【死軍】峠を占拠する骸骨と『鳥』

岩岡志摩

コメント 31

シナリオID:173

オープニング

●発端
 死者の兵団がヴィントより南下を開始した。
 シルトラース帝国のヴァイセントラフ砦がこれを防ぎとめる動きを見せるも、死者の兵団がそのまま南下した場合、リーンエス王国にも到達するおそれがあった。

●発生
 王国北部のある街道で、それは起こる。
 ――いつも使っている街道の峠にアンデッド達が現れて、占拠を続けているので通行できない。
 その街道の峠近くに所領を持つ領主のもとへ、この山道をよく使っている行商人たちからそんな報告が届くようになった。
 その峠と呼ばれる場所は北側が壁のような崖がそびえ立ち、南側も切り立った崖になっており、通行するには注意が必要らしい。
 連絡を受けた領主は事態打開のため、手勢の一部を峠に差し向ける。
 そして兵達が峠と呼べる場所に到達したところ、そこにアンデッド達が居座っていることが確認できた。
 アンデッドだとわかったのは、そこに蠢くものたちがいずれも人型の骸骨であったためだ。
「慌てるな、1体に対し複数で立ち向かうんだ」
 隊長の指示が飛ぶと、兵達はそれぞれの武器を抜き放ち、骸骨達も骨を軋ませる音を鳴らし、手に持った剣で応戦し、兵達と骸骨達は激突していく。
 今回は隊長の指示が的確だったことや、生前の特徴を色濃く残すゾンビよりも、骨だけになった骸骨の方が心理的にも戦いやすいという面はあったかもしれない。
 兵達が骸骨達に対して優勢に戦いを進めようとしたとき、指揮を続ける隊長の鼓膜にかすかな響きが伝わった。
 隊長は今武器をぶつけ合っている兵や骸骨達ではない音の方角――空を振り仰ぐ。
「新手だ! 空からの攻撃にも注意しろ!」
 隊長の叫びが聞こえたかのように、上空を鳥めいた影が一瞬陽光を遮って複数飛来し、次いでまっしぐらに落ちてきた。
 明らかに通常の鳥とは異なる大きさと、骸骨めいた殻で顔を覆われた姿は邪悪な連想を呼び、それを見た隊長の鼓膜を、甲高い叫喚がつんざいた。
 隊長の目に、上空から襲い来る『鳥』が死の色に染まる翼を大きく広げ、叫喚を発しながら投げ出した炎が焼き付く。
 その一瞬前まで、骸骨退治に奔走していた兵達の中で、炎の花が咲いた。
 吹きあがる爆焔のただ中で、隊長は足下が浮き上がる感覚に襲われ、次いで地面に叩きつけられる。
 全身の骨が砕ける感覚が隊長を襲い、ついで意識が消滅した。

●皆様の出番です
 隊長が死亡したことで兵達は浮足立ち、『鳥』と反撃に転じた骸骨達に蹴散らされ退却するも、兵達は隊長を含め戦闘で死んだ味方の体と敵に関する情報を持ち帰ることには成功する。
 敵は全部で2種類。
 地上を動くのがアンデッドの骸骨達で、兵達との戦闘の結果、5体まで数を減らしている。
 そして空には骸骨めいた殻を被った『鳥』が合計で3体飛んでいる。
 骸骨は個々の強さはそれほどでもないが、今回は『鳥』が連携することで上と正面の2方向を注意する必要がある。
 ただしこの『鳥』は降下する際に叫喚を発するので、注意すれば空からの攻撃は避けられるようだ。
 アンデッド討伐に失敗したとの報告を兵達より受けた領主は、自分達の手に余ると判断し、冒険者ギルドに依頼を出す。
「こちらがこれまでに判明した情報を記したものと、現場の地図になります」
 領主の使者を務める兵士が、自分達の収集できた情報などをギルド職員へと託す。
 その兵士は先の戦いでの生き残りなのだろう。自分の血で汚れた布を額や腕に巻き、いまだに負傷が痛々しい。
「領主様は俺達の再出撃を禁じています。あいつらを倒せるのは冒険者の皆さんしかいないんです」
 兵士は自分達の手で解決できない悔しさをにじませながらも、訴える。
「どうかお願いします! 隊長や仲間の仇をとってください!」
 兵士が机に頭をぶつける勢いで、必死に頭を下げてくる。
 これを受け、ギルドは峠にいる骸骨や『鳥』を退治する依頼の斡旋に動き出す。
 アンデッドと聞いて冒険者ギルドが真っ先に思い浮かべたのは、ヴィントから放たれたゾンビを主体とする死者の兵団だ。
 しかし今回提供された情報によると、峠に現れたのはゾンビではなく骸骨(スケルトン)に魔獣のペアだ。
「アンデッドの連中はゾンビだけでなく他にもいるのか? ここに現れた奴らは普通の連中とちょっと違うぞ」
「ヴィントから南下したという死者の兵団がここに到達するには早すぎるしな」
 恐らくは滅んだ村などから瘴気にあてられて出現し、合流してくる野良アンデッドといった類だろうと、冒険者ギルドは推測する。
 ともあれ依頼は出された。
 生き残った兵士が書き残した簡易な現場の地図を使い、職員は依頼に応じてくれた皆様に向け説明する。
「みんなにやってほしいことは、この場所を占拠しているアンデッド達の退治だ」
 そして職員は現場の状況や、すでに判明している敵の詳細についても明らかにしていく。
「それと現地近くの領主からの要望だが、できれば街道はあまり傷つけずに敵を退治してほしいとのことだ」
 敵を街道から排除できれば街道を再び使うことができるので、領主としてはできる限り修復する手間を省きたいようだ。
 すでに現地周囲は領主の意向で封鎖が完了しており、冒険者の皆様は街道を通る旅人や行商人といった一般人を警戒する必要はない。
 ただし封鎖にあたる人達は戦闘に不向きであり、その任務で手一杯のため、冒険者たちの要請には応じられないとのことだ。
 今は人の流れや物流への影響は小さく抑えられているが、放置すればその影響が大きくなってくるのは確実だろう。
 その街道を通る人達や、先の戦闘で隊長や仲間を失った兵達は、冒険者たちが今回の一件を解決してくれることを切に望んでいる。

解説

●目標  骸骨や『鳥』の掃討  登場  スケルトン×5  人型の骸骨の姿をした全高2mのアンデッド。通称『骨』。剣を装備して攻防。下記『鳥』と連携して動く。  骨鳥×3  骸骨めいた殻を頭に被った姿が特徴の、全長2m程の鳥めいた姿をした魔獣。通称『鳥』。  機動力に非常に優れる。近接戦闘手段はないが炎を放つ。 ・炎撃  相手の頭上より一気に降下し、着弾すると範囲1へクス内の全てにダメージを与える炎を放つ。識別可。  急降下を始める際に叫喚を発しながら降下するので注意すれば避けられる。  状況  とある地方の峠道。日中快晴。北側は登るのは困難な岩場が続いていて、南側も切り立った崖になっており、いずれも通行は不可能。移動可能なのは峠を走る街道のみ。  街道自体は整備されており、通行に支障なし。  皆様は既に現場となる峠の両側へと回りこみ、逆包囲をかけている。なお敵のうち『鳥』は上空30mを飛行し、攻撃の際に高度10m(約2へクス)まで急降下する。  装備や携帯品以外のアイテムは使用不可。  以下簡易見取り図。1マスあたりおよそ10m×10m。  北  ↑   ABCDEFGHI   岩岩岩岩岩岩岩岩岩  1☆ ◆     ☆  2☆ ◆        3☆    ◆  ☆  4     ◆  ☆  5☆ ◆     ☆   崖崖崖崖崖崖崖崖崖  ☆:スタート地点。PCは自由に選択・重複可。  ◆:スケルトン  岩:高さ10mの岩壁めいた崖。これより上(北側)の通行は不可能。  崖:切り立った崖でこれより下(南側)の通行は不可能。

マスターより

 岩岡志摩と申します。【死軍】連動を私もお手伝いさせて頂くことになりました。  敵は空と地上の二段構えですが、敵の連携を許さなければ個々の強さはそれほどでもありません。  峠を解放し、先の戦闘で倒れた兵達の仇を討つことができるかは皆様にかかっています。  よろしくお願いいたします。

リプレイ

●集結
 峠を占拠するアンデッド達を倒すべく、峠の東南側より冒険者達が進出する。
「収穫祭ももう終わったというのに、アンデッドさんだらけですね!」
 エルナ・クルプファルツの言葉通り、峠を塞ぐようにスケルトン(以下『骨』と略)が5体並び、魔獣らしき鳥(以下『鳥』と略)が3体空を旋回している。
 収穫祭では悪霊や怪物に仮装した人達もいるが、ここにいるのは本物の魔獣やアンデッドだ。
「みんなが使う街道です! 開放してもらいましょうか!」
 話が通じる相手ではないことはエルナも承知している。
「野良のアンデッドも組み入れて膨れ上がる死者の軍勢、か」
 ゴブリアはアンデッドを前にしても動じることはない。
「なに、某の剣は魂魄(エーテル)を切る。死人だろうと切れぬものは無い」
 仲間達と同じく東より進出したゴブリアは、北西方面へと駆けだす。
「地上歩兵に加えて範囲攻撃が可能な航空戦力、シンプルだからこそ脅威ですね」
 キーゼは戦術眼を用いた分析から、今回の敵が侮れない相手だと認識する。
 その上でキーゼは自身の役割を決めていく。
「僕は味方射手に近づく敵を抑えることで、鳥との連携を防ぐ対地戦を展開します」
 そう言ってキーゼはゴブリアに続き、前へと踏み出していく。
「こういうタイプのアンデッドもいるのね。連携も取れてるし、知能もしっかりあるのかしら?」
 キャロル・エタームは鳥と連動して動く骨達を注意深く見定めている。
「私は後衛を意識して位置取りをするわ」
 そう言ってキャロルはエーテルリンクを駆使し、大鼬の『イズナ』に骨達の監視を任せると、自身は鳥達へと対峙する。
「整備されてるとはいえ……なんでこんな危ない場所で戦わなくちゃ……」
 ゴルバルティアは前衛を務めるつもりだったが、場所の悪さに閉口する。
「いやまぁ、セリオスを守るために来てやったんだからそりゃ……」
 そこまで言ってゴルバルティアは内心照れたようで、背後のセリオス・オーガストへと一瞬視線を向けると、再び前に向き直る。
 そのセリオスは、今いる位置から動かないつもりだった。
「俺の作戦としては、まずシューター組で骨鳥を全て落としてからスケルトンの対処をするつもりだ」
 既にセリオスは超視覚によって、上空を飛ぶ鳥3体の位置や動きを把握している。
「骨鳥は3体ともこちらに流れてきそうか……好都合だな」
 敵の動向を分析したセリオスは、同じように鳥と戦う仲間達へタイミングを合わせるよう打診していく。
「良い隊長だったんだね……仇は取るよ」
 セリオスからの打診に応じながら、ロイ・アウレアは犠牲となった兵達の隊長のことを想う。
「当たり前のように人が死ぬ今だけど、オレはそれを当たり前と受け止める事は出来ないんだよな」
 せめて一人一人の命の重さを尊重し、犠牲になった人達の遺族と友人達に納得のいく結果を届けようと、ロイは奮起する。
 一方後方で鳥を見上げているコハクは、ぼそりと呟く。
「とり、とり……からあげ、たべたい」
 鳥を見ているうちに、コハクは食べ物を連想したようだ。
「さっさとかる。おなかへった」
 そう言いながらも、コハクは骨への牽制に動き始める。
 骨達も冒険者達に気づいたのか、その多くが東へと駆けだした。

●開始
 冒険者達は峠東南側へと陸空の敵を集めていく。
「とり、おとす、まで、きたの、ほね、とめる」
 ゴブリアが北西方面の骨Aへ向かう間、先手必勝によりエーテルを体内に巡らせたコハクは、北側より走り寄る骨Bを迎え撃つ。
 疾風足で加速したコハクは、一気に肉薄しダブルエッジを行使。
 コハクが鉄の剣と鉄の細剣を縦横に振るい、光芒が十字を描いた瞬間、骨Bは縦横に断ち割られて崩れ、動かなくなる。
「ほね、わりと、もろい?」
 フェザーステップの機動を活かし、その場を飛び退いたコハクが小首を傾げる中、入れ違いにキーゼが前に出て、骨Cへと向かう。
「まだ上の鳥達は、どこに降下するか決めかねているようですね」
 キーゼは上空を飛ぶ鳥の炎で街道に被害が出る可能性を考慮し、最悪自分の身で炎を防ぐつもりだった。
 既にキーゼは堅甲によって自身の鉄の鎧を淡い透明な光で包み、防御を強化している。
 超感覚で見た限りでは、今のところ鳥達に降下する様子はない。
「結構なことです。おかげで僕も仕事がやりやすくなります」
 キーゼは骨との対決に意識を戻すと、肉薄した骨Cに向けエーテルブローを行使。
 眩い光を宿した古木の長杖が強い一撃と化して骨Cの腰を強打し、直撃を受けた骨Cは損傷を負って転倒。再び立ち上がる。
 その間に駆けてきた骨Dには、背後にセリオスを庇ったゴルバルティアが応戦する。
「……っつっても、こんな骨に恐怖心なんざねぇだろうなぁ……」
 ゴルバルティアは尻尾を地面に叩きつけ、威嚇姿勢で骨Dを見据えつつ、ため息をつく。
(……っつかビビってるのはこっちなくらいだし……)
 内心そう呟くも、ゴルバルティアは肉薄する骨Dに向け、破鎧砕を行使。
 黒曜石の短剣が肉体を蝕むエーテルを纏って繰り出され、その一撃を受けた骨Dの身が脆くなる。
 ゴルバルティアが骨Dの攻撃を防ぐ間、セリオスはゴルバルティアを眺めていた。
「ふむ……相変わらずいい体だな」
「戦闘中っ!」
 顔を赤くしたゴルバルティアからの抗議を受け流すと、セリオスは頭上の鳥へと鉄の長弓を向ける。
「この場から狙える骨鳥は……あれのようだな」
 セリオスは鳥の1体へと狙いを定め、スティンガーを行使。
 エーテル光が弓へ集中する中、弓弦を鳴らして撃ち上げられた矢が、破壊力と速度を増大させた一射と化して、鳥Aを貫いた。
 射抜かれた鳥Aは血を撒いてよろめくも再び飛行を続け、その鳥Aに向けてロイが片膝をつき、鉄の長弓を振り上げる。
「エルナさん。右翼を狙うから、左翼をどう?」
「左翼のほうですね。了解です、ロイさん」
 ロイからの打診をエルナは快諾し、同じく武器を鳥Aに向ける。
 短いやり取りの後、まずロイがタイミングを合わせるべく、カウントを開始。
「3・2・1、『ステルラ・アーラ(星の翼)』!」
 自称の技名も含めて叫んだロイは、『星の翼』ことスティンガーを行使。
 エーテル光の集中した弓より、威力と速度を高めた矢が空へ駆け上がる。
「という訳で私からも! いっきますよー!」
 エルナもまた武器を鳥Aに向け、魔法攻撃を撃ち上げる。
 ロイとエルナの攻撃は、それぞれ狙いあやまたず鳥Aの両翼を貫いた。
 そのまま鳥Aは血を撒いて落下し、地面に叩きつけられ絶命する。
「ゾンビはまあ、解る気がするけど。スケルトンの骨の間ってどう繋がってるのかしら? 浮いてるの?」
 キャロルはそのあたりが疑問らしい。イズナを介して見た限りでは、骨は人の形を保っているようだが……。
 そんな骨達を仲間達が押し留めており、今なら鳥退治に集中できると判断したキャロルは頭上を仰ぎ見る。
「鳥さえ落とせば、スケルトンとの戦いが楽になるし、一気に行くわ」
 そう言うとキャロルは叫喚を発して降下を始めた鳥Bへ、ラピッドショットを行使。
 目にもとまらぬ速さで立て続けにキャロルは鉄の弓を鳴らして矢を放ち、立て続けに鳥の身に突き刺さして、血をしぶかせる。
 それでも鳥Bに残る鳥Cも加わり、叫喚を発して炎弾を放ち、地上に着弾するなり立て続けに火柱があがった。
「南側の崖からの滑落は今のところなし、か。敵の方だが――」
 この間にようやく骨Aを射程に捉えたゴブリアは南側を確認した後、周囲にいる敵の動向にも目を向ける。
 既に骨と鳥は1体ずつ撃破したが、まだ健在な敵も多い。
「味方が討ち漏らした敵を確実に屠ることを重視するつもりだったが、それがしの役目は背後の味方に攻撃を届かせないことだ」
 意識を切り替えると、ゴブリアは迫る骨Aに雑木の長杖を突きだす。
 杖の先より撃ちだされた魔法攻撃は、そのまま骨Aに命中してその身を裂き、損傷を蓄積させていった。

●齟齬
 敵はほぼ全てが冒険者達と交戦中だが、北西でフリーになっていた骨Eが西へと駆けだした。
 その先には、街道を封鎖する別動隊がいる。
 それぞれイズナと栗鼠を介し、この動きを視認できたキャロルとエルナがそれぞれ仲間達に伝達する。
「北西に残っていたスケルトンが西に向かって逃走を始めたわ。追えそうな人がいたら追ってよね」
「一番北西にいた骨さんが、西に向かおうとしています! 逃がさないよう追撃をお願いします!」
 もし最初の段階で西側に冒険者がいて、敵が西に向かった場合の対策を講じていれば、焦りは少なかったかもしれない。
「いって、キーゼ。そのほね、の、あいて、は、ひき、うける」
 コハクは唯一骨Eを止められる位置にいたギーゼに片言ながら対処を頼むと、ギーゼと交戦していた骨Cへ襲いかかる。
「了解です、コハクさん。あのスケルトンは絶対にここから逃がしません」
 コハクの要請に応じたキーゼは「後は頼みます」と言い残し、骨Aを射程に捉えられる場所まで駆けていく。
「そこの、ほね。じゃま、は、させない。さっさと、かる」
 フェザーステップの機動力を維持したまま、コハクは縛糸刃を行使。
 剣に纏いついた赤光のエーテルが刃と成して、骨Cを斬りつける。
 斬撃を浴びた骨は、光る糸状に変化したエーテルにその身を絡めとられ、動きを鈍らせていく。
 既にキーゼの攻撃で脆くなっていた骨Cは破片を散らして頽れ、沈黙した。
 その間に骨Eを射程に捉えたキーゼは、杖を骨Aに向け魔法攻撃を射出する。
「間に合いました。あのスケルトンは僕が確実に仕留めます」
 撃ち放たれた一射は魔法の一撃となって、骨Aの身に炸裂し、骨Eは吹き飛ばされて転倒するも、再び起き上がりキーゼに向き直る。
 コハクとキーゼの連動により、骨が別動隊を襲う危険は消え、一連の動向をエーテルリンクを駆使したロイが、狼の『ルプス』の視界を介し捉えていた。
「直ぐにお前の番がくる。討たれる順番が早いか遅いかの違いだけだ」
 ロイは骨達にそう宣告すると、天眼を駆使して降下を始めた鳥Cを捕捉したうえで、エルナに再度打診する。
「エルナさん。2人なら1人が外してもあの鳥は崩せる。両方抜けたなら止めを刺すだけだろう?」
「そうですね、ロイさん。では私も同じ相手を狙いますよ!」
 そう言い交わしたロイとエルナは鳥Cへと狙いを定め、まずロイが強射を行使。
 ほぼ同時にエルナより放たれた魔法攻撃と共に、ロイの一射が駆け上がり、立て続けに鳥Cの胴を貫いた。
 射抜かれた鳥Cは血を撒いて落下するも、なおも叫喚して炎弾を投下する。
 その先には、現在キャロルが交戦中の鳥Bへと狙いを定めるセリオスがいた。
「セリオスへの攻撃は絶対にさせない」
 ここでゴルバルティアがセリオスに向け、カバーリングを行使。
 瞬間的に加速して炎弾とアリオスの間に割り込むと、アリオスをかばって炎弾をかわりに受け止める。
 火焔の花が咲き、炎がゴルバルティアを包むも、軽傷を負ったのみのゴルバルティアは炎を振り払い、アリオスを守り抜く。
「――だれの女に手を出してるんだ」
 底冷えのする低い声で呟くと、セリオスは無表情のまま即座に標的を鳥Cに変更し、ラピッドショットを行使。
 文字通り矢継ぎ早に放たれたセリオスの連射は、鳥Cの頭と胴を同時に貫き、刺し貫かれた鳥は血飛沫を上げ、大地に叩きつけられ絶命する。
「守ってくれて感謝だ、ゴルバルティア。……ふむ、やはり守る姿も魅力的だな」
 セリオスは感謝しつつも、やはりピントのずれたことをゴルバルティアに伝え、ゴルバルティアは挙動不審に陥る。
「だ、だから戦闘中だって言っただろう、セリオス!」
 頬を紅潮させ、しどろもどろになりつつも、ゴルバルティアは再び骨Dへと向き直り、衝撃刃を行使して不可視の衝撃で骨Dを吹き飛ばす。
「戦闘終了後は、撃った矢の回収はしとかないとね。折れてないならまた使えるし」
 キャロルは残る鳥Bへ着実に損傷を蓄積させていきながら、終わった後のことも考える。
 後はこの鳥を倒せば、空からの脅威はもうなくなる。
 そう判断すると、キャロルは鳥Bにむけ重撃射を行使。
 矢の先端にエーテルを収束させたキャロルが弓弦を鳴らして矢を放ち、命中した矢よりエーテルが炸裂して鳥Bの身に絡みつき、その動きを鈍らせる。
 この時地上方面では、ゴブリアが骨Aと交戦しながら誘導を続けていた。
「それがしが把握した限りの話だが、このスケルトンは物理魔法いずれも有効と考えてよさそうだな」
 ゴブリアは仲間達と骨達の戦闘も視界に入れながら、その結果から敵の特性をそう推し量る。
 そしてゴブリアは、骨Aをゴルバルティアと交戦中の骨Dの近くまで誘引したところで、闘気槌を行使。
 雑木の長杖に纏った巨大な光塊が振り下ろされ、効果範囲にいた骨達へとその威力をぶちまけた。
 既に損傷を蓄積していた骨2体は、耐え切れず打ち砕かれ、その破片は周囲に四散する。
 残る鳥Bや骨Aも、眼前の敵を倒した他の冒険者達が攻勢に加わり、撃破されていった。

●完了
 敵が全て倒され、冒険者達から連絡を受けた別動隊も現場に到着し、復旧作業を始める。
「これで隊長さんの遺族や友に、納得のいく結果を届けることができるかな……」
 ロイは今回敵を撃破し仇を討つことができたことを、遺族達にも伝えるよう別動隊に頼んでいた。
 別動隊はロイの頼みを快諾し、作業に戻っていく。
「ここの街道が復旧すれば、また物資の運搬も出来るようになるわね」
 キャロルは自身の作業を終わらせたところで、周囲を見渡しそんな未来を願う。
「街道へのダメージも抑えることができてよかったです」
 鳥の炎弾を街道は何発か受けたものの、別動隊より被害は想定範囲内と聞いて、ようやくエルナは安堵のため息をつく。
(野生のカンと言うやつですね! 都会暮らしですが!)
 エルナは今回自身がうまく立ち回れた理由を、そう考えていた。
「ばっバカっ! こんなまだ人のいるとこ……いや人気がなければいいってわけじゃっ」
「ふむ……消毒だ」
 不意に人気のないところで、ゴルバルティアから動揺した様子で抗議の声をあげ、セリオスがしれっと応じていた。
 何があったのかは誰も見ておらず、不明で終わる。
「負傷された人はこちらに来てください。全員治療いたします」
 そこへキーゼが仲間達にそう声をかけていく。
 キーゼは温存していた治療スキルをフル活用し、負傷した仲間や自身の傷を癒していった。
「珍しい経験だったが、これも剣の切れ味を増す一つの経験となるだろうよ」
 ゴブリアは今回の戦いで得たものをそう評する。
「おわった。かえる。おなかへった」
 最後までコハクはマイペースを崩すことなく、帰路に就く。
 こうして冒険者達の奮闘で峠の脅威は取り除かれ、街道は平穏を取り戻した。

マスターコメント

 今回ですが、一番北にいたスケルトンがフリーの状態になったことや、鳥からの炎弾への対処に若干齟齬が生じていましたので、大成功には至りませんでした。  MVPとなった方のプレイングがなければ、より深刻な被害が生じていた可能性がございました。  また機会がございましたらよろしくお願いいたします。  改めましてこのたびはご参加下さりありがとうございました。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2020年11月25日 15時22分37秒 公開

成功

相談掲示板

  1. キャロル・エターム

    キャロル・エターム ハーフビーストで駆け出しのシューターよ。よろしくね。

  2. コハク

    シーフコハク、よろしく

  3. エルナ・クルプファルツ

    エルヴンシューター、エルナです!よろしくお願いしますね!

  4. キーゼ

    キーゼと申します、お見知りおきを 一応、構成としては自己耐久寄り、ですかね。 シンプルな敵ですので、基本に忠実に、というところですかね。 骨鳥の位置ははっきりしませんが、スケルトンの位置は判明しており、こちら側の配置も指定可能 偏らせて数の有利を取るか、それとも左右均等にするか、ですかね。 スケルトンがフロントとして敵に接近、組み付いている隙に鳥が炎撃による識別でこちらだけを焼く、というのが基本スタイルでしょうか。 場合によっては、魔法攻撃判定の可能性もありますので、そこは注意かもしれませんね。

  5. セリオス・オーガスト

    ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む 鳥の火炎攻撃は1へクス内全部だからあまりまとまらずにばらけたほうがよさそうだな。 あとは常に上空最低でも10M上にいることから、やるのだったら基本近接がスケルトンを相手して射撃攻撃持ちが上空の鳥の対処をするのが無難だろうか

  6. ゴブリア

    某、ゴブリンウォーリアのゴブリアと申します。 全体的に後衛寄りの構成になっているだろうか? 初期位置自体は一方に寄せてまとめ、状況開始後に速やかに展開する形が良いのではないだろうか。 初期位置を散開させてしまうと、どうしても守りが薄い場所が出るというのが某が感じたところだ。

  7. キーゼ

    >構成 ジョブ的には後衛寄りかもしれませんが、個人の戦闘スタイルによりますのでその辺りは各個の申請次第かと。 別にシューターやキャスターが前に出るなら出てもいいのでしょうし。 >守りが薄い そこに関しては戦い方次第ですね。守りが薄いなら、それに合わせて戦えばいいでしょうし。 少なくとも二か所は選ばないといけないわけですし。 順当に行くなら、A1,A2当たりでまとめるか、ですが。 纏まる分だけオーガスト氏も触れるよう、鳥の炎撃のリスクも上がります。 纏まったとしても、HEXを分けるなどである程度の分散は必要でしょうね。

  8. コハク

    一撃離脱でいけばコハクは割と動き回れる。 多少鳥の攻撃の攻撃にウォーリアが耐えてくれていたらその間にシューターとキャスターが鳥を先に落としてからスケルトンを処理するか、鳥の注意を集中させないために各個撃破か。

  9. キャロル・エターム

    私は体力的に前に出るのは辛そうね。先に言っちゃうのは悪いと思うけど後衛を申告させてもらうわ。 初期配置としては2か所ぐらいにまとめて、その場で周辺HEXにばらけるに賛成ね。 鳴き声を聞いてから1HEXの範囲攻撃を避けられるって事は、スケルトンに絡まれていない場合なら、鳴き声から炎を撃ってくるまでの間に移動できるだけの時間があるってことよね、逆に攻撃を集中して落としちゃうってのもありかもしれないわ。

  10. エルナ・クルプファルツ

    現在のクラス構成は ウォーリア1 シーフ1 ヒーラー1 シューター3 でしょうか!シューター3人で鳥さんの撃破、他の方たちで骨との戦闘という感じになりそうな気がしますね! 高度10m(約2へクス)とあるので、見取りの図の一マス(10m×10m)は4へクス(2×2へクス)と解釈して良さそうでしょうか!見取り図の一マス分に全員入れそうですね! その場合戦場は10×18へクス分の広さでしょうか!弓なら端から端まで狙えそうですね! 今のところ魔法攻撃できる人がいなさそうなのと私の火力的な問題とで、私は弓ではなく杖で行こうかなと思っています!

  11. キーゼ

    >配置 全員が纏まるとその分、鳥が集中的に集まる可能性もありますので。 即座に撃破できるかどうか未知数の場合、敵を分散するのも1手ですよ。 その場合は、5Aに一隊、4Iもしくは5Iに一隊ですか。 敵の侵攻が北(MAP上方)からに限定されますし、敵の目も二か所に分散。 万が一の際も距離も最短で合流が容易です。 正直、鳥を2体3体と纏めたくない気もしているのですよね。 >魔法攻撃 僕も出来ますよ?杖が基本装備ですので、最大射程12での魔法射撃が可能です。 >対敵 既に話にあるよう、有射程の方は、射程圏内に入り次第鳥を優先。ですかね… スケルトンに関しては1体ずつ集中して各個撃破、でしょうか。

  12. ロイ・アウレア

    シューターのロイ・アウレアと相棒のルプスです(隣の狼を撫で) まだ手を募集してたので、手伝いをしたく思い参加しました。 お初の方、2度・3度目の方、宜しくお願いします。 これで現在のクラス構成は ウォーリア1 シーフ1 ヒーラー1 シューター4 ですね。 流れを拝見して、先ずは鳥に行くつもりです。 位置はA1,A2に同行か、5Aに一隊、4Iもしくは5Iを選べば良いでしょうか? 皆さまの動きがスムーズになるようにしたいので、初期位置を指定して貰って構いません。 そうして貰えれば、寧ろ悩まず、撃破だけ考えます。

  13. ゴブリア

    整理した方が良いのではないか。 初期位置の話と、ヘクスの話が混在しているように見受けられる。 同一ヘクス内にあまり密集しすぎない方が良いだろうというのは、炎撃対策として皆の総意のように思える。だが、そのまま初期位置を東西に分けるというのは個人的には反対だ。実質的には東西で18ヘクスに近い距離を隔てており、間にスケルトンを挟む形となるとこちらが分断されやすくなるのではないかという懸念を持っている。弓や魔法の攻撃はともかく、ヒールと有事のカバリングが届かなくなるのが怖い。 東西どちらか一方に寄せつつ、南北方向で分散を確保するのが良いのではないか。 >立ち回り 某も魔法攻撃が主体となる。従って通常攻撃の射程は最長12となるな。 加えて直径3ヘクス以内への範囲攻撃が可能だ。 スケルトンを中心に見つつ、場合によっては鳥の対応もできるといったところか。

  14. キーゼ

    >配置 別に混在していませんね。 まだ初期配置も決まっておりませんし、こういう初期配置もある、という提案ですので。 戦闘開始後はヘクス分散することで炎撃の被害軽減は確かに話に上がっていますが、そもそもスタート地点をどうするか、はまだ未定ですし。 そこを決めなければ、次に進まないかと。 街道の被害を抑えなければいけませんし、そのあたりも含めて一箇所から集中撃破かどうか、ですね。

  15. コハク

    ここまで遠距離が集まれば、一部隊で集中して先に鳥を落とした方が良いかもしれないと個人意見。 なのでコハクとしてはI5辺りに陣取って鳥を撃破後、向かってくるスケルトンを攻撃出来ればなと。 一番近いC5もしくはF4はどちらかであればコハクが一撃移動阻害系攻撃ぶつけて隊に戻れる形にすれば少しは時間が稼げるかと。

  16. セリオス・オーガスト

    <鳥を落とす 現状シューターが4人だし、ありな案だな 最初にスティンガーなりダメージ高いので先手で一羽ぐらい堕とせれば楽になるだろうしな というより現状壁になる前衛が少ないから、なるべくスケルトンが集まる前に全部倒しておきたいところだ。 まあ問題があるとしたら地図の上では鳥が乗ってないからどこにいるかわからないのがな。上空30MといってもAの上空などのばあいはI列からだと攻撃も届かんだろうからスケルトンと一緒にやってきたら対処に手間がかかりそうだしな

  17. エルナ・クルプファルツ

    >配置 今回前衛をやれるのがキーゼさんとゴブリアさんだけな感じなので、隊はなるべく分散しない方がいいのかなと思いました! 隊を分散すると魔法攻撃の射程では届かない場合も出てきそうで、火力を集中しづらくなりそうですし! >対敵 コハクさん以外は全員遠距離攻撃みたいですし、鳥さんから集中攻撃で届かないor殲滅したら骨攻撃という流れでいいのかなと!

  18. キーゼ

    >配置 では、コハク氏のいうI5辺りにしますか? とはいえ、近場のF4当たりのスケルトンも怖いですし、そこの抑えが重要ですかね。 そちらの抑えに向かいますか。 鳥の機動力が高い、ということは、移動の他に回避も高い可能性もありますし。

  19. エルナ・クルプファルツ

    依頼も満員揃ったみたいですね!何だか頼もしそうな方が!よろしくお願いしますね! >配置 私はコハクさんの挙げたI5で大丈夫ですよ!同一ヘクスに一人までとするならI4も使用した方が良いでしょうか! 他の方が問題なければこちらで決定な感じで! >対敵 遠距離攻撃者の基本は鳥さんから集中攻撃で届かないor殲滅したら骨攻撃という流れで大丈夫そうでしょうか! シューターの方達はペットの視界も合わせれば陸空を同時に警戒できるでしょうから、声を掛けあって敵の動きを全員で共有していくのも良さそうかなと思いました! コハクさんの移動阻害も助かります!鳥さん殲滅までに敵が集まりきらないのは大事だと思うので!

  20. ロイ・アウレア

    ここまで、了解しました! >配置 字数には余力があるので、特に英数で明記はせず 「有事の際、カバーが届き炎撃を避けれる位置に着く」としてMSお任せで行きます。 戦闘は鳥優先し、集中する間は、ルプスにスケルトンの動きを見てて貰い ターゲットにされないよう気を付けますね。 >スティンガー 良いね、凄く撃ちたい…! …が、仕事の都合(同時出発)で流星射セットなので 貫通衝撃射で頑張ります。初手のダメージは是非に皆さまで、宜しく。

  21. キーゼ

    >アウレア氏プレイング プレイング提出時の内容が反映されますので、おそらく同時出発でも問題ないはずですよ。こちらのスキルともう一つの依頼のスキル、全く別でも提出時につけておけば大丈夫です

  22. ゴルバルティア

    遅れて参加だ、ウォーリアのゴルバルティアだよろしくな ま、これだけシューターがいれば私が取りを狙う必要ないし、スケルトンが邪魔しないように護衛するぜ

  23. ロイ・アウレア

    >プレイング提出時の内容が反映されますので、 ぁぁぁぁ!!!!!! そうだった……少し前に何かで読んでいたのにすっかり失念してました。 キースさん、ありがとうございますっ! サクッと装備し、気分はスティンガー隊一員! 一足先に行ってきます!(提出)

  24. キャロル・エターム

    初期位置はIの5ね。了解よ。 1へクスは直径5m(6角形で直径って呼び方が正しいか分かりませんがルールより引用)で、1へクスに4人までは入れるみたいだから、簡易マップの1マス10×10mならエーテルリンクでペットを使う人がいたとしても十分は入れそうね。 優先度としては 鳥を優先して、射程内に鳥がいない場合スケルトンを狙う事にするわ。

  25. エルナ・クルプファルツ

    スティンガー隊!杖で行こうかと思っていましたが、面白そうなので私もスティンガー隊に加わります!撃ち落としますよー! ゴルバルティアさんもよろしくお願いします!前衛頼もしいです!

  26. ゴブリア

    I5スタートなのだな、問題ない。 人数としても不足なく埋まったようだし、成功のために全力を尽くすとしよう。

  27. コハク

    皆ありがとう、コハクも内容了解。 極力鳥を落とすまでは敵を近づけさせない用動く

  28. セリオス・オーガスト

    ふむ、あらかた決まったと思うがこの認識であってるだろうか 初期位置はI5 シューター組は初手にスティンガーで初期位置から狙える骨取りに集中攻撃して落とす。 そのままシューターは鳥を優先して攻撃、狙える範囲に鳥がいなければスケルトンを攻撃。 前衛は近づいてくるスケルトンの対処。

  29. ロイ・アウレア

    大体、一緒です。 違いは、途中で骨に狙われない限り、鳥が全滅する迄、鳥集中にしました。

  30. エルナ・クルプファルツ

    プレイング送信完了! 私も同じ認識でプレイング記載してますよ! 個人的な行動として、洞察と戦術眼で炎撃の兆候を観察しつつ、身動きがとれない位置取りにならないよう注意喚起もしていく予定です!

  31. キャロル・エターム

    プレイング提出完了したわ 私はスティンガーが使えないからラピッドショットになるわね

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0