【聖祭】(腐)女子会しよう
九蓮宝燈
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シナリオID:388
オープニング
●
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルゥがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルゥの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――さて。今年も、各地で慰霊祭が執り行われようとしてた。
●シングルベル
冒険者ギルド・カンパリ支部併設の酒場。
ギルドの窓口業務が終わったあとの夜の十九時。職員たちの忘年会が開催されていた。
あまりにも近場での開催だが、ここのメニューは安くて美味しいからしかたない。
なぜか今回の忘年会の参加者のメンバーは圧倒的に女性率が高かった。
それも、聖霊節にデートの予定のないシングル女性ばかり。
そうなると自然と話題は恋バナに。
「聞いた話なんだけどさ。恋人のできる人とできない人の違いって、『恋人ができたらしてあげたいこと』を十個挙げられるかどうか、なんだって」
「え〜、うーん、ウィリアム王子がレイウェスト皇子にしてほしいことなら十でも二十でもあるんだけどなぁ〜」
ワインとチーズをつまみながらこんな話をしているのは受付嬢のアルミレア・A・アンダーソンと事務員のブリジット・ルイザ、愛称B.L.。
B.L.は片手でペンを回している。
彼女は絵画神ドゥジンの信徒であり、冬の礼拝に必要な原稿がまだできていない。そのため、この席でもペンを走らせているのである。ここのボックス席は机が広く、手元の視界が他の席から遮られているレイアウトであるため、作業が捗るのだ。
「次の礼拝用のアンソロジーは『レイウェスト皇子が支援者を獲得するために各国の要人に色恋営業をする』というシチュエーション合わせですから、そういう甘々はネタにしづらいですね」
加わってきたのは隣のテーブルにいたフラン。
彼女はギルドの関係者ではないが、冒険者たちのおかげでB.L.と仲良くなった。
ちなみに、フランの他にもしれっとドゥジン信徒のお嬢さんがたがいる。彼女たちはギルドの忘年会とは別口で飲みに来ているのだ。なぜならこの席は本当に原稿向きだからだ。食べ物も安くて美味しいし。
「B.L.姉さんはどっちのグループで参加なのよ〜」
「どっちもよ〜。たまたま日程が被ったのよ〜」
「最低〜、ダブルブッキング反対〜」
「もぉ〜、いいじゃない〜」
ペシペシされるテーブル。酒のせいもあり、グダグダである。カオスである。
「喋ってたら小腹減ってきたわ。パスタ頼もうかなぁ、でもここの量多いのよね」
と、宣うアルミレアの視線の先にはテンタクルスライムの触手に絡みつかれるレイウェストのイラスト。
「あ、私も食べたい。シェアしよう」
「私もいただいていいですか?」
何名かが挙手。
「この人数ならトマトとクリームと両方頼んでも余裕ね。頼んじゃうわね!」
呼び鈴を手に取るアルミレア。
「ついでにラム串とワインのおかわりも〜」
「ミネストローネも追加で!」
「あ、空いてるお皿寄せて!」
にわかに慌ただしくなるボックス席。
今夜のスポンサーであるギルド支部長は、遠慮のない注文に苦笑しながらも、若い職員が楽しく飲んでいる姿に悪い気はせず。
一方、数少ない男性職員は、カウンター席でちびちびと米の酒を嗜み。
しばらくして酒場のドアベルが鳴り、新しく入ってきた客は……。
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルゥがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルゥの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることや、想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。
赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――さて。今年も、各地で慰霊祭が執り行われようとしてた。
●シングルベル
冒険者ギルド・カンパリ支部併設の酒場。
ギルドの窓口業務が終わったあとの夜の十九時。職員たちの忘年会が開催されていた。
あまりにも近場での開催だが、ここのメニューは安くて美味しいからしかたない。
なぜか今回の忘年会の参加者のメンバーは圧倒的に女性率が高かった。
それも、聖霊節にデートの予定のないシングル女性ばかり。
そうなると自然と話題は恋バナに。
「聞いた話なんだけどさ。恋人のできる人とできない人の違いって、『恋人ができたらしてあげたいこと』を十個挙げられるかどうか、なんだって」
「え〜、うーん、ウィリアム王子がレイウェスト皇子にしてほしいことなら十でも二十でもあるんだけどなぁ〜」
ワインとチーズをつまみながらこんな話をしているのは受付嬢のアルミレア・A・アンダーソンと事務員のブリジット・ルイザ、愛称B.L.。
B.L.は片手でペンを回している。
彼女は絵画神ドゥジンの信徒であり、冬の礼拝に必要な原稿がまだできていない。そのため、この席でもペンを走らせているのである。ここのボックス席は机が広く、手元の視界が他の席から遮られているレイアウトであるため、作業が捗るのだ。
「次の礼拝用のアンソロジーは『レイウェスト皇子が支援者を獲得するために各国の要人に色恋営業をする』というシチュエーション合わせですから、そういう甘々はネタにしづらいですね」
加わってきたのは隣のテーブルにいたフラン。
彼女はギルドの関係者ではないが、冒険者たちのおかげでB.L.と仲良くなった。
ちなみに、フランの他にもしれっとドゥジン信徒のお嬢さんがたがいる。彼女たちはギルドの忘年会とは別口で飲みに来ているのだ。なぜならこの席は本当に原稿向きだからだ。食べ物も安くて美味しいし。
「B.L.姉さんはどっちのグループで参加なのよ〜」
「どっちもよ〜。たまたま日程が被ったのよ〜」
「最低〜、ダブルブッキング反対〜」
「もぉ〜、いいじゃない〜」
ペシペシされるテーブル。酒のせいもあり、グダグダである。カオスである。
「喋ってたら小腹減ってきたわ。パスタ頼もうかなぁ、でもここの量多いのよね」
と、宣うアルミレアの視線の先にはテンタクルスライムの触手に絡みつかれるレイウェストのイラスト。
「あ、私も食べたい。シェアしよう」
「私もいただいていいですか?」
何名かが挙手。
「この人数ならトマトとクリームと両方頼んでも余裕ね。頼んじゃうわね!」
呼び鈴を手に取るアルミレア。
「ついでにラム串とワインのおかわりも〜」
「ミネストローネも追加で!」
「あ、空いてるお皿寄せて!」
にわかに慌ただしくなるボックス席。
今夜のスポンサーであるギルド支部長は、遠慮のない注文に苦笑しながらも、若い職員が楽しく飲んでいる姿に悪い気はせず。
一方、数少ない男性職員は、カウンター席でちびちびと米の酒を嗜み。
しばらくして酒場のドアベルが鳴り、新しく入ってきた客は……。
解説
●目標
とくになし
●状況
カンパリ市ギルド支部併設の酒場。
時間帯は夜の19〜21時。
PCはOPの『新しく入ってきた客』、あるいはもともといた客etc、なんらかの事情でこの場に居合わせた。
●できること
・女子会
あるのは中世ファンタジー風の庶民派食堂メニュー。
最近までシャルガネフェアをやっていた名残で、シャルガネ風メニューが比較的充実している。
話題に迷ったらアルミレアが振ったのに答える形で『恋人にしてあげたいこと(架空の相手でも可)』を挙げるとよい。
・腐女子会
公式NPC萌えトーク。
現在ウィリアムとレイウェストの話題が優勢。
・男子会
女子の群れにまじりにくい人はこちら。
・その他
シチュエーションに無理のない範囲でならなんでも。
交流は原則同意が必要。アドリブ可ならアドリブ交流あり。
ラッキースケベは誰の同意もない場合はモブ含め適当なNPC相手に発動。
●NPC
リプレイ登場は必要に応じて。
アルミレア・A・アンダーソン
受付嬢。
ブリジット・ルイザ(愛称B.L.)&フランとその仲間たち
ドゥジン信徒のグループ。
春の礼拝用の新作の相談中だったが、ほぼ飲み食いしながらのヲタトークになっている。
何人かはもうすぐ開催される予定の冬の大きな礼拝のための原稿を描いて(書いて)いる。
過去作『絵物語の作者を捜索せよ』にも登場。
他、支部長などの職員たちや酒場の従業員がいる。支部長は30代の独身男性である。
マスターより
九蓮です。某庶民派イタリアンファミレスが大好きです。
これは交流用日常シナリオです。
より濃厚な思い出を作っていただくために、一人あたりの字数が多く取れるよう、定員が少なめになっています。
また、ただ飲食の席を用意するだけではプレイングを書きにくいと思ったので、いくつか話題を提供させていただいています。
BLトークしたかっただけということは決して……いや、少しだけ。
振られたネタに必ず反応しなくてはいけないということはないので、ペアやグループでの参加の方はお連れ様とだけ絡んでいただいてもOKですし、新しく話題を提供してくださってもOKです。
ただし、アドリブ多めの交流がご希望の場合、最低限話題がある程度揃っていないと難しいです。
相談卓で話題が決まらない場合はOPで提供された話題に沿って……など、ご配慮いただくと書きやすいです。
質問があれば冒頭に【質問】と書いてアルミレア宛にお願いします。
リプレイ
●今夜は無礼講
小柄なスタッフが運んできたホカホカ大皿は魅惑のパスタ。
上機嫌な歓声を上げる女性たち。今夜は女子会だ。
「汚れるわよ、原稿どかして」
腐なお姉さまも、そうでないお姉さまも皆、美味しい料理とお酒を楽しんでいる。
「あ~、おなか減った! きのこのパスタあるかなっ!?」
ドアを開けて入ってきたのはニーラ・メッコ。
お好きな席にどうぞと言われ、ボックス席へ進んだら、何かの作業をしている一団が見えた。
近づいて覗いてみると、描きかけの人物画が目に入る。
「なになに? 絵を描いてるの? へぇ~上手だねっ!」
声をかけて来たニーラを見て、ドゥジン信徒の間に以心伝心が走る。
――囲め、沼に沈めよ。布教こそ我らが喜び。無垢なるものの新鮮な反応こそ我らが糧なり。
こうしてニーラは腐女子卓へとご案内。
またドアベルが鳴って、次に入ってきたのはサマエラ=フォリウム。
楽し気な聞き覚えのある声にひかれ、ボックス席へと足を向けたら、これまた見覚えのある顔。
「こんばんは」
「あ、サマエラさん! こんばんは」
アルミレアは何度も依頼を受けてもらっているので、サマエラの顔はしっかり覚えている。
「フランは、先日振りだな……もう、すっかりと溶け込んでいるようで、何よりだ」
「あ! 先日は大変お世話になりました。おかげさまでお友達がたくさんできました」
B.L.とフランが交誼を結ぶことができたのも、サマエラ達の活躍があったからこそだ。
「サマエラさんもお食事ご一緒にどうですか?」
「そうだな。このまま少し、邪魔をしても良いだろうか」
サマエラはフランが信仰をともにする仲間になじめていることに安堵し、席についた。
席を詰めるのに一度立ち上がったアルミレアが、スィーリーンがいるのを発見。
「こんばんは! スィーリーンさんもお食事?」
「ギルドの方々とこんな所で会うなんて奇遇ですね」
「年末だからね。飲み会なのよ」
「忘年会でしたか。いつもお疲れ様です」
ドゥジン信徒の輪の中で「どなた?」と尋ねる声。
アルミレアは、冒険者の人で、細工が上手いのよ、と紹介。アルミレアが仲介した依頼では、スィーリーンはおしゃれなものを作るという分野での活躍が目立っていた。
「スィーリーンさんも一緒にどう?」
せっかくですからと、スィーリーンも仲間に加わった。
またドアベルが鳴って、入ってきたのはフリーダ=ブロムヴィスト。
「おお、これはまた沢山の人で賑わっていますね。お疲れ様です」
と、先客に挨拶。
『オンライン飲み会も悪くはないけどやはり飲み会はこれだよなあ?』
その時、フリーダに神の啓示が聞こえた気がした。
急に動きが止まったフリーダにどうしたの? と尋ねる女性たち。
「神の啓示です」
「へぇ、神はなんとおっしゃっていたの?」
フリーダが答えると、おんらいん? と一同は頭の上にハテナを浮かべる。
「私、知ってます。オンラインって、文通でしょう? 遠くのお友達からの近況を告げる手紙を読みながらお菓子やお酒を摘まむと、一緒に食事しているような気分になれるんですよね」
フランは小さい頃はよく感染症を貰っていたため、友達と言えば文通での交流だったらしい。
「『つもり』よりも『本当』よ。せっかくの宴会なんだもの。あなたも一緒に飲んでいったら?」
と、B.L.がフリーダを誘う。席をあけてそれぞれ名乗り合う。
今度はギルド側から。
依頼を終わらせ、食事をして帰ろうかと考えたニール・ロブラリアがやってきた。
ニールもまたドゥジン信徒たちの新しい友情に尽力した一人。
彼女たちが原稿をしているのを見て、進捗を尋ねようとして、禁句かな、と口をつぐむ。
「手伝おうか」
ニールは簡単な編集作業くらいなら……と申し出てみる。
「いいよ! 今からパスタ食べるとこだから作業できないし。お気持ちだけもらっておくね」
と、B.L.。
「パスタ。ボクも食べていい?」
「うん! 一緒に食べよう。店員さん呼んで小皿もらおう」
店員さんが来たときに、ニールはついでにお酒も注文。男性陣が飲んでいるものが気になったのだ。
「あれと同じのを」
人数が増えてきたということもあり、ニーラのきのこのパスタを含むいくつかの料理をさらに追加注文。
しばらくして、今度は別のドアからマーハ・アセトシソンが出てきた。
マーハは今日はここでアルバイトをしていたのだ。
「こんばんは、お姉さんたちのそれ……絵、だよね?」
先ほど配膳したスタッフは実はマーハだった。接客中にお客様の持ち物をじろじろ見るわけにはいかないが、気になったので退勤してから声をかけに来たのだ。
「あら、君も興味あるの?」
「もしよかったら見たいな、なんて」
そう答えたが最後。マーハも左右をドゥジン信徒に挟まれるポジションに。
●恋愛ゲームの出場条件
「ところで。恋人とか、聞こえた気がしたが……」
全員が座れたところでサマエラが、今話されていた話題についてたずねた。
つまり、恋人ができたらしてあげたいことを十挙げよ。
「それは……考えたことも、無かったな……恋人か……」
考え込むサマエラ。あまり他人には興味がなく、そういった感情にも薄いのだ。
「……毎日花を贈って、愛の言葉を囁いて、とか?」
言ってみたものの、物語の受け売り感が我ながらすごい、と気恥ずかしくなるニール。
「恋人となると、自分にとって大事な者に、なるのだろうな」
と、サマエラ。であればやはり、その者の日常も平穏無事なものであってほしい。
「まずは、戦闘訓練だ」
サマエラの口から出た意外なワードに、驚きと疑問の声があがる。
「この世の中、最低限身を守る力がなくては、安心できまい。私自身もまだまだ未熟ゆえ、恋人を鍛えることになるか、私が鍛えられることになるか、それは不明だが……どちらにしても、共に高めあうのは良いことだろう」
理由を聞いて、なるほどなぁと納得の声がこだまする。
「たしかに、四六時中一緒にいるわけにはいかないもの。守ってあげるより相手を鍛えるほうが理にかなっているわ」
「守ってやる、っていうのもよくある口説き文句だけど、守る側が具合悪いときどうするのって話だもんね」
女子卓と腐女子卓のリバOK派から同意の意見。左右固定派は攻と受の逆転は意見の割れるところ。
「サマエラさんが恋愛の話題にっていうのは意外だったけど、サマエラさんらしいと思ったわ」
と、何か安心したようなアルミレア。
「あとは……特別なことは、あまり浮かばないが……」
相手の好みの料理を作る、マフラーを編む、というような、女性らしいのを挙げる。
話題を共有するために、趣味を一緒に楽しんでみたい、とも。
食の好みと趣味。どちらも生活をともにする上で嗜好の一致は大変重要なポイントである。
自分には早いかも、と思いながらも考えていたニール。
美味しい料理はニールも思いついたけれど、残念ながらあまり得意ではない。ニールの作る料理を美味しいと思ってくれる人なら、ワンチャンだが……。
「してあげたいより、一緒にしたいかな」
例えば? と促され。
「花を一緒に育てたり、観賞したり……想う言葉を交わせたらな、って」
「素敵、いいわね~」
「サマエラさんのは悪い事から遠ざけるって感じだけど、ニールさんは小さな幸せで日々を満たすって感じのスタンスなのね」
話していると追加の料理が到着。個人の皿は各注文者のもとに。シェア用メニューは小皿に取り分けて配られる。
「そうですね……私個人としては以下の通りでしょうか」
十という数に苦戦する者が多い中、見事に十挙げたのはフリーダ。
「まず、ご飯を作ってあげたい。編み物も作ってあげたいです。
そして、家で一緒に過ごしてあげたいですし、旅行にも連れていってあげたい。もっとグレードアップして、冒険にも連れていってあげたいですね。故郷を紹介したいですし……もちろん、両親を紹介したい。
そして、相手の趣味をやってみたい。
そして恋人らしいと言えば。誕生日にサプライズをしてあげたいのと、やはり一緒のアクセサリーを付けてあげたい。
……おお、十個言えましたね。頑張りました」
すらすら挙げるフリーダに、誰からともなく拍手が湧きおこる。
拍手の中で、名も知れぬ神が『一部同じような内容がありませんか』とフリーダにツッコミを入れていた。
「と、とにかく頑張れば皆さんもこれだけ言えるはずです。多分」
心の中で啓示にとぼけながらフリーダが締めた。
「で、どうなの? 十個挙げられない人は恋人ができないの?」
B.L.がアルミレアに聞く。
「数はブラフなのよ。大事なのは、恋人を喜ばせるためにどうすればいいか考えられること。それと、十個挙げなさいっていうのは結構大変でしょ? そのくらいの労力を言われてその場で払えるかってところなのよ」
答えあわせはそういうことだったらしい。
「じゃあヤコブみたいなタイプは恋人できない人?」
「あの人は自分を喜ばせることで相手が喜ぶと本気思ってるタイプよね~」
「むしろ、自分の願いと相手の願いの区別ついてない気がする」
腐女子卓のイケメン情報に敏感なグループからそんな意見が出た。
●憧れと締め切りと
「お姉さんたち、なんでヤコブについてそんなに詳しいの?」
腐女子卓のメンバーは、見たところ冒険者のような武装をしていない。ニーラは疑問に思った。
「私たちはドゥジン信徒よ。独自の情報ネットワークがあるの」
信仰の在り方が軽く説明される。ドゥジンシ、礼拝、などなど。
「絵画神ドゥジン! そういう絵画の神様がいるんだね! 私、ちょっと興味あるかも!」
ニーラの他にも見たいという者が何名かいたため、信徒のなかから見せてもいい原稿が何点か供出。
その中には、なぜ見せていいと判断したのか謎であるが、レイウェストがテンタクルスライムに絡みつかれているイラストが。
「これは……もしかしてレイウェスト皇子様?」
(本人もまぁ、美男子だったけど、さらに美化されてるっぽい?)
そういったディフォルメやフィクションの創作がドゥジン信仰の特徴である。
「うーん。こうなってしまうと中々振りほどくのは大変ですし、上手く体を捻って中心核を突くしかないでしょう」
戦闘民族のようなコメントを添えるフリーダ。おそらく絵の中の皇子は、体をひねればひねるほどきわどいポーズになっていくに違いない。
「それじゃ、こっちのなぜか服がはだけている人はウィリアム王子?」
裸はある意味戦闘服。夜戦を描いた創作物を生み出すのもドゥジン信徒の祈りである。
「お姉さん達、凄い上手! 僕は絵心ないからちょっと羨ましいなぁ……」
全年齢ギリギリラインをつく絵の数々だが、空気が読める子であるマーハはおおごとにはならないよう気を付けて発言をする。
「同性同士かぁ……いや、僕はありだと思うね! 僕だって……あ、や、この話はやめておくよー」
隣で聞いていたお姉さまは気になるなぁ、と言いながらも、追加の料理が来たので深追いするわけでもなく。
「レイウェスト皇子はさ~。あの儚い感じがいいんだよねぇ」
新しいぶどうジュースのグラスを傾けながらニーラが話題を変えたので、そちらの流れに乗ることに。
「亡国の王子っていうのかな。帝国再建のために力を尽くすけど、なかなか事態はうまく進まない。そういうなんか重いモノを背負った感じ!」
「ニーラさんってわかってるのね」
「あと、目的のために自分の容姿すら利用しそうな思いつめた感じとかね」
「糞真面目すぎてコロッと騙されちゃいそうなところとか」
萌え語るドゥジン信徒達。
「ってことは、貴方達はそういう皇子をいじめたくなるサドなお姉さん方ってことですか?」
本質をついたニーラの指摘にアルミレアが大笑い。
「色んな世界があるんだなー……いい勉強になるなー」
マーハは刺激的な会話にどぎまぎしていた。
「有名な方の話題ですか?」
スィーリーンにはアレな内容は聞こえていなかったらしい。店内の騒音がいい仕事をしていた。
「私は『語らずの智者』エフレム様が好きですね。憧れております」
帝国皇子レイウェストの従者にして召喚術の世界的権威。
スィーリーンの同族の中で最も有名な人物であろう。
「あの凜としたお姿、必要ないことは語らない寡黙さ実直さ、主君に捧げる忠誠、そして二つ名を戴く程の実力。本当に素晴らしい方ですよね」
熱っぽく語るスィーリーンには年頃の少女らしさがみえる。
いつか自分も人の口の端に上るようなキャスターになれたら、と思う。
「私の衣装もエフレム様の衣装を参考にしているんです。キャスターはああいうローブ風の衣装を纏うのかと思ったものですから。色合いや装飾品は私の好みですけれど」
「さっきから気になってたの。それ、自作なの? すごく可愛いわ」
パステルトーンの青緑色を基調とした衣装に、青い宝石をあしらった金の花細工のアクセサリー。スィーリーンの衣装は彼女の鱗の色ととても合っていて、清らかで華やか。
「帝国が崩壊した際にも、エフレム様がレイウェスト殿下を守りながら見事脱出を成功させたとか。未曾有の災害にクリーパーまで蔓延る中、並大抵の苦労では無かった事でしょう……エフレム様の、主への忠義がとてもよく分かりますよね」
スィーリーンの話に、わかるわーと共感が広がる。
朴訥な性格ゆえに、その鱗と相まって冷たい印象を与えるが、その内にある熱い主君への想い。そのギャップこそがエフレムの魅力なのだ。
「そういえば、うぃるれい、れいうぃる、のお話の場合、エフレム卿はどういう立ち位置かな。きっとお話によって違うよね。興味深い」
ワインをチビチビ飲みながらニール。おつまみはシャルガネ料理らしい、四角くて白いものだ。
「ところで、アナンディーンさんやヤコブ・ヴィリアンとか出てこないの?」
「アナン好きは私」
ニーラの質問にすぐ返事があった。ドゥジン信徒の中にもきっちりケモナーはいた。新しい原稿が回覧されていく。
「ヤコブは盛り上がったのが最近だから、執筆期間がね。手の早い信徒なら次の礼拝で出してるかも」
ヤコブ派は新興勢力だが、いることはいるらしい。
「アナンディーンさんの、もふ、じゃない、蒼色の髪は、きれいて、もふもふ、おもーけ、ろ……」
ふらつくニール。
「大丈夫? ここのご飯は美味しくてお酒が進むから、飲みすぎちゃうのよね」
アルミレアがニールの前にお冷を置く。
「材料にも調味料も文句なし、なんせスタッフが優秀なんだからさ」
えっへん! と胸を張るマーハ。本当にそう、新年会もここがいいわよねーと満場一致で決まる。
「お水持ってきてもらおうよ。ついでに、そろそろデザートじゃない?」
その号令でバサバサと開かれるメニュー表。
甘いものをたべたら、今年もいよいよおしまいだ。
小柄なスタッフが運んできたホカホカ大皿は魅惑のパスタ。
上機嫌な歓声を上げる女性たち。今夜は女子会だ。
「汚れるわよ、原稿どかして」
腐なお姉さまも、そうでないお姉さまも皆、美味しい料理とお酒を楽しんでいる。
「あ~、おなか減った! きのこのパスタあるかなっ!?」
ドアを開けて入ってきたのはニーラ・メッコ。
お好きな席にどうぞと言われ、ボックス席へ進んだら、何かの作業をしている一団が見えた。
近づいて覗いてみると、描きかけの人物画が目に入る。
「なになに? 絵を描いてるの? へぇ~上手だねっ!」
声をかけて来たニーラを見て、ドゥジン信徒の間に以心伝心が走る。
――囲め、沼に沈めよ。布教こそ我らが喜び。無垢なるものの新鮮な反応こそ我らが糧なり。
こうしてニーラは腐女子卓へとご案内。
またドアベルが鳴って、次に入ってきたのはサマエラ=フォリウム。
楽し気な聞き覚えのある声にひかれ、ボックス席へと足を向けたら、これまた見覚えのある顔。
「こんばんは」
「あ、サマエラさん! こんばんは」
アルミレアは何度も依頼を受けてもらっているので、サマエラの顔はしっかり覚えている。
「フランは、先日振りだな……もう、すっかりと溶け込んでいるようで、何よりだ」
「あ! 先日は大変お世話になりました。おかげさまでお友達がたくさんできました」
B.L.とフランが交誼を結ぶことができたのも、サマエラ達の活躍があったからこそだ。
「サマエラさんもお食事ご一緒にどうですか?」
「そうだな。このまま少し、邪魔をしても良いだろうか」
サマエラはフランが信仰をともにする仲間になじめていることに安堵し、席についた。
席を詰めるのに一度立ち上がったアルミレアが、スィーリーンがいるのを発見。
「こんばんは! スィーリーンさんもお食事?」
「ギルドの方々とこんな所で会うなんて奇遇ですね」
「年末だからね。飲み会なのよ」
「忘年会でしたか。いつもお疲れ様です」
ドゥジン信徒の輪の中で「どなた?」と尋ねる声。
アルミレアは、冒険者の人で、細工が上手いのよ、と紹介。アルミレアが仲介した依頼では、スィーリーンはおしゃれなものを作るという分野での活躍が目立っていた。
「スィーリーンさんも一緒にどう?」
せっかくですからと、スィーリーンも仲間に加わった。
またドアベルが鳴って、入ってきたのはフリーダ=ブロムヴィスト。
「おお、これはまた沢山の人で賑わっていますね。お疲れ様です」
と、先客に挨拶。
『オンライン飲み会も悪くはないけどやはり飲み会はこれだよなあ?』
その時、フリーダに神の啓示が聞こえた気がした。
急に動きが止まったフリーダにどうしたの? と尋ねる女性たち。
「神の啓示です」
「へぇ、神はなんとおっしゃっていたの?」
フリーダが答えると、おんらいん? と一同は頭の上にハテナを浮かべる。
「私、知ってます。オンラインって、文通でしょう? 遠くのお友達からの近況を告げる手紙を読みながらお菓子やお酒を摘まむと、一緒に食事しているような気分になれるんですよね」
フランは小さい頃はよく感染症を貰っていたため、友達と言えば文通での交流だったらしい。
「『つもり』よりも『本当』よ。せっかくの宴会なんだもの。あなたも一緒に飲んでいったら?」
と、B.L.がフリーダを誘う。席をあけてそれぞれ名乗り合う。
今度はギルド側から。
依頼を終わらせ、食事をして帰ろうかと考えたニール・ロブラリアがやってきた。
ニールもまたドゥジン信徒たちの新しい友情に尽力した一人。
彼女たちが原稿をしているのを見て、進捗を尋ねようとして、禁句かな、と口をつぐむ。
「手伝おうか」
ニールは簡単な編集作業くらいなら……と申し出てみる。
「いいよ! 今からパスタ食べるとこだから作業できないし。お気持ちだけもらっておくね」
と、B.L.。
「パスタ。ボクも食べていい?」
「うん! 一緒に食べよう。店員さん呼んで小皿もらおう」
店員さんが来たときに、ニールはついでにお酒も注文。男性陣が飲んでいるものが気になったのだ。
「あれと同じのを」
人数が増えてきたということもあり、ニーラのきのこのパスタを含むいくつかの料理をさらに追加注文。
しばらくして、今度は別のドアからマーハ・アセトシソンが出てきた。
マーハは今日はここでアルバイトをしていたのだ。
「こんばんは、お姉さんたちのそれ……絵、だよね?」
先ほど配膳したスタッフは実はマーハだった。接客中にお客様の持ち物をじろじろ見るわけにはいかないが、気になったので退勤してから声をかけに来たのだ。
「あら、君も興味あるの?」
「もしよかったら見たいな、なんて」
そう答えたが最後。マーハも左右をドゥジン信徒に挟まれるポジションに。
●恋愛ゲームの出場条件
「ところで。恋人とか、聞こえた気がしたが……」
全員が座れたところでサマエラが、今話されていた話題についてたずねた。
つまり、恋人ができたらしてあげたいことを十挙げよ。
「それは……考えたことも、無かったな……恋人か……」
考え込むサマエラ。あまり他人には興味がなく、そういった感情にも薄いのだ。
「……毎日花を贈って、愛の言葉を囁いて、とか?」
言ってみたものの、物語の受け売り感が我ながらすごい、と気恥ずかしくなるニール。
「恋人となると、自分にとって大事な者に、なるのだろうな」
と、サマエラ。であればやはり、その者の日常も平穏無事なものであってほしい。
「まずは、戦闘訓練だ」
サマエラの口から出た意外なワードに、驚きと疑問の声があがる。
「この世の中、最低限身を守る力がなくては、安心できまい。私自身もまだまだ未熟ゆえ、恋人を鍛えることになるか、私が鍛えられることになるか、それは不明だが……どちらにしても、共に高めあうのは良いことだろう」
理由を聞いて、なるほどなぁと納得の声がこだまする。
「たしかに、四六時中一緒にいるわけにはいかないもの。守ってあげるより相手を鍛えるほうが理にかなっているわ」
「守ってやる、っていうのもよくある口説き文句だけど、守る側が具合悪いときどうするのって話だもんね」
女子卓と腐女子卓のリバOK派から同意の意見。左右固定派は攻と受の逆転は意見の割れるところ。
「サマエラさんが恋愛の話題にっていうのは意外だったけど、サマエラさんらしいと思ったわ」
と、何か安心したようなアルミレア。
「あとは……特別なことは、あまり浮かばないが……」
相手の好みの料理を作る、マフラーを編む、というような、女性らしいのを挙げる。
話題を共有するために、趣味を一緒に楽しんでみたい、とも。
食の好みと趣味。どちらも生活をともにする上で嗜好の一致は大変重要なポイントである。
自分には早いかも、と思いながらも考えていたニール。
美味しい料理はニールも思いついたけれど、残念ながらあまり得意ではない。ニールの作る料理を美味しいと思ってくれる人なら、ワンチャンだが……。
「してあげたいより、一緒にしたいかな」
例えば? と促され。
「花を一緒に育てたり、観賞したり……想う言葉を交わせたらな、って」
「素敵、いいわね~」
「サマエラさんのは悪い事から遠ざけるって感じだけど、ニールさんは小さな幸せで日々を満たすって感じのスタンスなのね」
話していると追加の料理が到着。個人の皿は各注文者のもとに。シェア用メニューは小皿に取り分けて配られる。
「そうですね……私個人としては以下の通りでしょうか」
十という数に苦戦する者が多い中、見事に十挙げたのはフリーダ。
「まず、ご飯を作ってあげたい。編み物も作ってあげたいです。
そして、家で一緒に過ごしてあげたいですし、旅行にも連れていってあげたい。もっとグレードアップして、冒険にも連れていってあげたいですね。故郷を紹介したいですし……もちろん、両親を紹介したい。
そして、相手の趣味をやってみたい。
そして恋人らしいと言えば。誕生日にサプライズをしてあげたいのと、やはり一緒のアクセサリーを付けてあげたい。
……おお、十個言えましたね。頑張りました」
すらすら挙げるフリーダに、誰からともなく拍手が湧きおこる。
拍手の中で、名も知れぬ神が『一部同じような内容がありませんか』とフリーダにツッコミを入れていた。
「と、とにかく頑張れば皆さんもこれだけ言えるはずです。多分」
心の中で啓示にとぼけながらフリーダが締めた。
「で、どうなの? 十個挙げられない人は恋人ができないの?」
B.L.がアルミレアに聞く。
「数はブラフなのよ。大事なのは、恋人を喜ばせるためにどうすればいいか考えられること。それと、十個挙げなさいっていうのは結構大変でしょ? そのくらいの労力を言われてその場で払えるかってところなのよ」
答えあわせはそういうことだったらしい。
「じゃあヤコブみたいなタイプは恋人できない人?」
「あの人は自分を喜ばせることで相手が喜ぶと本気思ってるタイプよね~」
「むしろ、自分の願いと相手の願いの区別ついてない気がする」
腐女子卓のイケメン情報に敏感なグループからそんな意見が出た。
●憧れと締め切りと
「お姉さんたち、なんでヤコブについてそんなに詳しいの?」
腐女子卓のメンバーは、見たところ冒険者のような武装をしていない。ニーラは疑問に思った。
「私たちはドゥジン信徒よ。独自の情報ネットワークがあるの」
信仰の在り方が軽く説明される。ドゥジンシ、礼拝、などなど。
「絵画神ドゥジン! そういう絵画の神様がいるんだね! 私、ちょっと興味あるかも!」
ニーラの他にも見たいという者が何名かいたため、信徒のなかから見せてもいい原稿が何点か供出。
その中には、なぜ見せていいと判断したのか謎であるが、レイウェストがテンタクルスライムに絡みつかれているイラストが。
「これは……もしかしてレイウェスト皇子様?」
(本人もまぁ、美男子だったけど、さらに美化されてるっぽい?)
そういったディフォルメやフィクションの創作がドゥジン信仰の特徴である。
「うーん。こうなってしまうと中々振りほどくのは大変ですし、上手く体を捻って中心核を突くしかないでしょう」
戦闘民族のようなコメントを添えるフリーダ。おそらく絵の中の皇子は、体をひねればひねるほどきわどいポーズになっていくに違いない。
「それじゃ、こっちのなぜか服がはだけている人はウィリアム王子?」
裸はある意味戦闘服。夜戦を描いた創作物を生み出すのもドゥジン信徒の祈りである。
「お姉さん達、凄い上手! 僕は絵心ないからちょっと羨ましいなぁ……」
全年齢ギリギリラインをつく絵の数々だが、空気が読める子であるマーハはおおごとにはならないよう気を付けて発言をする。
「同性同士かぁ……いや、僕はありだと思うね! 僕だって……あ、や、この話はやめておくよー」
隣で聞いていたお姉さまは気になるなぁ、と言いながらも、追加の料理が来たので深追いするわけでもなく。
「レイウェスト皇子はさ~。あの儚い感じがいいんだよねぇ」
新しいぶどうジュースのグラスを傾けながらニーラが話題を変えたので、そちらの流れに乗ることに。
「亡国の王子っていうのかな。帝国再建のために力を尽くすけど、なかなか事態はうまく進まない。そういうなんか重いモノを背負った感じ!」
「ニーラさんってわかってるのね」
「あと、目的のために自分の容姿すら利用しそうな思いつめた感じとかね」
「糞真面目すぎてコロッと騙されちゃいそうなところとか」
萌え語るドゥジン信徒達。
「ってことは、貴方達はそういう皇子をいじめたくなるサドなお姉さん方ってことですか?」
本質をついたニーラの指摘にアルミレアが大笑い。
「色んな世界があるんだなー……いい勉強になるなー」
マーハは刺激的な会話にどぎまぎしていた。
「有名な方の話題ですか?」
スィーリーンにはアレな内容は聞こえていなかったらしい。店内の騒音がいい仕事をしていた。
「私は『語らずの智者』エフレム様が好きですね。憧れております」
帝国皇子レイウェストの従者にして召喚術の世界的権威。
スィーリーンの同族の中で最も有名な人物であろう。
「あの凜としたお姿、必要ないことは語らない寡黙さ実直さ、主君に捧げる忠誠、そして二つ名を戴く程の実力。本当に素晴らしい方ですよね」
熱っぽく語るスィーリーンには年頃の少女らしさがみえる。
いつか自分も人の口の端に上るようなキャスターになれたら、と思う。
「私の衣装もエフレム様の衣装を参考にしているんです。キャスターはああいうローブ風の衣装を纏うのかと思ったものですから。色合いや装飾品は私の好みですけれど」
「さっきから気になってたの。それ、自作なの? すごく可愛いわ」
パステルトーンの青緑色を基調とした衣装に、青い宝石をあしらった金の花細工のアクセサリー。スィーリーンの衣装は彼女の鱗の色ととても合っていて、清らかで華やか。
「帝国が崩壊した際にも、エフレム様がレイウェスト殿下を守りながら見事脱出を成功させたとか。未曾有の災害にクリーパーまで蔓延る中、並大抵の苦労では無かった事でしょう……エフレム様の、主への忠義がとてもよく分かりますよね」
スィーリーンの話に、わかるわーと共感が広がる。
朴訥な性格ゆえに、その鱗と相まって冷たい印象を与えるが、その内にある熱い主君への想い。そのギャップこそがエフレムの魅力なのだ。
「そういえば、うぃるれい、れいうぃる、のお話の場合、エフレム卿はどういう立ち位置かな。きっとお話によって違うよね。興味深い」
ワインをチビチビ飲みながらニール。おつまみはシャルガネ料理らしい、四角くて白いものだ。
「ところで、アナンディーンさんやヤコブ・ヴィリアンとか出てこないの?」
「アナン好きは私」
ニーラの質問にすぐ返事があった。ドゥジン信徒の中にもきっちりケモナーはいた。新しい原稿が回覧されていく。
「ヤコブは盛り上がったのが最近だから、執筆期間がね。手の早い信徒なら次の礼拝で出してるかも」
ヤコブ派は新興勢力だが、いることはいるらしい。
「アナンディーンさんの、もふ、じゃない、蒼色の髪は、きれいて、もふもふ、おもーけ、ろ……」
ふらつくニール。
「大丈夫? ここのご飯は美味しくてお酒が進むから、飲みすぎちゃうのよね」
アルミレアがニールの前にお冷を置く。
「材料にも調味料も文句なし、なんせスタッフが優秀なんだからさ」
えっへん! と胸を張るマーハ。本当にそう、新年会もここがいいわよねーと満場一致で決まる。
「お水持ってきてもらおうよ。ついでに、そろそろデザートじゃない?」
その号令でバサバサと開かれるメニュー表。
甘いものをたべたら、今年もいよいよおしまいだ。
マスターコメント
皆様ご参加ありがとうございました。
皆様の恋愛観、推しキャラなど、プレイングを楽しく拝見させていただきました。
ヤコブのドゥジンシは需要の程度はともかく絶対ありますよね。
今年はお世話になりました。
来年も皆様に楽しんでいただけるよう、試行錯誤していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
ショートシナリオ易しい 報酬:無し6 / 4〜6人
2020年12月30日 14時15分32秒 公開
大成功
相談掲示板
キャスターのニーラ・メッコです。 よろしくね!
続けてキャスターのマーハ・アセトシソンだよ。よろしくね
キャスターのスィーリーンと申します。 よろしくお願いします。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。
シューターのニールです。よろしくね。
おお、6人揃っていたか、顔出しが遅れ済まない。 ゴブリン、ヒーラー、サマエラだ。よろしく頼む。 前に会ったのもあり、フランに調子はどうかと声をかけつつ、 アルミレアの振りに答えようかと、思っているが。 もし何か全体で話題があるならば、そちらにも乗らせてもらえたら、幸いだ。
有名な方(公式NPC)のお話が出ている様ですし、 私は『語らずの智者』エフレム様のお話をしようと思っています。 私の憧れの方ですから。 (※今のところ腐方向ではないです。ないです)
レイウェスト皇子には会った事があるから、ちょっと話題に参加できるかなぁ。