【秋祭】蜘蛛の糸は甘い香り
桐原千尋
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シナリオID:149
オープニング
農村では収穫作業に追われる日々。日の出から日の入りまで、穂を刈る小気味のいい鎌音や脱穀の音が絶えず響いている。
村から町をつなぐ道には収穫を積んだ荷馬車が行き交い、町側もまたそわそわと気忙しさに包まれていた。
収穫が一段落すると何が行なわれるか。そう、――収穫祭である。
多種多様な風土や宗教が混在するロスガリア大陸でも、この時期になるとそれらの枠を超え、各地で一斉に収穫祭が行われるのだ。
元々は秋の恵みに感謝する純然たる収穫祭だったが、いつの頃からか魔物除けや鎮魂祭としての側面を持ち始めた。
実りの季節であると同時に、夜闇が日毎濃く長くなり行く時期でもある。悪しきものに憑かれぬよう魔物や亡者に仮装をしたり、死者の魂を慰める催しをしたりと、祭りの内容は村や町により様々だ。
さて、ここイェルノー荒野にも収穫作業に向かう馬車と冒険者が集まっている。遠い昔の建物の残骸を利用した中継地点ワディでも、この時期だけの賑わいが広がっていた。
護衛依頼を受けた君たち五人がワディへ到着すると、大きく手を振りながら一人の女性がかけよってくる。
「依頼を受けてくれた冒険者だね、ようこそワディへ。いやあ、依頼を受けてくれて助かるよ。君たちに同行するザニだ。今日はよろしく。馬車はこっちだ」
簡単に挨拶を交わし、君たちがザニの後を追っていると、ふわりと花の香りがしだす。匂いを確かめるようにすん、と吸い込む。今度は葉っぱの香りがした。木々も草花もない荒野でする香りは馬車に近づくとより濃くなっていく。
「不思議な香りがするだろう? これが、今から採取しに行く乳香の残り香なんだ。よかったらもっと嗅いでみるかい?」
馬車には小さな木箱が幾つも積まれていた。ザニはその中から小さな丸い壺を取り出すと蓋を開け、君たちの方へと差し出す。木箱から出した時には草花の爽やかな香りだと思ったが、目の前で蓋を開けられると濃く甘い花の香りに思える。
「乳香は木の香りの良いとこを全部纏めてぎゅっと詰め込んだような香りでね、人によって強く感じる香りが違うんだ。それが神秘的だとも言われてて教会とか村の儀式とかでもよく焚かれているよ。この乳香がここイェルノー荒野にある樹木から取れる。特に収穫祭の時期は最も香り高い良質な物が取れるんだ。今日はそれを取りに行く」
そういうとザニは香炉を置き、地図を広げた。簡単に書かれたイェルノー荒野の地図は幾つもの線と記号が散らばっていおり、ザニは地図を指し示しながら話を続ける。
「乳香の樹はイェルノー荒野に点々と生えている。今回はいくつかの採取地を回るから採取地まで馬車で向かい、樹木で採取し終えたら香炉を置いて次の樹木へ移動する。この繰り返しだ。君たちに護衛を頼んだのは採取の際に乳香の香りが発せられ、色んなモノが集まってくるからだ。昆虫にネズミ、野犬、コボルトや狼とアンデット、小型のクリーパーも来た事があったかな。香炉を置くのは採取終了の目印と、アンデット対策なんだ」
地図から顔をあげ、ザニは君たちの顔を見ていう。
「乳香を焚くと香炉からは白煙が立ち上るのだけど、アンデットはその煙をじっと見上げて動かなくなるんだ。だからアンデットは放っておいても大丈夫。だけど採取が終わる前に囲まれちゃうのは困るから、適度に相手してほしい。と、この現象は今時期のココだけに見られる物だからね、間違っても乳香と香炉を持って行って墓地とかダンジョンとかで焚かないように。なんの効果も無いし、むしろ香りで他のが集まってくるし隠れても見つかりやすくなるからね」
熱のこもった語りに、君たちは試して大変な目にあったのだな、と理解し苦笑する。
こほん、とわざとらしく咳をしたザニは、気を取り直して話を続ける。
「不思議な事にこの時期イェルノー荒野に現れるモノはとても弱い。弱いが、色んな種が絶え間なく襲ってくる。君たちなら滅多なことにはならないだろうけど、体力だけは気をつけて欲しいかな。あと何故か今年は小型のクリーパーとアンデットが異常に多いんだ。アンデットはともかく、小型のクリーパーやコボルトなどは確実に仕留めて欲しい。乳香の樹に傷が付いたら大変だからね。それで、採取に向かう道順なんだけど……」
君たちの顔を見渡し、ザニは真面目な顔で言う。
「繰り返しになるけど、採取地まで馬車で向かい、樹木で採取し終えたら香炉を置いて次の樹木へ移動する、これの繰り返しだ。採取すればするほど、香りが強くなって敵も寄ってくるし、遠くへ行けばそれだけ戦闘回数も増える。けれど、遠くへ行った方が質の良い乳香を沢山採取できるんだよね。そこで相談だ。君たちはどこまで行ってくれるだろうか。確実に安全な範囲で収めるか、多少疲れるけれど、遠くまで行くか」
一つ言葉を句切り、ザニは明るく言う。
「どっちを選んでも少ない報酬は同じだよ。距離が伸びて戦う回数も増えて疲れるだけだ。アンデットも増えているようだから無理に行こうとはしないで欲しいかな。無理しても何も良いことはないからね。君たちが遠くまで行って良いことは……」
ふと、思い出した様に彼女はこう付け加えた。
「良い景色が見られる事と遠目にケンタウロスが見られるかも、ってくらいだね」
解説
マスターより
リプレイ
乳香の樹から立ち上る白煙を見止めたテスは柔らかく頬笑み、直ぐに視線を戦場へと戻せばサマエラ=フォリウムも空へ伸びる白煙を確認していた。
「作業終了か」
確認する様にサマエラが言えばテスは一つ頷き遠くを眺めて言う。
「もうアンデッドの影が見えるよ。あの大きさならそう遠くないね」
「ああ、今いるのを片付けたら終わりそうだ……話していたら終わったか」
そう言いながらも二人は周囲への警戒を怠らない。
「直ぐに出られるよう、ザニと馬車の準備をしておく」
「よろしく」
サマエラの背に言葉をかけたテスは彼らが戻るのを待つ。
闘いの終わった者達もまた、周囲を見渡しながら足早に二人の元へと駆け寄ってきた。
番えた矢を降ろしたロサード・シュナイダーは周囲に敵がいないのを確認していたが、念の為にと索敵を行いながらゆっくりと後退していく。
前線で戦っていたララベル・サン・ディーベルとピーター・フトリッチが近づいてくるのを待ち、二人の走りに合わせて駆けだす。
「僕はもう見つからなかったけど、何かいた?」
走りながらベルがそう問い掛ければ、ロサードはベルと目を合わせ首を横に振る。
「そっか、同じでよかった」
にこっと笑い言うベルにロサードは少し間を開けてこくりと頷く。
「お疲れ様、二人はもう乗っているよ」
「じゃあさっさと出発しようか」
テスの言葉に一行は駆け足のまま馬車へ飛び乗っていく。最後にテスが乗り込むと、馬の嘶きと共に馬車が動き出す。緩やかに速度を上げる馬車が樹から離れていく。のたのたと遅い歩みのアンデットが樹へと集まり、樹の姿を覆い隠していく様を静かに見守る。
「何回見てもこんな効果があったなんて、って驚くよね」
テスの言葉に誰もが頷いた。
すぅ、と大きく息を吸ったベルが安堵の息を吐き出すとにこにこ顔で言う。
「外から戻ると馬車の中に香りが満ちてるのがはっきりするね。とっても落ち着く香り、アンデットもボーっとしちゃうのが解るよ」
「ああ、本当に素晴らしい香りだ」
ヒクヒクと鼻をひくつかせるピーターがうっとりと呟く。よほど香りが気に入ったのか、採取したばかりの乳香の傍にでんと座り込みスケッチを描くピーターの横にはロサードの狼がピーターと同じく香りに夢中だ。
「しかし……採取時の香りに誘われてくる敵が乳香を積む馬車を襲わないのも不思議だな」
外の景色を眺めながらサマエラがそう言うとテスがそうだね、と話し出す。
「コボルト達も香炉が焚かれたら樹に近寄ってこなかった。あれは樹にアンデッドが集まるって理解しているんだろうね」
「樹から早く離れないとアンデットに囲まれて動けなくなっちゃう。かといって攻撃なんてしたらぐるっと樹を囲むアンデットに……だもんね」
想像するだけで恐ろしい、とベルが自分の身体を抱きしめ震える仕草をするとロサードもこくこくと頷く。
「対処の仕方が解りやすく良いけれど、気を抜いたら危険な仕事だ。いやあそれにしても本当にすばらしいなぁ、良い香りだなぁ」
と、相槌なのか独り言なのか曖昧な言葉を発するピーターはヒクヒクと鼻を動かしながらペンを走らせる。
「確かに、パターンが解れば対処しやすいし敵は弱いから仕留めるのも困らない。しかし方々からやって来る敵と連戦だ。索敵のできる者が二人いて良かった」
言い、サマエラがベルとロサードへ視線を向けるとベルはぱっと花が咲いたように笑う。
「うんうん。樹を中心にぐるっと警戒、なんて一人で続けていたらすっごく疲れそう。僕もロサードがいて良かったと思うよ。この後もがんばろうね」
ベルに笑顔でそう言われたロサードはわたわたと手を動かす。言葉も無くベルの目をじっと見つめ、暫く手を賑やかに動かし続けたロサードは何も言わないまま大きく頷いて返した。
ふっと風が吹き込み馬車に満ちた乳香の香りが動く。
馬車は静かにイェルノー荒野を走り続けた。
「次の採取地が見えてきたよ」
テスの言葉に皆が前方へと目をやる。
「三本はあるけど……奥にも見えるね。三本とって、馬車でちょっと移動、かな」
ベルがそう呟きザニを見れば、ザニはこっくりと大きく頷いた。
「警戒範囲が広がるな。敵影は?」
サマエラの言葉にベルとロサードはふるふると首を横に振る。大きくなっていく樹を眺め、サマエラは口を開く。
「移動を考えると馬車だけ前方に置いて……いや離すのは何かあったら危険か」
言葉の途中、じっと見上げてくるロサードの視線に気がついたサマエラが考えを改めるとロサードはうんうんと頷く。
「では変わらずに樹の傍で待機、敵が現れたら動くのだな。さあ、皆さんはりきって樹木の採取に向かいましょう!」
ウキウキした気持ちを隠さずに言うピーターは、馬車が止まると同時に飛び降りいそいそと樹に向かっていく。
植物の研究者であるピーターが依頼を受けたのは変わった香料が採取できると聞いたからだ。敵が現れれば護衛を優先するが、それまでは植物の現地調査をやらせて欲しいと前もって言ってある。
ガサガサと荒くささくれ立った樹皮にむっちりとした手がそっと触れ、目を閉じる。植物共感を行うピーターを余所にザニは樹に登っていく。
少しして、ピーターの長い耳がへにょんと下がる。
「駄目そうかい」
テスが柔らかく問えばピーターはがっくりと肩を落とし沈んだ声で答えた。
「ええ。やはり水の少ない地域だからでしょうか、僕の知っているどの樹木よりも内包している水が少なく乾燥気味で、僕が登ったら幹が裂けてしまいそうだ。ああ、残念だ」
樹の幹は手を伸ばした大人が三、四人で囲める太さだが地上から二メートル程の所から枝が方々に伸びている。小さな葉は枝の先端にしかなく、殺風景な荒野の樹らしいスッキリとした佇まいだ。採取出来る場所は幹より上で、体躯も良くふくよかなピーターは樹に登れず採取ができないのだ。
「環境が過酷だからだろうね。どれも力強い、よい樹ばかりだよ」
「だからこそ、他の樹とどう違うのかこの手で採取してみたかった。他の地域に生息している樹なら僕にも採取できるのだろうか?」
「そうだね、梯子をかけたらできると思うよ。採取で魔物が寄ってくる事もなかったしね」
二人の会話を聞いていたサマエラが樹に登れるとは言わないのだな、と静かに思っていると、一際強く乳香の香りが漂った。
「採取の時点で香りの強さが明らかに違う……うう、比較もしてみたかった」
哀しげに言うピーターを慰め肩をポンポンと叩いていたベルがはっと顔を上げた。遠くを見たままロサードが弓矢を手にすると皆が武器に手を伸ばす。
ロサードの視線を追うと砂埃の中に小さな敵影が見えてくる。
「あっちからも来てるよ。 んんん、複数でいっぱい!」
ロサードの見ている方角より右を指差してベルが言う。ぽつぽつと見える影は単体と複数の塊が疎らに散らばっているが、近づく間に数の変動もありそうだ。ベルの複数でいっぱいという表現はある意味、正しいのだろう。
「広範囲でも方向が纏まっていて助かるな」
「背後は狼さんが警戒、左から殲滅」
ロサードは淡々と言うと左手を真っ直ぐ前に伸ばし、そのまま右へ水平に動かす。
「そちらの方が敵影も少なく見えるし次に向かう樹も右方向だ。それでいこう」
ロサードの提案に乗ったサマエラはテスに輝刃をかけた。テスの杖が淡く透明な光で包まれ周囲に大量の小さな光弾が現れ出す。
「では僕とベルは右に向かっておこうか」
ピーターとベルが武器を片手に駆け出すと、テスは淡く輝く杖を突き出し光弾が一斉に放たれる。光弾に打ち抜かれた敵影が幾つか倒れ伏す。
「思ったより当たったかな」
言いながらテスは樹を背に歩き出した。樹の近くはサマエラと狼が待機しザニの護衛に専念するので安心して背後を任せられる。テスは残りの敵を魔矢で、ロサードは矢で射貫き一体ずつ確実に数を減らしていく。
コボルトの振り下ろした剣を避けたベルは、一気に間合いを詰め細剣で斬りつけるとその勢いのままコボルトから距離をとった。
「折角の採取場所、お前達に荒らさせはしないから!」
軽やかな足取りで攻撃を躱し、一撃を与えてはまた離れる。紅く長い髪を翻し素早い動きで翻弄し両手に持った細剣を振るベルの動きは、剣舞のような見応えがあった。ドサリと倒れたコボルトが動かないのを確認したベルはふうと一息ついて周囲を見渡す。共に前線へと来たピーターも一体のクリーパーを相手にしている。
「樹から離れすぎないようにもしないとね……ん?」
心掛けるよう改めて口にするベルの耳にぼごり、と妙な音が届く。注意して耳を澄ませばぼごり、ぼごぼごという塞がった音が徐々に近づいている。
「ピーター、何かが近づいてるよ、気を付けて!」
「任せたまえ、と言いたいが、どこに?」
棍を振りクリーパーを叩きのめしたピーターが不思議そうに辺りを見渡す。何もいないがベルは探知した。ピーターは棍をしっかりと構え輝甲でその身を輝かせる。
ヒュンと細剣を振り下ろしたベルは場違いな音を聞きながら捜波を放つ。反応はあるのに姿が見えない。隠れているのならこの見通しの良い場所の何処に。
「ッ下だ! 地面! 土の中を移動してるよ!」
ベルがそう叫ぶと、ぼごぉと音を立てて地面から何かが飛び出してきた。目の前に飛び出してきたモノに驚いたピーターは反射的に棍を振りかぶりソレを叩き落とす。地面でぴくぴくとしているのはクリーパー特有の触手を持ったモグラであった。
「植物にモグラは天敵、一匹残らず始末せねば!」
ふんす、と鼻息荒く言い強く地面を踏みしめるとボコッ、ぼこぼこと土が盛り上がり次々にモグラが飛び出してきた。ピーターが棍で応戦するもモグラは数で押す。一匹叩いては三匹が体当たりをし、また一匹叩いては二匹が飛びかかる。
「キ、キミたち、やめたまえ!」
焦った様に言うピーターだが、輝甲を纏った身体にモグラの攻撃は対して効いていない。ポコンポコンと叩き叩かれを繰り返すピーターに加勢しようとベルが踏み出すと、もこりと地面が盛り上がる。ベルは慌てて身体を捻り、腕を引いて細剣を構えた。ぼこっと地面から飛び出したモグラに細剣を真っ直ぐに突き刺す。
「足音に反応してる。それに直ぐ出てこない、土が盛り上がって、一拍おいて飛び出してくるよ!」
ベルが後方にいる面々へ叫ぶ。直ぐにロサードが大きく手を振ると、狼が樹の周辺を駆け回る。狼が駆け抜けた後に盛り上がる場所がモグラが出てくる場所だ。出てくる場所さえ解れば何も慌てる事は無い。モグラが飛び出すと直ぐにテスの魔矢が貫き、サマエラの刀が斬り伏せる。
忙しない闘いの中、樹から白煙が立ち上る。
ロサードがテスの目をじっと見つめ自分と樹を交互に指差す。
「樹に行くのかな? わかった」
テスの言葉にぺこりと頭を下げたロサードは急ぎ樹の元へと走り、樹から飛び降りたザニを引き留める。
不思議そうにしているザニの目をじっと見つめ、ロサードは馬車を指差した。そしてこれから向かう樹を一つ一つ、指差していく。
「順番」
それだけ言うとロサードは再び樹を指し示す。
「採取に向かう樹の順番を決めたいのではないか?」
近くに来たサマエラが口を挟むと、ロサードはこくこくと頷く。
納得した顔を見せザニが了承すると、ロサードは身を翻し直ぐさま戦場へと駆け戻る。
「アンデッドに囲まれる前に行こうか」
サマエラが馬車に乗り込むとザニはロサードの指し示した樹へと馬車を動かした。
四つ目の煙が樹から立ち上る。一呼吸置きぐるりと周辺を見渡したテスは遠くで矢を放つロサードを見ながら感心した声を漏らす。
「なるほど。集まるアンデッドを利用したんだね。これなら警戒範囲も狭まるし、戦いやすい」
品質の良さからか、一本目の採取の時点で敵が多かった。闘いながら二本目へ移動するのだから休む間もない。三本、四本と移動する度に集まる数も増える。広範囲での連戦が続くとスキルの使いどころも難しい。
しかし、ロサードが採取する樹の順番を決めた事で採取を終えた樹に集まるアンデッドが防壁となったのだ。
「うん、今だね」
淡く輝く杖を顔の前に立て、テスはエーテルを燃やして魔力を増幅させ強く輝く光弾を大量に出現させていく。
「さあ、あともうちょっと頑張ろうね」
テスは穏やかにそう言うと迫ってくる敵へと杖を向けた。
眼下に広がる景色を一望し、ロサードは立ち尽くす。
イェルノー荒野に残る遺跡の上からみる景色は遮るモノのない展望だ。
手前にはイェルノー荒野の広大な大地。点々と生える乳香の樹と空へ伸びる白煙。収穫を終えた田畑の跡がパッチワークの様に連なり、空から差す光がキラキラと輝く。
その奥には薄らと雪化粧されたヨルド氷雪帯に連なる山が雄々しく聳え立っている。突き抜けるような青空の下、日の光を遮る薄暗い山と光り輝く荒野のコントラストも美しい。
そして、それらの先端を纏めてすとん、と切り落としたような崖から濃紺の海が広がっている。全貌は伺えないが、あれが有名なクレーターだとロサードは理解する。
「綺麗」
言葉少ないロサードがつい言ってしまうくらいには、絶景であった。
「……ああ、景色も確かに、良いな」
遠くを眺めサマエラの呟きに満面の笑みで景色を眺めるベルも頷く。その横ではピーターが風景をスケッチしている。
「頑張った甲斐があるね」
ブランケットを敷いて寛ぐテスは思い思いに喜ぶ仲間越しに景色を見て、嬉しそうに笑い言う。
そよぐ風の中にも乳香の香りが感じ取れ、ベルは目を閉じて大きく深呼吸をする。すっきりとした気分で目を開ければ、麓に砂埃が舞っているのに気がついた。眼を細めてじーっと見たベルは、ひゅっと息を飲む
「みんな、見て見て、ケンタウロスだ」
目をキラキラとさせたベルの指し示す方向には、小さくともケンタウロスであるとわかる影が砂埃を立てて駆けていた。おぉ、と感嘆の声を漏らしたピーターはスケッチの手を止めて走る影に魅入る。
「なるほど……人馬との呼び名、理解した。百聞は一見に如かずとは、その通りなのだな。此度は、良い機会だった」
「お金や知識以上にご褒美を貰った気分だよ」
満足そうなサマエラにテスも和やかに笑うと、また思い思いに景色を楽しみだす。
あちこちで立ち上る白煙を見たロサードはテスの横に座るザニと目を合わせ、わちゃわちゃと身振り手振りをしながら言う。
「アンデットが集まる、どうして」
ぱちくり、と目を瞬かせたザニは困ったように笑う。
「なんとなく、噂とか」
皆も気になるのかザニへと視線が集まる。真偽も定かじゃないのでよければ、と前置きザニはこう告げた。
――収穫祭に焚く乳香の白煙は、マトリクス界に繋がっている。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:少ない5 / 5〜5人
2020年11月18日 11時36分20秒 公開
参加者
- シュナイダー ロサード
テス・アウレア
ララベル・サン・ディーベル
サマエラ=フォリウム
ピーター・フトリッチ
相談掲示板
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、宜しくね!
こんにちは、ハーフビーストのピーターと言います。 ヒーラーをやっています。 植物が好きであちこち調べて回ったりしているので、こういう現地調査ができる機会に参加させてもらいました。 よろしくお願いします。
ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。よろしく頼む。 ひとまず、距離にはさほど拘りもないが…… ケンタウロスには多少、興味があるな。ともあれ、総意に従おう。
こんにちは、テス・クラルスという、キャスターだよ、よろしくね。 乳香にこんな効果があるなんて、興味深いね。 私も距離はこだわらないけど、景色が良いなら物見遊山も悪くは無いねぇ。
No.5
シューター、ロサード・シュナイダー。 良い景色… …。 ……。 (何か手で謎のポーズをとっている) ………。 …………。 (口をつぐんだ) …よろしく。
あっ、言い忘れてた…僕は遠くまで行くのに興味あるかな。 ケンタウロスも、気になるよね!! >敵が出た時 僕は依頼人さんを護衛するスキルとかは無いから、動き回りつつ2回攻撃でひたすら敵を攻撃していくアタッカースタイルになると思うよ。
それでは、遠出のつもりで準備しておこうか。 連戦の疲労対策は……ピュアウォーターで水分確保、くらいならできそうだ。 何か使えそうな用意物があれば、できるかぎり持って行く。 戦闘面は、さして強くない相手が中心ならば、早期撃破の方向で挑むのが良いだろうか。 私は、体力はほどほどあるゆえ、依頼人の傍で壁役でも務めようかと思うが、 作戦に応じて、他役割でも構わない。 壁役で良ければ、堅甲やヒール等での支援と、魔矢での追撃を中心に動こう。
僕はヒーラーだけど、申し合わせ程度には前に立てますよ。 サマエラさんが護衛につくなら、僕が前に行こうか。 遠くまで行けばより質の高い香が得られるし、植物を調査したい僕としては願ったり、かな? 危なくなってきたら帰りたいけど…。 樹木から離れていても、アンデットがたくさん現れたら香を焚いても良いのかな。 ちょっとは危険が減ると思うけど。 でも樹木の採取が終わったという合図だから、焚かない方がいいのかな?(考えこみ
遠くに行くって感じで良さそうかな 楽しみだね ヒールや護衛、アタッカーも居て頼もしいな 私は天眼で全体を把握しつつ、魔矢で牽制 コボルトなんかの複数敵へは識別範囲を って感じで 基本は、全体的にダメージを与えて倒しやすくしていく感じで考えているよ 確かに香炉を炊いてしまいたい気はするけど 終了の合図…となると戦闘中は厳しいのかな? (首を捻り)
No.10
うん、じゃあ遠くまで。 了解した。 (遠くにいく事になった為、ほんの少しだけ頬が緩んでいる。どうやら行きたかったようだ) 私は基本的に後衛からの射撃がメイン。 相手が射程距離に入ったところで攻撃する。 …そんな感じの、シューターとしては基本の基本な感じの立ち回りになると思う。 射線が通るかにもよるけれど。 香炉…あ、そういうこともできる、のか。 でも確かに、何もないところで炊くと目印として困るし、なにより他のモノが引き寄せられそう。
そうですね、やっぱり、アンデットの出現に合わせて香を焚くのはやめた方がよさそうですね。 では、敵が現れたら普通に対応していく方向で準備させてもらいます。 いざとなったら僕は壁化してると思いますので、援護よろしくお願いします。
ではこちらも、撃破がスムーズとなるよう、魔矢は多めに持ち込んでおこう。 あとはヒール・サイドヒール・堅甲あたり……と思ったが、 守備の支援をするよりは、火力を底上げして早めに片を付けた方が良い、だろうか。 問題なければ、堅甲→輝刃に、予定変更を。 敵数が多い場合に、初手で範囲攻撃持ちのテスへ、使用しておくつもりだ。
サマエラさん輝刃ありがとう! その時は大事に使わせて貰うよ ロサードさん、ピーターさん了解 とても頼りにしてるよ 私も頑張って敵を削らなくては なんとかプレを提出できたよ 皆さん現地でよろしくね
それでは先の通り輝刃にて、プレイングは作成済みだ。 火力面でこちらも頼らせてもらえばと思う、どうぞ良しなに。 それでは、あとは現地で。無事の遠出を、目指そうか。