キエテナクナール8世 ~ヴェルクリエの風に乗せて~
真柄 葉
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シナリオID:141
オープニング
学術都市ヴェルクリエに天才、秀才、鬼才、異才――数多居れど、それは学者、研究者のみにあらず――。
「数多の風月に磨かれた光沢にして、この繊細な肌触り……絹にも勝るとも劣らない仕上がりはまさに、木の王というにふさわしい」
つるりと黒光りを放つ硬木材の肌は、見つめる男の顔を映せそうなほどにまで磨き上げられている。
「はぁ……美しい」
極限まで磨き上げられた木製便器をうっとりと見つめる男『ガック・R・シュバルティエ』は、今日も自分の仕事に満足していた。
「ガァァァァッックゥゥゥ!!」
そんな時、自分の世界に入り浸るガックを呼ぶがなり声がした。
どかどかと無作法にも磨き上げたトイレの床に土足で足を踏みいれてきた男に、ガックは顔をしかめ嫌悪感を露わにする。
「なんですか、部長。あ、そこは磨き終わってるので入らないでください」
「おっと、これはすまない事を――って違うわ!」
「む? では何の用ですか? 僕は次の子に取り掛からないといけないんで、用件があるなら手短にお願いします」
「いいからこっちきて、見て見ろ!!」
「なんですか僕は忙しいのに……」
と、ガックが部長に言われるままに渋々顔を覗かせた廊下では――。
「すすす、すべるぅぅぅーーーー!!」
「ど、ど、ど、どいてくれっ! ぶつかるぅぅぅぅ!!!」
「目がー目がー! まーわーるー!!」
つるっつるに磨き上げられた廊下の上で繰り広げられる阿鼻叫喚。
「ああ、なるほど。ちょっと光沢が足りませんでしたか」
「ちがうわっ!!」
ごつんと大きなげんこつがガックの脳天に落ちてきた。
「いっつぅ……なんですか藪から棒に。暴力は何も生みませんよ?」
「生むさ、お前のたんこぶをな!」
激怒しているであろう上司に、またかとため息をつくガック。
「それで、あれ以上何をしろと? 更なる高みを目指すのなら、もう床を張り替えるしか――」
「ちがわいっ! やり過ぎだって言ってんだ!!」
「やりすぎ? なにをですか? 僕が今持てる全ての力を注ぎ込み作り出した試作薬品『ツルリーナ3世 ~ローレラウラの水面の様に~』の何が不満なんですか? これはですね、オリーブの油を主原料とした石鹸をベースに考えた薬品で、お肌にも大変優しい――」
「そんなこと聞いてねぇよ! あれじゃ誰も通れないじゃねぇか!」
「はて、誰も通らなければ汚れることもない。いい事じゃないですか」
本気で答えるガックに、部長は顔を引きつらせる。
「まったくお前という奴はいつもいつも――わかったもういい。ここはいいから、お前には次の仕事場へ行ってもらいたいんだ」
「ふむ?」
クククと悪辣な笑みを浮かべる上司に、ガックはかくりと首を傾げた。
●地下水路
「……ほう、これは」
上司に言われやってきた都市の地下に広がる水路の一角。
目の前に広がる光景に、ガックはふむふむと品定めする様に何度も頷いた。
「油汚れ――ではないですね。これはスライムですか」
水路の至る所にべったりと張り付いている半透明のゼリー。
よく見ると時折うねうねと蠢いていた。
「なるほど。しかし、この程度のスライムでしたら、持参した『オトシテミール14世 ~シグモルのマグマの如く~』で十分でしょう」
油汚れに絶大な効果が見込める白い薬品を袋から取り出したガック。
「これで一網打尽です」
きゅぽんと小気味のいい音を響かせ薬品の蓋を開けたガックは、水流を確かめながら水路へ投入した。
「さぁ、とっとと落ちるので――」
ボフンッボフンッボフンッ!!!
「うおっっ!!?」
投入した途端、突然爆発的に増殖したスライムが水路を埋め尽くす。
「い、一体どういうことです……?」
驚きのあまり尻餅をついたガックは、先ほどより増加し活発的に動くスライム達を呆然と見つめた。
「まさか『オトシテミール14世 ~シグモルのマグマの如く~』を養分にしたとでも言うのですか……くっ、ならば別の薬品で――」
その後、持ち込んだ薬品をいくつか試したものの、どれもスライムを増殖させるばかりだった。
「これは……ふっ、ふふふふふ」
丸眼鏡をくいっと持ち上げ不敵に笑うガックは。
「いいでしょう! 受けて立とうではありませんか!」
びしっとスライムたちを指さし、高らかに宣言したのだった。
解説
マスターより
リプレイ
「しかし、頭のいい奴の考えることは分らないなぁ」
紋具で照らされてもなお薄暗い水路内を歩きながら、レギン・アンドヴァリが呟いた。
「これの事か?」
と、クラルスが二つの瓶を掲げる。
それは依頼主から渡された7つの瓶のうちの二つ。
「そうそう、これって試作品なんだろ? いきなり投入しても大丈夫なのか?」
「まぁ、確かにな。見た目的にも不安を煽る色してるし」
不安げに問いかけるレギンにクラルスはエーテルの光も透けない程、どぎつい原色をした二つの薬品を見つめた。
「だよなぁ。普通こういうのってちゃんと実験してから試すもんだろ?」
「試す? ここで試すんじゃないのか? だから私達が来たんだろう」
と、そんな二人にアンジェラが首を傾げた。
「うーん、まぁそうなんだけどさ。なんというかこう、不安しかないっていうかさ……」
純粋な疑問を抱くアンジェラに、レギンは苦笑で答えた。
「ふむ、私は学の無い女だからよく分らんが、ガックも私たちならできると踏んで依頼してきたんだ。期待には応えるべきだと思うが」
「確かにアンジェラ嬢の言い分も一理あるな。まぁ、何かあった時はあった時だ。臨機応変さも冒険者として必要な資質だしな」
純粋に答えたアンジェラにクラルスも賛同しつつ、一行はなおも薄暗い水路を進む。
「ガガは先に行ったが、一人で大丈夫だったのか? 襲ってこないとはいえ、仮にもクリーパーだろう?」
斥候に出ると先行したギ・ガガを心配して、サマエラ=フォリウムは皆に問いかけた。
「大丈夫だろう。ああ見えてあ奴かなりの手練れぞ?」
答えたロスシーは、エーテルの光で水路の地図を透かし見る。
「ほれ、こちらももう着くぞ。そこの角を曲がった所だ」
と、ロスシーが地図から目を離し、暗闇を指さすと――。
「っ! 敵か!」
ぼぅっと浮かび上がる黒い影。
ロスシーの声に、皆が一斉に武器を手に取った。
「ア、イマモドッタデゴザイマス」
聞こえてきた声は、独特の訛りのある声。暗闇に溶けていたのはガガだった。
「なんだ、ガガか。斥候ご苦労様。で、どうだった。スライムはいたか?」
ふぅと安堵し武器を戻したサマエラがガガに問いかける。
「イタ――トイウヨリ、フエタデゴザイマス」
「……増えた? どういうことだ」
「ヤクヒンヲ、ナゲタラフエタデゴザイマス?」
かくりと可愛らしく首をかしげるガガ。
「「「……ええっ!!??」」」
もちろん、他の5人は驚いて声を上げた。
「い、入れたのか、その薬品を……」
「ヤクヒンヲ、ナゲルダケノ、イライデゴザイマスヨ?」
驚く5人に対し、ガガはなぜ驚かれているのかよくわかっていないようで、再びかくりと首をかしげる。
「まぁ、確かにそれは間違ってないけど、ガガ、あんた見かけによらず大胆だな」
「まぁ、どうせ投入する予定だし、先に結果が分かったのはある意味よかったのか」
レギンとクラルスがガガの言い分に納得し。
「そうだ。失敗して増えたのならば狩ればいい。その為に私達が来たんだ」
アンジェラが拳を叩いた。
「これで一つ消えたという事か……」
「そうだな。結果的にスライムが増えただけというならば、青は失敗作だった、という事であろう」
と、サマエラとロスシーは実験結果をメモに残す。
「で、スライムは何処だ? もっと先か?」
アンジェラがガガに問いかけた。
「ソコニイルデゴザイマスヨ?」
と、ガガが指差したのは。
――――ズズズズズ。
皆が歩く通路と並行に走る水路の中に、青く変色した巨大なスライムが居た。
「……これはこれは、また随分と巨大なスライムであるな」
ロスシーが感嘆の声を上げる。
目の前の青いスライムは水路を埋め天上付近にまで膨張していた。
「ふーん、なるほどね。ガックさんの言ってたのはこういう事か。これは確かに水路が詰まるね」
クラルスが目の前のスライムに杖を突き差してみる。
「これは、まるでゼリーのようだ。青の薬品は膨張と硬化の効果があるのかな?」
感触もスライムというよりゼリーに似た弾力をしていた。
「なんだ、ゼリー? うまいのか、これ」
と、腹を空かせているのかアンジェラが興味深げにスライムを見つめる。
「いやいや、食べちゃだめだろ。腹壊すぞ」
腹を鳴らし今にも涎を垂らしそうなアンジェラにレギンがツッコむ。
「食べないまでも、このまま放置もまずいだろう。依頼ではスライムの排除とあったし、やっておくか」
いうと、サマエラは流れるような動作で刀の柄に右手を添え、左手で紫色の瓶を放り投げた。
――パリン。
瓶は天井に当たると砕け散り、中の薬品がスライムに降りかかる。
「刀に手を掛けた予備動作は何だったのか二三問い詰めたい所ではあるが……それよりも、なぜ今瓶を放った?」
スライムに紫色の薬剤が浸透していくのを見つめるサマエラに、ロスシーが問いかけた。
「薬品の効果が切れたと判断したんだが……え? まだ切れていなかったのか?」
「いや、そういう問題ではなくてだな……」
えっと驚くサマエラに肩を竦めるロスシー。
「どうやら切れてるみたいだよ? ほら、スライムが苦しがっているように見える」
と、クラルスがスライムを指さした。
スライムは紫の薬品に溶かされ、一回りサイズダウンしているように見える。
「あぁ、ゼリーが……」
「だから食べられないっての」
しょんもりと指を咥えるアンジェラに、レギンは再びツッコミながらもじっとスライムを見つめた。
「このまま消えてなくなりそうだな。紫色が正解……なぁ、ちょっと暑くないか?」
確かにレギンの言う通り、先ほどまで寒い程だった地下水路の気温が見る間に上昇してきている。
「うん。確かに少し……いや、かなり暑いね」
クラルスが額に浮き出た汗をぬぐった。
なおも周囲の気温は上昇していき――。
「いやいや、暑すぎるだろう……!?」
遂に我慢しきれなくなって、レギンがマントを脱ぎ捨てた。
それに続くように、他の皆も1枚2枚と重ね着していた衣を脱いでいく。
「これが紫色の薬品の効果という訳か……!」
投げた本人もびっくりの効果に、サマエラは拳を戦慄かせた。
「ロスシーハ、アツクナイデゴザイマスカ?」
と、すでに半袖短パンとなったガガがロスシーに問いかける。
皆が次々と軽装になっていく中、一人ロスシーだけが、元のままの恰好でいた。
「ふむ。確かに暑い。だが暑いからといってそう易々と衣を脱ぐほど、私は美に妥協をしておらん」
ドヤッと直立不動を維持するロスシー。それでもやっぱり暑いのだろう、大量に噴き出た汗でぴったりと張り付く衣が均整の取れた美しい体のラインを強調していた。
「まっ、待ってアンジェラ嬢! ここではまずい!」
そんなロスシー達の横では、クラルスが悪戦苦闘中。
元々少ない面積の服を極限まで脱ごうとするアンジェラを、クラルスは必死で止める。
「そう言われてもな……暑いと死んでしまうんだぞ?」
「いや、それは分ってる。分かってるんだけど、ここにはほら、男もいるんだ!」
クラルスは自分とロスシーをじっと見つめるガガを指さした。
「うん? 別にみられて困る様なものでもないぞ。これ筋肉だし」
と、アンジェラがドンと胸をたたく。
「そうか、筋肉なら――いやいやいや! ダメだって! 俺が扇いでやるから!」
言うと、クラルスは東方伝来の衣を脱ぎ、アンジェラに向かって風を送ってやる。
「へぇ、なかなかいい身体してるな」
「うむ、細身でもなく筋肉質でもなく、なかなか良いものを持っておる」
「いや、私の方がすごいぞ。見るか……?」
「ミルデゴザイマス」
上半身裸でアンジェラに涼を送るクラルスをまじまじと観察する2人と、張り合う1人と漁夫の利を狙う1人。
「まぁ、そこまでしてくれるならいいか」
必死で風を送るクラルスに流石に悪いと思ったのか、アンジェラはそれ以上脱ぐのをやめた。
「ふぅ……そうか、考え直してくれた――うん?」
と、ここでようやく何やら背中に視線を感じるクラルス。
「何が……」
振り向くと、そこには相変わらず暑そうに項垂れる仲間達。
「気のせいか……」
再び背中に感じる視線。
「……敵か!」
そう叫びクラルスが再び振り返った、その時。
――ポシュン。
と、少し間抜けな音を立て、スライムが消滅した。
「あ、暑くなくなった」
胸の薄布をぱたぱたと前後させていたレギンが辺りの変化に気付く。
スライムが消滅したと同時に、急速に周りの気温が下がっていった。
「……ムネン」
「ふむ、これで二つの効果がわかったわけか。どれもなかなか面白い効果が期待できそうだ。どれ、他のも試してみようではないか」
汗を拭き服を整えた一行は、ロスシーに続きさらに奥へと足を踏み入れた。
●
「ココデゴザイマス」
ガガが備え付けの照明具にエーテルを流す。
光に映し出された水路の先には巨大な鉄格子がはめられていた。
「スライムは……ああ、居るな。かなりの数だ」
サマエラが目を凝らすと、鉄格子にまとわりつくように水の流れを阻害する半透明のスライムが無数にいる。
「で、次はどれを入れてみるんだ?」
と、サマエラが皆に振り返った。
「私のものを試そう」
そう答えたロスシーの手には赤と緑の二色の瓶が握られている。
「まずは赤からだ」
そして、ロスシーは皆が見つめる中、水路にドロリとした赤い薬品を流し込んだ。
―――30分後。
「何もかわらないが?」
30本目の携帯用干し肉を齧りながらアンジェラが水面を見つめた。
「うむ、変化が無いな。これは失敗作という訳か」
投入したロスシーは、再び効果をメモに残していく。
「じゃ、次は私のこれを試してみようか」
と、次に瓶を出したのはクラルスだった。
「いや、待て。また私の緑が残っておる」
「ふむ、でもこういうのは順番に入れるのがいいんじゃないかな?」
「順番というならば、やはり私が先に申し出たゆえ。この緑を先に――」
「赤と緑だとほら、色合いがよくない。ここは反対色である藍辺り、いや、この黄色が――」
もう持っている事が面倒になったのか、それともどんな効果が発揮されるのか楽しみになったのか、クラルスとロスシーは自分の持つ瓶を投入すると押し合い圧し合い。
そんな二人を他の4人はぼーっと見守っていたのだが……。
「んーーー(シュパ」
「うぬ?」
「よっと(パシッ)」
「あっ」
「だーーー!!!」
――どぼどぼどぼ。
しびれを切らせたアンジェラによって奪い去られ、全投入を許す。
「「「あっっ!!??」」」
と、他の皆が声を上げた時にはすでに遅く、複雑に混じり合った薬品は水の流れに乗りスライムの待つ鉄格子へ――。
「……まぁ、所詮素人に薬品の投入タイミングなんてわからないんだ。良しとしよう」
「……うむ。覆水は盆に返らぬように、混ざってしまったものもまた元には戻らぬ。果報を待とうではないか」
薬品を奪われた二人もあっさり開き直り、薬品の流れを見つめた。
「ふむ、もしや今が好機……」
と、最後の一本を持つサマエラが、この状況を戦術的に分析する。
流れゆく3色。手には最後の1色。戦力集中か後詰を残すのか。
ここが戦場ならば、私はどう判断を下す……? 敵は圧倒的多数。こちらは寡兵――。
「ここしかない!」
カッと目を見開いたサマエラは最後の瓶の蓋に手を掛け――。
「いやいや、ちょっと待ってって!!」
レギンに止められた。
一方、アンジェラによって投入された薬品3色は水路を流れていく。
「もうどうとでもなれ! 来るなら来い!」
レギンが斧を手に身構え。
「装甲の薄い人は私の後ろへ!」
クラルスが仲間を庇い。
「さてどう出る」
ロスシーがワクワクと弓を構え。
「ギギ……ウエカラモ、ワルクナイデゴザイマス」
ガガが【壁歩き】で天井に張り付く。
「機を逸してしまったか……! いや、今ならまだ……」
サマエラがチラッチラッと腰に下げた薬品を気にしつつ。
「んー、あの店はリピート決定だな」
アンジェラは31本目に手を伸ばした。
そして、ついに薬品がスライムに――接触した。
ごくりと喉を鳴らす一行が見つめる中――な、なんと、スライムたちが……!?
「見て! スライムたちが、どんどん合体していく!」
レギンがスライムを指さす。その言葉通り、バラバラだったスライム達が徐々に重なり、融合し、合体していく。そして、ついに――。
「あ、あれはまさか……我が氏族の伝説にある!」
「ロスシー嬢、知っているのか!?」
「うむ、あれの名は、キン●ス――おっと、これ以上は郷の者以外に話す事ができぬゆえ、許せ」
「お、おう……?」
危うい危ういと口を閉ざすロスシーにクラルスが首を傾げる中、全てのスライムが合体し巨大な一つの固体となった。
玉虫色に光り輝く巨大なスライムは、のそりのそりと水路を遡り、冒険者達の元へと迫りくる。
「来るぞ! 皆、心してかかれ!!」
誰の号令だったのか、勇ましく武器を手に取った冒険者達は、水路を覆いつくさんばかりに巨大なスライムに向け、その刃を――。
(割愛)
「これで終わりだぁぁ!!!」
レギンの【衝撃波】が巨大なスライムを両断した。
「倒したのか」
飛び散ったスライムの破片でぬるぬるになりながら、アンジェラが呟く。
「ああ、倒したよ。まさに死闘だったな」
全身をヌメヌメなクラルスが、杖で床に叩いた。
「よしっ! ――あっ」
最後の一撃を放ったレギンは着地に失敗。でろでろの地面をつるりと滑った。
「う、うあぁっ!! ガガ、退いて!!」
何とか転倒は免れたものの、レギンは滑った勢いのまま床を滑走し――
ドンッ!!
『たまたま』そこに居たガガとぶつかった。
「いてて……。お、おいガガ、大丈夫か……?」
眩暈に頭を振ったレギンは、ぶつかったガガを探す。
「ギギ……」
と、声は下から。
レギンの胸部に顔を押し潰されたガガは、満足げに親指を上げていた。
「ふむ……これは」
と、でろでろのサマエラは自らの手にある物を見つめていた。
「最後のひと瓶か」
つるつるなロスシーがそれを覗き込む。サマエラの手にあるのは、橙色をした最後の一本だった。
「スライムは駆除してしまったしな……どうしたものか」
「対象が居ないのであれば効果の検証もできぬ。最早無用であろう」
「ふむ、そうだな……とりあえず捨てていくか――」
そう言って、サマエラはぽいッと水路へ薬品を投げ込んだ。
「よし、全て滞りなく終えた、帰ろう」
サマエラの言葉にうなずいた冒険者達は、ぬるぬるでろでろになりながらも意気揚々と凱旋したのだった――。
――――――ズ……。
Fin
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2020年11月06日 16時14分04秒 公開
相談掲示板
アンジェラト、レギンハ撤退戦デ、世話ニナッタデゴザイマスネ 斥候ノ、ギギデゴザイマス ヨロシクデゴザイマス フム、6人依頼デ7種類デゴザイマスカ…… ガックハ、同行スルノデゴザイマスカネ? シナイノナラバ……一人ガ2種類ヲ所持デゴザイマスカ? 運ンデル時ニ、混ザッタリ 同時ニ間違エテ投ゲルトカ、気ヲツケナイトデゴザイマスネ(建前)
レギン・アンドヴァリだ。 よろしく頼む。 混ぜるな危険って言われてもなぁ。 実際にどうなるかなんてわからないし、少しくらい混ざっても大丈夫だろ(大雑把)
No.3
クラルスだ、宜しく。 気を付けても混ざるときは混ざるよね。 2つ目使うタイミングの見極めとか素人には難しそうだし、なぁ?
ゴブリン、サマエラだ。よろしく頼む。 そうだな……薬品の効果の終わり目となると、確かに見極めるのも難しいものだ。 とはいえ、水路が詰まっているのに、あまり悠長に構えるのもあれか。 ほどほどに良さげなタイミングを何となく計れば、まぁ何とかなるだろう、恐らくきっと。
エルフのロスシーとは私だ! 依頼を受けるのは初めて。 だからそなたも、そなたも、そなたも、皆初めましてというわけだ。 よろしく頼むぞ皆の者。 ふむ、私は特に薬品に詳しいわけではないし、時間もない。 であれば、使ってみて試すしかあるまい? 折角だから全部試してやるのが作った者にとって嬉しいのではと私は思う。 ゆえに皆どれを使いたい? 私はどれもこれも、綺麗で迷ってしまってなあ。新緑のような緑と、この身に流れる血のような赤を使ってみたい。 あくまで希望だ。被ろうがなんだろうが大丈夫であろうよ。
ファイターのアンジェラだ。 ギとレギンは撤退戦以来、だな。うむ。 私は学がないから薬の事は良く分からない。 混ぜよう。
よし、では私は適当な時に、紫の薬品を入れてみるか。 非常にあれな香りだが、たぶんこういうのは良く効く証拠だろう。きっと。 何となく爽やかな香りの橙も、ついでに入れよう。香りのバランスが取れるやもしれない。
No.8
ふむ、俺は適当に藍色から使ってみるか。 2つ目には黄色でも使ってみるかね。 使う順番とかによっても変わるのかはわからんが、まぁ混ざっちまったらその時だしあんま関係ねえか。
ソレナラ、オイラハ青色ヲ使ウデゴザイマス