。
おそらく、心配しなければならないのは、コボルト達を追い払った後。
最悪の場合は、報復に来る可能性があるため、覚悟をしておく必要があった。
「確かに、元凶を断たない限り、応急措置でしかないですね」
キーゼが村の状況などを把握しつつ、深い溜息を漏らした。
食料も家畜も最低限しかないため、コボルト達に奪われたら、そこで終了。
冬を乗り越える事が出来ず、飢え死にするのがオチだろう。
その事を理解しているため、村人達も必死になっているものの、気持ちだけ先走っており、それに実力が追い付いていないような印象を受けた。
「本当なら、コボルト達に、やめてくれるようお願いして、それでやめてくれたらいいけれど……。そ、それで解決したら、こんな事になってないですよね、多分……」
ラティア・ミゼリアが村人達を見つめ、ションボリと肩を落とした。
既に、村人達は、ヤル気満々。
そのため、コボルト達と和解する気はなく、相手側も同じ考えである可能性が高かった。
「まあ、コボルトにとっては野の獣を狩るのも、村の家畜を奪うのも同じことってことかな。文化の違いなんだろうけど奪われる側にとっては死活問題だし、やむを得ないわね」
ロゼットが何かを悟った様子で、仲間達に対して答えを返した。
それはヒトが獲物を狩るようなモノ。
それがコボルト達にとっては、ヒトと言うだけの話である。
「コボルト達にも何か事情があるのかもしれませんが、やっていることは野盗と変わりありませんからね。村の生活を守るためにも、頑張りましょう、エリック」
ルーカ・ルンガルディエールが気持ちを切り替え、エリック・ハルトマンに声を掛けた。
理由は何であれ、依頼を引き受けた以上、コボルト達は倒すのみ。
「ああ、任せとき!」
その気持ちに応えるようにして、エリックが躊躇う事なく同意した。
「まあ、敵の数は多いが、こちらの戦力は十分だし……問題ないだろう。村に残ってる御年寄り達のためにも、サクッと終わらせてやらないとな」
ケン・Z・ブラッドリーも自分自身に気合を入れ、コボルト達がやってくる方向に設置されたバリケードまで移動した。
それは板や木を何重にも重ね合わせて作られた簡易的なモノだが、ある程度の攻撃であれば防ぐ事が出来そうだった。
「それに、村人達の想いを無駄には出来ません。もう二度と、ここには来たくないって気持ちにさせないと……」
その間に、エヴァン・ピオネロが村人の恰好に扮し、大樹の短杖の軸を半分袖の中に隠すようにして見えづらくした。
(これだけのお金を用意するのは、きっと大変だったに違いありません。それこそ記念の指輪等を手放した人達もいるのでは……)
一方、ダリアは村人達の気持ちを察しつつ、コボルト達に関する情報を集めていた。
コボルト達は木の剣や棍棒などで武装しているものの、防具などは身に着けておらず、問答無用で突っ込んでくるようである。
その分、トラップ等が有効的なようだが、その事が引き金となって、コボルト達が怒り狂い、容赦のない攻撃を仕掛けてくる事もあったらしい。
その事を踏まえた上で、カルミーが超視覚、エリックが超視覚と超聴覚を使い、ルーカは木に登って高いところから捜波や超視覚、サーマルアイ等を駆使して、コボルト達の襲撃に備えた。
「ギャッギャッギャッ!」
次の瞬間、コボルト達が勇ましく雄叫びを響かせ、森の中から姿を現した。
コボルト達は何の迷いもなく得物を振り上げ、殺気立った様子で鳴き声を上げており、その先頭にはヒトと思しき頭の骨を被ったコボルトがいた。
「我こそはリーンエス王国騎士見習いダリア・レプシウス! 村には一歩も入れません!」
それを迎え撃つようにして、ダリアがコボルト達の前に陣取り、シーザーロアを発動させた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァ!」
それでも怯む事なく、リーダーと思しきコボルトが吠えた。
まわりにいたコボルト達も一斉に吠え、ヤル気と殺気を漲らせた。
「んじゃ……一狩りいきますか」
すぐさま、ケンがダマスカス鋼の盾を構えたまま、チャージングを仕掛け、コボルト達に突っ込んだ。
それに合わせて、レギンも同じようにチャージングで加速し、真正面からコボルト達に衝撃波を叩き込んだ。
「さーて、やってやんすよ!」
続いて、カルミーが先手必勝と疾風足で斬り込み、ダブルエッジを繰り出し、コボルト達に血の花を咲かせた。
そんな中、キーゼは天眼で辺りの状況を確認しながら、戦術眼でコボルト達の進行ルートを予測した。
どうやら、コボルト達は戦って奪う事しか頭になく、リーダーと思しきコボルト達の指示が無ければ、ケモノにも等しいようだった。
そのため、感情に身を任せて得物を振り回し、後先考えずに攻撃を仕掛けていた。
「数はいても所詮はコボルトか……」
ケンが天眼を用いてまわりにいるコボルト達の位置を把握しつつ、闘気槌で巨大な光塊をダマスカス鋼の大太刀に纏わせ、コボルトめがけて振り下ろした。
「それでも……油断は出来ませんね」
その間に、ルーカが木の上から飛び降り、鋼の祭刀でコボルト達に斬り掛かった。
「ギャッギャッギャギャ!」
だが、コボルト達は全く怯んでおらず、自らの血で顔に化粧を施すと、殺気立った様子で吠え始めた。
「だったら、まとめて相手になってやる! かかってこい!」
そんな空気を察したエリックが、コボルト達を挑発するようにして、わざと大声を上げた。
その挑発に乗ったコボルト達が、狂ったように得物を振り回し、一気に距離を縮めてきた。
「これで閉じ込めるわ。袋叩きにされちゃかなわないからね」
それと同時に、ロゼットが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出し、先頭にいたコボルト達を閉じ込めた。
「さぁ、楽しませてくれよ」
その隙をつくようにして、ケンがダマスカス鋼の盾を構えたまま体当たりを仕掛け、コボルト達の足を狙って薙ぎ払った。
「ふふ……」
そんな中、エヴァンが目の前に光がないまま、病的に化粧を施した顔で、不気味な笑い声を響かせ、コボルト達に迫っていった。
「……!」
それはコボルト達にとって、恐怖そのもの。
エヴァンの演技が上手かった事もあり、コボルト達が本気で警戒しており、あからさまにドン引きしているようだった。
「この戦鎚は痛いわよ! 向かってくるなら容赦しないから!」
その間に、ロゼットが鋼の戦槌を握り締め、コボルトめがけて振り下ろした。
「あは、あははははは……!」
それに合わせて、エヴァンが不気味な笑い声を響かせ、フレイムゲイズを発動させた。
次の瞬間、コボルト達めがけて火球が放たれ、まるで意志があるかの如き勢いで燃え盛り、恐怖心を煽るようにして迫ってきた。
「さすがに、動揺したっすか? でも、休んでいる暇なんてないっすよ」
すぐさま、カルミーがバーストストライクを発動させ、鉄の爪を燃え上がるように眩く輝かせ、近くにいたコボルトの顔を引っ掻いた。
続いて、キーゼが大樹の長杖を槍の如く扱って、近くにいたコボルトを突き飛ばした。
「キィシャアアアアアアアアアアアア!」
しかし、コボルト達は全く怯んでおらず、半ばヤケになれつつ、ルーカに迫ってきた。
「おっと、アブナイで、ルーカ!」
その事に気づいて、エリックが闘気槌で鉄の大剣に巨大な光塊を纏わせ、コボルトめがけて振り下ろした。
ルーカもエリックに守られながら、魔矢で鋼の祭刀の先端から光の矢を飛ばし、コボルト達を牽制した。
「ふふ……ふはははは……」
その間も、エヴァンは不気味な笑い声を響かせながら、ダマスカス鋼の盾を構えて迫り、下からコボルトの顔を覗き込むようにして、怪しくニヤリと笑った。
それだけでコボルトがストンと腰を抜かし、ガタガタと身体を震わせた。
「これで終わりやないで!」
そこに追い打ちをかけるようにして、エリックが破鎧砕を仕掛け、肉体を蝕むエーテルを鉄の大剣に纏わせ、コボルトを斬り捨てた。
だが、コボルト達は仲間が倒れてもまったく気にしておらず、さらにヤル気が増しているようだった。
「大丈夫ですか、エリック? 後ろは私に任せてくださいね♪」
その事に危機感を覚えたルーカがエリックに駆け寄り、ヒールで自らのエーテルを操って、傷を癒す光を撃ち放った。
「ルーカ、後ろはまかせたで!」
その事を感謝しつつ、エリックがルーカと背中合わせになりながら、鉄の大剣をギュッと握り締めた。
「ギャッギャ!」
しかし、コボルト達は殺気立っており、どんなに傷ついても、躊躇いが無かった。
「可愛いカルミーちゃんとお近づきになりたいのはしょうがねっすけどー、お触りは厳禁っす! 当てられるもんなら当ててみるっす!」
その事に気づいたカルミーが、コボルト達を挑発しながら、フェザーステップで間合いを取った。
一方、ダリアは鉄の盾で攻撃を防ぎながら、鋼の大剣を振るって、不可視の衝撃波を放ち、コボルト達を追い詰めていった。
「戦い……楽しいですよね……ほら、大人になれますよ……頑張りましょう」
次の瞬間、エヴァンが魔導の潮流で、自らのエーテルを燃やして、魔力を増幅させ、爆炎2で光の巨弾を放ち、爆風と共に無数の光の礫を飛ばした。
それと同時に、キーゼがメテオライト2で周囲に大量の小さな光弾を出現させ、コボルト達を狙って雨の如く降り注がせた。
それはコボルト達によって、経験した事のない攻撃。
頭で理解する前に、身体が悲鳴を上げてしまったため、何が起こったのかさえ理解できない様子であった。
「皆、コボルトのリーダーよ。あれを倒せば統率を失うわ!」
そんな中、ロゼットが魔矢で光の矢を飛ばし、リーダーと思しきコボルトを攻撃した。
「ギャギャッ!」
その途端、リーダーと思しきコボルトが、素早い身のこなしで光の矢を避けた。
「いざ、尋常に勝負ッ!」
その間に、ダリアが鉄の盾を構えたまま、リーダーと思しきコボルトに突っ込み、鋼の大剣を振り回した。
「他は逃がしても、リーダー格だけは……!」
それに合わせて、レギンが仲間達と連携を取りつつ、リーダーと思しきコボルトの逃げ道を塞いだ。
「ギギギッ!」
リーダーと思しきコボルトが悔しそうに歯を鳴らした。
「……ごめんなさい。でも、ジクムントさん達も困っているから」
ラティアが申し訳なさそうにしながら、リーダーと思しきコボルトを狙って、ハーツベインショットを仕掛けた。
不可視のエーテルを纏った矢は、リーダーと思しきコボルトの肩をかすり、大量の血が大地を染めた。
「そろそろ、いいよな? もう覚悟は出来ているんだろ。だから、その首おいてけやぁぁぁ!!」
次の瞬間、ケンが一気に間合いを詰め、ダマスカス鋼の大太刀で、リーダーと思しきコボルトの首を刎ねた。
それと同時に、リーダーと思しきコボルトの首が舞い、地面にコロコロと転がった。
「ギャギャ」
それを目の当たりにしたコボルト達が、現実を受け入れる事が出来ずにフリーズした。
「さぁて……それじゃ残りも全部根切りにしてこうか」
ケンがダマスカス鋼の大太刀についた血を払い、コボルト達に迫っていった。
「ギャ!」
そこでようやく情報を理解したのか、コボルト達がジリジリと後ずさった。
「まさか、これで終わりか? あんたらの覚悟は、そんなものか? だったら、情けねぇな!」
その間に、レギンがコボルト達を挑発しながら、鋼の斧をブン回した。
「それとも、虐げ過ぎて……村人が狂った……と記憶しましたか? 覚えないと倒しますよ」
そこに追い打ちを掛けるようにして、エヴァンが一気に距離を縮めていった。
「ギャッギャッ!」
その途端、コボルト達が一斉に背を向け、脱兎の如く逃げ出した。
「おいおい、今更逃げるなよ」
その事に気づいたケンが、シーザーロアを使って、コボルトの行く手を阻もうとした。
「……放っておきましょう。あれだけ怯えているのですから、報復など考えないでしょう。おそらく、そこに転がっているコボルトが一番強かったと思いますし……」
すぐさま、キーゼがケンに声を掛け、リーダーと思しきコボルトに視線を落とした。
万が一、コボルト達が報復しようとしたとしても、今までのように上手く行かないだろう。
それよりも、新たなリーダーを決めるため、内輪揉めが起こってもおかしくないような状況になりそうだ。
「本当に……いいんですか?」
ラティアが驚いた様子で、仲間達に対して問いかけた。
「まあ、あれだけ痛い目を見たら、当分は襲ってこないでしょう」
ロゼットがホッとした様子で、鋼の戦槌を地面に置いた。
だが、大変なのは、これから。
村に若い人達が帰ってくる可能性が低いため、しばらくの間は辛い日々が続く事だろう。
それでも、コボルト達が攻め込んでくる心配が無いため、以前よりも幸せな日々を送る事が出来そうだ。
そして、ロゼット達はコボルト達の死体を片付けた後、ジクムント達に別れを告げ、村を後にするのであった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
今回は文字数の都合上、大幅にカットした部分も、評価に加えてあります。
ショートシナリオ普通 報酬:標準10 / 4〜10人
2021年01月20日 11時42分33秒 公開
大成功
相談掲示板
キャスターの…エヴァン・ピオネロです。…よろしくお願いします。 何も考えず狩る…は出来ないですが、格好良く… …格好良くは…何とか…なるかな? 頑張りますね…!
ヒーラーのロゼット、よろしくね。 万一、怪我人が出ても癒しは用意しておくわ。 ひと仕事、頑張りましょう。
キーゼと申します。 まあ、後ろからちまちま狙いますか。無理に前に出る必要もなさそうですからね
ウォーリアのレギン・アンドヴァリだ。 よろしく頼む。 私は適当に突っ込んで蹴散らす感じかなー。
シュ……シューターのラティア・ミゼリアです、よろしくお願いします……。 エヴァンさんはお久しぶりです……。 キーゼさんと同じく、後方からちまちま……という感じになると思います。その……前に出るのが怖いので……
エリック・ハルトマンだよ。クラスはウォーリアだ、よろしく。
ウォーリアのダリア・レプシウスと申します。 よろしくお願いいたします。
カルミーっす! よろしくっす! 移動力とフェザーステップを活かして範囲攻撃に巻き込めなそーな孤立してるのを中心に仕留めていくつもりっす。
シーフのルーカで御座います
ウォーリアーのケンだ 今回はよろしくな 俺は突っ込んでく感じかな 敵の数は多いが・・・ま、この戦力なら問題ないだろう 数が多いし殺界でまとめて仕留める感じになるかな