リブラネスタへの道程はまだ遠い
真柄 葉
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シナリオID:91
オープニング
低い城壁に常に開かれた城門。郊外には田園風景が広がり、長閑を絵にかいたような街には人々の明るい笑い声が聞こえる、平和で豊かな『エンドランセ子爵家』のお膝元だ。
そんな平和そのものの都市に、小さくも大きな事件が起ころうとしていた。
「父上!」
ドォン! と、木製のドアを壊さんばかりの勢いで開け放ち、部屋へと入ってきた青年。
領主ワッケインの一人息子である『フーゴ・ラ・エンドランセ』は、ピシッと姿勢を正しずんずんとワッケインの座る執務机までやってきた。
「おぉ、フーゴではないか。どうしたどうした。また何か欲しいものでも出来たのか? なんでもよいぞ、父に言ってみるがいい」
フーゴを迎え入れたワッケインは目尻を限界まで下げる。
「父上! 私は冒険者になります!」
そんな父に向け、フーゴは胸を張り真っ直ぐに目的を告げた。
「な、なんと、冒険者とな!?」
「はい! 先日、私は授恵者となりました。これは神が私に弱き人々を救えと御命令されたも同然の事!」
直立不動のまま、真っ直ぐに父に訴えかける。
「なれば冒険者となり、世の悪を討ってこそ、神のご意思に添えるというもの!」
「おぉ……! 素晴らしい、素晴らしいぞフーゴよ!」
「わかっていただけますか、父上!」
「わかる、わかるぞ我が息子よ!」
親子は机越しにがしりと抱擁を交わした。
「それでは、明日にでも出立いたします!」
ひとしきり抱擁を交わした後、身体を離したフーゴは居直り父に告げる。
「なっ!? 出立、じゃと! 一体どこへ行くというのじゃ!?」
「父上、ご存知ないのですか! 冒険者となるにはリブラネスタなる街へ行かねばならぬのです!」
「リブラネスタ……都市同盟ではないか!? 冒険者になりたいのであれば、この街の冒険者ギルド支部でも登録できる! 何が悲しくて可愛い我が子をそんな僻地へ遣らねばならんのだ!?」
「父上! 当然、我が領都で登録ができることは知っております! しかし! このフーゴ・ラ・エンドランセ。誇りある王国貴族エンドランセ子爵家の嫡子として、支部などではなく正々堂々と本部で登録をすべきだと申し上げておるのです!!」
どんっと机に手をつき訴えかけるフーゴ。
「し、しかしだな……冒険者になるのであれば、どこで登録しても同じ――」
「父上!」
フーゴは身を乗り出しワッケインに迫った。
「わ、わかった! それ程までの決意なれば、最早止めても無駄なのだろう。よろしい、リブラネスタへ向かい立派な冒険者となってこい!」
「父上! 理解していただけましたか!」
「うむ! ……しかし、リブラネスタまでとなると陸路はちと過酷か。となると、海路になるが。急ぎ船の手配をせねば――」
「父上!」
フーゴが再びドンと執務机と叩く。
「私は一人で向かいます!」
「な、なんだと……!? い、いやだめだ! 一人旅などはあまりにも危険だ。リブラネスタへ向かうのは許可するが、護衛として小隊、いや中隊規模の軍を付けさせてもらうぞ!」
愛息の出立を喜ばないわけではないが、ワッケインの親バカはこの程度で屈するほどのレベルにない。
「父上! 私は一人で行くと申し上げたのです! もし受け入れてもらえないのであれば、出奔してでもリブラネスタへ向かいます!」
食い下がるワッケインに、フーゴは毅然と立ち向かった。
「しゅっ、出奔だとぅ!? なにを言うんだフーゴよ!!」
「それほどまでに私の決意は固いという事です!」
「そ、そこまでの覚悟であったか……。わかった、父の負けだ」
「父上、では!」
「うむ! 行ってこいフーゴよ! 冒険者となり世界を救う勇者となれ!」
「はっ、必ずや!」
フーゴは腰を直角に折り父に礼を述べると、踵を返し退出した。
●
「……さて、ああは言ったもののやはり心配だのぉ」
フーゴが退室し再び訪れて静寂の中、ワッケインがポツリと呟いた。
「のぉ、執事長。何とかフーゴの手助けをしてやれぬか?」
静かに脇に控えていた初老の執事長へワッケインは意見を求める。
「であれば、冒険者を護衛につけるのが最良かと」
「うむ、わしもそれがいいとは思ったのだが、フーゴにああも拒絶されてはな……」
「ご当主様、何も共に行くだけが護衛ではありません」
「共に行かずして何を護衛するというのだ?」
執事長の物言いにワッケインは首をかしげる。
「フーゴ様はとても利発であらせられる」
「うん? それは当然だ。我が自慢の息子であるからな!」
「であるからこそ、護衛とわかる護衛を付けられてはフーゴ様の自尊心を傷つけてしまいます」
「ふむ……」
「なれば、影より見守りつつ、必要であれば危機を先に除く、そのような護衛を付ければよいのです」
「見つからぬよう影からか……なるほど、さすが執事長。良きアイデアではないか!」
「恐れ入ります」
妙案の提示にワッケインの表情に喜色が浮かぶ。
「早速、ギルドへ依頼を出してまいれ!」
「ははっ、仰せのままに」
主人からの命に執事長は音もなく部屋を辞した。
●
父ワッケインに許可を得てから1週間。ついに旅立ちの日がやってきた。
「しばらく留守にするぞ我が故郷よ。必ずや立派に冒険者登録をやり遂げ戻って来るぞ!」
そう高らかに宣言し、フーゴは城門をくぐった。
フーゴは往く。しかし、リブラネスタへの道程は、まだ果てしなく遠い――。
解説
マスターより
リプレイ
と、一人、彼方の空を指さしながら大志を抱いてたりするフーゴを、陰から見つめる12の瞳。
(さっきからずっとああしてるでありますが、大丈夫なのでしょうか)
(そうですね。そろそろ出発していただきたい所です……)
ミウミが心底不安そうに口にし、セロンガード・シュタインドルフが答える。
(カトリーヌはこのまま延滞金的追加報酬を受け取るのも悪くないかなって考えてたりしますよ?)
(さ、流石にそれはまずいと思うっス。期限は無いっスけど、それじゃオイラ達はずっと依頼に拘束されるッス!)
ぶんぶんと首を振るスフェーンに、カトリーヌ・レーンが何故? と首をかしげた。
(と、とにかく、この進路予想図を見て分担しようっ。なんとしてもリブラネスタに届けなくちゃ!)
ララベル・サン・ディーベルは執事長に渡された地図を広げる。
(前途多難だな……)
最後にセリオス・オーガストが呟いた。
●乗合馬車
「あぁ! 転んでしまったのでありますっ!!」
「ぬおっ!?」
ずざーっと絵に描いたようなヘッドスライディングを決めたミウミが悲痛な叫びを上げた。
まるで狙いすましたかのような突撃を何とかよけたフーゴは、地面でぺしゃりと潰れる少女に視線を落とす。
「だ、大丈夫か、少女よ……」
「あぁ! 荷物が! お財布がー!」
声をかけられるタイミングを待ってましたといわんばかりに、がばっと跳ね起きたミウミ。辺りには計算しつくされたかのように荷物や小銭が散らばっている。
「あ、親切そうな御仁。それお願いするであります。あ、あれはこっちであります」
「お、おう?」
パンパンと服に着いた土埃を払ったミウミは、散らばった私財を拾い集めるべく、当然のようにフーゴにあれこれ指示していく。
「――ふぅ、助かったであります。貴殿はいい方であります」
「ふ、なにか弱い子女に手を貸すのは冒険者として当然の行いだ」
フーゴは額に浮いた汗を指で華麗に弾き飛ばした。
「ふむ、貴殿は冒険者なのですね。という事はリブラネスタに行くのでありますか?」
「うむ!」
「ミウミもこれから乗合馬車で場末の街まで行き、随分気温の下がってきた山を頑張って越えて、綺麗で広い川を泳いで渡り、『リブラネスタはこっち』って書かれた看板通りに道を進んで、リブラネスタに行く予定であります」
と、どうだ凄いだろうと胸を張るフーゴに、ミウミはやたら丁寧に自分の行き先を伝える。
「ほ、ほう。どうやら行先は同じなようだな」
な、なるほどな。と心のメモにミウミの言葉を刻んだフーゴ。
「そろそろ馬車が出るであります。いきましょう」
そんなフーゴの手を引きミウミは馬車へと乗り込んだ。
ミウミがフーゴとすったもんだやっている隙に――。
「これで5人分おねがいします」
「ああ、確かに」
ララベルはこっそりと、同乗する仲間達とフーゴの分の支払いを済ませる。
「それにしてもお金のこと知らないなんて……」
自慢げに胸を張るフーゴをこっそり眺め、ララベルは溜息をついた。
フーゴと冒険者(変装済み)は無事同じ馬車に搭乗する。
馬車は出発し、未舗装の街道をゆっくりと往き――。
「ふっ、これが市井の乗り物というもガッ――」
(あ、舌かんだであります)
(舌咬みましたね)
(口元から血が出てますね)
(結構深くやっちゃってるんじゃないかな、あれ……)
貴族の馬車とは違い、乗合馬車の乗り心地はお世辞にもいいものとは言えない。
ガタガタと揺れる車内で、慣れない人間がぺちゃくちゃとお喋りしようものなら、この有様である。
「よかったらどうぞ。でも、あまり喋らない方がいいですよ?」
お貴族様にも受け入れられるよう真っ白で清潔なハンカチを差し出すカトリーヌ。
「……ずまない」
喋ると口から何かが溢れてしまうのか、フーゴは言葉少なに礼を言うとカトリーナからハンカチを受け取った。
「私はカトリ――もとい、オカネカセ・ギ・ゴールド。以後お見知りおきを」
「ほう、どこぞの貴族の令嬢か?」
口の中のものをなんとか嚥下し、真っ赤に染まったハンカチを「ふむ、これは返せないな」とポケットにしまい、新しい刺繍付き豪華ハンカチをカトリーヌへ返しながらフーゴは問いかける。
「ほ、ほほほ。そのようなところですわ」
名前からそう勘違いされたのか、フーゴの予期せぬ返しにカトリーヌは思わずそう返した。
「所で、そちら様もかなりのご身分とお見受けしますが、このような馬車でどこかへ向かわれるのです?」
ふむ? とフーゴは声のした方へ視線を移す。
「申し遅れました。私はゴールド家に仕えます、セロンと申す者」
カトリーヌの横に座っていたセロンガードが、貴族然とした所作で恭しく頭を下げた。
「見た所、そちら様も名のあるお家柄の模様。いえ、皆まで仰いますな。この様な市井の馬車を利用するのであります、何やら訳ありなのでしょう」
と、物申したげなフーゴを遮り、セロンガードは小声で告げる。
「我々はとある理由でリブラネスタへ向かっております」
「ほう、その方らもか」
「と申されますと、貴方様も」
揺れる馬車の騒音にかき消され、3人の会話は他の乗客へは漏れない。
それからも3人は周りに聞こえないよう、こそこそと話しを続ける。出身の話や情勢の話、後はさり気なく目的の話も。
(す、すごいですね。咄嗟にあんな話思いつくなんて)
(なに、昔取ったなんとやらですよ)
カトリーヌが耳打ちするとセロンガードはニコリと微笑みを返した。
「――それでゴールド家のご令嬢」
「……はぇ?」
「お嬢様」
セロンガードに肘で小突かれ、カトリーヌは居住まいを正す。
「は、はい。何でしょうか?」
「本来であれば護衛でも申し出る所であるが、此度は一人旅故、ご同行申し上げられぬ。許されよ」
フーゴは騎士然とした態度でカトリーヌの手を取り口づけをした。
「い、いえ、そんな。どうぞお構いなく」
はははと乾いた笑いで返すカトリーヌ。
「同道はできずとも目的地は同じ。またどこかで出会う事があればその時は良しなに」
カトリーヌに代わりセロンガードが頭をたれた。
●一足お先に場末の街
ガシャリガシャリと、背中の盾と鎧の擦れる音が通りに響く。
道を行く酔っ払いが目を見開いて避けていった。
(め、めちゃくちゃ視られてるっス……!)
通りを行く一人の男スフェーンは震える脚を少しの気合となけなしの根性で押さえつけながら大股で闊歩していた。
そして、街の一番奥、最も立派でパープルな建物の前に立つ。
「おい、何の用だ」
筋骨隆々、この寒いのに上半身裸の男がスフェーンを呼び止めた。
「どけ――っス」
鉄面の隙間から翠の瞳をぎらつかせ、スフェーンが男を見上げる。
「な、なんだとこの野郎――ぐおっ!?」
「お前では話にならん、この街の顔役を出せ――っス」
すねをおもいっきり蹴られ悶絶する男を押しのけ、スフェーンは建物へと足を踏み入れた。
「私がこの街を仕切っている者だが、何か用かね」
通された部屋の奥にどでーんと腰かける厳つい風貌の男。
「(大分無茶したっスけど)ようやく会えた――っス」
左右に何人も侍るボディーガードが殺気を発する中、スフェーンは男の元へ歩み寄っていくと――。
「いやぁ、貴方様がこの街のボスっスか! 流石貫禄が違うっス!」
両手を揉み揉み、猫なで声で。
「実はっスね。もうすぐこの街にとある貴族の御子がやってくるっス。ちょーっと過保護に育てられた御子なんっスけど、世間知らずすぎて色々やっちゃうと思うんっスよ! で、ボスにはその辺りうまーく取り持っていただけないかなと思って来たわけっス!」
よっ、大将! ってな具合に。
「もし御子に何かあれば……こんな小さな街、吹いて飛んでしまうかもしれないっスね」
最後はすこーしだけ悪そうな声で囁いた。
「もちろん、ただとは言わないっスよ――」
と、スフェーンは懐から取り出した革袋を、どんと机に置いた。見ただけでもずしりと重いのが判る。
鉄面で表情の読めない目の前の男に、ボスは一瞬躊躇したが、結局目の前に積まれた革袋に手を伸ばした。
●場末の街
「ふむ、随分とみすぼらしい街だな。一体どこの領主が統治しているのか」
ふぅ、やれやれと首を振るフーゴ。
「とはいえ、今日の宿泊先を探さねば――む?」
と、通りを見れば、正面にでかでかと『熱烈歓迎! フーゴ様!』と書かれた横断幕付き宿屋が。
「ほう、なかなか気が利くではないか!」
フーゴは何を疑う事もなく横断幕の張られた宿へと吸い込まれていった。
「ふぅ、一段落っス」
「あんなに簡単に……一体どうやったでありますか?」
一連の流れのスムーズさにミウミはスフェーンに問いかける。
「え、えっと……企業秘密っス!」
そんなミウミにスフェーンは鉄面の下で苦笑するのだった。
●山越え
木もまばらな岩山に一本の山道が頂上へ向け蛇行している。
「ふむ、ここを越えれば同盟領か」
途中、『山は助け合うもの、困ったら自由に使ってくれ』と書かれたテントに、なぜか完備されていた防寒具と食料を獲得し、フーゴは山道を登っていた。
ヒュン――。
「む?」
そんな時、フーゴは耳慣れぬ音を聞く。ふと視線を横に動かすと、そこには一人の狩人が。
「ほう、猟師か」
フーゴは興味を惹かれたのか、そちらへ向かって山道を登っていった。
狩人が番えた矢の一鳴きで野犬の一体を葬り去る。
「素晴らしい腕だ、我が領地にもここまでの名人はいないぞ」
「見世物じゃない。悪いがあっちへ行っててくれ」
という間にも、狩人セリオスは向かって来る野犬を二匹射倒した。
「何を言う、相手が凶暴な野犬なれば、私も加勢しようではないか!」
「……どこの誰だかは知らないが、余計なことはするな。標的が二つになると的が割れる」
と、また一匹野犬を仕留めつつ、セリオスはふと何かを思いついたようにフーゴに告げた。
「ああ、そうだ。そこの道を行け。こんな野犬なんて歯牙にもかからない凶暴な奴がいる。お前が名うての戦士なら相手に足るだろう」
「ほう! それはいい話を聞いた」
フーゴは剣を鞘に納めながらセリオスの指さした方角を見た。
「この先だな?」
「ああ、山を越えた所にいた。腕に自信があるなら試してみるといい」
「はっはっ! 冒険者ギルドへの手土産に丁度いい。成敗してくれる!」
フーゴはセリオスに礼を言うと、そのまま山道へ向かい歩きだす。
「待て」
「うん?」
「持っていけ。空腹では勝てるものも勝てん」
と、セリオスがフーゴに向け袋を投げて渡した。
「ほう! 恩に着るぞ、猟師よ!」
そう言って、フーゴは意気も揚々と山道を登っていった。
「ったく、世話の焼ける……」
次第に小さくなるフーゴの背中に、セリオスは溜息をついた。
●その頃、ちょっと先では
「こんなの勝手に置いて怒られませんかね?」
「一応嘘は書いてないので大丈夫だとは思いますよ」
先行するカトリーヌとセロンガードは、フーゴが通るであろう主要な交差路に『リブラネスタはこちら!』とわかりやすく書かれた看板を設置していた。
「それにしてもカトリーヌがお嬢様ですか」
「様になっていましたよ、オカネカセお嬢様」
「もう、からかわないでくださいよぉ。ほんと、どうやったらこの成りでお嬢様に見えるんだか」
言ってカトリーヌは自分の姿を見る。典型的平民スタイルの自分の姿はどう見ても貴族には見えないのだが……。
「お忍びの旅だと思ったのでしょう。素直な方じゃないですか」
「あれは世間知らずって言うと思いますよ……?」
「ふむ。でも、なかなか脈ありだったんじゃないんですか? キスもされてましたし」
「うえっ! お金は欲しいですが流石に勘弁ですよぉ……」
くくっと声を殺して笑うセロンガードに、カトリーヌは肩を落として溜息をついた。
●山頂付近
陽も随分と傾き、辺りの気温も下がってきた。
「ふむ、このままでは陽が落ちるな」
防寒着のおかげで寒くはないが、徐々に暗くなってくる辺りに若干の不安を覚えなくはない。
「む? あの光は?」
そんな時、フーゴは少し先の岩陰に明るく灯る火を見た。
「おんやまぁ、こんな所で人に会うとはのぉ」
そこに居たのは焚火を前に暖を取っていた、白髪で腰の曲がったララベル(ろうじんのすがた)だった。
「この様な所でご老体に出会うとは。遭難でもされたか?」
「はっはっはっ、わしゃぁ麓の村の農夫じゃよ。そこの祠に供え物に来ただけじゃ」
と、ララベル(ろうじんのすがた)が指差した先に、取ってつけられたように真新しくも不格好な祠がぽつんと置かれていた。
「ふむ、世に聞く山岳信仰という奴か。それでご老体、私は山を越えたいのだがこの道でいいのだろうか?」
祠へ一瞥したフーゴは道の確認のために問いかける。
「ほう、山を下るか。ではわしについてくるがええ。わしも丁度帰る所じゃ」
「なんだご老体も帰路の途中か。ならば丁度いい」
と、フーゴは徐にララベル(ろうじんのすがた)の前に屈み足を取ると。
「む……? は、はわわっ!?」
そのまま、背負う形で持ち上げた。
「この方が早く――うん? 何やら変な声が聞こえたが?」
「うおっほん! き、気のせいじゃろう!(ドキドキ」
「そうか? どうやらこの先に凶暴な獣が巣くっておるようだが、ご老体を抱えては戦えんからな。一気に駆け下るぞ」
「う、うむ! 頼んだぞ!(ドキドキドキ」
フーゴはララベル(ろうじんのすがた)を背負ったまま、駆け足で坂道を下る。
●大河
晴れて次の日。
「少し寒いでありますが気持ちいいでありますよ?」
「オ、オイラが入ったら沈むっスよ!?」
頭のてっぺんに衣服やら装備やらを結び付け、古式な泳法で川の中から手を振るミウミにスフェーンは無理無理と首を振る。
「オイラは船頭さんに話を付けてくるっス。ミウミさんも乗っていくでありますか?」
「いえ、ミウミはこのまま行くであります。船ではなく泳ぐという選択肢が0でない以上、手本となる者は必要であります」
「そ、そうっスね……?」
川面でグッとサムズアップするミウミに、スフェーンはぎこちなく頷いた。
「お、来たみたいっス」
と、二人がそんなこんなやっていると、遠くから意気揚々と向かって来る人影が現れたのだった。
●その後
カトリーヌとセロンガードが設置した立て看板が功を奏し、フーゴはリブラネスタへの道を迷うことなく進んでいく。そして、何日かの後、フーゴは無事にリブラネスタへと到着した。
「ほう! ここがリブラネスタか。実に楽しき旅であった!」
意気揚々とリブラネスタの街へと消えていくフーゴの背中を見送った6人は、一斉にため息をつく。
これで終わったという安堵と、これから大丈夫だろうかという不安を抱えながら――。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い6 / 4〜6人
2020年10月26日 23時15分13秒 公開
相談掲示板
僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、宜しくね!
やっと参加できました! シーフのカトリーヌと申します! お金稼ぎにきました! よろしくお願い致します!(お辞儀!)
No.3
ウォーリア、スフェーンッス! 今回はよろしく頼むッス! これ地味に難しいッスね、オイラ達の関与がバレると実質的な失敗ッスか……
・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず各種困難をどうにかするか考えないとな
はじめまして、セロンガードです。 今回の依頼ではお世話になります。 困りましたね…あまりにも前途多難過ぎて…
ミウミであります。 まずはミウミが困った人のふりしてご子息様に助けてもらおうと思うであります。 ミウミは生来のヘタレっこでありますからきっとご子息様も哀れに思って助けてくれるでありますよ。 ミウミがつなぎになりますので、皆さまで対策を練っていこうであります。 もし他の方で自分がという方がいらっしゃるようなら変わることも問題ないであります。
No.7
それはともかく、だ。まあ何とか始めるしかないッスね! 全部難しいところなんスけれど、端緒としては助けを求めるのは良い案ッスね。 察するにお坊ちゃんは正義感が強いタイプなので、無碍にはされないとおもうスから…… となると全体の行程としては 『迷子>馬車>街>山>空腹=渡河=ならずもの』 の優先度で対応していくべきっすかね……? 理由としては全体の旅程としての難易度変化するからッス。道を決めれば山、川やならずものがどこに出るかが大まかにわかると思うッスから。
ミウミが保護される側としてフーゴの側に着いていてくれるのは、誘導も出来そうだし凄く助かると思うよ。 >困難対処 今の所ぱっと浮かんでいるのは 第一:乗合馬車 フーゴに気づかれない様に、こそっと御者さんに近づいて乗車賃を渡してしまえば解決するかな。 第三:山越え(国境越え) フーゴの進む先に、偶然先にこの山を使った人が捨てていった、防寒服とか必要な物資を置いておけば、なんとかなるかなと。 私達にはもう不要な物です、後から来た物がお使いくださいとか置き手紙でも残してあれば使ってくれるんじゃ無いかな。 第四:渡河 テレパシー持ちの人が、見つからない様に隠れつつ、選ばれた物の天啓っぽく先を急ぐ様に促してみる(必要なら僕習得するよ)。 上手く保護された人が居るなら、その人が急ぎでと促す事も出来るかもだし、確実かも。 第五:空腹 これも先に用意して、あとを付けて追いかけ(旅程が分かれば先回り)空腹のタイミングで手に渡る様に上手く理由を付けて置いておくなり、試食品として押しつけるとか。 第七:迷子 立て札を用意、間違った道は通れない様にする、等々してフーゴを、常にただし手道に誘導する位が今思いついてる所だなぁ。 僕の浮かんだ対処法は、こんな感じかな。
ひょっとして、第4の渡航って船を作る段階からの問題なのでしょうか…? あと一つ気になったのですが、フーゴ様は野宿についての知識はあるのでしょうか?そういった意味でもミウミ様がご同行される事はとても効果的かと思います。
テレパシーは相手も所持していないと役に立たないので厳しいと思うであります。 第一幕は美空が助けてもらったお礼にお代を出してしまうのもアリかとは思いますが、ノブレスオブラートを振りかざされてしまうでしょうか?
むしろ幽体離脱して道案内したほうがヒロイックだと思うでありますよ。
<対処 ララベルの対処法で大体問題ないと思うな。 2番のこれは色街なのか治安が悪いのかどっちだろうか まあ、あれか。フーゴに声を掛けそうなのがいたらインターセプトしてとかするしかないか 6番のならず者はこちらが先行して先に片付けるとかだろうか 4番のとかはこれは渡し船か何かに乗るのだろうか。その場合なら最初の馬車同様先に金払うとかだろうか あとは同行しようとすると拒否されるからちょっと厳しいんじゃないだろうか。貴族の矜持とかを刺激しても。 一応同行できないときのことを考えておいた方がいいと思う
皆さん、お疲れ様です! このフーゴさんは同行ダメ!な一人旅希望なところがむずかしいですね! というか、もうお手上げですね! なので、私はこっそりとあとをつけつつ自分も同じ目的地の旅人を装いつつ、要所要所で奇遇ですね!と出会いを演出しつつささっと必要な行動をしていこうかと思いましたが如何でしょうか! ちなみに具体的に何するかはまだ決めてません!(どや!)
なるほどなるほど、一見さんてきな邂逅はありでもずっとはダメなのでありますね。 まあ、ミウミもリブラネスタに行くと言っておきますので道すがらちくちょく偶然に接触 するのはありだと思うです。 くどすぎないようにするのが難しいです。 野宿に関しては知識はなくとも、誰かが先回りして「お若いのこっちに火に当たっておいきなせぇ」と呼び止めてあげればむげにはしないと思うであります。 船に関しては結局ミウミ達も渡らなくてはいけないわけですし、船を借り切って流しの渡し守を演出してもよいと思うであります。
テレパシーって、そんなに使い道の狭いスキルだったんだ。 勘違いしてたよ(真っ赤)、教えてくれてありがとうね。 僕は基本隠れて後を付け、山越え装備の準備や配置、食料の渡し、迷子対策で先の道の封鎖や気を引いて正しい道に誘導をするね。 声帯模写を取ったから、最低限接触する際も変装して声変えれば、同じ人物だとはわかりにくく出来ると思う。
No.16
紫かつ薄着ってェと多分色街の類ッスね。 ん、大まかにゃララベルの兄さんの対応で良さそうッス。細かくは現地調整っすね。 じゃあオイラはそうッスね……第二と第四辺りの対策に行くッス。 色街だと仮定して、事前に入っているはずの顔役への説明、子煩悩の親がいる事、それゆえに手を出したほうが損だという事との説明――とかかな。出切ればッスけど。 渡河に関しては渡しがいる以上、同乗するのは当然っスから、そのつもりで誘う予定ッス。 この位の協力は、むしろ当然であり、戦いにおける馬の世話みたいなもんとかそんな感じで説明してみるっすかね……