新年はカジノで景気よく! Sideギャンブラー
わるいひと。
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シナリオID:442
オープニング
暗い夜闇の街中に仄かな明かりを灯すひっそりとした館。
その扉をくぐれば鬱蒼とした退廃的な空気の中、あられもない衣装のディーラーやバニーガールたちが蠱惑的に男たちを挑発しながら欲と金を行き交わせる遊技場。
ひとつ、指を滑らせれば女が息を切らせ。
ひとつ、指を滑らせれば山のごとくチップが積まれ。
ひとつ、指を滑らせれば男が絶望に頭を抱える。
今夜、あなたはどんな色の夢を見る……?
「……お前、その店が気になるのか?」
マスターの指摘の言葉に、あなたはなんとなく貼られていた一枚のビラに視線をやっていたことに気付いた。
「けっこう有名な店で、各地に支店のあるカジノ……そのひとつがこの近くで新年早々から営業してるって話だよ。景気のいいことだな、まったく」
俺なんか仕事でここから離れられないってのによ、とマスターはぼやいた。
「根っからスケベな姉ちゃんたちが、イロイロとサービスしてくれるって話だ。あーあ、羨ましいこった。
まぁ、お前さんも興味があるなら好きにすればいいさ。カジノで遊んで一稼ぎするのもよし、美人のバニーガールの尻を眺めに行くのもよし、だ」
素面の癖に酔っているようなマスターに、ばしばしと背中を叩かれる。
さて、どうしようか――再びビラに目をやり、思案した。
その扉をくぐれば鬱蒼とした退廃的な空気の中、あられもない衣装のディーラーやバニーガールたちが蠱惑的に男たちを挑発しながら欲と金を行き交わせる遊技場。
ひとつ、指を滑らせれば女が息を切らせ。
ひとつ、指を滑らせれば山のごとくチップが積まれ。
ひとつ、指を滑らせれば男が絶望に頭を抱える。
今夜、あなたはどんな色の夢を見る……?
「……お前、その店が気になるのか?」
マスターの指摘の言葉に、あなたはなんとなく貼られていた一枚のビラに視線をやっていたことに気付いた。
「けっこう有名な店で、各地に支店のあるカジノ……そのひとつがこの近くで新年早々から営業してるって話だよ。景気のいいことだな、まったく」
俺なんか仕事でここから離れられないってのによ、とマスターはぼやいた。
「根っからスケベな姉ちゃんたちが、イロイロとサービスしてくれるって話だ。あーあ、羨ましいこった。
まぁ、お前さんも興味があるなら好きにすればいいさ。カジノで遊んで一稼ぎするのもよし、美人のバニーガールの尻を眺めに行くのもよし、だ」
素面の癖に酔っているようなマスターに、ばしばしと背中を叩かれる。
さて、どうしようか――再びビラに目をやり、思案した。
解説
●このシナリオについて
このシナリオは同MSのイベントシナリオ「新年はカジノで景気よく! Sideカジノ」と舞台を共有しております。
双方のシナリオに参加しても問題はありませんが、こちらのシナリオでカジノ側のシナリオ参加者にアクションを起こそうとしても干渉できません。
あくまでそれぞれのシナリオ内で内容が完結していると考えていただければと思います。
●カジノについて
ポーカーやブラックジャックなど、初心者にもわかりやすいゲームが中心のカジノです。
店内にはきわどい衣装のバニーガールや女性ディーラーがおり、酒などを注文してバニーガールを好きに侍らせられるサービスもあります。
(ただし公序良俗は考えましょう。過度な行為はマスタリングされます)
なお、シナリオ参加者全体での勝率で成功度が変化します。
それでは、よき夜を。
マスターより
自己連動シナリオという試みに早々から挑戦してみる新人MS、わるいひと。です。
皆さんで一攫千金の黄金の夢を目指して頑張ってください。
バニーさんたちにサービスを受けるのもいいのですよ?(悪い囁き
リプレイ
●
「ははァ~、こりゃ聞きしに勝る……呆れた店だ。同じ際どさでもベリーダンサーとは訳が違う。品性の欠片もないな」
カジノに入り、フロアをぐるりと見まわしたキュリアス=バルドゥの第一声がこれだ。
「ここのサービスは野郎向けのようだね」
情報屋としてカジノの調査に踏み込んだルチル・プルメリア・グレイハーツの言葉通り、店内のスタッフはほとんどが女性だ。
「男性の目線に立ったサービスの評価はできないが話の種にはなるだろうし、酒が美味いかどうか見る事はできるな」
顎に手をやり呟いたルチルに、近くのテーブルにいたディーラーが「あら、勝負は楽しまれないので?」と訊ねる。
その言葉をキュリアスは「ハン」と笑い飛ばした。
「ギャンブルぅ? する訳ないだろ? 取材だよ、取材。美しくないものから目を背けてちゃ、真の美しさは描けない。
『人生はギャンブル』とよく言うが逆も然り、ここには色々な世界が詰まってる。被写体としちゃ最高だよ。卑しくはあるが――」
「それは残念ですわ。私を負かせて自分のモノにしてくださる方かと期待していたのですが」
彼女の微笑みをキュリアスはどう捉えたのか、
「――おいディーラー。今、確かに僕を嘲笑ったな?
この僕が金や女に釣られてほっぺたとサイフ緩める安い男に見えるってなら大きな間違いだ。
だがそれで『勝負から逃げた情けないヤツ』と見下されるのはもっと我慢ならないね!
やるよ、ギャンブル。望み通りひとっ稼ぎしてやろうじゃあないかッ!」
どっかと卓に付く。やりとりを見ていたルチルはやれやれと、
「ま、こんな展開も鉄火場の面白味ってもんだ。それならアタイも楽しませてもらおうか」
純粋に本気でゲームを楽しむつもりで同じく卓に付いた。
(本気で勝つならエーテルリンクしたペットを使うがアタイが望むのは圧倒的な勝利じゃない。客目線に立って、ここが楽しめるかどうかだ)
とにもかくにも、こうしてゲームの幕が上がる――
「だぁ~いすきなのわぁ~♪ 酒! カジノ! バニーガール!」
ユークリア・フィナンシェはバニーガールを何人も指名してテンション高く楽しんでいる。
「貧しき者にパンを与えよといった聖言がヒーラーにはありますが、私が皆さんにお酒を振舞うのも経済の循環を高めて景気を良くしてパンを配ってる事になります!」
ちなみに今の聖言は彼女曰く聖職者ジョークなるデタラメである。
「さらには笑顔が広がってみんなハッピーという訳ですねヤッター!
お酒バンバン持ってきてくださーい!」
実にテンションが高い。一応彼女は若年者なので飲んでいるのはただの炭酸飲料である。
まぁ今回は基本お祭り騒ぎなノリなのでOKだ。
「兎さんは個人的に大好きなので私もバニーガールの格好したいですね!」
バニーたち大歓迎してくれたので、いったん彼女は更衣室へ。
初カジノに興味津々のロイ・アウレアは、好みのバニーに思わず目が行く。
小声で「ぉぅ」と呟いた瞬間、隣から耳を引っ張られる。
「……イタタタ」
「……ああいうのが好み?」
大胆にスリットの入ったアオザイを纏ったテス・クラルスは囁くと、指を離してくれた。
そうだった。自分は今スーツで恋人をエスコート中なのだ。さすがに不謹慎だった。
テスの方はサービスを視線で牽制。店の嬢たちは「わかっていますよ」と微笑む。
「そりゃあ、ロイの自由を奪う気はないけど。隣にいる時は、私の、だよね?」
「当たり前だろう?」
よろしい、と機嫌を直し恋人のエスコートでテスはフロアを散策する。
「何する所かは良く分からないけど……貴族の嗜み、カジノ!
僕も嗜む為に、いざ出陣! ――って、ふぁ?!」
ハル・チフはバニーガールのあられもない衣装に真っ赤になった。
普通のカジノ以上に過激なこの店の制服は、少年には刺激が強すぎたようだ。
通りがかったバニーが「どうしたの?」と軽く屈んだせいで、カップが軽く下に浮いてますます慌てる。
「レディそんな格好で……胸が溢れそう、だよ?!」
真っ赤になりながらも指の間からちらちらと見てしまう彼に、バニーガールはくすりと微笑んで、
「あらあら、じゃあこうして押さえなきゃ♪」
むぎゅ、と頭を胸の谷間に抱きかかえられてしまう。
「そうだ、ビーチ……ここはビーチだから、薄着OK……」
自分に言い聞かせるように呟くハル。
「あの子に会いたい……」
ハルと一緒に来ていたエヴァン・ピオネロは、以前ミスコンで出会った黒髪の少女の姿を思い浮かべていた。
ここに来たら彼女と出会えるのでは、と思い出補正で脳内で美化されている少女の姿を探す。
ハルが可愛がられている姿を見かけたが、
「幸せそうです……」
エッチとか感じず純粋に呟いた。
ごめん、今回彼女出す予定なかったんだ。
キーゼはポーカーのテーブルにいた。
手堅く勝負しながら、あのスタッフの足はスラっとしていて綺麗だ、あのバニーのお尻はよく引き締まってる……などと。
アルコールを傾け、遠慮なく店の女性スタッフの肢体を眺めて口にしている。
別に本心ではない。特に何も感じてないが、思ってもないことを口走ってギャンブルと女にはまるダメ人間を騙る。
――たまにはこういう俗っぽい男性のようなことをしておかないと、どうも昔に戻ってしまう。
そんな彼に、店のバニー嬢が近寄りしなを作る。指名してその身体に遠慮なく指を這わせる。
彼女は悦びの声を上げるが、その瞳でこう語る。
――ちゃんと私たちに溺れてくださいよ。本気にさせてみせますから。
……まいった。素面でいたことは見抜かれていたらしい。
これはお詫びしないといけないだろう。それに、今日はもとよりその予定だ。
彼女の腰を抱いて、ソファに移る。
――今夜は、酔いに溺れよう。
●
「――今日は随分と一見のヤツが多いな」
リリアーヌ・ウォルトグレイヴの頭上からそんな声が降ってきた。視線を上げれば若い男。
口振りからするに店の常連のようだ。場慣れしている雰囲気もそれを物語っている。
「お前は常連になりそうだったから声をかけさせてもらった。どうだ、ここは楽しめているか?」
「――えぇ、とても」
目当てが同じ人間として色目を使う気配がない男に警戒をとき、彼女は微笑んだ。
リリアーヌの両脇にはバニーガールが2人。
店に入って早々に指名して、尻を撫でたり、胸を揉んだり、口付けを迫ったり、ちょっとばかりその先の行為まで……
一応、彼女は欲望のままに行為に及んでいたわけではなく目的があった。欲望もあるが。
(私はご主人様の為に女を磨く修行をしに来たのです。
ともすれば、ご主人様の交渉の為には色仕掛けや……それ以上も厭わぬ私の女力を上げる為に、バニーガールさん達から学ぶのです!)
そんな意気込みのもと、彼女の行為をバニーガール達はどの様に受け入れ、或いは躱すのか、その駆け引きを楽しみつつ勉強させてもらっていた。
「で、一体なにがあったんだ? お前も初顔だし、連中と同じ伝手で来たんじゃないかと思うが」
男は彼女と対面、離れた位置に座る。邪魔する気も手を出す気もない、と示しているのだろう。
「そうですわね……」
教えてもいいものかと少し思案したが、冒険者ギルドに客引きのチラシを貼る店だ。後ろ暗いところはないのだろう。
そう結論付けて、経緯を軽く教えた。
「……ははぁ。だからか。確かに冒険者は金を持っているからな。ここの支店長も目敏いことだ」
「?」
「いや、ここのディーラーたちもそれなりにできるからな。戦いならともかく――ことゲームに関してなら引けを取らないぜ?」
と、そこへ漆黒のドレスを纏ったノノアがやってきた。
彼女は普通に頑張って、明日の豪華な食べ物や果物の為に稼ぎにブラックジャックに挑んだ。
気付かれないように目線だけ動かしてカードを透視しようと試みたが――さっと手で遮られ、視線を上げるとディーラーの「いけませんよ?」という微笑み。
摘み出されなかった分マシだったが、結局あまり勝てずにぶらついていたところである。
「全然ダメだった……ここのディーラー手強いわ」
「おや嬢ちゃん負けちまったか? こっち来たらなにか奢るぜ?」」
ぽんぽん、と自分の隣を叩く男。
「お金もらえるならお話やお茶ぐらいは良いわよ」
「いいぜ。ほら」
チップを弾いて寄越される。換金すれば十分すぎる額と判断して、交渉成立。
「……ボディタッチは駄目よ。尻尾ぐらいなら……上乗せしてくれるなら」
「構わないぜ」
更にチップを出されたので、OKする。
ドリンクを飲みながら尻尾をもふもふされ。
そしてそこに、
「ジャジャ~ン♪ 兎さんになってみましたー!」
バニーガールに着替えてきたユークリアがやってきた。
「おや、嬢ちゃんは新しいバニーか?」
「そうで~す♪」
ノリで答えて変な誤解が発生する。
「へぇ。じゃあ指名させてもらおうかな」
「指名ですか! 初指名もらっちゃいました!」
ノノアの反対側に座り、酒を注文した男に酌をする。
彼女たちは男たちとわいわいとカジノを楽しんだ。
「おもしろそー。でもなんかえっちなとこみたいだから一人は不安。シャロンついてきてよ」
「ギャンブルなんて、負けたら大損なんですよ!?」
「ゲームはルナがやるよー」
……こんなやりとりの末、結局折れたシャロン・ラ・モリエールと月のコンビ。
「私はあくまでサポートですよ! 合図を決めておきましょう」
こうして2人の間でサインを決める。
「こういうのはまず勝たせて食いつかせたあと一気に奪うのが定石です。最初に軽く勝てばそこで引きましょう。
もしくはある程度ぎりぎりで負けさせて、取り返したいと思わせるでしょう。前の客の様子を見るんです」
「……なんかシャロン詳しくない?」
こうして2人はゲームをする前にディーラーの様子を観察することにした。
シャロンは『記憶力』でデータを蓄積。
そして月も『洞察』で覚えていく。
(そろそろいいかな?)
(えぇ、こちらも十分です)
ブラックジャックの席に付いた月。
シャロンと共に、ディーラーの癖などはほぼ覚えたと言っていい。
配られるカードと共にディーラーを『洞察』する。
(ふふーん、それは嘘ついてるね?)
シャロンの方も同じ結論のようで頷く。
「ダブルダウン」
チップを上乗せして勝負に出る。配られたカードと合わせて20だ。
そしてディーラーのカードがオープンされる。
「!?」
手役はブラックジャック。ダブルダウンが仇となり必要以上に負けてしまった。
「――ごめんなさい、お客様」
ウィンクするディーラー。
なにかよくないと判断してこのテーブルを立つ。
……結局、2人はこの後もいくつかのテーブルを移って勝負したが負けを重ねる形となってしまった。
「主に男狙いなところか? ってなら、敢えて男と思わせてカモだと思わせた方が良いかもしれないな」
そう考えて、男装してカジノにやってきたロウトフェダー。
「カジノなんてディーラーが勝つように出来てんだもんな。勝ちたいなら隙をついて一気に勝ち抜くしかねぇ」
色仕掛けに嵌っているフリをして、油断を誘い隙を突くのが彼女の方針だ。
そんなわけで、ディーラーの胸元や鼠蹊部に視線をやってデレデレした様子で、
「ひゅー! お姉ちゃん可愛いな! 俺と一勝負しようぜ!」
「ふふっ、喜んでお相手させていただきます」
微笑んで軽く屈んだ彼女の胸の谷間が視界に入り、
「かーッ! 堪んねぇな!」
あからさまな色仕掛けに応じる。
くすくすと微笑む彼女に鼻の下を伸ばしたフリをしながら、相手の隙を窺う。
そして配られるカード。
ディーラーの様子を見て一発勝負に出たロウトフェダー。
結果は――
「私の勝ちですわね」
「あちゃー……なーんて。この一勝負だけ純粋な運勝負にできりゃよかったんだ。
やるだけやった、これで負けても悔いはねぇ」
さっぱりと潔く負けを認める彼女にくすくす笑いながら、
「本当、残念ですわ。貴方がもし本気で私を求めてくださっていたのなら、喜んで負けてさしあげていたのに」
お見通しですよ、というその言葉に、ロウトフェダーは呆気にとられた。
「やったー! 大勝ちー! 今日はとことんツイてるぜーッ♪」
大喜びしているのはマシロ・ロスコだ。
「あー、これはダメだな。降りる」
彼女はポーカーフェイスは全然ダメだ。特に作戦など考えているわけでもない。
なのになぜ勝てているのかというと――
「よっしゃ! またいい手! 勝負勝負!」
強気のレイズでオープンされた手はストレートフラッシュ。
「やりぃ! また大儲けー♪」
……とんでもない爆運が炸裂しているだけである。
「これならいけんじゃね? レイズ!」
ショーダウンでフルハウスで勝利をもぎ取る。
――なお、この日一番稼いだのは彼女であった。
●
あれからたっぷりとバニーガールに色々されたハル。
「レディ、僕にここの事を教えて下さい!」
と、いう申し出に更衣室へと連れられ、
「こ……この格好が大事なの?」
何故かディーラー衣装に着替えさせられた。
ハイレグの部分は外からアレを見えなくするもので最初から無いかのようになっている。
さすがに負け分を自腹払いとなっているディーラーの仕事をさせられないので、給仕の仕事を手伝うことになった。
「わかった、お客さんに、飲み物を配る、だね!」
「ハルさんお手伝いしてるね……」
そんなハルを見ていたエヴァン。
「……気持ちが落ち着かなくて……ぼくも何か手伝わせてください」
そして――エヴァンはバニーガールになった。(こちらもアレを綺麗に隠している)
「……最近、水着が多いです」
更衣室の鏡の前で、以前ミスコンで黒髪の少女と共にとっていたポーズを思い出して取ってみる。
「こう……だった……?」
大勢の男の前でいやらしく肢体を見せつける自分に向けられた彼らの欲情の視線を思い出し、ヘソの奥がキュッ、と熱を帯びる。
「もっと可愛くなったら……喜んでくれるかな……」
こうして。
「お客様……どうぞ……」
「レディ、飲み物いかが?」
2人の男の娘がせっせと給仕の手伝いに勤しむ。
まぁ同じ仕事をしているのだから、同じ場所に戻ってきたりするわけで。
「わぁ……可愛いね。ン? えっと? エヴァ?!
エヴァって女の子だったの?!」
あまりの驚きに自分も今女の子になっていることを忘れているハル。
「ふぁ……びっくりした。良く似合うね!」
「……嬉しいです。会える日まで……頑張る……事にしました」
はにかむエヴァンはどう見ても女の子だ。
「カジノって仮装パーティ、なんだね! レディ!」
ドヤ顔をするハルに、苦笑してしまうバニーガール。
それから、2人の男の娘は元気に店内を巡って笑顔を振りまいた。
「まぁ、折角遊んでるんだしな……上乗せだ」
バーネット・フォーサイスは暫し思案した後、ニヤリと笑い強気にチップを重ねる。
ショーダウン。相手の手は4のスリーカード。対して彼は――Jのスリーカード。
「ははッ、俺の勝ちだな」
愉快に笑い、チップを受け取る。
彼はゲームをメインに楽しんでいた。
今の勝ちでだいぶチップを増やしたが――
(ちょっと勝ち過ぎか。店に目を付けられないように適度に減らすかな)
テーブルを離れ、バーの方に移動すると先客がいた。
「? お前、なに書いてんだ?」
「うん……? このカジノについてのレポートなのだ」
振り返ったのはストレガ・L・リベルガストラだ。
彼女は遊戯、賭博の形は数あると見聞にきたクチである。
「レポートねぇ……てことはゲームもやったのか?」
「バカラを楽しんだのだ。生憎と負けたのだ」
「おっと、余計なこと聞いたか?」
「気にしていないのだ。買ったチップはないものと思えばただの入場料なのだ」
「そうか。……俺は勝った分を適度に減らそうと思って来たんでな。どうだ、おかわりはいるかい?」
「そういうことなら、お言葉に甘えるのだ」
と、そこに、
「退き時と見て終いにしたが……この僕が尻尾巻いて逃げたみたいで癪だな、くそッ」
「まぁそう言うな。あたいの勝ち分で奢るから機嫌を直しなよ」
小さく負けたところで引き上げたキュリアスと、対照的に大きく勝ったルチルが酒を飲みにやってきた。
「賑やかになってきたのだ」
「おや、同業さんといったところか」
ストレガにルチルが話しかけて座り、更にその隣にキュリアスが腰を下ろした。
「……フン、まァムカつくことを引きずりたくないしな。誘いに乗るよ」
「勝つのも負けるのもギャンブルだ。結果を引きずらず、笑って終わらせよう」
バーネットが笑ってそう言ったところで、注文した品が並べられる。
一同はバーテンダーが並べたグラスをそれぞれ手に取ると、カチン、と静かに鳴らした。
ララベル・サン・ディーベルはキョロキョロと周りを見回している。
(ここに来たらアリエッタのバニーさん姿が見えるって聞いて……)
そう、本日アリエッタはバニーガールの仕事中。
休憩時間になった彼女は、ララベルを見つけると彼と合流した。
「へへー、どう? 似合う?」
一回りして見せてみる。
(恥ずかしくないわけじゃないけど、もう着ちゃったんだし開き直らないとね)
「アリエッタ、その格好良く似合ってるね」
「ふふっ、ありがと! ねぇ、休み時間だし参加してもいいよね?」
今は仕事仲間のディーラーに訊ね、OKをもらって2人でテーブルにつく。
「あたし運は良い方なんだ。ララベルと合わせれば二倍だね♪」
そう無邪気に微笑むアリエッタに、
「今日は僕の幸運のウサギさんになってね」
赤くなりながらララベルが囁く。
そして始まるゲーム。
アリエッタは『洞察』でディーラーの感情を察知しながら、自分の運にかけての勝負。
ララベルは……運に加えて、アリエッタの格好に気を取られている偶然のポーカーフェイスで勝負する。
しばらくゲームが続いた結果……
「ダメだぁ……」
大きくはないものの負けたララベルと、
「わーい! 勝っちゃったー!」
大勝ちしたアリエッタ。
嬉しさのあまり彼に抱き付いて、
「うわっぷ! あ、カードが……!」
落ちたカードを慌てて拾おうとしたララベルの手が、アリエッタのバニー衣装に引っ掛かった。
ぺろん、と大きくずり下がる衣装。手が引っ掛かった拍子に思わず顔を上げてそれを見てしまうララベル。
「――――ッ!!」
声にならない悲鳴を上げ、アリエッタは胸を押さえてしゃがみこんでしまう。
フロアの少し先を通り過ぎたバニーガールを視線で追った瞬間、ロイは激痛が走り呻いた。
「つぁ、今のは事故っ! 丁度良い位置に来ただけっ」
「……まったく」
つねる指を離したテスとテーブルにつく。
「ポーカーかぁ」
テスは戦術を練りつつ。ロイは恋人を隣に侍らせ。
ゲームが始まる。
最初のゲームでは、テスがロイからチップを巻き上げた。
「ぇ……一軒内でやり取りしても仕方なくないか?」
負け惜しみするが恋人は鼻歌まじり。
そういうことなら、と本気の勝負が始まる。
「スリーカードか……勝てないねぇ」
自信なさげに手堅く控えめに勝負するテス。
ロイは『看破』・『洞察』でディーラーの手を読み、恋人は普段の行動から本気かブラフかを判断する。
そうしてゲームが何度か進行した頃――
テスが、動いた。
にっこりと笑顔で高額のベット。
怖気付いた何人かが降りたが、ロイは残る。
テスのレイズ。ロイはまだ降りない。
更にレイズ。ここで、残るはロイだけとなった。
逃がしはしない、とばかりにダメ押しのレイズ。
「……ダメだ、参った」
とうとう降りたロイ。
「ふふっ」
そんな彼に微笑み、テスがぱらり、とテーブルに落とした手札は――ただのブタ。
「結局は勝てないなぁ……」
「ふふ、十分に楽しめたね」
散々恋人に巻き上げられてロイは頭を抱えるが、
「ロイ、あっちで二人で飲もうか」
誘いつつ頬にキスをされては機嫌を直してしまうしかない。
恋人をエスコートしてバーへ。
「楽しかったよ。ありがとう、ロイ」
「こちらこそ」
乾杯、と二人でグラスを鳴らした。
「ははァ~、こりゃ聞きしに勝る……呆れた店だ。同じ際どさでもベリーダンサーとは訳が違う。品性の欠片もないな」
カジノに入り、フロアをぐるりと見まわしたキュリアス=バルドゥの第一声がこれだ。
「ここのサービスは野郎向けのようだね」
情報屋としてカジノの調査に踏み込んだルチル・プルメリア・グレイハーツの言葉通り、店内のスタッフはほとんどが女性だ。
「男性の目線に立ったサービスの評価はできないが話の種にはなるだろうし、酒が美味いかどうか見る事はできるな」
顎に手をやり呟いたルチルに、近くのテーブルにいたディーラーが「あら、勝負は楽しまれないので?」と訊ねる。
その言葉をキュリアスは「ハン」と笑い飛ばした。
「ギャンブルぅ? する訳ないだろ? 取材だよ、取材。美しくないものから目を背けてちゃ、真の美しさは描けない。
『人生はギャンブル』とよく言うが逆も然り、ここには色々な世界が詰まってる。被写体としちゃ最高だよ。卑しくはあるが――」
「それは残念ですわ。私を負かせて自分のモノにしてくださる方かと期待していたのですが」
彼女の微笑みをキュリアスはどう捉えたのか、
「――おいディーラー。今、確かに僕を嘲笑ったな?
この僕が金や女に釣られてほっぺたとサイフ緩める安い男に見えるってなら大きな間違いだ。
だがそれで『勝負から逃げた情けないヤツ』と見下されるのはもっと我慢ならないね!
やるよ、ギャンブル。望み通りひとっ稼ぎしてやろうじゃあないかッ!」
どっかと卓に付く。やりとりを見ていたルチルはやれやれと、
「ま、こんな展開も鉄火場の面白味ってもんだ。それならアタイも楽しませてもらおうか」
純粋に本気でゲームを楽しむつもりで同じく卓に付いた。
(本気で勝つならエーテルリンクしたペットを使うがアタイが望むのは圧倒的な勝利じゃない。客目線に立って、ここが楽しめるかどうかだ)
とにもかくにも、こうしてゲームの幕が上がる――
「だぁ~いすきなのわぁ~♪ 酒! カジノ! バニーガール!」
ユークリア・フィナンシェはバニーガールを何人も指名してテンション高く楽しんでいる。
「貧しき者にパンを与えよといった聖言がヒーラーにはありますが、私が皆さんにお酒を振舞うのも経済の循環を高めて景気を良くしてパンを配ってる事になります!」
ちなみに今の聖言は彼女曰く聖職者ジョークなるデタラメである。
「さらには笑顔が広がってみんなハッピーという訳ですねヤッター!
お酒バンバン持ってきてくださーい!」
実にテンションが高い。一応彼女は若年者なので飲んでいるのはただの炭酸飲料である。
まぁ今回は基本お祭り騒ぎなノリなのでOKだ。
「兎さんは個人的に大好きなので私もバニーガールの格好したいですね!」
バニーたち大歓迎してくれたので、いったん彼女は更衣室へ。
初カジノに興味津々のロイ・アウレアは、好みのバニーに思わず目が行く。
小声で「ぉぅ」と呟いた瞬間、隣から耳を引っ張られる。
「……イタタタ」
「……ああいうのが好み?」
大胆にスリットの入ったアオザイを纏ったテス・クラルスは囁くと、指を離してくれた。
そうだった。自分は今スーツで恋人をエスコート中なのだ。さすがに不謹慎だった。
テスの方はサービスを視線で牽制。店の嬢たちは「わかっていますよ」と微笑む。
「そりゃあ、ロイの自由を奪う気はないけど。隣にいる時は、私の、だよね?」
「当たり前だろう?」
よろしい、と機嫌を直し恋人のエスコートでテスはフロアを散策する。
「何する所かは良く分からないけど……貴族の嗜み、カジノ!
僕も嗜む為に、いざ出陣! ――って、ふぁ?!」
ハル・チフはバニーガールのあられもない衣装に真っ赤になった。
普通のカジノ以上に過激なこの店の制服は、少年には刺激が強すぎたようだ。
通りがかったバニーが「どうしたの?」と軽く屈んだせいで、カップが軽く下に浮いてますます慌てる。
「レディそんな格好で……胸が溢れそう、だよ?!」
真っ赤になりながらも指の間からちらちらと見てしまう彼に、バニーガールはくすりと微笑んで、
「あらあら、じゃあこうして押さえなきゃ♪」
むぎゅ、と頭を胸の谷間に抱きかかえられてしまう。
「そうだ、ビーチ……ここはビーチだから、薄着OK……」
自分に言い聞かせるように呟くハル。
「あの子に会いたい……」
ハルと一緒に来ていたエヴァン・ピオネロは、以前ミスコンで出会った黒髪の少女の姿を思い浮かべていた。
ここに来たら彼女と出会えるのでは、と思い出補正で脳内で美化されている少女の姿を探す。
ハルが可愛がられている姿を見かけたが、
「幸せそうです……」
エッチとか感じず純粋に呟いた。
ごめん、今回彼女出す予定なかったんだ。
キーゼはポーカーのテーブルにいた。
手堅く勝負しながら、あのスタッフの足はスラっとしていて綺麗だ、あのバニーのお尻はよく引き締まってる……などと。
アルコールを傾け、遠慮なく店の女性スタッフの肢体を眺めて口にしている。
別に本心ではない。特に何も感じてないが、思ってもないことを口走ってギャンブルと女にはまるダメ人間を騙る。
――たまにはこういう俗っぽい男性のようなことをしておかないと、どうも昔に戻ってしまう。
そんな彼に、店のバニー嬢が近寄りしなを作る。指名してその身体に遠慮なく指を這わせる。
彼女は悦びの声を上げるが、その瞳でこう語る。
――ちゃんと私たちに溺れてくださいよ。本気にさせてみせますから。
……まいった。素面でいたことは見抜かれていたらしい。
これはお詫びしないといけないだろう。それに、今日はもとよりその予定だ。
彼女の腰を抱いて、ソファに移る。
――今夜は、酔いに溺れよう。
●
「――今日は随分と一見のヤツが多いな」
リリアーヌ・ウォルトグレイヴの頭上からそんな声が降ってきた。視線を上げれば若い男。
口振りからするに店の常連のようだ。場慣れしている雰囲気もそれを物語っている。
「お前は常連になりそうだったから声をかけさせてもらった。どうだ、ここは楽しめているか?」
「――えぇ、とても」
目当てが同じ人間として色目を使う気配がない男に警戒をとき、彼女は微笑んだ。
リリアーヌの両脇にはバニーガールが2人。
店に入って早々に指名して、尻を撫でたり、胸を揉んだり、口付けを迫ったり、ちょっとばかりその先の行為まで……
一応、彼女は欲望のままに行為に及んでいたわけではなく目的があった。欲望もあるが。
(私はご主人様の為に女を磨く修行をしに来たのです。
ともすれば、ご主人様の交渉の為には色仕掛けや……それ以上も厭わぬ私の女力を上げる為に、バニーガールさん達から学ぶのです!)
そんな意気込みのもと、彼女の行為をバニーガール達はどの様に受け入れ、或いは躱すのか、その駆け引きを楽しみつつ勉強させてもらっていた。
「で、一体なにがあったんだ? お前も初顔だし、連中と同じ伝手で来たんじゃないかと思うが」
男は彼女と対面、離れた位置に座る。邪魔する気も手を出す気もない、と示しているのだろう。
「そうですわね……」
教えてもいいものかと少し思案したが、冒険者ギルドに客引きのチラシを貼る店だ。後ろ暗いところはないのだろう。
そう結論付けて、経緯を軽く教えた。
「……ははぁ。だからか。確かに冒険者は金を持っているからな。ここの支店長も目敏いことだ」
「?」
「いや、ここのディーラーたちもそれなりにできるからな。戦いならともかく――ことゲームに関してなら引けを取らないぜ?」
と、そこへ漆黒のドレスを纏ったノノアがやってきた。
彼女は普通に頑張って、明日の豪華な食べ物や果物の為に稼ぎにブラックジャックに挑んだ。
気付かれないように目線だけ動かしてカードを透視しようと試みたが――さっと手で遮られ、視線を上げるとディーラーの「いけませんよ?」という微笑み。
摘み出されなかった分マシだったが、結局あまり勝てずにぶらついていたところである。
「全然ダメだった……ここのディーラー手強いわ」
「おや嬢ちゃん負けちまったか? こっち来たらなにか奢るぜ?」」
ぽんぽん、と自分の隣を叩く男。
「お金もらえるならお話やお茶ぐらいは良いわよ」
「いいぜ。ほら」
チップを弾いて寄越される。換金すれば十分すぎる額と判断して、交渉成立。
「……ボディタッチは駄目よ。尻尾ぐらいなら……上乗せしてくれるなら」
「構わないぜ」
更にチップを出されたので、OKする。
ドリンクを飲みながら尻尾をもふもふされ。
そしてそこに、
「ジャジャ~ン♪ 兎さんになってみましたー!」
バニーガールに着替えてきたユークリアがやってきた。
「おや、嬢ちゃんは新しいバニーか?」
「そうで~す♪」
ノリで答えて変な誤解が発生する。
「へぇ。じゃあ指名させてもらおうかな」
「指名ですか! 初指名もらっちゃいました!」
ノノアの反対側に座り、酒を注文した男に酌をする。
彼女たちは男たちとわいわいとカジノを楽しんだ。
「おもしろそー。でもなんかえっちなとこみたいだから一人は不安。シャロンついてきてよ」
「ギャンブルなんて、負けたら大損なんですよ!?」
「ゲームはルナがやるよー」
……こんなやりとりの末、結局折れたシャロン・ラ・モリエールと月のコンビ。
「私はあくまでサポートですよ! 合図を決めておきましょう」
こうして2人の間でサインを決める。
「こういうのはまず勝たせて食いつかせたあと一気に奪うのが定石です。最初に軽く勝てばそこで引きましょう。
もしくはある程度ぎりぎりで負けさせて、取り返したいと思わせるでしょう。前の客の様子を見るんです」
「……なんかシャロン詳しくない?」
こうして2人はゲームをする前にディーラーの様子を観察することにした。
シャロンは『記憶力』でデータを蓄積。
そして月も『洞察』で覚えていく。
(そろそろいいかな?)
(えぇ、こちらも十分です)
ブラックジャックの席に付いた月。
シャロンと共に、ディーラーの癖などはほぼ覚えたと言っていい。
配られるカードと共にディーラーを『洞察』する。
(ふふーん、それは嘘ついてるね?)
シャロンの方も同じ結論のようで頷く。
「ダブルダウン」
チップを上乗せして勝負に出る。配られたカードと合わせて20だ。
そしてディーラーのカードがオープンされる。
「!?」
手役はブラックジャック。ダブルダウンが仇となり必要以上に負けてしまった。
「――ごめんなさい、お客様」
ウィンクするディーラー。
なにかよくないと判断してこのテーブルを立つ。
……結局、2人はこの後もいくつかのテーブルを移って勝負したが負けを重ねる形となってしまった。
「主に男狙いなところか? ってなら、敢えて男と思わせてカモだと思わせた方が良いかもしれないな」
そう考えて、男装してカジノにやってきたロウトフェダー。
「カジノなんてディーラーが勝つように出来てんだもんな。勝ちたいなら隙をついて一気に勝ち抜くしかねぇ」
色仕掛けに嵌っているフリをして、油断を誘い隙を突くのが彼女の方針だ。
そんなわけで、ディーラーの胸元や鼠蹊部に視線をやってデレデレした様子で、
「ひゅー! お姉ちゃん可愛いな! 俺と一勝負しようぜ!」
「ふふっ、喜んでお相手させていただきます」
微笑んで軽く屈んだ彼女の胸の谷間が視界に入り、
「かーッ! 堪んねぇな!」
あからさまな色仕掛けに応じる。
くすくすと微笑む彼女に鼻の下を伸ばしたフリをしながら、相手の隙を窺う。
そして配られるカード。
ディーラーの様子を見て一発勝負に出たロウトフェダー。
結果は――
「私の勝ちですわね」
「あちゃー……なーんて。この一勝負だけ純粋な運勝負にできりゃよかったんだ。
やるだけやった、これで負けても悔いはねぇ」
さっぱりと潔く負けを認める彼女にくすくす笑いながら、
「本当、残念ですわ。貴方がもし本気で私を求めてくださっていたのなら、喜んで負けてさしあげていたのに」
お見通しですよ、というその言葉に、ロウトフェダーは呆気にとられた。
「やったー! 大勝ちー! 今日はとことんツイてるぜーッ♪」
大喜びしているのはマシロ・ロスコだ。
「あー、これはダメだな。降りる」
彼女はポーカーフェイスは全然ダメだ。特に作戦など考えているわけでもない。
なのになぜ勝てているのかというと――
「よっしゃ! またいい手! 勝負勝負!」
強気のレイズでオープンされた手はストレートフラッシュ。
「やりぃ! また大儲けー♪」
……とんでもない爆運が炸裂しているだけである。
「これならいけんじゃね? レイズ!」
ショーダウンでフルハウスで勝利をもぎ取る。
――なお、この日一番稼いだのは彼女であった。
●
あれからたっぷりとバニーガールに色々されたハル。
「レディ、僕にここの事を教えて下さい!」
と、いう申し出に更衣室へと連れられ、
「こ……この格好が大事なの?」
何故かディーラー衣装に着替えさせられた。
ハイレグの部分は外からアレを見えなくするもので最初から無いかのようになっている。
さすがに負け分を自腹払いとなっているディーラーの仕事をさせられないので、給仕の仕事を手伝うことになった。
「わかった、お客さんに、飲み物を配る、だね!」
「ハルさんお手伝いしてるね……」
そんなハルを見ていたエヴァン。
「……気持ちが落ち着かなくて……ぼくも何か手伝わせてください」
そして――エヴァンはバニーガールになった。(こちらもアレを綺麗に隠している)
「……最近、水着が多いです」
更衣室の鏡の前で、以前ミスコンで黒髪の少女と共にとっていたポーズを思い出して取ってみる。
「こう……だった……?」
大勢の男の前でいやらしく肢体を見せつける自分に向けられた彼らの欲情の視線を思い出し、ヘソの奥がキュッ、と熱を帯びる。
「もっと可愛くなったら……喜んでくれるかな……」
こうして。
「お客様……どうぞ……」
「レディ、飲み物いかが?」
2人の男の娘がせっせと給仕の手伝いに勤しむ。
まぁ同じ仕事をしているのだから、同じ場所に戻ってきたりするわけで。
「わぁ……可愛いね。ン? えっと? エヴァ?!
エヴァって女の子だったの?!」
あまりの驚きに自分も今女の子になっていることを忘れているハル。
「ふぁ……びっくりした。良く似合うね!」
「……嬉しいです。会える日まで……頑張る……事にしました」
はにかむエヴァンはどう見ても女の子だ。
「カジノって仮装パーティ、なんだね! レディ!」
ドヤ顔をするハルに、苦笑してしまうバニーガール。
それから、2人の男の娘は元気に店内を巡って笑顔を振りまいた。
「まぁ、折角遊んでるんだしな……上乗せだ」
バーネット・フォーサイスは暫し思案した後、ニヤリと笑い強気にチップを重ねる。
ショーダウン。相手の手は4のスリーカード。対して彼は――Jのスリーカード。
「ははッ、俺の勝ちだな」
愉快に笑い、チップを受け取る。
彼はゲームをメインに楽しんでいた。
今の勝ちでだいぶチップを増やしたが――
(ちょっと勝ち過ぎか。店に目を付けられないように適度に減らすかな)
テーブルを離れ、バーの方に移動すると先客がいた。
「? お前、なに書いてんだ?」
「うん……? このカジノについてのレポートなのだ」
振り返ったのはストレガ・L・リベルガストラだ。
彼女は遊戯、賭博の形は数あると見聞にきたクチである。
「レポートねぇ……てことはゲームもやったのか?」
「バカラを楽しんだのだ。生憎と負けたのだ」
「おっと、余計なこと聞いたか?」
「気にしていないのだ。買ったチップはないものと思えばただの入場料なのだ」
「そうか。……俺は勝った分を適度に減らそうと思って来たんでな。どうだ、おかわりはいるかい?」
「そういうことなら、お言葉に甘えるのだ」
と、そこに、
「退き時と見て終いにしたが……この僕が尻尾巻いて逃げたみたいで癪だな、くそッ」
「まぁそう言うな。あたいの勝ち分で奢るから機嫌を直しなよ」
小さく負けたところで引き上げたキュリアスと、対照的に大きく勝ったルチルが酒を飲みにやってきた。
「賑やかになってきたのだ」
「おや、同業さんといったところか」
ストレガにルチルが話しかけて座り、更にその隣にキュリアスが腰を下ろした。
「……フン、まァムカつくことを引きずりたくないしな。誘いに乗るよ」
「勝つのも負けるのもギャンブルだ。結果を引きずらず、笑って終わらせよう」
バーネットが笑ってそう言ったところで、注文した品が並べられる。
一同はバーテンダーが並べたグラスをそれぞれ手に取ると、カチン、と静かに鳴らした。
ララベル・サン・ディーベルはキョロキョロと周りを見回している。
(ここに来たらアリエッタのバニーさん姿が見えるって聞いて……)
そう、本日アリエッタはバニーガールの仕事中。
休憩時間になった彼女は、ララベルを見つけると彼と合流した。
「へへー、どう? 似合う?」
一回りして見せてみる。
(恥ずかしくないわけじゃないけど、もう着ちゃったんだし開き直らないとね)
「アリエッタ、その格好良く似合ってるね」
「ふふっ、ありがと! ねぇ、休み時間だし参加してもいいよね?」
今は仕事仲間のディーラーに訊ね、OKをもらって2人でテーブルにつく。
「あたし運は良い方なんだ。ララベルと合わせれば二倍だね♪」
そう無邪気に微笑むアリエッタに、
「今日は僕の幸運のウサギさんになってね」
赤くなりながらララベルが囁く。
そして始まるゲーム。
アリエッタは『洞察』でディーラーの感情を察知しながら、自分の運にかけての勝負。
ララベルは……運に加えて、アリエッタの格好に気を取られている偶然のポーカーフェイスで勝負する。
しばらくゲームが続いた結果……
「ダメだぁ……」
大きくはないものの負けたララベルと、
「わーい! 勝っちゃったー!」
大勝ちしたアリエッタ。
嬉しさのあまり彼に抱き付いて、
「うわっぷ! あ、カードが……!」
落ちたカードを慌てて拾おうとしたララベルの手が、アリエッタのバニー衣装に引っ掛かった。
ぺろん、と大きくずり下がる衣装。手が引っ掛かった拍子に思わず顔を上げてそれを見てしまうララベル。
「――――ッ!!」
声にならない悲鳴を上げ、アリエッタは胸を押さえてしゃがみこんでしまう。
フロアの少し先を通り過ぎたバニーガールを視線で追った瞬間、ロイは激痛が走り呻いた。
「つぁ、今のは事故っ! 丁度良い位置に来ただけっ」
「……まったく」
つねる指を離したテスとテーブルにつく。
「ポーカーかぁ」
テスは戦術を練りつつ。ロイは恋人を隣に侍らせ。
ゲームが始まる。
最初のゲームでは、テスがロイからチップを巻き上げた。
「ぇ……一軒内でやり取りしても仕方なくないか?」
負け惜しみするが恋人は鼻歌まじり。
そういうことなら、と本気の勝負が始まる。
「スリーカードか……勝てないねぇ」
自信なさげに手堅く控えめに勝負するテス。
ロイは『看破』・『洞察』でディーラーの手を読み、恋人は普段の行動から本気かブラフかを判断する。
そうしてゲームが何度か進行した頃――
テスが、動いた。
にっこりと笑顔で高額のベット。
怖気付いた何人かが降りたが、ロイは残る。
テスのレイズ。ロイはまだ降りない。
更にレイズ。ここで、残るはロイだけとなった。
逃がしはしない、とばかりにダメ押しのレイズ。
「……ダメだ、参った」
とうとう降りたロイ。
「ふふっ」
そんな彼に微笑み、テスがぱらり、とテーブルに落とした手札は――ただのブタ。
「結局は勝てないなぁ……」
「ふふ、十分に楽しめたね」
散々恋人に巻き上げられてロイは頭を抱えるが、
「ロイ、あっちで二人で飲もうか」
誘いつつ頬にキスをされては機嫌を直してしまうしかない。
恋人をエスコートしてバーへ。
「楽しかったよ。ありがとう、ロイ」
「こちらこそ」
乾杯、と二人でグラスを鳴らした。
マスターコメント
今回はまだまだシナリオ作成時に参加ルール設定をきちんと行わないといけないな、という反省点もありましたが、皆様にとって楽しんでいただけたらなによりです。
それでは、新年大盤振る舞いとなりました本シナリオにご参加くださり、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いします。
イベントシナリオ難しい 報酬:多い18 / 4〜25人
2021年01月18日 11時45分44秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
むむ、トランプで遊ぼうかと思って入ったら、よく見たらえっちな依頼だったか。 シナリオ参加者全体での勝率で成功度が変化ってことだし手堅く勝つのを目標にするよ。
さて、お願いします。 とりあえず、バニーガールを見に来た、とでも言っておけばいいんですかね?
情報屋のルチルだ。よろしく。 どんな場所か見て回ろうかと思ってきた。とりあえずゲームでもやろうかね。
ノノアよ。お金稼ぎを頑張るわ。
遅くなったが、バーネット・フォーサイスだ。 まぁ、飲む打つ買うの三拍子は代表的な道楽だしな。 とりあえず、俺は飲みながらカジノを堪能させてもらうぜ。
シャロンです。 よろしくお願いします。 このようなオトナのお店に私のような未成年が入っていいのでしょうか……(わたわた お友達の月様と行動します。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 娯楽についての見聞できたのだ。無難にやるのだ。