馬車を守るリビングデッド

あつし

コメント 18

シナリオID:75

オープニング

●
 馬車は車輪を失い、まともに動く事もままならない。身体はすでに満身創痍で、あちこちが軋みを上げている。しかし、まだ諦めるわけにはいかない。我々は誓ったのだ。必ず、教会に届けると。
 ……一体、何日が経ったのだろう。もはや食料も尽き、長い間意識を失っていたように思えたが、不思議とまだうごけている。
 だいじょうぶだ。われわれは、とどけてみせる。……かならずだ。

 とどけてみせる。
 ととどける……。
 とどけ……かな……。

●
 依頼主は神官だった。

 名はターレ。
 ハーフリングの男性である彼は、目つき鋭く気難しそうであるものの、その種族ゆえに歳若く見える。リーンエス王国の王都にある、一つの教会を預かる身だというので、それなりの年齢なのだろうけれど。
「話を聞いていただけるようで、ありがたく思う。この出会いに、風の神アトフィオスが恩恵を運んでくれる事を、祈らせて欲しい」
 ターレは、手を組み、頭を垂れる。良くある祈りのポーズだ。
 しばらくそうした後、ターレは、依頼内容を語りはじめた。

「私の使いに出ていた信徒たちが、事故か事件かに巻き込まれ、命を落としてしまった。しかも、あろう事か、彼らは動く屍のアンデッド――いわゆるリビングデッドと化してしまい、今も彷徨っている。彼らをなんとかしてほしい」

 ターレは、腕の立つ信徒数名に頼み、北方の廃教会から王都の教会へ、荷物を運搬する仕事を頼んでいた。荷物の多くは単なる教会の備品だが、ひとつだけ彼らにとっては貴重な聖遺物も存在していた。
 それは灰色の丸い宝玉で、元はターレの教会に飾られている、杖の先についていたものだ。彼の教会を作ったマーロンなる者が由来の品で、特別、何か魔法の力を待つわけではない。一般的にさほど価値はない。
 とはいえ、彼らにとっては貴重な物だ。色々あって宝玉と杖とで分けられていたが、今回いっしょになるという事で信徒たちも楽しみにしていたようだ。

「……亡くなった者たちには、何度も使いを頼んでいた。彼らは毎回つつがなく仕事をこなし、報告を受けた私は、風の神に、キミたちの尽力を、祈りと共に伝えようといつも約束していたのだが……残念でならない」

 廃教会までは無事にたどり着いたようだが、その帰りに、信徒たちは倒れ、命を失ってしまう。
 リビングデッドとなった彼らは、今も杖と備品を運ぶ馬車を守っている。

 人数は六名。
 近寄れば、手に持つ剣か、素手や噛みつき攻撃で襲いかかってくる。他に特別な攻撃手段は無い。特徴としては、とても丈夫なようだ。
 また、馬車に何かしようとすれば、優先的に守るという。
 ちなみに一度ターレは説得のようなものを試みているが、失敗に終わっている。会話などは無理なようだ。

「現状、もはや倒すしかないのだと思うが……」
 その上で、頼みがあると冒険者たちにいう。
「彼らには、宝玉が杖に収まった姿を見せてやりたい。人がアンデッドになるのは、魂がマトリクス界に辿り着けなかった事が原因だという説がある。なんとか仕事を果たそうと、彼らの魂は迷ってしまっているのかもしれない。仕事が終わった事を知れば、彼らの魂も安心してくれるのではないか」

 ……それは、彼らが命を失ってでもやろうとしてくれている事だから。
 だから、彼らの隙をついて、馬車から宝玉を奪取し、杖の先に装着して見せてはくれないか――ターレはそういって、頭を下げた。

解説

リビングデッドになってしまった教会の信徒と戦うお話です。 ギミックを達成して、倒せば成功となります。 このリビングデッドは体力が高いですが、どうにかして宝玉を確保し、マーロンの杖に収めた事を見せると、リビングデッドが弱体します。 最初から攻撃する事に抵抗はあるかもしれませんが、ある程度ダメージを与えるなり戦闘に集中させないと、隙をついて宝玉を確保するなどは難しいです。宝玉を確保するまでそうそうやられませんので、先に倒しちゃわない? とか考えずにあまり意識せず攻撃しても大丈夫です。宝玉を無視して倒しきるのはけっこうたいへんです。 宝玉を取り付ける杖は、台座となるものが用意され、安全な場所に立てておく事が出来ます。誰か持っていても構いませんが、1メートル50センチ程度あり、そこそこ邪魔になります。 馬車は幌付きの馬車で、幌の中に宝玉と廃教会の備品があります。よほど荷物が崩れなければ、宝玉はすぐに見つかります。 入り口は後方と前方にあります。馬車や幌は、破壊しても問題ありません。宝玉は頑丈ですが、馬車が木っ端微塵になると破損するかもしれません。馬はいません。 現在のリビングデッドたちの居場所は判明しており、特に問題なく現地に到着します。移動のプレイングは不要です。場所は平原となります。夕刻になります。 ターレは近くまで案内で同行しますが、戦闘に参加しません。 調査しても、信徒たちに何があったのかは、明らかになりません。

マスターより

あつしといいます。 よろしくお願いします。 はじめてのオープニングです。お気軽に参加していただければ嬉しいです。

リプレイ

●
「見えた。予定通りだな」
 セリオス・オーガストが、馬車を視認した。
 夕刻だがまだ薄明るい。空は晴れ、暑くも無く寒くも無い。良い日だ。……もしも、何の悲劇も起っていなければ。
「順調でしたね。この幸運には感謝したいです。起きた不幸とは、釣り合わない幸運ですが」
 控え目にいうリーズ・クラヴィエのモチベーションは意外と高い。楽しそうに見える事もある。……彼女は何事も楽しむ主義なのだ。
 キャル・イルセインは、引っ込み思案な性格。ただ、今は表情に、安堵感が滲む。
「……えと、そうだね。きっと風の神アトフィオスの導きで、辿り着けたね」
 彼女ははっきりとした信仰はない。周囲を尊重してくれているのかもしれない。ターレは気遣いを感じ、頭を下げた。
「最後まで、この良き流れが続きますよう……。あとは、どうか、お願いする」
 そういって、ターレは杖と台座を冒険者たちに託し、巻き込まれないよう下がっていった。
 勇気づけるように、レイ=レーベンス=レックフォードが口を開いた。
「承知した。このレイ=レーベンス=レックフォード、尽力を約束する。彼らの魂に平穏がもたらされるように」
「全力を尽くさせていただきますね」
 と、リーズも同意する。それは彼女の本心だ。

 ……祈る神は違えど、私も信仰に生きる身なのだから。
 
 そう思う。のだが……。

 それはそれとして、彼女は不死者に興味津々だ。態度には出さないけれど。
 ……まぁ多神教なので、ターレの教会では氏神以外の神も信仰の対象になる。伝え方次第では神秘に対して熱心だと思うだけかもしれないが。

 ドワーフのアルフィンレーヌは祭司で、彼女に裏表はない。
「このままでは可哀想ですからね……。彼らは安らぎと共に、大地に還してあげなくてはいけません」
 それが自分の使命なのだ、と、いわんばかりの厳格な視線を向ける彼女の見た目は、身長100センチメートルの女の子だ。
 
 ブルーテ・ビシアが、ぱんと掌に拳を打ち付けた。
「ああ。まぁ、色々気になるところはあるが……とにかく依頼をこなそう」
 大陸で何かが起こりつつある。そんな空気は気にかかるが、まずは目の前の事を解決していく他はない。

 馬車を注視していたセリオスが、先頭に立った。
「見失う心配はなさそうだな。……来い。射程まで接近する」
 ぶっきらぼうに言いつつ、セリオスは仲間たちを先導していく。

●
 接近。

 セリオス以外の者にも、馬車の様子が見えてくる。

 信徒たちは、馬車を押していた。
 車輪の壊れた馬車は重く、動く様子はない。いや、良く見れば引きずり跡がある。数時間に数メートル移動しているようだ。

 執念。

 そんな言葉が、頭によぎる。
 リーズは考える。
(肉体が死しても魂が生きていた場合こうなるのでしょうか。しかし――……)
 その様子から、魂が完全な状態という事は無いはずだ。何か残ってはダメな物が残り、狂っている。そんな印象を抱く。
 キャルが、ステッキを握りしめて、呟いた。

「……悲しいね」

 果てた後も守り続けてるなんて、誰にでもできることじゃないよね――……。

 キャルの背に、アルフィンレーヌが背伸びして手を置いた。
「さぁ、彼らに休息をもたらすわよ。……わたしが前に出るわね」
「えと……うん。ひきつけてから、援護するね」

 アルフィンレーヌに、レイが並びかける。
「痛ましい事件だが、私たちの力で少しでも救いを届けよう。私も前に立とう。任せてくれ」
 二人が前に立ち、その後ろにキャル、リーズ、セリオス。
 射撃等でリビングデッドを引き付け、前衛が抑え、その隙にブルーテが杖を奪取する作戦となる。

 さらに接近。

 信徒たちが振り向いた。
「こちらに気づいたな」
 セリオスが声をかけると、リーズは冷静に眼鏡を直した。
「話通りなら、まだ問題はないはずですね」
 彼らはまず、馬車を守る様子を見せている。この間に冒険者たちは、射程と位置取りを見極める。
 
 リーズは適切な角度を模索。前と後ろの馬車入り口近くの信徒が視認できる位置を探すと、馬車の斜め前から全員が視認できた。リーズはそこに配置し、彼女の位置取りを基準に、布陣。宝珠をはめる杖も、彼女の後ろあたりに台座を設置して立てた。

 弓や魔法の射程に入る。

 リーズが補助魔法を行使した。
「死と不死の女神の加護を……」
 輝腕。輝刃。キャルの腕と、セリオスの弓が光に包まれる。

 セリオスが弓に矢をつがえ、キャルはステッキを敵に向けた。
「礼をいう、クラヴィエ。予想通り攻撃が必要だな。はじめるとしよう」
「ええ。逐次援護しますので」
 セリオスの弓が、引かれる。
「行け」
 風を切る音と共に放たれた矢。信徒の首下に深く突き刺さる。
 威力が、その者をよろめかせた。
「わたしも……っ」
 キャルがステッキを突き出すと、先端から光の魔矢が放たれた。
 リーズに命中強化されたその一撃が、セリオスの射た隣の信徒の腹部を貫く。
 ギギギギ……と、聞こえる唸るような声に、リーズは一瞬、興味深そうに目を丸くする。
「効いてはいるはずだが、効果が見えんな。まぁいい。続けるぞ、イルセイン」
「うん。……どんどんやるね!」

 再びセリオスの矢が射かけられ、キャルの魔矢がリビングデッドを穿つ。
 リーズの術が攻撃の威力を上げ、もう一度。

 釣れた。
 三体のリビングデッドが、突っ込んできた。

 準備万端で、レイとアルフィンレーヌが待ち構える。
「仲間の邪魔は、私がさせん」
「地の母よ、我らに正しき道へのしるべを」
 レイが身体に力を込めて攻撃を受け止め、アルフィンレーヌは二つ結びの後ろ髪をなびかせながら、木製のハンマーを振り下ろす。
 命中。
 衝撃に、信徒が膝をつく。

 だが向こうも弱くはない。彼らの瞳からは、気迫を感じる。また、その剣の切れ味も良い。
「……えと、強化するね!」
 キャルが堅甲を使用し、アルフィンレーヌを保護。三人目のリビングデッドが、前傾姿勢から、踏み込んできた。下段斬り。アルフィンレーヌの太ももが切り裂かれた。鮮血が足をつたって地面に落ちた。
「祭司! 大丈夫か?」
 レイが声をかけるが、魔法のおかげもあり彼女の傷は致命傷には遠い。
「平気よ。右側は任せてくれていいわ、レックフォードさん」
「承知した。簡単には行くまいが、耐えきるぞ!」

 継戦。

 レイとアルフィンレーヌは、しっかりと相手の注意を引き、押しとどめている。危うくなればヒールがある。
「そは生命のやどりぎ そは魂のゆりかご 地の母よ 大地の癒しを」
 アルフィンレーヌが自身を回復し、持ち直した。

 現状、問題はない。
「うまく戦えてますね。この調子で援護を続けますね」
 リーズがいう。
 現状最善を尽くしている。
 ヒーラーが多く偏った編成だが、リーズ、キャル、アルフィンレーヌは役割分担が出来ており、安定感が高い。

 あとは、もう少し向こうの守りを崩せれば――。

「ビシア。もう少し待て、残りも引き付けられるはずだ」
 セリオスの言葉に、ブルーテは柔和な表情を返す。
「頼んだ。せめてもう一人」
「ああ、なんとかする」
「私も攻撃に回ります」
 補助が終わったリーズがいうと、キャルも再び杖を信徒に向ける。
「わたしも、まだエーテルアローが使えるわ」

 セリオスの正確で強力な射撃が、面白いように信徒に吸い込まれ、続けてリーズが雑木の杖から魔力を放つ。そしてキャルの魔矢が飛ぶ。それらが連続して敵に当たる。

 手応えあり。

 脅威を感じたのか、馬車を守る一人が前に来た。
「ここだ。道をつくるのが私の役目だ」
 レイが不用意に接近して来た信徒を見やると、すぅ、と息を吸い込んだ。そして発する言葉にエーテルを乗せる。

「レイ=レーベンス=レックフォード。相手になろう!」

 目標の信徒が、彼に向って突っ込んで来た。
 斬撃。
 その一撃を、ノービスシールドと強靭な筋肉で耐えきるレイ。反撃の破脚砕が、重く信徒をきしませ、動きが阻害される。
 受けた傷はリーズのヒールが癒してくれる。
「ありがとう、クラヴィエ。これで、しばらくは持つ」
「まだヒールは使えますので、ご遠慮なさらず」
 塞がる傷から生命の神秘を感じつつ、リーズは小さく微笑んだ。

 ブルーテがリーズに声をかけた。
「これで馬車までいけるはずだ。リーズ、そっちのほうから見てどうだ?」
「右から迂回すれば、後ろの入口に辿り着けると思います」
「だな。行ってみるか」
 ブルーテが決意を固めた。
「あの……ブルーテさん、気を付けて。お願いするね」
 キャルの魔法がブルーテの脚を輝かせた。これで回避能力が上がる。
「……ありがとな。よし」
 タイミングを計り、使う技能は疾風足。移動力が上がるシーフの技だ。

 ブルーテが、一気に駆けた。

 合わせてレイが、強引に斬りこんでいく。
「貴方たちの相手は、私だ。余所見はさせない」
 大きく武器を薙ぎ、余裕を作らせない。アルフィンレーヌと二人で四人を相手取り、堂々の立ち回りだ。そこにセリオスの矢も飛んでくる。
「大人しく俺の矢を見ていろ」
 リーズの補助のおかげもあるが、セリオスはここまで、一射も外さず射撃を続けている。

 ブルーテが馬車に肉薄。近くの信徒が察して、それを防ごうとする。……が計算通り。間に合わない。
 大きく口を開けた馬車の幌の中に、頭から飛び込んだ。
「あった」
 話に聞いていた目的の宝玉はすぐにわかった。幌の中の中央。布を敷いた四角いマスの中に、堂々と収まっている。
 即座に確保。脱出しようと振り返る。と、そこに、飛び掛かってきた信徒の姿があった。その爪に、ブルーテは頭部をざっくりとえぐられる。
「まずっ……」
 リーズが叫ぶ。
「逆側があいてますっ。そのまま通り抜けてくださいっ」
「そりゃ助かる」
 ブルーテは、転がるように脱出。追うリビングデッドの爪が再度襲い掛かる。が、さらに転がって回避する。キャルの魔法の恩恵もあったか。腕で地を押し立ち上がると、あとは仲間の間を抜けて、一気に杖まで走った。

 戦線が乱れる。

 ブルーテを狙う者にレイとアルフィンレーヌが壁になるが、一人が抜けて彼を追う。しかしそこに、リーズが割って入った。
「いかせないですよ」
 リビングデッドは攻撃目標をリーズに変える。避けられない。彼女の腹部に、深く剣が突き刺さり、さらに攻撃が続く。
 セリオスが眉を顰めた。
「おい、耐えられるか? クラヴィエ」
「まぁ、まだ平気です。しかしここは惜しんではいられませんね」
 リーズは平然としつつ、使う魔法はヒーリングオーラ。効率良く、一気に自分と仲間たちを癒していく。

 そうして、ブルーテが台座に置かれた杖にたどり着く。

 彼は器用に、宝玉をマーロンの杖の先端に取り付ける。そして叫んだ。大きく。確実に、聞こえるように。

「風の神の信徒たちよ! お前たちの仕事は成し遂げられた!」

 信徒たちの目が、一斉にマーロンの杖へと向かう。
 言葉が聞こえたのか、理解出来たのか。それは正確には、わからない。わからないけれど――。
 ただ、何かが伝わった。彼らの瞳から、涙が伝って、落ちるのが見えた。

 そして、宿っていた迫力のようなものが、消え失せた。

「わかって、くれたのか?」
 驚くブルーテに、リーズが同意する。
「信じがたい事ですが……残ってしまっていた執念が、無くなったように思いますね」

 このまま待っていれば、普通の身体に戻ってくれるのではないか。
 期待を込めて見つめる。しかし彼らの身体は動きを止めない。止めてくれない。狂った部分がいまだに、身体を動かし続けている。
 隊列を組みなおし、レイとアルフィンレーヌが前衛の形に戻り、そこにブルーテも入った。
 レイは深く息を吸い、ゆっくりと吐きだす。そして仲間たちに声をかけた。
「みんな。今日共に戦えた事を嬉しく思っている。……終わらせよう。信徒たち。貴方たちの事も、忘れはしないだろう」

 6対6の戦いが始まる。

 レイが踏み込み、リビングデッドを一気に薙ぎ払うと、脇からブルーテの連続攻撃が続く。
「依頼は最後まで、終わらせないとな」
 キャルが回復しつつ、呟いた。
「えと……倒さなきゃダメそうだね」
 硬くなっているキャルに、アルフィンレーヌが、力強く言葉をかけた。
「早く休ませてあげなくては。大丈夫よ、きっと彼らはこれで救われたはず」
「ん……そうだね」
「それであるべき形に戻る事が出来る。行くぞ、イルセイン」
 ぞんざいに言うセリオス。だが、彼はわずかだが、祈るように目を細めていた。

 信徒たちに、安らかな眠りを……。

 セリオスの高精度の射撃が、信徒たちを削っていく。さらにアルフィンレーヌが槌を輝かせた。
「地の母よ、わが槌に力を! この者の苦しみが長引かぬように。……もう、休んでいいのよ」
 エーテルブローの一撃が直撃し、リビングデッドの一人が倒れ、その動きを止めた。
 
 補助に攻撃に、足りない部分を補うように動きつつ、リーズは考える。
(……。今はただのゾンビめいてますね。わからない事だらけですが、ひとまず、あれは私が求めるものには遠い)
 そう結論づけて、杖から魔法を発射。リビングデッドが、前のめりに倒れた。

 一人、また一人とリビングデッドは動かなくなっていく。
 冒険者たちは強かった。
「これで最後だ」
 セリオスが、特大の一撃を最後の一人に放ち、全てのリビングデッドが沈黙した。


●
 信徒の遺体は、不思議と綺麗だった。

「ターレさん、彼らの埋葬はどうしますか?」
 リーズが尋ねると、ターレは近くで土葬しようと考えていたようだが……。
「労力の問題はあるが、墓地があるところまで運んでも構わん」
 と、セリオス。
「運ぶのはなかなか大変じゃないか」
「大丈夫だ」
「準備はしてあります」
 そういって、レイとアルフィンレーヌが担架を見せた。キャルが感心して、ぱんと手を打った
「……担架があるならきっと運べるわ」
 きちんと埋葬してあげたほうが、きっと喜ぶはずだと、キャルがいう。
 ブルーテが腕をまくった。
「運ぶなら俺も手伝おう。埋葬についてはわからんが、力仕事なら頼ってくれ」
 担架に遺体を乗せていると、レイは彼らの使っていた剣を拾って持って来た。
「これも持っていこう。遺品だからな」
 祈るようなポーズで剣を持たせ、さらにキャルがロープをかけて、がっちりと固定する。

 ・
 ・
 ・

 運ぶのは大変だったが、冒険者たちはなんとか無事に王都にたどり着いた。

 信徒たちは教会の墓地に埋葬される。

 アルフィンレーヌは魔法陣を描くと、跪き、首を垂れて彼らに祈りを捧げた。
「地の母よ。これより、大地の子らが御許に還ります。その荒ぶる魂を、慈愛深き手で癒し、お救いください」
 他の者たちも、思い思いに信徒たちに祈りを述べていく。

「ありがとう。彼らはきっと、安心して旅立てた事だろう」

 ターレの言葉に頷くように、心地の良い風が、静かに空へと吹き抜けていった。

マスターコメント

ご参加いただきありがとうございました。 至らぬ点もあるかとは思いますが、頑張って書きました。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2020年11月02日 11時58分08秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. キャル・イルセイン

    名前はキャルよ。よろしくね。 信徒がターレさんに物を送り届ける途中で息絶えてアンデットになったみたいで……悲しいね。 果てた後も守り続けているから、引き継いで使命を全うさせたいね。 信徒をちゃんと弔いたいかな……?

  2. アルフィンレーヌ

    わたしはアルフィンレーヌ。 どうぞ、よしなに。 可愛そうな屍人たちを大地に還してあげましょう。

  3. リーズ・クラヴィエ

    ヒューマンのヒーラー、リーズ・クラヴィエです。 よろしくお願いします。 頼みとする神は私と違えど信仰に生きた人たちです。彼らが安心してマトリクス界に至れるよう、力を尽くさせて頂きます。 ……生きる屍にも少し興味がありますしね。(小声)

  4. ブルーテ・ビシア

    どうも。ブルーテ・ビシア。ヒューマンのシーフだ。よろしくな。 経緯や事情が気になる案件だが……まあ依頼内容に含まれてないし 今は置いておくしかないか。

  5. セリオス・オーガスト

    ・・・ん、ハーフビーストのシューター、セリオスだ、よろしく頼む とりあえず宝玉を確保するのが必要そうだな

  6. キャル・イルセイン

    > アルフィンレーヌさん うん♪ ちゃんと埋蔵したいね! >セリオスさん ん。馬車の中にある宝玉を確保する方法…… 状況は、リビングデッドの人数は6名。近接攻撃のみ。 行動は馬車を優先的に守るみたいね。 シューター1、ヒーラー3、ウォーリア1、シーフ1だから遠距離攻撃から入って引きつけたいかな……? 馬車に入るには入り口は後方と前方のみ。 馬車を壊すのは中がめちゃくちゃになりそうだから反対かな……? あとマーロンの杖を誰が持つかよね?

  7. リーズ・クラヴィエ

    宝玉を壊してしまっては彼らの望みを叶えることもできませんからね。馬車は壊さない方針でいいかと思います。 >杖を誰が持つか 「宝玉を取り付ける杖は、台座となるものが用意され、安全な場所に立てておく事が出来ます。誰か持っていても構いませんが、1メートル50センチ程度あり、そこそこ邪魔になります。」 とのことなので、邪魔にならないところ(後衛のそばなど)に置いておき、宝玉奪取後そこまで持って来る選択肢もあるかと思いました。 杖を誰かが持っておくことのメリット・デメリットは メリット:宝玉を奪取した後に杖に取り付けやすい(馬車に宝玉を奪取しに行く人が杖を持っていればその場ですぐに取り付けられる認識です) デメリット:戦闘するにあたって邪魔になる でしょうか?

  8. レイ=レーベンス=レックフォード

    レイ=レーベンス=レックフォードだ。 よろしく頼む。 俺も馬車は壊さない方針で良いと思う。 ウォーリアだし、馬車に近づいて道をつける役かな

  9. ブルーテ・ビシア

    戦闘時はざっくり引き付け役と宝玉奪取役に分かれるのかね。 キャルの提案どおり遠距離攻撃でこちらを認識させ馬車からリビングデッド離す、 そのまま戦闘で引き付けつつ、一人二人宝玉奪取に向かう、感じか? 馬車を守ってる以上、そうそう離れてはくれんだろうが せめて馬車の前後どちらかの入り口付近は空けさせたい。 死角から馬車に近づければよかったんだが平原だから難しそうだな。 俺も馬車は壊さない方向でいいと思う。 というか馬車での戦闘はなるたけ避けたいな。 杖。どうするかね。 作戦にもよるだろうが、俺自身は悩み中なんで皆の意見聞きたいところだ。

  10. アルフィンレーヌ

    台座はかなり大きいみたいだから、運ぶとなると、その人はほぼ、乗せるまで、運搬業者になるわね。 前後どちらかに仕掛けて、十分に敵を引き付けたところで、迂回させた別動隊で馬車を急襲して 宝玉をいただくってかんじかしら?

  11. アルフィンレーヌ

    ウォーリアがレイさん一人なので、わたしも前衛いきますね

  12. アルフィンレーヌ

    わたしはレイさんの隣りに付いて闘い、自分とレイさんの生命力を管理しますね。 杖については、台座ごとやや後方に置き、宝玉を手に入れ、セッティングできたら、引きつけ班がそこまで下って見せると、いう形でいいかな。と思っています。 また、担架を3台用意したので、亡骸は、しかるべきところまで運び、弔ってあげるつもりです

  13. リーズ・クラヴィエ

    >杖 私も台座に乗せて後方に置くのがいいと思っています。 前衛が持つのは邪魔になるでしょうし、後衛がわざわざ手に持つよりは後衛の近くに置いた方が邪魔にもなりませんからね。 戦闘の流れは ①遠距離攻撃を仕掛け戦闘開始、できるだけ引きつける ②敵が集まり前方後方どちらかの入り口の前から敵が離れたら別動隊が宝玉奪取 ③別動隊が後方まで戻り杖に宝玉を装着 でしょうか。 別動隊は移動力やスキルを考えるとブルーテさんが適任でしょうか……?

  14. キャル・イルセイン

    うん、リーズさんの案に合わせる。 引きつけ役になるね。 スキルは魔矢、堅甲、輝足、ヒールにするよ。 戦闘後は遺体を馬車に乗せて運べるかな……? 蘇りそうで怖いから、ロープ2本用意して縛るね……

  15. セリオス・オーガスト

    <戦闘の流れ それで問題ないと思う。 場所は平原ということだから近くに隠れる場所もないだろうし、射程に入ったら攻撃でよさそうだな。当たる当たらないはともかく注意をこちらに引き付ける必要があるしな。

  16. ブルーテ・ビシア

    リーズは流れのまとめ、ありがとう。 じゃあ俺は別働で宝玉奪取に向かうな。 行動のほとんど移動に費やすつもりで早めに戻ってこれるよう努力する。

  17. レイ=レーベンス=レックフォード

    >アルフィンレーヌ ああ。助かるよ。 よろしく頼む。

  18. リーズ・クラヴィエ

    いよいよ明日の朝に出発ですね。プレイング提出いたしました。改めてよろしくお願いします。 戦闘の立ち回りはヒールを優先、バフはキャルさんと被りのない輝刃、輝腕を中心に使用する予定です。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0