【初夢】第二王子の野望
弓月 蒼
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シナリオID:351
オープニング
――――王国北方を領地とする国境領主。通称、辺境伯。
メルヴィン・トマス・アーチボルトは、常に無数の執務を抱え、眠るときは沈み込むように眠る。
その眠りは短くとも深く、あまり夢を見た経験がない――――と、当人は自覚していた。
いや、もしかすると見たことがあるのかもしれないが、それが記憶に残ることはまず無かった。
だからこそだろう。アーチボルト辺境伯は今、間違いなく夢を見ていることを理解している。
明晰夢、と言う言葉こそ脳裏に過ぎらずとも。授恵者として積み上げた経験が。実績が。研鑽が。
自分が居るのが幻覚や幻術の類でないことを示している。夜中、寝台に身を横たえた記憶もある。
今、自分が眠っていることは間違えようも無かった。例えそこが謎の桃色空間だったとしてもだ。
「……奇怪な、光景だ」
すい、と細められた眼差しには“玲瓏にして優雅”と称されるメルヴィンの外向きの仮面が外れている。
元よりその本質は実直と勤勉を美徳とする軍人だ。警戒時に貴族を演じる程酔狂でもない。
そう、彼は夢を夢だと理解してたがそれとは別に、同時に過去例の無い事態に警戒を解いていなかった。
謎の桃色空間の彼方から、自身へ向かってくる人影が在れば、猶更だ。
「おっ! やあ、辺境伯。奇遇だね。僕もこれは『夢』かなあと思ったところでね」
言って片手を上げた人物、爽やかに胡散臭い笑みを浮かべたリーンエス第二王子である。
その声からも、仕草からも、違和は感じられない。感じられないからこそ、僅か眉を寄せる。
「その様ですね。王子は、この様な夢は良く見られるのですか」
敢えて口調を造る。普段、他人の前でウィリアムと会話する時は臣下の礼を解きはしない。
視線と言うのは何処にあるか分からないのだから、今も私人でなく公人として接すべきだろう。
「いやあ、興味深いね。僕もこういった経験がある訳ではないのだけど」
考える様に視線を逸らす。珍しい仕草だった。この王子は傑物の類だ。
大体に於いて動く時は既に自分の中で結論を出している。動いた後に熟考などしない。であれば――――
「とりあえず、まず王国騎士全員の制服をミニスカートにすることから始めてみようと思うんだ」
「……は」
「膝上30cm以下は死罪」
「!?」
――――一瞬思考が停止した上で、再度咀嚼しても何を言われたのか良く分からなかった。
何だ。何が起きている。エーテルを用いた精神攻撃の類か。
夢、と言う物の発生原理は分からないが、これが自分の中から生まれた想像の産物だとしたならば。
戦慄と共に恐怖に程近い危機感を感じる。自分は、此処まで追いつめられるほど疲れていただろうか。
「しかし、この際『貴族派』の妨害は十分想定される展開だ。辺境伯、頼めるかな」
「……頼めるか、とは」
どういうことでしょうか。と問いはしなかった。凡そ返答は想像が付いていたからだ。
同時に確信していた。多分、自分は自覚以上に執務に追われ疲労していたらしい。少し休もう。
「妨害する者をことごとく駆逐して欲しいんだ」
想像の斜め上を行っていた。
「お待ち下さい王子。確かに貴族派の専横、目に余る節は有ります。しかしその様な暴挙王が許しますまい」
「構わない」
「!?」
何が構わないというのか。何もかもが構うのではないだろうか。ガバガバ過ぎる。
自分はウィリアムを一体何だと思っているのか。そして夢とはこんなに疲れる物だったのだろうか。
「良いかな。メルヴィン・トマス・アーチボルト。これは王族としての僕の権利だ」
遂に暴君の様なことを言い始めた。
「王国全土の騎士団の制服をミニスカートにするんだ。反する者を全て滅ぼすことになったとしても」
つい先日。貴族は王族を支える物だと言い放ったことをこの期に及んで思い出した。
どうしてそんな口上を切ってしまったのか。しかし、貴族の言とはそう軽い物ではない。
「……御考え直し下さい。王国の騎士には、老若男女おります」
「構わない」
構わなくない。そしてそれどころではない。これでは、国が割れてしまう。
「……王子、王国は、あくまで王の下で――――」
「父上の許可は取った」
「!?――――!!!???」
ウィリアムが取り出した書状は玉璽による捺印済だった。退路が無い。そして、辺境伯は貴族である。
王命が下ったとしたならば。それが例えどれほど下らない物であったとしても。
それが、夢の中の出来事であったとしても――――
「――――御意に」
一体どうして、出来ない等と口に出来よう。
●何故か敗北フラグしかない王国貴族同盟に編入されてしまいました。
「セェラァ・フック伯爵が殺られました……」
「12部隊居た騎士団が全滅だと? 3日も経たずに……!? 王都の辺境伯はば、化け物か!」
「■■■――――――ッ!!!」
(何、所詮奴は貴族派四天王の中では一番の小物。王国貴族同盟の面汚しだ)
「ならば次は君が行ってくれるというのかね。フェイス・ブルマー暗黒卿」
「ほほほ、いいえ。此処はアタクシが総人口の決定的な差と言う物を見せつけてあげましてよ」
「貴女は、貴族派四天王の紅一点――王宮の貴腐人こと、カイサック・ティガイ伯爵夫人ッ!」
「知っているのかユリスコ・ジェイケー公子!!」
「ふ、まあ明日来て下さい。この僕が本物のティーンズ女子のイチャイチャって奴を見せてやりますよ」
「デュフフ……! 漲って来ましたぞ……!!」
「ふぅむ、どうも我々崇高なる貴族同盟に相応しくない御仁がいらっしゃる様だ。摘まみ出せ」
「了解しました同志」
「お待ち下されお待ち下され、殿中でござる殿中でアッ――――――――――!!!」
昨日の強敵は今日の戦友。とはいえ大半が所詮前線に出たこともない貴族である。
会食の合間に喧々囂々喧々囂々、突然発狂した王族と第二王子に対する為結成された貴族同盟。
その総数は当初10万を数えていたが、やれ子爵がやられ男爵がやられエトセトラエトセトラ。
何か気付いたら半分になっている。しかし戦争は未だに現場ではなく会議室で行われていた。
そう、シャルガネ居住区に曰く――――船頭多くして、船山に上るという奴である。
仕方ないね。
●以上、現場からダイジェストでお届けしました。
――――
――――――――
――――――――――――
――――――――――――結局。
何故こんな夢を見ているのか。登場人物であるところの辺境伯や貴族たちに理解できる筈も無く。
そしてそんな一部始終を神の目線で見せられているあなたは、より一層訳が分からないことだろう。
とはいえ間違いないことは、この状況が全くの夢であるという事実である。
しかし、このままでは(夢の中で)王国が理不尽な内乱に襲われることは間違いない。
止めるか、勧めるか。分岐点は今、この瞬間を於いて他にない。
全ては、この夢を観測している――――冒険者たちに委ねられたのだ――――!!!
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※このシナリオは『夢オチシナリオ』です。
シナリオ内容は架空の物であり、アニエピカの世界観に一切影響を与えません。忘れます。
報酬は起床後、冒険者ギルドに行ったら何故か貰えたお年玉的なものです。
解説
マスターより
リプレイ
●ミニスカートだった
「こちらは5000、敵は50000を超える。だが、敗北する余地は微塵もない」
『辺境伯』メルヴィン・トマス・アーチボルトはミニスカートだった。
だが、その朗々たる声音には微塵の揺らぎもない。白い外套が陽を反射して輝いていた。
「王は勝利をお望みだ。ならば勝て。我らの研鑽は、諸兄の誇りは、勝利の上にのみ証明される」
拳を振り上げ方々から上がる鬨の声。そうした騎士も皆ミニスカートだった。
『ドゥジンシ玄人』エルナ・クルプファルツもまた、そうした騎士たちに囲まれている。
「我らがリーンエス王国に、栄光あれ」
新年最初の夢がこんなものである事にほんの少しだけの絶望感を憶えつつ。
とりあえず場の空気に流されて拳を振り上げた。
尚、彼女は騎士ではないし騎士の制服も着ていない為、ミニスカートでは、ない。
より具体的に言うならば、彼女だけが、ミニスカートでは、ない。
「夢とはいえ不本意なミニスカで戦わなければならない状況、心中お察しします!」
「ああ、ありがとうございます。夢とは言え、王命とは言え、理不尽の極みですね」
会話が通じると言うだけでほっとした表情のメルヴィンに、割と心底同情的なエルナ。
けれど、夢とは進めねば醒めぬもの。本当にそうかはともかく先ずは勝たねば始まらない。
「ヒューマンの国は変わっているのね。いつもこんなことをやっているの?」
辺境伯の背後で声を上げた『合法童女』イネス・エレディアはエルフである。
しかしその外見は10才児。流石にこれに膝上30cmを求めるのは酷だと第二王子も考えたのか。
彼女もまたミニスカートではあったが、その裾はフリルで飾られた特注品だった。
恐らく辺境騎士団の誰かが夜鍋して縫ったのだろう。膝がギリギリ隠れる辺りで止まっている。
そんなどうでも良い裏事情はさておき、彼女の問にメルヴィンは大きく息を吐く。
「常日頃からこうであれば、王国は最早人界に存在していません」
「そうね、こんな状態じゃ冒険者の仕事もできないから……
とりあえず、さっさと攻めて皆殺しにしましょう。今は巧遅より拙速が勝るわ」
「同感です」
「最悪両方全滅すれば夢は醒める」
「同感です」
「あ、胃薬差し入れしておきますね!」
「ありがとうございます」
目が死んでいる辺境伯など、この先百年生きたとしても見れるかどうか。
そういう意味では初夢で稀有な光景を目にしている訳だが、多分誰も幸せではない。
「――――伯、敵襲です!!!」
其処に、走り込む伝令兵。その衣装は乱れており、しかしミニスカートは死守している。
体躯に矢を浴びてまで守る物ではないと言う突っ込みは誰からも入らない。
「誰だ。一番近くに兵を展開していたフェイス・ブルマー暗黒卿か」
「いえ、それが――――」
伝令兵が挙げたその驚異の敵に、精兵で知られた辺境騎士団の面々すらもが思わず凍りつく。
そう、例え夢であっても――あと全年齢向けであるからこそ――恐るべき、その勢力とは。
●ZENRA is FREEDOM
――――男は、何も着ていなかった。
「服を着てるから争うんだよ」
――――何も着ない男へ、精兵の騎馬隊がミニスカートを棚引かせ突っ込んでいく。
だが、無駄! 其処には残像の如き光しか残らない。元々は股の間を隠していた、それ!
光を置き去りにした男を捉えることなど、一体誰に出来るだろうか。
超加速とか瞬間移動何て常識的な物ではない。認識の、否。知覚の外側――――!
それは当然のことであった。知覚してしまえば、描写しなくてはならない。
だが、それは大人の事情で決して許されはしないのだ! 故に、その挙動は一切の無謬!
「全裸は良い。動きを阻害されることもない」
声だけだ。声だけが聞こえる。そして騎馬隊の面々が改めて自分の姿を確認した時。
彼らもまた――――何も着ていなかった。
「お前も、ZENRAになれ」
男の名はナハシュ。群雄割拠する第三勢力が一角。『ZENRA』ナハシュ。
「……一体何がどうしてこんなことに?」
状況について行けていない少女が空へ問う。
"今回は夢オチ覇王ルートを目指しましょう"
「夢オチ?」
"何も問題はありません。イイネ?"
「アッハイ」
"とりあえずあのミニスカートですらなくなった人達を取り込んでいきましょう"
「そうですね。皆さん、性癖は自由。自由なのです。
私は皆さんがZENRAだからと言って差別しません。私達は分かりあえるはずです」
圧倒的カリスマと甘言で全裸にされた兵士達を取り込んでいく第三勢力が一角。
『RTA』フリーダ=ブロムヴィストの背には五光が射して見えたという。
ZENRA即ちフリーダムであった。名前が入っていて嬉しいとか言ってる場合ではない。
暗躍する両名によって、ミニスカート派が徐々に、けれど確かに浸蝕を受けていく。
●両雄激突
他方、その機を逃さず進軍するは反ミニスカート貴族連合。
「この戦い、負けるわけには行かないんです……!」
地を裂き天を裂き海すら断ち切る大戦斧一閃。敵陣を真っ二つにする熊獣人。
『スカート丈は自由!』ハルハン・ツァガーンナルが衝撃波を撒き散らしながら突き進む。
本来、先鋒と言うのは敵陣の戦意を削ぐ役割も担うが、これは何か違う。
少なくともエーテルの衝撃波を四方八方に放ちながら半泣きで駆ける狂戦士――――
――――なんてものに真っ向から立ち向かうのは愚かを通り越して自殺志願者の所業だ。
「膝上30センチのミニスカートなんて穿いたら、見えちゃうじゃないですか……!
ボクみたいな身長がある人は、気になってしまうんですよ……!」
その言には一理あれど、流石に近付かなければ声も聞こえない。
ツァガーンナルはあたかも無人の大地を行くが如くである。流石英雄級は面構えが違う。
「服装の自由を死守するのです!いろんな服を着ることを至上の喜びとする
『おしゃれさん』にとって、単一性癖の強制は万死に値する……!」
一方本陣ではセクシー巫女服を翻し……ってシスター設定は何処へ行ったの。新年だからか。
それともおしゃれか。『おしゃれさん』シャロン・ラ・モリエールが扇子を打ち鳴らす。
「ロングスカート隊、前進!」
その用兵は、一見シンプルな単横陣に見える。
横一列に並んだ兵は遊軍こそ少ないが、陣形としては変化を前提とする故に隙が大きい。
対する辺境騎士団は騎馬と歩兵と言う正統派兵種が中心ではある。
が、ミニスカートであるが故に機動力が高く、その長所を生かした鋒矢陣だ。
「あなたがこの作戦の要であると神のお告げがありました。悠人様、よろしくお願いします」
「え、俺出るの? えぇ……別に俺……巨乳であればロングでもミニでもいいんだけどな」
服飾フェチにでかぁぁぁかぁい! かちっさぁぁぁぁい! か説いても釈迦に説法である。
「……てかなんでシャロンそんなやる気なの」
「面白そうだから! ですが何か!!」
「いやまぁ……いいけどさ」
『巨乳党』悠人・ラドルファスがロングスカート隊に混ざり進み出る。
言ってしまえば、この戦いはこの時この瞬間。ほぼ趨勢が決したと言って良い。
斥候によって敵陣を測ろうとした瞬間、数十匹のリスが戦場を駆け抜けてくるのが分かった。
そう、エルナのエーテルリンク100を以て初めて成る100匹多重エーテル分身の術だ。
情報という情報の全てを狩り尽くし、その可動域から戦闘力、性癖に至るまで。
諸々丸見えとなったロングスカート隊が狂乱する。人に暴かれる程恥ずかしいこともあまり無い。
「まずいな、モブガード!」
そんな混乱の最中、何処から飛んできたのかすら分からない超広域爆撃が本陣を襲う。
顔面で受け止めさせられたモブ兵士は、あはれ悠人の盾となり爆発四散! 因果応報!!
しかしイネスが放ったのは曰く――――『巫弓・爆種閃』
着弾地点を中心に連鎖的に爆裂破壊を広げていく英雄級の大量破壊スキル。
「くっ、これが……これがミニスカートの力……!」
極めて真っ当なスキルで相対そうとしていた悠人にとってみれば意味不明にも程がある。
はっちゃけた方が強い。夢の世界の基本原則である。
「やりますね、なるほど確かにミニスカートは一見健康的色気に満ちている。
ですが、ロング丈には色気がないと? いいえ、そんなときこそタイトスカートです!」
シャロンもまた、突然生えた森にタイトスカート兵を隠しこれを回り込ませて敵本陣を脅かす。
未だかつての貴族連合には一切存在しなかった真っ当な用兵だ。
此処まで連戦連勝を重ねた辺境伯もこれには居住まいを正さるを得ない。が、しかし―――
「伏兵なんか、超捜波でお見通しです!」
周囲を圧倒的広範囲で索敵する超捜波を以てすれば。
伏兵の存在を察して気付くことそのものは難しくとも、敵影の存在は一目瞭然であり。
「こんな下らない争いに巻き込まれるのは不本意だけど、とりあえず殺すわね」
放った矢が地に触れるや、対象の挙動を縫い止める魔性の蔦を生やすイネスの英雄級スキル。
曰く――――【巫弓・縛樹閃】がタイトスカート兵の露出した脚部に絡みついた。
「良いのか辺境伯。アンタは! 本当にこれで良いのか!
他の皆が命懸けで性癖晒してる時に自分だけ性癖さらさずに、なんでそんな被害者ぶってるわけ!?」
兵が爆散していく中、悠人の叫びが木魂する。
戦いの趨勢が決したとしても。これだけは譲れない。命を賭すに値するのだと戦場を駆ける。
けれど、その願いが届くことはない。公式が許さなかった訳では断じて無く――――
「ごめんなさい。ミニスカ軍も変態連合もこのままにはしておけないんです」
後少しで本陣。その背後を取った第三勢力――――『変態狩り』イヴェール・イリュジオン。
その一撃が、追い詰められていた悠人の意識を刈り取ったからだ。
「ドゥジンシ如何ですか! 活きの良いドゥジンシ如何ですか――――!
あ、そこのお姉さん確かウィル×レイとか好きだった筈!」
「話が分かりますね……ここが戦場で無ければ――――同士と呼べたかもしれません!」
イヴェールが辺境伯本陣へ忍び込む傍ら。貴族連合本陣へ辿り着いたエルナもまた。
シャロンと言う好敵手と相見える事になる訳だが、それはまた別の話である。
●決戦、第二王子
「スカート丈の長さの自由を! せめてスカートの下につけるものは自由に! ――――ひっ」
敵陣を切り拓いて本陣へ突入したツァガーンナル。
彼女が目の当たりにした者は、全裸集団とミニスカートであった。
この時点で少女の許容量がリミットオーバーしたことを、果たして誰が責められよう。
「抵抗するな、俺は紳士。衣類を破壊するだけで許してやる!」
「視覚のみならず知覚そのものを迷彩してくるとは面妖な……だが、此処は通さん!」
奥では謎の光が行ったり来たりする傍ら、メルヴィンが愛剣を振るって大立ち回りをしている。
全裸とミニスカートの実力は拮抗、辺境伯直属の近衛部隊を、全裸が数で追い立てる。
其処は、軍の本陣とは誰が説明しても信じられない地獄の様相を呈していた。
勿論フリーダム軍が戦いの混乱に乗じて奇襲してきた為である。フリーダムにも程がある。
「私達は自由であるべきなのです! 自由こそ一番!」
「何この人達、怖い……! こんな時、どんな顔すれば良いんですか!?」
見たくもない屈強な男たちのしどけなき裸体を目の当たりにしたツァーンガナル。
笑えば良いと思うよ……? どころではないのである。
フリーダム軍を応援するフリーダを当面の敵と見て。否。見るからに敵なので斧を構え突貫する。
周囲全周何処へ目を向けても筋肉orミニスカートだ。何、この子何か悪いことした?
手当り次第に敵を捌いていくが恐怖心が先に立つ。股の間の光何これ恐い!!
「くっ、まずい敵襲ですか。このままだとロ=スが……!」
“ランダムイベントを踏んだようなので、分岐前からのリ=トライ推奨”
「あれ? いつもの啓示と違うような?」
ツァーンガナルの衝撃波に押され始める全裸フリーダム軍。しかし状況は更に加速する。
その人影に最初に気付いたのは、ZENRA。即ち、ナハシュだった。
「――――――頭を垂れて平伏せよ」
その言霊は質量すら以て、全裸の男を大地へと叩きつける。
視線を向ければ其処には大体『リブラネスタ』の冒険者街を見れば佇んでいる人物。
或いは、ほとんど毎日「踊る子熊亭」で一杯やっている放蕩第二王子が佇んでいた。
しかし、纏う鬼気たるやどうだ。気配がまるで違う。派閥が異なるナハシュですら逆らえない。
「期待以上だけれど、期待以下だ。残念だよ辺境伯。
敵授恵者を討てたのは授恵者ばかり。何故に辺境騎士団はこれほどまでに弱いのか」
嘆息するウィリアム・リーンエス。その姿を目の当たりにして。
冒険者達は理解する。この男こそがこの世界の特異点――――排除すべき、敵なのだと。
「お命、頂きます――――!」
その伏兵は、この時この時点まで天幕に潜み続けていた。
両軍の頭を潰す。ただそれだけを目的として。イヴェールが抜刀一閃王子の首を掻く。
だが、返ってきたのはまるで鋼の塊の様な手応え。首が硬い。刃が通らない――――!
「やれやれ……ミニスカートでもないお嬢さんの手遊びなどで、僕は倒せない」
何だそれ、チートじゃないか。否、チートなのである。
何せこの男、ミニスカートを履いていない。
「私は趣味性癖は個人で楽しむのは自由と考えています!
例え王子がミニスカートを履こうがそれは個人の自由だから許します!」
「違う違う違う。僕はね、ミニスカートを履きたいんじゃない。履かせたいんだ」
「貴方は……何を言ってるんですか!?」
「僕にミニスカートを履かされることは、災害にあったのと同じと思えば良い」
「!?」
其処には、確かに神の加護が宿っていたのかもしれない。
底知れないエーテル量は目にすら映るほどだ。けれど、確信する。
イヴェールのみならず。ナハシュも。フリーダも。そしてツァガーンナルも。
――――この男は、此処で討たねばならない相手であることを。
「他人にそれを押し付けるのであれば!! それは悪です!!
例えミニスカを穿かされようとも!! 刺し違えてでも王子を討ちます!!」
「俺は今、この瞬間の為に全裸になったのかもな……王子も辺境伯も全員全裸にしてやるぜ!」
「ここで貴方達を討ち取って王国に最速で平和を取り戻します!」
「もう……! もう……! 夢なら、速く醒めて……!!」
「――――良いだろう。
この僕の覇道を絶てるならば! さあ来い冒険者たち!!」
「「「「うおおおおおいくぞおおおお」」」」
――――冒険者達たちの勇気が世界を救うと信じて……!
という、夢を見たんだ。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない8 / 6〜8人
2021年01月09日 13時25分28秒 公開
相談掲示板
エルフのシューター、イネス・エレディアよ、よろしく。 まさか冒険者になった矢先にこんなことに巻き込まれるとは思わなかったわ…… ヒューマンの国は変わっているのね。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 ミニスカート陣営の場合、王子パワーでどうとでもなりそうではありますが、 それを差し引いても圧倒的な兵力差をどうにかするための手段が必要でしょうか。 反ミニスカート陣営の場合、少なくとも兵を指揮する指揮官と第2王子を仕留めるための戦力が必須となるでしょうか。 あるいはミニスカート陣営に入ってチャンスを見て王子を暗殺、新勢力台頭とかも面白いかもしれませんね。 まだどの陣営に入るかは未定ですが、もう少し面白そうな事ができるか考えてみます。
ハッピーニューイヤー! エルヴンシューターのエルナです!よろしくお願いしますね! 私は【反ミニスカート派】として行動しようと思います! ふっふっふ、どんな戦いをしましょうか!
シャロンともうします。よろしくお願いします。 ミニスカートはかわいいですが、ミニスカートではない騎士服もかわいいと思うので、【反ミニスカート派】で参加したいと思います。 用兵はやってみたいですねえ。
最初はミニスカート強硬なんて!と思っていましたが、オープニングを改めて読むと、反ミニスカート派の貴族さんたちも結構あれですね……! なんとなく反ミニスカート陣営が勝利した時の方が大変な事になりそうな気がしたので、私は【ミニスカート派】に転向しますね! 反ミニスカート派から途中で寝返るムーブというのもちょっと面白そうかも!なんて思ったりもしました! とりあえず唯一の常識人枠の辺境伯さんに胃薬でも差し入れようかなと思います!
イヴェール・イリュジオンです。どうぞよろしくお願いいたします(ぺこり) ミニスカート…夢に見るくらいに興味でもあるのでしょうか… 平時の心情なら王党派ですが、夢でこの状況は正直、どっちの味方もしたくないですね… どっちが勝っても出来るのはディストピアですから、私は第3勢力でどっちも斬ります。 両勢力の指揮官がいなくなった平和にならないでしょうか…?
ハルハンの子、ツァガーンナルです。 ミニスカートにされてしまうと、ボクみたいな身長がある人は、とても困ってしまうので! なので、【反ミニスカート派】です! 冒険者なら関係ないかもしれませんが。 関係……ないですよね……?
私としてはどちらが勝っても構わないのよね。王国にずっと滞在するわけではないし…… 内乱状態じゃ冒険者として活動もできないし、早く戦いを終わらせるために現状で優勢そうな【ミニスカート派】につくわ。
悠人・ラドルファス、よろしく。 とりあえず反ミニスカで動くことになったんだけど… ──だけどさ、俺。思うんだよね。 命かけて性癖さらしてるこのみんなの中に、一人だけ性癖さらさずに悲劇のヒロインぶってる奴がいる そいつだけなんか真面なまま終わるの それって本当にそれでいいのかなって ア ー チ ボ ル ト 辺 境 伯 、 お 前 だ よ 絶対にこいつは逃がしちゃいけないと思う だから、ミニスカとか反ミニスカとかどっちにいるのかなんて問わない こいつの性癖を吐かせるために、手を貸してほしいんだ (具体的には追い詰めて問い詰めて吐かせる感じ)
そんな…… どうするんですか、アーチボルト辺境伯が、口に出せないような変態性癖だったら……! 藪をつついて蛇を出すような真似、絶対に楽しいのでお手伝いいたします。