【聖祭】子どもたちと林に出かけよう!

狐野径

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シナリオID:295

オープニング

●
 ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
 その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
 由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることだけでなく想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。ジド・ルウが好んでいたという、赤白の服装も今代まで続く伝統(テンプレート)の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
 ――実りの秋、収穫祭を終えた人々は、深まる冬の気配を感じながら、慰霊祭の準備を進めていた。

●冬の祭りの準備
 エラトゥーン都市同盟にあるとある村も冬支度が始まる。
 特に雪が深くなるということもないし、隣町に行けば買い物もできる。
 それであっても、冬は何があるか分からない。冬でも成長する植物もあるけれども暖かい時に比べればそれほどでもない。
 狩りをすれば肉を得られるかもしれないが、動物だっているとは限らない。
 食料問題だけではなく、住環境も整えないと生きていけない。
 屋根や壁の壊れはないか、薪は足りているか等々することはたくさんある。
 それに、聖霊節もある。
 この村の聖霊節は冬場でも緑の植物をあちこちで飾るのだ。それはリースであったり、花束のようにして器に飾ったりする。
 飾り以外は、村の中心部で食べ物や飲み物を持ち寄ったり、大きな鍋でスープや近辺の素材で作った炊き込みご飯みたいなものを作ったりする。寒い中、火をたき、暖かいイベントだ。
 そのような植物は村の外れにある林である。そこに、子どもたちが毎年取りに行くのが習わし。
 普段から子どもが出入りもしているし、危険が少ない林だ。
 そこに取りに行くのは今年は7人。ちょっと少なめの上、小さな子どもが多め。
 結論から言うと、子どもだけで行かせるのは不安がよぎる。子どもを卒業した世代に声を掛けても良いが、町に働きに出ていたり、村で冬の準備を任されていたり、人手が足りていなかった。
 そのため、冒険者ギルドに依頼を出すことにした。
「このようなことで依頼を出すのは気が引けるのですが……」
 代表者は言う。その依頼の内容は次のようなものだ。

 村の近くの林に、飾り付けの材料を取りに行く子どもたちの面倒をみて欲しい。
 全部で7人。上は11歳、下は3歳。
 朝に村を出発し、林へ。
 林では、緑色の葉っぱやそのような葉が付いた枝を袋一杯に拾ったり取ったりする。
 昼ご飯を食べ、午後も集めて日が落ちる前に帰宅。
 林は時々子どもたちがこっそり遊びに行っているし、村人も定期的に入っている。林は大きいが、子どもたちがきちんと戻ってきているので節度ある出入りだと思われる。時々、大人が落とし穴にはまることはある。
 狼や小動物も出るが、基本危険はない。

 一言で言えば、子どもの引率だった。

●引率される子どもたち
 依頼を受けた冒険者が予定された時間に村に着くと、大人たちは作業をしており、子どもたちは遊んでいた。
「ブル、木から降りてこーい」
「ベーも登ってくればいいじゃん」
「そうういことじゃないっ! ちょっと、そっち、どこ行ってんの」
 一番年上そうな少女が木登りしている子やちりぢりに走って行く小さな子どもたちに声を掛ける。
「ロー、枯れ葉好きだね……」
「かさかさな、パッパッパのー」
 ヴェル・コルトゥーラとローザ・コルトゥーラはのんびりしている。他の家のきょうだいなどが騒ごうが、自分たちは自分たちという感覚なのかも知れない。
 全体として、子どもたちはワイワイがやがやしていた。
「お前たち、大事な話がある! 集まれ」
 大人が声を掛けると、さすがに静かに集まる。
「というわけで、君たちには緑の葉を取ってきてもらう」
 子どもたちは毎年のことだとうなずく。
 大きな袋に緑色の葉、枝付きを取ってくるのだ。それは、リースにしたり、飾ったり家や村を彩るのに使う。
「冒険者の人に付き添いは頼んだから」
「はーい」
「いうこと聞くんだよ」
「はーい」
 子どもたちは返事をした。
「あああああ、ローのペッペえええええええ」
「置いて行きなさい」
「うわああああああああああああ」
 ヴェルがローザの人形を取り上げ、親に渡している。
「落したらどうするのっ!」
「うわあああああああああああああああああ」
 一方で違うきょうだいたちは「弁当落した」とか違うことで騒いでいる。

 意外と大変な依頼なのか、平和で穏やかな依頼なのか……。

解説

●目的など  子どもたちの引率。  迷子、大けがさせない、きちんと仕事をしている確認など。  「皆楽しく」でもあるため、バランス大事。 ●流れなど(イメージが湧きやすいように時間も記載)  OPの「●引率される子どもたち」頃は朝の9時。  村を出て林まで徒歩10分くらい。  正午に昼ご飯を食べ、14時くらいに林を出る。  林はそれなりに広いが、手前半分ほどを庭のように遊んでいる感じ。  林は多少起伏はある。  道はきちんとあるし、道を外れて遊んでもそれなりに、目標物がある。  子どもが隠れやすい所はたくさんある。 ●NPC 面倒見るちびっ子たちのお役立ち情報?  ・ヴェル&ローザ・コルトゥーラ 姉10歳、妹3歳。  元気いっぱいの姉のヴェルとついて回る妹ローザ。  妹の面倒はきちんと見ている(つもり)。  以前、「【秋祭】隣町の収穫祭に行きたい!」で姉はやらかしている。  リプレイは読まなくてもちろんOK。  ・ブルーノ&セッピア&ベージュ・カーフ 長男10歳、長女6歳、次男4歳。  コルトゥーラ家の隣に住む。  年齢が近いから仲良くしている。  なお、セッピアは兄ブルーノより、ヴェルにくっついていく傾向はある。  ・ベルデ&ルージ・アクロ 姉11歳、弟5歳。  カーフ家の隣の隣に住む一家。  ベルデは年上ということや姉がいるためそのような振る舞いをする。  つまり、お姉さん風をよく吹かす。 ●想定される危険物や事件  ・子供たちが掘って忘れた落とし穴。壊れているならいいけれども、残っているかも?  深いとか、槍があるとかはないけれども……落ちたらそれなりに危険。  ・枯れ葉を集める子どもや高いところに上り出す、巨大な枝を引きずり出す、迷子……など。  ・言うこと聞かない年下にいらだつ年長者。  など……人形問題や弁当問題を起こしている……。  全部に対応するということではないので、イメージととらえて下さい。

マスターより

 こんにちは。  一言で言えば「楽しみながら子守をきちんとする」ですね。  OPや解説に色々書いてますが、難しいこと考えると、たぶん、色々難しくなります。  しかし、注意しないと、子ども、どっか行くとか事件は起こります。  最終的には、楽しく、楽しみながら、子守をしましょう。  あれ? 似たようなことを私何度か書いてます?  よろしくお願いします。

リプレイ

●賑やかな始まり
 マーハ・アセトシソンは参加者分の弁当を作る。鶏肉を焼いた物と葉物野菜をパンに挟んだ物だ。
 子どもたちも持っきていることになっているが、何が起こるか分からない。
「何事もなければいいけどね」
 弁当を作っているとき、大家族の実家を思い出す。
「子どもたちの引率を無事に終えるのが、今日の目的だね」
 気を引き締めつつも、楽しめるといいと考えた。

 さて、現場。冒険者たちは大人から紹介を受け、子どもたちを引き受けた。
 ヴェル・コルトゥーラとローザ・コルトゥーラ、年の離れた姉妹だ。
 ブルーノ・カーフは、セッピア・カーフとベージュ・カーフという妹と弟を連れている。
 べルデ・アクロとルージ・アクロ。ここは、去年までもう少し上のきょうだいが一緒だった。今回はベルデが子どもの中で年長となっている。
 それぞれ良い子だけど、合わさるとどうなるかは話は別だった。

 シャロン・ラ・モリエールははぐれることを前提に、きょうだい毎グループ分けをして行動してもらう、面倒を見ることが良いと言う。特に異論が出ないため、グループ分けは決まるし、それを子どもたちに伝える。
「お姉さんたちも注意するけど、きょうだい同士、迷子になってないか注意してね」
 孤児院で小さな子どもの面倒もみていたというだけあり、声かけも的確だ。
「あと、おしっこ行きたい子は冒険者の人に言うのよ!」
 お姉さんたちとの約束をしていく。
「移動中は手をつなぐこと! 列を外れたいときは、冒険者に声を掛けてからいくのよ」
 それから、ケトルを叩く音を聞かせる。
「この音がしたら集合ね」
「はーい」
 子どもたちは良い返事をした。
 兄弟と手をつなぎたくなさそうだったセッピアだが、弟ベージュの手を握る。ベージュの反対側はブルーノがいる。
(仲が悪いというより、なんとなく兄弟じゃなくて姉妹がいいという雰囲気かな)
 シャロンはセッピアの動きを見て考える。
「そうだ、お弁当ないとかさっき聞こえたけど? あったのね? お弁当や他の大事なものは私が預かるわね」
 バックパックに荷物をまとめ、マジカルポケットに収納するのだった。

 アスカ・タチカゼは各家の年長者に助言のような声がけをしておく。
「弟妹が泣いたり嫌がる事があるかもしれないけど、無茶はしたら駄目だよ」
「したことないもん」
「ないよー」
 ブルーノとヴェルがきっぱりいう。
「ローのぺっぺー」
 背後で泣いている声がする。
「落したら困るでしょ!」
 ヴェルが振り返りローザに言う。
 アスカは困った顔になる。
「そう理由はあるんだよね、それは分かった」
 アスカの視線がローザに向かう。母親から人形を取り戻し、泣き止む。
「でも、弟妹も同じ人間だから感情や意思があるから、思うように動いてくれないこともあるからね」
「落したら迷惑掛けるわ」
 ヴェルは唇をとがらせる。
「それも大切だね。ローザは人形が大好きなんだよ。難しいけど、どうすればいいか考えるんだよ」
 ヴェルはローザを見て、うなずいた。
「分かってるわよ! でも、やるべきことや、注意されていることするのはいけないのよ!」
 ベルデはブルーノを見て言う。
「皆考えがあるし、考えてみて? 話を聞いてくれてありがとう」
 アスカは微笑み告げる。
 三人はうなずいた。
(自分の我を通すのではなく、相手の心を想像できるようになれば、人としても姉や兄としても成長して頼られるんじゃないんかな……)
 アスカはこの子どもたちが、今後も楽しく過ごせる仲間になる事が大切だと気づいて欲しいと考えていた。

 ティラミス・ノーレッジは小さな子どもたちの視線が自分に向っていることに気づいた。
「どうかしたか?」
「ねこしゃーん」
「なの?」
 ティラミスはこの村や隣の町で人間(ヒューマン)以外を見ていない。
 今回来た冒険者にはハーフビースト以外の種族もいるけれども、違いが分かり易いから小さい子らは反応をしたのだと分かる。
「そうだな、猫さんだな」
 しゃがむとおっかなびっくりで小さい子たちが寄ってくる。
「初めまして」
 握手をする。子どもたちは目をきらきらさせる。
「今日はよろしく」
 三人はそれぞれうなずく。
 大きい子らの方の話が終わったようだったので「んじゃ、楽しいプチ冒険に出発だな」という。
 立ち上がったティラミスと一緒に、子どもたちは跳ねた。

 そして一行は出発する。
 アクロ、カーフ、コルトゥーラの順番で。

 ストレガ・L・リベルガストラは子どもたちの列の側面を歩く。全体を見るように意識した。
「目的もあるが、重要なのは子どもたちが楽しいことなのだ」
 子どもたち自身も互いに注意もしつつ、仕事をする。しかし、子どもたちの楽しみには寄り添いたいところだ。
 見ていると、セッピアがなぜヴェルを気にするかは分かる。
「兄弟より姉妹といういう気持ちなのだ」
 列の後方にいるシャロンもセッピアの動きに注意はしている。
 あちこちうろつく事が増えると、はぐれる率が上がるからだ。
「ん? ヴィノニス殿……兄弟に注視しているのだ。それはそれで助かるのだ」
 セッピアの行動指針は見えるが、ブルーノとベージュ兄弟の方は読みづらい。活発であるがゆえに、何をしでかすか分からない。

 ヴィノニスはカーフ三兄弟を担当としている。
「やっぱり男の子ってかわいいわね……」
 笑顔で見つめる。
 むろん、セッピアのことも見ているし、セッピアは時々ヴィノニスの方を見ている。
 ヴィノニスの観察の中で、ブルーノは弟妹を見ていないわけではない。ただ、ちょっと、セッピアより、ベージュと波長が合っているのは事実だ。
「なんだかんだいって、お姉ちゃんへの憧れかしらね」
 セッピアの視線は、ヴェルや冒険者の女性と分かる人の方に向いていた。

●嬉々と危機?
 林に着くと子どもたちは作業開始、とばかりにばらばらになりそうだった。
 想定内だったため、アスカとマーハ、ヴィノニスはすぐさま止める。他の冒険者もサポートに動いた。
「はい、みんな、順番に集めにいくわよ」
「ええええっ!」
 シャロンの言葉に子どもたちが不満な声を上げる。
「そうよね不満よね」
 ヴィノニスが同意する。
「でも、いつも来る林でも何があるか分からないんだよ」
「そうそう、夢中になると、よく分からない事があるからな。たとえば、集めている植物が突然消える」
 アスカがなだめ、ティラミスが手品を交えて説明する。
「何があるか分からないのはどこでも一緒だけどね。僕もよく、姉ちゃんに怒られたよ、台所に立つと危ないから下りろって」
 マーハは一行に注意されることは仕方がないと言う。
「そうよ! この人たちの言うことを聞くことが大切だって、お父さんたちが言ってたでしょ!」
 一番年上のベルデが言う。
 ヴェルとブルーノが溜息を漏らし、「仕方がない」という。
「年長者は大変なのだ」
 ストレガは一歩引いて子どもたちを見ていた。ベルデも遊びたいというのと、一歳でも年長者というやる気が見え隠れしている。

 子どもたちは袋に緑の葉を集め出す。
 どんな種類の物を集めているかはすぐに冒険者にも分かる。針葉樹や広葉樹、問わず緑の物。皆が知っているような種類だ。
 枝や茎など付いている物が多い。飾りに使うためだろう。
 立派な枝で緑の葉が付いている物を拾うと、勇者や英雄のような扱いになるようだった。

 ローザは枯れ葉を集め、ヴェルが取り出す。
「ぶううう」
「赤い葉っぱはいれないの。赤いのはこっちに入れなさい」
 ポケットに詰めたところ、ローザはうなずいた。せっせとローザは葉を集める。袋に一緒に人形も詰めていた。
 アスカは静かに人形を引っ張り出す。
「ペッペー」
 ローザは嬉しそうにアスカの手のものを見る。
「お姉さんも手品できるの?」
 アスカは苦笑した。
「迷子になるといけないから、私が持っていた方がいいかな?」
「ロー、どうする」
 ローザは赤い葉と人形を交互に見る。
「いーこ、よ?」
「じゃ、ここにいるね」
 アスカは荷物に入れた。
 二人は葉を集め始めた。やはり、枯れ葉に興味があるローザは寄り道が多い。
 楽しそうに集めているのは良いことだ。

「おおおっ」
 ブルーノが枯れ葉のたくさんついた大きな枝を拾った。
 ベージュは一生懸命、枝を探し始めた。すると、もっと大きな葉が付いた枝を発見する。
「やったー」
 二人はそれを振り回しだした。
 セッピアは頬を膨らませ、二人を見て、離れていく。
「うん、二人とも良い物見つけたわね」
 ヴィノニスは褒めつつ、セッピアを保護する。
 ストレガはセッピアに「良く集めているのだ」と褒めた後、枝振りを始めた兄弟に声を掛けた。
「それで何をするのだ?」
「見ての通り、振り回すっ!」
「ぼくの方が強いぞー」
 ヴィノニスは微笑み、ストレガが苦笑する。
「私もかっちょいい棒とか好きなのだ。でも、今はやめるのだ。持って帰っていいが、まずはすることをするのだ」
 ストレガが諭した。
「それがいいわね。私が持っておくわね」
 ヴィノニスが預かるが、持ち歩くにはかなり大きい。
「こっちで預かるわね」
「助かるわ。何かあってもこれは動けないもの」
 シャロンが受取り、一度取り出したバックパックに枝を差し込むと、再びマジカルポケットに収めた。

 ベルデとルージは粛々と集めているように見える。ただ、ベルデは他の子らも気になるらしく手が止まる。
「ベルデ、あの子らもきちんとしているから落ち着いて集めよう」
「別に、気にしてないもの」
「うん、そう? ルージ、その枝は何?」
「剣だぞ! やー」
 マーハに切りかかる。
「大変だ! こうしてやるー!」
 枝を両手で押さえる。
「むうう」
「こらっ、ルージと冒険者のお兄さん、遊ばない!」
 ベルデがイライラしているのを見て、マーハは「ごめんなさい」と謝っておく。
 ルージは頬を膨らませる。
「この枝は持って帰る?」
「うん!」
 ルージは嬉しそうな顔になった。

 ティラミスとシャロンは全体を見つつ移動する。
 迷子や補助が必要なところに行くためだ。
 ティラミスは時々【探波】を放ち、周囲の状況を把握する。
 大きな枝を発見した子たちが騒いだことくらいで、他は順調だ。
「そろそろ、移動ね」
 めぼしい葉がなくなったのだ。
 ヴィノニスが提案する。
「それじゃあ……そうね、皆で競争とかしてみない? 新しい場所に着いたら、範囲を決めて開始、でいいかな?」
 たくさん葉を集めるという競争だ。
 急いで行こうとするため、シャロンが仕切る。迷子になってもどうにかなるとはいえ、油断はできない。
 次の場所に到着すると、競争開始だった。

●昼食以降はのんびりと
 林だと太陽の位置が分かりづらい。だからこそ、冒険者が止めて昼食の時間を設定する。

 シャロンはケトルをたたき、注目させ、昼食にすることを伝える。
「お弁当はここね」
 シャロンはマジカルポケットから出す。
「足りなければ言うんだよ。僕も持ってきたから。たくさんあるよ……といっても人数分だけどね」
 マーハが言う。
 湯を沸かすために使ったシャロンの【生活魔法】に興味惹かれる子どもたち。
 暖かい火や、温かい飲み物は寒い中動き回るとホッとするものだった。
 食べるのは賑やかであったが、大きな事件もなく乗り切った。

 食後、ティラミスが手品を見せる。
 親指を長くするものや、葉を消す手品だ。
 子どもたちは食いつく。
 手順を教えてみると、必死に始めた。
「できたー」
「あああああああああ」
 大きい子たちが特に白熱する。小さい子は小さい子なりに何かしている。
「葉は持って帰りやすいから、親に見せて驚かすのもきっと面白いぞ?」
 その一言で、手品をしやすそうな葉を探したり、練習が過熱する。
「とはいえ……することしてからだな、練習は」
 ティラミスが止めると、子どもたちは不満そうな顔になる。しかし、葉を集める任務は大切なのだ。
「終わったら、甘いチョコレートを褒美にあげよう」
「私も持ってきているから、追加ね。たくさんとれた班にはちょっと多めにあげようかしら?」
 ヴィノニスがティラミスに続きいう。
「そうそう。早く終わらせて、遊ぼう! それと、秘密を見せてあげよう」
 マーハが言うと、準備が加速した。

 作業は順調だったが、事件は起こる。ベルデがお姉さん風を吹かせて、ヴェルとブルーノの反感を食らう。
 ヴェルとブルーノは悪かったなーと思うようだが、ベルデが泣いているため収拾が付かない。
 一旦、ベルデを連れて、ストレガが離れた。
「人に言って聞かせるのは難しいのだ。年下は遊びたがるし、それを止めたい気持ちはわかるのだ。うまくいかないならいかないで仕方がないのだ。目的を達成しよう、それから遊ぼうとかでいいのだ」
「……でも、あの子たち、お姉ちゃんだと言うこと聞くのよ!」
 諭されるが、去年のことを思い出し、ベルデは唇をとがらせる。
 ストレガはうなずきながら、ベルデの話に耳を傾けた。
 一方で、残っている子どもたちの方で、マーハがきょうだいについて話していた。
「年が離れている人が言うと、文句も言いたくなるけど、しょうがないかなって思うんだ。でも、年齢が近いと、変わらないのにってなるのも分かる」
 それを聞いてヴェルとブルーノが「そうだよね!」と同意を示した。
 しばらくすると、双方何事もなかったように作業を始めた。

 作業は順調に終わったから、遊ぶ。走り回り、木に登る。
 マーハが披露した【念動力】や【生活魔法】に子どもは釘付けになったり、ティラミスが作った葉の小物に興味津々になったり、忙しい。

 ストレガは目の前の怪しいモノに気づいた。
 試しに、そこに足を載せた。
 ズボッ。
 ストレガは想像していた通り、はまった。深くはないが、危険はある。
 それを見ていた子どもが動きを止める。
「大丈夫?」
 心配そうにヴェルが声を掛ける。
「うむ……なんでこんな所に落とし穴があるのだ?」
「……あ」
 子どもたちは顔を見合わせる。
「埋めた方がいいかな?」
「落とし穴まだあるの? 冬の間、雪が上に乗ったらさらに見分けが付かなくなって危ないんじゃないかしら?」
 アスカの言葉を引き継ぎ、ヴィノニスが言う。
「たくさん作ったよね」
「作ったな」
「どこにあるんだろう?」
 子どもたちの会話を聞く限り、記憶は怪しい。
「もし、走ってきて落ちた場合、怪我するのだ」
 ストレガの解説に、子どもたちは神妙にうなずき、穴探しに奔走する。

●帰宅
 帰り道の子どもたちは、たくさん収穫物が入った袋を下げている。
 その顔は誇らしげだし、満足そうだ。
 小さい子は遊び疲れて眠っているため、冒険者が背負っている。
 村に到着する。
 村は冬の準備が進んでおり、整っていた。
「皆、到着よ」
 シャロンが声を掛けるが、起きない子もいる。
 大人たちが子どもたちを引き取る。
 子どもたちから、あれが、これがと話が上がる。
 子どもたちにとって大変良い一日だったことは間違いないのだった。

マスターコメント

 引率ご苦労様ですー!  妙にリアルな内容に「そうだよねー」と思ったり。  ありがとうございました。  それより、【生活魔法】欲しいです。  ご縁があれば、また会いましょう!
ショートシナリオ

ショートシナリオ易しい 報酬:少ない6 / 4〜6人

2020年12月15日 15時20分42秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シャロン・ラ・モリエール

    シャロンともうします。ヒーラーをしております。 よろしくお願いしますね。 集まる人数次第ですが、きょうだいグループ1つにつき1人の冒険者がついて列を作り、先頭と最後尾にもフリーの冒険者をつける……とか、いかがでしょうか。

  2. ヴィノニス

    ヴィノニスといいます。よろしくお願いしますね? わたしとしては可愛らしい子供たちの姿を近くで見られればそれでいいので……人数が揃えば分担でも良し。そうでなければもっと広く視野を持つでも構いません。 希望としては……ええ。ショt――もとい、やんちゃな男の子を見守りたいとは言っておきます。

  3. マーハ・アセトシソン

    キャスターのマーハ・アセトシソンだよ、よろしくねー ヴィノニスさんから特有の闇を感じるよ( 僕は何気に年は一応近い感じだし ベルデちゃん達のほうに回ろかなって思ってるよ

  4. ティラミス・ノーレッジ

    シーフのティラミスだ、宜しく頼む。 そうだなぁ、今は何処の面倒を見るとかは決めてないが…探波や看破で地形が安全か見ようかと考えている。 まぁ先頭辺りを希望しておくさ、あと出来る事は何かあったかな…一応麻袋とかロープを持っていく予定だ。 縄を持ちながら歩けば迷子にはなりにくいとは思うが…ヤンチャ盛りじゃ期待は薄いかもな。

  5. シャロン・ラ・モリエール

    揃いましたね。よろしくお願いしますね。 決まっていかないのもなんなので、最後尾につくことにします。 はぐれる子がいないかとか、全体の様子を見るようにしていくつもりです。 きょうだい3人のグループも、人数が多いので気になるところですが。

  6. アスカ・タチカゼ

    アスカだよ、よろしく! んー……これって兄弟姉妹はそれぞれ家族毎に別れてるわけではなさそうに思うなぁ。 「セッピアは兄ブルーノより、ヴェルにくっついていく傾向はある。」って話もあるから、子供7人でわちゃわちゃしてそうな予感。 なので列作ってとかは難しそうかなって。 個人的には年長を焚きつけるような感じで面倒見る側に回ってもらってフォローする形がいいのかなと思うんだけどどうだろう?

  7. シャロン・ラ・モリエール

    おっと……反対意見が出ましたか。 子供一人に付き冒険者一人にしよう、ぐらいの対案は出ると思っていましたが、ちょっと予想外の方向からだったので…… いい感じの落としどころを見つけたいので、いくつかお伺いさせてもよろしいでしょうか? そうですね、おっしゃるとおり、何もしないうちはワチャワチャしてるでしょうね。 『●想定される危険物や事件』は対処しなければならない問題である、ということで、一通り読んでいただいているという前提で… ワチャワチャしているままですとはぐれる子がいたときに気づきにくいため、『適宜目が行き届くようグループ分けをして』『列を作ろう』としているというお話ですね。 ワチャワチャしている状態はOPの前提で、PCのアクションで解決できない問題かもしれないから、対策として効果が薄いのではないか、というご指摘と思っていいでしょうか? そして ●想定される危険物や事件 に、 ・言うこと聞かない年下にいらだつ年長者。 という項目があるのですが、年長さんに面倒を見てもらうことがメインの対策になってしまうのはいささか不安に思うのですが、このあたりいかがでしょうか。 『列を作る』のと『年長さんをフォローする』は競合するわけではないので、二重に対策〜ということで、両方やるという方向ではいけませんか?

  8. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。おくれてすまんのだ ワチャワチャするのがおこさまなのだ。楽しいのは大事なのだ 一人ではぐれようとしなきゃいいかなと思うのだ。グループからはぐれるならグループの子も連れていくといいのだ 気をつけさせ方をベルデ殿に教えるのもいいと思うのだ 側面をあるくのだ。一人ではぐれようとする子について一緒にはぐれて目的達したら戻るのだ 好奇心は大事なのだ

  9. シャロン・ラ・モリエール

    あと24時間ですね……。 私含め、列を作る方向で宣言をしてくださっている方が何人かいらっしゃいますけれど、アスカ様の反対により、変えている方もおられるかもしれませんね……。 かるくまとめです。 『きょうだいごとにグループ分けする』という案に反対意見が出ていることは承知ですが、それを却下した場合の宣言がまるで出ていませんので、古い情報ベースになりますが、仮として……。 ・ヴィノニス 男の子を見守る ・マーハ ベルデ&ルージ・アクロ 姉11歳、弟5歳のところに回る ・ティラミス 先頭で危険を察知 ・シャロン 最後尾で列全体を見守る ・アスカ 年長の子に年少の子を見てもらい、フォローする(個人? 全体への提案?) ・ストレガ 列側面を歩き、列を外れたい用事のある子がいたら同行する。ベルデにアドバイスをする。 現在誰も手を挙げていなくて、ヴィノニス様の希望する条件を満たすのは ・ブルーノ&セッピア&ベージュ・カーフ 長男10歳、長女6歳、次男4歳。 こちらのグループのブルーノ君とベージュ君ですが、お任せしてもよろしいでしょうか? 勝手に決めてしまう形になるのは申し訳ないなとは思っているのですが……。 ・ヴェル&ローザ・コルトゥーラ 姉10歳、妹3歳。 こちらのグループは完全にノータッチですね。 後ろのほうに来てもらうことになりますが、私が面倒を見ましょうか。

  10. アスカ・タチカゼ

    んー……時間もなくなって、反対してるのもあたしだけな感じだから列作る方向で合わせるよ。 その前提で皆考えてるだろうからその方が纏まるもんね。 そんなわけでコルトゥーラ姉妹を引き受けるよ。 年長組に対するアクションもシャロンが言うように並行できるしね。

  11. シャロン・ラ・モリエール

    コルトゥーラ姉妹の面倒を見るのは私がすると申し上げたのですが……。 そういう事ならアスカ様にお願いしますね。

  12. マーハ・アセトシソン

    ごめんなさい、相談に混ざれなくて・・ 反対というかこういう場は意見の出し合いだからね。これが正解!っていうのはないんだろうし・・あまり相談に参加してない僕が言うなって感じではあるけどさorz とりあえず各自担当を決めておいてそこを中心に面倒を見る という感じだよね。スキルを使ったりして楽しませるとかできると いいかなーとか僕は考えてるんだ。【生活魔法】とか【ピュアウォーター】とか色々使えそうなのもあるし・・楽しく、楽しみながら面倒みてあげたいしね。

  13. アスカ・タチカゼ

    ゴメンゴメン、口ぶりから面倒見るって宣言ではないって勝手に判断しちゃったよ。 そっちでコルトゥーラ姉妹の面倒見るって事なら私は邪魔しないよ? まあとりあえずはコルトゥーラ姉妹の面倒見る方向で行くけど、言ってくれれば変えるから。

  14. ヴィノニス

    ごめんなさい。ちょっと口を差しはさみにくくて。 ブルーノ&セッピア&ベージュ・カーフ この三兄弟のお世話をすればいいのね。分かったわ。

  15. シャロン・ラ・モリエール

    個人的な意見ですが。 反対意見が出るのは『相談』なのですから構いませんが、すり合わせようとしているのをスルーして相談そのものをストップさせるのは大変困りましたよ……。

  16. マーハ・アセトシソン

    相談がストップしていたなんてことはないんじゃない? アスカさんの意見も同じ依頼に参加した仲間として貴重なものだと 思うし、メタな話をするとこの依頼を出したMS だって参加者も子供たちも楽しく引率され、するっていうのが目的な はずだしね。シャロンさんも怖い顔せずにもう少しで締め切りだけど 仲良く依頼をこなしていこうよ これってあとに残るかわからないけど、改めてみんながんばろー

  17. シャロン・ラ・モリエール

    怖い顔……。 言い方がきつかったのかもしれませんね。ご不快な思いをさせてしまったのなら申し訳ございません。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0