ダイヤモンド泥棒を懲らしめろ

夜帷かもめ

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シナリオID:119

オープニング

●
 快音がダイヤモンドに響いた。

 バッターが弾き返した白球が、放物線を描いて外野へと飛んでいく。その後を、よく磨かれた木の棒(バット)が追った。

『ごっす!!!』

 鈍い音を立てて、バットがピッチャーへとぶつかる。当たり所が悪かったのか、苦悶の表情で額を抑えるピッチャー。指の間からは鮮血がしたたり落ちた。

「すまんな、スッポ抜けたわ」

 バッターはその様子を見て、ニヤけた笑いと共に形ばかりの謝罪を述べる。
 どう考えてもわざとだろうが……証拠はない。悠々と一塁へバッターは到着すると、これ見よがしに手袋を外し、汗を拭いて滑り止めの石灰粉を付け直した。

●
「あいつらをぶっ倒してくれ!」

 そんな依頼が冒険者ギルドに貼り出されたのはある日のこと。共有の広場を占拠したバルバロイを討伐してもらいたい、但し――戦闘ではなく、ルールに則ったスポーツで。

「ボンクラな村長が広場の使用許可をバルバロイに出しちまったんだ」

 それも、向こう100年間。

 使用許可書の日付を誤魔化したあたり、バルバロイらしいといえなくもない。そもそも、使用許可を律儀に申請する辺り、アレをバルバロイと呼んでいいものかは甚だ疑問ではあるが――いずれにしても、迷惑者であることに変わりはなかった。
 それに、既に村長が許可のサインをしてしまっている。これを追い出すのは契約違反だと言われれば、弁の立たない村人たちは引き下がるしかなかった。

「だが、スポーツの勝負で負けたなら奴らは引き下がってもいいと言っているんだ」

 広場を占拠したバルバロイは、日がな一日何やら木の棒や動物の皮を縫って作った球を使って、球を投げたり打ったり、走ったり……何やら練習に勤しんでいる。そのスポーツでの勝負でなら、受けて立つと。そう言う事であった。

 そんな甘い言葉に釣られて村人が勝負を挑むこと数度。

 やはりバルバロイはバルバロイ。信じた村人が嘲笑われる結果となってしまった。ルールはあるとは言え、全てが事前に定められている訳ではない。プレイ中の危険なプレイによる怪我や、反則の定めもそうだ。バルバロイはルールに穴を残しており、敢えてその部分を利用して卑劣な手段で村人に怪我をさせてきた。
 試合の続行に必要な人数が足りなくなったところで畳みかけるように勝負を決め、打ち倒す。そうしてバルバロイは村人を退けてきた。その度に、「迷惑料を払ってもらおうか!」と追い打ちを掛けることも忘れない。

 このまま広場が使えなければ、収穫した麦や穀物の脱穀も、家畜の世話も捗らない。冬を迎えるにあたって、広場を占拠したバルバロイの排除は避けられない課題だった。

 かくて、授恵者らに白羽の矢が立つこととなる。

解説

●目的  スポーツ勝負でバルバロイを打ちのめせ (単純な結果で勝負するとは言っていない) ●ルール  名目上はルールに則った正々堂々勝負です  9人登録制  アイテムやスキルの持ち込み・使用は自由  但し、露骨な戦闘行為は退場となります。クロスプレーなどは「不幸な事故」として処理されます ●データの解釈について  攻撃力→打撃性能  防御力→守備力  射程→視野の広さ  命中→コントロール・送球  回避→フィールディング・選球眼  INI→走力  生命→スタミナ  付与→対戦相手の調子を下げる  抵抗→自身の調子を保つ  隠蔽→ダーティプレイの上手さ(低い方が良い)   ●調子の解釈について  当事者間で付与判定を行います  基本は絶好調(能力値等倍)からスタート  付与判定の成功度(目標基準値と達成値の数値の差)が5増えるごとに、調子が下がっていきます  調子が一段階下がるごとに、受動側の能力値が0.9倍、0.8倍……と減少します ●チーム編成について  互いに9人ずつしか登録は認められていません  何らかの不幸な事情でフィールドプレイヤーが不足した場合には、外野手から順にポジションを減らして担当することとします ●バルバロイチームについて  隙あらばダーティプレイを仕掛けてくる  不幸な事故は蜜の味  全体的に攻撃力と生命力が高め  ピッチャーと一塁手は特に付与、隠蔽に長けます

マスターより

こんにちは、かもめです。 バルバロイ退治の依頼を一つお送りします。 バルバロイがやっているスポーツ――つまりは、野球です。 ですが、9人1チームであること。ピッチャーが投げたボールをバッターが打つこと。 得点の入り方……それぐらいしかルールが定められていません。 何故か、『乱闘の禁止』だけは明確に定まっています。 見守る村人たちも鬱憤が溜まっているので、時折「やっちまえ!」だのとヤジが飛ぶ環境での試合です。 そう、ここは甲〇園――伝統の一戦が、いま始まる(はじまらない) 初期ポジションの記載をお忘れなく。

リプレイ

●「プレイボーイ!」
 ロイ・ロビンソンが叫んだ。

 今日は晴天。秋空にトンボが飛んでいる。絶好の運動日和だ。なんかちょっと普段と違う掛け声な気もするが、距離が離れていたから聞き間違えたのかもしれない。どっちにしても全員シバき倒すんだから細けぇことはいいんだよ! その辺の雑さはバルバロイ(荒くれもの)らしいが、授恵者らと相対して整列する姿は一糸乱れぬ統率を感じさせた。何にしても――試合が始まる。

 正式に村人からの依頼を受領した授恵者らは、バルバロイに試合の打診を行った。
「9人揃う日がねぇからよぉ」と渋るバルバロイと日程調整を重ね、対戦にこぎ着けたのが今日この日である。授恵者らが正々堂々の勝負でバルバロイを打倒すという触れ込みもあって、村人らもこぞって観戦に駆け付けた。
「うぉー、やっちまえ!」
「これまで奴らに迷惑かけられた分、賭けで取り戻すんだ。負けるんじゃねぇぞ!」
 既に広場の外縁部では、酒を飲んでいると思しき村人らが叫んでいる。

「いやー……この感じ。飛び交う野次とかちょっと懐かしいな!」
 感慨に浸っているのは、ヨル・スレイマンである。剣闘士上がりの経歴を持つ彼としては、闘技場(コロッセウム)を思い出すのだろう。手に握るのは剣ではなく、罵倒棒(バット)だが。元来は折檻の為に用いられていたものを、競技用に握りやすく削り出し、角を取って球が打ちやすいように磨かれた木の棒ということでバットというらしい。

「やきうの時間なのじゃー!」
 テンションがやたらと上がっているのは河霧の貴婦人(ローレライ)である。野(や)蛮なバルバロイの球(きう)技、ということでやきう。いきなり野蛮扱いされたことに憤慨し、バルバロイもヒートアップした。
「おうおうおう、ご挨拶じゃねぇか!」
「手前ェ、どこのモンだよ?」
 一触即発の空気の中、名乗りを挙げろと一人のバルバロイが授恵者らに問う。

「どこ……とは?」
 ヤキウの存在自体も知りませんでしたし、初体験なのです。きょと、と首を傾げてカトリーヌ・レーンが問い返した。オカネカセギゴールド(登録名:ゴールド)は単に、オカネカセギが出来ると聞いてやってきただけなのだ。やきうの事なぞ知らぬ。そんなゴールドの様子を見て、バルバロイは指を指して笑った。

「ヒーッヒッヒ! こいつら、名乗り(チーム名)も無いぐらいのアマちゃん(アマチュア)だぜ!」
「こいつはお笑いだ。そんなので俺たち(青空バンディッツ)に挑もうとはな!」
 どうやらこのバルバロイらは青空バンディッツというらしい。名乗りが無い相手は困る(スコアボードが書けない)ということで、取り敢えず授恵者らはレシーバーズと名乗ることになった。

「イライデスノデ、カタセテモラウデゴザイマス」
 バルバロイからの嘲笑を受けて尚、ギ・ガガはあくまで冷静であった。これもバルバロイの戦術かもしれない。相手の挑発には極力乗らず、正面から文句のつけようがない勝ちを収めてバルバロイを屈伏させたいと彼は願っていた。自然体で実力を発揮すれば依頼も達成できるはずだ……きっと。

「ハッ、いい度胸だ。まあよ。ここは俺らのホーム(本拠地)だからよ」
 先攻はくれてやるよとバルバロイが言う。舐めたこと抜かしてんじゃねぇよ(ここはお前らのホームじゃない!)とバルバロイ以外の皆が思っていたが、今日はあくまで正々堂々である。殴り付けたい気持ちはステイホーム。

「それなら、さっそくうちの出番だよね!」
 準備運動を終えたフリューリングスルフト=ティエラ(以下、フリューと表記します)が一歩前に出た。白いマントが風にはためく。ボールを受ける役目であるバルバロイの顔に、マントがばさりと当たった。
「手前ェら! 服装がなっちゃいねぇ(ユニフォームが無い)のは百歩譲って許してやるが、そのヒラヒラは外しやがれ!」
 それもそうかとフリューは大人しく引き下がる。だが、内心ではペロリと舌を出していた。
(しめしめ。本命はダガーだもんね。保険、保険っと――)
 この女、相当の狸である。

「前のね、きみ達がやられた時の様子をもうちょっと詳しく教えて欲しいんだよねえ」
 特等席(バックネット裏)に陣取った村人たちに話を聞いているのはトマス・グレイ・ディズールーだ。情報は集めておくに越したことはない。ついでに、道具とか――残ってないかな? 首尾よくボールを借り受けたトマスは、これを使うようにとバルバロイへ提案する。何やら舌打ちして苦々し気な顔をするバルバロイであったが、致し方ない(無理に否定すればボロを出すようなものだ)。試合の前から勝負は始まっている――そのことを予見したトマスの秘かなファインプレーであった。

「村人たちにとっては災難なことだったな」
「バルバロイとはいえ授恵者だろう? 致し方なかろうよ」
 レイ=レーベンス=レックフォードとガルレイド・S・グリディッカーは、守備に着く前の準備としてサインを決めていた。今日の二人は恋女房。男同士だが、そう言うのが決まりらしい。
 己が身体を以て魔法を体現するエルフであるガルレイドが投ずる球は、自然とエーテルの加護を受ける(なんかすごい魔球になる)のだ。如何にレイが誇り高き家名を背負った戦士であっても、事前の準備が無ければこの魔球はちょっと危険な気配がある。試しに受けてみたところ、ほんのり命の危険を感じたレイであるから、自分の身を護るためにもここは全力……手を抜けなかった。ガルレイドは似たような球技を経験しているらしい。長く生きるエルフであるから、そう言う事もあるのだろう。

R│
─┼─────────
B│

●
 試合は一回の表から動いた。

「足の速さには自信があるんやー!」
 自信満々に出ていったフリューは、さすがに言うだけの仕事をして見せた。ヒッティングと見せかけてコツンと足下に落とす高度な打法(バント)で油断していたバルバロイの出鼻を挫く。バルバロイが慌てて球を拾う頃には、フリューは既に一塁を駆け抜けていた。
「――ちょこまかと動きやがって」
 塁に出た彼女は更に生き生きとバルバロイをかき乱す。次の塁を盗まんとばかりにリードを繰り返す姿はシーフの本領発揮と言ったところか。

 痺れを切らしたバルバロイが、ゴールド(カトリーヌ)に甘い球を投げたところを快音一打。痛烈なピッチャー返しがバルバロイへ襲い掛かる。
『ゴッッッ!』
 ライナー性の当たりは投げ終わったモーションのままの投手へと命中。それも、とても痛いところ(ゴールデンボール)に、だ。脂汗を流して倒れる投手に代わって捕手が球を拾う間に、悠々とゴールドとフリューは二・三塁を陥れる。快足好打の一番二番の働きで、早くもレシーバーズに得点のチャンス。

 迎えるバッターは、ヨル――と、その前にピッチャーにドクターストップが掛かった。

「怪我しちゃった? それは良くない」
 ヨルにローレライ、トマスも加わって充実の治療班が、股間を抑えてうずくまるバルバロイを介抱する。正々堂々のスポーツマンシップに則った美しい光景に、観客も立ち上がってエールを送った。
「俺に触るんじゃねぇ!」
 暴れるバルバロイはヨルが抑えつけて治療完了!
「無理は禁物なのじゃ!」とローレライが視線を合わせて問いかけると、バルバロイは顔を紅潮させて目を泳がす。この感情は――?

 気を取り直してヨルが打席に立つ。
(今から本気を出す必要も無いかな)
 何せノーアウト二・三塁である。後半戦に備えて、彼は球筋を見極めることに専念した。順当に球数を投げさせつつも、ワンナウト。いくつかモーションやサインらしき気配が感じられた。もう少し観察すれば、バルバロイの戦術も丸裸に出来そうだ。

(――おい)
 次の打者はレイ。彼が打席に立つ少し前に、バルバロイのバッテリー(悪党ども)がこっそりとサインを交換していたのをロイは見逃さなかった。恐らく、何か……来る。注意を促すロイに、レイは笑った。
「問題ない。手加減無用、全力でお相手しよう」
 彼自身も騎士として、バルバロイが悪辣な手段に出てくる可能性を予見していた。それは――恐らく勝負所であろう、とも。だが、恐れることは無い。自分に向けられた攻撃(ビーンボール)こそ、最も対処に慣れているのだから。
『グワァラゴワガキィーン!』
「なんだとぉ!?」
 気合一閃。レイのバットが唸りを上げた。予想通りレイの顔面を狙ったボールは、大上段から唐竹割りに振り下ろしたバットにはじき返される。白球はそのまま観客席の彼方へ飛んでいった。
「葬らん(見切ったぞ)」
 経験の差でバルバロイの狙いを読み切ったレイの一打で、初回からレシーバーズは3点を得る猛攻。

R│3
―┼―――――――――
B│

●
「小細工はせん」
 言葉の通り、マウンドに上がったガルレイドは初回から威圧感たっぷりの投球術を見せた。
「あたんねえよ!」
「この野郎……」
「球が――分身したぁ!?」
 ドスン、と重い音を立ててボールがレイの構えたミットの中へと納まる。変化球や魔球を駆使するガルレイドの投げる球を、バルバロイは打ち返すことすら容易ではない。想像以上のレシーバーズの技術に、バンディッツは早くもスポーツマンシップの皮を脱ぎ捨てる。

「喰らいやがれぇっ!」
 渾身の一球がピッチャーの右腕から放たれた。バッターボックスに立つ、ガガの頭部に向かって一直線に。
「オミトオシナノデス」
 いくら変化するとは言え、バッターに向かってくるボールは線では無く、点の動きだ。ガガにしてみれば見切るのは容易い。デッドボール狙いの球は全て避けられてしまう。かと言って、打ち頃のコースはと言えば――
『コスッ』
「ファール!」
 徹底した粘り打ち、球数稼ぎである。既にこの打席、ガガに対して投じた球数は20を超えている。
(頃合イデゴザイマスカ)
 フルカウント。キャッチャーがマウンドのピッチャーへと駆け寄って何やら相談する。戻って来たバルバロイの眼が、含みを持っているのを彼は見逃さなかった。
 バットを握り、極限までボールを引付けて、打つ。その瞬間――彼は一歩だけ後ろへ退がった。鈍い音が、する。ガガのバットがキャッチャーの後頭部を強かに打ち据えたのだ。
 キャッチャーが昏倒したのを見て、バルバロイが殺到する。だが、証拠はない。誰も決定的な場面を確認出来ていないのだ。生命力を大きく削られたバルバロイは、これ以上は持たない。止む無くバンディッツは守備交代。レフトとキャッチャーが入れ替わった。

 正捕手を失ったバンディッツは最早、授恵者ら(レシーバーズ)の敵ではない。
「わらわ、調子が出てきたのじゃ!」
 ガガに引き続きローレライも徹底したファール打ち。前に転がす気が無く、バットコントロールに長けているだけに余計に性質が悪い。
「やる気あんのか!」
「やる気はあるけど、やきうは難しいのじゃ!」
 にゅふふと笑うローレライ。控え捕手が後逸してローレライが塁に出る頃には、ピッチャーのスタミナは尽き果てていた。控えピッチャーに交代して試合続行。

(あのモーションは……速球だったかな)
 バッターボックスからヨルはピッチャーの様子を観察する。十分にデータは集まった。ピッチャーが何を投げるか、キャッチャーはどんな配球を好むかは把握済みである。球威に劣る控えピッチャーを打ち崩すのはそう難しくない。コンパクトに、だが確実に振りぬく。ヨルの打った打球が二遊間を鋭く切り裂いた。

●
「よっしゃ、打たせてこいやー!」
 ロイが檄を入れる。ある意味で最もまっとうに球技を楽しんでいるのは彼である。持ち前の長打力に併せて、高いレベルで守備もこなす。フィールディングに少し難があったが、そこは優れた視野の広さでカバーしていた。ガルレイドが投げ込む剛速球にバルバロイはどうしても詰まらされてしまう。ロイが守るレフトへの打球は必然的に多くなった。

「舐めんじゃ――ねぇっ!」
 バルバロイも意地を見せる。振りぬいたバットが……伸びた(エーテルブレード強化された)。外角低めに外したはずのボールが、きれいにライトへと引っ張られる。長打コースだ! ダイレクトキャッチこそ届かないものの、ゴールドのカバーは非常に速い。バッターは一塁を回って二塁へ。そのまま三塁を狙うかというところで、白い光条(レーザービーム)が右翼深くから二塁へと放たれた。
「行かせませんっ」
 ゴールドが投じたストライク返球はバルバロイとトマスが交錯するその場所へピンポイントで突き刺さる。
『セーフ! セーフ、セーフッ!』
 刹那の差であった。頭部にボールを受けながらも、バルバロイは二塁へと到達する。ボールが触れるよりも一瞬だけ、その足先がベースに届くのが早かった。

R│3102
―┼―――――――――
B│020

「もう容赦しねえ」
 4点を追うバンディッツは全精力を出し惜しみなくこの回にぶつけてきた。
「本気で――ぶつかって来るんだな」
 迎えうつガルレイドも渾身の一球。エーテルを炎と燃やしてど真ん中へ勝負球(魔球:爆炎)を投げる。サインが無ければレイも受けきれぬと判断した危険な一球だ。
「速いっ!? だが――」
 塁にランナーを置いて、ここで打たなきゃ蛮族じゃない。その意地が、時を止めた(一日一回の時間停止スキルだ)!
 打球はキレイに放物線を描いてセンターへ、ヒットを確信したランナーもタッチアップせずに三塁へ向かおうとして……スッ転んだ。
「あぁ……ごめんねぇ。人間には尻尾がないから、気が付かず踏むのも仕方がないさ」
 セカンドのカバーに向かうトマスの長く伸びたその尾に引っ掛かって足を捻ったらしい。痛みからランナーは素早く動けない。一方、打球はと言えば――。
 
「トドクノデゴザイマス」
 ガガが空を駆けた。あわや葬らん(ホームラン)かと思われた打球はガガの手の中。
「ランナー飛び出してるぜ!」
 ロイが中継に入ってトマスの手元でタッチアウト。貴重なランナーを還すことが出来ず、スキルも使い切った。バンディッツは体力的にも限界だ。
「楽しいね! 体を動かすのは気持ちいいな」
「正々堂々の勝負……スポーツは健全な肉体と精神を養うのじゃ」
 一方の授恵者たちにはまだまだ余裕がある。

「――まいった、降参だ!」
「もう身体動かねえよ」
 限界を悟ったバルバロイは勝負の続行を諦めた。

R│3102―――――
―┼―――――――――
B│0200―――――

 6対2。レシーバーズの見事な勝利である。

「良い試合だった。またやろう」
 やり遂げた男(レックフォードの名を背負う者)が笑みと共にバルバロイに握手を求める。勝負がついてしまえば遺恨は無しだ。
「このスポーツ、好き? ルールとかも貴方達が考えたって聞いたけど」
 フリューが問いかけた。結局、短剣を使う機会は無かった。戦闘行為は起こらなかったのだ。確かに迷惑なバルバロイではあったが、自分たちの決めたスポーツのルールには忠実だった。それであれば和解の道もあるのかと思われた。

 ――の、だが。

「好きだが、お前らとはもうやらねえよ!」
「クソッタレだ! 帰って飲み直すぞ」
 バルバロイ達はさんざっぱらに悪態を吐きながら広場を後にする。事態に気が付いた村人らが観客席から降りてくる頃には、きれいにその姿を消していた。

「あはは、この調子だと和解って訳にはいかないかもねぇ」
 使い終わったグラウンド(村の広場)を平らに均しながらトマスが苦笑する。やはり、バルバロイとは分かり合えないのかも、知れない。

――了――

マスターコメント

お疲れさまでした! 勝負としては授恵者らの完勝です。 大成功としています。 文字数が二倍ぐらいあったら全プレ拾って細かく書けたんですけどね……シナリオの都合上9人から削るわけにもいかず、こんなリプレイとなりました。 楽しんで読んでいただければ幸いです。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準9 / 9〜9人

2020年11月08日 13時33分56秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. 河霧の貴婦人

    やきうのじかんなのじゃーーー! 1番キャスターの貴婦人なのじゃ、皆よろしくの。 ところで野球ってなんなのじゃ? クリケットみたいなものなのじゃ? 皆はどんな試合したいのじゃ? 正々堂々と試合開始かの? それとも最後まで立っていた方が勝者かの?

  2. ギ・ガガ

    ガガデゴザイマス 先ジテ、攻撃力、防御力ハ、物理魔法ノ表記ガナイデゴザイマスガ 高イホウ、マタハ、合計デ考エルノカナト、思ッテイルデゴザイマス ジャナイト、職デ詰ムデゴザイマス…… >貴婦人 ダイタイソンナモンダト、思ウデゴザイマス >試合展開 ドッチヲ考エテモ、ソモソモ『乱闘ノ禁止』デゴザイマスカラ アクマデベースハ、普通ニ勝負デ考エテ良イト思ウデゴザイマス ソノ上デ、「バットヲ振ルトキ、キャッチャーノ頭ヲ狙ウ」ミタイナ、意地悪ヲ混ゼル行動ニスレバイイト、思ッタデゴザイマス ●打順とポジション 大前提ノ試合形式ヲ作ル為ニモ、マズ決メテ置クベキダト、思ッタデゴザイマス ステータスノ反映カラミレバ キャッチャー、ヒーラー(防御力と付与のささやき戦術を考慮)ウォーリアー ショートセカンド、ウォーリアー(弓所持)ヒーラーキャスター 外野手、シューターキャスターヒーラー、他(弓所持) ファースト、シーフ(隠蔽低) サード、余リ ピッチャー、高HP、命中?(相手ニ当テテモ問題ナイ為不明) デゴザイマスカ? オイラハ、センターカ、ピッチャー希望シテオクデゴザイマス 打順ハドコデモイイ、デゴザイマスガ、カットトバントヲ、スルツモリデゴザイマス

  3. レイ=レーベンス=レックフォード

    レイ=レーベンス=レックフォードだ。 よろしく頼む。 私としては形はどうあれスポーツの類だし正々堂々とやりたい。 正攻法で負かしたほうが納得もしやすいだろう。 そのためには勝つしかないわけだけれどね。 とりあえず守備は捕手を、打順は4番を希望しておこうかな。

  4. トマス・グレイ・ディズールー

    野球の全くわからないリザードマン、トマスだよ。いつもならヒーラーと自己紹介するのだけど……今回はなんと名乗れば良いのやら。 試合形式に関してもあまり良くわかんないね!ただ、9人生きて帰りたいなぁとは。 ガガ君はポジションの概要ありがとうね。本当に助かるよー。 それに則るならば僕はええと……割とどこでもいけそうだねぇ。一応の構成的には抵抗や回避、支援に寄っている感じだと思うよ。

  5. ガルレイド・S・グリディッカー

    ガルレイド・グリディッカー、野球はまぁ…分かるかね。一つよろしく頼む。 希望は一応投手だ。魔球の類いも何個か投げれる気はする。他に希望者がいれば構わんがな。

  6. フリューリングスルフト=ティエラ

    フリューリングスルフト=ティエラ、長いからティエラとかで良いよ。 クラスはシーフ。よろしくね! やきゅー、うちもやったことないのと噂位しか聞いたことがないから詳しくないんやけど。 ボールを棒で打ち返して走ればいいのかな。 正々堂々と出来たら良いなと思うけど。 個人的にはやられたらやり返しても良いかなって思うところはあるな。もちろん全体方針として正々堂々打ち負かすならそれも良いと思うし、その方針に従うよ。 ガガさんはまとめありがとう。 んー、そうしたら希望は ・打順は1番:足で稼ぐならこの打順って噂か何かで聞いた気がする。違ってたら言ってね! ・ポジション:ファースト。これはまとめてくれた推奨から選んでみた。

  7. ロイ・ロビンソン

    ロイ・ロビンソンと申すものだ! よろしく頼む! ベースボール!!燃えるぜ…!!! 希望の打順は3、4、5のクリーンナップのどれかが良いな! 希望ポジションだが己の鈍足を考慮してファースト、サード、レフトを希望だ!

  8. ヨル・スレイマン

    ヨル・スレイマンだ。宜しく頼むよ。 スポーツ⋯⋯みたいなのは初めてかも。チーム戦なんだね。楽しそうだ(そわそわ)。 打順は1番以外ならどこでも良いかなー。 あまり足が速い方ではないので、ロイ君と同じく3、4、5のどれかが良いかなと思う。 希望ポジションも同じくサード、レフトあたり。 もしくは、誰もいないならキャッチャーでもいい。 >ダーティプレイ 俺はどうもあんまり得意じゃないみたい。 どっちかというとスキルで皆の調子を戻すことに注力することになりそうだ。 とはいえ光縛封とか、物理的に妨害できるスキルはいくつかある。使えるかはちょっと考えてみるね。

  9. トマス・グレイ・ディズールー

    ステータスで色々算出するのだったら、特に打つ前とかにバフをかけるのとかは効果がある?のかなぁ。 分からないけれど、輝刃や輝足などを試しに持ってってみようと思うよー。 ショートセカンド、って所は今のところ立候補いないのなら僕はそこをやろうかな。 打順はラッキー7!……あるよね?なかったら考え直します。

  10. カトリーヌ・レーン

    さぁ、ヤキウの時間なのですね! よくわかりませんが! とにかく、ボールを投げて、それを打って、それをとったりなんだりして進んでいくゲームなのでしょうか! あ、ガガさんは纏めありがとうございます! それではまだ希望のないサードで! 打順は何でもいいんですが、そもそもよくわかってないですし! でもそうですね、決めないと進まないので! 適当にまだ希望の出ていない2番辺りでお願いします!

  11. ギ・ガガ

    決メナイト話モ進メナイデゴザイマス…… 打席ニ立ツ前ニ、輝刃……ドーピングミタイナ、扱イデゴザイマス? 確カニ、有効ソウデゴザイマス 投ゲテ、打ッテ、取ッテナンダリデ、アッテルト思ウデゴザイマス ーーー 一番 ティエラ ファースト 二番 カトリーヌ サード 三番 ヨル ライト 四番 レイ キャッチャー 五番 ロイ レフト 六番 ガガ センター 七番 トマス ショートorセカンド 八番 貴婦人 ショートorセカンド (貴婦人に関しては名乗りを上げた人から埋めたら空いた場所がここだったため) 九番 ガルレイド ピッチャー ーーー トリアエズ、マトメタデゴザイマス 変更等アレバ、相談シテイクデゴザイマス オイラガ的ニハ、ヨルガサード希望シテイルデゴザイマスシ カトリーヌト、守備位置ハ入レ替エモアリカト思ッタデゴザイマス 光縛封デ、走塁妨害トイウ手段モ、デキソウデゴザイマスシ……

  12. 河霧の貴婦人

    にゃああ!野球なんて名前は書いてなかったのじゃ!ごめんなのじゃ! えーと、えーと、あっ、「野」蛮なバルバロイの「球」技でとりあえず「野球」と呼んだ事にするのじゃ! >方針 なるほどなるほど。 今のところの希望を集めると「最初は正々堂々と当たってあとは流れでお願いします」という感じじゃの。 わかったのじゃ、おぬしらが酷い目に合うか手を出すまではわらわも我慢して正義の魔女としてふるまうのじゃ。 >ポジション 見たところロビンソン殿とグリディッカー殿は火力型キャスターのようじゃの。 ではわらわは…付与型キャスターを目指す事にするのじゃ。 付与型が役に立つのは他の人のクロスプレイ、それとピッチャーじゃから…えーと…。 ショートで控えピッチャーを希望しておくのじゃ。第二希望はセカンドかの。 隠蔽値を低く抑えてクロスプレイ発生直前にデバフをかけてあげるのじゃ。 ついでに相手チームが怪我をしたら医学の目で試合を止めてスレイマン殿を呼ぶのじゃ。 目に見える怪我がなくとも、脳震盪が起きてたりしたら大変じゃからの。 暴れないようにしてこちらのベンチで診てあげないとなのじゃ。 バッターとしても高付与+粘り打ちで10球20球と投げさせれば完璧じゃの(うんうん

  13. レイ=レーベンス=レックフォード

    <「野」蛮なバルバロイの「球」技 おお、なかなか上手い名づけだね。 纏めをありがとう。 内容からするとヨルさんは希望が無ければという話しだったしキャッチャーは私、 ピッチャーはガルレイドさんで決まりかな? まあまだ変更もあるかもだけれど、 サインとか決めておくかい?どちらが出すかなども。 内か外か外すかくらいになりそうだけど。

  14. トマス・グレイ・ディズールー

    なるほどそれは野球という名前になるなぁ……。 ってごめんなさい、ショートとセカンドは別なのだね!貴婦人君がショートを希望されているから、僕はセカンドにいくよ。 ドーピング……いい方はアレだが、まあそう言うことだね。お互いが慣れてきた後半戦からの投入を考えているけれど、前半に欲しいとかあれば対応するよ。

  15. ガルレイド・S・グリディッカー

    サインか…まぁ、確かに必要だな。特に魔球爆炎ストレートの時は危険だ。事前の通告無しではレックフォードが…な。

  16. フリューリングスルフト=ティエラ

    ガガさん、改めてのまとめをありがとう! 全体の流れは「最初は正々堂々、あとは流れで」ね。りょーかいだよ。 スキルの先手必勝とか疾風足とか使ったら、二塁まで走り抜けられたりするのかな? それはちょっと面白そうだなぁ♪

  17. ヨル・スレイマン

    おっとと、捕手はもう宣言済みだったね。レイ君はすまない。 ガガ君はまとめありがとう。とても助かる。 「最初は正々堂々と当たってあとは流れで」も了解。 最初っから異変を感じさせると良くないのもあるかもしれないよね。うんうん。 >サードとライト あー、光縛封で走塁妨害の時の位置まで考えてなかったな! カトリーヌ君がよかったら守備位置交代してくれたら嬉しいかも。 勿論このままでも大丈夫だよ。 ローレライ君に呼ばれたらベンチに行くといい? 怪我は確かに大変だし、ちょっとでも何かありそうなら動かないでいてくれた方がいいかもかな。 だったら包帯の代わりになるようなもの持って行かなきゃ。

  18. レイ=レーベンス=レックフォード

    >ガルレイドさん うん、それは私が危険だね。 まさか球技で死線をさ迷いかねない所だったとは何が起こるかわからないものだね。相談大事だ。 投げる時は合図をお願いするよ。 >ヨルさん いや気にしないで大丈夫だよ。 魔球もだけれど、相手のラフプレイもある事だし防御重視でいこうと思う。

  19. 河霧の貴婦人

    野球に慌てていたら前回の発言が被ってしまっていたのじゃ。 ガガ殿はまとめ、ディズールー殿は譲ってくれてありがとうなのじゃ。 スレイマン殿もありがとうなのじゃ。 怪我したバルバロイが暴れて傷を悪化させないように、わらわも担架とヒュプノシスと光縛呪を用意しておくので安心じゃな。 白熱試合になるか大暴れになるか、楽しみじゃのう。 8番ショートとドクターストップはわらわにまかせるのじゃ、みんなよろしくの。

  20. トマス・グレイ・ディズールー

    どう転ぶか楽しみだねぇ、野蛮球技。 スキル装備弄っていたら意外と余裕があったので、攻撃と回避バフの他に味方の為のヒールも持ってこうと思うよ。相手方への医療行為(物理)はスレイマン君と貴婦人殿がやってくれる様だしね。 あとはお水と……道具の貸し出しを依頼者側に打診してみる、位かな。

  21. カトリーヌ・レーン

    皆さんお疲れ様です! ヨルさんはポジション変更の件了解です! ライトで二番でプレイング書き直しておきました! それでは宜しくお願い致します!

  22. ギ・ガガ

    ガンバルデゴザイマス…!

  23. ヨル・スレイマン

    カトリーヌ君は土壇場で変更させちゃったならごめんね! ありがとうだ。 俺はサード三番にいくようにします。 野蛮球技、上手く事が運ぶといいね。 当日は皆、宜しく頼むよ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0