【SiB】デュープ:傷薔薇【造花】
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)翡翠電脳公社制作 空根 漣納品 2023年04月30日 11時52分20秒
――そのデュープの名は傷薔薇。君と一緒の名前だね。
●Episode2:代替品
ああ君か、久し振り。元気してた? 馴れ馴れしくて鬱陶しいって顔してる。ふふっ、相変わらず可愛いね。おやおや? 今日は一段とご機嫌斜めだね? あ、もしかしてあの子の事? 顔に書いてあるから簡単に解るよ。
因縁の相手。憎くて憎くて堪らないあの子。傷薔薇が持っていない全てを所持した、輝く赤薔薇。ただの一度も勝てなかった。勝てないままに引退した。はらわたが煮えくり返る程の憎悪を感じた筈だ。勝ち逃げなんて許さない。出来る事ならこの手で今すぐ、傷付けてやりたい。
……その機会は意外にも早く訪れた。引退した筈のあの子の電撃復帰だ。病を克服し、デュープバトルの舞台に赤薔薇が返り咲いたのさ。傷薔薇にとっては願ったり叶ったりだ。今度こそ絶対に勝ってやる、ってね。
対峙したルビィは以前と変わらず強くて、引退が必要な程の病に罹っていたなんてちっとも感じられなかった。レイピアの突きも、飛んでくる剣閃も、その威力や速度に衰えはない。まるで病など罹っていなかったかのような動きだ。流石は赤薔薇だと讃える声まである。
でも、傷薔薇には違和感があった。戦い方も、美しさも、強さも彼の騎士の隣も全部、以前と同じなのに。憎悪とはまた別の、言いようのない気持ち悪さを感じたのさ。
反撃へ転じた傷薔薇の猛攻に、ルビィはあっさり膝をついた。あの無敗を誇るルビィが傷薔薇に負けたんだ。念願叶った筈の傷薔薇は、喜ぶどころか烈火のごとく怒り狂った。敗北したルビィに向かって「お前は誰だッ!」って声を張り上げたのさ。
比べられ、紛い物だと揶揄されて来た傷薔薇だからこそ気付いたんだ。何度も何度も、自分とは違う本物の輝く赤薔薇をなぞったから解る。感じられる。覚えている。
目の前のコレはただの人形。紛い物にされた自分よりももっと歪な“代替品”だ、ってね。
●Chapter End
君が何より許せないのは、あの子の皮を被った代替品が我が物顔で彼の隣に咲いている事だ。生花でもなく、匂いすら借り物の造花が何故?
造花へ気付かない彼にも、造花なんて存在に取って代わられたあの子へも、君は憎悪を感じているよね。あの子を倒すのは自分だった筈なのに、彼の隣で自分も咲きたかったのに……ってね。
君のその愛憎入り混じる想いはもう、誰にも届かないよ。残念ながらね。
――またおいで。可愛い傷薔薇。
●Episode2:代替品
ああ君か、久し振り。元気してた? 馴れ馴れしくて鬱陶しいって顔してる。ふふっ、相変わらず可愛いね。おやおや? 今日は一段とご機嫌斜めだね? あ、もしかしてあの子の事? 顔に書いてあるから簡単に解るよ。
因縁の相手。憎くて憎くて堪らないあの子。傷薔薇が持っていない全てを所持した、輝く赤薔薇。ただの一度も勝てなかった。勝てないままに引退した。はらわたが煮えくり返る程の憎悪を感じた筈だ。勝ち逃げなんて許さない。出来る事ならこの手で今すぐ、傷付けてやりたい。
……その機会は意外にも早く訪れた。引退した筈のあの子の電撃復帰だ。病を克服し、デュープバトルの舞台に赤薔薇が返り咲いたのさ。傷薔薇にとっては願ったり叶ったりだ。今度こそ絶対に勝ってやる、ってね。
対峙したルビィは以前と変わらず強くて、引退が必要な程の病に罹っていたなんてちっとも感じられなかった。レイピアの突きも、飛んでくる剣閃も、その威力や速度に衰えはない。まるで病など罹っていなかったかのような動きだ。流石は赤薔薇だと讃える声まである。
でも、傷薔薇には違和感があった。戦い方も、美しさも、強さも彼の騎士の隣も全部、以前と同じなのに。憎悪とはまた別の、言いようのない気持ち悪さを感じたのさ。
反撃へ転じた傷薔薇の猛攻に、ルビィはあっさり膝をついた。あの無敗を誇るルビィが傷薔薇に負けたんだ。念願叶った筈の傷薔薇は、喜ぶどころか烈火のごとく怒り狂った。敗北したルビィに向かって「お前は誰だッ!」って声を張り上げたのさ。
比べられ、紛い物だと揶揄されて来た傷薔薇だからこそ気付いたんだ。何度も何度も、自分とは違う本物の輝く赤薔薇をなぞったから解る。感じられる。覚えている。
目の前のコレはただの人形。紛い物にされた自分よりももっと歪な“代替品”だ、ってね。
●Chapter End
君が何より許せないのは、あの子の皮を被った代替品が我が物顔で彼の隣に咲いている事だ。生花でもなく、匂いすら借り物の造花が何故?
造花へ気付かない彼にも、造花なんて存在に取って代わられたあの子へも、君は憎悪を感じているよね。あの子を倒すのは自分だった筈なのに、彼の隣で自分も咲きたかったのに……ってね。
君のその愛憎入り混じる想いはもう、誰にも届かないよ。残念ながらね。
――またおいで。可愛い傷薔薇。