休息地を斬り壊す剣刃

霧柄頼道

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シナリオID:472

オープニング

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 リーンエス王国南東に広がるイグノ砂漠は、砂塵吹き抜ける過酷な地として知られている。
 乾燥した空気、肌を焼く暑さ。砂漠気候ゆえ、冬においてもその温暖さにはいささかの陰りもなく、足を踏み入れる者を容赦なく責め苛む。
 けれど一面が一面、砂や砂丘だけで構成されているわけではない。中には砂漠の民が住まう村があったり、日光を遮る天然の洞窟があったり、身体を休める場所もそれなりに点在するのだ。
 そしてこのオアシスもまたその一つ。砂漠を通過する者達にとってなくてはならない、中継地の一つである。
 砂地にできた窪みにたっぷりと溜まった水。周囲にはわずかながら緑が繁茂し、美味しそうな実をつけたヤシの木も生えている。
 そこを、ラクダに乗った一人の男が訪れた。オアシスにはちょうど、何人かの砂漠の民が集まっており、彼に目を留めるなり気安く声をかける。
「あんたか、お勤めご苦労さん」
 いえいえ、とにこやかな笑みを浮かべる彼は、ゴールディとリーンエスを行き来する専門の御用商人のようなもので、ラクダにはさまざま交易品が満載されており、輸送ルート近くに住まう砂漠の民とも顔見知りなのだ。
 砂漠の民達も、このオアシスを旅人や商人に安全に使ってもらえるよう、外敵に備えて警備したり、清掃や手入れなど、機能が失われないよう管理しているのである。
「それにしてもみなさん、いつもより物々しいご様子ですね」
 商人が怪訝そうに尋ねた。普段は軽装で動く砂漠の民達だが、今回はまるで、あらかじめ戦闘を想定しているかのように、多くの装備で身を固めている。
 さらに近くには建造途中と思われる骨組みがあり、ハンマーを握った数人が何やら大工仕事をしているようだ。
「何かと物騒なご時世だからな。より遠くまで警戒できるよう、見張り台を建設中なんだ」
「ほほう、なるほど……」
「しかもこの頃、近くで凶暴なクリーパーの目撃情報があってな。そちらへも対処するため、人数を増やして巡回している」
 それはそれは、と商人が恐ろしげにぶるりと身を震わせた矢先だった。
「おい! 何かいるぞ!」
 見張りに立っていた砂漠の民が声を上げる。振り向いた砂丘の向こうから、奇怪な風体の人型が姿を見せるのが窺えた。
 頭部はなく、胴体は石板を思わせる硬質な白さ。
 その四肢は何枚もの剣の刃を重ねて束ねたような鋭い体組織で構成され、尖った足先で一歩一歩と砂地を突き刺しては、こちらへ近づいて来るではないか。
「ありゃあ……例の奴だ! あんたは逃げろ、ここは俺達が!」
 仰天して腰を抜かしかける商人だが、砂漠の民らに促され、慌ててラクダを走らせて逃げ出す。
 背後では戦闘が始まっているが、ちらりと振り返った限り、どうにも劣勢に見える。
 熱砂の大地でたくましく生きる彼らでさえ、苦戦する程の相手なのだ。
 けれど今の商人にできる事は、ただひたすら戦地を離れる事だけだった――。

●
「……その後、果たしてどうなったのか気になった私は、旅程を少し変更し、彼らの村へと立ち寄る事にしたのです」
 冒険者ギルドを訪れたその商人は、冒険者達へ事の経緯を語っていた。
「戦いは砂漠の民の敗北に終わり、死者こそ出なかったものの、多数の重傷者がベッドの上へ横たわる羽目となりました。これでは再びクリーパー退治に出向く事は、少なくとも近日中には無理でしょう」
 クリーパーはそのままオアシスにとどまり、己の縄張りとしてしまっているという。
 このまま放置しておけば、過酷な砂漠を渡るための貴重な中継点が一つ、使えなくなってしまう。それどころか通りかかった者が、クリーパーに襲われる危険性もあった。
「あのオアシスが使えなくなると、私を含めた大勢が困ります。事が大きくなる前に、ぜひとも冒険者のみなさんのお力で、クリーパーを討伐していただきたいのです!」
 加えて、負傷者多数により人手が減ってしまったため、見張り台の工事にも遅れが生じてしまっている。
「こちらは報酬を割り増しするので、できれば手伝っていただければと……」
 これは砂漠の民達からの依頼でもあるという。
 施工のための木材やロープは彼らが輸送してくれるため、材料には困らない。作業はもっぱら釘を叩いての組み立てといった、力仕事になる。
「彼らの無念も込めて、ぜひあの恐ろしいクリーパーを倒し、オアシスの平和を取り戻していただきたい……!」

解説

●勝利条件  クリーパーの討伐 ●中型クリーパー×一  分厚い石板から大量の刃が生えたような、人型のクリーパーです。攻撃は全て物理属性。  近距離では四肢である両刃の剣身を振り回し、強烈な斬撃や刺突を放ちます。  左腕の剣は威力は低いものの延々と毒が分泌されており、斬られると毒状態にされます。  右腕の剣には毒は含まれていませんが、命中率や威力、防御性能が高いです。  遠距離の敵へは剣圧を飛ばし、複数をまとめて攻撃します。命中率は高いですが威力は控えめ。  生命力が半分程度を切ると全身が赤熱し、全ての能力がほどほどにアップします。  両腕の剣へ何度も攻撃を加えると損傷し、各種性能がダウンします。  目や鼻、耳はありませんが、第六感的な超感覚で、付近にいる敵のおおまかな位置を把握します。 ●場所  イグノ砂漠にあるオアシスの一つ。砂漠の民達による建造途中の見張り台があります。  周辺は砂丘が少ないため見晴らしが良く、オアシスの規模もささやかながら緑が多いです。  特別なものはありませんがオアシスの水は感動的なまでに美味しく、ヤシの実も絶品の味が自慢で、喉を潤しがてらに人々の交流や、商談のため定期的にバザーが開かれる事もあります。 ●状況  クリーパーは日がな一日オアシスをうろついており、逃げも隠れもしないため、現地へ到着次第開戦となるでしょう。

マスターより

 霧柄頼道です。よろしくお願いします。  クリーパーとの戦いを制した後は、せっかくですのでオアシスでゆっくり疲れを癒していくのもいいですね!

リプレイ

●
「イグノ~砂漠を~は~る~ば~ると~♪」
 アルマ・ヴァレンタインが砂地をてくてくと歩き、日差しにも負けじと元気に歌う。
 大陸の季節は冬真っ只中だというのに、砂漠気候というだけあって一帯は非常に暑い。
「いちおう塩分になりそうなのと水分は持ってきたから、必要なら言ってねー?」
 もしも作戦が失敗し、オアシスが使えなくなるような事態に陥ろうものなら、渡りきる前に干物になりかねないだろう。
「オアシスに関わる人達には死活問題になるクリーパーか。確かに迷惑だな」
 クー=ウィッシュも人々を救うため、表情にあまり変化はないものの、やる気を見せている。
「困っても自分ではお金を出したがらない人が多い中、友人でもある砂漠の民のために冒険者を雇い入れるなんて……素晴らしい心意気です、感服いたしました!」
 極端な話、オアシスが一つ使えなくなろうが、対処は砂漠の民に全て押し付けたり、別のルートを開拓すればいいだけの事。
 にも関わらずわざわざ己の懐を痛め、ギルドにまで足を運び、依頼を寄せてきた。
 コーデリア・コンクエストはこれら一連の行為に、確かな義理人情を感じている。
「王国の貴族的にも海賊的にも非常にありです、燃えてきました!」
 やがて一行は、目的のオアシスへと辿り着く――正確には、オアシスを見下ろす高い砂丘の一つへ出た、という具合だ。
 水は澄み渡り、緑も目に優しく、心なしか風も穏やかで、気持ちが安らぐ景色である。
「いやぁ、オアシスですって! 綺麗なところですねぇ」
 シャーデンフロイドがさも心打ち震えたかのように両腕を広げ――小声で、クリーパーさんがいなければ、と付け足した。
「……すでに我が物顔でうろついているようだな」
 身を伏せて気配を消したセリオス・オーガストが、反対方向にある砂丘付近でクリーパーの姿を遠目に確認し、すぐに仲間達へ位置を伝達する。
「……見るからに痛そうな形してるじゃないですかぁ! えーん。怖い。誰か助けてっ」
 シャーデンフロイドが、いかにも大げさな身振りで泣き真似し。
「――あ、助けるのワタシたちか……」
 ふと我に返ったみたいに呟くや、てへっと自分の頭をこつんと小突く。
(近づけば毒や剣撃、遠ければ剣圧ですか……)
 クリーパーの様子を観察し、グレイブ・ヤードが呟く。
「なるほど、物体の破壊という意味では適切な能力かもしれませんね」
 気を付けるべきは敵の動き。建設途中の見張り台がバラバラにされては、砂漠の民達の労苦が水の泡となる。
「それなりの重量と硬さを備えているでしょうし、ただの火力頼みでは長引きそうです」
 Alexandra・Hexe・Claudiaもまた、正面から挑みかかるだけでは苦戦は免れない、と分析していた。
 短期決戦を望むなら、地の利を活かす戦略を駆使したい所である。
「あちいな……全く、こンな所にいる金属モドキなんざあんま触りたくねえぜ」
 さっさと終わらせちまおう、とアーテミシアが斧を手に歩き出す。
 目の前にオアシスがあるとはいえこの酷暑。長期戦になれば熱中症や脱水症状までがこちらを苦しめる可能性だって捨てきれないのだ。
 今回は撃破を急ぐべき。目標を胸に、冒険者達は丘を下り始める――!

●
「話には聞いてたけどホントに板から剣が生えてる? ような感じー……あれは食べられそうもないや、残念」
 アルマは味方がまとまっている範囲へ向けて、レゾナンス・オブ・ヴァローを発動する。
「見た目もアレだし、何が飛び出してくるか分からないから注意してね?」
 するとどうだろう。淡い光に包まれた前衛をはじめとして、一気にその動きが軽快になったではないか。
 傾斜や柔らかい砂に足を取られる事もなく、むしろ威勢よく蹴散らし、みるみるクリーパーへと距離を縮めていく――。
 敵はまだこちらに気付いていない。各自それぞれの立ち位置へ向かいつつ、一旦待機。
 まずはAlexandraが遠巻きから、魔力を解き放つ。
 クリーパーを中心として星粒めいた眩い光輝が発生し、それらは竜巻を思わせるかの如く収束していき――。
「高所から引きずり下ろすとしましょう」
 呟くと同時、高まるエーテルが臨界に達する!
 にわかに足元の砂地が爆ぜるや、凄まじい爆風が巻き上がってクリーパーを襲う。
 クリーパーは巻き上がる砂塵と一緒くたに中空へ吹き飛ばされ、数度縦回転した後に下方へと転がり落ちた。冒険者達の近くに移動させられた格好である。
 この機を逃さじ、と突き進む前衛達の背を、セリオスは見送るように足を止めた。
 Alexandraの一撃で、射程圏内にクリーパーが入ったのである。
 自身は高所にとどまるゆえ、味方の動きで変化する射線を気にする必要もない。
「……その左腕をもらおうか」
 敵の左腕はさながら連なった峰々が如く、刃じみた体組織で構成され、毒が分泌されている。
 そこをめがけ、光を宿した一射を放つ。
 バスターアローは苛烈なる日光を浴びながら、狙い過たずクリーパーの左腕へ突き刺さり、奴の体躯もろとも揺るがすや、大きく後ろへのけぞらせた。
 クリーパーが身構える頃にはしかし、クーが声とともにシーザーロアを見舞い、自身へと向き直らせる。
「かかって来い。えーと……なんか固そうなの」
 クーにとって、この刃の生えた石板ぽいクリーパーは初めて見るタイプだった。
 この前戦ったゾンビクリーパーなどは、ヤコブの改造物という事情もあってか例外に置くとしても、経験上こういう相手は癖が強く、油断できない。
「戦いというものは、最初の一撃が肝心です!」
 コーデリアがチャージングで急接近し、踏み込みながら斧を振り上げる。
 かざした斧は燦々とした太陽にも負けず劣らず光り輝き――気合一声、腰のひねりと遠心力を加えた猛打を叩きつけた!
 クリーパーの左腕が衝撃音をかき鳴らしながら跳ね上がり、パラパラと破片ぽい体組織を散らしつつ、その表面にうっすらとヒビが入る。
「3発でキメてやるぜ……!」
 アーテミシアが左方から突進し、エーテルをまとわせた斧を猛然と振り下ろす。
 うなりを上げる一撃は、刃と刃が組み合わさった関節じみた部位を打ち抜く。
 金属同士が衝突するや否や、重い轟音が乾いた風に乗って駆け抜け、敵の左腕に刻まれたヒビが一層広がった。
「このオアシスは、言うなれば希望です」
 グレイブが堅甲2を用い、前で戦う味方の防御能力を引き上げていく。
「水と緑と建物――砂漠の民達が今日まで作り上げた、人々のための場所……守らなければいけませんね」
 とはいえ、一度に三人ものウォーリアへ魔法をかけるのは無理だ。よってまずは、敵を挑発しているクーを優先する。
 粛々と杖を振るえば、クーの全身鎧が淡い光を放ち、その堅牢さに拍車をかける。
 直後、敵が空を裂かんばかりの、強烈な剣圧を飛ばして来た。
 受け止める前衛達は、敵をさらに低い位置まで誘導するため、あえて攻勢に押されているふりをする。
「おやおや、暴れん坊さんなことで……とはいえ痛いのは苦手ですからね」
 セリオスと同じく、後方に陣取ったシャーデンフロイドが杖を掲げ、狙いを定めた。
 引き付けるという行為はすなわち、追撃されているも同義。
 ならば前衛らの負担を少しでも軽減するため、連携して援護射撃だ。
「――煙に巻かせていただきましょう!」
 勢いよく魔霞をぶっ放し、頭部の石板部分へ浴びせかけた。
 敵はうっとうしいとでもいうように剣を振り回したが、挙動は明らかに精彩を欠いている。
 冒険者達は慎重かつ大胆に立ち回り、クリーパーをさらなる低地へと誘引していく――。

●
 しばし経過し、こちらも相応の被害を受けはしたものの、どうにか敵を砂丘の下側へと誘き寄せる事ができていた。
「だいぶ近づいて来たな」
 近距離の方が弓は当てやすく、おまけにセリオスは敵のほとんど真上を取っている。
「――おかげで狙いやすい」
 エーテル光きらめく矢が、地表へ衝突する星の如く空間を突っ走り――クリーパーの左腕へと着弾。
 くしくも命中箇所は、これまで味方が次々と攻撃を食らわせ、もっとも深くヒビの入っていた部位。
 盛大な壊音を響かせ、ガラスが割れるように左腕が半ばから砕け散る。
 武器の一つは損傷させた……が、それまでに毒液を帯びた斬撃を受けていたために、クーの顔色が悪くなっている。
「痛いのと悪いのとんでけーっ」
 アルマが元気づけるように声をかけながら、光の籠もった指先をくるりと回し、クーを指すと同時にその光を分け与える。
 光は体内の抵抗力を瞬間的に高め、巡る毒を駆逐し、治癒していく。
 敵の攻勢は強烈で、アルマはこうして忙しく回復魔法を連発し、戦線を支えていた。
 グレイブも持ち場を維持しつつ、適宜仲間へヒールを送って治していたが――。
 矢先、クリーパーがこちらを向き、見覚えのある構えをしているのが視野の端に移る。
「いけませんね……あなたが見るべきは目の前の3人でしょう?」
 軌道上と予測される前方の空間へ、とっさに六角形の光の柱を展開。
 一秒後には剣圧が放たれたものの、出現した光柱が傷つきながらも防ぎ、後衛への被害を逸らしてのけた。
「みなさん、畳みかけましょう」
 敵の側面へ回り込んだAlexandraが細い腕を上げ、金の双眸越しに狙い澄ます。
「――これより、その契機を作ります……」
 途端、指先から激しい水流が迸る。
 激流は砂を巻き込みながら速度を増し、クリーパーを目指して一直線に突貫。
 足元をすくいあげて押し出すみたいにして、砂丘の狭間にできた窪地へと落とし込んでのけた。
「次はその右腕……砕かせていただきます!」
 すかさずコーデリアが坂を駆け下り、途上から砂を蹴り上げるように跳躍する。
 敵の右腕に向けて、落下速度をも乗せた会心の一撃をぶち込む。派手な火花と衝撃が飛散した。
 それまでは下がらざるを得なかったクーも、反転しながら大剣を突き入れる。
「作戦成功。ここから反撃開始だ」
 石板と刃の間にギチギチと捩じ込み、てこの原理で分離させにかかった。
 アーテミシアが敵の足を狙い、低い姿勢から斧を真横へ薙いだ。
 満身込めた膂力も合わさり、爽快な手応えとともにみっしりとヒビが入っていく。
「こンな足場で足の長さが変わっちゃ、上手いこと歩けねえだろうがよ?」
 敵は窪地から脱出しにかかるが、一朝一夕に逃げられるものではない。
 その上周囲に、エーテルで構築された光り輝く球状の存在が発生したではないか。
「残念、アナタはもうそこから出られませーん!」
 シャーデンフロイドがおどけて言った直後、光は敵へ纏わりつき、移動を阻害する。
 敵が束縛を破ろうと抗う度、どこか悲鳴じみた、金属が軋む音を立てた――。

●
 冒険者達は安定してダメージを与え続ける。
 たたらを踏むクリーパーの全身が、やおら火を噴くかのように赤熱した。
 増大する威圧感と圧迫感。しかしすでに奴の両腕と片足は破損し、加えて窪地へ追い込まれた状態では、そのポテンシャルを十全に発揮する事は難しいはずだ。
「ふむ、目も耳もないのにどこをどうやってこちらを認識してるのだろうな。ある意味興味深いが」
 謎は尽きないが、セリオスはここからが本番と気を引き締める。
 矢を引き絞り、弓弦を鳴らせば、空気を裂く美しい音色を奏でて敵の胴体を穿つ。
 続いてアルマも魔矢を撃ち放つ。エーテルの矢が突き刺さった瞬間、ビシィッと音を立て、石板みたいな胴体に放射状の亀裂が広がった。
 クリーパーがボロボロの剣刃を振りかぶる。ここで味方が倒れられたら、そのまま敵へ流れが傾きかねない。
 だからグレイブは素早く杖を振り、癒しの力を秘めた光球を前衛へ送り込む。
 クーは背中でその回復を受けつつ、変わらず攻撃を引き受け続ける。
 隙を見てオアシスの水をかけてみたが、周囲に蒸気が上がるのみで、さほど敵の妨害には寄与しなかった風だ。
 そうしてコーデリアが直進し、真っ向から斧を叩き込んだ。
 力任せの分厚い刃が胴体を食い進み、奴の体躯がぐらつく。
 これでもかと押し込みながら振り抜けば、石板の身体は掘削されたみたいにズタズタとなり、もはや見る影もなくなっていた。
「オレらが倒れるか、テメエが先にくたばるか……」
 コーデリアと入れ替わりにアーテミシアが突っ走り、クリーパーへと打ちかかる。
「――ここで白黒つけてやらあ!」
 豪速で振り上げた斧を、兜割りにぶちかます。
 直撃を受け、めしゃめしゃと圧壊していく胴体。
 ついに真っ二つに割れると同時、アーテミシアの周りを無数の破片が飛び散った。
 だというのに、奴はこの期に及んでも腕を振り回し、反撃しようとする。
 ――瞬間、大量の光弾が降り注ぎ、崩壊しかかっていた敵の身体を、ダメ押しのように吹き飛ばした!
「勝ちましたね。さて! 商人さんたちとお喋りしに行こうかなぁ」
 メテオライトを放ち終わった後、次はどうしようとばかりに軽く伸びをするシャーデンフロイドの背後で、クリーパーは粉塵となって消えていくのだった。

「依頼は無事に終わったけど、なにか手伝えることってあるかなあ?」
 アルマは補給用の干し肉や水をクーやセリオスといった仲間に振る舞い、その後作りかけの見張り台の工事にとりかかった。
 釘やロープを用いての組み立てなど、もっぱら器用さが求められる細かな部分を担当し、くるくると立ち働く。
 反対にコーデリアは木材を運んだり、下から支えたりと、主に力仕事へ回る。
「私の方はご心配なく! 受恵者になってから力持ちになったんです、これくらいならいつも持っている斧の方が重いくらいですよ!」
 Alexandraも水で喉を潤しつつ、工事現場を涼やかに見守る。
「私個人はまるで戦力外ですが、ペットの方は存分に使って下さい」
 ゴリラは皆の手が回らない箇所を行き来し、黙々と補強してくれていた。
「あ、見張り台建設のお手伝いならワタシは別料金です」
 シャーデンフロイドもまったりしていた所、ゴリラに視線を向けられてにこっと笑い返したが。
「べ、別に疲れたからもう肉体労働したくないって訳じゃ……あーもう分かりましたよやります!」
 じっと見つめられると根負けしたみたいに両手を上げ、作業へ移った。
「……こういうので武具でも作れねえかなあ。毒付きとか使えそうなンだがなあ」
 一方アーテミシアは、クリーパーの残骸を物色する。
 本体や手足の剣はほとんど粉々で、残念ながら再利用は難しそうだ――。
 そしてグレイブは、砂漠の民の村へ赴き、負傷者の治療を行っていた。
「助かったよ、だいぶ楽になった。悪いな、ここまでしてもらって」
 回復した砂漠の民に礼を言われ、グレイブはいえいえ、とかぶりを振り。
「こちらこそ、生きて下さってよかった。――あのオアシスは、得難いものでしょうから」

マスターコメント

お疲れさまでした。 オアシスを荒らす強敵を相手に、みなさんの連携が光りましたね! お見事でした! ちなみに無事に見張り台も完成し、砂漠の民もより警備が楽になったようです。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2021年01月24日 10時38分03秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. セリオス・オーガスト

    ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む いろいろ遠近も兼ね備えて特殊能力持ちの敵か、割と厄介だな。 両腕の厄介な剣はダメージを与えると能力が落ちるとあるから先に腕を破壊したほうが無難というところか

  2. Alexandra・Hexe・Claudia

    よろしくお願いいたします。キャスター、クラウディアです。 出没地点は砂漠のオアシス、無数の刃で武装した人型の石版クリーパー。 生命力半分で赤熱… セオリーは大火力で潰すか、武装を削ってジリ貧にさせるかという程度でしょうから割愛として… 今回、地形・地質利用ができれば楽かもしれませんね。 ぱっと思いつくのは風魔法を対象の足元に撃ち込んで、風圧と砂で吹き飛ばす とか。 うまく転ばせることができれば、その個体は袋叩きにもできましょう。 あとは砂丘などの位置取りで攻防の優勢が取れるかどうか。 ―さすがにエーテル由来の剣圧を砂丘程度で防げるとは思いませんが… それでも、基本は高所…坂であれば上をとるのが有利 というのは基本ですし。

  3. グレイブ・ヤード

    ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 好きに呼んで構わんよ 多少のけがは帳消しにするつもりでいます。

  4. アーテミシア

    ウォリアーのアーテミシアだ。宜しくな。 ウォリアーが3人もいるんだし、二人は剣砕きを狙ってみるか?

  5. アルマ・ヴァレンタイン

    ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしく。 毒持ちっていうし命中回避と抵抗の上がる範囲支援を最初に使っておくね あとは範囲回復とか状態異常回復をもっていけばいいかなあ

  6. コーデリア・コンクエスト

    ウォーリアのコーデリア・コンクエストと申します。 今回はよろしくお願いいたします。 右腕の剣は防御性能も高いとのことですし、狙うなら左腕の剣からでしょうか。 使用回数の少ないスキルを腕の破壊に使うか、赤熱化した後の畳みかけで使うかは悩んでしまいますね……

  7. シャーデンフロイド

    や、どうも。キャスターのシャーデンです。 まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いしますねぇ。 命中率が高いというのが気になるので、こちらはクリーパーさんの命中を下げる試みでもしてみましょうか。基本的に攻撃ではなくサポートに回ろうかと。 建設途中の見張り台、ってのも壊されてほしくないので、そっちにクリーパーさんの意識がいかないようにしたいですね。砂丘の地形を利用する案に賛成します。アリジゴクみたいな場所に追い込めたら楽ですよねぇ。

  8. クー=ウィッシュ

    ウォーリアのクー=ウィッシュだ。 タンカーだ。 よろしく。

  9. クー=ウィッシュ

    いつも通りシーザーロアでクリーパーに執着を与えて標的になりにいく。 地形を利用と言うことなら 砂丘の低い方へ誘導してみよう。 攻撃役は皆に任せる。

  10. コーデリア・コンクエスト

    でしたら私は火力寄りの構成にしていきますね。 命中と抵抗はアルマさんのバフもありますし、ある程度生命を確保したあとは攻撃に振りましょう。

  11. グレイブ・ヤード

    では私は防御・解呪(毒解除)・回復のみで考えましょうかね。 これ以上犠牲者を出させるわけにもいきませんし 剣圧対策で「光縛封」を準備するのも必要でしょうか? 壁としては扱えますよね。

  12. アーテミシア

    ああ、タンクが囮やるってンなら、こっちは腕潰しするか。 左のほうが面倒そうだし、オレは左腕潰しからやっておくぞ

  13. アルマ・ヴァレンタイン

    地形を利用して敵の誘導?と、タンカーさんが攻撃を引き付けるということでりょうかいー 相手の手札は多いけど攻撃回数は1回なのか左右で2回なのか… ボクのセットは範囲支援(レゾ)、全回復(リヴァ)、ヒールと解呪2 あとはー…火力補助で輝刃2と補助攻撃で魔矢を持っていこうかな 光縛封は高さもある(4Hex分)し、敵を低地に引き込んでたとしても壁にはなると思うよー デメリットは壁を隔てたこっちからの射線も通らなくなりそう?

  14. グレイブ・ヤード

    光縛封については我々のような後方支援に干渉させないためと 近隣の建物に万が一でも被害を出させたくないからというものですね ケガならすぐに治せますが、建物はそうもいきませんし

  15. アルマ・ヴァレンタイン

    >光縛封 もしも、もあるし建物のほうは無事に勝てたら工事のお手伝いもしたいしお願いできればー… こっちも直線上に入らないように注意はしてみるねー

  16. Alexandra・Hexe・Claudia

    ん…個人としては、対飛び道具向けの自衛手段は少し覚えがあります。 回数が2度までなので、使い切ってからは盾持ちの方に頼るケースもありますが… 特に序盤において、こちらは多少放置されてもなんとか。

  17. グレイブ・ヤード

    さて、明日には出発となりますがほかに気を付けておくべきことはありますでしょうかね?

  18. グレイブ・ヤード

    とりあえず光縛封は剣圧の衝撃を「散らす」方向で使う予定です。 (軌道上に召喚してぶつけさせる等) あとサイドヒール改、ヒール2、堅甲2、解呪を準備していますので 割と無茶を通せる状況にはしています。 (通常ヒール2で足りなければサイドヒール改でさらに回復させます)

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0