お嬢様に代わり百合茶宣伝販売お願いします!その2
四方 のあ
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シナリオID:59
オープニング
エラトゥーン都市同盟の都市リブラネスタの、とある裕福な商人の邸宅にて。
「うーん……どうにも最近、ワタクシ自身が百合茶を売るのに行き詰まりを感じますわ」
お嬢様風のヒューマンの少女が、憂鬱そうにため息をつきました。
彼女の名はローゼン。18歳とまだ若いながら、幼い頃から商人家の次期当主として商売を手伝っており、商売の経験は十分に一人前と呼べるものでした。
ですが、その彼女をもってしても憂鬱そうなのは、ローゼン自身が成長期を過ぎた頃合いに差し掛かった事にもあるようです。
「前までは、百合茶のおかげで綺麗になれてお胸も育っている気がするの! といった感じで押せたのですけど……18にもなり、これ以上美しくなるともお胸が育つとも少々言いにくく――ハッ! ひらめきましたわ、じいや!」
「お呼びでしょうか、ローゼンお嬢様」
「百合茶の宣伝販売ですけど、冒険者ギルドに募集すれば良いではないですか! 何らかの販売努力をしていただける方が良いですわね――たとえば、ワタクシのお店で売り子としてお手伝いいただいても良いですし、露天販売のように売りに出ていただいても構いませんわ! あとは全ての時間帯を担当いただく必要はないですが、朝であればこれから仕事という方へ、お昼であれば休憩中の方々や手の空いた奥様へ、夕方~夜であれば仕事終わりの疲れた方へ――と、異なるアピールが考えられるかもしれませんわね♪」
ローゼンの少々突飛にも思えるリクエストですが、じいやは困った顔も見せず、メモを取りながら尋ねます。
「かしこまりました、踊る子熊亭に依頼を出して参ります。しかしながら、一点よろしいでしょうか」
「何かしら?」
「宣伝販売、でございますが、主に経験の無い方や薄い方に向けて、他に注意点などはございますか?」
「そうですわね……百合茶のおかげで【絶対に】綺麗になれるとかお胸が育つとか言ってはいけない、という所かしら? 絶対に万民に効果があると保証まではできないですもの……他の商店では、数十年も百合茶を飲み続けたエルフの方に、絶対育つって言われたのにちっとも育たない! 数十年分のお金返して! とトラブルになった事があるそうですわ……とは言え、そこまで怖がる事もありませんわよ! 必ずしも売り上げが上がらなくても大丈夫ですのでお気軽に――皆様が努力して販売する姿から、ワタクシも新しい発想を得られるでしょうし♪ と補足しておいてくれるかしら? ワタクシ心が広いですから……おーっほっほっほっほ!」
かくして――踊る子熊亭に、ちょっぴり変わった依頼が届けられたのでした。
「あっ、そうそう――じいや、いろいろな方のアイデアに触れたいですし、機会を分けて少しタイミングをずらしながら、何度か募集いたしましょう。その際の手配は任せますわ!」
解説
マスターより
リプレイ
「おーっほっほっほっほ! この度は私の依頼に集まっていただき、深く感謝しておりますわ!」
今回、商人お嬢様ローゼンからの百合茶販売の依頼に集まった四名の冒険者たちは、種族も性別も比較的バラバラで、とても個性的なメンバー揃いでした。
前回の第1回が、全て若き乙女だったのとは対照的です。となれば、また違った販売作戦になってくるだろうと、ローゼンは楽しみにしていました。
全員が名乗りと軽い自己紹介を終えた後、話は本題に入っていきます。
今回のそれぞれの行動は、大きく二通りに分かれそうでした。
一方は――。
「あまり目立つのは得意ではないです故……準備に力を注ぐのです!!」
ヒューマンの少年セロンガード・シュタインドルフは、宣言した通り、呼び込みなど自分で目立つ方面ではなく、準備などの裏方に徹する考えでした。
が、目立つのは得意ではないと言いつつ、お客様の前ではスマイル大事! と練習していたり、真面目さと準備周到さが伺えます。
「普通に売り子するよ? まあ、あんまり売込み……どころか店開けすらほとんどしない奴の仕事だから、期待しないでほしいけど」
と言うのは、巨躯のリザードマンのサイラスです。彼は冒険者兼鍛冶師でしたが、あまり店を開ける事はなく、こんな野郎が積極的に売り込んでもマイナスになりかねないと考えていました。
それでも、期待するなという言葉とは裏腹に、彼なりに売り子として、やれる事はやる心意気を持っていました。
こちらの二人は主に店内担当で、どちらかと言えば裏方方面です。
もう一方は――。
「百合茶ですか、実物を目にするのは初めてです。どれどれ――」
大きいながら特に笑顔が大変可愛らしい犬のハーフビースト、アルム=ラントが今は真剣な眼差しで、ローゼンから貰った試供品の百合茶の実物を眺めていました。
アルムはローゼンと協力して、お客様を呼び込む作戦を考えていました。ローゼンも彼の提案を聞き「ぜひ協力させていただきますわ♪」と乗り気です。
「よーし、頑張るぞー!」
エプロンをきゅっとして、拳を突き上げ! 最後に紅一点、きらきら元気いっぱいなのは、ヒューマンの少女キキです。
彼女は、際立って女子力の高い呼び込み作戦を思いついていました(え? 紅一点だから当たり前じゃないかって? いえいえ、世の中にはとんでもなく女子力の高い男子もいますからネ。逆もですが!)。
こちらの二人は主に店外からの呼び込み担当で、比較的目立つ役柄と言っていいでしょう。
こうして、作戦と役割分担が無事バランス良く決まり。
四人の活躍に乞うご期待! 第2回百合茶販売が幕を開けます――!
●お客様呼び込み大作戦!
作戦会議と準備が終わって、お昼時。
アルムは事前にセロンガードにも手伝ってもらい、ローゼンのお店の入り口横に試飲販売用のスペースを作成しました。
テラス席のように2~3脚のテーブルセットが用意され、ローゼンに座ってもらいます。
そしてガラスの上品なティーポットへ一度お湯を入れ、温まったら一度お湯を取り出し、再度暖かいお湯を入れ――。
お分かりいただけましたでしょうか。一度暖かいお湯で食器を温めた後、お湯を入れ直す事で、お湯が暖かいまま冷めにくくなるという高等テクニックです。
これを大柄ながら可愛らしい犬ハーフビーストのアルムがやっているのですから、たまらないですね! 道行く奥様たちはもう、大注目です!
加えて、アルムは百合茶の花弁を一つお洒落に投入してから、更に適量のお湯を継ぎ足し、蓋をして数分――。
蓋を開けると濃縮された百合茶の香りが漂い、湯の中では咲いた百合茶の花のような美しさ――それをローゼンの所へ並べる事で、これ以上ないほど素敵な雰囲気のアフタヌーンティーを演出しました。
「見た目も香りも素敵なこの百合茶、試飲も行っておりますよ。開放感あふれるお席で、お嬢様と一緒に一杯いかがでしょうか?」
その様子に――。
(ああ、ワンちゃんなのになんて完璧なの……!)
(人間の訓練された執事さんだって、そうそうここまで出来ないわ♪)
(イケメンすぎるわ……何だかわたし、飼ってしまいたい――)
道行く人々はアルムの演出にメロメロになり、テーブルセットは早くも満席に!
「ふふ。気に入っていただけたらぜひ、空いている中のお店でもお買い求めください。ええ、可能な限り外のこちらでも販売対応いたしますよ。よろしければご一緒に、このガラスのティーポットもお薦めです」
(アルム様、おもてなしとしても販売としても、完璧と言っていいご対応ですわ……! ワタクシも折角のお膳立てに負けぬよう、頑張らなければ!)
ローゼンは舌を巻きつつ、気合いを入れ直しました。
これだけでも十分なお客様が集まっていましたが、更に――!
(百合茶と言えば美容効果――だけど美容に興味なかったり、今まで何となく手が出しにくかったような『新規の層を取り込む』事ができて、買い物の『ついで』に買ってもらえたら◎だよねっ!)
紅一点女子、キキの着眼点は恐ろしく見事なものでした。
「百合茶で超! 簡単! に、今晩のおかずをワンランクアップさせてみませんかー!」
百合茶で今晩のおかずを? という斬新な発想に『美容効果なんて曖昧で疑わしいし……』とか、『これ以上、旦那の為に綺麗になっても別に、ねえ?』みたいな、百合茶に興味の薄かった人々や奥様たちすら、数多く足を止めます。
「そう、百合茶は綺麗になれるかもってだけじゃないんです! 食材の美味しさをぐぐーっと引き出してくれる、すっごいパワーがあるの!」
きらきら笑顔で元気にそう宣言したキキは、彼女のオリジナルレシピの実演と試食会を開始します!
それらがもう、確かにそう難しくない割に力作揃いすぎて……!
四の五の言わず、ここでその全てをご紹介します!
・【百合茶鶏】
お塩を振った鶏に糸を巻いて、百合茶の鍋の中へ葱と生姜とレモンの皮と共に投入!
火が通ったら煮汁の中で冷ますだけ!
鶏にも美容効果あるらしいよ! しっとり♪
・【玉葱と百合茶のポタージュ】
炒めておいた玉葱を、お茶と混ぜ合わせながら軽くすり潰して。
お鍋に移したら、牛乳と、さっきの百合茶鶏の煮汁を投入!
弱火で混ぜつつ塩胡椒で味を整えて完成!
・【フレンチトースト】
牛乳でお茶を煮出して、粗熱取れたら卵とお砂糖混ぜて。
浸すパンには踊る子熊亭のバゲットを使おう!
後は普通に、フレンチトースト作る要領で焼くだけ!
香りが最高♪
以上、三品も!!!
そして、以下はお客様の反応になります!
・【百合茶鶏】
(主な感想)
「鶏に染みた味が……美味しすぎます!」
「美容効果も期待できて嬉しいです♪」
「うーまーいーわぁぁぁっ!」
・【玉葱と百合茶のポタージュ】
(主な感想)
「百合茶鶏の煮汁の味が……ここでもよく効いてます!」
「冷え性の私の身体も温まるようです♪」
「うーまーいーわぁぁぁっ!」
・【フレンチトースト】
(主な感想)
「踊る子熊亭のバゲットを使っているのが……ナイス発想です!」
「全体的にお手軽なのも嬉しいです♪」
「うーまーいーわぁぁぁっ!」
「おやつにケーキを買うってなると、高くて中々……でしょ? でもこれを作るなら、ちょっと贅沢した気分になれるし安いし、朝食にもおやつにもピッタリだよ!」
主婦の悩みの一つと言えば、毎日の献立です。キキの実演と試食会はそんな奥様方を始め、幅広い層にクリティカルヒット!
(ああ、キキちゃんなんて女子力高いの……!)
(訓練された主婦だって、そうそうここまで出来ないわ♪)
(お嫁さん力高すぎるわ……わたし女だけど、お嫁に欲しいくらい――)
とにかく大好評なので、キキはレシピのペーパーを百合茶購入者におまけで付けてあげる事にしました。
「美味しくて、意外で、しかもお手軽! ぜひ作って!」
キキはトドメとばかり、奥様方の心に響くこんな魔法の言葉で、奥様方の口コミからの拡散を狙います。
その効果はそう時間も経たずに明らかになり、お店にはじきに、より多くの百合茶を求めるお客様が訪れたのです――!
(キキ様、恐るべしです……ワタクシの商才を超える一面すらあると感じてしまいますわ――)
ローゼンはもはや圧倒されつつも、表面上は冷静に、かつ懸命にお客様のおもてなしを続けました。
●お客様接待大作戦!
「な、なんだかお客様が凄く増えてきてる……!?」
店内の販売員側に回っていた内の一人、少年セロンガードは途中からのお客様の増加に驚愕しました。
それだけ、外のアルムとキキの働きが大きかったという事ですが、セロンガードの方も自分の仕事を準備も含め、着実にこなしていました。
たとえば、店内のポスターや店外へのチラシ等、広報に必要な物は彼が作っていました。
大きく『美』と一文字入ったそれらには、百合茶の詳細と一般的に謳われている効果や、ベールコートの特産品である事といった、百合茶初心者に優しく理解を助ける構成になっていました。
それらと共に、百合茶の原材料の花ベールリリーの、以下の展示を行っていました。
・鉢植え
・花弁(内花被片・外花被片)
・それを乾燥させた花弁
・それを更に実際に販売・使用可能な形に仕上げたもの
加えて、セロンガード自身が常にスマイルを大事にと心掛けていた事。百合茶をよく飲んで勉強しており、お客様からの味の質問にもよく答えられた事。それでも分からない点はローゼン……は忙しそうだったので、一般の店員の力も借りて適切に対応できた事。
これらがお客様へより深い理解(と待ち時間の良い時間潰しになった事)と、安心感を与える事に成功し、多くのお客様が百合茶の購入に満足してお帰りになる事に繋がりました。
そしてもう一人の、リザードマンのサイラスはどうしているかと言うと――。
「飲んでも貧乳のまま? あー……いい辛いけど、たまにいる胸が全く育たない人だったとか?」
「ガーン……でもそうとしか考えられないですよね、しくしく」
彼は真面目に売り子もしていましたが、どちらかというと、悩めるヒューマン乙女たちの相談受け付け係になっていました。
無骨な外見の彼が相談受け付け役とは意外ですが、ヒューマン乙女たちからは『無骨な所が逆にカッコイイ』『同じヒューマンじゃないから相談してもあんまり恥ずかしくないもん』と妙に好評を博していました。
「ま、それでも効果はあったのかもな。なんか知り合いに聞いたんだが、実際ストレスや姿勢、体冷やしたりすると小さくなる事もあるんだってな。本来マイナスだったものが、現状維持~微増になったとすれば儲けもんじゃね?」
「うん、前向きに考える事にします……百合茶買っていきます~ありがとうございましたぁ」
悩める貧乳乙女の相談に乗ってあげ、お礼とばかりに百合茶を買っていってくれた次は、恋と美容に悩む乙女がやってきました。
「私、好きな男の子がいて……でも彼のために綺麗になろうとする事に、意味はあるのかなって……外見より内面を見てくれる人の方がいいんじゃないかな、とか……」
「外より中身の美しさ? ハハハ御冗談を。君は錆塗れでそこらへんに放置されてるブリキの箱に、素晴らしい宝が入ってるんだと言われて信じるかね?」
「えっ? そうですね……あんまり信じられない、かも」
「だろ。別に無理して綺麗さを磨けとは言わんけど、全然気も遣わず放置してたんじゃ普通は鼻で笑われて御終いさ」
「じゃあ……どうすれば」
「できる範囲でいいんじゃね。身だしなみとか整えて……あと、おれも百合茶飲んだらちょっとボロボロだった肌が良くなった……気がする。そうやってガワの包装を良くしたら、相手も手を出しやすくなる……そっからが中身の勝負じゃね?」
「はい……! できる範囲で小綺麗にしてから、告白してみます……! あっ百合茶もいただいていきますね、ありがとうございました!」
恋と美容に悩む乙女も、お礼を言って百合茶を買って帰っていきました。
「口出すもんじゃないかなと思ってたが、つい出しちまった。ま、いいか」
こうして、四人はそれぞれが出来る事で、百合茶販売に貢献していったのでした――。
●第2回、結果発表!
「じいや! こ、この売上は……!」
四人が協力してくれた一日が終わった後、ローゼンは売上に驚きました。
前回の第1回が予想以上の大成功を収めたので、今回の第2回は届かない可能性も考えていたのですが、第1回に匹敵する大成功レベルの売上となっていたのです!
更に――。
『セロンガード君、真面目に頑張っている所が素敵でした♪』
『サイラス様、また悩み相談に乗ってください!』
『アルムさん、うちで飼――もとい執事になって欲しいです!』
『キキちゃん、わたし女だけどお嫁に来てーー!!』
という喜び(?)の声が今回も数多く届き、結果的に『これを企画したローゼンお嬢様お見事!』と、前回同様に商会の評判が向上する結果となったのでした。
「改めて冒険者の皆様、良い意味で恐るべし、ですわ……!」
「今回も何よりでございましたな」
「ええ。前回も今回も、ワタクシだけでは到底、発想に至らず勉強になった事が数多くありましたわ! 参加の皆様には深く感謝しなければ」
ローゼンは嬉しそうに言ってから。
「次は冒険者の皆様へどのようなお仕事をお願いするかも、今から楽しみでなりませんわ♪ ワタクシも、少しでも良いお仕事を回せるよう頑張ってまいりますわね!」
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:多い4 / 4〜4人
2020年11月07日 14時21分23秒 公開
参加者
相談掲示板
はじめまして。 シューターのセロンガードです。 此度の依頼ではお世話になります。 【絶対に】の言い回しには気を付けましょう!
はじめまして! 私、キャスターのキキです。よろしくね! 「絶対」なコトなんて何も無いもんね。気を付けて言葉を選んでいくよ! 私はどうやって動こうかな。 お茶として、以外の楽しみ方をちょっと考えてみようかな。お料理とか! それにしても……うん、そっかぁ……(何となく両手の指をワキワキしながら)
はじめまして、私はアルム=ラント。シューターです。 初めての依頼となりますが皆様よろしくお願いいたします。 言葉の選び方は大切ですね、百合茶の魅力を上手く伝えられるよう……。 花弁を乾燥させたものということで、淹れる際は湯の中に咲いた花のようにも見えるのではないかと、見た目の美しさの方向で何か考えてみようと思います。
うーん、そうですね… それなら私は、至る所にポスターを貼ったり、チラシを配ってみましょうかね。主に広報へ力を入れてみようかと思います。 …なぜ、手をワキワキさせているのですか?
目で見たものの情報ってすごいもんね!(うんうん頷いて)チラシも良いなぁ ……あわよくば わがままぼでぃになれるのか って思って フッヘヘェ(にやける)(ワキワキ)
No.6
サイラスだ、よろしくー まあ普通に1人でフラフラ売ってくつもりだなー。広告とか使い方とか他の人が考えてるみたいだし。動き考えてるうちに思いつくだろうなと
ポスターとかチラシの内容考えてるのですが、 何か「これだけは外せない!」ってないようありますか? とりあえず見出しは「美」って入れたのですが… …むかし、わがままぼでぃと言われたときに『ふくよかな』体形を想像していて、それを話したら半殺しにされたことを思い出しました。 走馬灯の中で「あーわがままってそっちかー」と思いながら医務室に運ばれました。