【聖祭】そわそわ収穫お手伝い
白葉うづき
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シナリオID:268
オープニング
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることだけでなく想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。ジド・ルウが好んでいたという、赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――実りの秋、収穫祭を終えた人々は、深まる冬の気配を感じながら、慰霊祭の準備を進めていた。
●お手伝いをしよう
「ねえ! 野菜の収穫手伝って!」
学術都市ヴェルクリエ。その冒険者ギルドにたまたま訪れていた授恵者たちのテーブルに、笑顔の青年が乱入する。それは依頼かと問えばもちろん! と元気な答えが返ってきた。
「ジムズって野菜を研究してる学者がいるんだけど、畑の作物が急にいっぱい出来ちゃったんだって。収穫終わったばっかだし季節じゃない野菜もあるのに面白いよね! エーテルの影響かなぁ? それで収穫するお手伝いさんを大募集中! 楽しい野菜がいっぱいあるよ、新作もあるんだって!」
話の節々に気になることはあるが、要は農作物収穫の手伝いなのだろう。了承すると同じような勢いで青年――ヴィンツ・ラッテは流星のようなスカーフを翻して駆けだしていた。
「ありがと! それじゃこっち!」
●おかしくて不思議な野菜収穫
乾いた大地として知られる辺境都市群。雨が少なく、年中乾燥したこの地域では非常に困難なことがある。
それは安定した農作物の収穫。
エーテルの影響による異常気象によって温暖な気候を保っているが、大量生産は難しいのが現状だ。
布を首にかけ鍔広帽子を被った本来の依頼人、野菜学者ジムズは試行錯誤を重ね、安定して収穫できる作物を研究しているらしい。
「いやあ、こんな集まってくれっとはなぁ、嬉しいべ。ヴィンツもありがとなぁ」
「ジムズ! 新しい野菜は?」
「あっちの蔓だぁ」
指さされた方向に青年はすぐ駆けていく。それを見送り、ジムズは授恵者たちに目を向けた。
「説明するなぁ。収穫できる作物は全部で四つだ。まず青空ベリー。これはそこの低木に生ってる青いベリーだ。軽く引けばぽろっと落ちるでな」
そう言って青く瑞々しく光るベリーをぽんぽんと採っていく。
「次は夜明けニンジン。こいつぁ油断すると逃げ出すべな、葉っぱんとこぐっと握ってりゃ大丈夫だ」
逃げ出す? と不思議に思っていると、引き抜いたニンジンはグラデーションがかり、先が二つに割れ宙を走るように動いていた。なるほど?
「かくれんぼイモはちょっと時間かかるかもなぁ。葉っぱを引き抜いたとこにはついてなくて、その下の土に全部隠れてんだ。色が土と一緒だから、手で触っかよく見て探すんだべ」
ジムズは日に焼けた腕を土に突っ込むと、手探りでいくつも土色のイモを掘り出していた。
「新作以外は採り方は一通り教えたが、それでも難しかったらヴィンツに聞いてくれ、あいつは俺よりも上手いべなぁ」
採取にとそれぞれカゴを渡される。採った後の葉っぱはその辺りに置いておいていいとのことだ。
「収穫したモンは来月の聖霊節で出すべな。それにこんな時世だ、帝国で苦労してる奴らにも送り届けるべ。お前らも好きなだけ持ってけぇ」
ジムズは朗らかに笑う。そして突然ぱん! と音が響いた。喜色を隠し切れないヴィンツが顔を出す。
「ジムズ、破裂した!」
「変わった豆だべ? ばくはつ豆って名前付けたんだ」
「ぴったりだね!」
「あれは落としさえしなきゃ大丈夫だぁ」
不思議な作物ばかりだが、コツさえ掴めば何とかなりそうだ。作業をしながら雑談に興じてもいいだろう。汗を拭ったジムズは、そういえばと既に土まみれになったヴィンツを呼び止める。
「ヴィンツ、お前来月は準備してるんか?」
「うん! きらきらなの作る!」
「そうかそうか。キャンティ地区の祭りはお前さんの紋具がないと寂しいからなぁ。去年もなかなかのモン作ってたしよぉ。……しかし、他が大変だってのにのんきに祭りなんてやってていいんだべか」
楽しそうに想い出を振り返るジムズは少し首を傾げる。蔦を見ていたヴィンツはもちろん! と笑いかけた。
「お祭りを元気にすれば人が集まる、集まった人がお祭りを楽しんで元気になる、元気になった人たちがまた他の人に元気をあげる! オレたちは最初にその元気をあげる人!」
「はっは、良いこと言うなぁおめえ」
頷き、ジムズは授恵者たちに優しい瞳を向けた。
「ここも祭りでまた賑やかになるべ。お前さんたちもたまにゃあ仕事休んで、羽根伸ばせなぁ」
解説
マスターより
リプレイ
「やぁ。おもしろ野菜が大集合って聞いたよ」
軽く手を挙げて挨拶するセヴラン・クアルトは、緩く口元に弧を描いて面白いと言われた野菜たちを見渡す。
「この子たちは勝手に生えてきたのかい? 特別な調合の肥料や品種改良を狙った種を撒いた訳でもなく?」
「野菜が進化した形かもしれないわ。普通の野菜より収穫が困難だもの」
ミツキ・アインホルンも考えを述べる。
「なるほどね。僕は、自分で収穫カゴに入って収穫される人参の失敗作辺りかなと思ったんだけど……正解はあるかい?」
「丈夫になれって土ぃ弄繰り回してたら成長したんだべ。自分でカゴさ入ってくれたら嬉しいなぁ」
からからと笑うジムズに二人は顔を見合わせた。偶然の産物らしい。
もう一人、畑を見つめる冒険者がいた。ハリス・アル・ターミルは感慨深げに溜息を零すと、この畑の主に尊敬の眼差しを向ける。植物たちはこの地でも良い環境で育っているのが分かったからだ。
「どれもこれも素晴らしい出来栄えですね……是非とも詳しく学びたい……!」
その横でファイサル・アル=ファルドが金色の瞳で畑を見回す。試しにニンジンの葉をしゃがんでつつくと震えた気がした。
「おぉ、世の中には面白い食材があるもんだ」
「フェスタを思い出すな……違うもの、アノオソロシイナニカ味とは違う、あいつらは美味しかった……」
「……大丈夫?」
ひと月ほど前の思い出に苛まれるカイン・ステラにファイサルが気遣わし気に振り向く。青褪める彼は何でもないといったように手を振った。
「ちょっとした刺激で破裂する豆ってどうやって調理すんだろ」
「俺も気になります。他の野菜も、料理したらどんな味と食感になるんだろう」
「な。普通の作物と何か違うのかも気になるし」
ファイサルとカインが会話に花を咲かせている傍では、エフィルミアが自分を見回しながら今日の装備(農作業ver.)をチェック。
「バッチリ戦闘服を用意しましたよ! 楽しむ時も思いっきり!」
「いいね、最高の準備!」
同じようにテンションの高いヴィンツ・ラッテに、エフィルミアは瞳を輝かせた。
「ヴィンツさんは髪色もお洋服もとってもおしゃれですねー!」
「そう? キミも湖みたいな髪の色とかおしゃれ!」
時を同じくして、違った視点で畑を見つめる影があった。
「ば、ばくはつ豆……おもしろそう」
ぴんと耳を立てたトゥーリは好奇心に瞳を輝かせていた。あの豆はどんな爆発をするんだろう? ぱーんくらいなら投げて遊べばぜったい面白くない?
「ねぇ、ハリスさん?」
「いけませんよ」
わくわくを込めたまま振り向くと、素敵な笑顔を浮かべたハリスがいた。まだ何も言っていないよ!
●空と地の恵み物
「『おとなしい』ってなにかしら、作物にそんな説明つくことある?」
白手袋をはめながらファルマ・アラーティは首を捻るが、その説明は正しいような気もした。
「まぁ とりあえず収穫しようか。キャンプにも送ってあげたいし」
セヴランもカゴを手に畑へ。畑には整然と低木が並び、零れそうなほどスカイブルーのベリーが生っていた。腰をかがめたミツキは物珍しげに見つめる。
「『青空』は見た目のことを言っているのね」
「綺麗な色ね。……あらやだ、楽しいわ」
ベリーは軽く引っ張るだけでぽろぽろと零れるように収穫できる。高さもファルマには丁度良いため、テンポよくカゴの中を青で満たしていった。
「これはお菓子に使ったら喜ばれるんじゃないかな」
「つやつやして美味しそうだからパイとかに乗せて焼いたら美味しそうですね」
「いいな」
セヴランとファイサル、カインもお菓子に想いを馳せながら調子よく収穫を進めていく。
「ジャムにして、生地を練り込んでクッキーにしたら青いクッキーにもなるかなって。で、普通のベリージャムを生地に練りこんでクッキーにしたのも焼けば、色がきれいだろうなーと」
「色々な色のクッキーが出来るわね」
ファルマも瑞々しいベリーを手に取る。上にかざすと、空の色をぎゅっと凝縮したようにも見えた。
「染め物にも使えそう。でも食べないと勿体ないし、悩ましいわ」
「それもいいべな。菓子作るヤツと、布職人のとこにも持ってってみるべ」
「あら、いいの?」
「オラたちは新しいモノが好きだからなぁ」
楽しげなジムズに、くすりとファルマは微笑む。本当に好奇心旺盛だ。
「ハリスさんは何をやっているのかしら……」
「ミツキ殿」
次の畑に移動したミツキは、広いカゴの中でニンジンを走らせるハリスの姿を見つけていた。しばらく観察していたが、暴れるニンジンを熱っぽく見ている意味はどうも窺い知れない。
「これは、活きのいいニンジンを走らせることで味などに変化はあるか、ということをテーマに調査をしています」
「そう……」
(のめり込みっぷりがすごいわね。その道の人なのかしら)
カゴを下ろし、教えてもらった通り葉っぱを強く握って引き抜く。外に出たニンジンは二股を暴れさせていた。
「……このまま入れても逃げないのかしら」
「こうしちゃう!」
にゅっと現れたヴィンツは片足を握りそのまま折った。ニンジンはじたばたと暴れた後に動かなくなる。
「ああ……折っちゃうんだね、ぽきっと」
同じく畑に来たセヴランもぐっと葉を握って引き抜き、足を折る。
「それにしても叫ぶのは柵だけで良かったよ」
「それ俺も思いました。……これ痛くないのかな」
ファイサルも頷きながら、活きの良いニンジンの足を折っては黙らせる。
走りながら叫ぶニンジンなんてあったら面白そうだなー、なんて想像を膨らませながらトゥーリはニンジンを引き抜くと――気もそぞろになっていたのか手をすっぽ抜け、全速力で逃げ出した。
「まてまてー!」
ニンジンにはすぐ追いつく。ここだ! と手を伸ばすも避けられ、勢い余ってトゥーリは柵にぶつかった。
ウォォォン!
「ひぇっ」
途端、獣のような鳴き声が辺りに響き渡る。どうやら紋具が発動したようだ、騒がしい音の最中にミツキは赤い瞳を走らせる。
「柵に沿って走っていくみたい、角で待ち伏せできそう!」
「ファ!」
「おっと、出番かな」
「私も行きます!」
カインの呼び声に大鼬が駆けエフィルミアも追っていく。そしてファイサルはエーテルを体内に巡らせると地を蹴って跳躍、さらに瞬間的な加速で空を蹴った。髪と服をなびかせながらくるりと宙返りすると、青年はあっという間に走るニンジンの目の前に降り立つ。
「残念、通行止め」
「てえーい! 捕まえましたよ!」
旋回しようとするニンジンをファが追い詰め、飛び込んだエフィルミアが見事に捕らえた。
「すごーい!」
ぱちぱちとトゥーリが拍手。日頃の授恵者の研鑽、そして連携の賜だ。
「ほう……興味深い。それにあの柵、良い害獣避けになりますね」
一方ハリスの観点はあくまで農民視点からのものだった。
「……ヴィンツ殿、いっそ雷撃や炎を放つようなものを作ることは可能ですか?」
「難しいけど出来るかもしれないね!! 作っちゃう?」
「ぜひ」
ハリスの瞳には、農家の血肉である作物を狙う輩に対する無慈悲な光が湛えられていた。
●かくれんぼとばくはつ!
「これは腕が鳴るよね……うんうん」
腕まくりをし、ゆるりと畑を見回すセヴランは柔和な瞳に少しだけ鋭いものを混ぜた。見極めた場所を慎重に手で掘ると、思った通り大きなかくれんぼイモがその姿を現す。セヴランは冗談めかして小さく笑った。
「獲物は逃がさないよ。……なんてね」
「おお……すごいですね」
「んー、どこ見ればあるってわかるんだ?」
ファイサルとカインも見つめてみるが、イモの気配はよくわからない。
「触って柔らかい場所を重点的に探すと、高確率で出会えると思うよ」
「なるほど……あ、葉っぱの下が柔らかいですよ、カインさん」
「どれどれ……お、本当だ」
男性三人はわいわいとイモを掘り進める。それとは別に、仁王立ちしたエフィルミアは小さく笑いを零していた。
「かくれんぼイモなんて、シーフである私への挑戦状ですねっ。受けて立ちましょう!」
「あら、自信満々ね」
「もちろん! パワーはなくとも毒で勝負です! 隠れてる敵を見つけて毒攻撃を決めて、弱ったところをトドメ! が賢い戦法ですから!」
「ええと……その戦法は別の場所で見たいわ」
ファルマから心配そうな視線が送られるが、任せてくださいと言わんばかりにエフィルミアは頷く。それから土に向かって精密な探知用のエーテルの波を走らせた――が、イモの気配がない。
「まさか隠密!?」
すぐさま別種の探知用エーテルを走らせる。すると出てくる出てくる、イモの場所と数がありありと伝わってくる!
「どんなもんです!」
どやぁ、と口元に弧を描くエフィルミア。そしてハリスは知識の吸収に余念がない。
「隠密をするイモ……これも興味深い。こちらはどのように育てているのですか?」
「工夫ったらわかんねえけど、土と肥料は考えとるなぁ」
言われて地面を検分する。
「……様々なエーテルが含まれていますね? 色も違いますし、もしや他のところから……?」
「当たりだぁ。大陸さ旅して持って帰ってきた土も混ぜとるんよ」
「なるほど……!」
実験の許可を貰ったセヴランは地面にブランケットを引き、そっと収穫した豆を落としてみる。ミツキも見つめていたが――爆発音はしない。
「一定以上の衝撃、もしくは傷付いたらなのかしら」
「とりあえず落とさなきゃ大丈夫そうかな?」
「カゴにもブランケットを引いた方が良いかもしれないわね」
「お、それ良いな」
ファルマの作戦に倣い、皆もジムズから布を借りてカゴに敷く。
「ばーくはつ、ばーくはつ!」
そしてトゥーリは最も気合いを入れて豆を収穫していた。ニンジンの一件から上達し、手つきは迷いないものになっている。一度慣れてしまえば問題ないらしい。ファルマも蔦に下がる豆を慎重に摘み取る。
「……よかった、破裂しなかったわ」
ほっと息を吐いたのもつかの間。
「ひゃあ!?」
すり抜けた豆が地面でぱーん! と弾けた。莢から飛び出した豆は散り散りになってしまう。
「もう、気を抜いちゃうと駄目ね」
「これも油断できないですね……おっと」
「あら、すごいわ」
取り落としそうになった豆をファイサルが咄嗟に宙で掴んだ。思わずファルマが感心すると、ファイサルは照れくさそうに笑う。
「そーっと、そーっと……」
一方、エフィルミアは注意深すぎるほどに豆を手に取っていた。近づこうと踏み出した足は、盛り上がった土に躓く。
「ぴぎゃーーー!!」
ばたばたと手を泳がせ身体を捻り何とか豆の上への着地は避けた。その代わり服は土まみれに。
「ほ、本当は転ぶのくらい回避出来たんですからね! これはあれです! わざと可愛い私を演出したんです!」
「お、おう……落ち着けって」
飛び上がって必死にカインに説明するもちょっぴり恥ずかしい。
「青空ベリーは大人しくてかわいいです……心が癒されます……」
「エフィルミア殿も作物の尊さに気付かれたのですね」
ベリーを撫でるエフィルミアにハリスは満足そうに頷く。ミツキは少し首を傾げた。
「ちょっと違うんじゃないかしら……?」
●聖祭
折角収穫した作物、味見もしてみたい。休憩中にジムズとヴィンツが蒸した収穫物を持ってくる。ベリーはそのまま食べると酸っぱく、ニンジンは青臭さが少なく甘い。イモは食べごたえがあり、豆は噛むと口の中で弾けた。ただ落とした時より小規模なので、食べるのには楽しいかもしれないとファルマはほっとする。エフィルミアも豆を頬張ってみた。
「美味しいです! ご飯を一緒に食べたら、もう皆お友達ですねっ」
「なあ、これ買える店とかあるのか?」
「ジムズの店! 聖霊節にも屋台出すんだよね?」
「ああ。今日もカゴいっぱいに持ってけぇ」
「いいのか!?」
「失礼、私も是非。調査をしてみたいのです」
「構わんよぉ」
太っ腹な提案には皆ありがたく甘えることにした。ファイサルも舌鼓を打つ。
「俺も料理するので、聖霊節にでてくるの、今からとても楽しみです」
「もう聖霊節になるのね」
話題に出てミツキは気付く。もう数えるほどだ。
「聖霊節は特にまだ予定決まってねーんだよな。その前に孤児院に顔出す予定だけど、卒業してるから」
カインは首を振る。流石に一緒に祝うのは何だか違う気がした。
「うちの団長がなんか楽しい騒ぎを起こさないか期待してる程度だな」
「ヴィンツさんは慰霊祭でもいろいろと楽しいことをするの?」
「お祭りをキラキラさせるよ!」
「あら、楽しみ。私は友達とゆっくり遊べるといいわね、って話してたのだけれど、是非観に行きたいわ」
「いいね、聖霊節は収穫祭に続く稼ぎ時だからね。祭りにも賑やかしに呼んでくれたら飛んでいくよ」
「きて! 楽器弾くの?」
「そう、バイオリン」
セヴランは頷く。
「特定の誰かと過ごす予定はないけど、そう過ごす誰かのために曲を弾いて喜んでもらえたら、それが一番だね」
「せっかくだものね……私はとっておきのごちそう、自作に挑戦してみようかしら」
「とっておきですか?」
「ええ。予定はないし料理は最低限しか出来ないけど、挑戦してもいいと思って。ヴィンツさんたちは、料理は?」
「楽しいよね!」
「オラはするけど、ヴィンツはなぁ」
意味深な呟きにミツキは首を捻る。
「お祭り……あの紋具を体に巻いて、豆を投げ合う遊びとか面白そうじゃない?」
「駄目です」
「収穫祭はカボチャでランタンとか作ってたのに!」
「ここではあくまでも食するために作っているのですから」
諭すように諫めるハリスだが、まだトゥーリは諦めきれない。
「ヴィンツさん! こんなおもしろ……すごいお豆、いろいろ試してみたくない? みんなで大きな音を立てて今年の悪いことを追い払ってみたり!」
「何それ、おもしろーい!」
通じた。畳みかけるとさらに乗り気になってくれる。
「じゃあ粉々にならないの作ってみる!」
「可能なのですか?」
「やってみなきゃわかんない!」
「わーい!」
驚くハリスに喜ぶトゥーリ。
「初めに言ってたこともだけど、ヴィンツさんの考え方は素晴らしいわね」
こうした元気がお祭りを賑わせ、元気が伝播していけば皆も明るく過ごせるだろう。
「さ、残りも頑張りましょう。へとへとになって帰宅すれば、エールがとっても美味しいものね」
「はい、頑張りましょう!」
「ジムズ殿」
畑に戻る最中にハリスが呼び止め、恭しく一礼をした。
「この地の開墾は試練の路かと存じますが、何か役立てる事があれば是非お手伝いさせて頂きたく。貴殿のような方から学びを得られた事を、光栄に思います」
「な、なんだべ」
戸惑うジムズだが思いは伝わったらしい。照れくさそうに頬を掻き、顔に泥が付いたまま笑った。
「オラこそおめさんみてえな人がいるの嬉しいだよ。作物さ作るの、頑張ろなぁ」
ハリスも頷く。同じ道を目指す者同士、通じ合えた気がした。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2020年12月09日 20時07分35秒 公開
相談掲示板
やあ!俺はヴィンツだよ、よろしくね! 服は汚れても大丈夫?野菜たちと楽しく過ごす準備は出来てる?それならオッケー! 聖霊節ももうすぐだね、楽しみ!
ファルマよ、よろしく。 走る人参……以前フェスタで聞いたきがするわ、ほかのも不思議な野菜ばかりね。 ヴィンツさんはお久しぶり、收穫上手らしいし、苦戦した時は頼りにさせてもらうわね。
ハリスと申します。どうぞ宜しく。 昨今は殺伐とした依頼ばかりで辛いものでしたが…収穫作業とは素晴らしい。 僭越ながら一農民として最善を尽くしましょう。 …そして「ばくはつ豆」なる野菜は非常に興味深いものですね。 破裂する原理や栽培方法。制作時の配合等を詳しくお聞きしたい所です。 いえ、依頼が優先なのは分かっておりますが後学の為に是非とも(眼が光る(
やぁ 僕はセヴラン・クアルトだよ 宜しくね。 叫ぶのが柵だけで良かったね 色々おもしろ野菜が大集合みたいだけど食べたらおいしいのかな? のんびり楽しみながら収穫できたらいいね ヴィンツさんも宜しくね
この世にはまだまだ見た事無い物が沢山あるんだなぁ……おっと。 ファイサル・アル=ファルドです。 おもしろ野菜を収穫出来るっていうんで参加しました。 楽しい時間を過ごせますように。どうぞよろしくお願いします!
エフィルミアです!よろしくお願いします! 服はバッチリ戦闘服を用意しました!楽しむ準備も万端です!オッケー! 確かに叫ぶのが柵だけでよかったですね…。 叫ぶお野菜は、何故か死んじゃいそうな気がしますもん! 私は「かくれんぼイモ」が気になりますっ。 私のシーフとしての索敵能力とイモの隠れる能力…いざどちらが強いか勝負です! 探波で全部見つけてあげましょうっ。
トゥーリだよ。よろしくっ! ばくはつ豆って投げたらおもしろそうだね……
カイン・ステラだ。 よろしく。 なんか面白いもん沢山あるなー 味の方ってどうなんだろ。 ちょっと気になるから聞いてみたいし、試食は無理かもしれないが、どこで買えるかとか食べられる店とかわかるかな。
ミツキよ。よろしくお願いするわ あまり見慣れない物が沢山あるわね。 逃げたり、隠れたり、爆裂したり……。 これらの要素が味にどう変化を及ぼすのかしら……