カニとケンカ
からすば
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シナリオID:324
オープニング
ロスガリア大陸西部に位置するディズル大湿地帯。
その中でも更に西に存在する、とあるリザードマンの集落で事件は起こった。
「今日は調子が良かったな!」
仕事を終えた集落の狩人達は、その日の成果を喜びあっていた。
普段よりも大量の獲物をどう運ぼうか。各々が集落へ帰る支度を整える中、その内の一人がふと目をやった景色に違和感を覚える。
「なぁ、おかしな事言うかもしれんが……今あの辺りの地面、動かなかったか?」
そう言って置いていた武器を手に取る。
ディズル大湿地帯は通称『死の沼』とも呼ばれる危険地帯。
僅かな油断が死を招くという事は、この地に住むリザードマン達の誰もが理解していた。
他の狩人達も次々と自らの武器を手に身構える。
「不吉な事を……確認するぞ」
弓を構えた狩人が宣言し、矢をつがえる。
皆が見守る中、放たれた矢は風を切る音と共に件の地面に向かっていく。
――ゴンッ
普通の地面から発せられる音とは違う、何か硬い物に当たったような怪音を鳴らして矢は折れた。
その直後、地面だと思っていた一角がぶくぶくと泡立ち、大きな水しぶきと共に持ち上がっていく。
「アレは鎧蟹か!? こんな大きなヤツは見た事がないぞ!」
鎧蟹とはディズル大湿地帯の汽水域に住む魔獣で、鎧の様な甲殻を持つ。本来であれば中型の魔獣だ。
沼の中に潜んでいた鎧蟹の背には薄く土がかぶっており、植物が生えている。その巨体と併せて考えるに、長い間生きてきたのだろう。
「クッ、このデカブツは俺達だけではどうにもならん! 一旦集落に戻るぞ!」
動き出した鎧蟹へ攻撃を重ねるも、魔獣へ僅かな傷さえもつける事が出来ない。
種族の多くの者が努力家であり求道的なリザードマン達は、自らの技が通じないという事に悔しさを滲ませながらも、撤退を余儀なくされる。
当の魔獣は彼らの攻撃を気に留める様子もなく、その場に残された獲物を突つきながら、走り去っていく彼らの姿をジッと見つめていた。
●カニと冒険者
貴方達は別件で集落を訪れていた。
内容は簡単な魔獣の討伐だ。目立った損害もなく、依頼を終えた貴方達は報告の為に集落の長の家を目指す。
しかし、集落の中はやけに怪我人が多い。自分達が討伐した魔獣程度ならば大湿地帯に住むリザードマン達がここまで怪我をする様な事はないと思うのだが。
気になった貴方達は、報告ついでに長に事情を聞いてみる。
「実はこの数日の間、集落の近辺に鎧蟹という魔獣の老齢個体がうろついているのです。戦える者たちが何度か交戦しておりますが……」
状況は良くないという事だろう。
冒険者達に魔獣討伐の依頼がまわってきたのは村に戦える者が少なくなってしまった故か。
長の話を聞く限り、件の魔獣は強力で、自分たちの手に余る相手かもしれない。
「この件は用意が出来次第、冒険者ギルドの方へ改めて話を持ち込ませて頂こうと思っております。今はお気になさらず……此度は依頼の解決に尽力していただき、ありがとうございました」
冒険者達へ感謝を述べる長。
放っておくのは心苦しいが、縁が繋がればまた此処へ訪れる事になるだろう。
そう思いながら席を立とうとした時、慌てた様子でリザードマンの若者が部屋に飛び込んできた。
「客人の前で騒がしいぞ、何事だ」
「長、大変です! 此処へ続く道に件の鎧蟹が!」
大急ぎで準備を整えた冒険者達は集落の入り口へ。
ここからでも分かる程の巨体。立ち上がれば二階建ての建物と同じ程だろうか。横幅はもっと広い。
重なる戦いに矢も尽きてしまったのだろう、槍や剣を手に満身創痍といった体のリザードマン達が道の先を目指して駆けていく。
懸命の足止めによって、戦えない者を逃がす時間を稼いでいるようだが、長くはもたないだろう。
「ぐああああ!」
冒険者達のそばに、戦っていたリザードマンの内一人が吹き飛ばされてくる。
傷は深い。それでも尚、立ち上がろうとするリザードマンを冒険者達は制止する。
戦いへ戻ったとしても足手まといとなるだけで、無駄死にだ。
「今戦わなければ集落が……皆が……! 冒険者様、皆を逃がし……」
そう言い残し、リザードマンは崩れ落ちる。痛みで意識を失ったようだ。
冒険者達は冷静に、改めて周囲を確認する。
道は整備されており、足場は悪くないが深い沼に囲まれた一本道。
背後の集落では襲撃に備え、戦えない者達が小舟を利用して集落を脱していっている最中だ。
冒険者達のそばへ、集落の長が歩いてくる。
「冒険者様……こうなってしまっては、我々はもう覚悟を決めております。巻き込んでしまって申し訳ない……貴方達が脱出する為の小舟は用意してあります。どうかお逃げください」
集落にはまだ逃げ出せていない者がいる。
倒すのは難しくとも、皆が逃げ出すくらいの時間は稼いでみせよう。
冒険者達は戦いへ加わる意思を伝える。
「……感謝致します。身の危険を感じたらすぐに小舟を使って逃げてください。この礼は必ずすると約束します」
――道の先から聞こえる喧騒は時を経るごとに小さくなっている。
今、一つの集落の存亡をかけた魔獣と冒険者の真っ向勝負が始まろうとしていた。
解説
マスターより
リプレイ
集落の長との会話を終えた冒険者達はすぐさま、巨大な鎧蟹の元へと駆ける。
この場にいるメンバーでは持久戦は難しいと判断した冒険者達は、足止めを行いつつ持てる力を出し切って撃退ないし討伐を目指す。
「いやいや、歳とってデカくなるにしても限度があるぞ、おい……ここまでくると、一種の災害みたいなもんだなこりゃ」
一体何を食べ、何年生きたらこんなに大きくなるのか。近づく鎧蟹の大きさに改めて驚くバーネット・フォーサイス。
しかし、彼はそんな災害にも思えるような巨体に驚きこそすれど、臆する事は無い。頼まれた以上、己に出来る限りやり遂げるのみだ。
「でかいですわ。しかし、でかいだけで生き残れるほど世界は甘くありませんわ」
道幅一杯の鎧蟹が駆けてくる様を見てバンビは感心するが、誰よりも足を踏み出すのが早い彼女の歩みが止まる事は無い。ここで何とかしなければ自分達だって無事に帰れる保証は無いのだから。
「やはり、戦いは攻めてこそだな。鎧蟹……斬り甲斐がありそうな相手だ」
「想定外の出来事はあまり好かんのだが……斯様な巨体と切り結ぶのは良い経験となるだろうな。某も前へ出ようぞ」
熱き魂を持つ男、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは細かい事は抜きにした攻撃一辺倒の戦い方を好む。
今回の仲間達の方針は彼にとっては好ましい。ましてや相手はあの巨体、忠誠を誓う主君の力となるべく磨き上げた己の剣を試すにはうってつけだ。
武の高みを目指すゴブリアも、滅多に目にする事がないであろう巨大な魔獣と手合わせする機会に胸を高鳴らせる。
普段はイレギュラーな出来事を好まない彼女ではあるが、自らの武の糧と出来そうな出来事であっただけマシだと考える事にした様だ。
「この状況で逃げるという選択肢は無い。――撃退ないし討伐は絶対だ」
時間稼ぎだけでは多くのリザードマン達が住処を失う。
過酷な環境に身を置いていた経験があるナハティガル=ラーはそのような事を看過する事は出来ない。
命が助かろうと待っているのは生き地獄。絶対に退く訳には行かない、と鎧蟹を見据えて不退転の決意を固める。
「蟹といえばお鍋ですが、この魔獣は食べれるんでしょうか……」
この緊迫した状況で、憂いを帯びた表情をしている見目麗しいエルフの口からこんなセリフが出るだなんて誰が想像できようか。
リディリディ・トゥラ・イェレミースは食いでがありそうな鎧蟹を見て大真面目に言う。
「私は食べた事がありませんが、蟹というのは美味らしいですね」
リディリディと同じく鎧蟹を味見したいと考えていたのは魔女然とした衣装に身を包むヘレム・カースワーズ。
「鍋にするにも討伐する必要がありますから、ひとつ、頑張ってみましょう」
「そうですね、リザードマンの集落も安全になりますし……あっと、いけません。涎が」
ヘレムが言うと、リディリディはリザードマンの事を気に掛けてはいる様子を見せるが、食欲には逆らえないようだ。
「モチベーションは人それぞれだな。ま、その調子で俺らが耐えてる間に頼むよ」
飄々とした口調で話すのはサイラス、彼とゴブリア、アルベルトの三人が集落と後衛を守る壁となる。
彼らが倒れるような事があれば戦況は厳しいものとなるだろう。
話しながら走っている内に鎧蟹との距離は着々と縮まっていた。
●
「さて、一番手はオレが頂きですわ」
まず動いたのはバンビ。壁役が走り込んで足止めを行う為、アーケインは温存して霞状のエーテルを鎧蟹に撃ち放つ。
放たれたエーテルは鎧蟹の視線を遮るように纏わりついた。
「回り込むなら今だ!」
サイラスが声をあげると、ナハティガルが瞬間的に加速して空中を駆ける。
道は鎧蟹に塞がれているが、沼の上を移動すればすんなりと回り込めた。
「さあ、お次は私の番です!」
走ってきたヘレムが赤い長髪と帽子の上の藁人形を揺らしながら急停止し、杖を構える。
鎧蟹に向けられた杖先からは氷の矢と共に不可視のエーテルの波動が放たれた。
バンビと同じく付与の力に長けた彼女の魔法は見事にその効果を鎧蟹に発現させる。
「やりました! 氷漬けのヨレヨレです!」
「ボッコボコですわ」
ヘレムとバンビが妨害に成功した事により、開始早々有利な状況となった冒険者達。
機敏に動けない鎧蟹の元へ瞬間的に加速してゴブリアが駆け込み、足止めをするべく防御態勢を取る。
連携を重視するアルベルトは必殺の一撃を狙うべく、鎧蟹の攻撃に巻き込まれないギリギリの位置で機会を伺っている。
「デカい図体してるから怖い物知らずってか? だが、良い事ばかりとは限らないぜ」
「熱したら赤くなったりするのでしょうか」
前衛がいる為、バーネットもアーケインを温存してリディリディと共に攻撃を開始する。
二人は生命エネルギーを転化して魔力を増幅させると、バーネットは紅蓮の巨弾、リディリディは意志を持つかのような火球を放つ。
攻撃に集中する二人の魔法はその攻撃範囲を存分に活かして鎧蟹の巨体に襲い掛かる。
多大な生命力を代償に強化されたその威力は、鎧蟹の自慢の甲殻を貫いて効果的なダメージを与える事ができたようだ。
抵抗され、火傷を与えるにはいたらなかったものの、優れた戦術眼と看破する能力を持ったバーネットは魔獣の堅牢な鎧に入った亀裂を見逃さない。
「年季が入りすぎてガタが来てたみたいだな。 お前ら、甲殻の薄い所を攻撃し続けるぞ!」
仲間達に向けてバーネットが声をあげる。
しかし、鎧蟹も黙ってやられているだけではない。防御態勢に入っているゴブリアへ向けて巨大な鋏を振り下ろす。
「ッ……! 何という破壊力……!」
ゴブリアはしっかりとした体勢で受け止めたにも関わらず、全身が軋み、悲鳴をあげている。
何とか吹き飛ばされずにその場に留まったものの、防御に集中していなければまず間違いなく吹き飛ばされていただろう。
今まで散々集落のリザードマンを吹き飛ばしていた鎧蟹は耐え抜いたゴブリアを目の前にして泡を吹いている。
「おいおい、リザードマン達が吹っ飛ばされてたのも頷けるな! ヒールはするが一回じゃ足りそうにないな。隙を見て一旦下がってくれ!」
「代わりに俺が前に出よう! どうやら仲間の準備も整った様だ!」
サイラスがゴブリアへヒールしながら下がる事を提案すると、アルベルトが代わりに前に出る。
攻撃重視の彼は吹き飛ばされるのは承知の上だが、沼に落ちようとも気絶しなければその後に背面に回り込める。更に彼は自らの剣技であれば堅牢な鎧を叩き切る事が出来る自信があった。
「追加ですわ、折角なのでフルコースを味わっていただきます」
アルベルトが攻撃する前にバンビが魔錆を鎧蟹に放ち、装甲を脆くする。
鎧蟹が妨害から立ち直れていない事を確認したヘレムの杖の先端からは氷に代わって光の矢が放たれた。ダメージを与える事はできないが、甲殻を傷つけるのには十分だ。
「これが『帝国の民の敵を断つ剣』の一撃だ、受けてみろ!」
そう言って振り抜いたアルベルトの研ぎ澄まされた一撃は、彼の熱き魂の如く燃え上がるかのような輝きを放ちながら深々と鎧蟹を斬り裂いた。
防御能力の半分を無視するその一撃は絶大なダメージとなり、鎧蟹は反撃する事ができずに悶える。
その隙にゴブリアは自分にヒールを行いながら鎧蟹から出来る限り距離を取り、そのゴブリアへ二度目のヒールを放ちながらアルベルトが吹き飛ばされるのに備えてサイラスが巻き込まれない程度に前へ出る。
二人が移動を終えると、悶えながらも鎧蟹が巨大な鋏でアルベルトを薙ぎ払う様に殴りつけた。
「ぐぅぅおお……ッ!」
アルベルトは踏ん張るが、攻撃に特化した構えと装備ではやはりその場で耐える事は叶わない。
巨体に弾き出されるように飛んでいく彼の身体は沼の上を何度か跳ねた後、停止する。
「無事か……!?」
ゴブリアが言い、仲間達の視線がアルベルトに注がれる。
「すぐに、戻る……ッ! 俺はこんな所で折れたりはしないッ!」
そう叫びながら陸地へ向かって動き出すアルベルト、傷は深いが冒険者としての地力の強さで戦闘不能は免れたようだ。
鎧蟹は次の壁――サイラスを打ち崩すべく移動する。
仲間の無事を確認したバーネットとリディリディは再び、生命力を代償に強化した紅蓮の巨弾を放つ。
「はぁ……はぁ……蟹を頂く前に倒れてしまいそうですね……」
「これだけ当て放題でもまだピンピンしてやがる。甲殻はもうすぐで割れそうに見えるが……」
リディリディの魔法は強力だが、エルフ故の生命力の低さによって、回復を行わなければ次の強化は行えそうにない。
バーネットは自前の生命力がほぼ空になってしまうが、回復が無くとも強化を使い切る事は出来るだろう。しかし、鎧蟹は弱った姿を未だ見せずにいる。
その頃、鎧蟹の背後に周ったナハティガルは堅固な甲殻に苦戦していた。
「……流石に堅固か。だが、これはどうかな?」
二連撃で効率よく甲殻を傷つける事はできるものの、ダメージを与える事は叶わない。
そこで彼は武器に不可視のエーテルを纏わせ、攻撃を行う。
付与の力が高くない彼だが運命が味方し、身体を蝕むエーテルを鎧蟹にまとわりつかせる事に成功。確かなダメージを与えていく。
毒のエーテルはすぐに癒えてしまったものの、彼はキャスター達が魔法を撃ち込んで脆くなった甲殻へ的確に二連撃を決めていく。
●
初めにバンビとヘレムによって掛けられた魔法の効果から中々立ち直れない鎧蟹。
妨害を行う必要が無くなったバンビもヘレムと同様に攻撃へと加わる。
「ありがとうございます……すぐに使ってしまいますが……!」
「思う存分に撃つのが良いだろう」
リディリディをゴブリアが回復する。そして生命力を代償に強化した魔法をリディリディは使える限り鎧蟹へと撃ち込んでいく。
同じく魔法を撃ち終えたバーネットが再び仲間達へ向けて声をあげた。
「相手はまだ憎たらしい程に元気みたいだが、甲殻の方は限界が来たみたいだ! 畳みかけるぞ!」
バーネットの声を聞いた冒険者達は、甲殻が砕けた事で鎧蟹が逃げる事を危惧し、回復をやめて一斉に攻撃へ転ずる。
ここまで戦闘不能となるものも出さずに戦ったのだ、後顧の憂いを断つためにも討伐を目指す。
沼から上がり、背後へ回ったアルベルトの威力を重視した一撃は魔錆によって脆くなった甲殻を貫き、ダメージを与える。
「……ッ! たしかに重い一撃だけど、俺は簡単にはどいてやらないぜ!」
防御に集中して鎧蟹の攻撃を凌いだサイラスは、それに続いて目や口の辺りを目掛けて武器に纏わせた巨大な光塊を叩きつけた。
すると、鎧蟹を包む甲殻の一部がパラパラと小さな欠片となって剥がれ落ちる。
そこからヒビが広がっていき、やがてヒビが崩れていくと大きな穴となる。
穴から姿を覗かせるのは柔らかそうな新しい甲殻。
防御能力は変わらないが、先程とは違って防御能力を超えない威力でも傷を負う様だ。
ついに甲殻が砕けた鎧蟹は、冒険者達の猛攻を浴びながらも沼の中への逃亡を図る。
「これで多少は平らげやすくなったな」
「さあ、人事は尽くしました。後は勝つだけですわ」
バーネットとバンビは範囲が被らない様に温存していたアーケインを設置する。
「氷漬けの癖になかなか動けるじゃないですか……大人しく味見させてください!」
ヘレムがそう言いながら、使用回数が半分を切った魔矢を撃ち込む。
「その通りです、大人しく私の夕飯になってください!」
リディリディも威力を重視して強力な魔矢を撃ち込む。
一部の攻撃を除き、戦闘を始めたころの様な大火力を出す事は出来ないが、温存していたアーケインと中々治らないフリーズボルトによる移動阻害によって足止めされ、冒険者達の手数に弱り始める鎧蟹。
しかし、タフな鎧蟹は遂にアーケインを突破してしまう。
「逃がしはしない……貴様は此処で仕留めさせて貰う!」
今にも沼へ姿を隠してしまいそうな鎧蟹の前へ、空中を駆けるナハティガルが立ちはだかる。
彼は二連撃で腹部に刃を突き立てるもトドメには至らず、沼へ落下。
続いてバーネットの杖の先端から放たれた魔弾が脚の一本を切断するも、満身創痍になりながら鎧蟹は沼の中へ姿を消していった。
●
「これ以上は無理ですか……」
「ああ、私のお夕飯……」
姿を見失ってしまった以上、遠距離攻撃があっても追撃する事はできない。
ヘレムとリディリディが残念がっていると、ゴブリアが作っていた即席のザイルによって素早く引き上げられたナハティガルが皆に声をかける。
「仕留め損ねたが、撃退は成した。余力は少ないとはいえ、俺は負傷者の救助に当たるぞ」
あれだけの傷を負ったのだ、しばらくは襲撃されないとみていいだろう。
冒険者達が話していると、集落の者が鎧蟹の姿が無い事に気づき、一人、また一人と喜びの声をあげる。
ある者は安堵から涙を流し、ある者は愛する家族と抱き合い、ある者は戦いへと身を投じた友人を探して走る。
そんな彼らの姿を見た冒険者達も勝利を実感し、安堵から疲労感がドッと押し寄せる。
「いやー、戦ってた時間は短かったのにすごい長く感じたな……」
一番長く鎧蟹と直接対峙していたサイラスが呟く。
疲労しながらも、ヒールがまだ何回か使えるサイラスとゴブリアは負傷者の救助に向かう。
前衛が上手く入れ替わり、総崩れになるような事が無かった為、ヒールを使わずに攻撃に専念したバーネットも二人に付き合う。
「ボロボロですけど、これ食べれますかね……」
「サイズがサイズですからね……脚一本でもお夕飯には十分な量です」
ヘレムとリディリディは冒険者達の攻撃で切り落とされた鎧蟹の脚を見ていた。
本当に食べたかどうかは、彼女たちのみぞ知る。
負傷者達の救助や、集落の者たちの混乱を収めた冒険者達は少しの休息の後、動けるリザードマンの戦士達に案内されて鎧蟹が初めて目撃された地点の調査へと向かった。
「流石に戻ってきていたりはしないか」
「居たらトドメを刺すところだったのですわ」
アルベルトとバンビは周囲を探索しながら言葉を交わす。
「鎧蟹の仲間が他にも休眠していなければ良いんだが……」
ナハティガルも探索を行いながらそう呟く。
鎧蟹自体、そこまで沢山現れる魔物ではないらしく。
老齢の個体となれば奥地にでも行かない限り滅多に会う事はないだろう。
痕跡が無い事を確認した冒険者達は集落の者達から多大な感謝と共に見送られ、今度こそギルドへと帰っていく。
巨大な魔獣との真っ向勝負に勝利を収め、一つの集落を救った冒険者達は英雄としてこの集落で語られていくだろう。
マスターコメント
ショートシナリオ非常に難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2020年12月23日 15時31分02秒 公開
参加者
ゴブリア
- サイラス
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト
ヘレム・カースワーズ
- イェレミース トゥラ リディリディ
バンビ
バーネット・フォーサイス
ナハティガル=ラー
相談掲示板
某はゴブリン・ウォーリアのゴブリアと申す。 皆、よろしくお頼み申す。 敵は一体、場所は一本道。 どう受け、どう攻めるかを考え切ればよいのであろうか? 某はウォーリアクラスだが攻撃は魔法属性の、遠近両用となる。 純ウォーリアほどの堅牢さは無いが、それなりに前で受ける事も出来るだろう…… あとは、詰めとして蟹の撤退阻止に試したいことがある。 この杖を以ってエーテルの殺気を漲らせた場合に、その刃はどこまで届くのか。 狙った通りに発動するのならば、某より間合い13間(13hex)までの全てが殺界の対象となるはずなのだが。
キャスターのヘレム・カースワーズです。よろしくお願いします! 皆さん揃いましたら、まずは足止めか撃退か大方針を決めておきたいですね。
No.3
サイラスだ、よろしくなー。 ウォーリアなんで壁にはなれると思うよ? それか反映待って大太刀二刀流すればそこそこの火力で殴れるかな。殺界もあるんで殴り合いならそっちか攻撃系スキルを取るかなと 大方針は他の人がどうか分からんからなぁ 盾になれるウォーリアが何人いるか次第?基本は撃退支持かな。討伐は難しそう。 周りの沼に落ちると戦闘出来んから,吹き飛ばされてとか含めて出来るだけ落ちないようにしたいなぁ。逆に後ろ取りたいなら抜けるまでにカニに通ってもらえるとかなら落ちるのもありかもしれんけど。他の手段は上から飛び越えるとか隙間をすり抜けるとかになるだろうからなぁ
No.4
キャスターのリディリディです。 その・・・、よろしくお願いします。 えっと、INIが低いこともあって付与は向かないですし、私は単なる魔法での攻撃役に回ろうかと思っています。 閃く爆光を使って自分自身の魔法攻撃力を向上させることもできますが・・・、代償が大きいので何回も使うことはできません。
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 INIに命を懸けているので基本早いだけの人ですので火力は期待しないでくださいな。 その代わりデバフならお任せくださいな。
ウオーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 とにかく、火力大き目で斬りまくるぜ。 で、GMに質問なんだけど俺達のスタート地点は蟹の目の前で良いのか?
あー……中間的なイニシアチブのキャスター、バーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 ひとまず、範囲攻撃も加味すると火力はそこそこ期待できるだろうし、 基本的には撃退ないし討伐を目指す方向性でいいとは思う。 フリーズボルトだとかアーケインだとかで移動を妨害して時間を稼ぎつつ、 火力を集中して甲殻を割るってのが大まかな流れになるか? あとは……沼対策としてウォーターウォークを使っておくのも手か。
No.8
あっはい、とりあえず足止めの為に防御優先でスキル,装備固めまーす。 ぶん殴りが体力半分以下のダメージで抑えれたら飛ばされずに残れる=半分以上消し飛ばせると思うべきだろうし。 カバーリング?だっけか?も取っとくべきかね?
蟹の横幅が3hex。道の幅も3hexということだが、蟹というからには横向きに進むのだろうか? 前後の厚みについての情報が無いが、これは少なめに通常の敵と同様、1hexと考えておこう。 道を塞ぐように3人は防御を固めておかないと、横を抜けられてしまうのではないか。 某も防御を可能な限り固めるとしよう。 >カバーリング 特性スキルを2つ、どう持ち込むか難しいところだ。 某は殺界と強靭(物理防御の底上げ)でいく予定だが、ダメージコントロールとしてはカバーリングの方が便利なのは間違いない…… >回復 これが鍵になるな。 相手が【防C】を持っていることを考えると、攻撃は長距離射程を中心に、壁役が自前で回復するのがよいのだろうか?
>鎧蟹 ぶん殴りが進行方向の敵に対して行う前方射程1hex攻撃だし、多分正面が進行方向だと思う。 前歩きできる種類の蟹も居るし、あり得ないわけではない。 つまり、道幅3hexを丸々塞ぎながら迫ってくる感じだな。 >方針 反撃込みの敵の手数を考えると、甲殻を割るまでは後衛の攻撃中心でも良さそうだな。 とはいえ時間制限もあるし、前衛も余裕があれば攻撃してもらって、 早めに甲殻を割っていきたいと思う。
ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。宜しく頼む。 基本的には撃退ないし討伐を目指す方向性で良いと思う。 >対鎧蟹 俺は遊撃的な立ち回りで行こうかと考えている。 序盤ではフェザーステップ・疾風足・エアーライドで鎧蟹の背面への回り込みを試みる予定だ。 回り込みの成功・失敗に関わらず、その後はBS攻撃を当てて行こうかと。
No.12
ファイター3人が正面で壁役メイン アルベルト:攻撃重視 サイラス:耐久、カバー優先 ゴブリア:殺界 シーフが遊撃(回り込みBS) キャスターがアーケインで移動妨害しつつ攻撃 リディリディ:火力重点 バンビ:デバフ ってのが基本方針でいいのけ? とりあえず、俺はカバーリングと離されたとき用にチャージング、回復のヒールは確定、考えてるのが毒劇(スリップ)、破鎧撃(物防ダウン)、闘気槌(範囲で割る)のうち2つだな。スリップの恩恵薄そうだけど物理系少ないから物防ダウンもあまり効果なさそうだからなー今回 後は後ろ回る人他いろいろ支援できること期待して戦術眼持ち込むつもり。
俺の戦術はそんなところですわね。 特性スキルに「閃く爆光」を入れましたので、2回ほどは大威力の攻撃を出せますわ。 それで爆炎と氷嵐を交互にかけて寒暖差による装甲劣化ができるかどうか試してみる予定ですわ。 デバフは魔錆と魔霞を入れましたので状況に応じて適宜使っていきますわ。
他の方がアーケインを用意されるなら、私はマジックディソナンスを持っていきましょか。
俺も一応アーケインは持っていく予定ですわ。
No.17
あ、間違えました。すみません。 ややこしいので先ほどの発言は消しました。 正しくは特性スキルは閃く爆光、フレイムゲイズを用意するの間違いでした。
>個人行動 アーケインは念のため俺も積んでいく。 二人分あれば、早々効果範囲を抜けられたりしないだろう。 後は閃く爆光使いながら、範囲攻撃連発だな。 それと念のためヒールも用意してあるから、前衛の回復が間に合わない時に使う予定だ。