【闇刄】二つの針路
崎田航輝
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シナリオID:282
オープニング
夜の帳が降りる頃、街にも静けさが訪れる。
皆が眠りにつく深い時間――けれどシノビはその只中にあっても、気を抜かない。
細い隙間からだけ外が見える、隠れ家。その一角の壁に腰掛けて龍尾・左衛門はじっと留まっていた。
仮眠は取っているが、手元には刃を携えている。不測の事態があっても対応できるようにと、幼い頃よりの教えであった。
尤も、以前までは都市ランツォールも平和で、左衛門の眠りが妨げられることも無かった、のだが――
突如鋭い衝撃音が走り、壁を無数の刃が突き抜ける。
「ニン!?」
瞠目した左衛門は、がばっと立ち上がった。
見ると幾つもの刀が、自分を目掛けるように壁から生えている。直後には微かな足音が耳朶を打った。
「刺客ッ!」
左衛門は外に飛び出て視線を巡らす。
すると黒装束の男が複数、闇より飛びかかってきた。左衛門は目を見開き、抜いた刀で剣撃を受け止める。
「ふぬぅぅ……っ!?」
鍔迫り合って、数度打ち合って。なんとか弾き返すが、屋根の上に別の敵影があるのに気付いて、左衛門はぎょっとした。
「せ、戦略的撤退に御座る!」
それから守りの固い市長邸の中心に向かって、ほうほうの体で逃げ出していく。
●暗き暁
「面目ないで御座る……」
頭巾越しにもしょげていることが判る顔で、左衛門は詫びていた。
市長邸の屋敷の奥。ランツォール市長ベルナールも同席する中、冒険者達へと左衛門は夜のことを説明している。
曰く、敵のシノビと思しき者らに強襲されたのだという。
「おそらく、都市ナザックからの刺客で御座る」
先日、祭り妨害者に対抗する為の作戦で、敵が潜んでいる町とシノビの一人の正体について推測が立った。
だが、こちらが敵に気付いたのと同様、敵も左衛門の正体に気付いたようだ。
隠れ家が割り出されたのは、敵が左衛門の手の内を知っているからでもあろう。
けれどそれ故に、と左衛門は顔を上げる。
「これで推測は確かになったで御座る。敵のシノビは玄尾・右衛門……同じ里で腕を磨きあった、拙者の嘗ての同門で御座る」
右衛門というシノビは、当時から卓越した実力を持っていたらしい。
おそらくは、それが敵戦力の首魁。強行な姿勢を取ってくるのも、本人の性格と合致しているのだといった。
「今回は何とか逃げ延びたで御座るが……おそらく拙者は敵の標的となったで御座る。拙者が消えるまで、刺客は止まぬ可能性も」
「その辺りについて、私からもそれとなくナザックへ探りを入れてみたのですが」
と、口を開くのはベルナール。
その表情は結果が芳しくないことを伝えている。
「ええ、ナザック側は白を切っていました。怪しいと思える部分は多分にありましたが、こちらも物証もない為それ以上は詰められませんでした」
「……とは言え、妨害行為がナザックによるものなのは間違いないで御座る」
前回捕らえた賊達はあっさりと「ナザック」の名を白状している。
ナザック側は下っ端など切り捨てて、知らぬ存ぜぬを通すつもりらしいが――浮かび上がった事実は決して消えるものではない。
そこでと左衛門は言った。
「こちらから動く必要がありそうで御座る」
●道
このまま黙っていれば、左衛門は危険だろう。
ただ、食の祭りが上手く行ったこともあり、ランツォールは数日間は祭りを開かない予定でいるという。
即ち、妨害される祭り自体がなく、一般人が狙われる心配は薄い。
「実際、拙者以外の人間は誰も狙われていないで御座る」
敵はあくまでも“ランツォールの不手際”を発生させたがっている。
だからあくまで秘密裏に進めたいのだろう。まずは存在が消えても誰も気付かない、シノビである左衛門だけを潰す気だ。
冒険者のことも、敵は脅威に感じているだろうが――ランツォールに留まっていない上、ばらばらに行動する冒険者の足跡を辿るのは容易ではあるまい。
故にこそ左衛門をしかと始末し、ランツォールの諜報能力を瓦解させてから……次の算段をじっくり整えようという考えなのかもしれない。
いずれにせよ、敵に手の内が知られている左衛門の存在そのものが、今やリスクだ。
「そこで……拙者と共に街を出てほしいで御座る」
市長の周りは一応、目立った行動を控えた上で警護させる。
その上でこちらは行動に打って出るのだ、と。
「とは言え不確定な事も多いゆえ、二つの案を提示するで御座る」
左衛門は冒険者達を見回し、説明を始めた。
「一つは、ナザックへと攻め入る作戦で御座る」
昼間から人に紛れて町へ侵入。その後敵の潜伏場所と思われる場所で敵を釣り出す。本拠地に左衛門が現れれば、敵も動かざるを得ないだろう。
上手く行けば、敵の首魁と相まみえる可能性もある。
「もう一つは、シャルガネに行く作戦で御座る」
シャルガネには左衛門の出身である『百賀の里』がある。
それはつまり敵の右衛門の出身の里でもあり、右衛門に関する詳細な情報が手に入る可能性があるということだ。
追ってくる敵もいるだろうが、ナザック攻めより難易度は低いだろう。
「ナザックへ行く作戦は、いわば危険である分問題解決に近い道で御座る。シャルガネへ行く策は、危険から離れながら外堀を埋める方法で御座る」
無論、どちらの策も容易ではないだろう。
「拙者、冒険者殿に命を預ける所存で御座る。先の戦いで、それをしかと心に決めたので御座るよ」
だからどちらを選ぶかは一任するで御座る、と左衛門は言った。
解説
マスターより
リプレイ
賑わいに満ちる、朝日の下の大通り。
ランツォールから出立する馬車へ向かいながら、サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブは前を行く左衛門をつんつんとつついていた。
「にゃ! そういえばお祭りの時以来だねっ!」
「うむ。当夜は世話になったで御座るよ」
応える左衛門は目立たぬ衣服姿。このまま朝の明るさに紛れて皆で都市を離れる策だった。
「今回も難儀な使命、受けて貰えて嬉しいで御座る」
「乗りかかった仕事だもん、きっちりやり遂げるよ」
ララベル・サン・ディーベルは華やかな相貌に意志を携えて返す。
皆もまたそれぞれに頷いて。馬車へ乗り込み、街から北上を始めた。
瓦屋根の家並み、朱に塗られた橋。
灯籠に照らされる深い宵の景色を――馬車の中から冒険者達は眺めている。
「生まれ故郷に戻って来んのも久しぶりだな♪」
――シャルガネ居住区。
漂うその空気にハヤト=ガラン=ヴォルファングは懐かしさを抱いていた。
「案内するから、終わったら皆で観光なんてどうだ?」
「にゃ! 楽しそうだね!」
サフィラが明るく言えば、皆も頷いて。セレネ・ヴァーミリオンもその夜景を見遣りながら呟いていた。
「その為にも仕事はしっかりこなさないとね」
相手にとって、不足はない。
ならば後はどれだけ情報を収集出来るかだ。
「私達にかかってるね」
「ええ。左衛門さんもよろしくね」
アリエッタが柔らかに言えば、左衛門は勿論で御座ると応えて。街並みから逸れた細道で馬車から降りていた。
そこから進むとひとけが失せ、静寂が強まる。
アリエッタは歩みを続けながら左衛門へ目を向けた。
「師匠さんは、どういった方なの?」
「武と道を教えてくれた恩人で御座る。老齢ゆえ一線からは退いたで御座るが……頼りになる人で御座るよ」
口調には尊敬の念が窺える。
「敵の――右衛門さんのことも教えていたのよね」
「当時から右衛門とは犬猿で御座った。師匠は辛抱強く教えていたようで御座るが……」
その事も含め聞く必要はありそうで御座ると言った。
いつしか辺りは深い竹林に変わってゆく。
ここを越えた先に、里がある。セレネは遠くを見通すように景色を想像していた。
「自分の家以外の里に行ったこと無いから興味津々だね――」
「やっぱり凄いカラクリ屋敷があったり、修行用の滝とか有るのかなぁ?」
ララベルも瞳をきらきら。左衛門は進みながらも頷いていた。
「無論、侵入者を阻む仕掛けはあるで御座るよ」
「この目で見る為に、まずは辿り着かないとな」
と、視線を奔らせるのはケン・Z・ブラッドリー。
暗がりに囲まれたここは、隠密には最適。故にこそ瞳をしかと凝らすようにして。
「まさにシノビの襲撃にはうってつけの場所、だからな」
「そうだね。警戒は必要、かな」
マーハ・アセトシソンも見回している。
夜の中の緑は、遠方を窺わせぬ悪視界。だがそのどこかに、確かに気配が蠢き始めているような気がして。
警戒を欠かさずセレネは右舷側へ。
「油断大敵、慎重に行こう。オゴスさんは反対側よろしくね」
「了解です」
蛇の道は蛇。
剣呑な世を生きてきたオゴスもまた、敵方が容易にこちらの思惑通りにはさせないだろうという直感がある。
だから左舷側で、視線は前に向けたまま。探知用エーテルを奔らせ気を緩めなかった。
「ちょっと歩きにくいなぁ……えいっ」
と、サフィラは竹から竹へ身軽に跳躍。前方と上方にも目を光らせていく。
これで死角はない。
「しかし、シノビの護衛をするってなんか変な気分だな」
ケンの呟きに、マーハは頷きつつ杖を手に握っていた。
「これもお仕事だけど。僕はどちらかというと、派手に決めたいほうなんだよね……」
「――そのチャンスがあるかもしれないぜ」
と、後ろを向くのはハヤト。嗅覚で自分達以外の存在を感じ取っていた。
皆もまた僅かな音と、エーテルの反応を察知している。一瞬後には、近づく気配の正体を見つけていた。
「おいでなすったぜ!」
「――やはり敵の諜報能力は相当高いようですね」
オゴスはそっと刃を握り、敵の輪郭を捉える。
それは黒の装束に身を包んだシノビ達。
ケンは怯むでもなく大太刀を手に取っている。
母から聞いていたシノビという存在には、前々から興味を抱いてもいた。敵も味方もそれがいて、戦いに臨めるというのなら。
「楽しめそうだな」
「さあ、みんな行くよぉ!」
真っ直ぐな戦意を浮かべるマーハの言葉と共に、皆は敵を迎え撃つ。
●迎撃
現れた黒忍は八人。
奇襲がうまく運ぶと思っていた事だろう。が、それは誤り。疾駆したハヤトが既に地を蹴り、一直線を跳び――
「うるぁ!」
鉤爪を大振りに、一人の膚を裂いていた。
よろめく黒忍は瞠目しながらも刀を構えるが――ハヤトは飛び退く。直後に宙へ跳んでいたアリエッタが上方から迫っていた。
降下しながらくるりと宙で回転して。着地と共に一閃、斬撃を見舞って血潮を噴かせる。
「次、お願いするわね」
「にゃ!」
応えて竹から竹へ飛び移っているのがサフィラ。
勢いをつけて落下すると黒忍の至近へ。刃で抉り込むように毒を与えてゆく。
左衛門へ向かおうとしていた一人には、ララベルが立ちはだかった。
「させないからね」
とん、と、軽やかなステップを踏むように。
柔らかに髪を靡かせながら、夜風に乗るようにその懐へ。水平の斬撃を加えると靭やかに回って二撃目も加えてゆく。
黒忍はふらつきながらも手裏剣を取る、が、刃を突き出すオゴスの方が早い。
その切先に明滅するのは魔力の煌めき。矢の形を成したそれが夜闇を突き抜け黒忍の腕元に刺さっていた。
この間も別の黒忍が間合いを詰めつつあったが――
「いけますか」
「ああ」
オゴスに応えたケンが駆けている。
「さすがシノビというだけあって素早いな」
呟きながら、ケンとて遅れをとるつもりはない。
的確に狙いを定めると、大太刀に光塊を纏わせて一撃。強烈な衝撃波を波及させて三人の足元を抉り裂いていた。
鮮血を零して呻く黒忍。その一瞬に、セレネが竹のしなりを利用して空へ踊っていた。
仲間の頭上を飛び越え、敵を眼下に見下ろして。そのまま藪の中に着地して相手が反応できぬうちに一刀、苛烈な斬閃で一人の肩口を斬り裂いてゆく。
「藪はこういう風に使わないとね」
そのままセレネは止まらない。
逆の手に握る刃を突き出して刺突を与えると、すぐさま移動して陰から陰へ。反撃も容易に許さなかった。
それでも黒忍は手裏剣を投擲しこちらの体力を削り始めてくるが――
「それ以上はさせない!」
直後にはマーハが杖に煌々と魔力を揺蕩わせていた。
夜闇がゆらゆらと動いて見える程、湛えた力は濃密にして膨大。いつしか竹林がさざめくように揺れて、葉鳴りを響かせていた。
刹那、生まれたのは星が現れたかと空目する程眩く美しい光。
耀く無数のそれは、猛烈な勢いで降り注ぎ。黒忍を穿ち、地に叩きつけ、体力の減じていた三人を倒していた。
毒で弱っていた者も膝をついており、残りは四人。それでも黒忍達は刀を握り直すが――
「よう、こないだの奴等よりは楽しませてくれよ?」
その横合いからハヤト。黒忍がとっさに振るった刃を躱し、連続の斬撃で腕を切り裂き刃を払い落とした。
「頼むぜ」
「ええ」
ハヤトが下がれば、逆方向からアリエッタ。背後から斬り込み一人の意識を奪い去る。
残る三人のうち、最前の敵にはサフィラとララベル。二重の円を描くよう、竹から竹へと跳んで距離を詰め――
「一気にいくよー!」
「了解、合わせるね」
サフィラが至近に迫り脇腹を捌けば――ララベルも逆側から連撃。二刀を踊らせ一人を倒す。
別の黒忍がサフィラへ斬撃を喰らわせたが、直後にはオゴスが治癒の光を与えていた。
「無駄な事です」
「……!」
劣勢に、もう片方の敵も焦りを見せる。その隙をケンが逃すはずもなく、踏み込んで最小限の動きから一閃。
「あぁ……やっぱり刀はいいな」
呟く頃には無拍子の斬撃で首を断ち、静寂の内に命を奪っていた。
最後の一人も無論逃さない。
ふわりと宙を蹴り、夜風と共に舞い降りるセレネが剣撃を叩き込めば――マーハも杖へ鮮烈な光を凝集していた。
「これで……終わらせる!」
鋭利で長大な矢となったそれは、剛速で解き放たれて。光の粒子を瞬かせながら黒忍を討ち取った。
「立派な情報源だからね」
戦いの後、セレネは息のある一人を捕らえている。
オゴスはそこへバンダナで猿ぐつわ。武器も外した上でロープで縛っていた。
ケンもその指先まで拘束する。
「シノビの指は自由にさせちゃいけないって母が言っていたんだよね」
「ひとまずはこれで問題ないですね」
オゴスは確認して呟く。情報を聞き出した上で、ランツォールに引き渡す事になるだろう。
「かたじけないで御座る。では、急ぐで御座るよ」
そうして左衛門が歩むその先に――高い竹垣があった。
サフィラは、んー、と見上げている。
「そーいえば、シノビの隠れ里って一般人も入っていいのかなっ? 入った瞬間、手裏剣とかクナイで串刺しにされたりとかしない……?」
「大丈夫で御座るよ」
左衛門は垣を叩き合図を送る。するとそれが大扉のように開き――こちらを出迎えた。
「苦労をかけたで御座る。まずは朝まで体を休めてほしいで御座るよ」
●里へ
冒険者達が案内されたのは、木造の平屋だった。
紙張りの扉を通った先の寝室で休息をとった冒険者達は――翌朝、改めて左衛門と里を歩き始めている。
「わぁ……」
ララベルは右に左に目を向ける。
明け方の中、見えるのは――家屋と蔵、そして広くこの敷地を覆う竹垣。
垣が途切れる所は岩場になっており、上方から滝が流れている。木の板を刃物が貫く音は、シノビ達の鍛錬によるものだ。
飛び石が連なる先にも屋敷があり、そこが師匠の居住まいらしい。
「雰囲気あるね……!」
「うん」
セレネも頷き視線を巡らせる。
「ここが百賀の里。やっと着いたね」
「猛者もいるんだろうな」
年甲斐もなくわくわくする、とケンは心が滾る気持ち。
左衛門はふむ、と声を含む。
「実のところ、百賀は余り武闘派ではないので御座るよ。それでも確かに師匠や――右衛門は猛者だったで御座る」
と、言って案内する屋敷の、その壁。
がこん!
何もないように見えたその一部が突如回転扉になって、白髪の老人が現れた。
左衛門は慣れたように辞儀をし、冒険者達と引き合わせる。
「師匠の宗衛門で御座る」
「お初にお目にかかる。右衛門の所業は左衛門に聞いておる」
宗衛門は穏やかさと、只者ではない印象も抱かせながら……皆を縁側に招き、何でも答えようと言った。
「この里の出のシノビの事じゃからのう」
「なら早速。右衛門てのはどんな奴なんだ。いつからここに?」
ハヤトの言葉に宗衛門はうむ、と返す。
「他の流派からの流れ者の息子じゃった。その父はもう亡くなったがのう。この里のシノビの子じゃった左衛門とは歳が近く、幼き頃より腕を磨き合う形となったのじゃ」
「それがどうして、今みたいに分かれる事に――?」
アリエッタは素直な思いを口にする。
サフィラも頷いていた。
「何か仲違いすることでもあったのかなっ?」
「一定の修行を修め、互いに独り立ちする事を望んだのじゃよ。じゃから仲違い、とは言えぬかもしれぬが――」
右衛門は昔から力を好み、全てを力で解決しようというきらいがあったという。
「生来の性質だったのじゃろう。儂も教えを説き続けたつもりじゃったが――」
その性格は変わらなかったのだろう。宗衛門が手を焼く程の実力を得ながら、ずっと外に出たがっていたらしい。
「そうして出た先で……同じ性質を持つ者と出逢ってしまったのかもしれぬな」
「それがナザックのお偉いさんてわけか」
ハヤトの言葉に宗衛門は頷く。
「右衛門は、左衛門が里を出た後も暫くシャルガネと同盟を出入りしていたようじゃ。今思えば――自分のやりたいように出来る仕事場を探し、整えていたのじゃろう」
「里に自分が合ってないと、ずっとそう思ってたのかな」
セレネが仄かに物思うように言うと、宗衛門はそうかもしれぬと言った。
「師としては、情けないがのう」
「わざとさえもんと対立する側に付いて、さえもんのこと狙ってたりはしない?」
サフィラの問には、宗衛門は首を振る。
「所業を聞く限り、左衛門との衝突は偶然じゃろう。奴はただ強行を躊躇わぬだけじゃ」
「狙いやすいから狙っている。拙者はただの標的。……きっと、そうなので御座ろうな」
左衛門は言った。
幼い頃は同志だった筈。だが右衛門の眼中に左衛門はいなかったのかもしれない。
だとすれば、とオゴスは声を向ける。
「動機は金以外もあるとは思っていましたが……そもそもその辺りは右衛門にとって重要じゃないんでしょうね」
「自身の腕を買ってくれる者の為に尽くす。如何な手段に及んでも……それが奴の道なのかもしれぬな」
ナザックにとっては実際、頼りになるシノビなのだろう。
それでも、とアリエッタは真っ直ぐ目を合わせた。
「宗衛門さんは。右衛門さんをどう思っているの……?」
「そうじゃな」
宗衛門は遠くを見る。
「今は里から離れたいちシノビに過ぎん。じゃが……百賀の里のシノビは賊ではない。それらしいシノビでいて欲しいとも思うとるよ。師としての責も感じておる」
それは右衛門へ然るべき対処を望むという事。
「じゃが、儂は里を離れられんでな」
「僕たちが……冒険者が、何とかするよ」
言ったのはマーハだった。
ララベルも頷く。
「出来る限り、彼の技や戦い方について教えて欲しいな」
その一つ一つの情報が、未来を切り拓くからと。
宗衛門は感謝する、と言って。左衛門も知らなかった右衛門の力や戦法、癖に至るまでを語った。
マーハは書き留めながら、俄には信じられぬ気持ちだ。
「かなりの強者みたいだね。配下のシノビとは比べ物にならなさそう」
「それならそれでいいさ」
ケンはそう吐露した。
こちらもその覚悟で挑めばいいだけの話だから、と。
宗衛門は右衛門が使うであろう逃げ道や、潜伏方法も推定した。それは生け捕りにした黒忍の証言とも一致する。
これで情報に不足はない。
「多少の猶予はあろう。準備を万端に整え、旅立たれよ。協力出来る事ならばしよう」
「なら、ここのシノビの戦い方について教えてくれないか?」
ハヤトは言って百賀流の剣術を可能な範囲で教えて貰う事になった。
「避けと逃げ、短い時間で敵を払うことに重きを置いてる感じだね。確かに力押しとは違うかも」
セレネは剣戟を見て呟く。
右衛門はその全てを吸収しながら、その生温さに不満を抱いていたのだろうか。
「会えば判る事だな」
ケンは拳を打ち鳴らす。
皆も頷く。見上げた空に、闇を払う眩い陽光が昇っていた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2020年12月08日 11時51分25秒 公開
相談掲示板
アリエッタというよ。 よろしくね
僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、今回も宜しくね! >選択肢希望 これは早めに決めた方がいいと思うので、僕の希望を発言しておくね。 (2)シャルガネに1票かな。 理由は、敵戦力の首魁、右衛門は卓越した実力を持っているらしいから、良く調べずに敵の本拠に乗り込むのはリスクが高いかなと。 だから、情報を得られるなら得に行きたいなぁと(簡単に教えて貰えるものでもない気がするから、具体的に情報を得る手段等は、考えないといけないだろうけど)。 ………あと、シノビの里(わくわく)。
私はシーフのセレネ・ヴァーミリオンだよ。 これでもれっきとしたシノビの端くれだよ。 皆よろしくね! >選択肢希望 まだ早いような気もするけど、私も希望を発言しておくね。 (2)シャルガネに1票。 理由としてはディーベルのお兄さんと似てるけど、相手の手の内を知らない状態で敵と戦うにはリスクが大きすぎるって点かな。 敵はシノビなんだし、何をしてくるか分からない。 戦うなら相手の手の内を知ってから戦いたい、って点が大きいよ。
にゃ!シーフのサフィラだよっ! 前回の依頼であった子は今回も頑張ろうねっ! 初めての子もよろしくっ! うーん、あたしも選択肢は2かなぁ? 情報を集めて右衛門に挑んだほーがいい気がするっ!
オゴスと申します。ホブゴブリンのシーフです。 前にご一緒したことのある方も、初めてお会いする方も、どうぞよろしくお願いします。 >選択肢希望 俺の希望は(2)シャルガネです。 玄尾・右衛門って奴はそうとうの手練れのようなので、得意な戦法や思惑なんかを調べておきたいですね。
よろしくね! あたしの希望は、(2)シャルガネで。
キャスターのマーハ・アセトシソンだよ、よろしくね 僕も【2】が良いかな世の中には急がば回れって言葉もあるけだしね
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ! 今回も一緒の面子が多いな、みんなよろしくな!! 俺はぶっちゃけ右衛門とかいうシノビとやりあっても構わねぇが、個人的にシノビの里ってのに興味があっからな♪ (2)のシャルガネの方で構わね~ぜ! 久々に生まれ故郷にも寄れるだろーしな。
ケンさんの意見も聞きたいところだけど、一応は2のシャルガネに向かうという方向性で動いてるのかな?相談の期間もあるしそろそろ進めて 行きたい気もするなー 2だと後ろから敵襲を受けることになるけど、対策を取っておけば 奇襲を言う形は免れそうっていう記述もあるからそこらを相談する 感じかなーと
とりあえず(2)で話を進めるなら 奇襲は捜波で探索しながら進むのがベタかなぁ あとはフィールドの ・視界の悪さで命中と回避が−10% ・足場の悪さで移動が−1 ってのをどう対処するかもポイントだよねー 夜だし、視界は暗視でカバーできるかなぁ? 足場の悪さはバランス感覚か壁歩きで竹を足場にするのもありかなぁ?
顔出しが遅れてすまない ウォーリアーのケンだ まぁ、急がば回れという言葉もあるし無理をする必要もないだろうから俺も(2)の方向でいいと思う まぁ、敵の襲撃は予測できる範囲だし索敵行動は必要だから、それなりに奇襲への対抗はできるだろう そこらへんはシーフにお任せになっちゃうか? 視界の悪さは暗視でカバーするのがベターだな 明かり灯してとかは戦闘には向かんからな しかし・・シノビか なんか聞いただけでワクワクするのはなんでだろうな
奇襲対策に関してはナハルハルアリーブのお姉さんのやり方でいいとして、『視界』に関しては別途対策が必要かもね。 夜という部分は【暗視】で良いかもしれないけど、『藪』で視界が悪いかもしれないから【暗視】だけじゃ足りないと思う。 【天眼】を持ってる人は、【天眼】も持っていくと良いかもね。
【暗視】と【天眼】を両方持ってるけど、これでみんなの目に!っていうところまでは無理でも魔法を当てやすくはなるかぁ 回復や行動阻害のほうを優先するっていうこともできるけどね
あれ、今確認したらクラスが僕とケンさん以外シーフっていう 編成なんだねー そうなると余計に行動阻害とか回復のほうに回ったほうがいいかなー?
>奇襲対策 僕は捜波を持っていく余裕はなさそうだから、超聴覚で音を拾って警戒しておくね。 シノビだから、足音は小さそうだけど(汗汗)。 >視界の悪さ 視界の悪い所で戦う場合は耳のいい人とか鼻のいい人は、それでも相手の居場所を捉えて視界の悪さカバーできないかな? 捜波の使える人はそれで相手をマークできたなら、やっぱり視界の悪さを補えそうな気が。
>奇襲対策 捜波なら俺も用意ができそうです。 暗視もあります。 >回復手段 マーハさん、PTバランスのお気遣いありがとうございます。 マーハさんは一人しかいないキャスターさんですし、一人だけが回復重視になることでキャスターの魔法をあまり使えなくなってしまうのも、なんだかもったいない気がします。 俺もヒールを持っていって初撃の猛毒の刃以降は回復重視でいこうかと。回復重視が複数いれば、マーハさんが自由に魔法を使う余裕も出てくるでしょう。 ただ俺は、短剣のままだと32、鉄の祭刀を買っても40と回復力が低めです。
>魔法 そうだね、ヒールを持っていきつつ僕は攻撃の手段を 増やしていくとするよー 敵の奇襲対策はある程度決まってきたところで 移動するときの陣形とか決めておく?どんな風な立ち位置に いるとか、龍尾さんもいるから9人で動くわけだけど
>陣形 敵と距離を置きたい方を内側にした陣形なら、どこから敵が攻めてきてもある程度対応できそうですね。 藪に捜波を使っていくつもりなので、俺は外側の左側あたりにでもいられたらやりやすいです。 進行方向の左側の藪をずーっと捜波していくイメージですね。 あくまでも第一希望ってだけなので変更も可能です。
おはようー プレイングは今日の夜までには仕上げていきたいところだね 僕自身は打たれたら結構やばめの物理防御だから内側よりにいようかな龍尾さんも同じぐらいの位置にいてくれれば狙われたときにカバーしやすいかもだし あとは煙玉対策に【豪風】を持っていくつもり、夜に煙玉使うかな?っていう疑問はあるけどあっちの視力がどれぐらいいいかもわからないし、使うときは大きく声をあげるよ。風で煙が吹き飛ばせればなと
>奇襲対策 俺も【捜波】と【暗視】【超嗅覚】あたりで対応するぜ! >陣形 奇襲なら1番攻撃を受ける可能性の高い最後尾に位置取ることにすんな! 回避にゃ自信があるからよ♪ >マーハ んじゃ、煙幕対策は頼んだぜ!
戦闘後、倒した敵はどうします? 捕縛か殺すか、あとは百賀の里に連れていくかって選択肢がありそうですね。 俺としては、他の奴は息の根をとめて一人だけ里まで連れていくってのが手間と効果のつり合いがとれてるかと。 もし捕まえておくなら、布でも噛ませといて自害対策もした方が良さそうですね。 >ハヤトさん 危険な殿の位置、ありがとうございます。 俺は左藪以外の警戒までは手が回りそうにないので、索敵手段が豊富なのもとても頼もしいです。 >マーハさん 煙幕対策助かります。よろしくお願いしますね。
私は【捜波】、【天眼】、【暗視】を持っていくね。 隊列は俺は外側の右側辺りを希望するよ。 オゴスさんとは丁度反対側で、反対側の藪を探索する形になるかな? >アセトシソンさん 煙幕対策ありがとう。 よろしくお願いするね。 >オゴスさん うーん…成り行き任せ、って面はあるけど…、最低1人は捕縛して里まで連れて行って話しを聞きたいかな? そもそも『手加減出来ない状態で殺さずに捕縛できるか?』って問題もあるからね。 全員捕縛は出来ないんじゃないかなーって思ってるよ。
>生け捕り はい。生け捕りにこだわりすぎて敵を倒し損ねたり逃げられても本末転倒ですからね。 可能なら1人だけ生け捕りにして、無理そうなら固執せず諦める……みたいな流れにしましょうか。 隠し武器がないか確認もしておきます。 >情報収集 せっかくの情報収集の内容がかぶってしまうのも、もったいないかなという気がするので、俺の質問を書いておきます。 ・右衛門がランツォールを害する金以外の理由の心当たり
にゃ!そしたらあたしは 【捜波】【暗視】【看破】をもってくねっ! 位置は一番前が空いてるっぽいからそこにするね! うーん…生け捕りできたらいいけど 前回のシノビより強そうだし、不利を悟ったら逃げそうな気もするんだよねー あたしも協力するけど「可能なら捕縛する」くらいの感じかなぁ?
【暗視】と【超聴覚】を持って行くね。 位置は一通り前後左右人は配置されてるみたいだから、並んでも大丈夫なら僕も一番前を行かせて貰うね。
僕は暗視と天眼を持っていくよー あ、拘束に関しては光縛呪を持っていくよ 相手が戦闘不能までもっていけてれば60分間拘束できる魔法でね それ以上かかる場合でも重ね掛けでもたせられるし
にゃ!いよいよ8時出発だねっ! とりあえずまとめー! ●方針 (2)シャルガネ・百賀の里行き →右衛門の目的を探る ●奇襲対策 ハヤト:【捜波】【暗視】【超嗅覚】 オゴス:【捜波】【暗視】 マーハ:【暗視】【天眼】 ララベル:【暗視】【超聴覚】 セレネ:【捜波】【暗視】【天眼】 サフィラ:【捜波】【暗視】【看破】 とりあえず、全方位【捜波】でカバーできそうだねっ! ●敵の処遇 一人は捕縛して里まで連行 ●陣形 最前:ララベル、サフィラ 左側:オゴス 右側:セレネ 最後尾:ハヤト 中央:マーハ、右衛門 ケンとアリエッタはどうするー?
すまん。背後の機器状態の問題でほとんど参加できずにすまない 方針とかは了解した 奇襲対策の方は俺も天眼と暗視だ あと、カバリングももっていっていざというときは使うつもりだ 配置としては・・・・・・満遍なくいるようだし護衛対象のところを厚くしたほうがいいだろうし、中央で護衛対象の背後に位置取りするかな