光を失ったドール達

ゆうきつかさ

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シナリオID:468

オープニング

●辺境都市群シャルガネ居住区
「昔から人形は顔が命だと言われているが、少し面倒な事になった」
 人形師マリオンが冒険者達を工房に集め、困った様子で溜息を漏らした。
 事の始まりは、数日前。
 工房に女の子が持ってきた人形がキッカケであった。
 その人形には、両目が無かった。
 まるで『お、恐ろしい子』と言わんばかりに、本来あるはずの目が、何者かによって、くり抜かれていた。
 一体、何があったのか、女の子に聞いても、泣くばかりで、何も答えようとしない。
 そのため、代わりに新しい人形を渡したものの、その日を境にして同じような被害を訴える客が増えていったようである。
「被害者達から話を聞く限り、人形の目をくり抜いたのは、複数。みんな奇妙な仮面を被っており、被害者達の心に絶望の種を植えつけている。おそらく、犯人達は人形に目に宝石的な価値があると思い込んでいるのだろう。もちろん、実際には宝石ほど価値はない。そもそも、使っているのは、クズ石として捨てられる運命にあったモノだからな。それを私が買い取って、目の材料として使っていただけだしな。まあ、人によっては、それに価値を見出す者もいる。それが犯人達だったという訳さ。そこで君達に頼みがある。人形の目を盗んだ犯人を捕まえてほしい。例え、人形の目を取り返したところで、被害者達が喜ぶ事はないが、これ以上被害者達を増やさないためにも、出来るだけの事はしておきたいからな。まあ、それほど難しい事じゃない。被害者達の話を聞く限り、犯人達の狙いは人形の目だ。逆に言えば、街中で人形を持っている事をアピールすれば、あっちの方から姿を現すという訳さ。その場合、複数が囮になっても構わない。その分、弱く見せておけば、犯人達もそれに対抗できるだけの数を集めて襲い掛かってくるだけからな。ただし、なるべく殺さないようにして欲しい。犯人達には、きちんと罪を償ってもらう必要があるから、死なれてしまうと困るんだ」
 そう言ってマリオンが、犯人達の捕縛を依頼するのであった。

解説

 盗賊達の数は、最大20人程度。  囮になる人数によって、盗賊達の人数が変化します。  基本的には、数人程度、捕縛する事が出来れば成功になります。  物語の流れとしては、マリオンの工房に集まって準備を進め、マリオンから借りた人形を囮にして、犯人達を誘き寄せます。  ルート的には、工房、商店街、裏通りに進んでいくため、盗賊を捕縛する場合は、人気の少ない裏通りで戦闘を行うと良いでしょう。 ▼基本情報  マリオン(ヒューマン)  20代。  眼鏡を掛けた神経質そうな男性。  双子の弟が別人(筋肉質)になったため、胃がキリキリと痛む日々。

マスターより

 どうも、ゆうきつかさです。  この依頼は初心者歓迎の依頼です。  そのため、判定も緩めになっていますので、キャラクターらしく行動していただければ構いません。  何をしていいのか分からなかった場合は、いくつか台詞を書いておくと、それっぽくこちらで動かしておきます。  囮になる場合は、弱々しい雰囲気さえ漂わせておけば、複数であっても襲ってきます。  あえてネタに走っても構いませんが、その場合は分かりやすくプレイングに書いておいてください。  何となく判定を緩めにしておきます。

リプレイ

●辺境都市群シャルガネ居住区
「本当にひどい事をする人がいるものよね。女の子の人形の目をくりぬくなんて最低! ぜったいに許さないんだからっ」
 アリエッタが苛立ちを隠せない様子で、マリオンから借りた人形をギュッと抱き締めた。
 マリオンから借りた人形の瞳は、とても美しく、まるで本物の目のようだった。
 そのため、盗賊達が価値のあるモノだと勘違いをして、手当たり次第に狙っているようである。
 だが、実際にはクズ石。
 単なる綺麗な石だった。
「被害を受けた人達は、抵抗も出来ぬまま奪われて、さぞ無念でしょうね。例え人形とは言え、目をくり抜くなんて、普通は躊躇うわ。それをなんとも思わないのだから、欲しいと思えば人の目だって抜くのでしょうね」
 アウレーリア・フォン・ネーベルベルクが被害者達の気持ちを考えながら、嫌悪感をあらわにした。
 被害者達には、新しい人形が手渡されたものの、心の傷は癒えておらず、人形を受け取る事を拒否した者までいるようだ。
「それにしても、マリオン氏も災難ですね。ここまでトラブル続きだと、一度お清めしてもらった方が良いと思うのですが……」
 そんな中、キーゼが外套を頭まで羽織り、裏通りに住む住人に扮し、天眼で周囲を警戒しつつ、複雑な気持ちになりながら、何処か遠くを見つめた。
 噂では、マリオンの弟を名乗る男が、筋肉修行の旅に出た事で、ようやく平穏な日々が戻りつつあったようだが、この様子ではしばらく落ち着く事はなさそうだ。
 しかし、今回の件に限っては、これで解決する事が出来る……はず。
 地図を見る限り、盗賊達が襲撃を仕掛けるポイントは、数ヶ所。
 定期的に襲撃ポイントを変えているようだが、捕まらない自信があるのか、何度か同じ場所で犯行を行っているため、希望はある。
「……目的がどうであれ。他者が心を込めて作った物を破壊とは言わずとも破損させ、誰かを悲しませた事に変わりはない」
 その間に、コハクが盗賊達の襲撃を警戒し、仲間達と距離を取るようにして、物陰に姿を消した。
 その途端、アウレーリアとアリエッタが人形を見せ合い、楽しそうに笑い声を響かせながら、裏通りに入っていった。
「この娘の名前はアンジュにしよう。よろしくね、アンジュ」
 それに合わせて、アリエッタがマリオンから借りた人形を高々と掲げ、耳をピコピコさせながら、優しく語り掛けた。
 その気持ちに応えるようにして、マリオンから借りた人形が、アリエッタに対して、微笑みかけてきたような錯覚を覚えた。
 それは単なる気のせいだったのかも知れないが、思わず抱きしめたくなるほど、幸せな気持ちに包まれた。
「おいおい、イイモノを持っているじゃねーか。その人形……俺達に寄越せ!」
 その雰囲気をブチ壊す勢いで、物陰から奇妙な仮面を被った盗賊達が現れた。
 盗賊達は不気味な笑い声を響かせながら、アリエッタ達の逃げ道を塞ぐようにして、まわりを囲んでいった。
「私のお人形に何をしようっていうのさ、変態!」
 その事に危機感を覚えたアリエッタが、人形をギュッと抱き締めた。
「おいおい、別に俺達は何か酷い事をしようとしている訳じゃねぇ。ただ、ちーっとばかり人形を貸してくれればいいだけだからさァ」
 先頭にいた盗賊がネットリと纏わりつくような視線を人形に送り、不気味な笑い声を響かせた。
「うわっ! やっぱり、変態だよね。しかも、救いようがないほどのド変態ッ! だって、お人形のお目目を取っちゃうつもりでしょ?」
 アリエッタが人形を抱きしめたまま、嫌悪感をあらわにした。
「……たくっ! 面倒臭ぇ奴だな。大人しく人形を寄越せって言っているだろうが!」
 先頭にいた盗賊がイラついた様子で、アリエッタの人形に手を伸ばした。
「……!」
 それに合わせて、キーゼが大樹の長杖で足を引っかけ、先頭にいた盗賊を転ばせた。
「な、何をしやがるんだ、この野郎!」
 その事に腹を立てた盗賊が、殺気立った様子で、キーゼに短剣を向けた。
「さて、不殺の捕縛命令ですのでね。……覚悟していただきましょうか」
 すぐさま、キーゼが魔矢を発動させ、大樹の長杖の先端から光の矢を飛ばした。
 次の瞬間、盗賊達の頬をかするようにして、光の矢がビュンと横切った。
「カッカッカッ! 随分と勇ましく登場した訳には、大した事がねぇなァ!」
 リーダーと思しき盗賊がキーゼを見下した様子で、狂ったように笑い声を響かせた。
 それと同時に、盗賊達が次々と短剣を抜き、不気味な笑い声を響かせた。
「とりあえず、これで全部か」
 そんな中、サイラスが幻影を解除して、盗賊達の前に姿を現した。
 盗賊達は突然何もない場所からサイラスが現れたため、何が起こったのか理解していないようだった。
「随分と強気のようだけど、もう諦めなさい」
 その間に、アウレーリアがアーケインテンペストを発動させ、稲妻のような光を無数に召喚し、盗賊達の逃げ道を塞ぐようにして配置した。
「な、なんだ、こりゃ!」
 その事に驚いたモヒカン頭の盗賊が、怯えた様子で短剣を振り回し、稲妻のような光を追い払おうとした。
 だが、稲妻のような光はまったく怯む事なく、モヒカン頭の盗賊にしつこく纏わりついて動きを阻害した。
「……」
 その隙をつくようにして、先手必勝でエーテルを体内に巡らせ反応速度を高めていたコハクが疾風走で瞬間的に加速し、縛糸刃で赤光のエーテルを鋼の暗針に纏わせ、近くにいた盗賊を軽く斬りつけ、行動を妨害した。
「ええいっ! この程度でビビるな!」
 リーダーと思しき盗賊が動揺を隠せない様子で、まわりにいた盗賊達に声を掛けた。
 しかし、その言葉に反してリーダーと思しき盗賊は怯えており、それを誤魔化しているような感じであった。
「先程、放った光の矢は単なる警告だったのですが……。それとも、本気で外したと思っていたのですか? それならば、少し痛い目に遭ってもらいましょうか」
 その事に気づいたキーゼが再び魔矢を発動させ、光の矢で近くにいた盗賊の左脚を射抜いた。
「……まだ分かっていないようね」
 それに合わせて、アウレーリアが威圧感のある眼力で、盗賊達をジロリと睨みつけ、爆炎で巨大な炎弾を放って、上空で炸裂させた。
「……えっ?」
 その途端、盗賊達が一斉に目を丸くさせ、ダラダラと汗を垂れ流した。
 だが、頭の中で上手く処理できていないらしく、何が起こったのか理解する事すら出来ず、半ば思考停止状態に陥っていた。
「それなら、分からせるだけ」
 即座に、コハクがダブルエッジを繰り出し、両手に持った鋼の暗針を、盗賊の両脚に突き刺した。
「ぎゃあああああ!」
 その一撃を喰らった盗賊が悲鳴を上げ、傷口を押さえて崩れ落ちた。
 それでも、致命傷を避けて攻撃をしたため、盗賊の命に別状はない。
 しかし、盗賊の心に植えつけられた恐怖の種が、一瞬にして芽を出し、花開いているため、コハクに反撃を仕掛ける事はなかった。
「やるからには全員狩れるだけ狩らなきゃねぇ?」
 一方、サイラスが殺界で鋼の大太刀にエーテル光を纏わせ、不可視のエーテルを範囲内へ張り巡らせた。
「これ以上、無駄に足掻かなければ、腕か足で済む。手が滑って殺しちゃうかも知れないから、大人しくしてくれないかな」
 コハクも盗賊達を威圧しつつ、警告混じりに呟いた。
 その間に、サイラスが死なないように手加減をしつつ、掠るようにして攻撃を繰り出した。
 それだけでも、盗賊達が絶叫を響かせ、バッタバッタと倒れていった。
「もう諦めて下さい。これ以上、足掻いたところで、意味はありませんから……」
 キーゼが盗賊達に警告しながら、キーゼが光縛呪を発動させ、光の縄で盗賊達に拘束した。
「こ、こんな事をして、後でどうなっても知らねーからなっ!」
 ボサボサ頭の盗賊が悔しそうな表情を浮かべ、キーゼに対して悪態をついた。
「とりあえず、言いたい事があるのであれば、後で嫌と言うほど聞いてもらえると思いますよ。まあ、聞きたい事が色々とあるので、色々と教えてもらいましょうか」
 キーゼが落ち着いた様子で、盗賊達をキリキリと歩かせた。
「お、お前、マジで後悔するぞ! 分かったら、早く、俺達を解放しやがれ」
 仮面に傷のある盗賊が光の縄で縛られたまま、イラついた様子で叫び声を響かせた。
「それならば、ここで解放したところで、同じ事。絶対に報復しないという保証ない以上、ここで解放する訳にもいきませんし、その必要もありません。それ以前に、信用する事も出来ませんし、更生する可能性すらないのですから、このまま然るべき場所で、罪を償ってください」
 その間もキーゼは動揺する事なく、盗賊達に答えを返していった。
「ち、畜生ッ! お、覚えてろ!」
 スキンヘッドの盗賊が精一杯の悪態をつき、ギチギチと歯を鳴らした。
「例え誰であれ、盗んだ物が人形の目に使う程度の一山幾らの屑石であれ、犯罪は犯罪だからね。抵抗も失敗した時点で罰がないとね」
 その横でサイラスも縛り上げた盗賊達の仮面を、乱暴に剥ぎ取った。
「おいおい、勘弁してくれ! 謝ればいいんだろ、謝れば!」
 仮面を奪われた盗賊が、気まずい様子で視線を逸らした。
「いや、謝って済む話でもないし、人形の目を抜いたんだから、同じ罰を受けないと……。まあ、誰も欲しがらないと思うけど……」
 サイラスも皮肉混じりに呟きながら、盗賊の目をマジマジと見た。
「お前達が抉った目玉は幾つだったかしら、返して頂戴。ひい、ふう、みい……ふふ、全然足りないわ?」
 アウレーリアが光の縄で縛られた盗賊に近づき、そっと目元を匙でなぞりながら、耳元で囁いた。
「……降伏する? それとも……人形達と同じになってみる?」
 アリエッタも同じように、ノービスダガーを盗賊の瞳に向けた。
「ひぃぃぃぃ! わ、分かったから、やめてくれ! もう、やらん。絶対に、お前達とは関わらん!」
 その途端、リーダーと思しき盗賊が、青ざめた表情を浮かべ、悲鳴にも似た叫び声を響かせた。
 まわりにいた盗賊達も同じように音を上げ、涙目になって悲鳴を上げた。
「それが利口な反応ね。……けど心の傷は……容易くは塞がらないのよ。その事を肝に銘じておく事ね」
 そう言ってアウレーリアが懐に匙をしまいつつ、盗賊達を威圧しながら、キリキリと歩かせるのであった。

マスターコメント

 基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人

2021年01月17日 16時14分43秒 公開

成功

相談掲示板

  1. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    アウレーリアよ。宜しく。 あまり集まりが良くないけれど、もう少し待ってみましょう。 私は囮をやろうと思っているわ。常人相手ならまとめて拘束できると思うから。

  2. アリエッタ

    アリエッタだよ。 よろしくね。 わたしも囮希望かな。 回避は得意だし

  3. キーゼ

    さて、よろしくお願いします。 出てたんですね、マリオン依頼 とりあえずこれで最低人数は確定でしょうか 僕は囮ではなく待ち構えて迎撃にしますかね やるならば推奨されてる裏通りでしょうか?

  4. No.4

    サイラスだ、よろしくなー 囮多いなぁというわけで俺は隠れてるかな まあ隠れ方が微妙なんですぐ動けるか分からんけども

  5. アウレーリア・フォン・ネーベルベルク

    そうねぇ……あんまり囮が多いと難易度上がったりするのかしら? 別に私達が戦えなくなるわけじゃないから、大丈夫だとは思うけど。 ねぇアリエッタ、良ければ一緒に行動しましょう? 囮がバラバラに動いても効率が良くないし、万一の場合もカバーしやすいわ。

  6. コハク

    シーフコハク、よろしく。 現状囮2、迎撃2で分かれてるけれど…コハクも迎撃班に回ろうかな。 というより隠蔽とか不意打ちはシーフの十八番だしね。 とりあえず殺さないよう軽くしめるよ。 そうだね、キーゼの言う通り裏通りで良いと思う。 工房はないとして商店街も周りの被害と広いが故に捕まえるの面倒だし。 裏通りなら隠れやすいしから助かる。

  7. アリエッタ

    >アウレーリア うん、賛成。 よろしくね。アウレーリア

  8. キーゼ

    ではアリエッタ氏、アウレーリア氏のお二人が囮 我々は裏通りで待ち構えて掃討、ですか。 捕縛依頼ですので、殺さないよう注意しないとまずいですね…

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0