【死軍】橋焼きの境界線

革酎

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シナリオID:178

オープニング

●破壊工作と死者の兵団
 ヴァイセントラフ砦から街道を真っ直ぐ北に進むこと、凡そ二日。
 そこから僅かに東へ逸れると、小高い丘へと登る斜面を遮るような形で、若干深めの峡谷が姿を現す。
 この峡谷に跨る橋は、全部で三本。いずれも頑丈な木造橋で、大型の馬車が同時に数台渡ることが出来る程度の構造強度を誇った。
 今、ヴィント方面から南下しつつある四万もの死者の兵団は、一部が複数の経路を取りながらヴァイセントラフ砦に迫っている。
 当然この峡谷にかかる三本の橋も、死者の兵団が取り得る南下経路のひとつとして数えられている。ヴァイセントラフ砦の一部の将兵からも、この三本の橋に対する手当を早い段階から実施すべきとの声が上がっていた。敵が通る前に落としてしまえ、と。
 だが、既に数十体にも及ぶ死者の群れがこの三本の橋を通過しつつあった。
 この事実を、ドワーフの戦士ディーグ・ディオロンは丘の麓に位置する廃小屋の陰から、渋い表情で遠目に眺めていた。
「遅かったか……こりゃあちょいと面倒な仕事になりそうだな」
 革製の兜を脱ぎ、ごわついた髪の上から頭を掻く。同行してきた仲間達も、諦めたような表情で互いの顔を見合わせていた。
 今回、ディーグはヴァイセントラフ砦を守る帝国軍人の知り合いから冒険者ギルドを介して、破壊工作依頼を受けた。その内容は、この峡谷にかかる三本の橋を全て焼き落として欲しいというものであった。
 可能であれば死者の兵団が通過する前に、ということであったが、万が一、既に死者の兵団が通過中であったならば、それらの敵を全て排除しつつ、同時に橋を三本とも破壊して、後続の敵が通過出来ない様にして欲しいという注文内容である。
 通過前であれば単純に橋を三本とも焼き落とせば良いだけの話であったが、既に死者の兵団の一部が通過中である以上、峡谷のこちら側の敵を排除しながら橋を落とすという二方面同時作戦の展開が必須であった。
 ディーグが面倒な仕事になりそうだと愚痴をこぼしたのは、まさに今、そのような状況に直面していたからである。
「死人共は、俺の方で何とかする。橋の破壊は、あんたが引き受けてくれるか?」
 傍らからヒューマンの中年戦士が疲れたような声音を響かせてきた。アーギス・マーレイというその戦士は、愛用の両刃戦斧の頭を地面に押し付けながら、手近の木造橋を軽く指差した。
 ドワーフは手先が器用で、物造りに際しては素晴らしい技量を提供する。ならば破壊工作に於いても、その技術は存分に発揮されるだろうというのが、アーギスの弁であった。
 極端な思い込みだなとディーグは苦笑を返したが、しかし事実、ディーグは細やかな作業が苦手ではない。彼はアーギスの申し入れを受けることにした。

●死者を迎え討つ
 都市ヴィントを発して南下している死者の兵団の存在は、すぐに知れ渡った。
 ほとんどがゾンビで、中にはクリーパーも混ざっているようだ。また、会話が出来る何者かも居るらしい。
『この砦をもって、死者の兵団を撃滅する』
 ヴァイセントラフ砦の方針は、そのように定まった。
 相手の足は遅く、辿り着くまでには、まだしばらくの猶予があるだろう。
 しかし、難民でごった返す今のヴァイセントラフ砦が戦えるようになるのと、奴らの到着のどちらが早いか――未だに予断を許さぬ状況だった。

解説

状況:  PCの皆様は既にヴァイセントラフ砦からの依頼を受け、三本の橋を破壊する為の作戦に従事しているという前提です。  導入本文中にある廃小屋から峡谷までは、約500メートル程度の距離があり、なだらかな登り斜面となっています。この斜面上には何十体ものゾンビが徘徊していますが、幸いクリーパーの姿はありません。  橋を三本とも破壊し尽くすまでひたすらゾンビを斃しまくるか、橋の破壊工作に従事するか、或いは破壊工作部隊の護衛を引き受けるか。  どの役割を担当するとしても非常な困難が待ち受けていることでしょう。 敵:  ゾンビのみです。  一対一の勝負ならば余裕で勝てますが、兎に角、数が圧倒的に多いです。上手く立ち回らないと、たちまち全方位からの攻撃に耐えられなくなるでしょう。 NPC:  主なNPCはディーグ・ディオロン(ドワーフ、男、42歳)とアーギス・マーレイ(ヒューマン、男、36歳)のふたりですが、同行したモブ冒険者も何人か居ます。モブ冒険者は一応戦力として数えて良いですが、過剰に期待しない方が賢明でしょう。

マスターより

 皆様、こんにちは。  こちらの連動でも何気に顔を出している革酎です。  膨大な数の敵を相手に廻すには、進軍経路を如何に潰せるかも非常に大きな戦略要素となって参ります。  但し今回は人数比的に非常に不利ですので、下手したら物凄くシビアな展開になるやも知れません。心して取り掛かって頂ければと存じます。  それでは、皆様からの丁々発止なプレイングをお待ちしております。

リプレイ

●作戦会議
 丘の麓に位置する廃小屋の陰で、冒険者達は地面に広げた見取り図と古い図面を交互に見比べていた。
「この設計図は少々古過ぎはしないかね?」
 ロイ・アウレアの指摘に、ディーグ・ディオロンは苦笑を返す。どうやら同じことを考えていたらしい。
 ここから丘を駆け上がって500メートルの位置に横たわる峡谷は然程に大きくはなかったが、兎に角深い。橋を全て破壊すれば天然の空堀として機能する。
 この峡谷に架かる三本の木造橋は、いずれも全長が30メートル程度。橋の規模としては小さい方だ。だがこの深い峡谷を越える為の手段としては極めて重要で、三本全ての木造橋を破壊すれば、屍の群れは大きく迂回せざるを得なくなる。
 図面にはその三本の橋の設計図が描かれていたのだが、どの橋もここ数十年の間に何度も補修や改修が繰り返されており、当初から比べると相当に様変わりしていた。
「自分で見て破壊ポイントを見つけるしかねぇな」
「流石ディーグさん! 臨機応変な対処にも動じない御姿、頼もしいですわっ!」
 横合いからネーナの賞賛が飛んでくる。ディーグはやや面食らった様子だったが、ネーナがディーグに寄せる期待感と信頼感は、他の冒険者達の比ではなかった。
「木造橋ならば焼き落とすのが手っ取り早いと考えますが、如何?」
「左右の二本はそれでいける。問題は中央だ。こいつは下部構が石造りのアーチでね。上っ面を焼いただけじゃあ落ちやしねぇ」
 ハリス・アル・ターミルはディーグの応えを受けつつ、再度図面を覗き込んだ。確かにこれは厄介ですねと口の中で小さく呟いたが、ハリスが見たところ、ディーグの表情には然程悲観の色は浮かんでいなかった。
 すると、今度はニーラ・メッコが幾分複雑な表情でディーグの傍らにしゃがみ込み、下唇をきゅっと尖らせて小首を捻った。
「勿体無いよねぇ。こんなに立派で歴史のある橋を壊しちゃうのは……でも仕方ないか。敵の侵攻を防ぐ為、だもんね」
 自分にいい聞かせる様に呟いてから、ニーラは立ち上がり、ロイと並んで丘の中腹付近に視線を走らせる。不気味な程に白い肌と、どんよりと濁った瞳を見せる死者の群れが辺り一面を徘徊していた。
 ロイは立ち上がってディーグに、石造アーチを破壊する方策を尋ねた。ディーグは口角を釣り上げた。
「アーチってのはお互いを支え合う構造になっててな」
 曰く、石造アーチの頂点には楔石なる石材が挿入されている。その楔石を破壊すれば下部構は一気に崩れ落ちるということであった。
「設計図上でいうと……成程、これが楔石」
 再び図面に視線を落としたロイは、すぐにその位置を特定した。ネーナはネーナで、ディーグの技師としての博識ぶりに感心し、更に賞賛の言葉を贈っていた。
 ともあれ、方針は定まった。まず左右の橋の中央付近に油を撒いて点火し、速攻で焼き落とす。次いで中央の橋の楔石を破壊し、下部構を崩落させる。
 移動距離が大きくなるが、確実に作戦を遂行するには他の選択肢は有り得なかった。

●突入
 戦士レイ・ロバーツは、廃小屋から斜面上へと踏み出しながら小さく肩を竦めた。
「この数がまだ先遣隊程度とは……いやはや、厄介な話だね」
「っていうか、普通に多過ぎでしょ……ちょっとレイ。あんたわたしをしっかり守りなさいよッ! あと、無理はするんじゃないわよッ!」
 レイと共に突入班へと組み込まれたエーリカ・アムブロシアのやや押しの強い剣幕に、レイは苦笑しながら頷き返した。次いでレイは、アンナ・イフェイオン・ニグリへと視線を転じた。
 レイの従者たるアンナは通常であればレイと共にゾンビ殲滅へと動くのが筋であろうが、今回は工作班護衛として防衛任務に全力を傾けることになっている。
 しっかり頼むぞ、というレイからの厚い信頼に対し、アンナは小さくお辞儀を返す。必ずや主の期待に添えてみせるという確固たる決意が、その瞳の奥に強い光となって宿っていた。
 そのアンナと共に護衛班を構成するセリオス・オーガストは、今回の任務に従事している他の冒険者や傭兵達に、工作班護衛に徹する様にと指示を出していた。
「決して無理はするな。お前達はお前達の務めを果たせ」
 セリオスの落ち着いた声音に、若い冒険者、或いは経験の少ない傭兵達は一様に青ざめた顔で頷く。彼らはいずれも実力的にはセリオスに到底及ばず、相手がゾンビ一体であっても苦戦するような未熟者ばかりだ。過度な期待は却って危機を招くだろうことは、セリオスの分析に与るまでもなかった。
 その彼らに対し、今度はレイが不敵な笑みを見せた。
「さて、諸君……此処を抜けられれば今尚、砦で抗う勇士や無辜の民草に甚大な被害が出るだろう。つまり我らが此処で橋を落とし切れば、多くの命を救うことが出来るという訳だ。では、諸君……死なない程度に、英雄になりに行こうじゃないか」
 大剣の先端をゾンビの群れへと突きつけ、レイは悠然と踏み出した。その傍らに、巨大な戦斧を肩に担ぐ戦士アーギス・マーレイが並んだ。アーギスは幾らか困惑した表情を浮かべている。
 どうしたのかとレイが訊くと、アーギスは歯切れの悪い調子で答える。
「あのネーナってお嬢さん、俺に恨みでもあんのかなぁ? 何だか妙に当たりがキツいんだけど」
 アーギスのぼやきを受けて、レイはエーリカと一緒になってネーナの表情をちらっと盗み見た。ディーグと共に歩を進めている様子を見る限り、ネーナは機嫌が良さそうだ。が、時折アーギスが視界に入ると、あからさまに不機嫌そうな色が表情をかすめる。
 あぁ確かに、とレイとエーリカは顔を見合わせたが、しかしネーナの真意までは流石に分からない。
 第一、今は目の前の死軍に意識を集中させるべきだ。ネーナのアーギスに対する意識にいちいち構っていられる状況ではなかった。
「先程もセリオスがいっていたが、己の務めを果たす……それで良いのでは?」
「年頃の女子だもん。そりゃあ色々思うところぐらいあるっしょ」
 レイとエーリカの励ましにもなっていない励ましに、アーギスはそんなもんかなぁと、余り納得していない様子で再び視線を前に戻した。
 ゾンビの大群が、既に目の前へと迫りつつある。確かに、最早仲間同士のコミュニケーション云々といっていられるような状況ではなくなっていた。

●任務開始
 突破口を開いたのは、ハリスの抜群の戦闘力であった。
「元はひとなれど、加減は出来ません……せめてその魂に安らぎを」
 愛用の槍がエーテルの輝きを得て、更に強大な刃と化す。手近に群がるゾンビを弾き飛ばし、更に迫り来る左右からの猛攻を噴出する闘気の力で強引に押し返した。一気に斃す、とまではいかなくとも、群れを遠ざけて橋へと辿り着く進入路を形成するには十分な威力を発揮していた。
 ハリスが造り出した突破口を維持する為に、エーリカの助力で攻防共に威力を増したレイとアーギスがハリスの傍らから前へと飛び出し、後続の死者に容赦無い一撃を浴びせる。敵は怯むということを知らない為、ひたすらに力で押しまくるしかなかった。
「ココは私達に任せてッ! 早く橋を落としちゃって下さいッ!」
 鋭く吠えながら、ニーラは杖の先端を素早く振り下ろす。同時に、彼女の周囲に浮かんだ無数の光弾が目にも止まらぬ速さで宙空を駆け抜け、橋の手前を徘徊する死者共を峡谷の底へと弾き落とした。
 前衛陣が一気呵成の勢いで造り出した突破口を、ディーグとネーナ、そしてその護衛役たるアンナとセリオスが未熟な冒険者、傭兵達を引き連れて駆け抜けてゆく。向かう先は、右側の橋だ。
 ところがロイだけは、他の面々と違った。彼は相棒の黒狼ルプスと共に、中央の橋へと向かった。
 破壊に最も時間を要する中央の橋の真ん中付近にバリケードを構築し、破壊の手番が回ってきた段階で峡谷向こうの敵を橋の途中で押し止める必要があったからだ。
「ここで足止めする……バリケードの材料は、死体だ」
 ロイの指示を受けて、ルプスが黄金に輝く美しい襟巻毛を揺らしながら手近のゾンビに襲い掛かった。
 一方のロイも上手く距離を測りつつ、エーテルを纏った矢を次々と射かけた。必ずしも斃し切る必要は無く、歩行機能を破壊して、その場に将棋倒しの形で死者の壁を積み上げさせれば、それで良いのである。
 ロイとルプスは押し寄せる死者の下半身に攻撃を集中させた。狙い通り、死者共はその場に崩れ、或いは倒れ込み、後続の死者に圧し掛かられてゆく。
 見る見るうちに生ける屍が積み重なって、死者共の手足だけが虚しく蠢くバリケードが完成した。
「さて……残るは後方か」
 ロイは踵を返した。なだらかな丘の斜面にも、多くの死者が徘徊している。それらがこちらに向かってきてしまえば、意図せずして背後を衝かれる格好となるだろう。それだけは絶対に避けたい。
 死者のバリケードを背にしたまま、ロイは斜面上のゾンビの掃討にかかった。
 そして右側の橋では、ディーグとネーナが橋上中央付近へと走り、用意しておいた燃焼用油を橋面一杯にぶちまけていた。
「ディーグさん、これを」
「おぅ、用意が良いな。助かる」
 ネーナからオレンジ色の火が燃え盛るたいまつを受け取ったディーグが点火作業に入る。その間、ネーナは短弓を肩付けに構えて死者の接近を警戒していた。
 後方は味方が守ってくれているが、橋の向こうから迫ってくる敵に対しては無防備に等しい。事実、何体ものゾンビが点火作業に入っているディーグに近づこうとしていた。
「ディーグさんは、あたしが守ります」
 その宣言通り、ネーナは峡谷の向こうから次々と押し寄せてくる死者を手早く迎撃する。だが、歩く死者は兎に角タフだ。一発二発鏃を撃ち込んだ程度では、斃れてはくれない。それでも、出足を鈍らせることは出来た。ディーグが点火作業を終えるまで死者を近づけさせなければ、それで良いのである。

●焼き、破壊し、落とす
 次は左側の木造橋だ。
 先行してハリス、レイ、エーリカ、ニーラが到達すると、橋上には相当数のゾンビが徘徊している。
「これ以上は先に進ませないよッ!」
 ニーラが先ず、橋上を進む十数体のゾンビに足止めを仕掛けてから、氷嵐で薙ぎ倒した。更に橋向こうの敵に対しても同様に足止めからの魔法攻撃で打撃を与える。
「私の魔法攻撃の雨を、くぐり抜けられるかしら? おりゃおりゃりゃーっ!」
 気合十分のニーラだったが、ゾンビの群れは打撃を受けても尚、侵攻を止めようとはしない。タフさだけが売りの連中だけに、その足を止めさせるのは単なる力押しだけでは中々難しいところがあった。
 そこへセリオスとアンナが到着した。
「橋上の敵が多いな。先ずは奴らを排除するか」
「お掃除の時間ですね」
 幸い橋上は幅が限られている為、敵は比較的密集している。セリオスがそこに立て続けにエーテルを纏った鏃を撃ち込み、アンナも岩石の弾丸を雨あられと叩き込んだ。既にニーラの術で出足が鈍っているところに追い打ちをかける格好となった為、ゾンビの群れが橋上で一時的に大渋滞を起こしていた。
「もう少し押し返す必要があるな」
 矢を放ちながら徐々に歩を進めてゆくセリオス。一方、アンナも敵がニーラの術を逃れて一斉に押し寄せてきた場合を想定し、炎による攻撃に切り替えることにした。
「ついでですから、橋も少し燃やしておきましょうか」
 アンナが炎弾を炸裂させた時、ディーグとネーナが到着。ふたりはセリオスとアンナがゾンビの群れを押し返している隙に橋桁中央付近に油を撒き、早々に点火を済ませた。
「この橋はもう十分だ。残るはあの厄介な一本」
 セリオスが視線を向けた先では、ロイが造り上げた死者のバリケードがバランスを崩し始めている。後続のゾンビ共が押し寄せることで、重心が安定を失いつつあったのだ。
 再びセリオスとアンナがディーグとネーナに先行する形で、峡谷のこちら側の敵を排除しながら走り始める。次が最後の橋だとセリオスが呼びかけると、未熟な冒険者や傭兵達もようやく気合が入った様子で、それぞれの目に力ある光が宿ろうとしていた。
「さて……そろそろ斜面上の敵の掃討も始めなければなりませんか」
 ハリスが呼びかけると、レイとアーギスが黙然と頷き返す。ここまでは突破に主眼を置いていた為、丘を徘徊する敵の数は然程に減っていない。殲滅戦を本格的に開始するに当たっては、今一度戦術上の攻撃支点を見定める必要があった。
「あの岩場の上が良い。敵を遠ざけよう」
 レイが指差す低い岩場へと、ハリスは一気に走った。当然、ゾンビ共が群がり寄ってくる。だがそれこそ、ハリスの思う壺であった。
「これなるは大地より奔るエーテルの楔。逃れる術はなしッ!」
 再びハリスが、周辺の敵を一斉に巻き込むエーテルの衝撃を放つ。死者の群れは瞬間的に押し戻され、包囲の輪が拡散した。
 そこへエーリカとニーラが三人の防御陣の間に走り込み、後衛の位置に就く。
「これだけの数……確かに脅威ですが、怯んではいられません」
「諸君、ここが踏ん張りどころだ。こちら側の敵を全てこの岩場に引き付け、最後の一本の破壊への助けとしようではないか」
 ハリスとレイの声に、一同は一斉に頷き返した。アーギスが、何かよく分からない雄叫びを放っていた。

●砦へ
 三本目の橋も、崩壊した。
 ロイが構築した屍のバリケードが何とか最後まで持ち堪え、ディーグとネーナによる橋桁と楔石の破壊は多少手間取ったものの、無事に完遂された。
「落ちますよーッ!」
 ネーナの叫びに、冒険者達は歓声を上げた。
 任務は達成されたのだ。後は、丘に残るゾンビを全て殲滅するだけである。
 だがここで、思わぬ事態が出来した。最後の一本が破壊されたことを受けて、未熟な冒険者や傭兵達の気が一気に緩んだのである。ほんの一瞬だけではあったが、彼らは押し寄せるゾンビ共への対応に遅れた。
「ちょっと、何ボーッとしてんだよッ!」
 エーリカの叫びで、全員が事態の急転を知った。

 ヴァイセントラフ砦への帰路。
 冒険者達は疲れ切った表情で足を引きずっていた。一時はゾンビ共の圧倒的な物量に押し潰されそうになったが、ハリスやレイ、アーギス、ディーグといった面々の頑張りで何とか脱することが出来た。
 セリオスとロイ、ルプスらが敵を引き付けてくれたのも、脱出の一助となった。結果として、既に橋のこちら側へと渡っていたゾンビ共の殲滅はならなかったが、橋の破壊任務は完遂した。
 任務は成功したといって良い。
「最後はかなりヒヤッとしましたが……上手くいって良かったですね」
 ネーナが、ディーグの太い腕に軽く手を添えた。
 今度ばかりはお世辞でも色仕掛けでもなく、心からそう思った。
 だが本当に厳しい戦いは、これからだ。無数の屍が今もヴァイセントラフ砦へと侵攻しつつあるのだ。

マスターコメント

 最後は少しバタバタしましたが、無事に三本の橋は破壊出来ました。  生憎ゾンビの群れは殲滅に至りませんでしたが、数十体程度なら四万という敵の総数に比較すれば、誤差みたいなものでしょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:多い8 / 4〜8人

2020年11月22日 15時16分36秒 公開

成功

相談掲示板

  1. レイ・ロバーツ

    ウォーリアのレイと申します、宜しくお願いしますね。

  2. アンナ・イフェイオン・ニグリ

    アンナと申します。クラスはキャスター、皆様のお力になれますようお手伝いさせて頂きたく思います。

  3. エーリカ・アムブロシア

    エーリカよ!エリカでいいわ、みんなよろしくね! 状況はかなりマズいみたいだけど、皆はどう動くつもりなのかしら?

  4. エーリカ・アムブロシア

    取り合えずわたしは足止めする人達の援護に回ろうと思うわよ!

  5. ネーナ

    おはようございます。 ネーナです。御三方よろしくお願いしますー。 あたし戦力にならないですし、橋の破壊工作に従事するつもりです。 かるくまとめますね。 峡谷に跨る橋は、全部で三本。ゾンビは既に橋を渡っています。 あたしたちは廃小屋からスタートです。 廃小屋から峡谷までは、約500メートル程度でゾンビがいます。 峡谷までの道中に、殲滅するか、急行するか、行動を決めないといけませんね。 到着したら、3つの役割にわかれることになります。 ●破壊し尽くすまでひたすらゾンビを斃す エリーカ・アムブロシア(ヒューマン / ヒーラー) ●橋の破壊工作に従事 ネーナ(ヒューマン / シューター)(希望) ディーグ・ディオロン(ドワーフ) アーギス・マーレイ(ヒューマン) ●破壊工作部隊の護衛 モブ冒険者(何人か)(強くない)

  6. レイ・ロバーツ

    分り易いまとめ感謝するよ。 僕もゾンビの殲滅に向かうとするかな。どの道此処である程度数を減らさないと工作班の皆の動きが制限されてしまうだろうしね。

  7. アンナ・イフェイオン・ニグリ

    ネーナ様まとめ頂き有難うございます。 私は今回範囲型の魔法にて遠距離より押し切られそうな所へ向けての支援を行いたいかと思います。立ち位置といたしましては、殲滅と護衛の辺りになるでしょうか。

  8. セリオス・オーガスト

    ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む まとめご苦労様だ。 とりあえず俺は急行がいいと思う。 渡り切ってるゾンビの相手しててさらに渡られたら手間もかかるだろうしな。 それなら渡ってくるのと渡ってるのの両方を相手しないといけないが橋さえ落とせば渡ってくるのはどうにかなるからそれ以上数も増えんだろうし。 俺はとりあえず殲滅班希望だろうか。まあ位置的には破壊工作のそばで護衛しつつの形になるからニグリ同様殲滅と護衛両方という形になりそうだが。

  9. ハリス・アル・ターミル

    ハリスと申します。どうぞ宜しく。 クラスはウォーリアとなります。 >役割 状況についての纏めに感謝致します。 壁役が不足気味のようですから、私も最前線にて戦わせて頂きましょう。 主にエーテルブレード・殺界を活用し足止めと削り残しの止めを狙います。 アンナ殿の範囲攻撃と合わせれば効果的に運用できるかと。 >橋の破壊 どの部分を焼けば効果的に破壊できるかを考える必要もありますね。 私は建築・土木についての知識がありますので、事前に橋の構造等を確認致します。 何か有益な情報が得られるようであれば、破壊工作班に伝達致しましょう。 >各部隊の連携 敵が数を利して一方的に攻めてくる以上、我々は緊密に連携せねばなりません。 端的に言えば「部隊ごとに包囲・分断される」という状況が最悪と言えましょう。 近すぎず、遠すぎず。有事の際は相互に支援できる距離を保つのが望ましいかと。

  10. ロイ・アウレア

    シューターのロイ・アウレアと相棒のルプスです(隣の狼を撫で) 人手がある方が良いと思い参加しました。 お初の方、2度目の方、宜しくお願いします。 破壊工作を急げるならそれが確実そうだね。 でも、途中参加なので「ここに入って欲しい」があれば言ってください。 出来る限りの手伝いをさせて頂きます。

  11. ニーラ・メッコ

    キャスターのニーラ・メッコです。 よろしくね! 私はひたすらゾンビを倒そうと思ってるけど、護衛にまわった方がよければそうするよ。 破壊工作は、私だと役に立てる気がしない……。

  12. ロイ・アウレア

    特に指定が無いようなので 破壊工作員を守りながら3本のうちの1本で、ゾンビを倒す形に成りました。 状況を勘違いしてたら申し訳ない…耐えつつハリスさんの情報をお待ちしてます。

  13. セリオス・オーガスト

    というか今更なんだが橋は一本一本ずつ破壊していく形でいいのだろうか その場合なら橋まで敵中突破し、橋に来たところで橋の向こうから来る敵とこっち側にわたってる敵を相手して破壊工作が終わるまで保つ。 終わったら次の橋に移動して同じことをくりかえして、最終的に橋の向こうにいる敵は相手せず、渡り切ってる敵だけを殲滅する形だろうか。 それと結局道中の敵を倒してから行くのかそれとも急行するのか

  14. ハリス・アル・ターミル

    >状況と依頼の流れ 殲滅班:突破口の確保、突破後反転し道中の敵の殲滅 護衛班:工作班の傍で橋から来る敵や殲滅班の抑え切れない敵を叩く 工作班:橋の破壊に注力。一部自衛も このような認識ですね。 これらを踏まえ状況整理し流れを纏めました。以下のようなものでいかがでしょう。 1:既に橋を渡り切ったゾンビが始点である小屋と峡谷の間に展開している 2:さらに後続が橋を渡っている最中 3:開始後即座に小屋~峡谷間のゾンビを強行突破し後続が渡り切る前に橋を落とす  (殲滅に時間をかけると橋から増援が渡り対処が困難になるため) 4:橋は三本。セリオス殿の提案通り、最も敵が多い場所から順に落とすと効率的か   ハリスは事前準備で橋の外観から構造上の弱点部位を推定、工作班に伝達 5:殲滅班と護衛班に守られながら工作班が橋を破壊   別の橋に移る際に包囲されぬように戦況判断は常に行う 6:全部の橋を落とし終えたら残敵掃討し終了 問題なければこちらを基本指針と致しましょう。 内容は私のプレイングに記載致しますので、皆様は個人行動に割いて頂ければ。

  15. ロイ・アウレア

    セリオスさん、みんなへの声掛けありがとう。 ――――― アドリブ一任 齟齬はハリスさんの基本指針に合せる 目的 破壊工作部隊の護衛とゾンビ足止め 足止め成功後は破壊の手伝い 行動 現場状況で誰かと組めれば良し、無くばソロも可 ――――――― こうしたので、ハリスさんの流れに合せれると思います。 戦闘は、【死軍】ヴィンセントラフ砦防衛線の 【睡狼】隊プレに近い内容で 橋の手前から、ゾンビを倒しつつ進み、橋の中心でゾンビの【足止め場】を決め 一か所に死体を山積みにして橋を塞ぐ(バリケード)とする、です。 申し訳ないが、装備の切り替えの関係で間違いに気づいてもなかなか手直しが出来ないので 致命的な場合を除きこのまま行かせてください。 皆さま、橋の上で、お会いしましょう、宜しく!

  16. ハリス・アル・ターミル

    現在のプレイングの主要行動部分です。 記載の一助になれば。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◇準備 事前に橋の外観から建築・土木知識で構造的弱点を推測 工作班に伝達し破壊活動の効率化に寄与 ◇行動 ・全体 1:殲滅班を先頭に小屋~峡谷間のゾンビを排除し突破口を形成 2:全員でゾンビ集団の後方へ抜け、護衛班の支援の元で工作班が橋へ向かう 3:殲滅班は他班防衛のため残存するゾンビを足止め→範囲攻撃を軸に殲滅(戦況次第で護衛班も一部参加) 4:工作班は渡橋中のゾンビの数が最も多い場所から破壊開始。完了後は全員で残敵を掃討 ・個人 【殲滅】所属。前衛での攻撃と足止め 突破口形成時はエーテルブレードで範囲を増幅した薙ぎ払い、闘気槌を軸に 他班防衛時は殺界により侵攻阻止と味方の範囲攻撃支援、撃ち漏らしの止めを同時に行う 敵が削れているなら範囲攻撃、無傷ならば強打で可能な限り早期の戦力漸減を意識 敵を倒し戦力を減らすか、攻撃を回避し被害を減らすかを戦術眼で判断 攻撃・回避集中を適宜活用し対応 止めきれないようなら大声で護衛班に伝達、対応を促す

  17. セリオス・オーガスト

    <行動指針 ん、まとめ感謝だ。 これを基礎にさせてもらうな。 そういえばモブ冒険者はとりあえず工作班の護衛に専念させて俺たちの護衛班が抜かれたときの最終防衛ラインとしておいた方がいいだろうか、戦力的にあまり期待しない方がいいとあるし。時間稼ぎだけしてもらう感じで

  18. ロイ・アウレア

    ハリスさん、主要行動部分をありがとう! 流れに合せて書き直そうと思ったが時間的に厳しかった… 皆さんに頼る事となるかも知れないが、範囲スキルだけは沢山積んでるので 殲滅の邪魔だけはしないと思う。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0